平成19(行コ)20 身体障害者居宅生活支援費不支給決定処分取消請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成18年(行ウ)第6号)

裁判年月日・裁判所
平成19年9月13日 大阪高等裁判所 その他
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判決文本文26,031 文字)

- 1 -主文 原判決を取り消す。 宝塚市長が控訴人に対して平成17年6月10日付けでした身体障害者居宅生活支援費不支給決定を取り消す。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨主文同旨第2事案の概要事案の概要は,以下に付加・加除・訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」の項に摘示のとおりであるから,これを引用する。なお,以下において,略称は原判決の例による。 原判決2頁14行目の次に,改行の上,次のとおり加える。 「このうち身体障害者居宅介護とは,身体障害者につき,居宅において行われる入浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるものを供与することをいうとされ,その厚生労働省令で定める便宜とは,入浴,排せつ及び食事等の介護,調理,洗濯及び掃除等の家事,生活等に関する相談及び助言並びに外出時における移動の介護その他の生活全般にわたる援助を(,)。」いうものとされている福祉法4条の2第2項同法施行規則1条 原判決2頁22行目の「福祉法」から同23行目の末尾までを「。 (同決定では,生活支援費を支給する期間(1年と1か月未満の端数を合わせた期間以下)と,身体障害者生活支援の種類ごとに,月を単位として,支給する指定居宅支援の量(支給量)が定められることとされてい(,)。」,「(」る福祉法17条の5第2項第3項と同3頁初行の福祉法- 2 -から同行の末尾までを「。その額は,身体障害者居宅支援の種類ごとに指定居宅支援に通常要する費用につき,市町村長が定める基準により算定した額から,身体障害者又はその扶養義務者の負担能力に応じて市町村長が定める基準により算定した額を控除した金額とされ 援の種類ごとに指定居宅支援に通常要する費用につき,市町村長が定める基準により算定した額から,身体障害者又はその扶養義務者の負担能力に応じて市町村長が定める基準により算定した額を控除した金額とされる。また,障害者は,支給量を変更する必要があると認めるときは,厚生労働省令の定めるところにより,その変更の申請をすることができ,市町村は,申請又は職権により,必要があると認めるときは,支給量の変更の決定をすることができるとされている(福祉法17条の4第1項,第2項,同条の7第1項,第2項」と,それぞれ改める。 ) 原判決3頁5行目の次に,改行の上,次のとおり加える。 「エ生活支援費の制度は,障害者の自己決定を尊重し,利用者本位のサービスの提供を基本として,障害者自らがサービスを選択し,事業者・施設との契約によりサービスを利用できる仕組みとされており,生活支援費は,サービスを提供した事業者に対して,サービスの対価として支払われることによって,障害者に支給されたものとみなされることとなっている(福祉法17条の5第8ないし第10項,甲32」)。 原判決3頁12行目の末尾に「居宅介護サービス費の総額は,要介護度ごとに定められる限度額を超えることができないとされているが,その範囲であれば,要介護者において任意に,あるいはいわゆるケアプランに従ってサービスを選択して,介護サービスを受けることができるとされている(保険法43条。また,要介護認定は,原則1年ごとに更)新されることとされている(保険法28条」を加え,同15行目の)。 「定められる(保険法41条4項」を「定められ,その限度におい)。 ,て,サービスを提供した事業者に対して支払われることによって,被保険者に支給されたものとみなされることになっている(保険法41条4- 3 保険法41条4項」を「定められ,その限度におい)。 ,て,サービスを提供した事業者に対して支払われることによって,被保険者に支給されたものとみなされることになっている(保険法41条4- 3 -項,6項,7項,9項」と改め,同行の次に,改行の上,次のとお)。 り加える。 「なお,上記のうち,訪問介護とは,要介護者等であって,居宅等において介護を受けるものについて,その者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活上の世話であって,厚生労働省令で定めるものをいうとされ,その厚生労働省令にいう日常生活上の世話とは,入浴,排せつ,食事等の介護,調理,洗濯,掃除等の家事(居宅要介護者等が単身の世帯に属するため又はその同居している家族等の障害,疾病等のため,これらの者が自ら行うことが困難な家事であって,居宅要介護者等の日常生活上必要なものとする,生活等に関する相談及び助。)言その他の居宅要介護者等に必要な日常生活上の世話とするものとされている(保険法7条6項,同法施行規則5条」)。 原判決4頁3行目の「以下「訪問介護」という」を削る。 (。) 原判決5頁初行の「却下した」を「棄却した」と改める。 。 。 第3当裁判所の判断 争点1について当裁判所も,争点1については,福祉法17条の9は,憲法25条に違反するものではないと判断するが,その理由は,原判決がその13頁6行目から同15頁21行目までに説示するとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決14頁7行目から同12行目までを,次のとおり改める。 「しかし,最低生活保障機能は,まずもって生活保護法によって担われている機能であるところ,福祉法は,生活保護法とは異なり,障害者の自立と社会経済活動への参加 ら同12行目までを,次のとおり改める。 「しかし,最低生活保障機能は,まずもって生活保護法によって担われている機能であるところ,福祉法は,生活保護法とは異なり,障害者の自立と社会経済活動への参加の促進という,最低限度の生活を越えた到達点を示して,援助と保護により障害者の福祉の増進- 4 -を図ることを目的とし,制度的にも,障害者の経済的能力にかかわらず援助や保護を与えるとしているものであるから,福祉法の保障する権利のすべてが,憲法25条の最低生活保障機能的側面を具体化したものということはできない。確かに,障害者は,その障害のため,日常生活において介護を要することがあり,それに要する費用は,健康で文化的な最低限度の生活を保障するために必要な費用であるとの一面もあるが,それは,あくまで生活保護法の保障する権利の補完的なものに止まるというべきであって,福祉法の保障する権利の法的性質を左右するものではないというべきである。 上記控訴人の主張は認められない」。 (2) 原判決15頁5行目から同21行目までを,以下のとおり改める。 「イしかし,福祉法の生活支援費の対象となる身体障害者居宅介護のうち,ホームヘルプサービスは,その提供されるサービスの具体的内容において,保険法の居宅介護サービス費の対象となる訪問介護とほぼ同一であり,両者は,その目的及び機能において重複しているということができる。したがって,その重複する限度においては,要介護者である障害者であっても二重にサービスを受ける理由はないし,拠出制の制度による給付と無拠出制の制度による給付が重複する場合には,拠出制の制度による給付が優先すべきことも当然であるから,保険法による保険給付としてのサービスを受けることができる場合には,そのサービスを受けることを原則とし,その限度において が重複する場合には,拠出制の制度による給付が優先すべきことも当然であるから,保険法による保険給付としてのサービスを受けることができる場合には,そのサービスを受けることを原則とし,その限度において福祉法による生活支援費の支給をしないとすることは合理的である。 (3)したがって,福祉法19条の9の規定は,合理的であって,,,そこに立法府の裁量の逸脱濫用を見いだすことはできないから同条の規定は合憲である」。 - 5 - 争点2について(1) 本件通知は,通達であって,法規性を有しないから,そこに述べられている福祉法17条の9の解釈基準は,裁判所の判断を拘束するものではない。しかしながら,行政を円滑・公平・適正に運営するためには,法令の定めを更に具体化したり,法令の解釈や運用を統一するために,通達の形式で,あるべき解釈を示したり,一定の運用上の基準を設ける必要性があることは否定できないし,その場合には,当該通達の内容が法の趣旨に照らして適正である限り,裁判所としても,法令の解釈にあたって,その内容を尊重することが相当である。 (2) 本件通知は,類似の法制度である福祉法のホームヘルプサービスと保険法の訪問介護の相互の関係について,通達によって,その解釈を示したものであるところ,本件事案との関係では,その要点は,本件通知にいう全身性障害者以外は,福祉法のホームヘルプサービスにつき,保険法の訪問介護で対応できない部分は存在しない,とするところにある。 (3) そこで,このような本件通知の依拠する解釈が,福祉法及び保険法の解釈として正当であるかどうかについて検討する。 ア福祉法と保険法の目的については,原判決がその14頁13行目から同15頁4行目までに説示するとおりであるから,これを引用するが,そこに示されているとおり,両者の目的 るかどうかについて検討する。 ア福祉法と保険法の目的については,原判決がその14頁13行目から同15頁4行目までに説示するとおりであるから,これを引用するが,そこに示されているとおり,両者の目的,機能は異なって。 ,,いるこのことは福祉法の制度と保険法の制度の関係については外見上類似した制度であっても,実際の運用において,異なる運用がなされる可能性を示すものということができる。 イこのことは,福祉法17条の9の文言によっても裏付けられている。すなわち,同条の文言は,生活支援費の支給は,介護保険法の規定によって受けた給付の限度において,行わないとするもので,- 6 -福祉法による厚生援護と介護保険法による保険給付とが,少なくとも量的に同一でないことを前提としている規定となっている。 ウ具体的な制度の定めを見ても,両者の制度には差異がある。 すなわち,前記事案の概要の1項(関係法令等の定め)に摘示のとおり(引用にかかる原判決2頁13行目から同3頁5行目まで。 なお,本判決による補正を含む,福祉法によるホームヘルプサ。)ービスを受ける手続においては,障害者が先にサービスを選択した上,その申請に基づいて,市町村が生活支援費支給の要否を決定するが,その際には,生活支援費を支給する期間と,支給量が定められることになっている。この支給量については,法律上は明確な上限額が定められているわけではなく,障害者の実情に応じて定められ,1年1か月未満の範囲内で定められる支給期間(したがって,支給期間は,場合により,1年よりも短期のことがある)ごとに。 見直しがされ,併せて,申請または職権で随時変更されることが予定されているものである。 これに対し,保険法では,要介護者の実情にかかわらず要介護度ごとに予め決められている限度額の範囲内で,要介護者 見直しがされ,併せて,申請または職権で随時変更されることが予定されているものである。 これに対し,保険法では,要介護者の実情にかかわらず要介護度ごとに予め決められている限度額の範囲内で,要介護者において必要なサービスを選択できることとされており,1年ごとに(サービスの必要性ではなく)要介護度に関して見直しがされることとされているものである。 エ以上によれば,福祉法のホームヘルプサービスと保険法の訪問介護は,受けることのできるサービスの内容は共通するものの,福祉法による障害者に対する援助は,その基礎となるノーマライゼーションの思想に基づき,障害者の社会経済活動への参加という目的を見据えてなされるべきものであるのに対し,保険法による保険給付は,これまでもっぱら家族によって担われてきた高齢者介護を,社- 7 -会的介護により支援していくという観点からなされるものであるというように,両者の目的及び機能は異なっており,それぞれの必要性の認定についても,同一の観点からなされるとは言い難い。 また,サービスを受けることができる量についても,福祉法のホームヘルプサービスが障害者の実情に応じて定められ,随時支給量について見直しがされるのに対し,保険法の訪問介護では,限度額の範囲内で,要介護者の選択によってサービスを受けることができるが,原則として限度額を超えるサービスは,そのサービスを受ける必要があっても受けることができない仕組みとなっているということができる。そうすると,福祉法と保険法で同一内容のサービスが提供されるとしても,福祉法による支給量は,保険法による保険給付と常に同一であるといえないことは勿論のこと特別の場合全,(身性障害者)でない限り,これを下回ると断じることもできないといわなければならない。 オこの点について,被控訴人 保険法による保険給付と常に同一であるといえないことは勿論のこと特別の場合全,(身性障害者)でない限り,これを下回ると断じることもできないといわなければならない。 オこの点について,被控訴人は,本件通知は,福祉法や保険法の立法趣旨や運用実態などを考慮したもので合理的であると主張するが,原審第4回口頭弁論期日において,その主張の詳細を説明する,,よう求釈明されたにもかかわらずその説明をしたとは認められず被控訴人のいう合理性については何ら証明されていない。なお,上「」,記被控訴人の主張にいう福祉法や保険法の立法趣旨については上記に説示したとおり,本件通知は,それらの立法趣旨に沿わないものというべきであるし「福祉法や保険法の運用実態」について,は,本件通知がなされた平成12年3月24日は,介護保険法施行前であり,かつ,福祉法において生活支援費の制度が創設された平(,成12年法律第111号の成立前の時期ホームヘルプサービスは当時の福祉法18条1項1号に基づく「便宜の供与」として提供さ- 8 -れていた)であって,上記の運用実態の存在しない時期であった。 から,それを考慮することは,およそ不可能であったといわなければならない。 よって,上記の被控訴人の主張は採用できない。 カ以上によれば,福祉法17条の9は,福祉法と保険法とでは,その目的及び機能に差異があり,現に,福祉法によるホームヘルプサービスにかかる生活支援費と,保険法による訪問介護では,それぞれの金額(限度額を含む)の具体的な算定過程も異なっているこ。 とから,その両者に差異があることを当然の前提として,その重複する部分について,保険法による訪問介護が優先することを定めたにすぎない規定と理解すべきである。 したがって,福祉法のホームヘルプサービスにつき,保険 両者に差異があることを当然の前提として,その重複する部分について,保険法による訪問介護が優先することを定めたにすぎない規定と理解すべきである。 したがって,福祉法のホームヘルプサービスにつき,保険法の訪問介護で対応できない部分は存在しない,とする本件通知の依拠する解釈は,福祉法の立法目的・理念に沿うものではなく,福祉法と保険法の関係について,前記(1)の意味における行政の法令解釈に裁量の余地があることを十分考慮してもなお,その裁量の範囲を逸脱したものとして,法令の正当な解釈を示すものということはできない。 キなお,被控訴人は,本件通知には「全身性障害者と)同等の,(」,サービスが必要であると市町村が認める者という文言があるから,,,柔軟な運用が可能であると主張するが上記のとおり本件通知は原則として全身性障害者でない限り,福祉法の運用上,介護保険による訪問介護を上回るホームヘルプサービスの必要があると認められる場合であっても,その必要部分について一律に生活支援費を支給しないとするもので,そのような基本的な点において,福祉法と保険法の関係の解釈を誤ったものであるから,本件通知の文言が,- 9 -いくらか柔軟な運用の余地を残すものであることは,本件通知の基本となる解釈が,行政の裁量の範囲内にあると認める理由となるものではない。 (4) 以上によれば,本件処分は,福祉法と保険法の関係についての解釈を誤り,本来なすべき控訴人に対するホームヘルプサービスの支給量(福祉法17条の5第3項2号)を具体的に認定することなく,本件通知に基づいて,保険法の訪問介護で対応できない部分は存在しないと認めて,不支給の処分をしたものであって,違法な処分であることが明らかである。 なお,福祉法によるホームヘルプサービスの支給量が,保険法による いて,保険法の訪問介護で対応できない部分は存在しないと認めて,不支給の処分をしたものであって,違法な処分であることが明らかである。 なお,福祉法によるホームヘルプサービスの支給量が,保険法による訪問介護を上回らない場合には,結果的に不支給とされることがあり得るけれども,その判断は,福祉法の運営の主体であり,専門的知識を有する被控訴人の第一次的判断に委ねるべき事柄であるから,当裁判所においては判断しない。 第4 結論 以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,控訴人の請求は理由がある。よって,これと異なる原判決を取り消して,控訴人の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第6民事部裁判長裁判官渡邉安一裁判官安達嗣雄- 10 -裁判官松本清隆(原裁判等の表示)主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求宝塚市長が原告に対して平成17年6月10日付けでした身体障害者居宅生活支援費不支給決定を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告が平成17年法律第123号による改正前の身体障害者福祉法(以下「福祉法」という)に基づいて,身体障害者居宅生活支。 援費(以下「生活支援費」という)の支給を申請したところ,宝塚市。 長が福祉法17条の9を理由に支給対象外であるとして不支給決定処分を行い,同処分に対する異議申立ても棄却されたため,同処分の取消しを求めた事案である。 関係法令等の定め(1)福祉法ア「身体障害者居宅支援」とは,身体障害者居宅介護,身体障害者デイサービス及び身体障害者短期入所をいう(福祉法4条の2第1項。 )イ身体障害者(以下「障害者」という)は,生活支援費の支給を。 受けようとするときは,身体障 ,身体障害者居宅介護,身体障害者デイサービス及び身体障害者短期入所をいう(福祉法4条の2第1項。 )イ身体障害者(以下「障害者」という)は,生活支援費の支給を。 受けようとするときは,身体障害者居宅支援の種類毎に,厚生労働- 11 -省令の定めるところにより,市町村に申請しなければならない(福祉法17条の5第1項。 )市町村は,前項の申請が行われたときは,当該申請を行った障害者の障害の種類及び程度,当該障害者の介護を行う者の状況,当該障害者の生活支援費の受給の状況その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して,生活支援費の支給の要否を決定するものとしている(福祉法17条の5第2項。 )市町村は,生活支援費の支給決定を受けた障害者が,都道府県知事が指定する指定居宅支援事業者に身体障害者居宅支援の利用の申込みを行い,同事業者から当該指定に係る身体障害者居宅支援を受けたときは,これに要した費用について生活支援費を支給する(福祉法17条の4第1項。 )ウ生活支援費の支給は,当該身体上の障害の状態につき,介護保険法(平成9年法律第123号。以下「保険法」という)の規定に。 よりこれらの給付に相当する給付を受けることができるときは,そ,()。 の限度において行わないものとされている福祉法17条の9(2)保険法ア保険法による保険給付の種類には,居宅介護サービス費の支給等がある(保険法40条。 )イ市町村は,要介護認定を受けた被保険者のうち居宅において介護を受ける者が,都道府県知事が指定する指定居宅サービス事業者から当該指定に係る居宅サービスを受けたときは,これに要した費用について居宅介護サービス費を支給する(保険法41条1項。 ),,,,ウ居宅介護サービス費の額は訪問介護訪問入浴介護訪問看護訪問リハ 係る居宅サービスを受けたときは,これに要した費用について居宅介護サービス費を支給する(保険法41条1項。 ),,,,ウ居宅介護サービス費の額は訪問介護訪問入浴介護訪問看護訪問リハビリテーション,居宅療養管理指導,通所介護,通所リハ()。 ビリテーション等の種類に応じて定められる保険法41条4項- 12 -(3)厚生省大臣官房障害保険福祉部企画課長・障害福祉課長通知(平成12年3月24日障企第16号・障障第8号。以下「本件通知」という。甲6),,ア本件通知は介護保険制度と障害者施策の適用関係の解釈に関し定められたものである。 イ65歳以上の障害者が要介護又は要支援状態となった場合(40歳以上65歳未満の者の場合は,その要介護又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身上の変化に起因する特定疾病によって生じた場合(以下「特定疾病による場合」という)には,要介護又は要支援認定を受け,介護保険か。)ら保険法に定める保険給付を受けることができる。その際,障害者施策と介護保険とで共通するサービスについては,介護保険から保険給付を受けることとなるので,支給された介護給付と重複する障害者施策で実施されているサービスについては,原則として提供することを要しない(本件通知1,(2) 。 )ウ在宅ホームヘルプサービス(以下「訪問介護」という)につい。 ては,原則として障害者施策と介護保険とで共通するサービスであ,()るので65歳以上特定疾病による場合は40歳以上65歳未満の障害者が要介護又は要支援の状態となった場合は,要介護等認定を受け介護保険の保険給付としてサービスを受けることとなる本,(件通知2,(1),①第1段。 )エもっとも,保険法の保険給付に比べてより濃密なサ 護又は要支援の状態となった場合は,要介護等認定を受け介護保険の保険給付としてサービスを受けることとなる本,(件通知2,(1),①第1段。 )エもっとも,保険法の保険給付に比べてより濃密なサービスが必要であると認められる全身性障害者(両上肢,両下肢のいずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者及びこれと同等のサービスが必要であると市町村が認める者)については,社会生活の継続性を確保する観点から,介護保険では対応できない部分について,引続き- 13 -障害者施策から必要なサービスを提供することができることとする(本件通知2,(1),①第3段。 ) 争いのない事実及び容易に認定できる事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない)。 (1)原告原告は,脳内出血による右上下肢の機能全廃により,身体障害者手帳において,肢体不自由1級とされている者である。 (2)生活支援費の不支給決定に至る経緯ア原告は,宝塚市長に対し,平成17年6月8日,福祉法17条の5第1項に基づき,生活支援費の支給を申請した。 宝塚市長は,原告に対し,福祉法17条の9及び本件通知に基づき,同月10日付けで上記申請につき生活支援費の不支給決定処分(以下「本件処分」という)を行い,原告に通知した(甲1。 。 )イ原告は,宝塚市長に対し,同月20日付けで,本件処分に対する異議申立てをしたが,宝塚市長は,原告に対し,同年7月8日付けで,上記異議申立てを却下した。 ウ原告は,同年12月27日,本件訴訟を提起した。 争点 (1)本件の争点は,本件処分の適法性であるが,具体的には以下の各点である。 ア福祉法17条の9の合憲性(争点1)生活支援費の給付を制限する福祉法17条の9は,障害者の生存権を不当に侵害するものとして,憲法25条に違反しているか。 であるが,具体的には以下の各点である。 ア福祉法17条の9の合憲性(争点1)生活支援費の給付を制限する福祉法17条の9は,障害者の生存権を不当に侵害するものとして,憲法25条に違反しているか。 イ福祉法17条の9の解釈,適用の誤り(争点2)宝塚市長が,本件処分にあたり,本件通知を福祉法17条の9の解釈基準としたことは,福祉法17条の9の解釈,適用を誤ったも- 14 -のとして違法か。 ウ宝塚市長の裁量権の逸脱,濫用(争点3)宝塚市長が,原告は本件通知における全身性障害者に該当しないと判断して本件処分を下したことは,裁量権を逸脱又は濫用したものとして違法か。 (2)なお,原告は,他に,本件通知が憲法25条及び憲法14条に反し違憲であると主張しているが,本件通知自体は行政機関内部において上級行政機関がその指揮監督権限に基づいて下級行政機関に対してその権限行使ないし事務処理を指揮するために発する命令であるから,本件通知の内容が国民の権利義務に関わるものであっても,本件通知自体は国民の権利義務を制限するものではなく,本件通知が福祉法17条の9の解釈基準とされて本件処分が下されることにより,はじめて国民の権利義務が制限されるものといえる。 したがって,本件通知が違憲であるとの主張は,福祉法17条の9の解釈,適用の誤りとして原告及び被告が主張する争点(1),イの中に実質的には含まれているとして考えるべきである。 争点に関する当事者の主張(1)争点1(原告の主張)ア憲法25条1項は,個々人に生存権という法的権利を保障したものであり,原告のような障害者にあっては,この権利は福祉法によって具体化されている。 そして,福祉法1条が他者からの援助がなければ生命を維持することすら危うくなる障害者の福祉の増進を図ることを目的としてい ,原告のような障害者にあっては,この権利は福祉法によって具体化されている。 そして,福祉法1条が他者からの援助がなければ生命を維持することすら危うくなる障害者の福祉の増進を図ることを目的としている以上,福祉法が障害者に対して保障する権利は,憲法25条の有する最低生活保障機能的側面を具体化したものである。 - 15 -したがって,このような場合は,専門的な判断を経ないで客観的に生存が可能か否か十分に判断することが可能である以上,立法府の裁量を広く認める必要はないことから,より厳格な合憲性判断基準を用いるべきである。すなわち,福祉法17条の9の合理性に疑いがあれば違憲とすべきである。 イそして,原告が生存するためには,ホームヘルパーによる泊まり込みの在宅介護,入浴などの通所介護,医師による訪問リハビリテーションが必要であり,これらについては1月あたり合計約69万5000円が必要である。また,ホームヘルパーの食費や原告らの日常生活費などで他に約13万円が必要であるから,原告の1月あたりの出費額は,合計約82万5000円である。 他方,原告らの収入は,夫婦合わせても,年金が月額約33万7000円であり,保険法に基づく居宅介護サービス費約34万円を合わせても原告の1月あたりの収入額は合計約67万7000円に,。 過ぎず上記出費額には約14万8000円も不足することになる,,ウしたがって原告が必要な介護を受けて生命を維持するためには保険法に基づく居宅介護サービスの他,別途福祉法に基づく生活支援費の支給が不可欠である。これを制限する福祉法17条の9は,原告が自己の選択に基づいて自宅にて生活を送る権利を不当に侵害するものといえ,憲法25条に反し違憲であるから,同条に基づいてなされた本件処分は違法である。 (被告の主張)ア(ア)憲法 条の9は,原告が自己の選択に基づいて自宅にて生活を送る権利を不当に侵害するものといえ,憲法25条に反し違憲であるから,同条に基づいてなされた本件処分は違法である。 (被告の主張)ア(ア)憲法25条の理念を実現するために具体的にどのような立法を行うかについては,その時々における文化の発達の程度,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係や国の財政事情に関する専門的な判断が必要であるから,立法府の広い- 16 -裁量が認められるべきである(最高裁判所昭和57年7月7日大法廷判決参照。そして,当該法律が著しく合理性を欠き明らか)に裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないような場合にのみ違憲となると解すべきである。 (イ)この点につき,原告は,最低生活保障機能を具体化するものである場合は,客観的な判断が可能であるから,より厳格な審査基準を用いるべきであると主張する。 しかし,24時間体制の他人による在宅介護が必要であるとの原告の主張は,生命の維持,最低限度の生活保障というよりは,むしろよりよい生活を求めてのものといわざるを得ず,そのような場合は立法府の広い裁量が認められるべきである。 イ(ア)保険法の立法に際して,福祉法との関係をどのように位置づ,,けるか両法に基づく給付をどのように調整するか等についてはまさに立法政策の問題であるといえる。そして,福祉法17条の9は,福祉法と保険法は目的を異にするとはいえ,少なくとも訪問介護については,両法でその目的,機能が共通していると考えられるため,訪問介護に相当する生活支援費の支給については,保険法の規定によりこれらの給付に相当する給付を受けることができるときは,その限度において行わないものとされたものである。 このように社会保障給付において,同一目的による給付,支払いが他 いては,保険法の規定によりこれらの給付に相当する給付を受けることができるときは,その限度において行わないものとされたものである。 このように社会保障給付において,同一目的による給付,支払いが他からなされている場合には,当該法律に基づく給付をその限度で行わないとする規定は一般的であり(労働者災害補償保険法12条の4第2項,国民年金法20条1項参照,合理的なも)のである。 (イ)原告は,現状の支出額が収入額を月額約14万8000円上- 17 -回っていることを根拠に福祉法17条の9が憲法25条に違反すると主張しているが,そのことのみをもって,福祉法17条の9が不合理な規定であるとはいえない。 ウしたがって,福祉法17条の9は,著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないとは認められないため,合憲である。 (2)争点2(原告の主張)ア本件通知は,保険法に基づく保険給付の他に福祉法に基づく生活支援費の給付を受けることができる者をいわゆる全身性障害者に限っているところ,これは保険法上の要介護認定が最重度の「要介護5」であっても全身性障害者でなければ生活支援費の支給を拒否するという内容である。 しかし「要介護5」の者の中には,全身性障害者でなくとも原,告のように移動,排泄,食事などがほとんどできない者も含まれるのであり,これらの者については,保険法による支給額のみでは到底不十分である。また,福祉法17条の9は,保険法によるサービスと福祉法によるサービスには重複する部分があるところ,この重複する部分について保険法に基づく保険給付が行われる額の範囲内では「その限度において」保険法が優先的に適用され,同法による保険給付をまず受けるべきであるという両法律相互の適用関係を調整する趣旨の規定である。したがって,福祉法1 く保険給付が行われる額の範囲内では「その限度において」保険法が優先的に適用され,同法による保険給付をまず受けるべきであるという両法律相互の適用関係を調整する趣旨の規定である。したがって,福祉法17条の9に関しては,保険法に基づく保険給付額を超過した金額については,原則どおり,福祉法に基づき生活支援費が給付されるという意味に解釈すべきである。 イしかるに,本件処分は,本件通知を援用し,それぞれの法に基づ- 18 -いて受給することができる額には一切言及せずにもっぱら受給主体。 ,の問題として原告に対する生活支援費を不支給としているこれは福祉法17条の9が何ら受給主体による区別を設けていないにもかかわらず独自の解釈により受給主体による区別を法解釈に持ち込むものであり,本件処分は福祉法17条の9の解釈,適用を誤ったものといえ,違法である。 また,本件処分は,全身性障害者である者とそうでない者とで生活支援費の支給の有無を分けており,後者を不当に差別するものであるから,その点においても同様に違法である。 (被告の主張)本件通知は,福祉法17条の9の「保険法の規定によりこれらの給付に相当する給付を受けることができるとき」の解釈基準を示すものであり,全身性障害者以外は,保険法の規定により福祉法上の生活支援費に相当する給付を受けることができ本件通知にいうところの介,「」。 護保険では対応できない部分は存在しないとの考え方を示しているこれは,福祉法や保険法の立法趣旨や運用実態などを考慮したものといえ,合理的なものである。また,全身性障害者とそうでない者では,前者の方が後者に比べて,日常生活その他に支障を来す程度が大きいといえるので,上記差異に着目して生活支援費の額に差を設けることは合理的であるといえる。 したがって,本件処分は福祉法 うでない者では,前者の方が後者に比べて,日常生活その他に支障を来す程度が大きいといえるので,上記差異に着目して生活支援費の額に差を設けることは合理的であるといえる。 したがって,本件処分は福祉法17条の9の解釈,適用を誤ったものではなく同条の趣旨に適うものといえ,適法である。 (3)争点3(原告の主張)ア(ア)原告は右上下肢が完全に麻痺しており,左足で車椅子をこぐことを除いては自力で移動することはできず,ベットからトイレ- 19 -へ移動する際も,常に他人が原告をいったん抱きかかえて,ベットから車椅子,車椅子からトイレの便座等への移動を行う必要がある。 また,食事についても他人がスプーンに食べ物を載せる必要があり,着替えも他人に着脱してもらわなければ一人ではできない状態である。 さらに,原告は頻尿を煩っており,昼は2時間おき,夜は3時間おきにトイレに行く必要があるところ,絶えず他人が原告の傍らについて抱きかかえて車椅子に座らせたうえ,トイレまで連れて行くことができるようにしておく必要がある。そして,原告がトイレに座っている間も,原告が麻痺している右側に倒れ込まないように見守ることが必要である。 これに対し,両麻痺の者は,寝たきりの状態のまま介護を受け,,ることから抱きかかえて車椅子等に移動させる必要も全くなくまた,おむつを使用せざるを得ないので,おむつを使用しない原,。 ,告と異なり頻繁にトイレに連れて行く必要もないそうすると両麻痺ではない原告の方が,より手厚い保護が必要であり,両麻痺の者以上に濃密なサービスを必要としていることは明らかである。 上記のような事情から,原告には他人による24時間体制での世話が必要であるところ,原告は78歳になる夫A(以下「A」という)と二人暮らしであるが,病弱である同人による介護 いることは明らかである。 上記のような事情から,原告には他人による24時間体制での世話が必要であるところ,原告は78歳になる夫A(以下「A」という)と二人暮らしであるが,病弱である同人による介護に。 は限界があるため,資格を持ったホームヘルパーによる24時間体制の在宅介護が必要である。また,原告は,入浴等の日常不可欠な行為を行ったり歩行訓練などのリハビリを行うための週2回の「B」による通所介護,右半身硬直防止のための「C」による- 20 -在宅リハビリテーションを受けている。 (イ)被告は,各種介護施設に入所するという選択肢の存在を主張するが,原告は重度の乾燥肌を患っており施設における一括管理の空調システムが乾燥肌によくないことや,施設側の管理の都合により睡眠薬が投与されることになり睡眠薬依存に陥る可能性があるなど生活環境が病院よりも劣悪であることから,施設入所という選択肢を取ることは不可能である。 また,福祉法による生活支援費の制度は,障害者の自己決定権を尊重する精神のもと導入された制度であり,この精神を受け継いだ障害者自立支援法(以下「支援法」という)2条1項1号。 は,障害者に居住場所についての選択権を保障しているのであるから,介護施設入所という選択肢の存在をもって生活支援費の支給を拒否することは許されない。 イよって,原告は,両上肢,両下肢のいずれにも障害が認められる肢体不自由第1級の者と同等のサービスが必要な全身性障害者にあたるというべきであり,原告にいかなるサービスが必要であるか具体的な状況を考慮することなく「片麻痺」であるとの原告の状態,のみをもって原告が全身性障害者にあたらないとして生活支援費の不支給を決定した本件処分は,重大な事実誤認があり,裁量権を逸脱又は濫用した違法なものである。 (被告の主張) であるとの原告の状態,のみをもって原告が全身性障害者にあたらないとして生活支援費の不支給を決定した本件処分は,重大な事実誤認があり,裁量権を逸脱又は濫用した違法なものである。 (被告の主張)ア(ア)原告は,車椅子に乗れば,左手で車椅子を動かしたり,左足で地面をこぐことによって移動することができる点及び左手足によってある程度体を支えることができるため,介護者に全身を抱きかかえてもらうまでの必要はない点において,全身性障害者とは全く異なっている。 - 21 -排泄についても,原告は,夜間はベット脇にある肘掛けの付いたポータブルトイレで自力で体を支えて排泄することができるから,移動のための介護者の負担は軽いといえる。また,原告は,自宅のトイレには肘掛けが付いていないため,麻痺している右側に倒れ込んでしまうことがあると主張するが,市販されている肘掛け付きの便座と置き換えることは可能であり,そうすれば自力で排泄することは可能である。また,原告はおむつを使用すれば排泄のための移動の必要すらなくなるのだから,原告の心情を酌むとしても,夜間についてはおむつを使用するべきである。 食事についても,原告はカレーなどスプーンですくいやすいものであれば,左手を使って自力で食事をすることが可能であり,それ以外の食べ物でもスプーンに乗せてもらえば,自分で口元に運んで食べることはできるのだから,介護者がつきっきりで介護する必要はないという点で全身性障害者とは全く異なる。 着替えについても,麻痺側を先に着せ,健常側から先に脱がすという順序で行う必要があるが,専門家から説明を受け相応の訓練を積めば,専門的知識を有しない者であっても片麻痺の者を着替えさせることは可能である。 (イ)さらに,原告には介護施設への入所が妨げられるような事情は医学的な理由も含め 家から説明を受け相応の訓練を積めば,専門的知識を有しない者であっても片麻痺の者を着替えさせることは可能である。 (イ)さらに,原告には介護施設への入所が妨げられるような事情は医学的な理由も含めて認められない。Aが高齢で病弱であるとの点についても,自宅で物を書いたり原告の通院に同行できる程度の健康状態であることからすれば,介護内容次第では介護を行うことは十分可能である。 (ウ)したがって,原告について24時間他人による在宅介護が不可欠であるとは到底いえない。 イ原告は,両麻痺の障害者に比べると,片麻痺の障害者の介護の方- 22 -が手間がかかると主張しているが,これは,話をせず,口から食事を取ることがほとんどできないため,胸を切開してチューブを差し込んで栄養を摂取するといういわゆる胃ろうによる栄養摂取をしており,車椅子で移動することもほとんど無い特殊な両麻痺の障害者と比較したものであり,そのような例と比較して片麻痺障害者の介護の方が手間がかかるなどという一般論を導き出すことはできない。 ウしたがって,原告は,全身性障害者に該当しないことは明らかであるから,本件処分は裁量権の範囲内であり,適法である。 第3当裁判所の判断 争点1について(1)ア憲法25条1項は,いわゆる福祉国家の理念に基づき,全国民が健康で文化的な最低限度の生活を営みうるよう国政を運営すべきことを国の責務として宣言したものであり,同条2項は,同様に福祉国家の理念に基づき,社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきことを国の責務として宣言したものである。 したがって,同条1項は,個々の国民に対して具体的,現実的な権利を付与したことを規定したものではなく,国が同条2項による責務を果たすことにより個々の国民の具体的,現実的な生活権が設定充実されていく したがって,同条1項は,個々の国民に対して具体的,現実的な権利を付与したことを規定したものではなく,国が同条2項による責務を果たすことにより個々の国民の具体的,現実的な生活権が設定充実されていくものであることを規定したものであると解すべきである。 このような憲法25条の趣旨に加え,同条に規定する「健康で文化的な最低限度の生活」なるものは,きわめて抽象的,相対的な概念であって,その具体的内容は,その時々における文化の発達の程度,経済的,社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係によって判断されるべきものであるとともに,同条を現実の立法と- 23 -して具体化するにあたっては国の財政事情を無視することができず,また,多方面にわたる複雑多様な,高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである。 したがって,同条の規定の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講ずるかは,立法府の広い裁量にゆだねられており,それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱,濫用と見ざるを得ないような場合を除き,違憲とはならないと解すべきである(最高裁判所)。 昭和57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁参照イ原告は,福祉法の保障する権利は,生命を維持するという意味の生存そのもの,すなわち憲法25条の保障するいわゆる最低生活保障機能的側面を具体化したものであり,このような場合は,専門的な判断を経ないで客観的な判断が可能である以上,立法府の裁量を広く認める必要はなく,より厳格な合憲性判断基準を用いるべきであると主張する。 しかし,そもそも最低生活保障機能的側面の具体化の場面であるか否かの判断は容易ではないこと,同側面の立法具体化に際しても国家の財政事情が問題となる点に変わりはないこと及び専門的判断の必要性が相対的に低下す そもそも最低生活保障機能的側面の具体化の場面であるか否かの判断は容易ではないこと,同側面の立法具体化に際しても国家の財政事情が問題となる点に変わりはないこと及び専門的判断の必要性が相対的に低下する可能性はあるとはいえ,専門的判断を経ることなく客観的な判断が可能とまではいえないことからすると,同様に立法府の裁量は広く認められるべきであり,上記原告の主張は認められない。 (2)ア本件について検討するに,福祉法は障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため,障害者を援助,保護し,もって障害者の福祉の増進を図ることを目的とし(福祉法1条,障害者はすべ)て,社会を構成する一員として社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとされている(福祉法2- 24 -条2項。 )一方,保険法は,加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり,入浴,排泄,食事等の介護,機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等(以下「要介護認定者」という)について,その能力に応じ自立した日常生。 活を営むことができるように必要な給付を行うため,国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け,もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的としている(保険法1条。 )このように,福祉法は,いわゆるノーマライゼーションの思想に基づき,障害者の自立のみならず社会経済活動への参加を促進する,,ことによって障害者の福祉の増進を図る社会福祉制度であり一方保険法は,要介護認定者の自立した日常生活を可能ならしめることによって要介護認定者の福祉の増進を図る社会保険制度であるという点で,一般的には,両者の目的,機能は異なっているといえる。 イしかし,訪問介護の点についてみると,福祉法上の生活支援費制 らしめることによって要介護認定者の福祉の増進を図る社会保険制度であるという点で,一般的には,両者の目的,機能は異なっているといえる。 イしかし,訪問介護の点についてみると,福祉法上の生活支援費制度における訪問介護は,障害者が日常生活上必要不可欠な外出や余暇活動などの社会参加のための外出の介助を行うサービス(ガイドヘルプサービス)とは区別されており,日常生活の営みに支障のある在宅の障害者を対象として,生活全般の介護,家事などのサービスを行うものである(甲6,32)から,福祉法や保険法に基づく給付は,それぞれ障害者や要介護認定者が自立した日常生活を営むことを可能ならしめるための給付であるという点において目的,機能が共通するといえる。 そうすると,このような目的,機能が共通する部分については,施されるサービスの内容も重複するといえることから,その費用については介護保険から保険給付を受けるものとし,重複する障害者- 25 -施策によるサービスの費用については生活支援費を支給しないとすることも,重複するサービスについて二重にサービスを受ける必然性はないことからすれば,不合理ではないといえる。 (3)したがって,福祉法17条の9の規定が著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱,濫用と見ざるを得ないような場合にあたるとはいえないため,福祉法17条の9は,憲法25条に反せず合憲である。 争点2について(1)もとより,旧厚生省によって定められ,福祉法17条の9の解釈基準とされた本件通知に基づいて本件処分がなされていることからして,本件通知は,福祉法17条の9の趣旨に適い,かつ,憲法の定める健康で文化的な最低限度の生活を維持するに足りるものであることを要する。 しかし,健康で文化的な最低限度の生活なるものは,抽象的な相対的概念であり,その具 17条の9の趣旨に適い,かつ,憲法の定める健康で文化的な最低限度の生活を維持するに足りるものであることを要する。 しかし,健康で文化的な最低限度の生活なるものは,抽象的な相対的概念であり,その具体的内容も文化の発達,国民経済の進展に伴って向上することはもとより,多数の不確定的要素を総合考量してはじめて決定できるものであるから,何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は,行政庁の合目的的な裁量に委ねられており,憲法及び福祉法の趣旨・目的に反し,法律によって与えられた裁量権を逸脱し又は濫用した場合に限り,違法の判断を受けると解するべきである。 (2)宝塚市長は,福祉法17条の9の適用にあたり,いわゆる全身性障害者にあたるか否かによって生活支援費の支給の要否を決するという本件通知を解釈基準として,生活支援費の支給の要否を決定している。 ,,アこの点について検討するにそもそも福祉法17条の9の趣旨は保険法によるサービスと福祉法によるサービスの重複する部分につ- 26 -いて,保険法に基づく保険給付がなされる額の範囲内では保険法が優先的に適用されるとして両法律の適用関係を調整することによって,社会保障給付の全般的公平を図る点にあるといえる。 イこの点につき,とりわけ高齢者においては,障害者と要介護認定者の両方に該当する者も多く,そのような場合に迅速かつ公平に適切な福祉法ないし保険法によるサービスを受けられるようにするべく,生活支援費の支給の要否を判断するにあたり,何らかの一定の基準を設ける必要性は認められるといえる。 また,本件通知において,全身性障害者は「両上肢,両下肢の,いずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者及びこれと同等のサービスが必要であると市町村が認める者」とされているが,かかる全身性障害者とそれ以 件通知において,全身性障害者は「両上肢,両下肢の,いずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者及びこれと同等のサービスが必要であると市町村が認める者」とされているが,かかる全身性障害者とそれ以外の者とでは,両上肢,両下肢に障害があるという点で,前者の方が後者に比べて身体の移動や食事等の日常生活の基本的動作に支障が生じる程度が一般的には大きいといえるので,全身性障害者か否かという基準自体が不合理であるとまではいえない。 さらに,本件通知における全身性障害者は「両上肢,両下肢の,いずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者」のみならず「これと同等のサービスが必要であると市町村が認める者」も含むという形で定義されており「これと同等のサービスが必要であると市,町村が認める者」の解釈運用において,社会生活の継続性の確保という観点から障害者の障害の程度などの個別具体的な諸事情を考慮することによって,柔軟に生活支援費の支給の要否を決し,もって社会保障給付の全般的公平を図りうる余地を十分に残しているといえる。 ウしたがって,障害者の障害の程度に応じて生活支援費の額を調整- 27 -するという,より柔軟な措置をとることが望ましいとはいえるものの,全身性障害者か否かという受給主体の属性のみによって生活支援費全体の支給の要否を決定することも,両法律の適用関係を調整して社会保障給付の全般的公平を図るという憲法及び前記福祉法17条の9の趣旨に反するものとはいえないから,本件通知を福祉法17条の9の解釈基準として生活支援費の支給の要否を決定することも,憲法及び福祉法によって宝塚市長に与えられた裁量権を逸脱ないし濫用したとまでは認められない(ただし,本件通知が不合理であるとはいえないが,他方,被告は,本件通知は,福祉法や保険法の立法趣旨や運用実 憲法及び福祉法によって宝塚市長に与えられた裁量権を逸脱ないし濫用したとまでは認められない(ただし,本件通知が不合理であるとはいえないが,他方,被告は,本件通知は,福祉法や保険法の立法趣旨や運用実態などを考慮したもので合理的である旨主張するものの,当裁判所からの釈明(第4回口頭弁論期日)を受けても「立法趣旨や運用実態など」の詳細を明らかにしないから,本,件通知の明白な合理性が具体的に実証されているわけではない。 。)原告は,保険法に基づく保険給付額を超過した金額については,原則どおり,福祉法に基づき生活支援費を支給すべきであると主張するが,本件通知は,全身性障害者でない場合は保険法に基づく保険給付額を超過する金額は存在しないとする基準を示したものであり,その基準は上記のとおり憲法及び前記福祉法17条の9に反するものとはいえないことから,かかる原告の主張には理由がないといえる。 エまた,前記のとおり,全身性障害者か否かという区別も不合理とまではいえないことから,全身性障害者でない者を全身性障害者と比べて不当に差別するものともいえない。 (3)よって,宝塚市長が本件通知を福祉法17条の9の解釈基準として生活支援費の支給の要否を決定したことが,福祉法17条の9の解釈,適用を誤った違法なものであるということはできない。 - 28 - 争点3について(1)事実認定証拠(甲7ないし17,18ないし26の各1・2,27ないし30,証人D(以下「D」という)の証言)及び弁論の全趣旨によれ。 ば,以下の事実を認定することができる。 アDによる在宅介護等(ア)Dは,介護施設での勤務経験はないが,ヘルパー経験は20年ほどあり,平成13年にホームヘルパー2級の資格を取得後,平成16年12月27日から,原告宅に泊まり込んで原告の介護。 る在宅介護等(ア)Dは,介護施設での勤務経験はないが,ヘルパー経験は20年ほどあり,平成13年にホームヘルパー2級の資格を取得後,平成16年12月27日から,原告宅に泊まり込んで原告の介護。 ,,をしている両麻痺の障害者の介護の経験については約1年間胃ろうの障害者の介護をしたことがある。 (イ)原告は,Dによる在宅介護以外に,週に2回,Bにおいて歩行訓練などのリハビリを行っており,他にも平成17年10月こ,,。 ろから週1回Cから訪問介護によるマッサージを受けている,,これらの介護にかかる費用はDによる介護に月額約50万円Bに月額約15万円,Cに月額約3万7000円である。また,Dの食費などの生活費も契約上,原告負担となっており,原告夫婦の生活費と合わせ,月額約13万円を支出しているため,支出額は,合計して月額約82万5000円となる。 (ウ)一方,原告は,保険法により宝塚市長から「要介護5」の認定を受け,保険法に基づき月額約34万円の給付を受けているほか,年金などとして,Aに月額約30万円,原告に月額約3万7000円の収入があり,収入額の合計は,月額約67万7000円となる。 イ排泄原告は,Dが原告の世話を開始した頃は,頻尿の症状が重く,1- 29 -5分から1時間おきにトイレに行っていたが,現在,Dによる介護や原告の努力もあって,昼は2時間おき,夜は3時間おきになり,症状は改善している。原告宅のトイレには肘掛けがなく,原告は麻痺している右側に倒れ込むことが多いため,Dは,原告がトイレに入っている間,原告の状態を見守っている。 原告は,平成17年6月ころから,両側に肘掛けのついた椅子式のポータブルトイレを購入してベッドの脇に置き,夜間はポータブルトイレを使用して排泄している。ただし,ポータブルトイレは排 を見守っている。 原告は,平成17年6月ころから,両側に肘掛けのついた椅子式のポータブルトイレを購入してベッドの脇に置き,夜間はポータブルトイレを使用して排泄している。ただし,ポータブルトイレは排泄後に排泄物を捨てて消毒することが必要となり,夫に見られることなどを気にして原告が使用を嫌がるため,昼間は原告宅のトイレを使用している。また,おむつについては,原告は,一切使用を拒絶している。 ウ移動(ア)トイレをはじめ,原告が移動する際は,Dがベッドから原告の身体を起こし,抱きかかえるようにして車椅子に座らせ,ベッドに戻る際も,同様にDが原告の身体を抱きかかえながら行っている。その際,Dは,原告の身体が麻痺によって硬直することがないように,原告の身体の右側をもみほぐすなどして,原告に右半身の存在を意識付けさせようとしている。 (イ)以前に一度,Aがベッドから車椅子へ原告を座らせようとしたところ原告との体格差もあって失敗したため,それ以来,原告,。 はベッドから車椅子へ移動する際は専らDの介助を受けている(ウ)原告は,車椅子で移動する際,麻痺していない左手を使って自力で車椅子をこぐことができるので,Dの助けを借りることなく移動することができる。 エ食事- 30 -原告は,病院にいた頃は流動食だったが,現在では,固形物であっても細かく切ってスプーンの上に置けば,左手で自ら口に運んで食事をすることができる。また,カレーやシチューなどの液状の食べ物であれば,左手ですくって食べることができるものの,皿の中の量が減少するにつれてすくって食べることができなくなるため,残りを捨てることもある。また,右半身麻痺のため,口の右端から食物がこぼれるなどして,1回の食事に1時間半ほどかかる。 オ着替え原告は自力で着替えを行うことはできず, べることができなくなるため,残りを捨てることもある。また,右半身麻痺のため,口の右端から食物がこぼれるなどして,1回の食事に1時間半ほどかかる。 オ着替え原告は自力で着替えを行うことはできず,Dが着替えをさせている。Dは,麻痺している右半身から服を着せ,服を脱がすときは逆に左半身から脱がせている。 カ介護施設への入所に対する原告の姿勢DやDの勤務先であるEも,介護施設への入所をAに対して勧めたことはあるものの,A及び原告は,介護施設では施設管理上の都合から睡眠薬を飲まされること,布パンツではなくおしめをはかされること,流動食を食べさせられ嚥下する能力が低下するおそれがあること及び一括空調管理が原告の乾燥肌に良くないことなどから,病院よりも生活環境が劣悪であると主張して,介護施設に入所することを拒んだ。なお,原告は,医者から,医学的に見て介護施設への入所が困難であるなどと言われたことはない。 キAの体調Aは,原告の退院後も原告と同居しているが,平成18年の春ころから,体調を崩している。 (2)評価前記2,(1)のとおり,何が健康で文化的な最低限度の生活である,,かについての認定判断は行政庁の合目的的な裁量に委ねられており- 31 -憲法及び福祉法の趣旨・目的に反し,法律によって与えられた裁量権を逸脱し又は濫用した場合に限り,違法の判断を受けると解するべきであるから,全身性障害者に当たるか否かの判断についても宝塚市長に裁量が認められ,その裁量権を逸脱又は濫用した場合に限り,違法の判断を受けると解すべきである。 本件では,原告は片麻痺であることから,本件通知中の「これ(両上肢,両下肢のいずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者)と同等のサービスが必要であると市町村が認める者」にあたるかについて,宝塚市長の裁量権の逸 は片麻痺であることから,本件通知中の「これ(両上肢,両下肢のいずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者)と同等のサービスが必要であると市町村が認める者」にあたるかについて,宝塚市長の裁量権の逸脱又は濫用の有無を判断すべきである。 ア介護施設への入所可能性まず,原告は介護施設での生活環境の劣悪さを強調するものの,Dに介護施設での勤務経験はないこと,Aの主張も原告が入院していた病院での経験からの推測によるものと考えられること及び医学的な理由を含めて原告が介護施設に入所できない理由は特に見受けられないことからすれば,介護施設への入所が不可能又は著しく困難であるとは認められない。 もっとも,障害者の自己決定権尊重の観点から障害者に居住環境の選択権を保障した支援法2条1項1号の趣旨は重視すべきものであるから,介護施設の入所可能性のみをもって原告が全身性障害者に該当しないと判断すべきではなく,障害の程度や介護の負担の程度等による判断が困難な場合に補充的要素として斟酌されるにすぎないものとすべきである。 イ原告の障害の程度及び必要な介護の程度等(ア)原告は,ベッドから車椅子に移動する際,右半身の麻痺のため自力で移動することはできず,Aと原告との体格差やAの体調を考慮するとAが原告を抱きかかえて移動させることは困難であ- 32 -ると考えられるため,Dのようなヘルパーが抱きかかえるなどして車椅子に座らせる必要があると認められる。 そして,排泄についても,車椅子に座ることが前提であり,排泄の都度原告を抱きかかえて車椅子に座らせることが必要となるところ,原告は頻尿の症状を有しているため,他の障害者と比較すると,排泄の回数は多いといえる。 また,原告は,食事や着替えといった日常生活における他の基本的な行動についても自力で行うことはできず,他 ところ,原告は頻尿の症状を有しているため,他の障害者と比較すると,排泄の回数は多いといえる。 また,原告は,食事や着替えといった日常生活における他の基本的な行動についても自力で行うことはできず,他人による介護が必要な状態にある。 したがって,これらの諸事情を考慮すると,原告の障害の程度や介護者の介護の負担は決して軽いとはいえない。 (イ)しかし,その一方で,原告は左手足で車椅子を操作して移動することはできること,食事についてもカレーなどのすくいやすいものであれば自力で食事はできること,着替えの際も介護者が着替えさせやすいように動く側の半身を動かして介護者の負担を軽減することは可能であることといった点において,両麻痺の障害者の場合と比較して障害の程度や介護者の負担は軽いといえる。 これに対し,原告は,両麻痺の障害者は,寝たきりの状態で介護を受けることがないから車椅子への移動の必要もなく,おむつを使用せざるを得ないため,原告のような片麻痺の障害者よりもむしろ介護の負担が軽いと主張し,これに副う証拠(甲30,証人D)もある。 しかし,かかる主張は胃ろうの両麻痺の障害者を念頭に置いたものであり,両麻痺の障害者の中には,発声による意思表示や口から栄養をとることができる障害者もいることから,一般的に両- 33 -麻痺の方が片麻痺よりも介護の負担が軽いとまではいえない。 (ウ)また,排泄に関しても,おむつやポータブルトイレを有効に活用することによって原告宅のトイレの使用回数を減らすことや原告宅のトイレに市販の肘掛け付き便座を購入して設置すること,。 も可能でありこれにより介護者の負担を軽くすることもできるさらに,Aも現在体調を崩しているとはいえ,食事の介助には専門的知識を要しないこと及び着替えの方法も複雑な専門的知識を要するものではな 。 も可能でありこれにより介護者の負担を軽くすることもできるさらに,Aも現在体調を崩しているとはいえ,食事の介助には専門的知識を要しないこと及び着替えの方法も複雑な専門的知識を要するものではなく,専門家から相応の訓練を受ければヘルパーでなくても着替えをさせることは可能であると認められることから,食事や着替えの介助はAが行うことによって,介護者の負担をさらに軽くすることも考えられないではない。 ウ以上のように,原告の障害の程度や介護の負担の程度などを勘案すると,ヘルパーによる24時間介護体制が必要不可欠であるとの原告の主張には疑問を差し挟まざるを得ず,また,原告と両麻痺の障害者とを比較して特に原告に両麻痺の障害者と同等のサービスが必要である特別な事情も認められないと考えられるので原告はこ,「れ(両上肢,両下肢のいずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者)と同等のサービスが必要であると市町村が認める者」にあたるとは認められない。 したがって,宝塚市長が原告について全身性障害者に該当しないと判断し,ひいては「保険法の規定によりこれらの給付に相当する給付を受けることができる(福祉法17条の9)と判断したこと」に,その裁量権を逸脱又は濫用したと認めるに足りる事情はないといえるから,本件処分は適法である。 第4 結論 以上の次第で,原告の請求には理由がないから,これを棄却すること- 34 -とし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官佐藤明裁判官菊池章裁判官重高啓

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