平成27(ワ)8271 職務意匠に基づく対価等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年10月12日 大阪地方裁判所
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平成29年10月12日判決言渡同日判決原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第8271号職務意匠に基づく対価等請求事件口頭弁論終結日平成29年7月21日判決 原告 P1原告訴訟代理人弁護士山 田 威一郎同松本響子同訴訟復代理人弁護士柴田和彦 被告タカラ産業株式会社 被告株式会社エフシーデザイン 上記2名訴訟代理人弁護士松本好史同岩崎浩平同補佐人弁理士小澤壯夫主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告タカラ産業株式会社は,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成27年8月29日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 被告らは,連帯して,原告に対し,550万円及びこれに対する平成27年8 月29日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,被告タカラ産業株式会社(以下「被告タカラ産業」という。)の元従業員であり,被告タカラ産業において登録意匠の実施品として製品化された別紙意匠公報1 ないし4記載の意匠(以下,併せて「本件意匠」といい,個別に,順に「本件意匠1ないし4」という。)の主たる創作者である旨主張する原告が,被告タカラ産業及び同社からの依頼に基づきデザイン案を作成した被告株式会社エフシーデザ 下,併せて「本件意匠」といい,個別に,順に「本件意匠1ないし4」という。)の主たる創作者である旨主張する原告が,被告タカラ産業及び同社からの依頼に基づきデザイン案を作成した被告株式会社エフシーデザイン(以下「被告エフシーデザイン」という。)に対し,下記請求をした事案である。 記 (1) 被告タカラ産業に対する請求本件意匠1ないし4が,原告の被告タカラ産業在職中の職務意匠であることを前提に,意匠法15条3項が準用する平成27年法律第55号による改正前の特許法35条3項に基づく相当な対価として,本件意匠1ないし4それぞれの相当額(本件意匠1について2000万円,その余は各1000万円)の内金各250万円の合計10 00万円の支払請求及びこれに対する被告タカラ産業への訴状送達日の翌日である平成27年8月29日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払請求(2) 被告らに対する請求本件意匠1の実施品である被告製品1,本件意匠2の実施品である被告製品3を対 象として,被告タカラ産業が2件のグッドデザイン賞を受賞したことにつき,被告らが,これら製品のデザイナーである原告を排除し,被告エフシーデザインの代表者であるP2をデザイナーと偽って応募したことが,被告らの共同不法行為に当たるとして,不法行為に基づく損害賠償請求として,連帯して550万円(各受賞の件につき,それぞれ慰謝料250万円及び弁護士費用25万円)及びこれに対する不法行為後の 日である平成27年8月29日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅 延損害金の支払請求 2 判断の基礎となるべき事実(当事者間に争いがないか,各項末尾記載の証拠により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告 原告は,パナ による遅 延損害金の支払請求 2 判断の基礎となるべき事実(当事者間に争いがないか,各項末尾記載の証拠により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告 原告は,パナソニック株式会社で家電製品や住宅設備等のデザイン開発を担当し,平成24年12月に同社を退職後,平成25年4月22日から平成26年3月20日までの間,被告タカラ産業の従業員として,同社の開発部開発設計課に所属し,本社において勤務していた者である。 イ被告ら (ア) 被告タカラ産業は,家庭用の機械器具,家庭用日用雑貨品等の製造,販売を業とする株式会社である。 (イ) 被告エフシーデザインは,デザイナーであるP2が代表取締役を務める各種新製品のデザイン及びスケッチ図面の作成を業とする株式会社である。 ウ被告タカラ産業の従業員ら (ア) P3は,被告タカラ産業の従業員であり,同社の本社で勤務し,開発部部長の地位にある。 (イ) P4は,被告タカラ産業の従業員であり,同社の富山工場で勤務し,開発部開発設計課に所属している。 (ウ) P5は,被告タカラ産業の従業員であり,同社の富山工場で勤務し,開発部開 発設計課主任の地位にある。 (エ) P6は,被告タカラ産業の従業員であり,同社の本社で勤務し,開発部開発設計課課長の地位にある。 (2) 本件意匠が完成に至る経緯ア被告タカラ産業は,被告エフシーデザインに,①昇降式室内物干し器,②窓枠 に取り付けるオリジナルのランドリーフック(物干し竿支持具),③物干し金物のデ ザイン案の作成を依頼し,いずれもP2作成に係る①につき別紙本件意匠1の創作過程【図面1】,②につき別紙本件意匠2,3の創作過程【図面1】,③につき別紙本件意匠4の創作過程【図面1】デザイン ザイン案の作成を依頼し,いずれもP2作成に係る①につき別紙本件意匠1の創作過程【図面1】,②につき別紙本件意匠2,3の創作過程【図面1】,③につき別紙本件意匠4の創作過程【図面1】デザイン案を受領した。 イ被告タカラ産業においては,上記P2作成に係るデザイン案等を原案ないし参考にして製品化のためのデザインの見直し等の検討を重ね,途中,P2の協力も受け ながら,本件意匠1ないし4を完成させた。 ウ本件意匠が完成に至る創作過程の主なデザイン案等は,本件意匠1については別紙本件意匠1の創作過程,本件意匠2,3については別紙本件意匠2,3の創作過程,本件意匠4については別紙本件意匠4の創作過程各掲載の図面のとおりである(別紙本件意匠2,3の創作過程の【図面4】が,同別紙の【図面9】の後に配列され るべきほかは,基本的に時系列に掲載されている。以下,本件意匠のデザイン案等を,「意匠1【図面1】」,「意匠2,3【図面1】」等と表記する。)。 (3) 本件意匠の意匠登録出願原告は,被告の意匠登録出願の担当者として,本件意匠につき,以下のとおりの意匠権登録出願手続をし,被告タカラ産業は,それぞれにつき意匠登録を受けた(以下, 併せて「本件意匠権」といい,個別に,順に「本件意匠権1ないし4」という。)。なお,本件意匠の創作者とされた者は,みな被告タカラ産業を意匠権者として意匠登録出願をすることについて同意している。 ア本件意匠1意匠登録番号第1506013号 出願日平成26年1月31日登録日平成26年8月1日意匠にかかる物品物干し器創作者原告,P4意匠別紙意匠公報1記載のとおり イ本件意匠2 意匠登録 録日平成26年8月1日意匠にかかる物品物干し器創作者原告,P4意匠別紙意匠公報1記載のとおり イ本件意匠2 意匠登録番号第1506012号出願日平成26年1月21日登録日平成26年8月1日意匠にかかる物品物干し竿支持具創作者原告,P5 意匠別紙意匠公報2記載のとおりウ本件意匠3意匠登録番号第1506011号出願日平成26年1月21日登録日平成26年8月1日 意匠にかかる物品物干し竿支持具創作者原告,P5意匠別紙意匠公報3記載のとおりエ本件意匠4意匠登録番号第1506010号 出願日平成26年1月7日登録日平成26年8月1日意匠にかかる物品物干し竿支持具創作者原告,P5意匠別紙意匠公報4記載のとおり (4) 被告製品の製造販売ア被告タカラ産業は,平成26年12月24日,その製造に係る本件意匠1の実施品である別紙被告製品目録記載1,2の製品(以下「被告製品1」,「被告製品2」という。)の販売を開始した。 イ被告タカラ産業は,平成26年7月22日,その製造に係る本件意匠2の実施 品である別紙被告製品目録記載3の製品(以下「被告製品3」という。),本件意匠3 の実施品である別紙被告製品目録記載4の製品(以下「被告製品4」という。)の販売を開始した。 ウ被告タカラ産業は,平成26年5月20日,その製造に係る本件意匠4の実施品である別紙被告製品目録記載5 実施品である別紙被告製品目録記載4の製品(以下「被告製品4」という。)の販売を開始した。 ウ被告タカラ産業は,平成26年5月20日,その製造に係る本件意匠4の実施品である別紙被告製品目録記載5の製品(以下「被告製品5」という。)の販売を開始した。 (5) 被告製品1及び3によるグッドデザイン賞の受賞被告タカラ産業は,その販売に先立つ平成26年6月頃,被告製品1ないし3について,デザイナーを被告エフシーデザインP2と表示して公益財団法人日本デザイン振興会の運営に係る2014年度グッドデザイン賞に応募し,その結果,同年11月頃,本件意匠1の実施品である被告製品1と本件意匠2の実施品である被告製品3に ついて,2014年度グッドデザイン賞を受賞した。 なお,グッドデザイン賞のサイトの同製品の受賞結果を掲載したページに用いられている被告製品1の主たる写真は,別紙意匠公報1の【使用状態を示す参考斜視図】に,本体に操作棒が差し込まれた状態の写真が用いられ,被告製品3のそれは,アームを基体から90度展開した被告製品3を机上に立てたものと寝かせたもの二つを 並べた写真が用いられている。 (6) 原告の被告タカラ産業からの退職原告は,本件意匠の意匠登録出願後で,本件意匠の登録,被告製品の販売開始及び被告製品1ないし3のグッドデザイン賞への応募がいずれもなされる前である平成26年3月20日に被告タカラ産業を退職した。 原告は,本件意匠の創作過程に関わったことに関連して被告タカラ産業から特別な報酬は受けておらず,そもそも同被告においては,職務意匠の対価支払を定める職務意匠規程等は定められていない。 3 争点(1) 被告タカラ産業に対する職務意匠の対価請求の成否 ア原告は,本件意匠1の創作者であるか。 においては,職務意匠の対価支払を定める職務意匠規程等は定められていない。 3 争点(1) 被告タカラ産業に対する職務意匠の対価請求の成否 ア原告は,本件意匠1の創作者であるか。 イ原告は,本件意匠2,3の創作者であるか。 ウ原告は,本件意匠4の創作者であるか。 エ相当の対価額(2) 被告らが,被告製品1及び3につき,原告がグッドデザイン賞のデザイナーと表示されないようにしたことによる不法行為の成否 第3 争点についての当事者の主張 1 争点(1)-ア(原告は,本件意匠1の創作者であるか。)(原告の主張)本件意匠1の創作者を決めるに当たって重要なのは,竿フラット形状(物干し竿の断面を半円型として,本体に格納した際に本体から竿が突出しない形状)が誰の発案 によるかと,本体の形状をデザインしたのが誰かとの点である。 平成25年5月7日に,原告,P3,P6及びP2が参加したデザイン検討会が行われたが,その際に,原告は,P2に対し,物干し竿を半円型にして本体からの突出をなくし,本体の厚みを薄く見せる方向でデザインを再検討してもらうよう依頼した。 平成25年5月7日のデザイン検討会の後,P2作成に係る意匠1【図面1】のd esign-Aとdesign-Dをベースに,P2にデザインの再検討をしてもらうことになり,平成25年5月20日に,P2から,新たなデザイン案として意匠1【図面2】が提出された。 この意匠1【図面2】のデザイン案のうち,design-AとデザインBが従前の意匠1【図面1】のdesign-Aの改良版であり,design-Eが従前の design-Dの改良版であったが,改良されたdesign-Eは,本体の形状が湾曲しており,従来以上に本体形状を主張するデザイン 】のdesign-Aの改良版であり,design-Eが従前の design-Dの改良版であったが,改良されたdesign-Eは,本体の形状が湾曲しており,従来以上に本体形状を主張するデザインになっていて,原告の提案とは,全く逆の方向に改変されたデザインになっていた。 その後,平成25年5月22日にP2も交えたデザイン戦略会議が開催されたが,その会議で,新たに提出された意匠1【図面2】のdesign-Aとdesign -Bは,存在感及び圧迫感が大きすぎるという理由から不採用になり,意匠1【図面 2】のdesign-Dと意匠1【図面1】のdesign-Dを竿フラット形状に変更したものの2案をベースにして,原告がペーパーモデルを作成し,実物大の使用状態を確認した上で,デザインを最終決定することになった。 平成25年5月22日の会議の後,P2からP3に対し,意匠1【図面3】が送られてきており,原告は,意匠1【図面2】のdesign-Dのペーパーモデル(意 匠1【図面4】のB案。以下「ペーパーモデルB案」という。)をP2から送付された図面をもとに作成したが,意匠1【図面1】のdesign-Dを竿フラット形状に変更した形態のペーパーモデル(意匠1【図面4】のA案。以下「ペーパーモデルA案」という。)は,原告が自ら作成した手書きの図面をもとに作成した。 ペーパーモデルA案と同B案の作成後,平成25年5月25日頃,この二つのペー パーモデル(意匠1【図面4】)と競合他社商品を会議室の天井に設置し,女性従業員6人(営業部2名,総務部2名,契約社員2名)に対して,どのデザインが良いかアンケートを実施したところ,全員がペーパーモデルA案を選択したことから,最終的にペーパーモデルA案をベースに設計を進めていくことになった。 務部2名,契約社員2名)に対して,どのデザインが良いかアンケートを実施したところ,全員がペーパーモデルA案を選択したことから,最終的にペーパーモデルA案をベースに設計を進めていくことになった。 以上のとおり,被告製品1及び2のデザインは,P2が作成した意匠1【図面1】 のdesign-Dとした昇降式室内物干し器の本体断面はトラック楕円型状がベースになっているが,意匠1【図面1】のdesign-Dを竿フラット形状にするとの提案は,原告がしたものであり,ペーパーモデルのもとになった意匠1【図面5】の元図も原告が作成したものである。原告は,そのほか,本体の下面のラウンド形状のデザインやロック機構の周囲のデザインなどの細部のデザインも原告が行ってい る。 また原告は,操作棒の先端の形状を,P4が提案したT字型を前提にスタイリッシュに改良し,操作棒のグリップの形状を略楕円型とすることで本体の側面との統一感を持たせ,かつ,ロック機構のオン・オフを視覚的に確認できる機能性も持たせ,さらに,専用の操作棒フックも一緒に開発した。 これらに鑑みると,原告が本件意匠1の創作者であることは明らかであり,本件意 匠1の創作者は,原告とP4の2名というべきである。 (被告タカラ産業の主張)本件意匠1の原案は,P2の創作に係る意匠1【図面1】中のdesign-Dである。 平成25年4月下旬の富山出張時,P3は,設計担当者であるP4に対し,P2の 創作に係る昇降式室内物干し器(意匠1【図面1】)に関して,物干し竿格納時に下から見ると本体と一体で昇降式室内物干し器に見えないようにしたい,全体をより薄くしたいという考えを伝え,物干し竿部分が半円型で格納時に本体にスッキリ収まる形状(竿フラット形状)で強度に問題がないかを確認する と本体と一体で昇降式室内物干し器に見えないようにしたい,全体をより薄くしたいという考えを伝え,物干し竿部分が半円型で格納時に本体にスッキリ収まる形状(竿フラット形状)で強度に問題がないかを確認するよう指示し,その後,P4から,問題ないであろうとの報告を受けた。 平成25年5月7日の打合せで,P3はP2に対し,①竿フラット形状のデザイン,②design-Aの別案,③design-Dの別案を加えて欲しいと要請した。 同月17日,P2は,P3の上記要請を踏まえて,P3に対して新たなデザイン案(意匠1【図面2】)を送付した。同デザイン案には,P3の上記要請に沿う形のデザインが入れられた。すなわち,竿フラット形状のデザインが3点(「A」,「B」,「D」), 意匠1【図面1】のdesign-Aの別案が2点(「A」,「B」),意匠1【図面1】のdesign-Dの別案が1点入れられた(「E」)。 新たなデザイン案である意匠1【図面2】のdesign-Eは竿フラット形状とされていないが,これは,P3が,新たなデザイン案の作成依頼の時点ではデザインの決定をしておらず,P2に対し,意匠1【図面1】のdesign-Dの別案を竿 フラット形状にするように指示していなかったからにすぎない。 平成25年5月22日の打合せで,P3は,被告製品1及び2の開発責任者として,意匠1【図面1】のdesign-Dをベースに,竿フラット形状で開発を進めると決定し,これに基づいて,P4が被告製品1及び2の設計担当者として強度計算,機構等を踏まえて具体的形状の検討を行ったものであり(意匠1【図面9】ないし意匠 1【図面面14】),意匠1【図面14】が最終寸法である。 以上のとおり,竿フラット形状を発案,決定したのは原告ではないから, 検討を行ったものであり(意匠1【図面9】ないし意匠 1【図面面14】),意匠1【図面14】が最終寸法である。 以上のとおり,竿フラット形状を発案,決定したのは原告ではないから,原告は,本件意匠1の創作者ではなく,仮に創作者の1 人であるとしても,その寄与は極めて小さい。 なお,原告のいう操作棒の意匠は本件意匠1に含まれていないから,原告がそのデザインに関与していたとしても,本件意匠1の創作に寄与したことにはならない。 また,それ以外の本体の下面の断面,本体ロック孔部分の周囲の形状等も,本件意匠1を特徴づける構成態様ではないから,原告が,これらのデザインに関与したとしても,本件意匠1の創作に寄与したことにはならない。 2 争点(1)-イ(原告は,本件意匠2,3の創作者であるか。)(原告の主張) 本件意匠2,3の創作者を決めるに当たって重要なのは,ヒンジ部分の「く」の字形を誰が考案したのかとの点である。 (1) ヒンジ部分原告は,被告タカラ産業に入社後,意匠2,3【図面1】及び意匠2,3【図面3】を確認したが,原告の考える方向性とは合致しないものであり,自ら意匠2,3【図 面6】及びペーパーモデルを作成するなど,試行錯誤していた。 そして,原告は,ヒンジ部分を本体と別形状に設けるのではなく,アームから一体でつながる「く」の字形にするデザインを発案し,平成25年7月後半に,既に作成していた見込みタイプ(基体を窓枠等の見込みに取り付け,アームが基体に平行に展開するタイプ)の図面をベースに,ヒンジ部分を「く」の字状にした手書きの図面を 作成し,その図面をもとに見込みタイプのペーパーモデルを作成し,P3に見てもらったところ,P3は,ヒンジ部分を「く」の字形にしたデザインにすることを了承 部分を「く」の字状にした手書きの図面を 作成し,その図面をもとに見込みタイプのペーパーモデルを作成し,P3に見てもらったところ,P3は,ヒンジ部分を「く」の字形にしたデザインにすることを了承し,その後,見込みタイプ及び面付タイプともに,ヒンジ部分を「く」の字形にすることを前提にデザイン検討が進められていった。 その後のデザインの検討は,8月6日から9日にかけて大阪に出張で来ていたP5 と原告とで,見込みタイプのランドリーフックの3D図面の作成に取り掛かり,基本 的な骨格は8月6日のうちにほぼ完成した。 また,「く」の字とすることが決まっていた面付タイプの形状の具体的検討も同時に行った。面付タイプの製品は洗濯物干し以外でも活用が想定され,目線より高い位置に設置されるケースが多いと考えられたため,「く」の字形の先端を見込みタイプより伸ばし,見上げた時に一枚板と感じるようデザイン面での工夫を施した。 (2) 溝部分原告は,物干し竿を載せる部分の形態については,存在感のないシンプルなデザインにするため,ペーパーモデルを作成した当時はV字状にすることを考えていたが,V字状にすると,物干し竿が落ちやすいという欠点があったことから,U字状の形態を採用することにした。また,窓枠に設置する見込みタイプの製品に関しては,設置 する高さが腰高になることが想定されたため,小さな子供がぶつかる危険性を考慮し,正面からの衝撃には物干し竿が後方(窓方向)に逃げるよう竿掛け部の後方をスラント形状(斜めの形状)にするような工夫をした。 また,面付タイプの竿掛け部の溝に関しては,見込みタイプとは同じ形状を取れない構成になっていたため,アームの物干し竿を載せる部分をR状に削り,なおかつそ の両端にU字形の突起を設ける構成を採用 また,面付タイプの竿掛け部の溝に関しては,見込みタイプとは同じ形状を取れない構成になっていたため,アームの物干し竿を載せる部分をR状に削り,なおかつそ の両端にU字形の突起を設ける構成を採用したほか,アームを面付で格納した際に出っ張りが目立たないように,その出っ張りの左右に45度のCカット面を設けることによって,畳んだ状態では見えにくくなるようなデザイン処理も施した。 これらのデザイン上の工夫は,P5が大阪出張に来ていた平成25年8月6日から9日の間に,原告が考え,原告が手書きのアイデアスケッチと指示図面を書き,それ をベースにP5が3D図面の作成を行ったものである。 (3) 以上のとおり,ランドリーフックのヒンジ部分のデザイン及び竿掛け部の溝の形状は原告が考案し,原告の指示に基づいて,P5が3D図面を作成したものであるから,原告及びP5が本件意匠2,3の創作者であることは明らかである。 (被告タカラ産業の主張) 本件意匠2,3の原案は,P2作成に係るデザイン案である意匠2,3【図面3】 のdesign-C及びdesign-Dである。 (1) ヒンジ部分の形状平成25年6月中旬以降,被告タカラ産業内では,P3の指示の下,P2の創作に係るデザイン案である意匠2,3【図面3】のdesign-C,design-Dを原案として,ヒンジ部分に圧縮バネのダンパー機構を入れるという前提で,具体的 形状が検討された。 しかし,平成25年8月2日時点でも,被告タカラ産業内では,ヒンジ部分の形状が統一感を持った形で定まらないまま,P5とP4が行き詰まっている状況であった(意匠2,3【図面10】)。 そこで,平成25年8月7日,P5の大阪出張に合わせて,原案(意匠2,3【図 面3】)の作成者・デザイン まらないまま,P5とP4が行き詰まっている状況であった(意匠2,3【図面10】)。 そこで,平成25年8月7日,P5の大阪出張に合わせて,原案(意匠2,3【図 面3】)の作成者・デザインの専門家であるP2を被告タカラ産業へ招き,打合せを行うことになった。 平成25年8月7日の打合せの出席者は,P2,P6,P5及び原告の4名であり,原告は,「決定事項の資料作り」,「会議での発表係」,「連絡役」という役割で出席していたにすぎない。 同日の打合せで,P2が意匠2,3【図面1】のdesign-C(注:「折りパネルイメージ」・「板状面を強調して薄く見せかける」と記載されている。)を採用するという方向性を示したことにより,「く」の字形を採用する方向が決定した。 同日の打合せ以降,ヒンジ部分の形状については,P3が,P2により示された方向性に沿って設計を進めることを決定し,設計担当者であるP5が,強度計算,機構 等を踏まえて具体的形状を検討し,その結果が,平成25年8月22日開催のデザイン戦略会議の報告用資料(意匠2,3【図面11】)で初めて示された。意匠2,3【図面11】の3D図面はP5が作成したもので,原告は,それをパワーポイントに組み込んだにすぎない。 (2) 竿掛け部の形状 P3は,平成25年8月上旬,P5に指示して,スラント形状を採用した株式会社 キョーワナスタが古くから製造販売する競合品(「ANGELHANGER」)の現物を入手させた上で,その強度・機構・形状を確認させ,問題ないことを確認させた上で,本件意匠2の竿掛け部をスラント形状とすることを決定した。 (3) 本件意匠2,3について,原告は創作者ではなく,仮に創作者の1 人であるとしても,その寄与は極めて小さい。原告がヒンジ部 せた上で,本件意匠2の竿掛け部をスラント形状とすることを決定した。 (3) 本件意匠2,3について,原告は創作者ではなく,仮に創作者の1 人であるとしても,その寄与は極めて小さい。原告がヒンジ部分の「く」の字状を発案したもの であることを示す資料は,何ら存在しない。 3 争点(1)-ウ(原告は,本件意匠4の創作者であるか。)(原告の主張)本件意匠4の実施品である被告製品5(品番:KD45)は,被告タカラ産業が,原告の入社前から販売していた見込みタイプのベランダ用物干竿(品番:KC40) をベースに,面付タイプの製品を作ることを目的に開発がスタートした製品である。 既存のKC40と被告製品5の形状の大きな相違点は,①台座部とヒンジキャップの形状,②アームがオフセットタイプ(矩形のアームから竿を通す大角孔を構成する部分が突出して設けられたタイプ)からストレートタイプ(矩形のアーム内に孔が配列されているタイプ)になっていること,③アームの長さが長くなっていること,④ アームの孔の位置・大きさの4点であるが,本件意匠4の創作者を決定する上で重要なのは①と④の点である。 本件意匠4のデザインの最も特徴的な形状は,台座とヒンジキャップの形状であるが,原告は,まず,かかる部分の意匠4【図面4】を手書きで作成し,平成25年8月1日にP5宛に電子メールで送付した。KC40は見込みタイプの製品であったた め,台座部とヒンジキャップが左右非対称になっていたが,KD45は面付タイプであったため,原告は,この部分をどちらから見ても同じ形状になる左右対称のシンメトリ形状にするべきと考え,意匠4【図面4】を作成したものである。 この台座部とヒンジキャップの形状は,その後,寸法等の変更はあったが,ほぼ形状の変更がないまま最終製品の形 状になる左右対称のシンメトリ形状にするべきと考え,意匠4【図面4】を作成したものである。 この台座部とヒンジキャップの形状は,その後,寸法等の変更はあったが,ほぼ形状の変更がないまま最終製品の形態になっている。 アームのデザインに関しても,原告が出したデザイン案をもとに,P5が3D図面 を作成するという役割分担で設計が進められたが,原告は,まず,竿を通す両端の孔の位置を確定させることが不可欠であると考え,意匠4【図面5】をパワーポイントで作成し,当該図面を平成25年8月1日にP5に送付した。 原告は,この意匠4【図面5】で,アームの基点から一つ目の孔の中心部までの長さを125ミリとし,一つ目の孔から,端の孔までの長さを300ミリとすることを 提案しているが,この寸法は両端の孔に2本の竿を入れて使用した際にハンガー同士がぶつからないようにするための寸法であり,最終製品でもこの寸法が採用されている。 孔のデザインについて,原告は,P7営業部長との協議を行い,最終的に,大角孔を三つ設けて,その間に小角孔を二つずつ設ける構成を採用するのが最も望ましいと 考え,パワーポイントで意匠4【図面14】の折衷案の図面を作成した。 平成25年8月23日に原告からP5宛に送付した電子メールには,意匠4【図面14】が添付されているが,この資料に掲載の折衷案の図面が,この時に原告が作成した図面である。KD45のアームの設計は,その後,この図面をもとに進められ,本件意匠4でもこれと同様の孔の構成が採用されている。 以上のとおり,本件意匠4の台座とヒンジキャップ部分の形態,及び,アームの部分の形態は原告が考案し,原告の指示に基づいて,P5が3D図面を作成したものであるから,原告及びP5が本件意匠4の創作者であることは明らか 本件意匠4の台座とヒンジキャップ部分の形態,及び,アームの部分の形態は原告が考案し,原告の指示に基づいて,P5が3D図面を作成したものであるから,原告及びP5が本件意匠4の創作者であることは明らかである。 (被告タカラ産業の主張)(1) 原案 P3は,P2に対して,物干し金物のデザインの検討を依頼して,平成24年3月23日,デザイン案(意匠4【図面0-1】)を受領した。このうち「A-01:スクエア(square)」・「A-02:スクエア(square)」が,被告製品5を含む被告タカラ産業のスクエアシリーズの元となったものである。 P4は,P3の指示の下,上記デザイン案の「A-01:スクエア(square)」を原 案として,「A-02:スクエア(square)」の台座形状を参考に,意匠4【図面0- 2】を作成した。 意匠4【図面0-2】は,平成24年9月27日に出願され,平成25年3月15日に意匠登録された。 平成25年3月以降,P3は,P4に指示して,意匠4【図面0-1】,意匠4【図面0-2】を原案として,見込みタイプではなく面付タイプで,ストレートアームと オフセットタイプでの具体的検討を行った(意匠4【図面0-3】,意匠4【図面2】)。 当該検討は,意匠4【図面0-2】のように特定の顧客向けの物ではなく,より汎用性の高いものを検討しておこうというものであった。 (2) アームの孔数等平成25年7月末頃,被告タカラ産業において,営業部から開発部に対して,見込 みタイプであるKC40(甲26)のオフセットタイプのアームを転用して,面付タイプの製品を開発して欲しいという要望があった。 これに対して,P3は,面付タイプにするのであればストレートアームでよく,面付タイプでストレートアームであれば セットタイプのアームを転用して,面付タイプの製品を開発して欲しいという要望があった。 これに対して,P3は,面付タイプにするのであればストレートアームでよく,面付タイプでストレートアームであればアームの長さを400ミリから450ミリに延ばして大角孔を二つから増やすことができると考え,これを三つにすることを考え た。 このような考えは,P3とP4が既に検討済みの意匠4【図面0-1】,意匠4【図面0-2】,意匠4【図面0-3】,意匠4【図面2】の流れに沿うものであった。 開発責任者であるP3は,被告製品5(本件意匠4)の形状に関して,平成25年8月22日のデザイン戦略会議で,①営業部の要望通り面付タイプにすること,②営 業部要望のオフセットタイプ(KC40)ではなく,P3とP4が従前検討済みのストレートアームとすること,③その上で大角孔を三つ設けられる長さにして,その間に小角孔を一列に等間隔で配置することを決定した。 同日の決定以降,P5は,被告製品5の設計担当者として,原案の作成者・デザインの専門家であるP2の助言を受けながら,強度計算,機構等を踏まえて,被告製品 5の具体的形状の検討を重ねた。 (3) 台座の形状本件意匠4の台座形状について,原告は平成25年8月1日に手書きで図面(意匠4【図面4】)を作成したが,P4が作成済みの意匠4【図面0-3】,意匠4【図面2】,意匠4【図面3】からほぼ変更されていなかった。 見込みタイプ(KC40等)から面付タイプ(本件意匠4)にすることに伴って, 本件意匠4の台座形状を対称(シンメトリ)にするか否かは,容易に想起されるアイデアにすぎない上に,そもそも,本件意匠4の台座は,アームと異なり,可動せずに手すりに固定される箇所で,全体に占める割合が小さいなど, 台座形状を対称(シンメトリ)にするか否かは,容易に想起されるアイデアにすぎない上に,そもそも,本件意匠4の台座は,アームと異なり,可動せずに手すりに固定される箇所で,全体に占める割合が小さいなど,ユーザーの目を引く部分ではない。 (4) 以上のとおりであり,本件意匠4について,原告は創作者ではなく,仮に創作 者の1 人であるとしても,その寄与は極めて小さい。 4 争点(1)-エ(相当の対価額)(原告の主張)(1) 本件意匠1に係る相当の対価本件意匠1の実施品である被告製品1及び2の本件意匠権1の存続期間が満了す る平成46年8月1日までの推定売上額は20億円を下らない。 被告タカラ産業の主張に基づき平成26年12月24日から平成29年5月20日までの約2年5か月間の被告製品1及び2の売上総額が●(省略)●であるとするなら,本件意匠1の存続期間が満了する平成46年8月1日までの期間のこれらの製品の推定売上額は●(省略)●を下らない。 被告タカラ産業が本件意匠1の意匠権を保有していることによる超過売上げの割合は,50%を下回るものではなく,仮に第三者に実施許諾をする場合の仮想実施料率は,5%を下回るものではない。また,被告製品1及び2の売上げに関する使用者の貢献度が50%を超えることはあり得ず,共同創作者間の寄与率は,原告が80%,P4が20%とするのが相当である。 以上によると,本件意匠1に係る相当の対価の額は,推定売上額を20億円とした 場合には2000万円を下らず,売上額についての被告タカラ産業の主張を前提としても●(省略)●を下回らない。 (計算式) 20億円×50%×5%×50%×80% =2000万円●(省略)●×50%×5%×50%×80% =●(省略)●(2) ラ産業の主張を前提としても●(省略)●を下回らない。 (計算式) 20億円×50%×5%×50%×80% =2000万円●(省略)●×50%×5%×50%×80% =●(省略)●(2) 本件意匠2に係る相当の対価 本件意匠2の実施品である被告製品3の本件意匠権2の存続期間が満了する平成46年8月1日までの推定売上額は10億円を下らない。 被告タカラ産業の主張に基づき平成26年7月22日から平成29年5月20日までの約2年10か月間の被告製品3の売上総額は●(省略)●であるとしても,本件意匠2の存続期間が満了する平成46年8月1日までの期間の被告製品3の推定 売上額は●(省略)●を下らない。 被告タカラ産業が本件意匠2の意匠権を保有していることによる超過売上げの割合は,50%を下回るものではなく,仮に第三者に実施許諾をする場合の仮想実施料率は,5%を下回るものではない。また,被告製品3の売上げに関する使用者の貢献度が50%を超えることはあり得ず,共同創作者間の寄与率は,原告が80%,P5 が20%とするのが相当である。 以上によると,本件意匠2に係る相当の対価の額は,推定売上額を10億円とした場合は1000万円を下らず,売上額についての被告タカラ産業の主張を前提としても●(省略)●を下回らない。 (計算式) 10億円×50%×5%×50%×80% =1000万円 ●(省略)●×50%×5%×50%×80% =●(省略)●(3) 本件意匠3に係る相当の対価本件意匠3の実施品である被告製品4の本件意匠権3の存続期間が満了する平成46年8月1日までの推定売上額は10億円を下らない。 被告タカラ産業の主張に基づき平成26年7月22日から平成29年5月20日 までの約2年10か月間の被告製品 権3の存続期間が満了する平成46年8月1日までの推定売上額は10億円を下らない。 被告タカラ産業の主張に基づき平成26年7月22日から平成29年5月20日 までの約2年10か月間の被告製品4の売上総額は●(省略)●であるとしても,本 件意匠3の存続期間が満了する平成46年8月1日までの期間の被告製品4の推定売上額は●(省略)●を下らない。 被告タカラ産業が本件意匠3の意匠権を保有していることによる超過売上げの割合は,50%を下回るものではなく,仮に第三者に実施許諾をする場合の仮想実施料率は,5%を下回るものではない。また,被告製品4の売上げに関する使用者の貢献 度が50%を超えることはあり得ず,共同創作者間の寄与率は,原告が80%,P5が20%とするのが相当である。 以上によると,本件意匠3に係る相当の対価の額は,推定売上額を10億円とした場合は1000万円を下らず,売上額についての被告タカラ産業の主張を前提としても●(省略)●を下回らない。 (計算式) 10億円×50%×5%×50%×80% =1000万円●(省略)●×50%×5%×50%×80% = ●(省略)●(4) 本件意匠4に係る相当の対価本件意匠4の実施品である被告製品5の本件意匠権4の存続期間が満了する平成46年8月1日までの推定売上額は10億円を下らない。 被告タカラ産業の主張に基づき平成26年5月20日から平成29年5月20日までの3年間の被告製品5の売上総額は●(省略)●であるとしても,本件意匠4の存続期間が満了する平成46年8月1日までの約20年間の被告製品4の推定売上額は●(省略)●を下らない。 被告タカラ産業が本件意匠4の意匠権を保有していることによる超過売上げの割 合は,50%を下回るものではなく,仮 年8月1日までの約20年間の被告製品4の推定売上額は●(省略)●を下らない。 被告タカラ産業が本件意匠4の意匠権を保有していることによる超過売上げの割 合は,50%を下回るものではなく,仮に第三者に実施許諾をする場合の仮想実施料率は,5%を下回るものではない。また,被告製品4の売上げに関する使用者の貢献度が50%を超えることはあり得ず,共同創作者間の寄与率は,原告が80%,P5が20%とするのが相当である。 以上によると,本件意匠4に係る相当の対価の額は,推定売上額を10億円とした 場合は1000万円を下らず,売上額についての被告タカラ産業の主張を前提として も●(省略)●を下回らない。 (計算式) 10億円×50%×5%×50%×80% =1000万円●(省略)●×50%×5%×50%×80% = ●(省略)●(被告タカラ産業の主張)原告主張の相当の対価額は争う。 原告は,本件意匠1ないし4に係る創作者ではないため,対価請求権を有する者ではない。また,以下のとおり,本件意匠1ないし4に係る超過売上高,仮想実施料率,使用者貢献度等に照らして,原告の主張に係る対価額は明らかに過大である。 (1) 被告製品の売上額ア被告製品1及び2の平成26年12月24日から平成29年5月20日まで の間の売上総額は●(省略)●である。 イ被告製品3の平成26年7月22日から平成29年5月20日まで間の売上総額は●(省略)●である。 ウ被告製品4の平成26年7月22日から平成29年5月20日までの間の売上総額は●(省略)●である。 エ被告製品5の平成26年5月20日から平成29年5月20日までの間の売上総額は●(省略)●である。 (2) 超過売上高被告製品1ないし5については, 上総額は●(省略)●である。 エ被告製品5の平成26年5月20日から平成29年5月20日までの間の売上総額は●(省略)●である。 (2) 超過売上高被告製品1ないし5については,市場に有力な異なる意匠の競合品が存在しており,市場占有率が低い。 被告タカラ産業は,本件意匠1ないし4について実施許諾を求められたことはなく,現に競業他社に実施許諾をしたこともない。このことは,本件意匠1ないし4の優位性が低く,競業他社に対して排他的効果を有するものではなかったことを示すものである。 本件意匠1ないし4は,昇降式室内物干し器及び物干し竿支持具に関して,実用目 的ないし産業上の利用目的という制約の下で創作されたもので,競合品等と比べても, 何ら独創的なものではない。 競業他社においては,昇降式室内物干し器及び物干し竿支持具の開発に際して,本件意匠1ないし4と異なる美感を起こさせる非類似の意匠(意匠法24条2項)を容易に創作することができる。 したがって,競業他社は,本件意匠1ないし4の実施を容易に回避可能であり,本 件意匠権1ないし4の排他的効果は小さい。 また,被告タカラ産業は,本件意匠権1ないし4の承継がなくても,著作権法又は不正競争防止法上の保護も受け得るものである。 以上のとおり,本件意匠権1ないし4が有する排他的効果及び価値は小さく,独占の利益の発生を観念することが困難であるため,超過売上高はほとんどないというべ きである。 (3) 仮想実施料率前記に照らせば,本件意匠1ないし4の各仮想実施料率は,1%を上回ることはないというべきである。 (4) 使用者貢献度 本件意匠1ないし4は,P3又は営業部が市場の動向等を踏まえて発案した上で,P3が,被告タカラ産業内で蓄積 仮想実施料率は,1%を上回ることはないというべきである。 (4) 使用者貢献度 本件意匠1ないし4は,P3又は営業部が市場の動向等を踏まえて発案した上で,P3が,被告タカラ産業内で蓄積されている知識・経験を活用して,意匠に関する指示及び課題の提出を適宜行い,被告タカラ産業が費用を負担してデザインの専門家であるP2に依頼し,被告タカラ産業の設備を利用して創作されたものである。 原告は,被告タカラ産業と顧問契約を締結する特許事務所から助言を受けたり,被 告タカラ産業の従業員であるP4又はP5の作成に係る図面を利用したりして意匠登録出願を実現できたものであり,意匠登録出願に係る費用は,すべて被告タカラ産業が負担したものである。 また,本件意匠1ないし4の実施品である被告製品1ないし5の製造販売は,被告タカラ産業が多額の費用を投じたことにより実現したものである。 以上のとおりであるから,本件意匠1ないし4に係る使用者貢献度は高く,99% を下回ることはないというべきである。 (5) 共同創作者間の寄与割合原告を本件意匠1ないし4の創作者と仮定しても,創作経過に照らせば,その寄与割合は極めて小さい。 5 争点(2)(被告らが,被告製品1及び3につき,原告がグッドデザイン賞のデ ザイナーと表示されないようにしたことによる不法行為の成否)(原告の主張)ア被告タカラ産業は,本件意匠1の実施品である被告製品1,本件意匠2の実施品である被告製品3を対象として,それぞれにつき2014年度グッドデザイン賞を受賞しているが,同被告は,本件意匠1,2の意匠登録出願を行った段階では,その 創作者を原告であると認めていたにもかかわらず,その実施品である被告製品1及び3をグッドデザイン賞に応募する際に,創作 しているが,同被告は,本件意匠1,2の意匠登録出願を行った段階では,その 創作者を原告であると認めていたにもかかわらず,その実施品である被告製品1及び3をグッドデザイン賞に応募する際に,創作者をP2であると偽り,その創作者として原告の氏名が表示される機会を意図的に奪ったものである。 また,被告エフシーデザインの代表取締役であるP2は,被告タカラ産業がグッドデザイン賞の応募の際に記入することが必要な「デザインコンセプト」,「創意工夫」, 「デザイナーの想い」等の項目の記入に協力した上,「デザイナー」の項目に原告ではなくP2の氏名が表示されることを了承しているから,被告エフシーデザインも,その創作者として原告の氏名が表示される機会を奪ったものである。 グッドデザイン賞は,歴史があり周知性及び市場価値の高い賞であって,デザイナーにとっては非常に名誉ある賞であるから,グッドデザイン賞において創作者として 氏名が表示される利益は,法律上保護に値する利益である。両被告は,故意少なくとも過失による上記行為により原告のこの法律上保護に値する利益を侵害したものであるから,両被告は,これにより原告に生じた損害につき,共同不法行為責任を負うべきである。 イ被告らの上記共同不法行為により原告が被った精神的損害に対する慰謝料と しては各グッドデザイン賞の不法行為それぞれにつき250万円が相当であり,また, 被告らの行為と相当因果関係ある弁護士費用相当額は各25万円が相当であることから,被告らは,合計550万円の損害を連帯して賠償すべきである。 ウその他,被告製品1及び3のデザイン制作の経過に関する主張は,争点(1)-ア,争点(1)-イの各(原告の主張)で主張したとおりである。 (被告らの主張) ア原告は,本 べきである。 ウその他,被告製品1及び3のデザイン制作の経過に関する主張は,争点(1)-ア,争点(1)-イの各(原告の主張)で主張したとおりである。 (被告らの主張) ア原告は,本件意匠1及び同2の創作者ではないから,グッドデザイン賞のデザイナーとして表示されるべき立場にはない。被告製品1には,本件意匠1に含まれない操作棒が附属しているが,操作棒の形状は,グッドデザイン賞において審査員によって評価されたわけではないから,この点で原告が被告製品1についてグッドデザイン賞のデザイナーと表示されるべきものではない。 また被告タカラ産業は,平成26年6月,本件意匠1及び同2の主たる創作者がP2であるとの認識で2014年度グッドデザイン賞に応募したにすぎず,あえて原告を「デザイナー」から外したものではないから,権利侵害の故意がない。 そもそも,グッドデザイン賞はその審査の基準・内容が曖昧で,被告製品1及び3の売上げも低迷していること,グッドデザイン賞の受賞対象に関して特定の個人が 「デザイナー」として表示されるか否かは不確定であること,原告は既に本件意匠1及び同2の各意匠公報に創作者として表示されていることなどに照らせば,原告が主張する「グッドデザイン賞を受賞した製品の創作者として氏名を表示される利益」は,法律上保護に値する利益ではない。 また,被告エフシーデザインはグッドデザイン賞に応募しておらず,同賞の受賞企 業でもないから,同社に対する不法行為責任の追及は失当である。 イその他,被告製品1及び3のデザイン制作の経過に関する主張は,争点(1)-ア,争点(1)-イの各(被告タカラ産業の主張)で主張したとおりである。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告タカラ産業に対する職務意匠の対価請求の成否 作の経過に関する主張は,争点(1)-ア,争点(1)-イの各(被告タカラ産業の主張)で主張したとおりである。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告タカラ産業に対する職務意匠の対価請求の成否)について 原告は,被告タカラ産業に対し,本件意匠権として登録された本件意匠は,他の共 同創作者の存在を前提にしながら,いずれも原告が主体となって創作したものであって職務意匠に該当するとして,同被告に対して対価請求をしている。 まず職務意匠といえるためには,従業者が創作した意匠であって,その性質上使用者の業務範囲に属する意匠であり,かつ意匠の創作をするに至った行為が従業者の職務に属する意匠でなければならず,そして,これにより使用者に対して対価請求が認 められるためには,職務意匠について意匠登録を受ける権利を使用者に取得等させることが必要である。 本件では,原告は,被告タカラ産業の従業員として原告の業務範囲に属するものとして製品開発のため本件意匠を創作したと主張しているのであり,また被告タカラ産業の意匠登録出願の担当者として自らを創作者に加えて意匠登録出願をしているか ら,原告が本件意匠の創作者であって意匠登録を受ける権利を取得していると認められるのなら,その権利を被告タカラ産業に取得させたものとして,その対価請求には理由があることになる。 そこで,原告が本件意匠の創作者であって,意匠登録を受ける権利を取得していたものか検討するに,本件意匠は,いずれもP2作成に係るデザイン案あるいは先行す る製品等を原案として,原告のほか被告タカラ産業の複数の従業員が関与してデザイン案の検討を重ねて完成するに至った経緯にあり,原告自身,他の共同創作者の存在も前提にしている。 そうすると,このような共同創作に係る意匠において のほか被告タカラ産業の複数の従業員が関与してデザイン案の検討を重ねて完成するに至った経緯にあり,原告自身,他の共同創作者の存在も前提にしている。 そうすると,このような共同創作に係る意匠において共同創作者のうちの1 人といえるためには,その創作過程において,単にアイデアを提供したのではなく,補助者, 助言者にとどまらない立場で創作に現実に加担したことが認められる必要がある。そして,ここにいう創作とは,意匠登録を受ける権利を共有させる根拠となる以上,その内容,程度が,当該意匠を登録意匠足り得ることに寄与するものでなければならず,当該物品の部分の意匠の改変にとどまっていて物品全体から起こされる美感に影響を及ぼさない程度の意匠の創作に関与しただけであったり,また誰でも容易に創作で きるようなありふれたデザインの修正を提案したりしたというだけでは,登録意匠と なった当該意匠の創作をしたというに足りないというべきである。また製品化のための設計段階で本件意匠のデザインに影響を与える形状の改変を施したとしても,その改変が既提案のデザインを製品化するための強度確保や機構組込みのための技術的観点から不可避的にされたものであるなら,それをもって意匠の創作があったとはいえないから,やはり,その改変を伴う設計をした者は本件意匠の共同創作者とはいえ ないというべきである。 なお,本件意匠の創作過程は,各関係別紙のとおり,その完成に至るまでにデザインの修正案等が多数,検討対象となっているが,提案されたデザインの修正案が完成した本件意匠の構成に残されていないのなら,そのデザイン案を提案した者は創作に加担したとはいえないことはいうまでもない。 2 争点(1)-ア(原告は,本件意匠1の創作者であるか。)について(1) 本件意匠 残されていないのなら,そのデザイン案を提案した者は創作に加担したとはいえないことはいうまでもない。 2 争点(1)-ア(原告は,本件意匠1の創作者であるか。)について(1) 本件意匠1の創作過程本件意匠1の創作過程について,当事者間に争いのない事実及び各項末尾の証拠により認められる事実は次のとおりである。 ア被告タカラ産業は,原告が入社する以前に昇降式室内物干し器の製品開発を開 始し,被告エフシーデザインに,そのデザイン案の作成を依頼していた。 イ平成25年4月23日,被告エフシーデザインは,P2が作成した昇降式室内物干しのデザイン案として意匠1【図面1】の4案を被告タカラ産業に対して提出した(乙12の2)。提出された4案のうち,design-Dの本体の基本形状が,本件意匠1のそれに最も似ているが,そのデザインでは,物干し竿が通常の断面円型で あるため,格納時に物干し竿の断面半分が本体表面から突出しており,他の3案のデザイン案も同様である。なお,design-Dには,「本体も薄く見せる」というコンセプトが明記されていた。 ウ同月下旬頃,P3は,設計担当者であるP4に対し,断面円型の物干し竿を断面半円型にした場合に強度に問題がないかを確認するよう指示し,その後,P4から, 問題ないとの報告を受けていた(証人P3,証人P4,乙10の2)。 エ同年5月2日,被告タカラ産業において,同被告従業員59名を対象として,意匠1【図面1】の4案についてアンケートを実施したところ,そのうちのdesign-Aが最も支持され(20票),次いでdesign-D(18票)が支持される結果となった(乙17)。 オ同月7日,原告,P3,P6及びP2によってデザイン検討会が行われ,P3 は esign-Aが最も支持され(20票),次いでdesign-D(18票)が支持される結果となった(乙17)。 オ同月7日,原告,P3,P6及びP2によってデザイン検討会が行われ,P3 はP2に対し,意匠1【図面1】のdesign-Aと同Dをベースにデザインの再検討を行い,修正案を提出するよう要請した(証人P3,被告エフシーデザイン代表者)。 なお,同日の原告の業務日報には,「FCデザインとの「室内昇降物干し」の打合せに参加,2方向のデザインテイストの違いを依頼した。アイデア検討作業の効率も考 え,もう少しターゲットを絞り込んだ説明が必要であったと反省する。」との記載がある(乙10の3)。 カ同月17日,上記オを受けて,被告エフシーデザインは,P3に対し,P2作成に係るデザイン案を5案(design-AないしE,意匠1【図面2】)提出した(乙12の3)。提出されたデザイン案(意匠1【図面2】)のうち,design- Aと同Bが意匠1【図面1】のdesign-Aの改良版であり,意匠1【図面2】のdesign-Eが意匠1【図面1】のdesign-Dの改良版である。意匠1【図面2】のdesign-A,B及びDは,物干し竿の断面を半円型として,いずれも物干し竿を本体に格納したときに,本体の表面がフラット形状(竿フラット形状)となるようにされていた(なお,意匠1【図面2】では省略されているが,実際に提 出されたdesign-A,B及びDのデザイン画には,「物干し竿部分が半円型で格納時に本体にスッキリ収まる」との説明記載がある。)。他方,design-Eは,物干し竿が断面円型であるため,本体の格納時において,その半分くらいが本体表面から突出した態様であった(なお,物干し竿の端部は半球状に処理されている。)。 キ同月 。)。他方,design-Eは,物干し竿が断面円型であるため,本体の格納時において,その半分くらいが本体表面から突出した態様であった(なお,物干し竿の端部は半球状に処理されている。)。 キ同月22日,原告,P2及びP3が参加したデザイン戦略会議の結果,意匠1 【図面2】のdesign-Dと,上記オの再検討指示の結果提出された意匠1【図 面1】のdesign-Dを竿フラット形状に改変したものをベースにして,原告がペーパーモデルを作成し,実物大の使用状態を確認した上で,デザインを最終決定することになった(証人P3,原告本人)。 ク同日のデザイン戦略会議終了後,P2は,P3の要請に従って,原告がペーパーモデルを作成するための資料とするため,意匠1【図面1】のdesign-Dと 意匠1【図面2】のdesign-DのCADデータ(意匠1【図面3】)をメールで送付した(乙10の3)。 ケ同月23日及び24日,原告は,ペーパーモデルとして,意匠1【図面1】のdesign-Dの竿を断面半円型としたペーパーモデルA案と意匠1【図面2】のdesign-Dに基づくペーパーモデルB案を作成した(意匠1【図面4】)。 ペーパーモデルB案は,意匠1【図面2】のdesign-DのCADデータに基づいて作成したが,ペーパーモデルA案は,意匠1【図面1】のdesign-DのCADデータでは物干し竿が,断面半円型になっていなかったことから,原告は,本体の表面がフラットになるよう修正した手書きの図面を作成し,これにより作成した(原告本人)。 コ同月25日頃,原告は,女性従業員4名に対し,個人的に,ペーパーモデルA案,同B案いずれのデザインがよいかを尋ねたところ,その全員がペーパーモデルA案を選択した(乙10の3,原告本人)。 コ同月25日頃,原告は,女性従業員4名に対し,個人的に,ペーパーモデルA案,同B案いずれのデザインがよいかを尋ねたところ,その全員がペーパーモデルA案を選択した(乙10の3,原告本人)。 サ同月27日,P6は,ペーパーモデルA案に沿った図面(意匠1【図面5】)を作成し,同図面をメール添付してP2及びP4に送付した。なお,同図面では,ペー パーモデルA案とは異なり,原告の発案で本体の側面がチーズカットとされていた(乙12の6,証人P6,原告本人)。 そして同日,原告は,P4及びP2に対して,「標記の件ですが5/25(土)にP3部長と検討を行い,添付資料A案で開発を進める事としました。添付資料を確認頂き,具体設計とデザインの詰めをお願い致します。」などと記載したメールを送付し, 添付資料としてペーパーモデルA案の画像を含む意匠1【図面6】を添付した。なお, 同日の原告の業務日報にも,デザイン案の大枠が決定されたことをうかがわせる「・室内昇降物干しデザイン案の,設計およびデザイン検討資料を作成し,FCデザインと富山設計課へ検討を依頼した。・機構部の設計は始まったばかりで,形状の見直しはこれから多く発生すると思われるが,充分に検討を重ね製品完成度をあげて行きたい。」と記載されていた(乙10の3,乙12の7)。 シその後,意匠1【図面6】の基本デザインと検討項目を前提に,本体部分とこれと一体になる操作棒のデザインの細部の検討が重ねられ,本体部分については,同年6月27日頃,意匠1【図面14】が決定され,被告製品1及び2のデザインとしてほぼ完成し(乙12の20),その後,操作棒のデザイン等につき検討が重ねられた。なお,その過程において,原告が提案し,検討対象とされていた本体の側面をチ ーズカット 品1及び2のデザインとしてほぼ完成し(乙12の20),その後,操作棒のデザイン等につき検討が重ねられた。なお,その過程において,原告が提案し,検討対象とされていた本体の側面をチ ーズカットとするデザイン(意匠1【図面5】,【図面6】)は,結局,採用されなかった。 ス被告タカラ産業は,原告が担当して,平成26年1月31日,被告製品1及び2の操作棒を除いた本体部分の意匠(本件意匠1)を対象とする意匠登録出願をした。 (2) 検討 ア被告製品1及び2は,P2作成に係るデザイン案である意匠1【図面1】を出発点としてデザインの検討がなされたものであり,そのうちdesign-Dに現れた形態の特徴が本件意匠1に明らかに看取できるから,このデザインが本件意匠1の原案となったということができる。 原告は,以上を前提に,本件意匠1の創作者を決めるに当たって重要なのは,竿フ ラット形状が誰の発案によるものかと,本体部の形状をデザインしたのが誰かとの点である旨主張する。 確かに原案となった意匠1【図面1】のdesign-Dと本件意匠1を対比すると,同design-Dでは,断面円型の物干し竿が用いられているため,本体に物干し竿を格納したとしても,その円の半分が本体部分から突出しているのに対し,本 件意匠1では断面半円型の物干し竿を採用しているため,物干し竿を本体に格納した とき,本体の正面がフラットとなっている点に需要者の異なる美感を起こさせる顕著な特徴が存し,また,当初のデザイン案がすべて一般的な円柱の竿を前提としていたものであることからすると,この形態の特徴は,本件意匠1を登録意匠足り得るものとした創作容易でない形態であるということができる。 なお,それ以外では,design-Dでは本体の表面が継ぎ目のない一体 ものであることからすると,この形態の特徴は,本件意匠1を登録意匠足り得るものとした創作容易でない形態であるということができる。 なお,それ以外では,design-Dでは本体の表面が継ぎ目のない一体構造に 見えるが,本件意匠1では同部分に継ぎ目があって3分割構造に見える点に差異点を見出すことができるが,この点で需要者の美感に影響を与えるものとは考えられず,そのほかに,需要者に対して異なる美感を起こさせるものは認められない。 したがって,原告が本件意匠1の創作過程において創作に現実に加担したといえるか否かは,原告が主張する点,すなわちdesign-Dで採用されていた断面円の 物干し竿を断面半円型とすることにより,物干し竿格納時に本体の表面をフラット形状としたというデザインの改変につき,原告が現実に加担したか否かにより決せられるべきである。 イこの点に関し,原告は,物干し竿格納時に竿フラット形状にするデザインの創作をしたのは原告であると主張し,まず平成25年5月7日のデザイン検討会におい て,P2に対し,物干し竿を半円型にして本体からの突出をなくし,本体の厚みを薄く見せる方向でデザインを再検討してもらうよう依頼し,さらに同月22日にP2も交えたデザイン戦略会議において意匠1【図面2】のdesign-Dと意匠1【図面1】のdesign-Dを竿フラット形状に変更したものの2案をベースにしてペーパーモデルを作成し,デザインを最終決定することになったが,その際,意匠1【図 面1】のdesign-Dを竿フラット形状に変更する提案を原告がしたもののように主張する。 そして,原告は,竿の下面をフラットにするアイデアについて上記平成25年5月7日のデザイン検討会で原告が初めて提案したように供述しているが,被告タカラ産業では,物干 がしたもののように主張する。 そして,原告は,竿の下面をフラットにするアイデアについて上記平成25年5月7日のデザイン検討会で原告が初めて提案したように供述しているが,被告タカラ産業では,物干し竿を断面半円型にして竿フラット形状とすることは,同年4月末に, P3の指示で物干し竿を断面半円型とした場合の強度上の問題の検討がされたこと (上記(1)ウ)に明らかなように,原告が供述する同年5月7日以前に検討が開始されていたと認められるから,原告の上記供述部分は信用し難い。 また,意匠1【図面1】のdesign-Dを竿フラット形状にするデザイン案が具体的になされた同月22日のデザイン戦略会議については,原告は,その会議で同デザインのペーパーモデルが検討対象として作成されることが決定された旨供述す るものの,原告の発言内容としては,「できるだけインテリアの中で存在をなくす方向でいくべきだと主張した」というデザインの方向性についてアイデアを提示したことを供述するにとどまり,そのアイデアを意匠1【図面1】のdesign-Dに応用して意匠として完成させるという具体的提案をしたとまで供述しているわけではなく,結局,原告の供述するデザインの方向性を具体化する中での原告の関与の程度 は曖昧である。 なお,原告は,確かに,本件意匠1にほぼその形状が引き継がれている意匠1【図面1】のdesign-Dを竿フラット形状にしたペーパーモデルA案を作成し,その前提として,そのペーパーモデルを作成するために手書きで意匠1【図面1】のdesign-Dの物干し竿格納時の本体表面をフラット形状とした図面を作成した ことも認められるけれども,上記(1)キのとおり,それは上記デザイン戦略会議の決定を受けて作成したものにすぎず,P2作成の3Dデー の物干し竿格納時の本体表面をフラット形状とした図面を作成した ことも認められるけれども,上記(1)キのとおり,それは上記デザイン戦略会議の決定を受けて作成したものにすぎず,P2作成の3Dデータのそれと寸法が少し異なっていたとしても,その図面作成,あるいはその図面に基づくペーパーモデルの作成自体で何らかの創作をしたといえるわけではない(なお同データでは,ペーパーモデルB案用のデータがもともと竿フラット形状であるのに対し,ペーパーモデルA案用の データがそうでないというだけであって,決定事項に従い,後者の突出した半円を平面化することは明らかに容易である。)。 そして,ペーパーモデルA案作成後にP1の指示によりP6によって作成された意匠1【図面5】のCAD図面に,「P1案」との記載があるが,これは同図面には,本体の端面にP1の発案に係るチーズカットの処理がされ,また天井取付部も原告提案 のデザインとされていることから記載されたことがうかがえ,これから被告タカラ産 業社内において,意匠1【図面1】のdesign-Dを竿フラット形状にするデザインが原告創作に係るデザインであると認識されていたことを推認させるものとはいえない。 そうすると,本件意匠1は,意匠1【図面1】のdesign-Dを竿フラット形状にすることを基本として最終的に意匠が完成したものと認められるが,それがP2 作成に係る意匠1【図面1】のdesign-Dに,被告タカラ産業において既に検討を始めていた竿を断面半円型にして薄く見せようというデザインのアイデアとを融合させたにすぎないことは明らかであって,その過程で原告が何らかの具体的提案をして創作に現実に加担したことを認めるに足りる証拠はないものといわなければならない。 ウそのほか,原告は を融合させたにすぎないことは明らかであって,その過程で原告が何らかの具体的提案をして創作に現実に加担したことを認めるに足りる証拠はないものといわなければならない。 ウそのほか,原告は,本件意匠1の創作に関し,その細部における意匠創作の関与を主張するが,それらは,本件意匠1を登録意匠足らしめるような内容の創作とはいえないから,原告が,本件意匠1の創作に現実に加担した事実を認めることができず,結局,原告は,本件意匠1の創作者の1人であると認めることはできないというべきである。 3 争点(1)-イ(原告は,本件意匠2,3の創作者であるか。)について(1) 本件意匠2,3の創作過程本件意匠2,3の創作過程について,当事者間に争いのない事実及び各項末記載の証拠により認められる事実は次のとおりである。 ア被告タカラ産業は,原告が被告タカラ産業に入社する以前に物干し竿支持具 (ランドリーフック)の開発を開始し,被告エフシーデザインに対してデザイン案の作成を依頼した。 イ平成25年4月15日,被告エフシーデザインは,P2が作成したランドリーフックのデザイン案として意匠2,3【図面1】の7案を被告タカラ産業に提出した(乙2の1)。これらのランドリーフックは,いずれも面付タイプ(基体を壁面に取り 付け,アームが基体に対して垂直方向で展開するタイプ)のものであり,ヒンジ部分 は単純な構造とされ,ヒンジ部分を起点に転回するアームをひもで支えるものであった。 ウ同年6月4日,原告は,P3,P5及びP6ほか被告タカラ産業のランドリーフック開発の関係者に対し,ランドリーフックのアイデアとして,意匠2,3【図面2】を提出した。これらの図面ではランドリーフックの動きのアイデアが分かるもの の,ヒンジ部分の カラ産業のランドリーフック開発の関係者に対し,ランドリーフックのアイデアとして,意匠2,3【図面2】を提出した。これらの図面ではランドリーフックの動きのアイデアが分かるもの の,ヒンジ部分の構造をどのようにするか不明なものであった(乙13の14)。 エ同月6日,被告エフシーデザインは,P2が作成したデザイン案として意匠2,3【図面3】の4案を提出した(乙2の2)。これらはいずれも,ヒンジ部分から展開するアームをひもで支えるというものであったが,いずれも,その当時,並行して開発が進められていた被告製品1及び2と同様に本体が薄く直線基調のシンプルな形 状とされ,アーム格納時及び使用時のいずれにおいても面付タイプと見込みタイプが統一された雰囲気となるようデザインに配慮がされていた(design-Aと同B,design-Cと同Dの組み合わせ。)。 オ同月20日,原告は,検討資料として意匠2,3【図面5】を提出したが,これでは,並行して開発中の昇降式室内物干し器と統一感を出すために,P2作成に係 る同【図面3】のアームを格納した状態の3D図面を付し,またヒンジ部分にダンパーを採用すること,面付タイプのアームの竿掛け部を可倒式のものとするアイデアが示されていた(乙13の20)。 カ同月24日,原告は,再びランドリーフックのアイデアとして,意匠2,3【図面6】のデザイン案を提出した(乙13の21)。同図面のうち,面付タイプのものは, ヒンジ部分を折り畳みヒンジで支えるアイデアが示され,見込みタイプのものについては,ひも等でアームを支える構造ではなく,ヒンジ部分に内蔵する機構で支えようとするものであるが,そこではヒンジ部分に内蔵する機構をヒンジ部分のみ膨らませて納める提案がされ,図面ではヒンジ部分から半球が丸く突出 でアームを支える構造ではなく,ヒンジ部分に内蔵する機構で支えようとするものであるが,そこではヒンジ部分に内蔵する機構をヒンジ部分のみ膨らませて納める提案がされ,図面ではヒンジ部分から半球が丸く突出した形状が示されていた。なお,この図面の提案では,面付タイプと見込みタイプで,製品としての雰囲気 は異なるものとなっていた。 キその後,ランドリーフックのヒンジ部分の構造に,被告タカラ産業が既に販売している製品である屋外用の物干し金物(甲26。商品名DRY・WAVEスクエア・品番KC40。以下「KC40」という。)のヒンジ部分に用いられていた圧縮バネのバンパー機構を開発中のランドリーフックの面付タイプ及び見込みタイプ両方のヒンジ部分に用いることが検討課題となり,ひもでアームを支える構造は採用しないこ とになった(乙22)。 ク P4は,ヒンジ部分にKC40のダンパー機構を内蔵するための検討を進め,意匠2,3【図面6】の提案をもとにCAD図面を作成し,その3D図面を付して,P3に対し,同年7月17日,面付タイプのランドリーフックの構想図(面付用)として意匠2,3【図面7】を,同月19日,見込みタイプの物干し支持具の提案図(意 匠2,3【図面8】)を提出した(乙13の25,27)。前者では,アーム格納時は,本体の形状が本件意匠1のような形状になるものであったが,アーム展開時は,アームは折り畳みヒンジとされる棒状の部材で支えるものであった。後者では,アーム展開時にひも等を使用しないものであったが,ヒンジ部分にダンパー機構を組み込むため,本体の幅いっぱいに半球体が突出しているものであり,そのため面付タイプと見 込みタイプとでは,雰囲気が異なるものとなっていた。 なお,後者の図面を提出したときのP4の送付メールの本 込むため,本体の幅いっぱいに半球体が突出しているものであり,そのため面付タイプと見 込みタイプとでは,雰囲気が異なるものとなっていた。 なお,後者の図面を提出したときのP4の送付メールの本文には,「P1さんのデザインを取り入れアームと台座をADC製として」との記載(乙13の27)があった。 ケ同月30日,P4は,P3,P5,P6及び原告に対し,面付タイプの場合のヒンジ部分にもあえて見込みタイプの物と同様の半球体の突出部を設けた設計図と して構想図(意匠2,3【図面9】)をメール送付した(乙13の31)。なお,そのメール本文には,「ランドリーフックの現時点での構想図です。見込みは良いですが,面付けはまだまだの段階です。円柱形状を横にした突起を面付けに採用できればとの思いで作図予定です」との記載がある。 コ原告は,同年7月頃,意匠2,3【図面9】をベースに,見込みタイプのラン ドリーフックのペーパーモデルを3案(意匠2,3【図面4】)作成した。なお,それ らではヒンジ部分で突出した部分の形状は,立方体,円柱及び円錐台であって,半球体ではなかった(乙11の2,原告本人)。 サ同年8月2日,P4は,検討中のランドリーフックを3D図面とした意匠2,3【図面10】を作成した(乙13の33)。これによると,見込みタイプは,意匠2,3【図面8】と同じであるが,面付タイプでは,アーム格納時にダンパー機構を内蔵 するヒンジ部分がかまぼこ状に突出するデザインとされていた。 シ同月5日,P5は,P3からの指示を受け,アームに切り欠きで構成する竿掛け部をスラント形状とする株式会社キョウワナスタの室内物干しを用いて,破壊実験による強度検査を実施した(乙10の1,証人P3,証人P5)。 ス同月7日,P2の来社を求めて に切り欠きで構成する竿掛け部をスラント形状とする株式会社キョウワナスタの室内物干しを用いて,破壊実験による強度検査を実施した(乙10の1,証人P3,証人P5)。 ス同月7日,P2の来社を求めて,富山から出張で来阪中のP5,出張中であっ たP3の代わりのP6及び原告の合計4名で,ランドリーフックのデザインについての打合せを行った。 なお,同日の原告の業務日報には,「ランドリーフックのデザイン検討(FCデザインを交えてデザインの方向性を確認)」との記載,翌日のそれには,「ランドリーフックの設計検討面付タイプのアーム強度は改善できたように思うが,軸受けカバーの 取り付け設計に課題が残った。明日には詳細を詰め,面付け/見込タイプ両方の形状確認を行う」との記載,翌々日のそれには,「ランドリーフックの設計検討・提案アイデア作成準備面付け見込みタイプ両方のデザイン形状を作成,壁からの突出を極力抑え,「室内昇降物干し」統一コンセプト「薄さを見せるデザイン」を追及した」との記載がある(乙10の3)。また,P5の業務日報には,上記打合せ当日には「ランド リーフック形状確認打ち合わせ 3D作成・修正2 TH・PTH 化粧袋・化粧箱データ打ち合わせ FCデザインP2氏を交え,ランドリーフックの打ち合わせを行う」との記載,翌日には「ランドリーフック 3D修正昨日の打ち合わせで問題になった肉盗みや台座の修正を行う。アーム強度はクリアできそうな雰囲気だが,キャップの寸法が厳しい」との記載がある(乙10の1)。 セ原告は,同月22日に開催されるデザイン戦略会議のための報告議題の資料を 作成し,これを同月20日,メールに添付して会議関係者に送付した。同資料には,P5が作成した3D図面である意匠2,3【図面11】が含ま に開催されるデザイン戦略会議のための報告議題の資料を 作成し,これを同月20日,メールに添付して会議関係者に送付した。同資料には,P5が作成した3D図面である意匠2,3【図面11】が含まれていた。この図面は,面付タイプ,見込みタイプともヒンジ部分を「く」の字状とするものであり,見込みタイプのアームの竿掛け部はスラント形状とされており,そのデザインは,本件意匠2,3とほぼ同じものであった(乙13の36)。 ソその後,上記デザインをもとに,肉盗みの施し方など,細部のデザインの詰めが検討され,同年12月25日頃,被告製品3,4の設計図が確定した(意匠2,3【図面40】,乙13の94)。 タ被告タカラ産業は,原告が担当して,平成26年1月21日,被告製品3の意匠(本件意匠2),被告製品4の意匠(本件意匠3)を対象として意匠登録出願をした。 (2) 検討ア原告は,本件意匠2,3の創作者であることの根拠として,主として,両意匠に共通するヒンジ部分の「く」の字形の形状を創作したことを主張するほか,被告意匠2では,アームの竿掛け部の後方をスラント形状(斜めの形状)に創作したこと,被告意匠3では,アームの竿掛け部の溝の形状を創作したことを主張する。 イ上記(1)で認定したところによれば,本件意匠2,3の創作過程は,意匠2,3【図面1】の5案のデザイン案から始まり,早い段階(同【図面3】)でP2作成のデザインに基づき,面付タイプと見込みタイプとも厚みのないスリムなコンパクトボディとして雰囲気を統一することとされ,その後,アームをひもで支える構造をやめ,ヒンジ部分にアームを支えるダンパー構造を組み込むものとしたが,そのヒンジ部分 の形態をいかにまとめるかについて一番の課題があり,結局,同【図面11】のとお ,アームをひもで支える構造をやめ,ヒンジ部分にアームを支えるダンパー構造を組み込むものとしたが,そのヒンジ部分 の形態をいかにまとめるかについて一番の課題があり,結局,同【図面11】のとおり,面付タイプ及び見込みタイプとも,ヒンジ部分を「く」の字形とすることが提案され,これによりほぼ完成形に近い意匠が決定されるに至ったというものであることが認められる。 そして本件意匠2,3の物品であるランドリーフックは,壁面又は柱面に基体を固 定し,基体にヒンジ部分で連結したアームを展開して,アームで物干し竿を支えよう とするものであるから,その基本構成態様は,上記基体とアームに加え,アームに物干し竿の竿掛け部を設けるという機能から自ずと制限されたものであることを考慮すると,本件意匠2,3を登録意匠足り得るものとした主たる構成は,両意匠に共通するヒンジ部分の「く」の字形の形状とした具体的構成態様にあると認められるから,原告が主張するように,原告がその形態の創作に加担したのであれば,原告を本件意 匠2,3の創作者であるというべきである。 ウこの点に関して原告は,本件意匠2となる見込みタイプについては,同年7月下旬に,「く」の字形の手書きの図面及びペーパーモデルを作成し,P3に見てもらったところ,P3がこれを了承したことから,面付タイプ,見込みタイプともに「く」の字形とすることを前提にP5とともに3D図面の作成を進めていくことになった と供述する。 しかし,上記事実については原告の供述を裏付けるものはないばかりか,原告の供述によれば,同年7月下旬には,ランドリーフックのヒンジ部分を「く」の字とする原告の案をP3が了承していたというのに,上記(1)ケのとおり,P4は,同月30日の時点において,面付タイプのデザインについ によれば,同年7月下旬には,ランドリーフックのヒンジ部分を「く」の字とする原告の案をP3が了承していたというのに,上記(1)ケのとおり,P4は,同月30日の時点において,面付タイプのデザインについて悩みながら「円柱形状を横にした突 起」を面付タイプに採用することを検討している旨をP3にメールし,その頃,作成した構想図(意匠2,3【図面9】)においても,見込みタイプについても,「く」の字形ではなく,ヒンジ部分を丸い突起状とする形状を描き,同年8月2日に示した意匠2,3【図面10】においても,面付タイプは,ヒンジ部分が円柱形状を横にした形状の突起とされ,見込みタイプは,ヒンジ部分が丸い突起状となっていて,「く」の 字形のものは未だ描かれていないから,原告の供述は,これらの事実関係に整合しないものである。 むしろ,意匠2,3【図面10】と同【図面11】を対比すれば,ランドリーフックのヒンジ部分が「く」の字形とする提案がされたのが同年8月2日から同月22日までの間であることは明らかであり,上記(1)の事実関係,特にP5の業務日報に同 年8月7日の打合せ時に3D図面が作成され,その翌日以降,修正されていった様子 がうかがえることに照らせば,証人P6が証言するように,同月7日のデザイン戦略会議で,P2の提案が契機となってヒンジ部分を「く」の字形の形状とする方向が決定されたことが認められるというべきであって,これに反する原告の供述は採用できない。原告作成に係る資料に意匠2,3【図面11】が含まれていたことは(乙13の36),原告が創作した根拠となるものではなく,むしろ,その図面は,上記会議を受 けてその提案に沿ったデザインの検討が重ねられてきた結果を受けたものにすぎないものと認められる。 エしたがって,原告が,ヒ が創作した根拠となるものではなく,むしろ,その図面は,上記会議を受 けてその提案に沿ったデザインの検討が重ねられてきた結果を受けたものにすぎないものと認められる。 エしたがって,原告が,ヒンジ部分を「く」の字形とする創作に現実に加担したとは認められないというべきである。 オ原告は,ヒンジ部分のほか,本件意匠2の竿掛け部の形状をスラント形状とす る点での創作への加担を主張するが,竿掛け部の形状については,既に公知の意匠として株式会社キョウワナスタの「ANGELHANGER」という商品(乙18)があり,機能的側面から,その採用が被告タカラ産業で検討を進められていたことは,上記(1)シのとおりであるから,原告が,この点で創作に加担したとは認められない。 原告は,また面付タイプの本件意匠3のアームの竿掛け部の形状を創作した点も主 張するが,その部分のデザイン決定に原告が関与したとしても,U字型の竿掛け部の形状の基本的構成態様はありふれたものであり,原告がこれに細部の意匠を加えて具体的構成態様として完成させたとしても,それが本件意匠3を登録意匠足らしめることに寄与したものとは考えられないから,その点をもって,原告を本件意匠3の創作者であるということができない。 カそのほか,原告は,本件意匠2,3の創作に関し,細部にわたる関与を主張するが,本件意匠2,3を登録意匠足らしめるような内容の創作に加担した事実を認めることができないから,原告は,本件意匠2,3の創作者の1 人であると認めることはできないというべきである。 4 争点(1)-ウ(原告は,本件意匠4の創作者であるか。)について (1) 本件意匠4の創作過程 本件意匠4の創作過程について,当事者間に争いのない事実及び各項末尾記載の証拠に 争点(1)-ウ(原告は,本件意匠4の創作者であるか。)について (1) 本件意匠4の創作過程 本件意匠4の創作過程について,当事者間に争いのない事実及び各項末尾記載の証拠により認められる事実は次のとおりである。 ア被告タカラ産業は,原告が同社に入社する以前に,物干し金物の製品開発を開始し,被告エフシーデザインに,そのデザイン案の作成を依頼していた。 イ平成24年3月23日,被告エフシーデザインは,P2がデザインした意匠4 【図面0-1】の9案を提出した(乙3)。 これら9案は,すべて見込みタイプであるが,うちA-01とされるデザインは,アームをストレートとし,ヒンジ部分から小角孔が六つ並んで大角孔を設け,さらに小角孔を三つ並べて先端にもう一つの大角孔を設けるものである。竿は,この大角孔に差し込まれることが予定され,使用時に竿が最も下側となる角孔の隅部に寄せられ るため,この点をポイントとして,「2点支持により竿のグラつき低減」と説明し,また竿支持部につき「洗濯竿支持部分をよくある丸孔にするのではなく四角にして他と差別化マンションベランダのイメージによく合う」との説明が付されていた。 ウ被告タカラ産業では,P4は,意匠4【図面0-1】のA―01を原案として,顧客から依頼を受けた製品の製品化を進め,同年9月27日に意匠登録出願をし,平 成25年3月15日に意匠登録(意匠登録第1466698号)されたが,同意匠の製品は実際に製造されることはなかった(乙3の3。意匠公報中の一部図面が意匠4【図面0-2】である。)。 なお,製品化を予定して意匠登録されたデザインは,意匠4【図面0-2】を含むが,アームは,本件意匠4のように両面ともが平たんなものではなく,台座取付面側 のアーム表面は平たんで である。)。 なお,製品化を予定して意匠登録されたデザインは,意匠4【図面0-2】を含むが,アームは,本件意匠4のように両面ともが平たんなものではなく,台座取付面側 のアーム表面は平たんであり,そこから見たアームに設けられた孔は,意匠4【図面0―2】と同じであるが,アームの反対側の表面は,竿を通す孔部分は肉が盛り上がって大きな四角形を形成しており,竿を通す部分は,竿に合わせた円形の孔とされているものである(意匠4【図面0-3】のアーム部分参照)。 エ被告エフシーデザインは,その間の平成24年9月6日,さらに面付タイプの 物干し金具のデザインにつき,P2作成に係る意匠4【図面1】のとおりの5案を被 告タカラ産業に提出した(乙3の2)。5案のうち4案は,アームがオフセットしていないストレートアームで,小角孔と大角孔を組み合わせたもの,大角孔のみを並べたものが含まれていた。また,アームと台座部の関係は,いずれもアームを挟み込むように構成した左右対称の台座部が基本とされ,アームも両面とも平たんであることから,製品全体をいずれの面からもみても,同じ形状となるデザインとなっていた。 オ平成25年3月以降,P3はP4に指示して,意匠4【図面0-1】,意匠4【図面0-2】を原案として,面付タイプのストレートアーム(意匠4【図面0-3】)とオフセットタイプ(意匠4【図面2】の左下)の図面を作成させ,その製品化の検討を行っていた(乙3の4,乙14の2,証人P3,証人P4)。 カ被告タカラ産業は,同年4月頃,見込みタイプのベランダ用物干し竿であるK C40の販売を開始したが(甲22),同製品のアームは,長方形のアームに小角孔が規則正しく九つ並べられ,その下辺外側に竿掛け部となる大角孔を形成する突起が二つ並んだオフセ 用物干し竿であるK C40の販売を開始したが(甲22),同製品のアームは,長方形のアームに小角孔が規則正しく九つ並べられ,その下辺外側に竿掛け部となる大角孔を形成する突起が二つ並んだオフセットタイプであり(アームの形状自体は,意匠4【図面3】,【図面6】のそれと同じである。),また台座部の基本形状は,本件意匠4のそれと同様のラウンドしたものであり,またアーム合わせ部の形状も,KC40の同部分が見込みタイプ であるため一面が台座部に一体化しているものの,本件意匠の同部分の同じ部分と,その形状に違いはないものである。 キ同年7月末頃,被告タカラ産業営業部からP3に対し,被告タカラ産業が以前から販売していた見込みタイプであるベランダ用物干し竿(KC40)を面付タイプにする開発要請があり,被告製品5に至る開発が始められることになった。 ク原告は,同年8月1日,KC40を面付タイプにするための手書きの面付タイプ用の台座部のアタリ図(意匠4【図面4】),アームについての新規アーム案(意匠4【図面5】,意匠4【図面7】)を作成してP5に対して送付し,P5は,翌日,上記原告作成の面付タイプの台座部に,KC40のアームを組み合わせたものと新規な2種類のアームを組み合わせたものの合計3案の3D図面(意匠4【図面9】)を作成 し,原告からP3に送付した(乙14の15)。 なお,これ以降,検討されるアームの形状は,意匠登録された面付タイプの物干し金具のアームのような,物干し竿を固定するための肉を盛り上げた特殊な形状は検討されることなく,すべて意匠4【図面0-1】のA―01図に示された大角孔を利用するだけのものであり,またアーム自体も両面とも平たんな板状のものとされている。 ケ P4は,同月20日,P6,P5及 されることなく,すべて意匠4【図面0-1】のA―01図に示された大角孔を利用するだけのものであり,またアーム自体も両面とも平たんな板状のものとされている。 ケ P4は,同月20日,P6,P5及び原告に対し,意匠4【図面11】の3D 図面をメールで送付した(乙14の19)。なお,同図面のアームは,オフセットされたものであるが,同メールには,台座とキャップを変更したとした上で,アーム合わせ部の径を大きくしたこと,台座ビス止め部を1方向に修正したことが記載されていた。 コ同月21日,P5は原告に対し,台座部付近のみをA3サイズで拡大した意匠 4【図面12】を送付した(乙14の21)。 サ同月22日,原告,P3及びP6で,デザイン戦略会議が行われ,開発中の面付タイプ物干し金具のアーム形状についての打合せがされた。 同会議で,P3は,物干し金物を面付タイプのストレートアームとすること,その上で大角孔を三つ設けられる長さにして,その間に小角孔を一列に等間隔で配置する ことを決定した(証人P3,証人P4,証人P5)。 シ原告は,同日の会議後,P5,P3及びP6に対し,「本日のデザイン戦略会議にて,KC面付けタイプの形状方向が決まりましたので,報告します。検討課題:台座取り付け幅→30mmとする。理由:スクエア見込タイプと台座固定部のデザインを合せる(設置強度も含め方向付け)上記決定を踏まえ,最終形状を作成しましたの で,確認願います。」とのメールに意匠4【図面13】を添付して送付した(乙14の23)。同図面のランドリーフックはオフセットアームのものであった。 ス同月23日,原告は,P5,P3及びP6に対し,意匠4【図面14】をメール送付した(乙14の25)。同メール本文には,「電話で連絡したKC面付タイプスト ックはオフセットアームのものであった。 ス同月23日,原告は,P5,P3及びP6に対し,意匠4【図面14】をメール送付した(乙14の25)。同メール本文には,「電話で連絡したKC面付タイプストレートアーム案を送ります。添付資料を参照して,設計進めて下さい。」との記載が ある。 セその後,台座部の形状はほぼ維持され,また物干し竿を掛ける孔が,角孔であるとの点にデザインの変更はないが,アームのどの位置に小角孔と大角孔を組み合わせるかなどについてデザインの見直しが繰り返され,平成25年12月頃に最終的な被告製品5の設計図が決定された(意匠4【図面31】,乙14の65)。 ソ被告タカラ産業は,原告が担当して,平成26年1月31日,被告製品5の意 匠(本件意匠4)を対象とする意匠登録出願をした。 (2) 検討ア原告は,本件意匠4の実施品である被告製品5(品番:KD45)は,見込みタイプのベランダ用物干し金具(KC40)をベースに,面付タイプの製品を作ることを目的に開発がスタートした製品であるとして,その形状の相違点のうち①台座部 とヒンジキャップ部分の形状,②アームの孔の位置・大きさの2点が重要であるとして,その点のデザインを創作したのは原告であるから,原告は本件意匠4の創作者といえる旨主張する。 上記(1)キのとおり,被告製品5は,既販売の見込みタイプのKC40を面付タイプとするために開発が開始されたものであるから,被告製品5の意匠である本件意匠 4が登録意匠足り得たのは,その形態の差異点に創作容易でない創作性が認められたからということができる。ただ,上記(1)アないしウのとおり,被告タカラ産業においては,それ以前にも物干し金物についてデザインが検討されているから,被告製品5の開発において でない創作性が認められたからということができる。ただ,上記(1)アないしウのとおり,被告タカラ産業においては,それ以前にも物干し金物についてデザインが検討されているから,被告製品5の開発において,原告が創作に加担したといえるか否かは,それらのデザイン(意匠4【図面0―1】,【図面1】,本件意匠4出願時に既に登録されていた上記(1)ウの意 匠公報(乙3の3)も踏まえて検討されるべきである。 イまず原告主張に係る①の台座部とヒンジキャップの点について検討すると,原告は,台座部の緩やかな円弧状のラインの上に,円柱状のヒンジキャップを設け,ヒンジ部分の円柱中心より下げたところを起点として台座との接合部とすることで,堅牢でシンプルなデザインとした点の創作に加担したことを主張する。 しかし,主張に係る部分をKC40(甲25の1)について見ると,見込みタイプと 面付タイプという構造の違いはあるものの,原告主張に係る部分の形状との共通性は容易に見出すことができ,そもそも被告製品5がKC40の面付タイプとして開発された経緯に鑑みれば,これは製品デザインの統一性を図るために,できるだけデザインを揃えようとしていたことに由来するものと認められるから(上記(1)シのメールには「スクエア見込みタイプと台座固定部のデザインを合せる」との記載がある。), そもそもこの点で被告製品5の開発においてデザインの創作性を発揮する余地はなかったと考えられる。 なお,面付タイプである被告製品5では,アームが台座部に垂直に接合される関係で,その接合部分で見込みタイプのKC40にはない部分が現れ,その形状が問題となるところ,原告は,ここの部分をいずれの方向から見ても,同じ形状が見えるよう に台座部とヒンジキャップをシンメトリ形状とすることを提 見込みタイプのKC40にはない部分が現れ,その形状が問題となるところ,原告は,ここの部分をいずれの方向から見ても,同じ形状が見えるよう に台座部とヒンジキャップをシンメトリ形状とすることを提案し,この点に創作性があると主張する。しかし,原告の提案であったとしても,本件意匠4の創作過程において,これをシンメトリ形状とするかアシンメトリ形状とするかにつき特に検討されたような事実は認められず,また,面付タイプを前提とした場合に,これをシンメトリ形状とするのがむしろ通常の発想というべきこと(証人P4,弁論の全趣旨)から すれば,これは,見込みタイプのKC40を面付タイプに変更することに伴う常とう手段を用いた変更にすぎず,その点で本件意匠4を登録意匠足り得る創作に加担したということはできない。 したがって,原告主張に係る台座部及びヒンジキャップのデザインの点については,原告がこの点の意匠の決定に関与したとしても,それをもって本件意匠4を登録意匠 足らしめるものとはいえないから,これを理由として原告が本件意匠4の創作に加担したものということはできない。 ウ次いで原告主張に係る②のアームの孔の位置・大きさの点について検討すると,まず本件意匠5のアームに設けられた孔の配列関係は,既存のものには存しないものであり,そもそも竿掛けの孔をオフセットで設けたKC40とも全く形状が異なるも のであって,本件意匠4の意匠登録出願時に,原告出願に係る物干し金物の意匠(乙 3の3)が既に登録されており,またKC40が公然と販売されていたことを考えると,このアームの形状及び孔の配列は本件意匠4を登録意匠足らしめるものであったということができる。 そして,本件意匠4の創作過程をみると,意匠4【図面14】において,本件意匠4の孔の ことを考えると,このアームの形状及び孔の配列は本件意匠4を登録意匠足らしめるものであったということができる。 そして,本件意匠4の創作過程をみると,意匠4【図面14】において,本件意匠4の孔の配列の基本形が初めて提案されたことが認められるところ,この点につき, 原告は,平成25年8月22日のデザイン戦略会議以降に,上記デザインを原告が発案したという趣旨の主張をし,これに沿う供述をする。これに対し,被告タカラ産業は,上記デザイン戦略会議において,台座の形状等だけでなく,アームの孔数や配置についても検討され,意匠4【図面14】の折衷案のような形状とすることが決定されたと主張し,証人P3はその旨証言する。 そこで検討するに,上記デザイン戦略会議後,同日中に原告が関係社員に送付した意匠4【図面13】には,ストレートアーム形状ではなく,オフセット形状で大角孔二つと小角孔九つを組み合わせたKC40のそれが描かれている一方で,原告がデザイン戦略会議の翌日である同月23日にP5らに送付した意匠4【図面14】には,ストレートアーム形状で大角孔二つと小角孔七つを組み合わせたAタイプと,ストレ ートアーム形状で大角孔を五つとしたBタイプとの折衷案として,大角孔三つと小角孔四つを組み合わせた本件意匠4と同形状の角孔の配列による図が示されていることから,上記会議後に,原告が,意匠4【図面14】の折衷案の形状を創作し,これをP5らに提案したものの如くである。 しかし,原告が意匠4【図面14】をP5に送付した際のメール本文は,「電話で連 絡したKC面付タイプストレートアーム案を送ります。添付資料を参照して設計進めてください」という確定事項を伝達する体裁のものとなっており,それが多数社員の関与したデザイン戦略会議翌日になされたことからす たKC面付タイプストレートアーム案を送ります。添付資料を参照して設計進めてください」という確定事項を伝達する体裁のものとなっており,それが多数社員の関与したデザイン戦略会議翌日になされたことからすると,その時点で原告が独自の創作案で設計作業を他の社員に求めることは不自然であり,そうすると意匠4【図面14】中の折衷案の形状は,原告上記会議後に独自に創作したものでなく,上記会議 において,アーム形状の開発方向として了承済みのものであったと考えるのが合理的 である。 したがって,原告の主張に反する証人P3の証言の方がむしろ信用できるというべきであって,原告主張に沿った原告の供述は採用できないから,意匠4【図面14】の折衷案の孔配列は原告が創作したものと認めることができないというべきである。 なお,そもそも本件意匠4における孔の配列関係は,意匠4【図面14】によって 初めて具体的に提案されたものということができるが,そもそも大角孔を竿掛け用とし,これと軽量化のための小角孔を組み合わせた配列のストレートアームは,既にP2作成に係る意匠4【図面0-1】のA―01で提案されていたものであり,また同【図面1】も参考にすれば,物干し竿の掛けやすさを考慮してその配列を検討することは当然考えられることであるから,アームの形状のみを対象とした場合,本件意匠 4のアームにおける孔の組合せ配列は,本件意匠4の出願当時,まだ非公知であった意匠4【図面0-1】のA―01から創作容易な意匠といえ,その点からすると,そもそも本件意匠4の角孔の配列を決定したことをもって,本件意匠4の創作に加担したといってよいのかさえ疑問があるところである。 エそのほか,原告は,本件意匠4の創作に関し,細部にわたる関与を主張するが, 結局のところ,本件意 したことをもって,本件意匠4の創作に加担したといってよいのかさえ疑問があるところである。 エそのほか,原告は,本件意匠4の創作に関し,細部にわたる関与を主張するが, 結局のところ,本件意匠4を登録意匠足らしめるような内容の創作に加担した事実を認めることができないから,原告は,本件意匠4の創作者の1 人であると認めることはできないというべきである。 5 小括以上より,原告は本件意匠のいずれについても創作者であると認められないから, 本件意匠の創作者であることを前提とする被告タカラ産業に対する職務意匠の対価請求は,その余の点の判断に及ぶまでもなくいずれも理由がないというべきである。 6 争点(2)(被告らが,被告製品1及び3につき,原告がグッドデザイン賞のデザイナーと表示されないようにしたことによる不法行為の成否)について原告は,被告タカラ産業が本件意匠1の実施品である被告製品1及び本件意匠2の 実施品である被告製品3を対象として2014年度グッドデザイン賞を受賞したこ とに関連して,その応募に際して,偽ってP2をデザイナーと表示し,原告を受賞作品のデザイナーとして表示される法律上保護に値する利益を侵害した旨主張する。 ところで,そもそもグッドデザイン賞は,その主催団体のサイト(甲29)では,「様々に展開される事象の中から「よいデザイン」を選び,顕彰することを通じ,私たちのくらしを,産業を,そして社会全体を,より豊かなものへと導くことを目的と した公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「総合的なデザインの推奨制度」で」あり,また「いわゆるデザイン優劣を競うコンペティション・コンクールではありません。そのデザインが,「くらしを,社会を,豊かにしうるか」という視点,つまり,デザインの効果 なデザインの推奨制度」で」あり,また「いわゆるデザイン優劣を競うコンペティション・コンクールではありません。そのデザインが,「くらしを,社会を,豊かにしうるか」という視点,つまり,デザインの効果・効用という視点から評価を行い,顕彰」すると説明されているものであって,その評価基準は,意匠法の登録要件そのものとは異なるから,意匠法上の 創作者と,グッドデザイン賞におけるデザイナーが概念として全く一致しているというわけではない。 しかし,グッドデザイン賞の評価基準であったとしても,上記の説明内容に照らし,公知の意匠から容易に創作できるようなデザインがグッドデザイン賞において受賞に値する評価を得られるとは考えられないし,また同賞が工業製品を対象とする以上, 対象製品のデザイン完成に至るまでにデザイン部門から製造部門まで多数の者が関与していることが考えられるが,同賞の性格上,デザイナーとして表示されるべき者は,上記説明に表われる主要なデザインを作成した者であって,製品設計上の細部にわたるデザインに関与した者は除かれるべきものと考えられるから,上記2,3で認定判断したとおり,原告は本件意匠1及び同2の意匠法上の創作者と認められない以 上,グッドデザイン賞の関係においてもデザイナーと表示されるべき者であったとは認められないというべきである。 したがって,グッドデザイン賞の受賞対象製品のデザイナーとして表示されなかったことにより,法律上保護に値する利益を侵害されたことを理由とする原告の被告らに対する不法行為に基づく請求は,その余の判断に及ぶまでもなく理由がないという べきである。 なお,証拠(甲21の1)によれば,被告製品1には本件意匠1に含まれない操作棒が附属しており,グッドデザイン賞の受賞製品紹介ページの画 ぶまでもなく理由がないという べきである。 なお,証拠(甲21の1)によれば,被告製品1には本件意匠1に含まれない操作棒が附属しており,グッドデザイン賞の受賞製品紹介ページの画像にも操作棒が撮影対象に含まれていることは認められるが,その写真での操作棒の扱いは,本体に差し込まれた使用状態で小さく映っているにすぎないものであって,原告のいう,グリップの断面を楕円形としたことなど,その形状の細部まで看取することができないもの である。さらに同証拠によれば,被告タカラ産業が被告製品1を対象としてグッドデザイン賞に応募するに当たり記載した被告製品1のデザインコンセプトは,「直感的でスムーズな操作性,安心感のある作動性,未使用時は室内空間の美観に配慮しました」というものであって,未使用時,すなわち操作棒を使用しない場合には「美観」が強調され,操作棒の使用時には,「操作性」,「作動性」という,操作棒による操作の 機能を強調しているものである。そして,同製品のグッドデザイン賞受賞に当たっての審査委員の評価は,「室内物干しは,建物の美観,大気汚染などの理由でニーズが高まっている。本製品は,洗濯を掛ける竿が内蔵されていて,備え付けの棒で出し入れが可能となっている。少し大げさなようだが,竿の格納もでき,使用していないときの空間のすっきり感を考えると有効である。天井に取り付けることで,高い位置で干 すことを可能にしていて,洗濯物を目線に入らないようにできる。さらに薄く,存在感が無くなるとよい」というものであり,少なくとも被告製品1のデザインのうち,原告のいう,グリップの断面を楕円形としたことなどの細部にわたる操作棒の形状は,グッドデザイン賞受賞を決定するに当たりデザインとして評価されたものとは考えられないというべきである。 デザインのうち,原告のいう,グリップの断面を楕円形としたことなどの細部にわたる操作棒の形状は,グッドデザイン賞受賞を決定するに当たりデザインとして評価されたものとは考えられないというべきである。 したがって,仮に原告が被告製品1の操作棒の意匠を創作したものであるとしても,操作棒のデザインがグッドデザイン賞受賞決定にデザイナーとして貢献したものとは認めらないから,この点を斟酌しても,やはり原告は,被告製品1のデザイナーとして表示されるべき者には当たらないというべきであり,原告の被告らに対する不法行為の請求に理由がないとする上記判断は左右されない。 7 以上の次第で,その余の点につき判断するまでもなく,原告の請求はいずれも 理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 裁判官野上誠一 裁判官大川潤子 (別紙)被告製品目録 1 昇降式室内物干し DRY・WAVETG1209 2 昇降式室内物干し DRY・WAVETG1609 3 室内物干し DRY・WAVE ランドリーフック KG30 4 室内物干し DRY・WAVE ランドリーフック KF30 5 腰壁用物干 しDRY・WAVE TG1609 3 室内物干し DRY・WAVE ランドリーフック KG30 4 室内物干し DRY・WAVE ランドリーフック KF30 5 腰壁用物干し金物 「スクエア」 DRY・WAVE KD45

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