平成13(行コ)14 不当利得返還等・課税処分取消等請求控訴事件(原審・津地方裁判所平成11年(行ウ)第7号(甲事件),第16号(乙事件),平成12年(行ウ)第12号(丙事件))

裁判年月日・裁判所
平成14年1月16日 名古屋高等裁判所 租税
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判決文本文4,105 文字)

主文 1 1審被告亀山市長の控訴に基づき,原判決三ないし五項を次のとおり変更する。 1審原告の1審被告亀山市長に対する予備的請求をいずれも棄却する。 2 1審原告の控訴を棄却する。 3 控訴費用は,第1,第2とも1審原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 1審原告(1)原判決を次のとおり変更する。 (2)被控訴人亀山市は,1審原告に対し,256万1786円及び内金205万0286円に対する平成11年3月11日から,内金51万1500円に対する同月15日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (1)ア(主位的請求)1審被告亀山市長が,1審原告に対してした原判決別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)に対する平成10年,平成11年度及び平成12年度固定資産税及び都市計画税賦課決定がいずれも無効であることを確認する。 イ(予備的請求)1審被告亀山市長が,1審原告に対してした本件建物に対する平成11年度及び平成12年度固定資産税及び都市計画税賦課決定いずれも取り消す。 (4)1審被告亀山市長の控訴を棄却する。 (5)訴訟費用は,第1,2審とも1審被告亀山市長及び被控訴人亀山市の負担とする。 (6)(2)につき仮執行宣言 2 1審被告亀山市長主文と同旨 3 被控訴人亀山市主文2,3項と同旨第2 事案の概要等 1 本件は,1審被告亀山市長が本件建物に対し固定資産税及び都市計画税の課税処分をしたことについて,その所有者であり農業協同組合である1審原告が,本件建物は地方税法348条4項所定の「倉庫」に該当するので非課税として扱うべきであるから,同課税処分は当然無効であるとして,被控訴人亀山市に対し,不当利得返還請求権に基づき平成6年度から平成10年度分として徴収された金員の返還 所定の「倉庫」に該当するので非課税として扱うべきであるから,同課税処分は当然無効であるとして,被控訴人亀山市に対し,不当利得返還請求権に基づき平成6年度から平成10年度分として徴収された金員の返還を請求するとともに,1審被告亀山市長に対し,主位的に平成10年度ないし平成12年度の課税処分について無効であることの確認を,予備的に平成11年度及び平成12年度の課税処分についてその取消しを求めた事案の控訴審である。 2 前提となる事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,以下に当審主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の各該当欄に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 1審原告の当審主張(1)育苗施設とは,本件建物のみを指すものではなく,本件建物内のプラント及び育苗ハウスを含む,育苗事業に利用される有形無形の有機的総合体を指すものであり,本件建物につき「育苗施設」か「倉庫」かという問題提起をするのは論理的ではない。 (2)本件建物が,広くて間仕切りのない建物であるのは,6万箱の苗箱をはじめ,水槽,台車その他の物品を恒久的に収納保管しておくスペースが必要であったからである。これらの物品の保管スペースを除外すると,現在の約5分の1のスペースで足りる。本件建物は,これらの収納スペースを,費用及び作業の効率もあって,プラントと合一したものである。しかも,そのプラントとしての稼動期間は1年のうち約1か月に過ぎない。プラントであっても,全く稼動の余地がない約11か月間は,収納保管されるほかにありようがなく,その期間は,本件建物全体が倉庫として機能している。 4 1審被告亀山市長および被控訴人亀山市の当審主張(1)原判決は,本件建物が一体として育苗施設として利用されていることを看過している。 ア本件建物の2階部分には,ベ が倉庫として機能している。 4 1審被告亀山市長および被控訴人亀山市の当審主張(1)原判決は,本件建物が一体として育苗施設として利用されていることを看過している。 ア本件建物の2階部分には,ベルトコンベア,受け皿をセットして1階に降下させる装置,土供給装置と運ばれる土を貯えておく機械が存する。 イ本件建物の1階部分の土置き場バケットコンベアを使って,土供給装置に土を入れ,2階部分から土が供給される。 ウ育苗作業では,2階にある受け皿をベルトコンベアで移動させ,受け皿を降ろす装置を使って1階へ降下させ,1階ではベルトコンベアを使って移動させ,土の供給,採取,覆土という作業が流れ作業によって行われる。 (2)本件建物には,育苗の機能構造,その作業用品の保管の機能構造とが備わっているが,その主たる機能構造は育苗であって,その機能を補助するために作業用品の保管がなされているに過ぎない。 第3 当裁判所の判決 1 本件建物の構造・利用状況についての認定事実は,原判決「事実及び理由」の第三(当裁判所の判断)の一の1に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 証拠(乙1ないし16)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1)1審原告は,本件建物を建築にするに当たり,被控訴人亀山市に対し,先進的農業生産総合推進対策事業の採択を要望し,被控訴人亀山市は,三重県知事に対し,平成4年度先進的農業生産総合推進対策事業承認申請を行い,平成4年12月15日,同知事から実施計画の承認を受けた。 (2)1審原告は,本件建物,プラントおよび育苗ハウス等から成る水稲共同育苗施設を設置するものとして,平成5年3月10日,1審被告亀山市長に対し,地域農業生産システム確立基幹施設整備事業補助金の交付を申請し,同月25日,同補助金の交付決定を受け,同年4月27日及 共同育苗施設を設置するものとして,平成5年3月10日,1審被告亀山市長に対し,地域農業生産システム確立基幹施設整備事業補助金の交付を申請し,同月25日,同補助金の交付決定を受け,同年4月27日及び同年12月27日に上記補助金合計9018万9000円の交付を受けた。 (3)また,1審原告は,平成5年3月16日,本件建物の主要用途を育苗作業棟として,建築確認申請をし,同年4月16日,三重県北勢県民局鈴鹿土木事務所の建築確認を受けた。 3 ところで,地方税法348条4項の「倉庫」とは,当該農業協同組合の行う業務に関連して特に設けられた物品の恒久的な貯蔵庫をいい,臨時的に倉庫として使用する建物及び単なる物置程度のものは含まれないと解される。 これを本件についてみるに,上記認定事実(引用にかかる原判決の認定事実を含む。)によれば,本件建物の主要な用途は育苗作業場であり,同作業の殆どは1階部分においてなされるものではあるが,2階部分にも苗箱(受け皿)を1階部分に搬送するベルトコンベアが設置され,これに乗せられた苗箱は,自動的に播種プラントに搬送され,土入れ,散水,播種等が行われるものであって,2階部分のベルトコンベアは1階部分と一体となって。育苗作業プラントの一部として利用されている。たしかに,2階の床面積の相当部分は,苗箱の保管場所として使用されているけれども,育苗作業時においては,2階部分に保管された苗箱は,ベルトコンベアによって1階に搬送されるために待機している状態にあるということができる。 そうすると,本件建物は,1階部分はもちろん,2階部分の苗箱の保管場所も含めて,一体として育苗作業に使用される育苗施設であるというべきであり,2階部分の苗箱の保管場所には,物品を保管するという倉庫的な役割を兼ねてはいるものの,その役割は育苗施設としての機 の保管場所も含めて,一体として育苗作業に使用される育苗施設であるというべきであり,2階部分の苗箱の保管場所には,物品を保管するという倉庫的な役割を兼ねてはいるものの,その役割は育苗施設としての機能から見れば副次的なものであって,これを含めて育苗施設に該当するということに支障はないというべきである。 したがって,本件建物は,地方税法348条4項「倉庫」には該当しないものと解するのが相当である。 たしかに,本件建物において育苗作業が行われる期間は1年のうちでわずか1か月ほどであり,その余の期間中,1階及び2階のプラント並びに2階部分の苗箱は,ただ本件建物内に保管されているだけであって,本件建物はその間あたかも倉庫のように使用されているものではあるが,本件建物の主たる用途は前記のように育苗作業場であって,その用途に利用する期間の長短は本質的な問題ではないというべきである。 また,2階の相当部分が苗箱の保管場所として利用されていることも,前記のとおり,苗箱の保管は育苗施設としての機能から見れば副次的なものというべきであるから,前期認定を左右しない。 なお,1審原告は,本件建物につき「育苗施設」か「倉庫」かという問題提起をするのは論理的ではない旨主張するが,本件建物が育苗施設であると認められれば,前記の「倉庫」の意義に照らすと,本件建物は「倉庫」に該当しないものということができる。 よって,1審原告の主張は採用できない。 4 以上によれば,1審被告亀山市長が1審原告に対してした本件建物に対する平成10年度,平成11年度及び平成12年度固定資産税及び都市計画税賦課決定は,違法であるとは認められず,無効であるともいえない。 第4 結論よって,1審議原告の本訴請求はいずれも失当として棄却すべきであるから,1審被告亀山市長の控訴に基づき,これ び都市計画税賦課決定は,違法であるとは認められず,無効であるともいえない。 第4 結論よって,1審議原告の本訴請求はいずれも失当として棄却すべきであるから,1審被告亀山市長の控訴に基づき,これと異なる原判決主文三ないし五項を変更し,1審原告の控訴はこれを棄却し,訴訟費用は第1,2審とも1審原告に負担させることとして,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第3部裁判長裁判官福田晧一裁判官内田計一裁判官倉田慎也

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