【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人宗宮信次、川村壽三、池田浩一の上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通 りである。 第一点について。 原判決が、そ
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人宗宮信次、川村壽三、池田浩一の上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。 第一点について。 原判決が、その証拠説明中に所論犯罪報告書を掲記しているのは、これを独立の証拠として事実認定の資料とした趣旨ではなく、単に、原審が証拠としている第一審第二回公判調書中の被告人の供述記載の内容をあらわす目的で附記したものと認められるのであるから、原判決に所論のような違法はなく、論旨は採用できない。 第二点、第三点及び第四点について。 原審公判調書を調べてみると、原審において所論犯罪報告書につき証拠調をした形跡の認められないことは、所論の指摘するとおりである。しかし、原審の引用する第一審第二回公判調書の当該部分を調べると、第一審第二回公判期日に、被告人は右犯罪報告書を読みきかされて、それに対し、「販売目的の代金額の点を除いてその余は、その通り相違ない」と、そのような答え方をしているのではなくて、まず予定した代金額が相違することをすぐに述べ、それにつづいては、犯罪報告書の内容をまつたく援用しないで、裁判官の問に対し、具体的に犯罪事実を自供しているのである。そうしてその自供の内容は、右代金額の点及び革の数量を坪数で述べないで大きさと枚数であらわしている点を除けば、右犯罪報告書中原判示第三と同趣旨の部分に合致するのであり、代金額の点も原判示第三とは一致するのである。 また革の数量の点も、あらわし方が相違するだけで、原判示第三に示された坪数と矛盾するものとは解されない。従つて原判決が「原審第二回公判調書中被告人の供述として、御読聞けの昭和二十三年九月二十二日附公判請求書に基く犯罪報告書記- 1 -載の犯罪事実は販売目的の各代金額の点を除いてその余はその通り相違ない旨並 判決が「原審第二回公判調書中被告人の供述として、御読聞けの昭和二十三年九月二十二日附公判請求書に基く犯罪報告書記- 1 -載の犯罪事実は販売目的の各代金額の点を除いてその余はその通り相違ない旨並に右犯罪報告書中の上記除外の点を除いて判示第三と同趣旨の記載」と掲記したのは、要するに、「原審第二回公判調書中被告人の供述として判示第三と同趣旨の記載」と書くべきところを、おなじ意味をあらわす趣旨で、右のように摘示したものと解することができるのである。すなわち、原審が証拠としたのは、第一審第二回公判調書中の、右犯罪報告書を引用しない被告人の供述の記載であつて、その内容は、前記のように、原判示第三と同趣旨といえるのである。それゆえ、右犯罪報告書の証拠調を経ていないことは、これを引用していない右供述記載を証拠とすることの妨げとはならない。従つて原判決には、所論のように、証拠調をしない証拠書類を罪証に供した違法があるとはいえないし、また自供の記載がないのに、それがあるものとして証拠を引用した違法があるわけでもない。ただ原判決が、前記のように、犯罪報告書を掲げることによつて証拠内容の表示をしたことは、もとより不適当の非難を免れないけれども、その趣旨を前記のとおり解し得る以上、いまだこれを以て原判決破毀の理由とするには足りない。以上の理由により論旨は採用し難い。 第五点について。 原判決が所論のような事実を冒頭に記載しているのは、これによつて被告人の経歴を示そうとしたものであることを認め得るこのような事項を判決に記載することが適当であるかどうかは別として、所論のように、大赦せられた前科の事実を摘示したからといつて、ただちに原判決を違法視することはできないから、論旨は採用できない。 第六点について。 当該裁判所の公判廷における自白が、憲法三八条三項 論のように、大赦せられた前科の事実を摘示したからといつて、ただちに原判決を違法視することはできないから、論旨は採用できない。 第六点について。 当該裁判所の公判廷における自白が、憲法三八条三項、刑訴応急措置法一〇条三項にいわゆる「本人の自白」に含まれないと解すべきであることは、当裁判所大法廷の判例(その代表的なものは、昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日判決、- 2 -判例集二巻九号一〇一二頁。昭和二三年(れ)第四五四号同二四年四月六日判決、判例集三巻四号四四五頁)とするところであるから、所論は採用し難い。 第七点について。 所論A提出の始末書(九五丁)には、同人は所論B産業株式会社の業務に関してしたのではあるが、原判示第二の(一)の買受行為についてすべてその契約の衝に当つたことが記載されているのであり、原判示に被告人がAと売買の契約をしたとあるも、その趣旨を示したものと解すべきであるから、原判決の証拠の引用に所論のような違法があるとはいえない。それゆえ論旨は理由がない。 第八点について。 原審は、原審公判廷における被告人の自供によつて、被告人が製革を業とするものと認定しているのであり、この認定を法則違反であると解すべき根拠はない。のみならず、所論のように、C皮革株式会社が製革業を営むのであり、被告人がその代表者として本件の各違反行為を行つたのであるとしても、被告人に対する犯罪の成否及びその実質に影響はないのであるから、所論は採用できない。 第九点について。 原判決が、原判示第一の各罪のうち、どの罪の刑に併合罪加重をするのであるか、明らかにしていないことは所論のとおりであるけれども、いずれの罪の刑に加重するとしても、何等処断刑に変更を来すものではないから、右の点は原判決破毀の理由とするに足りない。それゆえ論旨は採用しな か、明らかにしていないことは所論のとおりであるけれども、いずれの罪の刑に加重するとしても、何等処断刑に変更を来すものではないから、右の点は原判決破毀の理由とするに足りない。それゆえ論旨は採用しない。 第一〇点について。 所論は、原判決が刑法五四条一項後段の牽連犯にあたるものとして処断した事実を、併合罪として処断すべきであると主張することになるから、被告人のため不利益な変更を求めるものであり、上告の適法な理由として採用することができない。 第一一点について。 - 3 -原判決挙示の証拠によれば、所論牛塩生皮が、「牛塩生皮」と呼べないほどひどく腐敗したものでなかつたことは、充分肯認できるのである。そうして、たとえある程度の腐敗があつても、そのため指定生産資材割当規則の対象からはずれるわけではないから、原判決に所論のような違法はない。 第一二点について。 原判決挙示の証拠によれば、所論原判示第一の(二)及び第一の(四)の各事実を肯認できるのであり、原判決に所論のような違法はない。所論は畢竟原審の裁量に属する証拠の判断、事実の認定を争うものにほかならないから、これを採用することができない。 第一三点について。 所論原判示第一の(二)の牛塩生皮についても、これがすくなくもまつたく腐敗したものでなかつたことは、原判決挙示の証拠によつて明認しうるのである。従つて原判決に所論のような違法がないことは、第一一点について判断を示したとおりであるから、所論は採用できない。 第一四点について。 所論生皮の買受にあたり、被告人が、法定の除外事由である正規の特別の許可等があつたものと誤信していたというような事実は、原審の認定していないところである。そうして、いわゆる黙認価格として許されるものと信じたというようなことは、たとえそのとおりであつたとし の特別の許可等があつたものと誤信していたというような事実は、原審の認定していないところである。そうして、いわゆる黙認価格として許されるものと信じたというようなことは、たとえそのとおりであつたとしても、ただそれによつて違法性の認識がなかつたということになるだけであつて、そのために犯意が阻却せられ、被告人の罪責が否定せられるわけではない。従つて原判決に所論のような違法はなく、論旨は理由がない。 よつて旧刑訴第四四六条により主文の通り判決する。 以上は第六点自白の点に対する裁判官井上登の少数意見を除き裁判官全員一致の- 4 -意見である。 裁判官井上登の第六点に対する意見は昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日大法廷判決記載の通りである。 検察官福島幸夫関与昭和二六年四月三日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介- 5 -
▼ クリックして全文を表示