令和7年2月19日判決言渡令和5年(ネ)第10061号不正競争行為差止請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和4年(ワ)第14148号)口頭弁論終結日令和6年11月21日判決 控訴人ダイソン株式会社 同訴訟代理人弁護士溝田宗司同訴訟復代理人弁護士松岡悠也 同中野哲生 被控訴人パナソニック株式会社 同訴訟代理人弁護士松田知丈 同岩崎啓太同渡辺 駿同中村朋暉 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 事実 及び理由(以下、略称等は、特に断らない限り、原判決の表記による。)第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、別紙1被控訴人商品目録記載の商品についての広告又は取引に 用いる書類若しくは通信及び被控訴人の営業に係るウェブサイトその他の宣伝広告物に、別紙2被控訴人表示目録記載の表示をしてはならない。 3 被控訴人は、別紙1被控訴人商品目録記載の商品についての広告又は取引に用いる書類若しくは通信及び被控訴人の営業に係るウェブサイトその他の宣伝広告物における別紙2被控訴人表示目録記載の表示を抹消せよ。 第2 事案の概要 1 本件は、電気機械器具の輸入、製造、販売及び賃貸等を目的とする会社であり、ヘアードライヤー(以下、単に「ドライヤー」という。)等を販売する控訴人(原審原告) 消せよ。 第2 事案の概要 1 本件は、電気機械器具の輸入、製造、販売及び賃貸等を目的とする会社であり、ヘアードライヤー(以下、単に「ドライヤー」という。)等を販売する控訴人(原審原告)が、被控訴人(原審被告)の販売する型番EH-NA0Gのドライヤー(別紙1被控訴人商品目録記載の商品。以下「被控訴人商品」という。)の広 告における別紙2被控訴人表示目録記載の表示(以下、それぞれの表示を同目録記載のとおり、「被控訴人表示1-1」などといい、被控訴人表示1-1及び1-2を併せて「被控訴人表示1」と、被控訴人表示2-1及び2-2を併せて「被控訴人表示2」と、被控訴人表示3-1、3-2及び3-3を併せて「被控訴人表示3」と、被控訴人表示5-1及び5-2を併せて「被控訴人表示5」 といい、これらを被控訴人表示4と併せて「被控訴人各表示」という。)は被控訴人商品の品質について誤認させるような表示であり、その表示をする行為は不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項20号の不正競争に該当するとして、被控訴人に対し、不競法3条に基づき、当該表示行為の差止め(同条1項)及び当該表示の抹消(同条2項)を求める事案である。 原判決は控訴人の請求をいずれも棄却したので、控訴人が原判決を不服として控訴した。 2 前提事実⑴ 当事者控訴人は、ヘアードライヤーを含む家電製品の製造、輸出及び販売等を行 う英国企業ダイソンテクノロジーリミテッドの関連会社であり、同社の製品 を輸入し、日本国内において販売等をする株式会社である。 被控訴人は、日本において、ヘアードライヤーを含む家電製品の製造、輸出及び販売等をする株式会社である。 ⑵ 被控訴人商品(甲3、32、39、乙57)被控訴人は、遅くとも平成17年頃から、 る。 被控訴人は、日本において、ヘアードライヤーを含む家電製品の製造、輸出及び販売等をする株式会社である。 ⑵ 被控訴人商品(甲3、32、39、乙57)被控訴人は、遅くとも平成17年頃から、「ナノイー」と称する水微粒子を 吹き出す機能を備えた複数の種類のドライヤーを販売している。令和2年に発売された型番EH-NA9Eのドライヤー(以下、ドライヤーは型番のみにより特定する場合がある。)はナノイーを吹き出す構造を有するものである。 被控訴人は、令和元年秋頃、従来のナノイーに比べて水分発生量が多いものであるとする「高浸透ナノイー」を吹き出す「高浸透ナノイーデバイス」 と称する機構を搭載したドライヤーを発売した(以下、高浸透ナノイーではないものとされるナノイーを「従来ナノイー」ということがある。)。被控訴人は、高浸透ナノイーを吹き出す機能を備えたドライヤーとして、令和2年秋に前モデルの商品EH-NA0E(以下「前機種」という。)を、令和3年秋に被控訴人商品であるEH-NA0Gを、それぞれ発売した。被控訴人商品の風量 は1分当たり1.5㎥であり、前機種の風量は1分当たり1.3㎥である(いずれもターボ(強い風)時の風量)。 ナノイーを吹き出す機能を有する被控訴人のドライヤーは、高浸透ナノイーを吹き出すものも含め、髪を乾燥させるための風の吹出口とは別に、ナノイーの吹出口が存在する。 被控訴人商品の取扱説明書(甲32)には、高浸透ナノイーについて、「水に包まれた微粒子イオンである『ナノイー』の水分量を増やして、毛髪内部に浸透しやすくしたものです。空気中の水分を集めて発生させているため、低温・低湿度のときには発生しない場合があります。このときは、マイナスイオンが発生します。」との説明が記載されている。 ⑶ 被 しやすくしたものです。空気中の水分を集めて発生させているため、低温・低湿度のときには発生しない場合があります。このときは、マイナスイオンが発生します。」との説明が記載されている。 ⑶ 被控訴人各表示(甲2、3) 被控訴人は、そのウェブサイトに、被控訴人商品の宣伝のため、被控訴人商品の性能や機能を説明するページ(被控訴人ウェブページ)を設け、この中に被控訴人各表示を掲載した。また、被控訴人は、被控訴人ウェブページと同様の内容が記載されたカタログを店舗等で配布している。被控訴人各表示の内容は以下のとおりである。 ア被控訴人表示1被控訴人表示1は、別紙2被控訴人表示目録記載1のとおりであり、「高浸透ナノイーで髪へのうるおい、1.9倍」との記載からなる被控訴人表示1-1と、毛髪水分増加量に関する図及び文字による説明からなる被控訴人表示1-2から構成されている。 被控訴人表示1-1の中の「髪へのうるおい、1.9倍」との記載については、被控訴人表示1-2の図の中にも同旨の記載があり、いずれも、これらの記載に近接した箇所に「(毛髪水分増加量・当社従来ナノイー搭載商品比)」との記載がある。 被控訴人表示1-2の図は、毛髪水分増加量に関する棒グラフであり、 マイナスイオンを吹き出す構造のドライヤーであるEH-NE6B、ナノイーを吹き出す構造のドライヤーであるEH-NA9E及び高浸透ナノイーを吹き出す構造のドライヤーである被控訴人商品の比較がされている。縦軸には「水分増加量」として0.1から0.3までの数値が記載されているが、単位は記載されていない。棒グラフは、EH-NE6Bは0.000、EH-NA9E は0.136、被控訴人商品は0.263となっており、EH-NA9Eの棒グラフの左上端から被控訴人商 ているが、単位は記載されていない。棒グラフは、EH-NE6Bは0.000、EH-NA9E は0.136、被控訴人商品は0.263となっており、EH-NA9Eの棒グラフの左上端から被控訴人商品の棒グラフの左上端に向けて矢印が引かれており、「1.9倍」がEH-NA9Eの0.136と被控訴人商品の0.263とを比較したものであることを示している。図の右には、「高浸透ナノイーがキューティクルのわずかな間から入り込み、髪の表面だけでなく髪 の内側にまで水分を与え、うるおいが浸透。毛先まで、まるで水のベール に包まれたような手触りに。」、「【モデル試験方法】毛髪に、下記条件で施術し、乾燥直後の水分量をFT-NIR計測」、「【サンプル】ナノイー/当社2020年発売EH-NA9E 高浸透ナノイー/EH-NA0G」、「【施術条件】1)毛束を水に浸す 2)ドライヤーにて乾燥させる(距離10㎝、温風/TURBO)」、「●当社調べ」「●効果には個人差があります」との文章が記載 されている。 イ被控訴人表示2被控訴人表示2は、別紙2被控訴人表示目録記載2のとおりである。被控訴人表示2-1は、「水分発生量従来の18倍」との記載からなり、被控訴人表示2-2の中には、ナノイーデバイスからナノイーが発生している 絵と、ナノイーデバイスから高浸透ナノイーが発生している絵が左右に並べられており、これらの絵の上に被控訴人表示2-1の記載が存在する。 また、被控訴人表示2-2には、「高浸透ナノイーとは、髪への浸透性を高めたナノイーのことです。発生方式を変えることで、ナノイーの水分発生量が従来の18倍になりました。」との記載がある。これらの被控訴人表示 2-2の記載と併せると、被控訴人表示2-1は、高浸透ナノイーを発生するドライヤーのナ を変えることで、ナノイーの水分発生量が従来の18倍になりました。」との記載がある。これらの被控訴人表示 2-2の記載と併せると、被控訴人表示2-1は、高浸透ナノイーを発生するドライヤーのナノイーデバイスからの水分発生量が、従来ナノイーを発生するドライヤーのナノイーデバイスからの水分発生量の18倍であることを意味する表示であると理解することができる。 ウ被控訴人表示3 被控訴人表示3は、別紙2被控訴人表示目録記載3のとおりである。被控訴人表示3-1は「ヘアカラーの色落ちを抑えます。」との記載、被控訴人表示3-2は「色が抜けにくい」との記載である。被控訴人表示3-3には、「ヘアカラーの退色抑制効果」との記載と、これを示したものとされるグラフが含まれる。このグラフは、縦軸が「ヘアカラーした毛髪色の変 化(色差)」とされ、記載された数値は、上が0で、下が2で、0.5刻み で数値が記載されているが、単位は記載されておらず、数値の左側に、上矢印とともに「色が抜けにくい」、下矢印とともに「色が抜けやすい」と記載されている。横軸は、「洗髪・乾燥処理回数(回)」とされ、左から右に向けて10、20、30の数値が記載されている。グラフは、被控訴人商品に関する線とイオン無しのドライヤーに関する線が記載され、前者が後 者よりも上部に線が引かれていて、前者に「色が抜けにくい」との記載(被控訴人表示3-2)が付されている。 エ被控訴人表示4被控訴人表示4は、別紙2被控訴人表示目録4記載のとおりであり、右側には、「高浸透ナノイー&ミネラル搭載新ヘアードライヤーナノケアに よってキューティクルの密着性が高まるので、ブラッシングなどの摩擦ダメージを抑えます。使い続けることで、なめらかな指通りに。」、「【モデル試験方法 ミネラル搭載新ヘアードライヤーナノケアに よってキューティクルの密着性が高まるので、ブラッシングなどの摩擦ダメージを抑えます。使い続けることで、なめらかな指通りに。」、「【モデル試験方法】毛束を洗浄、ドライヤーにて乾燥した後(約1分30秒)、約1,000回くしで髪をとかし加速試験。」「●当社調べ」「●効果には個人差があります」と記載されている。同表示左側には、「高浸透ナノイー&ミネラ ル」の場合の毛髪先端部(毛先)の拡大写真とされる画像と、「イオンなし」の場合の毛髪先端部の拡大写真とされる画像が掲載され、前者の画像上部には「傷みがなく美しい毛先」と、後者の画像上部には「毛先がささくれ傷んで枝毛に」と、それぞれ記載されている。各画像は、それぞれの画像に付された記載のとおり、「高浸透ナノイー&ミネラル」の画像は傷みのな い毛髪先端部の写真であり、「イオンなし」の画像は毛先が傷んで枝毛となっている写真である。なお、上記各画像は、走査電子顕微鏡(SEM)で撮影された写真であり、平成30年に発売されたEH-NA9A(高浸透ナノイーでないナノイーを放出する機種)を用いて行われた実験の際に撮影されたものであり、これらの写真は、令和元年に発売されたEH-NA0B及び令和 2年に発売された前機種に関する広告表示でも使用された(乙51、53 の1~3、55、56、弁論の全趣旨)。 オ被控訴人表示5被控訴人表示5は、別紙2被控訴人表示目録記載5のとおりである。被控訴人表示5-2には、「枝毛発生率の差」に関する棒グラフが含まれ、縦軸には上から40、30、20、10、0の数字が記載されているが、単 位の記載はない。グラフは高浸透ナノイーを放出するドライヤーのものと、イオン無しのドライヤーのものが記載され、前者が3. 、縦軸には上から40、30、20、10、0の数字が記載されているが、単 位の記載はない。グラフは高浸透ナノイーを放出するドライヤーのものと、イオン無しのドライヤーのものが記載され、前者が3.0、後者が30. 7との数値が記載されており、後者の右上端から前者の左上端に向けて矢印が引かれ、「摩擦ダメージを抑制」(被控訴人表示5-1)と記載されており、高浸透ナノイーを放出するドライヤーの方が、摩擦ダメージが抑制 されて、枝毛発生率が低いことを示すグラフであると理解される。グラフの右側には、当初、「【試験方法】」として、「高浸透ナノイー搭載ヘアードライヤーナノケアを使用した場合とイオン無しドライヤーを使用した場合のキューティクル維持率の比較。ブリーチ処理した毛束の洗髪、ドライヤー乾燥、コーミングを繰り返し実施。60回洗髪ごとにブリーチ処理し、 180回まで実施。キューティクル枚数を計測し、維持率を算出。毛髪のキューティクル維持率を比較。」との記載があったが、被控訴人は、本件訴訟が提起された後、被控訴人表示5について、上記記載を削除した内容に変更した(乙10、弁論の全趣旨)。 ⑷ 控訴人が被控訴人各表示について行った検証試験 ア控訴人は、本件訴訟提起時に、被控訴人各表示について、次のとおり検証試験を行った。 (ア) 被控訴人表示1についてFT-NIR法による検証試験(甲5の3「2、」、以下「提訴時検証試験1-1」という。)、KF法(カールフィッシャー法)による検証試験(甲5の3「3、」、以下「提訴時検証試験 1-2」といい、提訴時検証試験1-1及び1-2を併せて「提訴時検 証試験1」という。)(イ) 被控訴人表示2について水分量測定試験(甲4、以下「提訴時検証試験2」という。)(ウ) 被控訴人表 」といい、提訴時検証試験1-1及び1-2を併せて「提訴時検 証試験1」という。)(イ) 被控訴人表示2について水分量測定試験(甲4、以下「提訴時検証試験2」という。)(ウ) 被控訴人表示3について髪の色の変化に関する検証試験(甲6、以下「提訴時検証試験3」という。) (エ) 被控訴人表示4について毛先状況に関する検証試験(甲7、以下「提訴時検証試験4」という。)(オ) 被控訴人表示5について枝毛発生率の分析に関する検証試験(甲8、以下「提訴時検証試験5」といい、提訴時検証試験1ないし5を併せて「提訴時検証試験」という。) イ控訴人は、提訴時検証試験が信頼性に欠けると判断した原判決後、試験条件を見直し、必要に応じて修正し、次のとおり追加の検証試験を行った。 (ア) 被控訴人表示1について毛髪中の水分量評価に関する検証試験(甲34、以下「控訴時検証試験1」という。)(イ) 被控訴人表示2について水分量測定試験(甲37の1、2、以下「控訴 時検証試験2」という。)(ウ) 被控訴人表示3について髪色の変化に関する検証試験(甲29、以下「控訴時検証試験3」という。)(エ) 被控訴人表示4、5について枝毛の分析に関する検証実験(甲33、以下「控訴時検証試験4」といい、控訴時検証試験1ないし4を併せて「控 訴時検証試験」という。)⑸ 乙57添付の実験結果報告書等被控訴人は、被控訴人各表示が実験に基づくものであることを裏付けるためのバックアップの証拠として、当審において乙57を提出した。乙57は、当審の審理に対応するために、被控訴人の営業秘密が含まれる乙57の別紙 を任意に開示することの許可を求める被控訴人社内の決裁文書(決裁願)で あり、乙57の別紙として、被控訴人が、被控訴人 当審の審理に対応するために、被控訴人の営業秘密が含まれる乙57の別紙 を任意に開示することの許可を求める被控訴人社内の決裁文書(決裁願)で あり、乙57の別紙として、被控訴人が、被控訴人各表示が実験に基づくことを示すと主張する文書がつづられている。具体的には、乙57の別紙1は業務手順書、別紙2は実験結果検証資料、別紙3は訴求エビデンス確認(以下「訴求エビデンスシート」という。)である(以下、これら乙57の別紙1ないし3を併せて「乙57添付の実験結果報告書等」という。)。 3 争点被控訴人各表示の品質誤認該当性 4 争点に関する当事者の主張〔控訴人の主張〕⑴ 控訴人の行った検証試験に基づく被控訴人各表示の検討 ア控訴人の行った検証試験の信頼性提訴時検証試験と控訴時検証試験の結果は異ならず、このことは、提訴時検証試験を含め、控訴人が行った検証試験が信頼できることを示しており、被控訴人各表示が品質誤認表示であることを裏付けるものである。 品質誤認表示(不競法2条1項20号)は、商品の広告が品質を誤認さ せるものであるかどうかについて、消費者を基準とする。したがって、広告を検証する側は、検証試験に当たり、①表示に記載又は併記された試験条件が明確である場合にはそれに従い、②試験条件が曖昧な場合や不十分な場合には消費者の視点に立って常識的にこれを解釈して具体的な試験条件を設定し、③記載されていない試験条件については消費者の視点に立 って合理的な試験条件を設定すべきであり(以下、この考え方を「本件規範」といい、上記①ないし③の各規範を「本件規範①」などという。)、広告を表示する側が本件規範②や本件規範③から外れた試験条件を設定して得られた結果を広告に表示しているときは、当該広告は品質誤認表示 範」といい、上記①ないし③の各規範を「本件規範①」などという。)、広告を表示する側が本件規範②や本件規範③から外れた試験条件を設定して得られた結果を広告に表示しているときは、当該広告は品質誤認表示に該当するというべきである。控訴人が後記の提訴時検証試験及び控訴時検 証試験において設定し、実施した試験条件は、いずれもこれに沿ったもの である。 イ控訴人が被控訴人表示1について行った検証試験に基づく被控訴人表示1の検討(ア) 被控訴人表示1に関する提訴時検証試験1-1は、五つの毛束を水に浸漬させた後に被控訴人商品で乾燥するという処理を行う前後で、FT -NIR法(近赤外分光分析法、甲5の3では、「フーリエ変換近赤外線スペクトル実験」と呼ばれている。)を用いて、毛髪のスペクトルを測定し、学術論文で開示されている方法に従い、そのスペクトルから水分に相当すると考えられるデータを算出した(サンプル群)。また、別の五つの毛束について、従来ナノイードライヤー(従来ナノイーを吹き出すド ライヤー。以下、同じ。)で同様の処理をする前後でも上記測定及び算出を実施した(コントロール群)。 上記のいずれの試験においても、FT-NIR法による試験結果は、被控訴人商品を用いた場合も従来ナノイードライヤーを用いた場合も、水分がわずかに増加したことを示唆するものであった。しかし、以下の aないしcのとおり、FT-NIR法は、被控訴人表示1を裏付けるための試験としては全く不適切なものである。 aFT-NIR法は、髪全体に含まれる水分量を直接測定する方法ではない。すなわち、毛髪表面は赤外線を強く吸収する性質を有するため(甲34本文及び引用文献②、⑪、⑫)、FT-NIR法では、試験 した毛髪の一部(表面)の水分に関するデータ 直接測定する方法ではない。すなわち、毛髪表面は赤外線を強く吸収する性質を有するため(甲34本文及び引用文献②、⑪、⑫)、FT-NIR法では、試験 した毛髪の一部(表面)の水分に関するデータを得ることができるのみである。したがって、FT-NIR法は、様々な繊維の表面の水分の存在を推定するためにのみ使用できるだけで、毛髪全体や各毛髪繊維の内部領域の水分に関するデータを得ることはできないし、まして直接水分量を測定することができるものではない。したがって、被控 訴人が、FT-NIR法を用いて被控訴人商品が毛髪内部の水分を増 加させると結論付けたことは、誤解を招くものである。 b 学術論文によれば、乾燥した髪を水にさらした際の水分を推定するためにFT-NIR法の使用が認められているが(甲34の引用文献⑩)、水を加えてから乾燥させた髪の水分の推定にFT-NIR法を使用することは、学術論文に記載されているものではない。 cKF法の結果とFT-NIR法の結果が矛盾しているのは、乾燥過程において、髪の内部と表面の水分に変化が起こることが起因していると考えられる(甲34(実験報告書)本文12、13頁及び引用文献⑤)。 KF法は、通常、様々な材料に含まれる水分量を測定するために用 いられるものであり、毛髪を含め材料に含まれる水分量を直接的に計測することができるから、FT-NIR法より適切な試験方法である。 控訴人は、提訴時に、五つの毛束(FT-NIR法で用いられたのと同様の性質の毛束)について、それぞれ、被控訴人商品及び従来ナノイードライヤーで処理する前後でKF法を用いて水分増加量を測定し た(提訴時検証試験1-2)。また、控訴人は、試験環境の設定(温度23〜24℃、湿度52〜54%RH(相対湿度))を制御し、 ノイードライヤーで処理する前後でKF法を用いて水分増加量を測定し た(提訴時検証試験1-2)。また、控訴人は、試験環境の設定(温度23〜24℃、湿度52〜54%RH(相対湿度))を制御し、各サンプルサイズを2倍にして、被控訴人表示1に関する控訴時検証試験1を実施した(甲34)。KF法による試験結果は、サンプル群とコントロール群の両方で水分量が減少したことを明確に示しており、被控訴 人表示1とは全く逆の結果となった。したがって、被控訴人表示1は、品質について誤認を生じさせるものである。 (イ) 被控訴人表示1の試験条件の欄には具体的な乾燥時間が明記されておらず、「乾燥」の定義も記載されていないから、被控訴人表示1に接した消費者は、被控訴人商品、EH-NA9E及びイオン無しドライヤーを用い て、毛髪を一般的な意味で「乾燥」させたとしか考えない。すなわち、 被控訴人表示1は、被控訴人商品で毛髪にうるおいを与えることができることを広告するものであることから、洗髪時の水分が残っていることを指すものではないと考えるのが通常であり、処理前の毛髪の水分量と同じ水分量に戻った時点以降の状態を指すと解するべきである。つまり、表示を見た消費者からすると、洗髪時の水分が残っている状態や所定の 乾燥時間でなければ表示に記載された効能が得られないとはよもや思わないということである。仮に、「乾燥」をそれ以外の意味で用いるのであれば、被控訴人表示1にそのような注記がなされるべきであるが、そのような注記は特にないし、乾燥時間の指定もない以上、上記のように一般的な意味に解するほかない。そして、乙43(被控訴人の検証実験 報告書)によれば、KF法で計測すると、被控訴人商品を用いて毛髪を乾燥させた場合、70秒を超えると水分増加量はマ 上記のように一般的な意味に解するほかない。そして、乙43(被控訴人の検証実験 報告書)によれば、KF法で計測すると、被控訴人商品を用いて毛髪を乾燥させた場合、70秒を超えると水分増加量はマイナスになるのだから、乾燥時間約70秒で乾燥状態が開始することになる。被控訴人表示1に乾燥時間を明記していない以上、検証する側としては、上記の乾燥状態開始の時点以後の時点(70秒以上)を乾燥時間として設定しさえ すれば科学的には正しいことになる。また、被控訴人表示4には、「乾燥した後」に続けて「(約1分30秒)」との記載があることから、乾燥時間を約1分30秒とすることは消費者の認識にも合致する。控訴人は、提訴時検証試験1では乾燥時間を120秒と設定し、控訴時検証試験1では90秒と設定しており、科学的にも、消費者の観点からも正しいも のである。 (ウ) 被控訴人表示1は、被控訴人商品が、従来ナノイードライヤーに比べて、毛髪に与える水分の増加量が1.9倍となっているため、毛髪に対して1.9倍のうるおいを与えるというものである。しかし、提訴時検証試験2によれば、被控訴人商品のイオン吹出口からの水分発生量は、 従来ナノイードライヤーの1.36倍程度に過ぎず、それにもかかわら ず、毛髪に与える水分増加量が1.9倍になるというのは明らかに矛盾する。実際に被控訴人商品を使用する際にはイオン吹出口からの水分が送風口からの送風(熱風)の影響を受けて乾燥し蒸発することを考えれば、なおのことである。 (エ) そうすると、控訴人が行った検証試験によれば、被控訴人表示1は、被 控訴人商品の品質を誤認させる表示に該当する。 ウ控訴人が被控訴人表示2について行った検証試験に基づく被控訴人表示2の検討(ア) 被控訴人商品のようなナノ によれば、被控訴人表示1は、被 控訴人商品の品質を誤認させる表示に該当する。 ウ控訴人が被控訴人表示2について行った検証試験に基づく被控訴人表示2の検討(ア) 被控訴人商品のようなナノイーを発生させるドライヤーのイオン吹出口から出る水分量は非常に微量であり、このような微量な水分を計測 する一般的な技術は確立しておらず、被控訴人も、被控訴人表示2の根拠となる測定方法を明らかにしていない。そこで、控訴人は、シリカゲルの吸水性能に着目し、閉鎖系にシリカゲルを配置して、従来ナノイードライヤーと被控訴人商品の水分発生量を比べる提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2を行った。 被控訴人商品の水分発生量を計測するためにシリカゲルを用いた試験を実施した点については、水分を吸着するというシリカゲルの常識的な知識ともいえる化学的性質に着目したものであり、水分を計測する上で最も基礎的な方法であって、消費者からしても極めて合理的な試験方法である。このため、この方法を採用したことに疑問を差し挟む余地はな い。 また、本件規範③によれば、広告を表示する側は、試験条件を記載しないのであれば、その試験条件を消費者からして合理的なものに設定すべきである。しかるに、被控訴人が試験条件として空気中の水分による影響を排除しており、その結果水分発生量が18倍になっているのだと すると、その試験条件は、実際の使用環境とは大きく異なるものである ため、消費者の視点から見て合理的な試験条件とはいえない。 (イ) 被控訴人表示2に関する提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2は、いずれもシリカゲル法によるものであり、被控訴人商品及び従来ナノイードライヤーのイオンポートからの風を、フィルム(提訴時検証試験2:PVDCフィルム(いわゆるラップ 証試験2及び控訴時検証試験2は、いずれもシリカゲル法によるものであり、被控訴人商品及び従来ナノイードライヤーのイオンポートからの風を、フィルム(提訴時検証試験2:PVDCフィルム(いわゆるラップフィルム)、控訴時検証試験2:PVFフ ィルム(高い撥水性能を有するフィルム))を用いてシリカゲルを入れたデシケータに吹き付け、実験系を構築したものである。イオン口とフィルム、フィルムとデシケータ入口は密着させているものの、系内の気体が系外に漏えいしないわけではないが、試験中、フィルムが常に膨らんでおり、系内は、常に陽圧を保たれており、系外から系内への気体の流 入を許さない閉鎖系が構築されている。 原判決は、シリカゲル法について、①ラップフィルム(PVDCフィルム)に吸着する水分の影響、②実験系内に流入する水分の影響、及び、③計量時の水分の影響について問題があると批判している。しかし、控訴時検証試験2の報告書(甲37の1)に記載があるように、原判決の 上記①ないし③の批判はいずれも当たらない。もっとも、控訴人は、原判決の上記批判を受けて、撥水素材であるPVFフィルムを用いた導入管を採用し、再度、シリカゲル法にて控訴時検証試験2を実施した。その結果、提訴時検証試験2の結果に比べ、若干吸収水分量が上がったものの、被控訴人商品と従来ナノイードライヤーの比率は最大1.17倍程 度であり、被控訴人表示2が18倍という数値を表示していることを考えると、控訴時検証試験2の結果は、1.21~1.36倍という提訴時検証試験2の結果の信頼性が十分なものであったことを示している。 また、原判決で批判が示された閉鎖系についても、写真を撮影して明確にしているとおり(甲37の1・11頁)、実際に、ドライヤーのスイッ チをOFFからONにす 分なものであったことを示している。 また、原判決で批判が示された閉鎖系についても、写真を撮影して明確にしているとおり(甲37の1・11頁)、実際に、ドライヤーのスイッ チをOFFからONにすることによって、フィルムで形成された導入管が しぼんだ状態から膨らんだ状態に変化しており、系内が陽圧状態に保たれていることが一目瞭然である。したがって、控訴時の検証試験時においても試験系が陽圧状態にあり、系外からの気体の流入の影響を受けない閉鎖系が構成されている。 (ウ) 被控訴人は、後記〔被控訴人の主張〕⑴ウのとおり、控訴人の検証試 験におけるシリカゲル法では、考慮すべき複数の変数が考慮されていないため、試験の正確性が担保されていない旨主張する。しかし、被控訴人は、これらの変数が試験結果にどのように影響するのかを具体的に立証しておらず、そもそも主張として失当である。また、控訴人は、控訴時検証試験2において、被控訴人が指摘する変数を全て誤差因子として 考慮し、複数回試験を実施した上で統計処理を行っており、得られた倍率が統計的に有意なものであることを立証している。さらに、提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2のいずれも、ドライヤーAとBの比較では、水分量が1.31倍にしかなっていない。被控訴人表示2によれば、本来18倍の差があるということだが、ドライヤーAにのみ、何らかの 誤差因子が16.69倍分の水分に影響したということはあり得ない。 個別に検討しても、被控訴人が挙げる変数はいずれも試験結果に影響を与えるものではない。 (エ) そうすると、控訴人が行った検証試験によれば、被控訴人表示2は、被控訴人商品の品質を誤認させる表示に該当する。 エ控訴人が被控訴人表示3について行った検証試験に基づく被控訴人表示3の検 そうすると、控訴人が行った検証試験によれば、被控訴人表示2は、被控訴人商品の品質を誤認させる表示に該当する。 エ控訴人が被控訴人表示3について行った検証試験に基づく被控訴人表示3の検討(ア) 被控訴人表示3に関する提訴時検証試験3では、被控訴人表示3に表示されている実験条件及び工業標準の色差式CIEDE2000を用いて、カラーリングした五つの毛束について、処理(洗髪及び被控訴人商品による 乾燥)前、5回の処理後、15回の処理後及び30回の処理後の四つの 時点で、根元付近、中央付近及び毛先付近の3か所の色の変化を較正された色差計で計測した。同様の処理を、被控訴人が自身のウェブサイトで「ノンイオンドライヤー」として広告表示し、販売している型番EH-ND2Bのドライヤーを用いて行い、同じく較正された色差計で計測した。 提訴時検証試験3の報告書である甲6によれば、被控訴人商品で処理 したサンプル群とノンイオンドライヤーで処理したコントロール群(対照群)との間には、統計的に有意な差は認められなかった。したがって、サンプル群もコントロール群も、洗髪/乾燥サイクルの増加に伴って色変化の程度が増加することが認められるものの、サンプル群がコントロール群に比べて色変化の程度が緩やかであったとはいえない。 原判決は、被控訴人が主張したように、提訴時検証試験3で比較対象として使用したEH-ND2Bが、高浸透ナノイーの有無以外にも風量等の機能において異なることが窺われるなどとして、提訴時検証試験3が比較対象の選定において適切でないと判断した。しかし、風量が約1.5㎥/分である被控訴人商品に関する被控訴人各表示は、風量が1.3㎥ /分である前機種の広告表示と、その性能を示す数値が一致していた。 すなわち、被控訴 切でないと判断した。しかし、風量が約1.5㎥/分である被控訴人商品に関する被控訴人各表示は、風量が1.3㎥ /分である前機種の広告表示と、その性能を示す数値が一致していた。 すなわち、被控訴人は、被控訴人各表示について、被控訴人商品の風量が前機種の風量と異なるにもかかわらず、被控訴人商品の広告表示を前機種の広告表示と全く同じにしていたのであり、風量が異なる二つの商品が同じ結果をもたらすと消費者に伝えているにもかかわらず、本件訴 訟では、提訴時検証試験3について、風量の違いを理由として、検証試験の結果が信用できないと主張しており、不当である。 また、原判決の上記説示は、要するに、被控訴人表示3に表示されている「イオンなしドライヤー」は、被控訴人商品について高浸透ナノイーが機能していない形態で使用した場合とすべきであるということであ る。しかし広告表示の内容を解釈するに当たっては、一般消費者の視点 を基準とすべきであり、被控訴人のホームページでは、EH-ND2Bは「ノンイオンドライヤー」として販売されているから(甲18)、一般消費者が被控訴人表示3(後述する被控訴人表示4及び5も同様)に接した場合、「イオンなしドライヤー」について、イオン吹出口が塞がれた被控訴人製品(高浸透ナノイーが機能しない形態で使用する場合)と解釈する ことはなく、これをEH-ND2Bと同義と考える。また、被控訴人商品の取扱説明書では、高浸透ナノイー機能をオフにして使用することができない仕様となっていることも上記解釈が正しいことを示している。これらの事情からすると、一般消費者において、「イオンなしドライヤー」をイオン吹出口を塞いだドライヤーと解釈する者はおらず、原判決の判断は、 一般の消費者の解釈からあまりにもかけ離れたものである らの事情からすると、一般消費者において、「イオンなしドライヤー」をイオン吹出口を塞いだドライヤーと解釈する者はおらず、原判決の判断は、 一般の消費者の解釈からあまりにもかけ離れたものである。 (イ) 原判決で述べられた批判を受けて、控訴人は、控訴に際し、「イオンなしドライヤー」について、EH-ND2Bを使用するのではなく、イオン吹出口を塞いだ被控訴人商品(被控訴人商品を高浸透ナノイーが機能していない形態で使用した場合)として、被控訴人表示3に関する控訴時検証 試験3を実施したが、控訴時検証試験3の結果は、提訴時検証試験3の結果と同じであった。具体的には、T1(5サイクル)及びT2(15サイクル)において、サンプル群とコントロール群との間の色の変化に統計的有意差は認められず、T3(30サイクル)においてサンプル群はコントロール群と比較すると統計的に優位な色の変化を示したもの の、両群間の色の変化の比率は、被控訴人表示3で示されたものよりはるかに少なかった。 被控訴人は、乙22(被控訴人の検証実験報告書)及び乙23(被控訴人の検証実験の動画)を根拠に、イオン吹出口を塞いだ場合には、ナノサイズの水粒子がメイン吹出口から排出される可能性があると主張す るが、乙22及び23は、イオン吹出口を塞いだ場合でも高浸透ナノイ ーがメイン吹出口から排出されているということの証拠にはならないし、高浸透ナノイーが微量の水分微粒子であることを考えれば、イオン吹出口を塞いだ場合、メイン吹出口から高浸透ナノイーは全く出ていないか、少なくとも、メイン吹出口から排出された高浸透ナノイーはメイン吹出口から10㎝先にある毛髪に届くまでの間に全て蒸発するか又は拡散す るといえる。 また、被控訴人は、控訴時検証試験3で用いられた染毛 くとも、メイン吹出口から排出された高浸透ナノイーはメイン吹出口から10㎝先にある毛髪に届くまでの間に全て蒸発するか又は拡散す るといえる。 また、被控訴人は、控訴時検証試験3で用いられた染毛剤が日本において一般に販売されていない色のものであることを理由として、当該検証試験の試験条件を論難している。しかし、被控訴人表示3には、どのような染毛剤が使われたのか記載されていないから、どのような染毛剤 を用いようと科学的に誤りがない限り検証する側の自由である。控訴時検証試験3で用いられた染毛剤は、色がシャンパンレッドのものであり、日本で販売されているシャンパンピンクとは色のトーンが異なるようであるが、いずれも同じ会社から同様の毛髪をもつアジア人(乙32)向けに販売されている商品であって、試験結果に影響を与えることは考え られず、被控訴人から試験結果に影響することを示す科学的根拠も示されていない。 (ウ) そうすると、控訴人が行った検証試験によれば、被控訴人表示3は、被控訴人商品の品質を誤認させる表示に該当する。 オ控訴人が被控訴人表示4及び5について行った検証試験に基づく被控訴 人表示4及び5の検討(ア) 被控訴人表示4は、イオンなしのドライヤーで髪を乾かした場合には毛先がささくれ傷んで枝毛となるのに対し、被控訴人商品で髪を乾かした場合には傷みがなく美しい毛先になると表示するものである。しかし、被控訴人表示4記載の実験条件と同じ条件で控訴人が実施した提訴時 検証試験4の結果は、被控訴人商品で処理した場合の方がむしろイオン なしドライヤー(EH-ND2B)で処理した場合よりも枝毛が増加しており、被控訴人商品で髪を乾かした場合には傷みがなく美しい毛先になるとはいえない。 被控訴人表示5は、イオンなし ろイオン なしドライヤー(EH-ND2B)で処理した場合よりも枝毛が増加しており、被控訴人商品で髪を乾かした場合には傷みがなく美しい毛先になるとはいえない。 被控訴人表示5は、イオンなしのドライヤーで髪を乾かした場合には枝毛発生率が30.7%であるのに対し、被控訴人商品で髪を乾かした 場合には枝毛発生率が3.0%であるから、被控訴人商品はイオンなしのドライヤーに比べて髪への摩擦ダメージを抑制することができると表示するものである。しかし、控訴人が変更前の被控訴人表示5に記載されていた試験方法に基づき(この試験方法の表示は、被控訴人によって削除された。)実施した提訴時検証試験5によれば、被控訴人商品で処理 した方が、イオンなしドライヤー(EH-ND2B)で処理するよりも枝毛の発生率は低いものの、イオンなしのドライヤーでは、被控訴人表示5で記載されているような高確率で枝毛が発生しておらず、被控訴人表示5は、イオンなしのドライヤーの枝毛発生率について誤った表示をして被控訴人商品を広告することにより、消費者に対して、被控訴人商品の優 位性を誤認させている。 (イ) 被控訴人は、提訴時検証試験4及び5について、ナノイー機能以外の要因を排除するために、ナノイー機能を遮断した被控訴人商品をコントロール群にすべきと批判した。そこで、控訴人は、被控訴人表示4及び5に関する控訴時検証試験4を行ったが、控訴時検証試験3と同様に、 ナノイー機能を遮断した被控訴人商品を用いて実施した。 また、原判決は、被控訴人表示4及び5では、サンプル群とコントロール群で処理した際の枝毛を確認するために走査電子顕微鏡(SEM)が用いられており肉眼による観察では不十分であると批判した。そこで、控訴時検証試験4では、枝毛を確認する方法としてSE ル群とコントロール群で処理した際の枝毛を確認するために走査電子顕微鏡(SEM)が用いられており肉眼による観察では不十分であると批判した。そこで、控訴時検証試験4では、枝毛を確認する方法としてSEMを使用した。 被控訴人表示3について主張したとおり、風量の差異及びメイン吹出 口から微量水分が排出される懸念については、問題とならない。 さらに、被控訴人は、控訴人が検証試験を行うに際して、毛髪にブリーチ処理を施したことを論難する。しかし、被控訴人が実際にどのような毛髪を被控訴人表示4及び5の試験に用いたのかは明らかでなく、ブリーチ処理された毛髪が用いられた可能性すらあるから、どのような毛 髪を用いようと、科学的に誤りでない限り、問題はない。また、ブリーチ処理された毛髪の方がブリーチ処理されていない毛髪よりも枝毛が生じるのは科学的な常識を超えてもはや一般常識であると考えられるし、被控訴人自身も認めている(控訴答弁書24頁)。したがって、枝毛の発生確率の評価を実施するには、むしろブリーチ処理された毛髪を用いる 方が効率がよく、被控訴人表示5に記載されている「加速試験」という条件にも合致する。被控訴人は、ブリーチ処理された毛髪を用いることにより、実際にどのような科学的な誤りが生じるのか具体的かつ明確に述べていない。そのため、控訴人が控訴時検証試験4においてブリーチ処理された毛髪を用いたことに問題はない。 ブリーチ処理された毛髪の方がそうでない毛髪よりも枝毛発生の確率が高いにもかかわらず、控訴時検証試験4によれば、ブリーチ処理された毛髪をイオン無しのドライヤーで処理した場合の数値は2%にとどまり、被控訴人表示4に掲載されている30.7%という顕著な数値には至っていないのであるから、被控訴人表示4は、品質誤認表 ーチ処理された毛髪をイオン無しのドライヤーで処理した場合の数値は2%にとどまり、被控訴人表示4に掲載されている30.7%という顕著な数値には至っていないのであるから、被控訴人表示4は、品質誤認表示である。 ⑵ 乙57添付の実験結果報告書等が被控訴人各表示のバックアップとなるかア乙57添付の実験結果報告書等の作成経過等被控訴人は、乙57添付の実験結果報告書等が被控訴人各表示のバックアップとなると主張するが、次のとおり、乙57添付の実験結果報告書等は、被控訴人各表示のローンチ(公開)前に作成されていたものではない から、被控訴人各表示のバックアップとはならない。 (ア) 被控訴人が提出した乙58(被控訴人ビューティ・パーソナルケア事業部ビューティ商品部ヘアケア技術開発課課長 A の陳述書。以下「A1陳述書」という。)によれば、訴求エビデンスシートは、広告表示の裏付けとなるエビデンス(合理的な根拠)をまとめたシートをいい、取得したエビデンスが広告表示に対して科学的に妥当かつ十分である かを判断した上で、当該広告表示の使用可否を判断することを目的として作成したものであり、被控訴人において、広告が表示される前に、その広告の裏付けとなる試験の試験条件、試験方法及び試験結果、広告表示の内容並びに旧商品の広告表示を用いる場合にはその影響も検討した上で、マーケティング部門のみならず、技術開発部門及び技術管理部 門などの複数の部署の承認を経て、慎重な検討のもとに作成されるものである。このように、A1陳述書によれば、被控訴人においては、訴求エビデンスシートが作成される前に、広告表示が世の中に出ることはないということになる。このことは、広告表示の前に訴求エビデンスシート作成当時の技術水準を考慮する必要性があるこ 控訴人においては、訴求エビデンスシートが作成される前に、広告表示が世の中に出ることはないということになる。このことは、広告表示の前に訴求エビデンスシート作成当時の技術水準を考慮する必要性があることを述べていることか らも明らかである。また、訴求エビデンスシートは、当該シート作成当時の技術水準も考慮の上、各試験結果に基づき、広告表示が妥当であるかどうかを慎重に検討し、広告が表示される前の最終段階として作成されるものであるから、被控訴人において広告表示のバックアップの一部を構成する資料といえる。 しかし、被控訴人商品に関しては、令和3年7月16日にプレスリリースがローンチされており(甲62)、このプレスリリースにはヘアカラーの退色抑制効果のグラフが示されている。また、遅くとも同月18日には被控訴人商品の商品ページ内において、「高浸透『ナノイー』で髪へのうるおい1.9倍」と表示されている(甲63の1・2)。このように、 少なくとも、同月16日に被控訴人表示3が、同月18日に被控訴人表 示1が、それぞれローンチされている。また、商品ページの先の商品の特徴を示す詳細ページも同日にローンチされていると考えられるから、被控訴人各表示は、遅くとも同日にローンチされているといえる。しかし、乙57の別紙3の訴求エビデンスシートの作成日は、その押印の下にある日付をみると同年8月2日である。つまり、訴求エビデンスシー ト作成日よりも前に被控訴人各表示がローンチされている。 したがって、A1陳述書の内容は、上述した被控訴人各表示がローンチされた後に乙57の別紙3の訴求エビデンスシートが作成されているという事実と矛盾するものであり、A1陳述書の内容には信用性がない。 A1陳述書は上記訴求エビデンスシートを含む乙57の信用性を ーンチされた後に乙57の別紙3の訴求エビデンスシートが作成されているという事実と矛盾するものであり、A1陳述書の内容には信用性がない。 A1陳述書は上記訴求エビデンスシートを含む乙57の信用性を担保 する機能も有していることからすると、A1陳述書に信用性がない以上、乙57は信用できるものではなく、乙57添付の実験報告書等は被控訴人各表示のバックアップとなり得ない。 (イ) 仮に、A1陳述書に信用性が認められるとしても、前述のとおり、乙57の別紙3の訴求エビデンスシートは、被控訴人において広告表示を行 う上で必須の資料ということになることから、被控訴人各表示のバックアップを構成しうる必須の資料ということになる。 被控訴人は、被控訴人各表示がローンチされた時点(令和3年7月18日)で、消費者にバックアップを有しているであろうとの認識を抱かせるものであるから、その時点でバックアップを保有している必要があ った。 ところが、上記訴求エビデンスシートが作成されたのは被控訴人各表示がローンチされた後であるから、被控訴人各表示がローンチされた時点ではバックアップを保有していなかったことになる。また、A1陳述書によれば、上記訴求エビデンスシートは、ローンチされる前に慎重に 検討作成される必要があるということであるから、後付けで帳尻を合わ せるために作成されればよいという種類の書類ではなく、仮に、訴求エビデンスシートなしに被控訴人各表示がなされた後に、上記訴求エビデンスシートが作成されたのだとしても、被控訴人各表示がバックアップを備える状態に回復することにはならない。 したがって、万が一、A1陳述書に信用性が認められるとしても、被控 訴人各表示は、バックアップを欠いており品質誤認表示である。 イ乙57添付 アップを備える状態に回復することにはならない。 したがって、万が一、A1陳述書に信用性が認められるとしても、被控 訴人各表示は、バックアップを欠いており品質誤認表示である。 イ乙57添付の実験結果報告書等の科学的合理性の有無乙57添付の実験結果報告書等は、次のとおり、科学的に合理性を欠いており、それらによって被控訴人各表示がバックアップを備えているとはいえない。 (ア) 被控訴人表示1について前記⑴イ(ア)のとおり、FT-NIR法では、毛髪内部の水分まで計測できないから、FT-NIR法によって測定した結果を示す被控訴人表示1は品質誤認表示に当たる。 前記⑴イ(イ)のとおり、被控訴人表示1を検証する上では、乾燥時間と して70秒以上を設定しさえすればよく、控訴人の実施した検証試験(提訴時検証試験1は120秒、控訴時検証試験1は90秒)は科学的に正しいものであり、かつ、消費者の観点からも正しいものである。そして、これらの検証試験の結果は、毛束を「乾燥させ」た場合には、その毛束の水分量は増えないことを示している。したがって、毛髪の水分が増加 するという乙57の別紙2「EH-NA0Gにおける毛髪水分増加量増加可能性検証」(乙57の28頁)の被控訴人表示1に関する裏付け試験の結果は、少なくとも科学的に正しいとはいえず、被控訴人は、被控訴人表示1についてバックアップを有しているとはいえない状態にある。なお、乙57の別紙1業務手順書「毛髪水分増加量評価」ページ2/4(乙5 7の4頁)に「イオン発生なしの各仕様のドライヤにおいて、毛束を乾 燥させるために必要な時間を設定する」と記述されていることからすると、被控訴人においては、何らかの方法によって乾燥状態開始時点を特定するとともに、それ以後の時点を ドライヤにおいて、毛束を乾 燥させるために必要な時間を設定する」と記述されていることからすると、被控訴人においては、何らかの方法によって乾燥状態開始時点を特定するとともに、それ以後の時点を乾燥時間として設定し、FT-NIR法により被控訴人が主張する水分増加量を観察することで、「乾燥させた毛髪」でありながら、「水分増加量」が認められることを表示している のだと推測される。しかし、当該乾燥時間では、科学的に正しいKF法によれば、毛髪水分量がマイナスになるのだから、このような表示が品質誤認表示に当たることは論をまたない。 (イ) 被控訴人表示2について●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●したがって、乙57の29頁に記載された被控訴人表示2に関する試験結果は信用性に疑義があるこ とになる。 また、提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2の結果からしても、乙57の29頁の試験結果は、科学的に合理的なものではなく、信用性がない。 したがって、被控訴人表示2は、バックアップを備えているとはいえ ないから、品質誤認表示である。 (ウ) 被控訴人表示3について被控訴人表示3は、被控訴人商品を使うことで、ヘアカラーの退色を抑制することを表示するものである。他方で、被控訴人がバックアップと称する乙57の別紙2「高浸透『ナノイー』&ミネラルによるカラー リング退色抑制効果検証」(乙57の30頁)には、ヘアカラーではなく、白髪染め るものである。他方で、被控訴人がバックアップと称する乙57の別紙2「高浸透『ナノイー』&ミネラルによるカラー リング退色抑制効果検証」(乙57の30頁)には、ヘアカラーではなく、白髪染めを用いた試験しか実施されていないことが記載されている。しかし、白髪染めとヘアカラーでは、メラニン色素に作用する脱色剤の量、脱色剤とカラー材の配合割合等の点で成分が異なる(甲57~60)。したがって、乙57添付の実験結果報告書等は、被控訴人表示3のバック アップ資料とはなりえない。 また、控訴人の控訴時検証試験3の結果、被控訴人商品を用いても、乙57の30頁のようなヘアカラーの退色抑制効果は確認されなかった(甲29)。したがって、乙57の30頁の記載に科学的合理性があるとはいえず、被控訴人表示3にバックアップがあるという主張は少なくとも真偽不明となっている。バックアップを有していることの立証責任は、 広告主たる被控訴人にあるから、被控訴人表示3は、品質誤認表示となる。 (エ) 被控訴人表示4について被控訴人表示4は、被控訴人商品で処理した場合とイオン無しドライヤーで処理した場合の毛髪の先端の写真を示すものである。乙53(枝 番号をすべて含む。以下、同じ。)及び56によれば、従来ナノイーを放出するEH-NA9Aで処理された際の毛髪の先端の写真が、継続して、EH-NA0B、前機種及び被控訴人商品の広告表示に用いられているということである。しかし、EH-NA9Aは、EH-NA0B以降の商品とは異なり高浸透ナノイーデバイスを搭載したドライヤーではないし、被控訴人商品と は風量も異なる。したがって、乙53及び56は、被控訴人表示4のバックアップ足りえず、被控訴人表示4は品質誤認表示に当たる。 被控訴人は、平成30年 したドライヤーではないし、被控訴人商品と は風量も異なる。したがって、乙53及び56は、被控訴人表示4のバックアップ足りえず、被控訴人表示4は品質誤認表示に当たる。 被控訴人は、平成30年にEH-NA0Bでも試験を実施しており、EH-NA9Aとの相違が認められなかったことから、EH-NA9Aで処理した際の写真を継続して用いているということである。 被控訴人の試験では、顕微鏡で枝毛の有無を確認した上で、①毛先の損傷レベルを数値化し、②毛髪ダメージが大きい順に並べ替える、③ダメージ度合いが中心値のものを比較画像とするとのことである(乙57の別紙1業務手順書「枝毛発生率評価」ページ5/5(乙57の26頁))。 しかし、EH-NA0Bでも(乙56)、EH-NA9Aでも(乙53の3)、従来 ナノイー機能のドライヤーで処理した毛髪の毛先の画像には、どうみて も枝毛は生じていない。それゆえ、これらの画像を、上記③のダメージ度合いが中心値のものを比較画像とする際の比較画像としているとは考えられない。したがって、乙53及び56は、被控訴人が被控訴人各表示に係る根拠資料であるとする乙57に記載の手順に沿っていない。そうであるならば、乙53及び56は、被控訴人表示4のバックアップた りえず、これにより被控訴人表示4はバックアップを欠くことになるから、被控訴人表示4は品質誤認表示である。 (オ) 被控訴人表示5について被控訴人表示5は、「枝毛発生率の差」についての表示である(甲2)。 「枝毛発生率の差」の真下には、2本の棒グラフがあり、それぞれ0か ら40までの10刻みの目盛りに「30.7」と「3.0」と単位の表示なしに表示されている。また、グラフの右には、「枝毛発生率も低減」と表示されている。この表示に消費者が接 あり、それぞれ0か ら40までの10刻みの目盛りに「30.7」と「3.0」と単位の表示なしに表示されている。また、グラフの右には、「枝毛発生率も低減」と表示されている。この表示に消費者が接した場合、各ドライヤーにて処理した際に枝毛が発生した確率、すなわち、「枝毛本数/総本数」が「30.7%」と「3%」になると認識するのが通常であり、「30.7」と 「3.0」がそれ以外の意味をもつと考えることはない。この点は、乙57の別紙1業務手順書「枝毛発生率評価」ページ3/5(乙57の24頁)に、枝毛発生率は「枝毛本数/総本数」を意味すると定義されていることからも明らかである。したがって、被控訴人表示5は、「枝毛発生率」として、「30.7%」と「3.0%」であることを示す表示であ る。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● したがって、被控訴人表示5は、「枝毛発生率」として「30.7%」 と「3.0%」であることのバックアップを明らかに欠いていることから、品質誤認表示である。 ⑶ 被控訴人各表示による前機種の広告表示の流用の適否被控訴人は、被控訴人各表示において、被控訴人商品とは風量の異なる前機種の広告表示を流用している。消費者は、被控訴人各表示に被控訴人商品 とは性能の異なる旧型の商品の広告表示が流用されているなどと考えないのが通常である。被控訴人は、被控訴人商品の裏付け試験において、旧型の商品に比べて有利な試験結果が得られているのだから、旧型の商品の広告表示を流用しても何らの問 告表示が流用されているなどと考えないのが通常である。被控訴人は、被控訴人商品の裏付け試験において、旧型の商品に比べて有利な試験結果が得られているのだから、旧型の商品の広告表示を流用しても何らの問題もないと考えているのかもしれないが、これによって、消費者が安価な旧型の商品に誘導される可能性もあり、被控訴人におい て旧型の商品の在庫を処理したいなどの事情がある場合には、誤った広告表示によって消費者の選択に影響を与え、広告主である被控訴人を利することになる可能性もあるから、このような表示が品質誤認表示に該当することは明らかである。したがって、被控訴人商品の消費者の認識を基準とすると、被控訴人各表示に旧型の商品の広告表示が流用されている点で、被控訴人各 表示は品質誤認表示に当たる。 被控訴人各表示は、風量の異なる前機種に係る広告表示と同じ数値になっており、被控訴人において前機種の広告表示を用いて型番のみを被控訴人商品に修正したにすぎないと考えられ、被控訴人が、被控訴人商品を販売し、宣伝広告するに際し、裏付けとなる試験を実施していないことは確かである。 〔被控訴人の主張〕⑴ 控訴人の行った検証試験に基づく被控訴人各表示の検討に対しア控訴人の行った検証試験の信頼性に対し控訴人による提訴時検証試験は、その実験方法及び条件設定に問題があるため、その結果に信用性はなく、やり直した検証試験の結果が提訴時検 証試験の結果と類似すれば提訴時検証試験の結果の信用性が復活すると いう関係にはない。控訴人が控訴審に至っても提訴時検証試験の結果を未だ援用していることは、実験方法・条件設定の重要性に対する理解を欠くものであり、控訴人による控訴時検証試験についても、そこで適切な評価・検証がされたとは考えられない。 控訴時 時検証試験の結果を未だ援用していることは、実験方法・条件設定の重要性に対する理解を欠くものであり、控訴人による控訴時検証試験についても、そこで適切な評価・検証がされたとは考えられない。 控訴時検証試験の内容を見ると、考慮した問題点は、原判決及び被控訴 人から指摘されたものの一部でしかなく、自らに都合よく条件設定を行ったと取られてもやむを得ない。このことは、控訴時検証試験に関する各実験報告書の信用性を疑わせるものであり、控訴人による控訴時検証試験において、適切な評価・検証がされたとは期待できない。 イ控訴人が被控訴人表示1について行った検証試験に基づく被控訴人表示 1の検討に対し(ア) 控訴人は、FT-NIR法が毛髪の表面しか測定できず、毛髪内部の水分に言及する被控訴人表示1の測定手法として不適切だと論難するが、控訴人自身、「光は毛髪のある深さまでしか透過せず、それ以上の透過光の情報は収集されない」(控訴理由書23頁)と、「毛髪内部」の水 分量自体も一定程度測定可能である旨も主張している。また、控訴人が依拠する甲34(実験報告書)は、FT-NIR法の測定結果が毛髪内部の水分量を反映していないと述べる箇所で引用する論文は、ことごとく論文の本文ではなく脚注で述べられているものにすぎず、当該論文そのものによる裏付けがない。このように、毛髪内部の水分に言及する被 控訴人表示1の測定手法としてFT-NIR法が不適切である科学的根拠はない。なお、仮にFT-NIR法が毛髪内部全体を測定できないとしても、それは、被控訴人が毛髪内部の水分量に言及する被控訴人表示1の測定方法として、より自社にとって不利な手法を採用していることを示すものに過ぎず、FT-NIR法が被控訴人表示1の測定手法と して不適切であることの論拠 内部の水分量に言及する被控訴人表示1の測定方法として、より自社にとって不利な手法を採用していることを示すものに過ぎず、FT-NIR法が被控訴人表示1の測定手法と して不適切であることの論拠とはならない。 そもそもFT-NIR法の原理である近赤外分光法がKF法と同等程度の精度であること(乙7)、幅広い測定に応用できる分析手法であること(乙8)は既に明らかとなっており、原審でも認められている。加えて控訴審では、近赤外分光法により、毛髪の内部・表面ともに非破壊的に測定できることも示した(乙34)。これに対し、控訴人は自らが設定 した試験条件・試験結果に基づき上記のように論難するが、それは端的に、“控訴人が行ったFT-NIR法”の測定が適切でなかったこと以上の意味をもつものではない。なぜなら、過乾燥状態という通常では想定し難い条件下において測定した試験結果に意味があるものではないからである。控訴人はどこまでいっても、過乾燥状態ではFT-NIR法が 適切に測定できない可能性があることしか言えておらず、他方被控訴人は、被控訴人表示1の前提として、専門家の意見を踏まえた適切な乾燥時間を設定した上でFT-NIR法による測定を行っているのであるから、控訴人の試験結果は、被控訴人表示1が品質誤認表示であることを示す根拠にはなりえない。 控訴時検証試験1において、控訴人は、水道水への浸漬・乾燥処理前のKF法による測定用の毛髪として、各毛束の中間部分から約0.06グラムの毛髪サンプルをカットして集めたものを使用し、上記処理後の測定についても、再び約0.06グラムの毛髪サンプルをカットして集め、これについてKF法による測定をしている。しかし、この方法では、 「(同じ毛束から採取された)別の毛髪」を測定しているとの 測定についても、再び約0.06グラムの毛髪サンプルをカットして集め、これについてKF法による測定をしている。しかし、この方法では、 「(同じ毛束から採取された)別の毛髪」を測定しているとの原判決の指摘に対応しておらず、測定対象の同一性の問題を解消できていない。また、控訴時検証試験1のKF法による測定については、「約0.06グラム」すなわち約60mgの毛髪を用いるとされているが(甲34・19頁)、この方法では、例えば処理前の毛髪64.9mg(一の位を四捨五入して 約60mgといえる最大値)と処理後の毛髪55.0mg(一の位を四捨 五入して約60mgといえる最小値)を比較している可能性も十分に考えられ、毛髪中の微細な水分量を測定する実験としては極めて不適切である。 (イ) 被控訴人表示1において被控訴人が設定した乾燥時間は、専門家の意見を踏まえた適切な時間である。控訴人は被控訴人表示4、5という別 の目的の実験における乾燥時間を被控訴人表示1においても当てはめて論難するにすぎない。 さらに、控訴人は、毛髪を乾燥させた場合は、乾燥前より水分量が減少するのが一般的な感覚であるなどとして種々の議論を展開するが、その主張は、例えば日常生活において、入浴後にドライヤーで乾かした髪 の毛が入浴前の状態よりも乾いているという主張と同じであるところ、毛髪がそのように乾かしすぎとなるまでドライヤーを利用する消費者は通常想定されず、控訴人の感覚及びそれに立脚する各種議論こそが誤解である。 ウ控訴人が被控訴人表示2について行った検証試験に基づく被控訴人表示 2の検討に対し控訴時検証試験2については、同試験及び提訴時検証試験2で用いられたシリカゲル法において、シリカゲルが吸収した水分の内訳は多種多様であり、そこ 検証試験に基づく被控訴人表示 2の検討に対し控訴時検証試験2については、同試験及び提訴時検証試験2で用いられたシリカゲル法において、シリカゲルが吸収した水分の内訳は多種多様であり、そこから本来の測定対象であるナノイーデバイスから発生した水分量を抽出するには、以下の処理を経る必要があり、相対比較であるとして も、少なくとも各変数によって最終的に受ける影響を比較対象間において同一としなければならない。 本来の測定対象≒シリカゲルの重量増加量(シリカゲルが吸収した水分の全量)- デシケータ内の水蒸気のうちシリカゲルが吸収してしまった量(変数 ①) - デシケータ外から流入した水蒸気のうちシリカゲルが吸収してしまった量(変数②)+ イオン口から放出された水分量のうち、ラップフィルム状のもの等に吸着してしまって、シリカゲルで吸収できなかった量(変数③)+ イオン口から放出された水分量のうち系外へ流出してしまって、シリ カゲルで吸収できなかった量(変数④)- 秤量中に大気中の水蒸気を吸収してしまった量(変数⑤)しかし、提訴時検証試験2のシリカゲル法は、シリカゲルの状態及び性能等の同一性、測定対象となる水分のラップフィルム状のもの等への吸着ないし流出・流入が一定に保たれているか否か、秤量中に大気中の水蒸気 の影響を受ける程度が同一といえるか否かがいずれも不明であり、考慮すべき複数の変数が考慮されていないため、試験の正確性が担保されておらず、比較実験としてはおよそ体を成していないものであった。 そして、控訴時検証試験2も、上記各変数が同一性を担保できていない以上、比較実験として不適切であるという問題点に適切に対応していると はいえない。ラップフィルム状のものを撥水性の高い素材に変 そして、控訴時検証試験2も、上記各変数が同一性を担保できていない以上、比較実験として不適切であるという問題点に適切に対応していると はいえない。ラップフィルム状のものを撥水性の高い素材に変更しても、水分の吸着の同一性は担保されず、流出する空気量の同一性も検討されていない。さらに、控訴時検証試験2は、コントロールについては、前回同様の結果になると思われるため今回は計測していないとして、測定対象以外の要素(ノイズ)を適切に捨象するために必要な過程すらも飛ばしてい る。このように、控訴時検証試験2は、提訴時検証試験2と同レベルの誤りが繰り返されたものにすぎない。 エ控訴人が被控訴人表示3について行った検証試験に基づく被控訴人表示3の検討に対し控訴時検証試験3については、イオン吹出口をマスキングテープで塞げ ば、ドライヤー全体の風量に影響を及ぼすおそれがある上、メイン吹出口 から高浸透ナノイーが送風に乗って放出されるから、比較対象が適切なものではない。また、控訴時検証試験3で用いられている赤色の染毛剤は、我が国では販売されておらず、我が国での販売規制に準拠したものではなく、必要な基準を満たしているか不明なものであって、このような染毛剤を用いて実験したとしても、日本国内で流通する染毛剤についての対象製 品の影響を測定したとはいえない。 オ控訴人が被控訴人表示4及び5について行った検証試験に基づく被控訴人表示4及び5の検討に対し控訴時検証試験4及び5は、控訴時検証試験3と同様に、イオン吹出口にマスキングテープで塞いだ被控訴人商品を比較対象としており、風量を 含め比較対象以外の条件を同一にするという比較実験を行う上での基本的かつ重要な条件に対する配慮・対応を欠いたものであって、高浸透ナノイー機能 で塞いだ被控訴人商品を比較対象としており、風量を 含め比較対象以外の条件を同一にするという比較実験を行う上での基本的かつ重要な条件に対する配慮・対応を欠いたものであって、高浸透ナノイー機能の有無による比較を客観的かつ科学的に正しく行ったといえるものではない。 控訴時検証試験4は、アジア人の傷みのない毛髪に、洗髪/乾燥を18 0回行い、洗髪/乾燥60回毎にブリーチを1回、合計3回のブリーチを行うとの実験条件を設定しているが(甲33・7頁)、それはすなわち、使用する毛髪の点で、被控訴人表示5に係る検証実験といえるものではないと原判決が明示的に指摘した提訴時検証試験5の問題点を改めることなく、ただ漫然と繰り返したことを意味しており、このことのみをもっても、 控訴時検証試験4が被控訴人表示4及び5に係る検証試験といえるものでないことを示している。また、被控訴人表示4及び5は、高浸透ナノイーがキューティクルの密着性を維持し、ブラッシング等によるダメージを抑制することによる枝毛発生抑制効果を示したものであって、髪の外界からのダメージに対する強度が低下して、既に枝毛が発生した、あるいは枝 毛が発生し得る状態に至った後の毛髪補修効果を示すものではない。控訴 時検証試験4は、枝毛が発生した、あるいは枝毛が発生し得る状態の毛髪を使用しているから、高浸透ナノイーがキューティクルの密着性を維持することによる枝毛発生抑制効果の有無を客観的かつ科学的に検証する実験とはなっていない。 被控訴人は、従来ナノイーを放出する機種EH-NA9A(乙53の3)及び 高浸透ナノイーを放出する機種EH-NA0B(乙56)についてSEM画像を撮影していたが、いずれの画像においても枝毛が発生するに至っておらず、これは、端的にナノイーの枝毛発 (乙53の3)及び 高浸透ナノイーを放出する機種EH-NA0B(乙56)についてSEM画像を撮影していたが、いずれの画像においても枝毛が発生するに至っておらず、これは、端的にナノイーの枝毛発生抑制効果が機能したことによるものであり、被控訴人は乙57の手順に従って比較画像の選出を行っていた。これに対して、控訴人は、いずれのSEM画像でも枝毛が発生していないこ とをもって乙57の手順に従って実験を行っていないなどと論難するが、その論拠が不明であり、単なる憶測に基づく決めつけに過ぎない。 ⑵ 乙57添付の実験結果報告書等が被控訴人各表示のバックアップとなるかに対しア乙57添付の実験結果報告書等の作成経過等 (ア) 被控訴人において実験データに基づく広告表示を行う一般的な手順被控訴人において実験データに基づいた広告表示を行う際、まず、実験条件や方法を定めた業務手順書を作成し、次に、業務手順書に従って実験を行い、当該実験によって得られた結果を基に実験結果検証資料を作成し、実験結果検証資料を踏まえて訴求エビデンスシートを 作成し、広告表示を行う。業務手順書とは、実験手順を標準化(マニュアル化)した文書をいい、実験や実験結果の再現性及び科学的妥当性を確保・担保することを目的として作成している。 被控訴人各表示に関する、業務手順書の作成、実験の実施及び実験結果報告書の作成、訴求エビデンスシートの作成の手順は、次のとお りであり、これらの作成過程から、被控訴人各表示が合理的な根拠に 基づくものであることは裏付けられる。 (省略) (省略) られる。 (省略) (省略) (省略) (省略) イ乙57添付の実験結果報告書等の科学的合理性の有無(ア) 被控訴人表示1について前記⑴イ(ア)のとおり、FT-NIR法を用いることは科学的に相 当である。 (イ) 被控訴人表示2について控訴人は、乙57の別紙2「EH-NA0Gナノイー水分発生量」(乙57の29頁)の試験結果は、乙42のデータに照らして信用性に疑義がある旨主張する。 しかし、乙42と乙57の29頁は、実験の目的も方法も全く異なるものであって、これらを比較すること自体がナンセンスとしかいいようがなく、比較しても何ら有益な分析結果は得られない。念のため補足すると、乙42は、ドライヤーのナノイー吹出口正面から10cm離れた箇所において、水分であるか否かにかかわらず、測定可能な一 定のサイズの粒子数を測定するものであるところ、測定した粒子数に は発生した水分も含むが、それ以外の粒子を含むものである。これに対し、乙57の29頁は、高浸透ナノイーデバイスから発生する水分の粒子数そのものを測定したものであって、これらの粒子数の量を比較することに何ら意味はない。控訴人は、乙42におけるイオンありとイオンなしの差分か の29頁は、高浸透ナノイーデバイスから発生する水分の粒子数そのものを測定したものであって、これらの粒子数の量を比較することに何ら意味はない。控訴人は、乙42におけるイオンありとイオンなしの差分から、発生した水分の粒子数を算出しようとして いるが、上記のとおり、乙42はイオン吹出口から10cm地点において、使用する測定器において測定可能な一定のサイズの粒子数を測定したものであって、発生した水分の粒子の全てを測定できていない。 他方、乙57の29頁は水分発生量をそのまま測定したものであり、これらの結果を比較して18倍に至っていないとしても不合理でな いし、繰り返しとなるが、そもそも測定時間を含め、測定条件は同一ではないのであるから、控訴人の論難は全くあたらない。 (ウ) 被控訴人表示3についてそもそも被控訴人商品(EH-NA0G)は、性能が向上し、訴求対象であるカラー退色抑制効果に関して前機種(EH-NA0E)と同等以上の効 果を有するものであることが原理上認められる。控訴人は、白髪染めとヘアカラーとでは成分が異なる旨を殊更に強調するが(甲57~60)、両者の髪を染める仕組みが同じであることは、控訴人が提出した証拠にも明記されている(甲52)。もっとも、白髪染めは、染色(そして毛髪に入った染色成分の流出である退色とその抑制)の仕組みは 同様であるものの、ヘアカラーと比較して色差の数値の現れ方が異なる可能性があった。そのため、白髪染めに対する退色抑制効果も追加して訴求すべく検証実験を行った。その結果、被控訴人商品(EH-NA0G)について白髪染めに対する退色抑制効果が確認されるとともに、同試験においては被控訴人製品(EH-NA0G)の白髪染めに対する 退色抑制効果が前機種(EH-NA0E)の白髪染めに対す NA0G)について白髪染めに対する退色抑制効果が確認されるとともに、同試験においては被控訴人製品(EH-NA0G)の白髪染めに対する 退色抑制効果が前機種(EH-NA0E)の白髪染めに対する退色抑制効果 を上回る結果も得られたため、退色抑制効果を生じさせる機能について、被控訴人商品(EH-NA0G)が前機種(EH-NA0E)に対して同等以上であるとの原理も確認された。 (エ) 被控訴人表示4について被控訴人は、従来ナノイー搭載機種だけではなく、高浸透ナノイー &ミネラル搭載機種でもSEM画像を撮影していた。ナノイーを搭載した機種を用いた場合の写真は、EH-NA9A(乙53の3)、EH-NA0B(乙56)の両方とも枝毛が発生するに至っておらず、これは、端的に枝毛発生抑制効果が機能したことによるものであり、被控訴人は乙57の手順に従って比較画像の選出を行っていた。これに対して、控 訴人は、いずれのSEM画像でも枝毛が発生していないことをもって乙57の手順に従って実験を行っていないなどと論難するが、その論拠が不明であり、単なる憶測に基づく決めつけに過ぎない。 (オ) 被控訴人表示5について枝毛発生抑制効果について、被控訴人商品(EH-NA0G)の実験結果 は、前機種の実験結果と同等以上であることが確認できたが、その差異は有意な差ではなかったこと等から、前機種の表示内容を維持することにしたものであり、その表示に問題はない。 ⑶ 被控訴人各表示による前機種の広告表示の流用の適否被控訴人各表示の中には、前機種の広告表示を流用しているものがあるが、 次のとおり、被控訴人が行った試験の結果に鑑みれば、流用したことは相当といえる。 ア被控訴人表示1について、被控訴人が行った試験により、被控訴人商品 の広告表示を流用しているものがあるが、 次のとおり、被控訴人が行った試験の結果に鑑みれば、流用したことは相当といえる。 ア被控訴人表示1について、被控訴人が行った試験により、被控訴人商品を用いた場合の水分増加量は、EH-NA9Eを用いた場合の水分増加量に比べ、1.9倍となったから、同じく1.9倍である旨の前機種の広告表示 を流用したことは相当である。 イ被控訴人表示2について、被控訴人が行った試験により、従来ナノイーデバイスに比べて高浸透ナノイーデバイス(被控訴人商品)の水分発生量は18倍となったから、同じく18倍である旨の前機種の広告表示を流用したことは相当である。 ウ被控訴人表示3に関し、被控訴人商品については、原理どおり、カラー 退色抑制も含め、退色抑制効果が向上したことが実証的な実験データによって確認できた。しかし、前機種(EH-NA0E)の退色抑制効果の実験に用いられたのがヘアカラー剤であるのに対し、被控訴人商品の退色抑制効果の実験に用いられたのは白髪染めであり、被控訴人商品の実験で得られた数値又はグラフが表示されると、前機種のヘアカラー剤についての実験で 得られた数値又はグラフと合わせて二つの数値又はグラフが存在することになり、効果等が不明瞭になること、また、被控訴人商品の実験で得られた優位な数値又はグラフが示されることにより消費者が被控訴人商品に過大な期待を抱き商品選択に影響等すること等を考慮し、被控訴人商品について、表示可能なグラフより劣る効果の前機種のグラフの表示を訴求 することとされたものであり、前機種の広告表示を流用したことは相当である。 エ被控訴人表示4及び5について被控訴人表示4及び5に関し、枝毛発生抑制効果について、被控訴人商品の実験結果は、前機種の こととされたものであり、前機種の広告表示を流用したことは相当である。 エ被控訴人表示4及び5について被控訴人表示4及び5に関し、枝毛発生抑制効果について、被控訴人商品の実験結果は、前機種の実験結果と同等以上であることが確認でき、こ の実験結果と仕様内容等を踏まえると、被控訴人商品と前機種はサンプル同一性が認められたため、被控訴人商品の実験データを表示することは可能ではあったが、その差異は有意な差ではなかったこと等を踏まえ、あえて前機種の表示内容を維持することにしたものであり(乙57の別紙3エビデンス資料番号EH-NA0G-005)(乙57の43頁)(乙45の別紙3)、 その表示に問題はない。 第3 当裁判所の判断当裁判所も、控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却すべきであると判断する。その理由は、以下のとおりである。 1 判断枠組について不競法2条1項20号によれば、商品の広告に用いる書類又は通信にその商 品の品質について誤認させるような表示をすること(品質誤認表示)は、不正競争に当たる。ある者の表示行為が不競法2条1項20号の品質誤認表示に当たると主張し、不競法に基づく損害賠償請求又は差止めを求める訴訟が提起された場合、当該表示行為が品質誤認表示であることの主張立証責任は、訴訟を提起した一審原告にあると解すべきである。しかし、当該表示が、需要者に具 体的な試験等に基づくものとの認識を抱かせる場合には、当該表示を裏付ける資料等を欠くならば、当該表示行為は品質誤認表示に当たると解されるから、当該表示行為をした者(一審被告)が、当該表示を裏付ける資料等を提出しなければ、一審原告による品質誤認表示の主張立証が成功したと解される余地がある。本件についてみると、被控訴人各表示は、需要者に具体的な 表示行為をした者(一審被告)が、当該表示を裏付ける資料等を提出しなければ、一審原告による品質誤認表示の主張立証が成功したと解される余地がある。本件についてみると、被控訴人各表示は、需要者に具体的な試験等に基 づくものとの認識を抱かせるものと認められるから、被控訴人各表示をした被控訴人(一審被告)が、被控訴人各表示を裏付ける資料等を提出しなければ、被控訴人各表示は品質誤認表示に当たると解される余地がある。しかし、本件口頭弁論終結時までに、被控訴人は、被控訴人各表示が試験の結果に基づくものであって品質誤認表示ではないことを裏付けるために乙57添付の実験結果 報告書等を提出しており、控訴人は、被控訴人各表示が品質誤認表示であることを裏付けるものとして、提訴時検証試験及び控訴時検証試験の結果等を提出しているので、これらを参酌して、被控訴人各表示が品質誤認表示に当たると認められるかについて検討する。 ところで、被控訴人各表示は、被控訴人ウェブページ及びカタログに掲載さ れ、一般消費者に対し、被控訴人商品を使用することによってもたらされる効 果を示し、その購買意欲を促すことを目的とするものであるが、被控訴人各表示に示される効果は、使用者が視認できない高浸透ナノイーによる毛髪に対するものであり、その性質上、効果の度合いは、その測定方法が一義的に決められているものではなく、使用環境、使用方法、個人差などの条件によっても大きく異なり得るものであり、効果には個人差がある旨の注意書きも付されてい るところである。そうすると、このような被控訴人各表示を見た一般消費者は、これらに示された効果について関心を有するとしても、具体的な数値や実験結果については、効果の程度やその裏付けとなる科学的根拠の存在を示すものとして理解するにとどま 被控訴人各表示を見た一般消費者は、これらに示された効果について関心を有するとしても、具体的な数値や実験結果については、効果の程度やその裏付けとなる科学的根拠の存在を示すものとして理解するにとどまり、それが厳密に正確なものであるかという点についてはそれほど高い関心を有しないものと考えられる。このような被控訴人各表示 の内容、性格等に照らすならば、被控訴人各表示の記載内容について、厳密な正確性が認められなければ直ちに被控訴人各表示が品質誤認表示に当たると判断されるものではなく、被控訴人各表示が相当の科学的根拠に基づくことが認められる場合には、品質誤認表示に当たるとは認められないこととなる。 2 乙57添付の実験結果報告書等について ⑴ 被控訴人社内における実験等の手順について証拠(乙40、45、57、58)及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人における実験の実施や実験結果報告書等の作成について、以下の事実が認められる。 ア業務手順書の作成 被控訴人においては、実験を行う際には、実験や実験結果の再現性及び科学的妥当性を確保・担保することを目的として、実験手順を標準化(マニュアル化)した文書である業務手順書を作成する。 業務手順書を作成する際には、上記の目的を達成するため、年次・経験の異なる複数人がその知見を持ち合って共同して作成に携わる。具体的に は、技術開発部門において、年次・役職降順に制定者1名(課長以上の役 職者)、検討者1名(主事以上の役職者)、立案者1名の3名からなる体制を構築し、制定者の指揮監督下で業務手順書の作成に関する業務を行うことが通常である。最終的に制定者・検討者・立案者がそれぞれ押印する。 業務手順書を作成する際は、立案者を中心に、依拠すべき基準・規格等の有無を調査し、計測方 下で業務手順書の作成に関する業務を行うことが通常である。最終的に制定者・検討者・立案者がそれぞれ押印する。 業務手順書を作成する際は、立案者を中心に、依拠すべき基準・規格等の有無を調査し、計測方法等を策定する上で全般的に依拠できるISO規 格やJIS等の基準・規格が存在する場合には、当該基準・規格に準拠して業務手順書を作成する。他方で、依拠すべき基準・規格が部分的であるか、全く存在しない場合には、大学、専門機関等から公表され、当該専門分野において広く妥当性が認められている文献、論文等を参照したり、市場における顧客実態情報等を参照したりして、最終的には制定者の判断で 科学的に妥当と考えられる方法を採用することとする。 以上の基準・規格等に加え、当該基準・規格等の内容に照らして、業務手順書の作成に際し、外部専門家の関与が必要であると制定者等が判断したときは、当該実験・評価方法に関して専門性を有する外部専門家の見解を確認し、場合によっては見解書を取得するなどして業務手順書を作成し ている。 業務手順書には、「業務手順」と「業務のポイント」の2列の記載欄が設けられているところ、「業務手順」の欄には、準備物、実験準備、実験手順等を、「業務のポイント」の欄には、実験を実施する上で重要となるポイントをそれぞれ文字や写真を用いて記載・表示し、業務手順書に従って実験 をすることで科学的に妥当な実験結果が安定して得られるような工夫を施す。また、業務手順書は、実験や実験結果の再現性及び科学的妥当性を確保・担保する内容となっているため、一度作成されると基本的に改訂が生じることはないが、軽微な変更が生じた場合には改訂を行い、軽微とはいえない変更が生じた場合には業務手順書を新規作成する。 イ実験の実施 業務手順書 度作成されると基本的に改訂が生じることはないが、軽微な変更が生じた場合には改訂を行い、軽微とはいえない変更が生じた場合には業務手順書を新規作成する。 イ実験の実施 業務手順書に記載された実験を実施する場合、選定された1名の実験実施者が業務手順書に従って実験を実施するが、当該実験が業務手順書に従って正確に実施されていることを担保するため、課長又は主事が実験の実施の様子を観察し、事後的に実験の実施に関してヒアリングをするなどして適時確認を行う。 ウ実験結果検証資料実験結果検証資料とは、業務手順書に基づいて実施した実験結果を検証した資料をいい、いつ、誰が、どのようにして実験結果を検証し、それによりどのような検証結果が得られたのか等を記録化することを目的として作成される。 実験実施者は、当該実験の実施によって得られた結果を基に、グラフの作成や統計処理等を実施した上で、実験結果検証資料を作成する。その後、実験実施者は、実験結果検証資料の「目的」、「アプローチ」、「結果」、「結論」等の欄に記入漏れや計算ミス等の不備がないことを確認し、加えて過去に作成された同一実験の実験結果検証資料と対照し、今回の実験結果に 再現性及び科学的妥当性があることを確認した上で、当該実験結果検証資料を課長に回付する。そして、課長において同様の事項を確認し、場合によっては実験実施者に当該実験結果検証資料を差し戻して統計解析のやり直しや実験の追加実施を命じるなどした上で、それぞれが押印する。なお、主事が関与する形で、実験実施者、主事、課長の順に上記の確認等を 行うこともある。 エ訴求エビデンスシート訴求エビデンスシートとは、広告表示の裏付けとなるエビデンス(合理的な根拠)をまとめたシートをいい、取得したエビデ 事、課長の順に上記の確認等を 行うこともある。 エ訴求エビデンスシート訴求エビデンスシートとは、広告表示の裏付けとなるエビデンス(合理的な根拠)をまとめたシートをいい、取得したエビデンスが広告表示に対して科学的に妥当かつ十分であるかを判断した上で、当該広告表示の使用 可否を判断することを目的として作成する。マーケティング部門において、 当該製品の販売に関して行いたい広告表示を検討し、これを受けて、技術開発部門及び技術管理部門において、当該広告表示を行うことが可能であるか否かを多面的かつ最終的に判断し、その検討結果等をまとめた資料が訴求エビデンスシートである。 具体的には、まずは技術開発部門において、年次・役職降順に、部門責 任者1名(部門長以上の役職者)、検印者1名以上(課長、主事などの役職者)、作成者1名の3名以上からなる体制を構築し、業務手順書と同様に、作成者、検印者、部門責任者の順に、あるいはこれらの担当者が共同して訴求エビデンスシートの起案・検討・確認等を行う(乙58・5頁)。 その後、訴求エビデンスシートは、さらに技術管理部門に回付され、同 部門における表示管理者3名が確認を行う。この表示管理者は、技術的知見を有するとともに、景品表示法その他関連法令についての知見を有した技術管理部門における主事以上の役職者が就任し、商品設計管理基準、表示等管理措置規定等の社内規定に基づき、実験内容及び実験結果が妥当であるか、実験結果が訴求内容と適合しているか、訴求内容が景品表示法そ の他関連法令との関係で問題がないか、業務手順書作成当時の実験方法としては妥当であったとしても訴求エビデンスシート作成時の科学的知見に照らして実験方法が妥当といえるか等の確認を行い、問題があると判断した場合には、社内 で問題がないか、業務手順書作成当時の実験方法としては妥当であったとしても訴求エビデンスシート作成時の科学的知見に照らして実験方法が妥当といえるか等の確認を行い、問題があると判断した場合には、社内調査を実施したり、技術開発部門に差し戻して是正措置を講じるよう命じたりする。 マーケティング部門において、旧機種の広告における訴求内容を新機種の広告において継続使用したいと考えた場合にも、技術開発部門及び技術管理部門において、適宜検証を行う。 オ広告表示の公開以上のプロセスを経た上で、当該広告表示を行うことが可能であると判 断された場合には、当該広告表示がローンチ(公開)される。 ⑵ 乙57添付の実験結果報告書等の作成経過等についてア乙57、58によれば、被控訴人各表示に関して、次のとおり、実験の手順を定めた業務手順書が作成されたことが認められる。すなわち、被控訴人表示1については、乙57の別紙1業務手順書「毛髪水分増加量評価」ページ1/4~4/4(乙57の3~6頁)が作成され、被控訴人表示2 につき乙57の別紙1業務手順書「ナノイー水分量評価方法」ページ1/8~8/8(乙57の7~14頁)が作成され、被控訴人表示3につき乙57の別紙1「カラー退色評価(ヘアドライヤー)」ページ1/7~7/7(乙57の15~21頁)が作成され、被控訴人表示4及び5につき乙57の別紙1業務手順書「枝毛発生率評価」ページ1/5~5/5(乙57 の22~26頁)が作成された。 乙57、58によれば、被控訴人社内において、次のとおり、業務手順書に基づいて実験が行われ、それに基づいて実験結果検証資料(乙57の別紙2)が作成されたことが認められる。すなわち、被控訴人表示1については、遅くとも令和2年11月10日までに実験が行 り、業務手順書に基づいて実験が行われ、それに基づいて実験結果検証資料(乙57の別紙2)が作成されたことが認められる。すなわち、被控訴人表示1については、遅くとも令和2年11月10日までに実験が行われ、それに基づ いて同日付けで乙57の別紙2「EH-NA0Gにおける毛髪水分増加量増加可能性検証」(乙57の28頁)が作成された。被控訴人表示2については、遅くとも令和3年1月20日までに実験が行われ、それに基づいて同日付けで乙57の別紙2「EH-NA0Gナノイー水分発生量」(乙57の29頁)が作成された。被控訴人表示3については、遅くとも令和2年3月5日ま でに前機種(EH-NA0E)を用いた実験が行われ、それに基づいて同日付けで乙57の別紙2「高浸透『ナノイー』&ミネラルによるカラー退色抑制効果検証」(乙57の35、36頁)が作成され、更に令和3年1月14日までに被控訴人商品(EH-NA0G)を用いた実験が行われ、それに基づいて同日付けで乙57の別紙2「高浸透『ナノイー』&ミネラルによるカラー リング退色抑制効果検証」(乙57の30~32頁)が作成された。被控訴 人表示4及び5については、遅くとも令和2年11月13日までに実験が行われ、それに基づいて同日付けで乙57の別紙2「EH-NA0G ブラッシングダメージ抑制効果検証」(乙57の33頁)が作成された。 乙57、58によれば、被控訴人各表示の訴求エビデンスシートは、上記の各実験の方法及び結果の妥当性について、部門責任者、検印者を交え、 再度検証し、表示内容を確定して表示管理者の確認も経た上で、令和3年7月30日及び同年8月2日にそれぞれ押印されたことが認められる。 イこれに対し、控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑵ア(ア)のとおり、乙57の別 確定して表示管理者の確認も経た上で、令和3年7月30日及び同年8月2日にそれぞれ押印されたことが認められる。 イこれに対し、控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑵ア(ア)のとおり、乙57の別紙3の訴求エビデンスシートの作成日は令和3年8月2日であるところ、被控訴人商品に関しては、令和3年7月16日にプレスリリ ースが公表され、このプレスリリースにはヘアカラーの退色抑制効果のグラフが示されており、かつ、遅くとも同月18日には被控訴人商品の商品ページ内において、「高浸透『ナノイー』で髪へのうるおい1.9倍」と表示されていて、同月16日に被控訴人表示3が、同月18日に被控訴人表示1が、それぞれ示されており、商品ページの先の商品の特徴を示す詳細 ページも同日にローンチ(公開)されていると考えられ、被控訴人各表示は遅くとも同日に公開されているから、A1陳述書の内容は上記事実と矛盾し、A1陳述書の内容には信用性がなく、ひいては乙57の記載内容も信用することができず、乙57添付の実験報告書等は被控訴人各表示のバックアップとなり得ないと主張する。 しかし、乙57に記載された、被控訴人各表示に関する実験の日は、いずれも令和3年7月16日よりも前であり、被控訴人各表示に関する実験が行われたとされる日の前に上記プレスリリース及び商品ページ内の各表示がされたということはない。そして、上述のとおり、乙57の別紙1の業務手順書及び別紙2の実験結果検証資料の内容に照らせば、同業務手 順書に基づいて同実験結果検証資料記載の実験が実際に行われたものと 認められる。確かに、乙57の別紙3の訴求エビデンスシートに存在する作成者、検印者及び部門責任者の押印日は同月30日、表示管理者の確認の押印日は同年8月2日であり、これらの日は上記 たものと 認められる。確かに、乙57の別紙3の訴求エビデンスシートに存在する作成者、検印者及び部門責任者の押印日は同月30日、表示管理者の確認の押印日は同年8月2日であり、これらの日は上記プレスリリース及び商品ページ内の各表示がされた日よりも後であるが、そのことをもって、A1陳述書の内容が全て信用性を欠くとは解されないし、乙57の別紙2に 記載された実験が実施されていないと認められることにもならない。前述のとおり、乙57の別紙2の実験結果検証資料に記載された実験の内容と結果に照らすと、被控訴人各表示は、それらの実験に基づいて行われたものと認められるものであり、後記のとおり、上記の実験は科学的に相当と認められる方法により行われたものであるから、乙57添付の実験結果報 告書等は、被控訴人各表示を裏付けるバックアップとなると認められる。 令和3年7月16日、18日にプレスリリースがされたこと、又は乙57の別紙3の訴求エビデンスシートの押印日が同年7月30日、同年8月2日であることが、被控訴人社内の手続に違反するようなことがあったとしても、後記のとおり、被控訴人各表示が、科学的に相当な裏付けとなる実 験等に基づいて行われたことが認められるから、被控訴人各表示が品質誤認表示に当たらないとの判断は、上記の手続違反により左右されることはない。したがって、控訴人の上記主張は、採用することができない。 また、控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑵ア(イ)のとおり、上記訴求エビデンスシートが作成されたのは、被控訴人各表示が公開された後 であり、被控訴人各表示が公開された時点では被控訴人がバックアップを保有していなかったことになるから、A1陳述書に信用性が認められるとしても、被控訴人各表示はバックアップを欠いており品質誤認 であり、被控訴人各表示が公開された時点では被控訴人がバックアップを保有していなかったことになるから、A1陳述書に信用性が認められるとしても、被控訴人各表示はバックアップを欠いており品質誤認表示であると主張する。しかし、先に述べたのと同様の理由により、上記訴求エビデンスシートが作成されたのが、上記プレスリリース及び商品ページ内の各 表示がされた後であることをもって、直ちに、被控訴人各表示の内容に裏 付けがないとか、被控訴人各表示が品質誤認表示であるということにはならない。したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 3 被控訴人各表示による前機種の広告表示の流用の適否について⑴ 前機種の広告における広告表示について(甲5の2、39)ア前機種の広告(甲39)には、以下の広告表示がされている。 (ア) 「髪の内側までしっとりうるおう」との見出しが掲げられた箇所に、「高浸透『ナノイー』がキューティクルのわずかな間から入り込み、髪の表面だけでなく髪の内部にまで水分を与え、毛髪水分増加量が1.9倍に。毛先まで、まるで水のベールに包まれたような手触りに。」との文章が記載され、その下に「毛髪水分増加量」として、マイナスイオンを 放出する構造のEH-NE6B、ナノイーを放出する構造のEH-NA9B及び高浸透ナノイーを放出する構造の前機種を比較する棒グラフが存在する。 縦軸には0.1から0.3までの数値が記載されているが、これが何の数値であるのかの説明及び単位は記載されていない。棒グラフは、EH-NE6Bは0.000、EH-NA9Bは0.136、前機種は0.263とな っており、EH-NA9Bの棒グラフの左上端から前機種の棒グラフの左上端に向けて点線の矢印が引かれている。グラフの上部には「髪へのうる 00、EH-NA9Bは0.136、前機種は0.263とな っており、EH-NA9Bの棒グラフの左上端から前機種の棒グラフの左上端に向けて点線の矢印が引かれている。グラフの上部には「髪へのうるおい(毛髪水分増加量)1.9倍(当社従来品比)」との記載があり、グラフの右には、「【モデル試験方法】毛髪に、下記条件で施術し、乾燥直後の水分量をFT-NIR計測」、「【サンプル】マイナスイオン/当社2 019年発売EH-NE6B 「ナノイー」/当社2019年発売EH-NA9B高浸透「ナノイー」/EH-NA0E」、「【施術条件】1)毛束を水に浸す 2)ドライヤーにて乾燥させる(距離10㎝、温風/ターボ)」、「●当社調べ」、「●効果には個人差があります」との文章が記載されている。 上記記載は、被控訴人表示1と比べると、被控訴人商品の型番が前機 種の型番とされ、ナノイー機種の型番が異なっている他は、ほぼ同じで あると認められる。 (イ) 「高浸透『ナノイー』って?」との見出しが掲げられた箇所に、「水分発生量従来の18倍」との記載、及び、ナノイーデバイスからナノイーが吹き出されている絵と、ナノイーデバイスから高浸透ナノイーが吹き出されている絵が左右に並べられているものが存在する。上記記載は被 控訴人表示2-1と同一であり、上記絵が左右に並べられているものは被控訴人表示2-2に含まれるものと同一である。 (ウ) 「ヘアカラーの色落ちを抑える」との見出しが掲げられた箇所に、被控訴人表示3-3に含まれるグラフとほぼ同様のグラフ(ただし、「色が抜けにくい」とされているグラフは、前機種に関するものとされている。) が存在する。 (エ) 「摩擦ダメージを抑え、枝毛を低減」との見出しが掲げられた箇所に、「高浸透『ナノイー』 し、「色が抜けにくい」とされているグラフは、前機種に関するものとされている。) が存在する。 (エ) 「摩擦ダメージを抑え、枝毛を低減」との見出しが掲げられた箇所に、「高浸透『ナノイー』」の場合の毛髪先端部の拡大写真とされる画像及び「イオン無し」の場合の毛髪先端部の拡大写真とされる画像が掲載されており、これらの画像は被控訴人表示4に用いられているものと同一で あり、前記第2の2⑶エのとおり、いずれの画像もEH-NA9Aを用いて行われた実験の際に撮影された写真のものである。また、上記箇所には、「枝毛発生率の差」に関する棒グラフとして、被控訴人表示5-2と同一の図が記載されている。 イ被控訴人のウェブサイトにおける前機種に関するウェブページ(甲5の 2)には、上記ア(ア)のグラフ、ア(ア)と同趣旨の文章、並びに上記ア(イ)の記載及び絵が存在する。 ⑵ 被控訴人各表示において前機種の広告表示が用いられていることについて控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑶のとおり、被控訴人各表示が、前機種の広告表示を流用したものであり、そのことをもって被控訴人各表示 が品質誤認表示に当たると主張する。しかし、被控訴人各表示が前機種の広 告表示と同一の内容である、あるいは同一の内容を含むものであったとしても、その表示内容が一般の消費者を基準として被控訴人商品の品質を誤認させるものでなければ、不競法2条1項20号の品質誤認表示には当たらないものであり、前機種の広告表示と同一の内容である、あるいは同一の内容を含むものであることの一事をもって、品質誤認表示に当たるということはで きない。被控訴人商品の広告の表示として前機種の広告表示と同一内容の表示を用いることが品質誤認表示に当たるかどうかは、後記のとおり被控訴人各 の一事をもって、品質誤認表示に当たるということはで きない。被控訴人商品の広告の表示として前機種の広告表示と同一内容の表示を用いることが品質誤認表示に当たるかどうかは、後記のとおり被控訴人各表示について個別に検討する。 また、控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑶のとおり、被控訴人各表示において前機種の広告表示が用いられていることは、被控訴人が被控訴 人各表示について被控訴人商品を用いた試験を行っていないことを示す旨主張する。しかし、被控訴人各表示に前機種の広告表示と同一の内容が含まれていることをもって、被控訴人が被控訴人各表示について被控訴人商品を用いた試験を行っていないと直ちに認めることはできず、本件において、乙57、58により、被控訴人が被控訴人商品と比較対象商品を用いた試験を実 施したと認められることは、前記2⑵のとおりである。したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 4 被控訴人各表示の品質誤認表示該当性以下では、乙57添付の実験報告書等、提訴時検証試験及び控訴時検証試験に基づき、被控訴人各表示が品質誤認表示であるか否かについて検討する。 ⑴ 被控訴人表示1の品質誤認表示該当性ア被控訴人表示1について被控訴人が実施した試験被控訴人表示1について被控訴人が実施した試験(以下「被控訴人試験1」という。)は、乙57の別紙1業務手順書「毛髪水分増加量評価」ページ1/4~4/4(乙57の3~6頁)に基づいて行われた。●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● (省略) (省略) ●●●●●●●●●● (省略) (省略) イ提訴時検証試験1及び控訴時検証試験1について(甲5の3、34)(ア) 提訴時検証試験1は、被控訴人商品を使用するグループをサンプル組、 EH-NA9Eを使用するグループを対照組として、それぞれ五つの毛束を 37℃の水に15分浸漬させた後、ペーパータオルで水分をふき取り、各ドライヤーで2分間、ドライヤーの吹き出し口から10㎝離れた位置で風を当てて乾燥させたが、各組の毛束について、髪を濡らす前と髪を乾かした後に、FT-NIR法を用いて、毛髪のスペクトルを測定し、そのスペクトルから水分に相当すると考えられるデータを算出した。ま た、それぞれの組の別の五つの毛束について、髪を濡らす前と髪を乾かした後にKF法を用いて水分増加量を測定した。 提訴時検証試験1の結果について、提訴時検証試験1の報告書(甲5の3)は、FT-NIR法で測った場合、被控訴人商品の乾かした髪の水分含有量が増えたのに対し、EH-NA9Eの乾かす前後の髪の水分含有 量には著しい変化がないとし、ただ、FT-NIR法は「ばらの材料を分析する半定量的方法であるため、乾す前後の髪の毛の含有量の変化量を測ることができない。その他の定量的方法が採用されずそのままFT-NIRの結果を髪の実際の水分含有量にイコールすることは適切でない。」(甲5の3、16頁)としている。他方、KF法による実験につい て、提訴時検証試験1の報告書は、被控訴人商品とEH- FT-NIRの結果を髪の実際の水分含有量にイコールすることは適切でない。」(甲5の3、16頁)としている。他方、KF法による実験につい て、提訴時検証試験1の報告書は、被控訴人商品とEH-NA9Eの「髪の水分含有量が共に減ったことを観察した。」(甲5の3、16頁)、被控訴人商品と比べEH-NA9Eの「髪の水分含有量がより顕著に減った。」(甲5の3、16頁)としている。 (イ) 控訴時検証試験1は、FT-NIR法とKF法の試験環境の設定を共 通にし(温度23〜24℃、湿度52〜54%RH)、それぞれ10束の毛髪を使用し、毛束を15分間水に浸し、ティッシュペーパーで水分をふき取った後、ドライヤーで1.5分間、ドライヤーの吹き出し口から10㎝離れた位置で風を当てて乾燥させた。 ウ検討 (ア) 前記アのとおり、被控訴人は、被控訴人の作成していた毛髪水分増加 量評価についての業務手順書に基づいて被控訴人試験1を実施したことが認められ、実際の被控訴人試験1について、その手順が業務手順書の内容から外れたものであったとは認められず、試験の内容が合理性を欠くとも認められない。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●この結果と、被控訴人表示1とを比較すると、「高浸透ナノイーで髪へのうるおい、1.9倍」との記載は、試験の結果に沿ったものであるといえる。 被控訴人表示1-2に含まれる棒グラフは、前機種の広告表示を用い たものであり(前記3⑴ア(ア))、EH-NA9Eの水分増加量が0.136、被控訴人商品の毛髪水分増加量が0.263と記載されており、被控訴人試験1の結果として測定されたE の広告表示を用い たものであり(前記3⑴ア(ア))、EH-NA9Eの水分増加量が0.136、被控訴人商品の毛髪水分増加量が0.263と記載されており、被控訴人試験1の結果として測定されたEH-NA9E、被控訴人商品の水分増加量と異なっている。しかし、被控訴人表示1は、EH-NA9Eを用いた場合の毛髪の水分増加量に比べ、被控訴人商品を用いた場合の毛髪の水分増 加量が1.9倍となったという増加の割合の表示が最も重要な内容であるといえ、上記のとおりこの増加率の数値は被控訴人試験1に沿ったものであるから、被控訴人表示1が、被控訴人商品について、実際には得られない効果があると一般消費者に誤認させるものとはいえず、被控訴人商品の機能・性能について誤認を与えるものであるともいえない。 したがって、被控訴人表示1は、業務手順書に基づいて被控訴人が実施した被控訴人試験1の結果の範囲内で、被控訴人商品による効果を表示したものであるということができる。 (イ) 提訴時検証試験1は、ドライヤーの風を2分間(120秒間)毛髪に当てており、控訴時検証試験1は、ドライヤーの風を1.5分間(90 秒間)毛髪に当てている。 乙43に記載されたKF法を用いた試験の結果によれば、濡らした毛髪にドライヤーの風を当てて乾燥させると、約70秒で濡らす前の毛髪水分量になるとされている。この試験の結果からすると、提訴時検証試験1及び控訴時検証試験1は、いずれも、毛髪の水分量が、試験のために毛髪を濡らす前の水分量に戻った後もドライヤーの風を当て続けた可 能性があるといえ、そのような提訴時検証試験1及び控訴時検証試験1において、毛髪の水分量が少ないとの結果が出たとしても、この結果をもって、被控訴人商品により髪を乾かした場合の毛髪水分増加量が 能性があるといえ、そのような提訴時検証試験1及び控訴時検証試験1において、毛髪の水分量が少ないとの結果が出たとしても、この結果をもって、被控訴人商品により髪を乾かした場合の毛髪水分増加量が被控訴人表示1の示す数値よりも少ないとか、被控訴人商品の毛髪水分増加量をEH-NA9Eの場合と比較した場合の増加率が被控訴人表示1の示す 数値よりも少ないと解すべきことにはならない。 したがって、提訴時検証試験1及び控訴時検証試験1は、被控訴人試験1が被控訴人表示1の裏付けとならないことを示すに足りるものとはいえず、被控訴人表示1が品質誤認表示であることを認めるに足りるものとも解されない。 エ控訴人の主張に対する判断(ア) 控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑴イ(ア)のとおり、FT-NIR法は被控訴人表示1を裏付けるための試験としては不適切なものであり、より適切な試験方法であるKF法による試験結果によれば、サンプル群とコントロール群の両方で水分量が減少したことが示されて いるから、被控訴人表示1は、品質について誤認を生じさせるものであると主張する。 しかし、控訴人が提出した証拠であり、控訴人の上記主張の根拠となっている甲34(控訴時検証試験1に関する資料)においても、FT-NIR法を用いた毛髪中の水分量の解析が報告されていることが記載さ れている(11頁)。甲34は、FT-NIR法は近赤外光の透過を利用 したものであり、測定に用いられるスペクトルの特徴は、互いに近い波長の光の吸収量の違いであるところ、この吸光量を測定するためには、その光のかなりの部分が毛髪を透過していることが必要となるが、対象に強すぎる吸収が認められる領域が存在している場合は、光がその領域を透過せず、スペクトル情報が得られない の吸光量を測定するためには、その光のかなりの部分が毛髪を透過していることが必要となるが、対象に強すぎる吸収が認められる領域が存在している場合は、光がその領域を透過せず、スペクトル情報が得られないこととなり、毛髪は赤外線を 強く吸収するから、毛髪を均一にサンプリングすることができず、FT-NIR法は、毛髪の内側よりも表面に強く反応し、毛髪の内部と表面について同じ情報を得られないことなどを理由として、被控訴人表示1を裏付ける試験としてFT-NIR法を用いることは誤りである旨述べる。しかし、甲34の引用文献⑩(“NondestructiveAnalysisofWater StructureandContentinAnimalTissuesbyFT-NIRSpectroscopywithLight-FiberOptics. PartI: HumanHair” AppliedSpectroscopy,Volume 46, Number 5, 1992)も、実験を行った上で、FT-NIR法について「ヒト毛髪の水分や水分構造をモニタリングするための非破壊プロープとして使用できることを実証した。」(甲34の引用文献⑩4枚目 左欄、同翻訳8枚目)と結論付けており、同文献において、FT-NIR法が毛髪の内部の水分の測定ができないなどとは論じられていない。 控訴人が証拠として提出した文献等に、濡らした後に乾燥させた毛髪の水分をFT-NIR法で計測したことを記載したものがないとしても、そのことをもって、濡らした後に乾燥させた毛髪の水分をFT-NIR 法で計測することができないとは解されない。その他、FT-NIR法が不適切であるとして甲34が述べる内容は、その根拠が十分でないか、あるいは被控訴人表示1 乾燥させた毛髪の水分をFT-NIR 法で計測することができないとは解されない。その他、FT-NIR法が不適切であるとして甲34が述べる内容は、その根拠が十分でないか、あるいは被控訴人表示1の裏付けの試験においてFT-NIR法を使用することが不適切であることを認めるに足りるものではない。そして、他に、控訴人の上記主張を裏付ける証拠は見当たらない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 (イ) 控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑴イ(イ)及び⑵イ(ア)のとおり、一般消費者の理解を前提とすると、被控訴人表示1の「乾燥」は処理前の毛髪の水分量と同じ水分量に戻った時点以降の状態を指すと解すべきであり、乙43によれば、KF法で計測すると、被控訴人商品を用いて毛髪を乾燥させた場合、乾燥時間が70秒を超えると水分増加量 はマイナスになり、約70秒で乾燥状態が開始することになるから、被控訴人表示1を検証する上では、乾燥時間として70秒以上を設定しさえすればよく、控訴人の実施した検証試験(乾燥時間は、提訴時検証試験1は120秒、控訴時検証試験1は90秒)は科学的に正しく、かつ、消費者の観点からも正しいものであり、これに対して被控訴人試験1は 相当性を欠く旨主張する。 しかし、KF法による計測によれば、被控訴人商品を用いて濡らした毛髪に約70秒風を当てると濡らす前の毛髪の水分量に戻るのであるとしても、70秒を超えて風を当て続ければ、毛髪の水分量は濡らす前の水分量を下回って減少していくと考えられるのであって、被控訴人表示 1の検証においては乾燥時間(ドライヤーの風を当てる時間)として70秒以上を設定すればよいと解することはできない。提訴時検証試験1における乾燥時間120秒及び控訴時検証試験1 、被控訴人表示 1の検証においては乾燥時間(ドライヤーの風を当てる時間)として70秒以上を設定すればよいと解することはできない。提訴時検証試験1における乾燥時間120秒及び控訴時検証試験1における乾燥時間90秒は、いずれも、被控訴人表示1の検証としてはドライヤーの風を当てる時間が長すぎるものであり、このために毛髪の水分量の減少が大きく なったといえるから、提訴時検証試験1及び控訴時検証試験1は、いずれも被控訴人表示1に科学的な裏付けがないことを示すに足りる根拠とはならない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 (ウ) 前機種の広告表示を流用したことについて、被控訴人表示1について 検討すると、EH-NA9Eを用いた場合の毛髪の水分増加量に比べ、被控訴 人商品を用いた場合の毛髪の水分増加量が1.9倍となったという被控訴人試験1の結果は、被控訴人表示1において示されているから、被控訴人表示1が、前機種の広告表示を用いていることによって、不競法2条1項20号にいう「商品の品質について誤認させるような表示」に当たると認められることにはならない。 オ小括以上によれば、被控訴人表示1が不競法2条1項20号の品質誤認表示に当たるとは認められない。 ⑵ 被控訴人表示2の品質誤認表示該当性ア被控訴人表示2について被控訴人が実施した試験 被控訴人表示2について被控訴人が実施した試験(以下「被控訴人試験2」という。)は、乙57の別紙1業務手順書「ナノイー水分量評価方法」ページ1/8~8/8(乙57の7~14頁)に基づいて行われた。 (省略) (省略) 8(乙57の7~14頁)に基づいて行われた。 (省略) (省略) イ提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2について(甲4、37の1・2)(ア) 提訴時検証試験2は、被控訴人商品とEH-NA9Eについて、イオン口 から放出される水分子による乾燥シリカゲルの吸水変化を閉鎖系において測定し、その測定結果を比較したものである。具体的な試験方法について、提訴時検証試験2に関する報告書(甲4)では、「105℃で一晩静置した乾燥シリカゲルをデシケータに入れ、閉鎖系でドライヤーAおよびBのイオン口から送風し(HOTモード、TURBO。ナノイーのラ ンプが付いている状態)、シリカゲルの吸水量の変化を観察した。」(甲4 の3頁)、「チャンバー内の風速は2.6±0.3m/sに統一した。各時間(0~4時間)にイオン口からの風を吹かせた後、シリカゲルの重量変化を測定し、シリカゲル中に給水された水分量変化として換算した。」(甲4の3頁)とされている。また、上記報告書に記載された図「Fig.1」(甲4の3頁)では、提訴時検証試験2で使用した実験装置の構成及び配置等 が示されており、被控訴人商品及びEH-NA9Eのいずれについても、その送風口を除き、その上部にあるイオン口が包まれるようにラップフィルム状のものでドライヤーの中央部外周を覆い、かつ、そのラップフィルム状のものにより当該部分からデシケータ入り口までを覆い、覆った上記ラップフィルム状のものの端部を固定・固着して塞いでいると認めら れる。 上記報告書では、提訴時検証試験2の結論として、「ドライヤーA及びBの 部分からデシケータ入り口までを覆い、覆った上記ラップフィルム状のものの端部を固定・固着して塞いでいると認めら れる。 上記報告書では、提訴時検証試験2の結論として、「ドライヤーA及びBのイオン口からの水粒子によるシリカゲルの吸水率は、コントロールと比較して明確な違いが見られた。また、ドライヤーAとドライヤーBを比較すると、その吸水率の差は1.21~1.36倍であることが判明した。 つまり、ドライヤーAのイオン口から発せられる水分量は、ドライヤーBのイオン口から発せられる水分量の約1.21倍~1.36倍であると推察される。」(甲4の6頁)とされている。この「コントロール」とは、「デシケータ内に風を送り込んでいないシリカゲル」を指し、「ドライヤーA」が被控訴人商品を、「ドライヤーB」がEH-NA9Eを指す。 (イ) 控訴時検証試験2は、ラップフィルムとしてポリフッ化ビニル(PVF)製のテドラーバッグを用いて、イオン口からの風を誘導するフィルムが作成された。乾燥シリカゲルを二つのデシケータに入れ、被控訴人商品及びEH-NA9Eのイオン口からの送風をPVFのフィルムで誘導し、シリカゲルの吸水量の変化を観察した。系は、系内の気体が系外に漏れない ように、粘着テープなどでドライヤーとテドラーフィルムを固定してい るものの、100%密閉されたものではない。(甲37の1、2)ウ検討(ア) 前記アのとおり、被控訴人は、被控訴人の作成していたナノイー水分量評価方法に関する業務手順書に基づいて被控訴人試験2を実施したことが認められ、実際の被控訴人試験2について、その手順が業務手順 書の内容から外れたものであったとは認められない。また、業務手順書の記載内容からすると、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● とが認められ、実際の被控訴人試験2について、その手順が業務手順 書の内容から外れたものであったとは認められない。また、業務手順書の記載内容からすると、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● そして、前記アのとおり、被控訴人試験2の結果、従来ナノイーと比較して高浸透ナノイーは発生した粒子数が大幅に増加し、水分発生量が18倍以上であると結論付けられた。 被控訴人表示2の内容は、被控訴人試験2の上記結果に沿ったものであるといえ、被控訴人表示2は、業務手順書に基づいて被控訴人が実施 した被控訴人試験2の結果の範囲内で、被控訴人商品の性能を表示したものであるということができる。 (イ) 提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2に用いられたシリカゲルが吸水した水分は、ドライヤーのイオン口(ナノイーデバイス)から放出された水分(ナノイー)以外に、系内の空気中の水分もあるといえる。前 記のとおり、試験においては、ドライヤーとフィルムとが貼り付けられているが、完全に密閉されたものではない上、ドライヤーから送風を行うことにより、イオン口からも系外の空気が系内に流入すると認められ、この流入した空気に含まれる水分も、シリカゲルが吸水した水分に含まれる。このことは、提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2のいずれに おいても変わらないといえる。 そして、被控訴人商品とEH-NA9Eの両方において、シリカゲルがナノイー以外の水分を吸水することによる影響を無視することはできない。 すなわち、両方の系のシリカゲルが吸水した水分のうち、空気中の水 そして、被控訴人商品とEH-NA9Eの両方において、シリカゲルがナノイー以外の水分を吸水することによる影響を無視することはできない。 すなわち、両方の系のシリカゲルが吸水した水分のうち、空気中の水分がその一定の割合を占めるとすれば、EH-NA9Eと被控訴人商品を比較した場合の被控訴人商品のナノイーとしての水分放出量の増加の割合に 比べて、提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2におけるシリカゲルの吸水量の増加の割合は小さいことになるからである。 以上の事情によれば、提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2は、被控訴人試験2が被控訴人表示2の裏付けとならないことを示すに足りるものとはいえず、被控訴人表示2が品質誤認表示であることを認めるに 足りるものとも解されない。 エ控訴人の主張に対する判断(ア) 控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑴ウ(イ)、(ウ)のとおり、提訴時検証試験2及び控訴時検証試験2の方法及び内容に合理性があると主張する。 しかし、ドライヤーのスイッチをオンにすることで、フィルムで形成された導入管が膨らんだ状態に変化したとしても、完全に密閉されていたとは認められないこと、ドライヤーのイオン吹出口からの空気が系内に入り込むと考えられることからすると、系外の空気が系内に流入しないとは認められない。 控訴人は、上記各試験において、風を送り込まないデシケータに置いたシリカゲルを「コントロール」として設定している。しかし、上記のとおり、ドライヤーのイオン吹出口からの風を当てるデシケータでは、ドライヤーのイオン吹出口から外の空気が系内に入り込むと考えられ、このように系内に新たに入り込んだ空気中の水分をシリカゲルが吸収す るが、控訴人の設定したコントロールでは、このように新たに系内に流 オン吹出口から外の空気が系内に入り込むと考えられ、このように系内に新たに入り込んだ空気中の水分をシリカゲルが吸収す るが、控訴人の設定したコントロールでは、このように新たに系内に流 入する空気中の水分について考慮されていない。したがって、上記各試験のとおりコントロールを設定しても、シリカゲルを用いた測定によって、ドライヤーのナノイー吹出口から放出される水分(ナノイー)の増加割合を適切に測定できることにはならない。 その他、控訴人の主張を検討しても、提訴時検証試験2及び控訴時検 証試験2に前記ウ(イ)の問題点があるとの結論は左右されない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 (省略) (省略) したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 (ウ) 前機種の広告表示を流用したことについて、被控訴人表示2について検討すると、従来ナノイーに比べ、被控訴人商品による高浸透ナノイーによる水分発生量が18倍となったという被控訴人試験2の結果は、被控訴人表示2において示されているから、被控訴人表示2が、前機種の広告表示を用いていることによって、不競法2条1項20号にいう「商 品の品質について誤認させるような表示」に当たると認められることにはならない。 オ小括以上によれば、被控訴人表示2が不競法2条1項20号の品質誤認表示に当たるとは認められない。 ⑶ 被控訴人表示3の品質誤認表示該当性ア被控訴人表示3について被控訴人が実施した試験について被控訴人表示3について被控訴人が実施した試験(以下「被控訴人試験3」という。) ない。 ⑶ 被控訴人表示3の品質誤認表示該当性ア被控訴人表示3について被控訴人が実施した試験について被控訴人表示3について被控訴人が実施した試験(以下「被控訴人試験3」という。)は、乙57の別紙1業務手順書「カラー退色評価(ヘアドライヤー)」ページ1/7~7/7(乙57の15~21頁)に基づいて行わ れた。 (省略) (省略) (省略) イ提訴時検証試験3及び控訴時検証試験3について(甲6、29)(ア) 提訴時検証試験3では、被控訴人商品(「サンプル組」)とEH-ND2B(「対照組」)を比較し、それぞれ五つの毛束が使用された。その方法は、黒い髪の毛を均衡で色鮮やかにカラーリングするためにヘアカラー剤 で毛束の色を漂白(ブリーチ処理)しておき、次に、ヘアカラー剤でブリーチ処理された毛束を赤色に染め、洗浄・乾燥を5回、15回及び30回繰り返した後に、分光光度計を利用して髪色を測定し、色差⊿Eを求めたものである。 提訴時検証試験3の報告書(甲6)では、同試験の結果につき、「色変 化⊿E00が洗浄/乾燥サイクルの増加に伴い増える。ただ、5、15、30回の洗浄/乾燥サイクル後、サンプル組と対照組の間で色の変化値⊿E00に統計的に有意な差は観察されなかった。」(甲6の9頁)と記載されている。 (イ) 控訴時検証試験3は、イオン無しドライヤーとしてイオン吹出口を塞 いだ被控訴人商 組の間で色の変化値⊿E00に統計的に有意な差は観察されなかった。」(甲6の9頁)と記載されている。 (イ) 控訴時検証試験3は、イオン無しドライヤーとしてイオン吹出口を塞 いだ被控訴人商品を使用し、1群当たり10束の毛束を使用し、温度は23±2℃、湿度は50±5%RHで管理された。その方法は、黒髪にブリーチクリームを塗布して20分ほど置いた後に洗い流し、染料でカラーリングした毛髪を用いて、洗浄・乾燥を5回、15回及び30回繰り返し、写真を撮影して、分光光度計を利用して髪色を測定し、色差⊿Eを 求めたものであった。 ウ検討(ア)a 前記アのとおり、被控訴人は、被控訴人の作成していたカラー退色評価(ヘアドライヤー)に関する業務手順書に基づいて被控訴人試験3を実施したことが認められ、実際の被控訴人試験3について、その手順が業務手順書の内容から外れたものであったとは認められない。 また、業務手順書の記載内容からすると、被控訴人試験3は、通常の被控訴人商品と、高浸透ナノイーが吹き出されないようにする処理を施された被控訴人商品とを用い、白髪染めでのカラーリングを施した白髪の毛束に対して洗髪と乾燥の処理を繰り返し行い、色差計を用いて色差を測定したものと認められ、このような試験の内容に不合理な 点は認められない。 そして、被控訴人試験3において、被控訴人商品は、イオン無しドライヤー、すなわち高浸透ナノイーが吹き出されない被控訴人商品に対して、有意に退色が抑制されるとの結果が出たことが認められる。 このことは、洗髪及び乾燥処理を複数回実施した場合の色差の変化を 示すグラフ(乙57の別紙2「高浸透『ナノイー』&ミネラルによるカラーリング退色抑制効果検証」(乙57の30頁))からも読み取ることができる。 び乾燥処理を複数回実施した場合の色差の変化を 示すグラフ(乙57の別紙2「高浸透『ナノイー』&ミネラルによるカラーリング退色抑制効果検証」(乙57の30頁))からも読み取ることができる。 b 前機種の広告表示を流用したことによって被控訴人表示3が品質誤認表示となるかにつき検討すると、前記ア並びに前記第2の2⑶ウ、 第3の3⑴ア(ウ)によれば、被控訴人表示3-3に含まれるグラフは、前機種の広告表示において使用されていたグラフを、機種名の部分を除いてそのまま用いたものであると認められる。そして、上記アによれば、前機種の広告表示において使用されていたグラフは、前機種について行ったカラー退色評価の試験の結果を基に作成されたものであ るところ、前機種について行ったカラー退色評価の試験では、白髪で ない毛髪に対し、白髪染めでない剤を用いてカラーリングを施したものが用いられており、この点で被控訴人試験3と異なっている。 しかし、被控訴人試験3の結果として作成された色差の変化を示すグラフ(乙57の別紙2「高浸透『ナノイー』&ミネラルによるカラーリング退色抑制効果検証」乙57の30頁)と、前機種に関する試 験の結果として作成された色差の変化を示すグラフ(乙57の別紙2「高浸透『ナノイー』&ミネラルによるカラー退色抑制効果検証」(乙57の35頁))を比較すると、いずれもイオン無しドライヤーに対して有意に退色が抑制されるとの結果が示されており、前機種の結果の方が色差(退色)が小さいことはない。上記両試験は、カラーリング に用いられた剤が、白髪染めであるか(被控訴人試験3)、白髪染めでないヘアカラー剤であるか(前機種に関する試験)の違いがあるが、いずれも毛髪を染色する剤であることは共通しており、かつ、いずれの試験も 用いられた剤が、白髪染めであるか(被控訴人試験3)、白髪染めでないヘアカラー剤であるか(前機種に関する試験)の違いがあるが、いずれも毛髪を染色する剤であることは共通しており、かつ、いずれの試験もイオン無しドライヤーの場合の色差も示されており、イオン無しドライヤーにおける退色の程度が、白髪染めと白髪染めでないヘ アカラー剤とで大きく異なるとは認められない。 そうすると、被控訴人試験3における、被控訴人商品のイオン無しドライヤーに対する退色抑制の程度は、前機種に関する試験における、前機種のイオン無しドライヤーに対する退色抑制の程度と、少なくとも同程度であったと認めることができる。 そして、被控訴人表示3-3のグラフは、縦軸に0から2までの数値が0.5刻みで記載され、「ヘアカラーした毛髪色の変化(色差)」との文言が記載され、数値が小さくなるにつれて色が抜けにくい、大きくなるにつれて色が抜けやすい旨の表記も存在するが、被控訴人表示3には、色差をどのように測定したのか、及び上記グラフの数値が どのような意味を有するかについての説明はない。また、当該広告表 示を見る一般消費者は、色差の測定や算出の方法を知らず、関心も有していない者がほとんどであると考えられる。これらの事情によれば、上記各文言や表記とともに被控訴人表示3-3のグラフを見た一般の消費者は、グラフの縦軸の数値を、ヘアカラーの色が抜ける程度を示すものとして捉え、被控訴人商品の方がイオン無しドライヤーよりも 色が相当程度抜けにくいとの印象をもち、洗髪・乾燥処理回数ごとの色差の厳密な数値には関心をもたないと解される。これらの事情によれば、被控訴人試験3において測定された色差(⊿E)と、被控訴人表示3-3のグラフの数値が異なることをもって、被控訴人表示3が 数ごとの色差の厳密な数値には関心をもたないと解される。これらの事情によれば、被控訴人試験3において測定された色差(⊿E)と、被控訴人表示3-3のグラフの数値が異なることをもって、被控訴人表示3が品質誤認表示であるとは認められない。したがって、被控訴人表示3- 3に含まれるグラフが、前機種の広告表示において使用されていたグラフを、機種名の部分を除いてそのまま用いたものであることによって、被控訴人表示3が品質誤認表示に当たることにはならない。 c 上記a及びbによれば、被控訴人表示3の内容は、被控訴人試験3の結果に沿ったものであるといえ、被控訴人表示3は、業務手順書に基 づいて被控訴人が実施した被控訴人試験3の結果の範囲内で、被控訴人商品の性能を表示したものであるということができる。 (イ)a 提訴時検証試験3については、「対照組」としてEH-ND2Bが使用されているところ、このドライヤーは被控訴人商品と風量は異なるが、そのことをもって検証試験として合理性を欠くとはいえない。 しかし、被控訴人表示3は、高浸透ナノイー搭載のドライヤーにヘアカラーの退色抑制効果があることを示すものであって、毛髪色のグラフが一例であることは「カラー剤や個人差で効果は異なります。」との記載から理解されるものといえる。また、提訴時検証試験3で用いられたカラーリング剤は、我が国では販売されていない赤色の染毛剤 であって(乙25、26、27の1~3、弁論の全趣旨)、かつ、毛髪 にも個人差があることも考慮すれば、提訴時検証試験3において、被控訴人表示3と同等の差異が生じなかったからといって、直ちに被控訴人表示3が品質誤認を生じさせる表示であるとはいえないb 控訴時検証試験3については、イオン無しドライヤーとしてイオン吹出口をマ 控訴人表示3と同等の差異が生じなかったからといって、直ちに被控訴人表示3が品質誤認を生じさせる表示であるとはいえないb 控訴時検証試験3については、イオン無しドライヤーとしてイオン吹出口をマスキングテープで塞いだ被控訴人商品が用いられているが、 イオン吹出口をマスキングテープで塞いだ場合、ドライヤーの内部の機構により作られた高浸透ナノイーが、髪を乾燥させるための風の吹出口から放出されると考えられ、高浸透ナノイーが放出されない状態が形成されていなかったといえる。そうすると、控訴時検証試験3は、被控訴人表示3の検証試験とはならず、控訴時検証試験3の結果をも って、被控訴人表示3が品質誤認表示に当たると認めることはできない。 c 上記a及びbによれば、提訴時検証試験3及び控訴時検証試験3は、被控訴人試験3が被控訴人表示3の裏付けとならないことを認めるに足りるものとはいえず、被控訴人表示3が品質誤認表示であることを 認めるに足りるものとも解されない。 エ控訴人の主張に対する判断(ア) 控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑴エ(イ)のとおり、控訴時検証試験3につき、高浸透ナノイーが微量の水分微粒子であることを考えれば、イオン口を塞いだ場合、メイン吹出口から高浸透ナノイーは全く 出ていないか、少なくとも、メイン吹出口から排出された高浸透ナノイーはメイン吹出口から10㎝先にある毛髪に届くまでの間にすべて蒸発するか又は拡散するといえると主張する。 しかし、高浸透ナノイーがサイズの小さい微粒子であるとしても、それが微量であるために、イオン吹出口を塞ぐと通常の風の吹出口から放 出されないとか、放出されても蒸発・拡散して毛髪に届かないとは考え られず、これを認めるに足りる証拠もない。 その他、控訴人が であるために、イオン吹出口を塞ぐと通常の風の吹出口から放 出されないとか、放出されても蒸発・拡散して毛髪に届かないとは考え られず、これを認めるに足りる証拠もない。 その他、控訴人が、提訴時検証試験3及び控訴時検証試験3について主張する内容は、前記ウ(イ)a及びbで述べたところに照らすと、その主張する内容が認められないか、あるいは被控訴人表示3が品質誤認表示に当たることを認めるに足りるものとはいえない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 (イ) 控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑵イ(ウ)のとおり、①被控訴人試験3の結果は、通常のヘアカラーでなく白髪染めを用いているから、被控訴人表示3のバックアップとならない、②控訴人が行った検証試験の結果によれば、乙57の30頁の被控訴人試験3に関する内容は信用 性がないと主張する。 しかし、上記①の主張は、前記ウ(ア)のとおり、被控訴人試験3において白髪染めが使用されたことによって、被控訴人試験3が被控訴人表示3の裏付けとならないとか、被控訴人表示3が品質誤認表示に当たると解されることにはならない。 また、上記②の主張は、上記(ア)及び前記ウ(イ)a及びbのとおり、提訴時検証試験3及び控訴時検証試験3の結果をもって、被控訴人表示3が品質誤認表示に当たると認められることにはならない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 オ小括 以上によれば、被控訴人表示3が不競法2条1項20号の品質誤認表示に当たるとは認められない。 ⑷ 被控訴人表示4及び5の品質誤認表示該当性ア被控訴人表示4及び5について被控訴人が実施した試験について被控訴人表示4及び5について被控訴人が実施した試験(以下「被控訴 人 ない。 ⑷ 被控訴人表示4及び5の品質誤認表示該当性ア被控訴人表示4及び5について被控訴人が実施した試験について被控訴人表示4及び5について被控訴人が実施した試験(以下「被控訴 人試験4」という。)は、枝毛発生率評価に関する業務手順書(乙57の別 紙1業務手順書「枝毛発生率評価」ページ1/5~5/5(乙57の22~26頁)に基づいて行われた。 (省略) (省略) イ提訴時検証試験4及び5並びに控訴時検証試験4について(甲7、8、33)(ア) 提訴時検証試験4では、被控訴人商品(「サンプル組」)とEH-ND2B(「対照組」)とを比較し、それぞれ五つの毛束が使用された。その方法は、まず、ダメージを受けたアジア人の髪を得る目的で、健康な髪の毛 を60回洗浄・乾燥させ、ブリーチ処理を行い、この過程を3回繰り返し、合計180回の洗浄・乾燥と、3回のブリーチ処理を行った。このようにしてダメージを受けた髪を、対照組とサンプル組に分け、サンプル組と対照組の髪の毛のオリジナルの分岐率を測り、髪を洗浄した上で1分30秒間乾燥させ、髪を1000回櫛でコーミングし、その後のサ ンプル組と対照組の毛先の分岐の比率を測って比較するというものである。提訴時検証試験4では、SEM分析を行わず、毛先の分岐率を測るために、サンプル組と対照組の5束ずつの各毛束からそれぞれ200本の髪の毛(サンプル組、対照組それぞれ合計1000本)を取り、肉眼で毛先の分岐状 証試験4では、SEM分析を行わず、毛先の分岐率を測るために、サンプル組と対照組の5束ずつの各毛束からそれぞれ200本の髪の毛(サンプル組、対照組それぞれ合計1000本)を取り、肉眼で毛先の分岐状況を観察する方法を用いている。提訴時検証試験4に 関する報告書(甲7)には、提訴時検証試験4で用いられた毛束の毛髪の本数に関する記載はないが、控訴時検証試験4に関する報告書(甲33)には、提訴時検証試験4で用いられた各毛束には約2000本の毛髪があると記載されている。 (イ) 提訴時検証試験5では、被控訴人商品(サンプル組)とEH-ND2B(対 照組)とを比較し、それぞれ五つの毛束が使用された。その方法は、各毛束について、60回の洗浄・乾燥周期完了後、ブリーチ処理を行い、この過程を3回繰り返し、合計180回の洗浄・乾燥と3回のブリーチ処理を行って、サンプル組と対照組の各毛束からそれぞれ200本の髪(サンプル組、対照組それぞれ合計1000本の毛髪)を選び、目で髪 先の枝毛状況を観察し、枝毛本数をまとめ、枝毛率を計算した、という ものである。 (ウ) 控訴時検証試験4は、イオン無しドライヤーとしてイオン吹出口を塞いだ被控訴人商品を用い、サンプル群(被控訴人商品)とコントロール群(イオン吹出口を塞いだ被控訴人商品)それぞれ1束の毛束を用いた。 この毛束は約2000本の毛髪からなるものであった。傷んだ髪を入手 するために行われた合計180回の洗浄・乾燥と3回のブリーチ処理の手順は、提訴時検証試験4と同一である。このような処理をした毛髪の毛束を洗浄した上で1分30秒間乾燥させ、各毛束から50本の毛髪を無作為に選択し、SEM撮影を行って、毛先の状態を観察した。 ウ検討 (ア)a 前記アのとおり、被控訴人は、被控 た毛髪の毛束を洗浄した上で1分30秒間乾燥させ、各毛束から50本の毛髪を無作為に選択し、SEM撮影を行って、毛先の状態を観察した。 ウ検討 (ア)a 前記アのとおり、被控訴人は、被控訴人の作成していた枝毛発生率評価に関する業務手順書に基づいて被控訴人試験4を実施したことが認められ、実際の被控訴人試験4について、その手順が業務手順書の内容から外れたものであったとは認められない。また、業務手順書の記載内容からすると、被控訴人試験4は、毛髪を洗浄し、被控訴人商 品と、高浸透ナノイーを発生しないように処理をした被控訴人商品とを用いて、各ドライヤーで1毛束あたり90秒乾燥させ、各毛束を専用コームで1000回ブラッシングし、SEMを用いて撮影を行い、枝毛の本数を数えて枝毛発生率を算出したものと認められ、このような試験の内容に不合理な点は認められない。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●被控訴人表示4には、「高浸透ナノイー&ミネラル」の場合の毛髪先端部(毛先)の拡大写真とされる画像と、「イオン無し」の場合の毛髪先端部の拡大写真とされる画像が掲載されており、比較画像として用 いられているといえるが、これらの画像は、EH-NA9Aを用いて行われた 先)の拡大写真とされる画像と、「イオン無し」の場合の毛髪先端部の拡大写真とされる画像が掲載されており、比較画像として用 いられているといえるが、これらの画像は、EH-NA9Aを用いて行われた実験の際に撮影されたものであり(前記3⑴ア(エ))、被控訴人試験4の際に撮影された写真ではない。この点で、被控訴人表示4は、前機種の広告表示を流用しているといえる。 しかし、これらの画像は、傷みがなく枝毛が発生していない毛髪で あることを示す写真と、毛髪の先端部(毛先)が傷んで枝毛が発生した毛髪であることを示す写真であり、上記業務手順書における手順に従った場合に、被控訴人商品を用いた場合におけるダメージ度合いが中心値の毛髪が、傷みがなく枝毛が発生していない毛髪であり、イオン無しのドライヤー(高浸透ナノイーを発生しないように処理した被 控訴人商品)を用いた場合におけるダメージ度合いが中心値の毛髪が、先端部が傷んで枝毛が発生している毛髪であったとすれば、被控訴人表示4の各画像が被控訴人試験4の際に撮影された写真でないとしても、これらの画像の使用が品質誤認表示に当たるものではないと解される。 そして、従来ナノイーを発生するにとどまるEH-NA9Aを用いた場合に、ダメージ度合いが中心値のものについて枝毛が発生していないとするならば、高浸透ナノイーを発生する被控訴人商品を用いた場合に、ダメージ度合いが中心値のものについて枝毛が発生していないとしても不自然ではなく、これらの画像が、被控訴人商品が実際に有す る以上の性能を有することを示しているとも認められない。 したがって、被控訴人表示4に含まれる画像が、被控訴人試験4の際に撮影された写真でないことをもって、被控訴人試験4が品質誤認表示に当たることにはならない。 を示しているとも認められない。 したがって、被控訴人表示4に含まれる画像が、被控訴人試験4の際に撮影された写真でないことをもって、被控訴人試験4が品質誤認表示に当たることにはならない。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●被控訴人表示5-2に示されたグラフは、前機種の広告表示であり(前 記3⑴ア(エ))、被控訴人表示5-2は、前機種の広告表示を流用しているといえる。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●被控訴人表示5-2は、前機種の広告表示として既に表示されているグラフを用いていることから、被控訴人商品が少なくとも前機種と同等の性能を有していることを示しているも のと認められ、被控訴人商品を用いた試験で測定された数値よりも性能が低いことを意味する数値を表示していることからすれば、実際には有していない性能を有していると誤認させて一般消費者に商品の購入を促すようなこともない。したがって、被控訴人表示5-2が不競法2条1項20号の品質誤認表示に当たるとは認められない。 実際には有していない性能を有していると誤認させて一般消費者に商品の購入を促すようなこともない。したがって、被控訴人表示5-2が不競法2条1項20号の品質誤認表示に当たるとは認められない。 d 被控訴人表示5は、一定の期間、上記棒グラフの右側に、「【試験方 法】」として、「ブリーチ処理した毛束の洗髪、ドライヤー乾燥、コーミングを繰り返し実施。60回洗髪ごとにブリーチ処理し、180回まで実施。」との内容を含む記載が存在しており、その後削除された(前記第2の2⑶オ)。上記記載内容は、実際に被控訴人試験4として行われた試験内容と異なる内容であったが、上記記載があったことにより、 枝毛発生率がイオン無しドライヤーよりも低下するという被控訴人商品の性能について、被控訴人表示5を見た一般消費者に対して誤認を与えたものとは認められない。 (イ)a 提訴時検証試験4及び5は、ダメージを受けたアジア人の髪を得るとの目的で、健康な髪の毛を60回洗浄・乾燥させ、ブリーチ処理を 行い、この過程を3回繰り返し、合計180回の洗浄・乾燥と、3回のブリーチ処理を行った毛髪を試験に利用している。この手法は、当初被控訴人表示5に存在した「【試験方法】」の記載内容に従ったものではあるが、前記(ア)dのとおり、上記「【試験方法】」の記載内容は実際に被控訴人試験4として行われた試験内容と異なるものであり、提 訴時検証試験4及び5で用いられた上記手法は、被控訴人試験4では用いられていないものである。また、提訴時検証試験4及び5は、目で髪先の枝毛状況を観察し、枝毛の本数を数えて枝毛発生率を算出しているが、被控訴人試験4ではSEMによる撮影を行って枝毛の本数を数えており、枝毛の判断における精度が異なっているといえる。さ らに、提訴時検 況を観察し、枝毛の本数を数えて枝毛発生率を算出しているが、被控訴人試験4ではSEMによる撮影を行って枝毛の本数を数えており、枝毛の判断における精度が異なっているといえる。さ らに、提訴時検証試験4で用いられた各毛束は約2000本の毛髪からなるものであったのに対し、被控訴人試験4で用いられた毛束は100本の毛髪からなるものであり、提訴時検証試験4で用いられた毛束の毛髪より少ない本数であって、各毛束に含まれる毛髪がドライヤーによる乾燥及びコーミングによって受けるダメージは、本数の少な い被控訴人試験4の毛束に含まれる毛髪の方が大きいと考えられる。 以上のとおり、提訴時検証試験4及び5は、被控訴人試験4における条件と異なる条件で行われたものといえるから、提訴時検証試験4及び5において、被控訴人試験4の結果並びに被控訴人表示4及び5の内容と異なる結果が出たとしても、被控訴人試験4の試験が合理性を欠くものであったとは認められず、被控訴人表示4及び5が品質誤 認表示に当たると認められることにもならない。 b 控訴時検証試験4については、イオン無しドライヤーとしてイオン吹出口をマスキングテープで塞いだ被控訴人商品が用いられているところ、この手法では高浸透ナノイーが放出されない状態が形成されていなかったといえるため、被控訴人表示4の検証試験とはならず、控 訴時検証試験4の結果をもって、被控訴人表示4が品質誤認表示に当たると認めることはできないことは、控訴時検証試験3に関する判断(前記⑶ウ(イ)b)と同様である。また、控訴時検証試験4は、洗浄、乾燥の回数やブリーチ処理の有無などの条件が被控訴人試験4と異なる上、用いられた毛束は約2000本の毛髪からなり、各毛束の毛髪 の本数が少ない被控訴人試験4よりも、ドライ 検証試験4は、洗浄、乾燥の回数やブリーチ処理の有無などの条件が被控訴人試験4と異なる上、用いられた毛束は約2000本の毛髪からなり、各毛束の毛髪 の本数が少ない被控訴人試験4よりも、ドライヤーによる乾燥及びコーミングによる摩擦のダメージが小さいと考えられる。さらに、枝毛発生有無の検証のために各毛束から選ばれた毛髪が50本と少なくなっている。 上記各事情によれば、控訴時検証試験4において、被控訴人試験4 の結果並びに被控訴人表示4及び5の内容と異なる結果が出たとしても、被控訴人試験4の試験が合理性を欠くものであったとは認められず、被控訴人表示4及び5が品質誤認表示に当たると認められることにもならない。 c 上記a及びbによれば、提訴時検証試験4及び5並びに控訴時検証 試験4は、被控訴人試験4が被控訴人表示4及び5の裏付けとならな いことを示すに足りるものとはいえず、被控訴人表示4及び5が品質誤認表示であることを認めるに足りるものとも解されない。 エ控訴人の主張に対する判断(ア) 控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑴オ(イ)のとおり、ブリーチ処理された毛髪を用いることにより、実際にどのような科学的な誤りが 生じるのか明らかでなく、むしろ、ブリーチ処理された毛髪の方が枝毛発生の確率が高いにもかかわらず、当該毛髪をイオン無しのドライヤーで処理した場合の数値は2%にとどまり、被控訴人表示4に掲載されている30.7%という顕著な数値には至っていないのであるから、控訴人が提訴時検証試験4及び控訴時検証試験4においてブリーチ処理さ れた毛髪を用いたことに問題はなく、被控訴人表示4は品質誤認表示である旨主張する。 しかし、前記ウ(イ)a及びbのとおり、提訴時検証試験4及び控訴時検証試験4は、ブリー いてブリーチ処理さ れた毛髪を用いたことに問題はなく、被控訴人表示4は品質誤認表示である旨主張する。 しかし、前記ウ(イ)a及びbのとおり、提訴時検証試験4及び控訴時検証試験4は、ブリーチ処理の有無以外にも、複数の点で被控訴人試験4と条件が異なっている。また、控訴人自身が、洗浄及び乾燥を合計18 0回行い、3回のブリーチ処理を行う手法を用いた目的は、検証試験に使用する毛髪を傷んだ状態にするためであったところ、そのような傷んだ状態の毛髪に対して1000回のコーミングを行った結果として、上記手法を用いていない被控訴人試験4と比較して枝毛が発生した本数が大幅に少なかったとすれば、提訴時検証試験4及び控訴時検証試験4で 用いられた毛束の毛髪の本数が●●●●●であり、被控訴人試験4の毛束の毛髪の本数●●●●よりはるかに多いため、毛髪に対するコーミングによる摩擦の度合いが小さくなったことなどにより、コーミングによる毛髪へのダメージが被控訴人試験4よりも小さいものであったとも考えられる。したがって、控訴人が主張する内容を考慮しても、前記ウ(イ) cの判断は左右されない。 (イ) 前機種の広告表示を流用したことによって被控訴人表示4及び5が品質誤認表示になるかに関し、控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑵イ(エ)のとおり、被控訴人表示4において、EH-NA9Aを用いた実験の際に撮影された写真が使用されていることに関し、乙53及び56は被控訴人表示4のバックアップとはなり得ず、被控訴人表示4は品質誤認 表示に当たる旨主張する。しかし、被控訴人表示4においてEH-NA9Aを用いた実験の際に撮影された写真が使用されていることをもって、被控訴人表示4が品質誤認表示に当たることにならないのは、前記ウ(ア)bのとお 旨主張する。しかし、被控訴人表示4においてEH-NA9Aを用いた実験の際に撮影された写真が使用されていることをもって、被控訴人表示4が品質誤認表示に当たることにならないのは、前記ウ(ア)bのとおりである。 また、控訴人は、前記第2の4〔控訴人の主張〕⑵イ(オ)のとおり、被 控訴人表示5は、「枝毛発生率」が「30.7%」と「3.0%」であることを示す表示であるところ、乙57に記載された被控訴人試験4の結果は上記の割合と異なるから、被控訴人表示5は、バックアップが存在しない表示であり、品質誤認表示に当たると主張する。 しかし、被控訴人表示5に含まれる棒グラフが、被控訴人試験4の結 果とは異なるものの、品質誤認表示には当たらないと解されることは、前記ウ(ア)cのとおりである。 したがって、控訴人の上記各主張は採用することができない。 オ小括以上によれば、被控訴人表示4及び5は、不競法2条1項20号の品質 誤認表示に当たるとは認められない。 5 その他、控訴人が主張する内容を検討しても、当審における上記認定判断は左右されない。 第4 結論以上によれば、控訴人の請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきと ころ、これと同旨の原判決は結論において相当であり、本件控訴は理由がない。 よって、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平健 裁判官今井弘晃 裁判官水 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則
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