平成16(行コ)3 公金支出差止等請求控訴事件(原審・岐阜地方裁判所平成11年(行ウ)第4号)

裁判年月日・裁判所
平成18年8月31日 名古屋高等裁判所 住民訴訟
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判決文本文35,574 文字)

- 1 -主文 原判決中,控訴人らの被控訴人岐阜県知事及び被控訴人岐阜県出納長に対する請求のうち,平成15年6月から平成20年3月までのαダム建設事業費負担金(工業用水分)の支出命令及び支出の差止めに係る部分を取り消す。 上記部分に係る控訴人らの訴えをいずれも却下する。 控訴人らのその余の控訴をいずれも棄却する。 訴訟費用は1,2審とも控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴の趣旨( )原判決を取り消す。 ( )平成10年度以降のαダム建設事業費負担金(工業用水分)について, 被控訴人岐阜県知事は支出命令を,被控訴人岐阜県出納長は支出を,それぞれしてはならない。 ( )被控訴人Aは,岐阜県に対し,34億7348万7000円及びこれに 対する平成11年4月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ( )訴訟費用は1,2審を通じて被控訴人らの負担とする。 控訴の趣旨に対する答弁(被控訴人岐阜県知事,被控訴人岐阜県出納長)( )αダム建設事業費負担金(工業用水分)の支出命令及び支出について平 成16年9月(平成16年度第2・四半期)以降の差止請求に係る訴えを却下する。 ( )控訴人らのその余の控訴をいずれも棄却する。 ( )控訴費用は控訴人らの負担とする。 - 2 -(被控訴人A)( )控訴人らの控訴をいずれも棄却する。 ( )控訴費用は控訴人らの負担とする。 第2事案の概要 本件は,岐阜県の住民である控訴人らが,木曽川水系における水資源開発基本計画に係るαダム建設に関する建設事業費負担金(工業用水分。以下「本件負担金」という)について,被控訴人岐阜県知事が平成元年及び平成10年。 にした費用負担の同意並びに岐阜県が平成2年 資源開発基本計画に係るαダム建設に関する建設事業費負担金(工業用水分。以下「本件負担金」という)について,被控訴人岐阜県知事が平成元年及び平成10年。 にした費用負担の同意並びに岐阜県が平成2年以降に行った本件負担金の支出は,地方財政法6条,地方公営企業法17条の2第2項等に違反するなどと主張して,地方自治法(平成14年法律第4号地方自治法等の一部を改正する法律による改正前のもの。以下同じ)242条の2第1項1号に基づき,平成。 10年6月以降毎年度四半期ごと(6月,9月,12月,3月)にされる被控訴人岐阜県知事の本件負担金の支出命令及び被控訴人岐阜県出納長の同負担金の支出の差止めを求めるとともに,平成2年度から平成9年度までの支出に関して,これに岐阜県知事として関与した被控訴人Aに対し,同項4号後段に基づき,岐阜県に代位して,上記期間の支出合計額相当の損害賠償として34億7348万7000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成11年4月10日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めたところ,原審が,控訴人らの被控訴人岐阜県知事及び被控訴人岐阜県出納長(以下,両名を併せて「被控訴人岐阜県知事ら」という)に対する請求。 のうち,平成10年6月から平成15年3月までにされた本件負担金の支出命令及び支出並びに平成43年4月以降にされる本件負担金の支出命令及び支出の差止めを求める部分,控訴人らの被控訴人Aに対する請求のうち,平成2年6月から平成9年12月までにされた本件負担金の支出にかかる損害賠償を求める部分にかかる訴えをいずれも却下し,控訴人らの被控訴人らに対するその余の請求をいずれも棄却したことから,これに不服である控訴人らが控訴した- 3 -事案である。 なお,控訴人らは,当審において,被控訴人Aに る訴えをいずれも却下し,控訴人らの被控訴人らに対するその余の請求をいずれも棄却したことから,これに不服である控訴人らが控訴した- 3 -事案である。 なお,控訴人らは,当審において,被控訴人Aに対する請求を「被控訴人Aは,岐阜県に対し,39億1110万9000円及びうち34億7348万7000円に対する平成11年4月10日(訴状送達の日の翌日)から,うち4億3762万2000円に対する平成17年9月21日(同月16日付請求拡張の申立書送達の日の翌日)から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」と変更する旨申し立てたが,住民訴訟においては,当該事件が高等。 裁判所に係属しているときは,関連訴訟を併合して提起するためには,被告の同意を得なければならないところ(地方自治法242条の2第11項,行政事件訴訟法43条,19条1項,16条2項,被控訴人Aはこれに同意しない)から,控訴人らが当審において新たに請求しようとした上記4億3762万2000円(遅延損害金を含む)の請求にかかる部分は,当審における審理の。 対象とはならないものである。 争いのない事実等は,次のとおり加除訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要等」の「1」に摘示のとおりであるから,これを引用する。 ( )原判決2頁15行目の「現在に」から16行目末尾までを「原審口頭弁 論終結時に至るまで岐阜県知事の職にあった者である」と改める。 。 ( )同20行目の「独立行政法人水資源機構が」を「独立行政法人水資源 ,機構(以下「水資源機構」という)が」と改める。 。 ,( )同3頁6行目冒頭から20行目末尾までを次のとおり改める。 「イ公団が平成10年1月に変更した後記( )オの「αダム建設事業に 関する事業実施計画」によれば,αダ 」と改める。 。 ,( )同3頁6行目冒頭から20行目末尾までを次のとおり改める。 「イ公団が平成10年1月に変更した後記( )オの「αダム建設事業に 関する事業実施計画」によれば,αダムの工事計画の概要は次のとおりである(甲8,9」)。 (ア)型式ロックフィルダム(イ)堤高161.0m- 4 -(ウ)堤頂長415.0m(エ)堤頂標高406.0m(オ)堤体積約1390万m3(カ)事業費約2540億円ウ上記事業実施計画によれば,αダムは,設置目的を①洪水調節,②流水の正常な機能の維持,③新規利水,④発電とする多目的ダムとされ(甲6の5,甲8,甲9,弁論の全趣旨,そのうち新規利水につ)いては,岐阜県内の水道用水として最大1.5m/s(毎秒立方メ ートル。以下同じ,愛知県内(名古屋市を除く)の水道用水とし。)。 て最大4.0m/s,名古屋市の水道用水として最大2.0m/ s,岐阜県内の工業用水として最大3.5m/s及び名古屋市の工 業用水として最大1.0m/sの取水を可能ならしめることとされ ている」。 ( )同9頁24行目の「平成元年」から26行目の「支出している」まで 。 を削除する。 ( )同10頁13行目の「継続している。本件」を「継続し,原審」と改め る。 ( )同18行目の「公団」を「水資源機構」と改める。 ( )同12頁22行目,同13頁1行目の各「別紙「当事者目録」をいず 」れも「原判決別紙当事者目録」と改める。 ( )同13頁6行目の末尾に改行の上,次のとおり加える。 「( )本件監査請求後の経緯 ア平成16年6月15日,木曽川水系水資源開発基本計画が閣議決定された。この決定に基づいて事業実施計画変更手続が開始され,同年 改行の上,次のとおり加える。 「( )本件監査請求後の経緯 ア平成16年6月15日,木曽川水系水資源開発基本計画が閣議決定された。この決定に基づいて事業実施計画変更手続が開始され,同年7月8日には岐阜県がαダム債務負担行為592億円に同意し,岐阜県は水資源機構に費用負担同意を通知し,水資源機構は国- 5 -土交通省に対して事業実施計画変更認可申請をし,同月15日,国土交通大臣は,これを認可した(乙73,弁論の全趣旨。 )イ上記事業実施計画変更後のαダムの工事計画の概要は次のとおりとなった(乙73。 )(ア)型式ロックフィルダム(イ)堤高161.0m(ウ)堤頂長427.1m(エ)堤頂標高406.0m(オ)堤体積約1370万m3(カ)事業費約3500億円ウまた,αダムは,設置目的を①洪水調節,②流水の正常な機能の維持,③新規利水,④発電,⑤かんがいとする多目的ダムと位置づけられ,そのうち新規利水については,岐阜県内の水道用水として最大1.2m/s,愛知県内(名古屋市を除く)の水道用水と。 して最大2.3m/s,名古屋市の水道用水として最大1.0m /s,岐阜県内の工業用水として最大1.4m/s及び名古屋 市の工業用水として最大0.7m/sの取水を可能ならしめるこ ととなった(乙72,73,弁論の全趣旨。 )エ上記事業実施計画の変更により,岐阜県の本件負担金の額は,従前の約281億9400万円(前記( )ア(ウ),原判決8頁)から 約273億円(αダム建設事業に要する費用約3500億円に1000分の78を乗じて得た額)に減額された(乙61,弁論の全趣旨。 )平成15年度から平成17年度までの本件負担金の支出状況(平成17年度については予定を含む)は,別紙「αダム 3500億円に1000分の78を乗じて得た額)に減額された(乙61,弁論の全趣旨。 )平成15年度から平成17年度までの本件負担金の支出状況(平成17年度については予定を含む)は,別紙「αダム建設事業費。 ()」(,負担金岐阜県工業用水分支払内訳記載のとおりであるなお- 6 -岐阜県は,平成15年度第1・四半期及び平成16年度第1・四半期については,いずれも納入請求を受けていない。 。)岐阜県の本件負担金は,現在既払額の全てについて負担率1000分の111の割合で支払済みであり,平成17年12月の平成17年度第3・四半期分(平成16年度繰越分)も同じ負担率で支払うことになるが,上記事業実施計画の変更により岐阜県の負担率が1000分の78に減少したことから,岐阜県は平成16年度において本件負担金について負担超過となるため過不足について遡って精算することとなり,その結果,岐阜県は,平成19年度に精算する予定の消費税分を除き,平成17年度及び平成18年度については本件負担金の負担額がなく,平成20年度から平成42年度までは,確定したαダム建設事業費に負担率1000分の78の割合を乗じた金額の約49パーセント相当額に償還利子を含めて水資源機構に支払っていくこととなった(乙61,62ないし71の各1ないし3,72,73,74の1ないし3,75の1・2,弁論の全趣旨」)。 争点 ( )控訴人らの被控訴人岐阜県知事らに対する訴訟は,適法な監査請求を経 ているか。 (被控訴人岐阜県知事らの主張)平成16年6月15日に木曽川水系水資源開発基本計画が閣議決定・大臣決定されてαダム事業実施計画変更手続が開始され,事業実施計画変更に係る水資源機構の認可申請に対して国土交通大臣が同年7月15日に認可をした後にされる に木曽川水系水資源開発基本計画が閣議決定・大臣決定されてαダム事業実施計画変更手続が開始され,事業実施計画変更に係る水資源機構の認可申請に対して国土交通大臣が同年7月15日に認可をした後にされる公金支出は,本件監査請求の対象となった公金支出との間には同一性はなく,それぞれの公金支出に対する財務会計法規上の注意義務を構成する事実を異にするものである。よって,控訴人らの請求のうち,平成1- 7 -6年6月15日の事業実施計画変更手続開始後の公金支出の差止を求める部分にかかる訴えは,適法な監査請求を経ていないものであり,不適法として却下されるべきである。 なお,控訴人らは,本件監査請求においては,差止請求の対象となる財務会計行為が識別が可能な程度に特定されていると主張するが,監査請求における財務会計行為の特定の問題と,差止請求の対象となる財務会計行為との同一性の問題は別個のものであり,控訴人らの主張は不適当である。 (控訴人らの主張)公金支出の差止請求にあっては,当該行為の適否の判断のほか,さらに,当該行為が行われることが相当の確実さをもって予測されるか否かの点及び当該行為により当該普通地方公共団体に回復の困難な損害を生ずるおそれがあるか否かの点に対する判断が可能な程度に,その対象となる行為の範囲等が特定されていることが必要であり,かつこれをもって足りるものというべきである(最判平成5年9月7日・民集47巻7号4755頁。本件につ)いていえば,αダム建設による岐阜県のあらゆる支出を差し止める場合,特定対象である工事をαダム建築事業として特定さえすれば,差止請求の対象たる行為の範囲の識別には十分である。控訴人らは,本件では,差止請求の対象を「αダム建設事業費負担金のうちの岐阜県の工業用水に関する支出」と特定しており,これによって,当該 えすれば,差止請求の対象たる行為の範囲の識別には十分である。控訴人らは,本件では,差止請求の対象を「αダム建設事業費負担金のうちの岐阜県の工業用水に関する支出」と特定しており,これによって,当該行為が行われることが相当の確実さをもって予測され,また,当該行為により岐阜県に回復の困難な損害を生ずるおそれがあるか否かの点に対する判断が可能であって,本件監査請求においては,差止請求の対象となる財務会計行為の識別が可能な程度に具体的に特定されているというべきである。 そして,控訴人らは,αダム開発水による将来の工業用水需要が認められず工業用水道の事業化の可能性がないこと,本件負担金が支出権限を有する岐阜県工業用水道事業管理者の同意なくされたものであること,岐阜県が一- 8 -般会計から直接負担金を支出していることを本件支出差止請求の理由にしているのであって,フルプランやαダム事業の事業実施計画が変更されても,これらの前後で上記問題にはその性質上何ら変化がないのであるから,本件監査請求を受けた岐阜県監査委員は,本件負担金の支出がされることを相当な確実さをもって予測でき,また,これによって岐阜県に回復の困難な損害を生じるおそれがあるか否かの点に対する判断も可能であったというべきである。現に,岐阜県監査委員は,控訴人らが岐阜県工業用水道事業における将来の水需要が見込めないとして本件差止監査請求をしていることを前提に本件監査請求を却下しているのであるから,岐阜県監査委員は,工業用水道事業における将来の水需要が見込めないことを理由とする本件監査請求を却下したものというべきであり,本件監査請求の判断においては,水需要の不存在を理由とする限り,本件平成16年度の事業実施計画変更手続開始後の支出についても判断を経たものというべきである。 したがって,平 したものというべきであり,本件監査請求の判断においては,水需要の不存在を理由とする限り,本件平成16年度の事業実施計画変更手続開始後の支出についても判断を経たものというべきである。 したがって,平成16年6月15日に木曽川水系水資源開発基本計画が閣議決定・大臣決定されてαダム事業実施計画変更手続が開始され,事業実施計画変更に係る水資源機構の認可申請に対して国土交通大臣が同年7月15日に認可をした後にされる公金支出の可否についての問題も,適法な監査請求を経ているというべきであり,これが不適法であるとする被控訴人岐阜県知事らの主張は失当である。もし,このような場合に,財務会計行為の同一性が否定されるというのであれば,建設事業の全面的な不要性などの事業自体の違法性を理由とする公金支出差止請求において,被告となった支出権限者が,事業計画の一部について,場合によっては裁判で争点となっていない部分について変更することにより,容易に将来の支出の差止請求を免れることとなり,妥当ではない。 ( )控訴人らの被控訴人Aに対する訴訟は,適法な監査請求を経ているか。 (被控訴人Aの主張)- 9 -被控訴人Aに対する損害賠償請求権は,平成2年度から平成9年度まで毎年四半期毎(6月,9月,12月,3月)に支出された本件負担金に関するものであるところ,控訴人らの本件監査請求の日は,平成11年1月6日及び同年2月15日であるから,同監査請求のうち平成10年1月6日以前の本件負担金の支出に関する部分は,地方自治法242条2項本文が規定する1年の監査請求期間を経過してからされたものであって不適法である。 控訴人らは,上記の点について,地方自治法242条2項ただし書にいう「」,,正当な理由があると主張するが岐阜県の本件負担金の支出については一般会計予算 らされたものであって不適法である。 控訴人らは,上記の点について,地方自治法242条2項ただし書にいう「」,,正当な理由があると主張するが岐阜県の本件負担金の支出については一般会計予算に計上され,予算審議の場で公開されているし,予算明細説明「」,書の説明欄にαダム建設事業負担金として金額を含め明示されている上住民がこれを入手することも可能であり,さらに,αダム建設事業については,岐阜県議会において,毎年建設反対陣営から予算に関する質問を含め一般質問等で争点となっていた。したがって,住民が相当の注意力をもって調査すれば本件負担金の支出について知ることができたものであり,本件において上記「正当な理由」はないというべきである。 (控訴人らの主張)控訴人Bは,平成10年5月下旬,岐阜県開発企業局水資源課職員から本件負担金の支出の事実を聞いて,初めてこれを知った。しかし,そのときの問答では,本件負担金を一般会計から直接公団に支払っているのか,特別会計たる工業用水道事業会計から公団に支払っているのか明確な説明がなかった。その後,同年10月末ころまで数回にわたって,同課職員に対し,引き続き説明を求めたところ,ようやく一般会計から公団へ直接支出された事実が判明した。 したがって,本件負担金の支出について,岐阜県の住民が相当な注意力をもって調査したときに,客観的にみて本件負担金の支出が一般会計からされている事実を知り得たのは平成10年10月末ころであるというべきである- 10 -,,からこのときから相当な期間内に控訴人らが本件監査請求をしている以上地方自治法242条2項ただし書の「正当な理由」がある。 ( )本件負担金の支出は,違法,無効な費用負担同意に基づくものとして違 法か。 (控訴人らの主張)ア流水を工業用水に供し している以上地方自治法242条2項ただし書の「正当な理由」がある。 ( )本件負担金の支出は,違法,無効な費用負担同意に基づくものとして違 法か。 (控訴人らの主張)ア流水を工業用水に供しようとする者が費用負担金債務を負担する根拠となる契機は費用負担同意しかないから,費用負担同意は債務負担行為と解すべきであり,したがって財務会計行為に該当するものである。 費用負担同意に際して,工業用水の水需要の見込みがなく,工業用水道事業の料金による独立採算での経営可能性が認められないなら,費用負担同意は違法,無効である。また,費用負担同意は,権限のある地方公営企業管理者によってなされなければならず,権限のない者による費用負担同意は違法,無効である。違法,無効な費用負担同意に基づく納付通知に対して負担金を支出することは違法である。 イ以下のとおり,岐阜県工業用水にαダムを必要とする新規水需要がないことは明白であり,本件費用負担同意は,工業用水道の水需要が見込まれないにもかかわらずされたものであるから,違法,無効である。 (ア)フルプランが水需要予測を誤っていること旧フルプランでは,水需要について,昭和60年に都市用水(工業用水と水道用水)の木曽川水系からの1日最大取水量が132m/sに なる予測であったが,同年の水需要実績は37m/sにとどまった。 このように過大な見積もりであったため,予測されただけの水需要はその期限が切れる昭和60年の時点においては存在しなかったのであって,木曽川水系においては過剰な水余りの状況にあった。 このような状況において,平成5年3月に旧フルプランの改定が行われ,工業用水の需要予測について若干の下方修正がされたが,昭和60- 11 -年から平成4年までの実績を平成12年まで単純に延長した場合の増加量が10 いて,平成5年3月に旧フルプランの改定が行われ,工業用水の需要予測について若干の下方修正がされたが,昭和60- 11 -年から平成4年までの実績を平成12年まで単純に延長した場合の増加量が105万m/日であったにもかかわらず,新フルプランにおける 昭和60年から平成12年までの予測都市用水増加量は約330m/ 日とされるなど,依然として過大な予測となっており,実績と予測増加量の間に乖離があった。木曽川水系における平成4年の保有水源(約800万m/日)からすれば,平成12年においても水需給の余裕は十 分あったものである。 旧フルプランの期限が切れる昭和62年及び新フルプランの期限が切れる平成12年の各時点はもちろん,今後においてもαダムの水需要は,。 なく岐阜県にとって同ダムが無用の施設であることは明らかであったこのようにフルプランは水需要予測を著しく誤ったものである。 (イ)長期需給計画が水需要予測を誤っていること岐阜県の長期需給計画における大垣地域の工業用水需要予測(平成2),,2年の補給水量63万8000m/日には次のような問題があり 過大な水需要予測で不合理である。 a使用水量原単位について岐阜県予測は,使用水量原単位予測モデルとして,5業種について逆ロジスティック曲線,生活関連型(先端型)についてはベキ曲線を採用している。逆ロジスティック曲線は,一定の値に収斂していく式であり,ベキ曲線は増加し続ける式であるところ,岐阜県は,収斂する値(飽和値)の設定理由や増加し続ける理由について合理的な説明をしておらず,むしろ,収斂するとか,増加し続けるとの仮定は実績に基づいていない。実際の使用水量は淡水補給水量と工業出荷額から決まるので,使用水量の原単位というのは淡水補給量の推移から計算された結果に過ぎないも むしろ,収斂するとか,増加し続けるとの仮定は実績に基づいていない。実際の使用水量は淡水補給水量と工業出荷額から決まるので,使用水量の原単位というのは淡水補給量の推移から計算された結果に過ぎないものであり,使用水量原単位の推移から水需要を予測できるというものではない。 - 12 -b回収率について岐阜県予測は,回収率予測モデルとして基礎資材型(先端型,加)工組立型(先端型,生活関連型(在来型,生活関連型(先端型)))について実績最高値固定,基礎資材型(在来型)についてロジスティック曲線,加工組立型(在来型)について修正指数曲線を採用している。しかし,飽和値の取り方の説明がなく恣意的である。また,大垣地域の実績をみると,地域全体では冷却,温調率は70%前後で,冷却,温調用水に対する回収水の割合は50%前後であるなど,回収再利用が容易な冷却,温調用水の多くが回収再利用されていないのであって,これは全国的にみても著しく低い数値である。冷却温調用水を100%回収すれば,回収率は70%台に向上させることができるのであって,冷却・温調用水については大垣地区では回収率向上の余地が大きいから,回収率を実績最高値に固定して回収率の向上を考慮しないのは不合理である。 c工業出荷額について岐阜県は,日本経済の構造変化を無視し,工業出荷額は限りなく伸びるとの前提に立っている。しかし,日本の産業構造は,昭和48年及び昭和54年の第1次,第2次オイルショックを経て工業全体の生。 ,,産の伸びは鈍化したさらにバブル経済崩壊の前後で大きく変化し高度経済成長期には重化学工業,鉄鋼業,化学工業といった用水型の産業が中心であったものが,今日の成長産業は非用水部門が中心となっている。バブル経済崩壊以降の産業構造が将来にわたって大きく変化する要素は見い 成長期には重化学工業,鉄鋼業,化学工業といった用水型の産業が中心であったものが,今日の成長産業は非用水部門が中心となっている。バブル経済崩壊以降の産業構造が将来にわたって大きく変化する要素は見い出せないから,工業出荷額の予想は横ばいあるいは減少傾向を考慮した手法が用いられるべきである。 特に,需給水量の61%を占める生活関連型(在来型)の中心である繊維工業の実績は,淡水補給水量はもちろん製造品出荷額,敷地面- 13 -積も減少傾向にある。すなわち,平成2年の需要水量で全体水量の34%を占める繊維産業における平成4年以降の使用水量が大幅に減少しているにもかかわらず,岐阜県予測は,出荷額は伸び続けるという前提に立っているが,実態に反するもので不合理である。 d予測式自体について岐阜県予測によれば,使用水量原単位及び回収率はいずれも一定の値に収斂するので,需要水量(補給水量)は工業出荷額の増加に伴って増加する関係となる。しかし,過去の実績からすれば,工業出荷額と需要水量(補給水量)の間にはそのような相関関係は認められないから不合理である。 e工業用水道による供給必要水量の検討の欠如についてαダムによる工業用水の必要性をいうためには,工業用水道によって供給する水量がどれだけ必要かの検討をしなければならない。 工業用水道は,ある程度以上の規模の補給水量を必要とする事業所でなければ利用されない。小規模零細事業所は工業用水道の対象外である。ところが,岐阜県予測は,1人以上の事業所という小規模零細事業所まで需要水量の計算に入れており,この点も不合理である。 fまとめ以上のとおり,大垣地域の補給水量の実績の動向は漸減であって,将来の増加は望めない。特に,工業用水需要量の大部分を占めている生活関連型(在来型)のさらに中心をなしている繊維工業が ある。 fまとめ以上のとおり,大垣地域の補給水量の実績の動向は漸減であって,将来の増加は望めない。特に,工業用水需要量の大部分を占めている生活関連型(在来型)のさらに中心をなしている繊維工業が大きく減少しているのである。また,大垣地域の場合,回収率を向上させることが可能であるから,使用水量の増加があったとしても,補給水量は増加しないことが確実である。 (ウ)以上のとおり,αダムの建設の前提となっている水需要予測は誤っており,αダムを必要とする新規水需要はない。 - 14 -しかも,現実の大垣地域の工業用水需要量は,昭和48年の64万6(),835m/日使用水量は79万7376m/日をピークとして 昭和55年には52万9264m/日(使用水量は77万4044m /日,昭和60年には40万7675m/日(使用水量は61万5) 617m/日)と減少し,平成2年には43万4561m/日(使 用水量は64万4960m/日)とやや増加したものの,平成7年に は37万1262m/日(使用水量は56万4264m/日,平成) 12年には33万1796m/日(使用水量は52万6700m/ ),,,日となり漸減傾向を示しているのであって平成10年同意時には計画基準年の平成2年から平成8年までの工業用水需要量の大きな減少動向を認識することができ,水需要の予測と実績とが乖離していることの認識は可能であった。そして,本件費用負担同意の違法性の有無を検討するに当たっては,違法性の判断の性質上,本件費用負担同意以降の資料をその対象に含めることは当然であり,平成10年同意以降の工業用水需要の実績も含めて判断すれば,上記乖離の存在はいっそう明確となる。 上記水需要の実態に照らせば,本件費用負 件費用負担同意以降の資料をその対象に含めることは当然であり,平成10年同意以降の工業用水需要の実績も含めて判断すれば,上記乖離の存在はいっそう明確となる。 上記水需要の実態に照らせば,本件費用負担同意が違法であることは明らかである。 ウ以下のとおり,本件費用負担同意は,公団法20条2項所定の費用負担者によってされたものではなく,違法,無効である。 (ア)公団法29条1項は,公団は「水資源開発施設を利用して流水を,水道若しくは工業用水道の用に供する者」等に当該水資源開発施設の新築等の費用を負担させると規定する。ここで,公団の水資源開発施設建設費の負担者は,地方公営企業としての工業用水道事業であって,地方公共団体ではないと解すべきである。 なぜなら工業用水道事業は地方公営企業で経営しなければならず地,(- 15 -方公営企業法2条1項2号,地方公営企業である工業用水道事業の経)営は後記のとおり独立採算を義務付けられているので,水源の取得とその費用負担は自らしなければならないからである。 (イ)次に,公団法20条2項は,公団は水資源開発施設の建設費負担について「水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者が特定しているときは」その者の同意を得なければならないとしている。ここにいう同意とは,当該水資源開発施設の開発水を,,利用する工業用水道施設を建設改良して工業用水道事業を行う管理者すなわち岐阜県においてはαダム工業用水道事業の管理者の同意をいうものと解すべきである。 なぜなら,工業用水道事業は地方公営企業で経営しなければならず,地方公営企業である工業用水道事業の経営は独立採算を義務付けられているので,水源の取得とその費用負担は自らしなければならないという法の趣旨を押し進めると,地方公営企業とし 業で経営しなければならず,地方公営企業である工業用水道事業の経営は独立採算を義務付けられているので,水源の取得とその費用負担は自らしなければならないという法の趣旨を押し進めると,地方公営企業としての工業用水道事業がまずあって,その者が工業用水道事業法3条1項の届出をして同法に基づく工業用水道事業を営むのであり,被控訴人らが主張するように工業用水道事業法3条1項の届出をした後に地方公営企業としての工業用水道事業が始まるのではないというべきところ,地方公営企業である工業用水道事業では,その用に供する資産の取得,管理,処分は工業用水道事業管理者が行うし(地方公営企業法9条7号,33条1項,経費の支払)も工業用水道事業管理者が行い(同法9条11号,27条,一般行政)事務を行う県知事,出納長等が行うものではないからである。 (ウ)したがって,被控訴人岐阜県知事が本件費用負担の同意をしたからといって,法的意味のない政治的意見の表明にすぎず,これによって岐阜県が本件負担金の支払義務を負うものではなく,工業用水道事業者である地方公営企業の工業用水道事業管理者の同意がない以上,本件負担- 16 -金の支出は公団法20条2項に違反することになる。 なお,前記のとおり,岐阜県ではαダムの工業用水に対する需要はなく,大垣地域で工業用水道を建設することも工業用水道事業を実施することもないことから,工業用水道事業管理者は存在しないことになる。 (被控訴人らの主張)ア岐阜県が本件費用負担同意をしたからといって,必ず公団が岐阜県に対して建設事業負担金の賦課行為をするとは限らない。なぜなら,本件費用負担同意の際,いずれも費用負担割合のほか事業概算額が決定済みであるにとどまり,具体的な負担金の額が決定しているわけではないし,費用負担の同意があったとしても, するとは限らない。なぜなら,本件費用負担同意の際,いずれも費用負担割合のほか事業概算額が決定済みであるにとどまり,具体的な負担金の額が決定しているわけではないし,費用負担の同意があったとしても,公団は,費用負担同意を得るほかに,内閣総理大臣との協議を経た上で(公団法53条,事業実施計画につき主務大)臣の認可を得なければならない(公団法20条1項)などの手続が要求されているし,岐阜県が費用負担の同意をした後であっても,主務大臣及び公団は岐阜県の意思に関係なくαダム建設を中止することができるのであるしたがって本件費用負担同意は地方自治法242条1項にいう義。 ,,「務の負担」には該当しない。 イ次のとおり,長期需給計画における岐阜県の大垣地域の工業用水需要予測は合理的なものであり,被控訴人岐阜県知事は,αダム建設事業の必要性について,長期需給計画に基づく水需要の見通しに基づいて平成10年同意をしたものである。大垣地域における今後の工業用水の需要量増加に,,対してはすべてαダムによる開発水量に依存せざるを得ないものでありしかも,地盤沈下の防止を図るため地下水採取規制及び代替水源の確保等の必要性が生じた際には,αダムは地盤沈下防止等対策として代替水源に位置付けられているのであるから,αダムの建設は必要不可欠であり,平成10年同意は適法である。 (ア)使用水量原単位について- 17 -控訴人らの提出するC作成の意見書(甲12)添付の資料からも,平成3年までは実質工業出荷額の増加に伴い淡水使用量原単位は減少し,平成4年以降は実質工業出荷額の増減にかかわらず,淡水使用量原単位はあまり変化しなくなり50m/日に収斂していることが読み取れ る。 なお,長期需給計画では,逆ロジスティック曲線における飽和値(下限値)は, 実質工業出荷額の増減にかかわらず,淡水使用量原単位はあまり変化しなくなり50m/日に収斂していることが読み取れ る。 なお,長期需給計画では,逆ロジスティック曲線における飽和値(下限値)は,実績最低の1割減として設定している。 (イ)回収率について岐阜県内で比較すると,平成2年においては,地下水依存度が6.1%と低い可茂・益田地域の回収率が32.1%であるのに対し,地下水依存度が64.5%と高い大垣地域の回収率は32.6%であり,補給水のほとんどをダム開発水などの表流水に依存する可茂・益田地域と大差ない値となっている。このように,大垣地域の回収率が他地域と比べて低いとはいえない。 控訴人らは,大垣地域では回収率向上の余地がかなりあるとも主張するが,冷却用や温調用水を回収し再利用するためには,工場内に循環用の配管や冷却装置などの施設整備があり,かつ,運転費や維持管理費の支出が必要であり,事業者の規模によってはこれら再利用施設の整備率が異なることが想像される。すなわち,実質の回収率の高低は,事業規模に影響を受けるのであり,この考え方を基にして平成2年時点での大垣地域の繊維工業とプラスチック製品製造業について回収率を検証すると,その回収率は全国平均並みであることが分かる。 なお,長期需給計画における大垣地域の水需要予測においては,どの分類型も回収率の実績値が全国平均より低いことから,基礎資材型(在来型)と加工組立型(在来型)については,将来,回収率が全国平均並みになるとして飽和値(上限値)を設定し,上記2分類を除いた4分類- 18 -については,回収率の実績値が減少傾向にあり,そのまま将来動向を予測すれば,漸増して一定値に収斂していくという全国動向に相反するので,データ収集期間の実績最大値を飽和値として設定したものである。 (ウ ついては,回収率の実績値が減少傾向にあり,そのまま将来動向を予測すれば,漸増して一定値に収斂していくという全国動向に相反するので,データ収集期間の実績最大値を飽和値として設定したものである。 (ウ)工業出荷額について長期需給計画は繊維工業という単体ごとには実施していないところ,「大垣地区工業の実質出荷額と工業用水の淡水補給量,回収率の推移」(甲12の13頁・図4)を見ても,昭和59年から平成2年の間については実質出荷額は右肩上がりに推移しているし,また,新高速三道が開通すると,西濃地域の交通アクセスの利便性は一段と向上し,企業の集積が進むことが見込まれること等からすれば,今後,工業出荷額の伸びが見込まれないと断言することはできず,その増加を期待することが自然である。 また,経済の動向には波があるものであり,データ収集期間の7か年において製造品出荷額は順調に伸びていた。現時点での水需要の実績値が予測値を下回ったとしても,この先の将来水需要が上昇することを必ずしも否定できるものではない。 (エ)予測式自体について工業用水の需要予測にあたって,計画目標年次における工業出荷額,使用水量原単位を基に必要水量を算出する方法は一般的なものであり,「建設省河川砂防技術基準(案)同解説計画編(乙47)にも示さ」れている手法であるから,岐阜県が採用した予測式が不合理であるとはいえない。 (オ)工業用水道による供給必要水量の検討の欠如について全国の工業用水道事業の料金制度をみると,責任使用水量制を採っていても最低給水量を定めていない工業用水道もあり,使用水量の少ない事業者の工業用水道利用を妨げるものではない。そこで,小規模零細事- 19 -業所が多い大垣地域において,仮に工業用水を利用すると予想する事業所規模を30人以上と仮定すると,大半 使用水量の少ない事業者の工業用水道利用を妨げるものではない。そこで,小規模零細事- 19 -業所が多い大垣地域において,仮に工業用水を利用すると予想する事業所規模を30人以上と仮定すると,大半の小規模零細事業所が予測対象から漏れることになり,水需要予測としては不適当になる。 (カ)大垣地域では昭和48年に64万6835m/日の補給水量の実 績がある。これは従業員30人以上の事業所の統計数値であり,全事業所についてはこれより使用水量は多くなる。岐阜県の長期需給計画における平成22年の補給水量予測は63万8000m/日であり,上記 実績よりも低い。すなわち,上記予測は,過去の実績に基づき将来の水需要を推計し,給水制限など県民生活に重大な支障を及ぼす事態が生じないよう水源の安定的な確保を図るため計画されたものである。一方,昭和48年ころには地下水揚水が多くそのため大規模な地盤沈下域が形成された。大垣地域においては「表流水他」の95%程度が地下水で,あるところ,今後増大する補給水位の需要に対応し,社会基盤に重大な影響を及ぼす地盤沈下を防ぐためには水資源開発施設の整備が必要となる。したがって,長期需給計画の水需要予測に誤りはない。 ウまた,αダムに関しては,岐阜県が公団法20条2項にいう「工業用水道の用に供しようとする者」に該当するので,その代表者である被控訴人岐阜県知事がした本件費用負担同意は適法である。 すなわち,工業用水道事業法3条1項(ただし,中央省庁等改革関係法施行法による改正前のもの)は「地方公共団体は,工業用水道事業を営もうとするときは,その工業用水道施設の設置の工事の開始の日の60日前までに,その旨を通商産業大臣に届け出なければならない」と規定して。 いることからすれば,同法は,工業用水道事業の工事開始前の「工業用 とするときは,その工業用水道施設の設置の工事の開始の日の60日前までに,その旨を通商産業大臣に届け出なければならない」と規定して。 いることからすれば,同法は,工業用水道事業の工事開始前の「工業用水道事業を営もうとする者」として,地方公共団体を想定していることが明らかである。 ,「」,そして工業用水道事業を営もうとする者としての地方公共団体が- 20 -通商産業大臣に対して事業届出をし(工業用水道事業法3条1項,その)届出をした工業用水道事業について,地方公営企業の業務を執行させるための「管理者」を置き(地方公営企業法7条「管理者」が,地方公営),企業の業務を執行し,その業務につき当該地方公共団体を代表し(同法8条,地方公営企業の経理は特別会計を設けて行なう(同法17条)とい)う手続の流れになっているのである。αダムについては,通商産業大臣に対していまだ上記工業用水道事業の届出がされておらず,同事業の開始前であるから,地方公営企業法の適用はなく,当然「管理者」も置かれていないから,そもそも「工業用水道事業管理者」の費用負担の同意という,ものを観念することはできない。 したがって,αダムに関しては,岐阜県が公団法20条2項にいう「工業用水道の用に供しようとする者」に該当するものである。 ( )被控訴人岐阜県知事らが本件負担金を支出することは違法か。 (控訴人らの主張)ア被控訴人岐阜県知事らが本件負担金の支出等を行うためには,各支出のときに,工業用水の水需要の見込みがあり,独立採算での経営可能性があると判断されることが必要であるが,岐阜県工業用水にαダムを必要とする新規水需要がないことからすれば,工業用水道の水需要が見込まれないにもかかわらずされ,今後される予定の本件負担金の支出自体も違法である。 なお,本 が必要であるが,岐阜県工業用水にαダムを必要とする新規水需要がないことからすれば,工業用水道の水需要が見込まれないにもかかわらずされ,今後される予定の本件負担金の支出自体も違法である。 なお,本件負担金の支出の違法性の有無を検討するに当たっても,違法性の判断の性質上,本件負担金支出以降の資料をその対象に含めることは当然である。 イさらに,次のとおり,本件負担金は,工業用水道事業特別会計から支出されなければならないにもかかわらず,一般会計から支出され,今後も支,,出される予定であるからこのような本件負担金の支出は地方財政法6条- 21 -地方公営企業法17条の2第2項に違反し,違法である。 (ア)公団の水資源施設建設費負担者は,地方公営企業としての工業用水道事業であり,公団が本件負担金を請求すべきは,地方公共団体たる岐阜県ではなく,岐阜県公営企業たる工業用水道事業である。これを前提とすると,水資源施設建設費はおよそ一般会計から支出することは許されず,工業用水道事業特別会計から支出しなければならない。 地方公営企業は独立採算の原則が採られており,一般会計から特別会計への繰入れさえ法令で例外を定める場合を除いては認められない地,(方財政法6条,地方公営企業法17条の2,17条の3。すなわち,)安易に一般会計から本件負担金の支出を認めると,一般行政事務の財源,,を奪うことになりひいては一般住民の福祉が制限される結果になるがこれに加えて,工業用水道事業は,市民生活に密着する事業ではなく,市民生活との関わりは間接的であるから,同事業は,地方公営企業(地方公営企業法2条1項各号参照)の中でも,特に独立採算の原則が厳格に維持されなければならないからである。これらの点からすれば,本件負担金は,工業用水道事業特別会計から支出されなけ ,地方公営企業(地方公営企業法2条1項各号参照)の中でも,特に独立採算の原則が厳格に維持されなければならないからである。これらの点からすれば,本件負担金は,工業用水道事業特別会計から支出されなければならないというべきである。 なお,工業用水道事業法による事業の届出は,通商産業大臣が給水事業者に対して必要な指導等を行う前提として,事業者及び事業内容を把握するために要請されるものであり,地方公営企業法による企業の経済性発揮の要請には全く関係がないから,αダム建設事業費負担金は,上記届出の前後にかかわらず,特別会計から支出されなければならないものである。 (イ)仮にそうでないとしても,岐阜県は,平成8年にβダムについて工業用水道事業特別会計を設置したから,地方公営企業法17条が規定する一事業一会計の原則から,工業用水道事業に関するすべての資産,費- 22 -用は同特別会計で管理しなければならない。よって,少なくとも平成8年度以降については,本件負担金は工業用水道事業特別会計から支出しなければならない。 (ウ)被控訴人らは,本件負担金の支出が一般会計からであるか特別会計からであるかによって何ら損害が発生するわけではないし,仮に損害があったとしても相当因果関係がないと主張するが,地方公営企業法17条の2第1項所定の事由があれば,経費を一般会計から特別会計に繰り入れることは認められるものの,このような例外的な事由がないにもかかわらず一般会計から支出がなされると,一般行政事務の財源の減少を来たし,住民全体の利益を害することになって違法というべきであるから,被控訴人らの上記主張は失当である。 (被控訴人らの主張)ア岐阜県の本件負担金の支払義務は,公団(現在はこれを承継した水資源機構)の岐阜県に対する納付通知によって発生するものであるとこ あるから,被控訴人らの上記主張は失当である。 (被控訴人らの主張)ア岐阜県の本件負担金の支払義務は,公団(現在はこれを承継した水資源機構)の岐阜県に対する納付通知によって発生するものであるところ,納付通知が適法である場合には,本件負担金の支出自体の違法性を主張立証しない限り,本件負担金の支出は当然に適法となる。 イ仮に,納付通知が違法と判断される場合であっても,被控訴人岐阜県知事らは,納付通知が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り,納付通知を尊重しその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり,これを拒むことはできないというべきである。そして,岐阜県には「岐阜県第五次総合計画」及び長期需給計画による水需要予測認識があり,αダム建設の必要性を認識していたのであって,この程度の予測資料と方法に基づく水需要予測認識があれば,被控訴人岐阜県知事らは,納付通知について,予算執行の適正確保の見地から著しく合理性を欠き看過し得ない重大な瑕疵が一見して明白に存在するものではないと判断しても,上記財務会計上の- 23 -措置を採るべき義務に反したとはいえない。 ウなお,次のとおり,岐阜県の一般会計から本件負担金の支出がされていることによっては,本件負担金の支出が違法となることはない。 (ア)地方公営企業法の適用を受ける時期に関して,当該事業を行うことについて行政庁の許認可を要するものは許認可の日,届出を要するものは届出を受理された日と解されている。また,建設中の工業用水道事業への法適用時期に関する行政実例でも,地方公営企業法が適用となる時,。 期は工業用水道事業法3条1項に規定する届出をした時とされているそうすると,上記許認可又は届出がされるまでは,たとえその事業を経 法適用時期に関する行政実例でも,地方公営企業法が適用となる時,。 期は工業用水道事業法3条1項に規定する届出をした時とされているそうすると,上記許認可又は届出がされるまでは,たとえその事業を経営する意思があり,そのための建設が行われていても地方公営企業法は適用されないところ,建設中のαダムについては,現在のところ,工業用水道事業法3条1項に規定する岐阜県の事業届出はされていない。 ところで,地方財政法6条は「公営企業で政令の定めるものについ,ては,その経理は特別会計を設けてこれを行」うと規定し,上記政令に,,,,当たる地方財政法施行令12条は公営企業として水道工業用水道交通等13事業を規定する。そして,地方公営企業法2条1項は,上記事業のうち水道(簡易水道を除く,工業用水道,交通,電気,ガス。)の5事業に対して,同法を適用すると規定し,これらの事業に対する経営原則は地方公営企業法の定めるところによるから,地方公営企業法の適用がある事業のみが,地方財政法が規定する工業用水道事業に該当するものである。 そうすると,αダムは建設中であり,導管等の施設の完成に至っておらず,工業用水の供給開始もされていない現在,岐阜県は通商産業大,臣に対して工業用水道事業法3条1項に基づく事業届出をしておらず工業用水道事業開始前であるから,地方公営企業法の適用がなく,地方財政法の適用もない。 - 24 -(イ)αダムの流水を工業用水道の用に供して工業用水道事業を営む者は地方公共団体としての岐阜県であり,公団法20条2項にいう「工業用水道の用に供しようとする者,同法29条1項にいう「工業用水道の」用に供する者」はいずれも岐阜県である。そうすると,公団法29条1項に規定する債務である本件負担金債務は岐阜県の債務である。岐阜県の債務 用に供しようとする者,同法29条1項にいう「工業用水道の」用に供する者」はいずれも岐阜県である。そうすると,公団法29条1項に規定する債務である本件負担金債務は岐阜県の債務である。岐阜県の債務である本件負担金債務につき,αダムに関して工業用水道事業法による事業届出を岐阜県が行っていない以上,地方公営企業法17条の規定による特別会計を設けないで一般会計から支出することが違法となる余地はない。工業用水道事業法に基づく事業届出前に,ダム建設負担金の支出につき特別会計を設けるか一般会計で経理処理するかは,工業用水道事業を営もうとする者の判断に委ねられており,上記事業届出前に工業用水道事業特別会計を設けるべき法律上の要請はない。 しかも,地方公営企業の独立採算制といっても,一般会計において負担すべき経費(公共的要請により受益者負担の原則になじまない経費)を除いた部分についての独立採算制であり,完全な独立採算制が採られているわけでもない(地方公営企業法17条の2。 )(ウ)さらに,本件負担金の支出が一般会計からであるか,特別会計からであるかによって岐阜県に損害が発生するわけではないし,仮に損害があったとしても相当因果関係がないというべきであるから,控訴人らの主張はこの点でも失当である。 (エ)一事業一会計の原則とは,地方公共団体の経営する複数の事業(水道事業,工業用水道事業,軌道事業等)の2つ以上の事業を通ずる特別会計を設置して,会計内容及び財政状況を不明確にしてはならないとの要請である。したがって,事業の合理的運営や経営内容及び財政状況の明確性のために,事業を必要に応じて細分化し,細分化した事業ごとに別個の会計を設けることは一事業一会計の原則に反しない。 - 25 -αダムが完成し工業用水道事業の届出がなされたとしても,その流域はβ 性のために,事業を必要に応じて細分化し,細分化した事業ごとに別個の会計を設けることは一事業一会計の原則に反しない。 - 25 -αダムが完成し工業用水道事業の届出がなされたとしても,その流域はβダムと相違しており,受益者も異なっている。したがって,αダムの水源費である工業用水道事業開始前の建設負担金を,βダムの特別会計から支出せず一般会計から支出していることは,行政裁量の範囲内であって,一事業一会計の原則に反するものではない。 ( )被控訴人Aが本件費用負担同意をしたことについて不法行為が成立する か。 (控訴人らの主張)本件費用負担同意は工業用水道事業管理者が行うべきであり,本来被控訴人Aにはその権限がなかったにもかかわらず,被控訴人Aは自ら本件費用負担同意をし,その結果,平成2年度から平成9年度にかけて合計34億7348万7000円の本件負担金を岐阜県に支出させ,同額の損害を岐阜県に与えたのであるから,岐阜県に対しこれを賠償する義務がある。 仮に,被控訴人Aに本件費用負担同意をする権限があったとしても,被控訴人Aは,工業用水道の水需要の見込めないαダムについて本件費用負担同意をすべきでなかったにもかかわらず,岐阜県知事として岐阜県に対して負う忠実義務に違反して本件費用負担同意をした結果,本件負担金を岐阜県に支出させ,上記額の損害を岐阜県に与えたのであるから,岐阜県に対しこれを賠償する義務がある。 (被控訴人Aの主張)争う。 ( )被控訴人Aに不法行為が成立する場合において,損害賠償請求権は消滅 時効により消滅しているか。 (被控訴人Aの主張)控訴人らが被控訴人Aに対して請求する債権は,不法行為に基づく損害賠,,償請求権であるからそのうち平成8年2月27日以前の支出に係る部分は- 26 -民法724条により3年の消 訴人Aの主張)控訴人らが被控訴人Aに対して請求する債権は,不法行為に基づく損害賠,,償請求権であるからそのうち平成8年2月27日以前の支出に係る部分は- 26 -民法724条により3年の消滅時効期間が経過している。そして,被控訴人Aは,平成13年9月5日の本件原審弁論準備手続期日において,上記消滅時効を援用した。 したがって,平成8年2月27日以前の支出に係る損害賠償請求権は存在しない。 (控訴人らの主張)代位請求に係る損害賠償請求権の消滅時効期間は,地方自治法236条1項により5年であるから,本件損害賠償請求権はその全部について消滅時効期間が経過しておらず,被控訴人Aの上記主張は失当である。 第3当裁判所の判断 訴えの利益について(争点( ),( )に関する部分を除く) 。 ( )控訴人らの被控訴人岐阜県知事らに対する請求は,地方自治法242条 の2第1項1号に基づき,平成10年6月以降の本件負担金の支出命令及び支出の差止めを求めるものであるところ,差止請求は当該行為がされる以前又は現にされつつあるときにのみ可能であって,既に差止めの対象となる行為がされた後にその行為の差止めを請求することはできず,このような差止請求には訴えの利益がなく,不適法となる。 そして,岐阜県は,平成17年9月26日に平成17年度第2・四半期分までの本件負担金を支出しており,また,同年12月には同年度第3・四半期分を支出する予定であり,これにより同年度分の支払がすべて終了するものであるところ,既にその時期は経過していることからすれば,平成10年6月から平成17年12月分についての支出等の差止めに係る訴えは,訴えの利益を欠くものであって,いずれも不適法であるというべきである。 ( )また,差止請求は,地方公共団体の執行機関又は職員の当該 6月から平成17年12月分についての支出等の差止めに係る訴えは,訴えの利益を欠くものであって,いずれも不適法であるというべきである。 ( )また,差止請求は,地方公共団体の執行機関又は職員の当該財務会計行 為がなされることが相当の確実性をもって予測される場合に限り許されるものであって,これが認められない場合には,このような差止請求は不適法と- 27 -なる。 そして,平成16年7月15日に認可された事業実施計画変更により,岐阜県は,平成19年度に精算する予定の消費税分を除き,平成17年度及び平成18年度については本件負担金の負担額がなく,平成20年度から平成42年度までは,確定したαダム建設事業費に負担率1000分の78の割合を乗じた金額の約49パーセント相当額に償還利子を含めて水資源機構に支払っていくこととなったものであることからすれば,本件負担金のうち,平成18年3月から平成20年3月までの分については,本件負担金の支出が相当の確実性をもって予測されるものとは認められないから,これらの分についての支出等の差止めに係る訴えは,訴えの利益を欠くものであって,いずれも不適法であるというべきである。 なお,平成19年度に精算する予定の消費税分についてはその支出の可能性はあるということができるが,あくまで予定にとどまり,その支出の有無や額,時期等は未定であるといわざるを得ないから,これについての支出等の差止めに係る訴えも,訴えの利益を欠くものであって,不適法であるといわざるを得ない。 ( )さらに,上記のとおり,岐阜県は,本件負担金について,平成43年4 月以降の支出は予定していないのであるから,同部分については,本件負担金の支出が相当の確実性をもって予測されるものとは認められず,これらの,,分についての支出等の差止めに係る ,平成43年4 月以降の支出は予定していないのであるから,同部分については,本件負担金の支出が相当の確実性をもって予測されるものとは認められず,これらの,,分についての支出等の差止めに係る訴えは訴えの利益を欠くものであっていずれも不適法であるというべきである。 争点( )(控訴人らの被控訴人岐阜県知事らに対する訴訟は,適法な監査請 求を経ているか)について。 住民監査請求は,その対象とする財務会計行為又は怠る事実を他の事実から区別し,特定して認識できるように個別的,具体的に摘示し,また,同行為等が複数である場合には,同行為等の性質,目的等に照らしてこれらを一体とみ- 28 -てその違法又は不当性を判断するのを相当とする場合を除き,各行為等を他の行為等と区別し,特定して認識できるよう個別的,具体的に摘示してしなければならない(最高裁平成元年(行ツ)第68号同2年6月5日第三小法廷判決・民集44巻4号719頁)ものであるが,このようにして適法にされた住民監査請求を経た後に提起される訴訟においては,請求の趣旨はこれと完全に一致する必要があるものではなく,それが住民監査請求において監査委員が監査の対象とすることができたものと認められる範囲内にとどまるものである場合には,それらの同一性を肯定することができ,当該訴訟は適法な住民監査請求を経て提起されたものとみることができるというべきである。 これを本件についてみるに,控訴人らは,αダム完成後において岐阜県内における工業用水の需要の見込みがないことを理由として,本件負担金を支出することそれ自体が違法であるとして監査請求をしたところ,監査委員は,岐阜県内の工業用水の水需要の見込みがあり,最大3.5m/sの取水をするこ とから1000分の111とされた負担率により算出される本件負担金 自体が違法であるとして監査請求をしたところ,監査委員は,岐阜県内の工業用水の水需要の見込みがあり,最大3.5m/sの取水をするこ とから1000分の111とされた負担率により算出される本件負担金の支出について,財務会計上違法不当な点はないとして,監査結果を通知し,控訴人らは,上記監査結果の通知を受けて,被控訴人岐阜県知事らに対し,本件負担金の支出等の包括的な差止めをその趣旨とする本訴を提起しているものである。 上記経過に鑑みれば,監査委員は,建設負担金を支払うことそれ自体について監査して,その結果を通知しているから,αダムから岐阜県が工業用水を取水するとして建設資金の負担金を支払う以上,その額が変更されたとしても,その支出は監査請求を経ていると解することができるものというべきである。 ,,ところで平成16年7月15日に認可された事業実施計画変更においては,. 工事金額が増額されたものの岐阜県内の工業用水としての取水限度を最大14m/sに減らし,負担率が1000分の78に減らされた結果,負担金総 額は減額となったところ,このことと本件監査請求の内容及びその結果との関- 29 -係をみるに,本件監査請求は工業用水の需要がなく,その取水を前提とする本件負担金の支払は一切認められないという立場であり,上記変更後の支払についても,控訴人らの主張は変更されないと解されるし,変更前の取水量及び負担率及び負担金額について財務会計上問題がないとした監査結果は,これより少ない取水量と負担率及び低額な負担金額に関しても財務会計上問題がないとする判断を含むものと解することができ,実質的に監査を経ているものと解することができる。なお,監査請求時において判断の対象になし得なかった事由により,負担金額が変更された場合には,これらの事由に関しては監査請求 むものと解することができ,実質的に監査を経ているものと解することができる。なお,監査請求時において判断の対象になし得なかった事由により,負担金額が変更された場合には,これらの事由に関しては監査請求を経たとはいえないから,この点を問題とするのであれば,再度監査請求を経るべきであり,これを本訴において違法事由として主張することはできないものというべきである。 したがって,控訴人らの被控訴人岐阜県知事らに対する平成21年以降の本件負担金の支出の差止請求は,適法な監査請求を経て提起されたものと認めるのが相当である。 争点( )(控訴人らの被控訴人Aに対する訴訟は,適法な監査請求を経てい るか)について。 当裁判所も,本件監査請求のうち平成9年12月分までの本件負担金に係る部分は,監査請求期間を経過してされたものであり,控訴人らの被控訴人Aに対する請求のうち同部分に係る訴えは不適法として却下すべきものと判断するが,その理由は,次のとおり訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第4当裁判所の判断」の「3(原判決36頁8行目から37頁24行目」まで)に説示のとおりであるから,これを引用する。 ( )原判決37頁7行目冒頭から20行目の「上記事実からすれば」まで ,を次のとおり改める。 「地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって- 30 -調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか,また,当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成10年(行ツ)第69号,第70号同14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照。 )本件負担金の支出 相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成10年(行ツ)第69号,第70号同14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照。 )本件負担金の支出については,前記第2の1( )オ(オ)のとおり,岐 阜県議会で審議,議決の手続が履践されるなど,通常の手続を経て行われたものであり,上記予算,予算明細説明書(丙1ないし3)及び決算書等の書類は,その性質上,岐阜県の住民がこれを入手し閲覧することが可能であると解されるから」,( )同24行目の「この点からも」を「控訴人らについては,地方自治法2 42条2項ただし書所定の」と改める。 争点( )(本件負担金の支出は,違法,無効な費用負担同意に基づくものと して違法か)について。 ( )本件費用負担同意の性質についてみるに,本件費用負担同意の際,いず れも費用負担割合のほか事業概算額が決定済みであるにとどまり,具体的な,,負担金の額が決定しているわけではなく費用負担の同意があったとしても公団は,費用負担同意を得るほかに,内閣総理大臣との協議を経た上で(公団法53条事業実施計画につき主務大臣の認可を得なければならない公),(団法20条1項)などの手続が要求されていること,岐阜県が費用負担の同意をした後であっても,主務大臣及び公団は岐阜県の意思に関係なくαダム建設を中止することができることからすれば,本件費用負担同意があったからといって,必ず公団又は水資源機構が岐阜県に対して建設事業負担金の賦課行為をするとは限らないものということができる。したがって,本件費用負担同意は,これによって岐阜県が公団又は水資源機構に対して債務を負担する契機となるものではあるけれども,それ自体は債務負担行為には当たら- 31 -ないものとい とができる。したがって,本件費用負担同意は,これによって岐阜県が公団又は水資源機構に対して債務を負担する契機となるものではあるけれども,それ自体は債務負担行為には当たら- 31 -ないものというべきであり,本件費用負担同意は,地方自治法242条1項にいう「義務の負担」には該当せず,住民訴訟において差止めの対象となる財務会計行為には当たらないものというべきである。 ( )控訴人らは,本件費用負担同意が,違法,無効であり,これに基づく本 件支出等は違法であると主張する。 しかし,上記のとおり,本件費用負担同意自体は債務負担行為には当たらないから,本件費用負担同意が違法であったとしても,その違法性が承継されて本件負担金の支出が違法となるというものではない。本件負担金の支出は,公団からの納付通知により納付義務を課せられてこれを行うものであるから,本件負担金の支出が財務会計法規上の注意義務に違反して違法である,,,といい得るのは賦課行為である納付通知自体につき著しく合理性を欠き予算執行の適正確保の見地から看過し得ない重大かつ明白な瑕疵が存在する場合に限られるものというべきである。 そこで,控訴人らが主張する被控訴人岐阜県知事がした本件費用負担同意が違法,無効である場合に,本件納付通知に応じて支払等をなすことが違法となるかについて判断するに,前記公団法の定めによれば,本件ダムの建設負担金を賦課するためには,工業用水を取水する者の費用負担同意を得ることが前提とされていることは明らかであるから,本件費用負担同意に瑕疵があり,無効と評価される場合においては,負担金納付通知は瑕疵があるといわざるを得ない。そして,費用負担同意の瑕疵が重大で明白である場合においてされた本件負担金の支出は違法となるというべきである。 そこで,以下,本件費用負担同意 おいては,負担金納付通知は瑕疵があるといわざるを得ない。そして,費用負担同意の瑕疵が重大で明白である場合においてされた本件負担金の支出は違法となるというべきである。 そこで,以下,本件費用負担同意に上記のような意味における重大で明白な瑕疵があるといえるかどうかについて,判断する。 ( )控訴人らは,本件費用負担同意は,工業用水の水需要の見込みがなく, 工業用水道事業の採算が見込めないにもかかわらずされたものであるから違法であると主張するので,以下,この点について検討する。 - 32 -ア長期需給計画における大垣地域の工業用水需要予測長期需給計画における大垣地域の工業用水需要予測結果は,前記第2の1( )エ,別表2のとおりであり,大垣地域の工業用水は,平成22年に は63万8000m/日に増加するというものである。上記予測どおり に推移したとすれば,平成2年の大垣地域の工業用水の実績は53万m3/日であるから,αダムが建設されなければ,大垣地域においては平成22年には10万8000m/日の工業用水が不足することになる。 上記予測に際して岐阜県が採用した予測方法は,前記第2の1( )ウ, エのとおりであり,この方法には次のとおりの合理性が認められる。 (ア)予測方法の合理性長期水需給計画において,工業用水の需要予測に当たり,計画目標年次における製造業出荷額(製造品出荷額に同じ)と工業用水原単位を基に必要水量を算定する方法を用いているが,乙47によれば,この方法は「建設省河川砂防技術基準(案)同解説計画編」にも記載されている一般的な方法と認められる。 なお,長期水需要計画の需要水量予測式は次のとおりである。 需要水量=使用水量原単位×(1-回収率/100)×製造業出荷額(イ)地域及び業種の分類長期需給計画の予測対象地域 的な方法と認められる。 なお,長期水需要計画の需要水量予測式は次のとおりである。 需要水量=使用水量原単位×(1-回収率/100)×製造業出荷額(イ)地域及び業種の分類長期需給計画の予測対象地域は,県内が5ブロック(岐阜,大垣,可茂・益田,東濃,飛騨)に分けられ,製造業の業種は,基礎資材型,加工組立型,生活関連型の3種類に分類されている。この3分類は,日本標準産業分類による中分類項目を採用したもので,国土庁発行「水資源白書」における分類に従ったものであり(乙19,一般的な方法と認)められる。 長期需給計画は,前記のとおり,更に業種ごとに在来型,先端型の2,。 種に類別して計6種の下記業種に分類し需要予測を行ったものである- 33 -基礎資材型(在来型,基礎資材型(先端型))加工組立型(在来型,加工組立型(先端型))生活関連型(在来型,生活関連型(先端型))(ウ)基礎資料の対象期間使用水量及び製造品出荷額などについて需要予測のために用いた資料は,昭和59年から平成2年までの統計調査結果である。そして,長期需給計画は,平成2年を基準年として平成22年の目標年の水需要量を予測している(乙17,弁論の全趣旨。 )上記の基礎資料の対象期間について,統計データの処理等に必要とされる期間を考慮すると,岐阜県が平成2年までの資料を用いたことは相当というべきであり,平成3年以降の資料を敢えて捨象したという作為を窺わせる事情は認められない。 (エ)6分類に係る使用水量原単位予測モデル式使用水量原単位とは,単位出荷額当たりの工業製品を作るのに必要となる使用水量である。製造工程の合理化などによって製品を作るのに必要となる水の量は減少していくが,一定量は必要であることから,原単位は,理論上一定値に収束していくと考えられている。 長期水 に必要となる使用水量である。製造工程の合理化などによって製品を作るのに必要となる水の量は減少していくが,一定量は必要であることから,原単位は,理論上一定値に収束していくと考えられている。 長期水需給計画では,生活関連型(先端型)を除く5分類について,このような性質を表現することのできる時系列式として逆ロジスティック曲線を用いて使用水量原単位の将来予測を行っている原判決別紙水(「需要予測モデル。しかし,生活関連型(先端型)においては,基礎」)資料の対象期間内の使用水量原単位の実績が微増傾向にあり,これについて減少傾向を表現する逆ロジスティック曲線を当てはめることができないことから,上昇傾向を表す時系列式であるベキ曲線を適用して将来予測を行っている。 そして,乙57によれば,逆ロジスティック曲線及びベキ曲線は,い- 34 -ずれも厚生省監修「水道施設設計指針・解説」にも掲載されている一般的な予測式と認められる。 (オ)逆ロジスティック曲線の飽和値の設定,,()長期需給計画では逆ロジスティック曲線において飽和値下限値は実績最低の1割減に設定されている。使用水量原単位は,単位出荷額当たりの工業製品を作るのに必要となる使用水量として定義され,製造工程の合理化などによって製品を作るのに必要となる水の量は減少していくが,その性質上限りなく減少するものではなく一定量は必要とすることから,やがて一定値に収斂していくと考えられ,上記飽和値は,将来実現可能な値として実績最低の1割減として設定されたものである(甲12,乙17,証人D,弁論の全趣旨。 )(カ)回収率回収率とは,工場等の使用水量のうち循環利用等により回収利用される水の割合として定義される。回収率は,循環利用施設の規模や回収技術,コストなどの要因により一定程度の 論の全趣旨。 )(カ)回収率回収率とは,工場等の使用水量のうち循環利用等により回収利用される水の割合として定義される。回収率は,循環利用施設の規模や回収技術,コストなどの要因により一定程度の値で頭打ちになるもので,この将来動向は上限値を設定することのできる時系列式である修正指数曲線やロジスティック曲線で表すことができる。どちらの時系列式も式を構成する要素として飽和値(上限値)を設定しなければならないところ,長期需給計画の大垣地域の水需要予測において採用された飽和値は,どの分類型も回収率の実績値(回収水量を使用水量で割って求めた見かけ上の回収率)が全国平均よりも低いことから,将来,回収率は全国平均並みになるとして飽和値(上限値)を設定したものと認められる(弁論の全趣旨。 )なお,岐阜県は,修正指数曲線とロジスティック曲線のどちらの時系列式を採用するかについて,その式への適合度(相関係数)や将来の実現の可能性を検討した結果,基礎資材型(在来型)はロジスティック曲- 35 -線,加工組立型(在来型)は修正指数曲線を採用し,他方,上記2分類型を除いた4分類型は,回収率の実績値が減少傾向にあり,そのまま時系列式を当てはめて将来動向を予測すれば回収率は減少し続けるものとして予測することとなり,漸増し一定値に収斂していくという回収率の全国動向と相反することとなるため,長期需給計画では,回収率の全国動向を踏まえ,時系列式による予測が適当でないものと判断し,基礎資料の期間の実績最大値が将来も続くとして予測を行なったと認められる(弁論の全趣旨。 )(キ)地域別業種別の製造業出荷額長期需給計画においては,まず,目標年次平成22年における県全体の製造業出荷額について,平成元年における全事業所の製造業出荷額の実績をもとに,平成10年までは岐 (キ)地域別業種別の製造業出荷額長期需給計画においては,まず,目標年次平成22年における県全体の製造業出荷額について,平成元年における全事業所の製造業出荷額の実績をもとに,平成10年までは岐阜県第五次総合計画の第2次産業の伸び率3.57%により,以降平成22年までは国の経済成長率を基に県計画との整合をとった伸び率2.80%によって計画値を予測算出している(原判決別紙2の2-2「工業出荷額予測モデル。そして,」)次に,目標年次における地域別業種別の製造業出荷額をデータ収集期間の実績データを基に一次予測式により推計し,目標年次における県全体の製造業出荷額に対する地域別業種別製造業出荷額の構成比を算出し,目標年次における地域別業種別の製造業出荷額を,この構成比に先に求めた岐阜県全体の製造業出荷額の予測値を乗じることにより算定している。このような算定方法は合理的なものと認められる。 イ以上によれば,長期需給計画における大垣地域の工業用水需要予測結果には合理性が認められる。そして,以下の控訴人らの主張によっても,これをもって誤りであると断定できるような十分な根拠とすることはできないといわざるを得ない。 (ア)控訴人らは使用水量原単位の予測において,その値が一定値に収斂- 36 -するものでないと主張する。しかし,控訴人らが上記主張の根拠として提出する甲第12号証によっても,平成3年までは実質工業出荷額の増加に伴い淡水使用量原単位は減少し,平成4年以降は実質工業出荷額の増減にかかわらず,淡水使用量原単位はあまり変化しなくなり,50m/日/(億円/年)付近に収斂する様子が窺われ,控訴人らの上記主 張は採用できない。 (イ)控訴人らは,大垣地域の回収率は他地域に比べ著しく低く,冷却温調用水を100%回収すれば,回収率は70%台に /(億円/年)付近に収斂する様子が窺われ,控訴人らの上記主 張は採用できない。 (イ)控訴人らは,大垣地域の回収率は他地域に比べ著しく低く,冷却温調用水を100%回収すれば,回収率は70%台に向上させることができるのであって,冷却・温調用水については大垣地区では回収率向上の,。 余地が大きいからこれを考慮していないのは不合理であると主張するしかし,岐阜県内で比較すれば,平成2年においては,地下水依存度. . ,が61%と低い可茂・益田地域の回収率が321%であるのに対し. . ,地下水依存度が645%と高い大垣地域の回収率は326%であり補給水のほとんどをダム開発水などの表流水に依存する可茂・益田地域と大差がない値となっている(乙17,弁論の全趣旨)のであって,大垣地域の回収率が他地域と比べて著しく低いとはいえない。しかも,冷却用や温調用水を回収し再利用するためには,工場内に循環用の配管や冷却装置などの施設を整備することが必要であるとともに,その運転費や維持管理費も必要となり,事業者の規模によってこれら再利用施設の整備率が異なることは容易に想像され,これによっても回収率の高低が生じるものと考えられる。控訴人らは,冷却温調用水を100%回収すれば,回収率は70%台に向上させることができると主張するが,そのための具体的な方法や費用の負担等には言及しておらず,その根拠は不明といわざるを得ない。したがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 (ウ)控訴人らは,長期需給計画が1人以上の事務所についても水需要予- 37 -測の対象としたことは不合理であると主張する。 しかし,全国の工業用水道事業の料金制度についてみると,責任使用水量制(工業用水道使用者が基本使用水量の全部又は一部を使用しなかった場合であっても,基本使用水量まで使 ことは不合理であると主張する。 しかし,全国の工業用水道事業の料金制度についてみると,責任使用水量制(工業用水道使用者が基本使用水量の全部又は一部を使用しなかった場合であっても,基本使用水量まで使用したものと見なして課金する料金制度)を採っていても,新潟県工業用水道,滋賀県工業用水道のように最低給水量を定めていない工業用水道もあるから(弁論の全趣旨,料金制度の定め方によっては,使用水量の少ない事業者の工業用)水道利用が妨げられるものではない。むしろ,水道用水より安価な工業用水を工場で利用することも考えられるところ,小規模零細事業所が多い大垣地域において,仮に工業用水を利用すると予想する事業所規模を30人以上と仮定すると,大半の小規模零細事業所が予測対象から漏れることになりかねないということができる。したがって,長期需給計画が1人以上の事務所についても水需要予測の対象としたことは不合理とはいえず,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (エ)控訴人らは,日本経済の構造変化により,将来の工業出荷額はせいぜい横ばいであるところ,大垣地域においては,その中心を占める繊維,,産業が平成4年以降衰退しその出荷額が大幅に落ち込んでいるとして工業出荷額が伸びていくとの予測は誤りであると主張する。 しかし,新高速三道が開通すると,西濃地域の交通アクセスの利便性は一段と向上することから企業の集積が進むことが見込まれること(弁論の全趣旨)等の事情からすれば,将来にわたっても工業出荷額の伸びが全く見込まれないと断定することはできず,その増加を期待することにも全く根拠がないわけではないから,上記予測は必ずしも誤りであるということはできない。 ウ以上のとおり,長期需要計画には合理性が認められる上,水需要予測は多くの不確定要因に左右されざるを得な とにも全く根拠がないわけではないから,上記予測は必ずしも誤りであるということはできない。 ウ以上のとおり,長期需要計画には合理性が認められる上,水需要予測は多くの不確定要因に左右されざるを得ない性質のものであり,水需要の前- 38 -提となる経済の動向には変動があること,水需要予測が将来の長期間にわたるものであり,大垣地域においては,昭和48年から昭和50年にかけて,長期需給計画で予測している平成22年の需要水量63万8000m/日を上回る約80万m/日での補給水量を使用していた実績がある (甲13の1,乙17)ことからすれば,今後の経済の動向いかんによっては,将来水需要が上昇する可能性を否定することはできない。 上記の点に加え,ダムの建設にあたっては,次のような特殊性があることが指摘できる。すなわち,ダム等の水資源開発施設は,その建設計画を進めるに当たり事業者と複数の利水者間で十分な調整を行う必要があり,また,開発の適地が希少で代替性に乏しく,複雑な権利関係を調整して初めて建設が可能となるものであり,計画から完成に至るまで長期間を要することも多いという特徴があるため,これらの施設の整備は,一時的な経済の変動や水需要の状況に左右されることなく,長期的な観点に立って立案されるべきものである。また,ダム等の水資源開発施設の建設は,計画から完成に至るまで長期間を要する上,需要量が恒常的に変化するのに対して,水供給量は水資源開発施設の供用時点で段階的にしか増加せず,次,,の施設が供用されるまで供給能力の増加が見込めないことになりその間需要量が供給能力(確保水量)を上回れば給水制限を実施せざるを得なくなる。このように,需給が逼迫してから整備を行ったのでは,施設が完成するまで工業用水等の安定的な供給が阻害されることとなるから, 間需要量が供給能力(確保水量)を上回れば給水制限を実施せざるを得なくなる。このように,需給が逼迫してから整備を行ったのでは,施設が完成するまで工業用水等の安定的な供給が阻害されることとなるから,水資源開発に当たっては,将来の経済,社会の発展にも対応できるよう,長期的な需要想定の下で先行的に開発を進めることが重要となる。このような見地にたってみれば,合理性の認められる長期需要計画に基づき,岐阜県工業用水にαダムを必要とする新規水需要があるとの前提でされた本件費用負担同意が違法であるということはできないし,無効であるといえないことは明らかである。 - 39 -エしたがって,岐阜県工業用水にαダムを必要とする新規水需要がないということはできず,被控訴人岐阜県知事がした本件費用負担同意が違法,無効であるとは認められない。 ( )なお,控訴人らは,本件費用負担同意は工業用水道事業管理者が行うべ きであり,被控訴人Aは,その権限がなかったにもかかわらず自ら本件費用負担同意をしたから,本件費用負担同意は違法,無効であると主張する。 しかし当裁判所もαダムについては岐阜県が公団法20条2項の工,,,「業用水道の用に供しようとする者」に当たり,被控訴人岐阜県知事がした本。 ,件費用負担同意が違法であるとは認められないものと判断するその理由は原判決の「事実及び理由」欄の「第4当裁判所の判断」の「6」に説示のとおりであるから,これを引用する。 ( )以上のとおりであるから,被控訴人岐阜県知事のした本件費用負担同意 が違法,無効であるとは認められず,公団のした納付通知は適法である。よって,本件費用負担同意が違法,無効であることを理由として,本件負担金の支出の違法をいう控訴人らの主張は理由がない。 争点( )(被控訴人岐阜県 とは認められず,公団のした納付通知は適法である。よって,本件費用負担同意が違法,無効であることを理由として,本件負担金の支出の違法をいう控訴人らの主張は理由がない。 争点( )(被控訴人岐阜県知事らが本件負担金を支出することは違法か) 。 について( )控訴人らは,本件負担金の支出につき,その適法性の前提として,支出 の都度,水需要の見込みがあり,工業用水道事業の独立採算の可能性があることが必要であると主張し,岐阜県工業用水にαダムを必要とする新規水需要がないことからすれば,工業用水道の水需要が見込まれないにもかかわらずされる本件負担金支出自体が違法となると主張する。 しかし,前記認定のとおり,本件負担金の支出における財務会計法規上の注意義務としては,公団のした納付通知に重大な瑕疵が明白に存在するか否かを判断することに限られるところ,水需要の見込みがあるかどうかは直ちに納付通知の瑕疵の有無には結びつくものではないから,被控訴人岐阜県知- 40 -事らには,本件負担金の支出を行うに当たって水需要の有無について判断する注意義務はなく,これをしなかったとしても財務会計行為が違法とはならないし,上記4認定のとおり,岐阜県工業用水にαダムを必要とする新規水需要がないということはできず,本件負担金の支出が工業用水道の水需要が見込まれないにもかかわらずされるものとは認められないから,控訴人らの上記主張は採用できない。 なお,控訴人らは,本件負担金の支出の違法性の有無を検討するに当たっても,違法性の判断の性質上,本件負担金支出以降の資料をその対象に含めることは当然であると主張するが,独自の見解であって採用できない。 ( )また,控訴人らは,本件負担金は工業用水道事業特別会計から支出され なければならないにもかかわらず,一般会計から支出 に含めることは当然であると主張するが,独自の見解であって採用できない。 ( )また,控訴人らは,本件負担金は工業用水道事業特別会計から支出され なければならないにもかかわらず,一般会計から支出され,今後も支出される予定であるから,このような本件負担金の支出は,地方財政法6条,地方公営企業法17条の2第2項に違反し,違法であると主張する。 しかし,当裁判所も,控訴人らの上記主張は採用できず,本件負担金の支出に上記の違法はないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第4当裁判所の判断」の「7(原判決50頁14行目から5」3頁14行目まで)に説示のとおりであるから,これを引用する。 ( )以上のとおりであるから,被控訴人岐阜県知事らが本件負担金を支出す ることが違法であるということはできない。 争点( )(被控訴人Aが本件費用負担同意をしたことについて不法行為が成 立するか)について。 既に認定したとおり,本件費用負担同意が違法であるとは認められず,被控訴人Aには控訴人ら主張の不法行為は成立しない。したがって,控訴人らの被控訴人Aに対する請求は,前記のとおり不適法として却下すべき平成9年12月分までの本件負担金に係る部分を除き,理由がない。 結語- 41 -以上の次第で,原判決中,控訴人らの被控訴人岐阜県知事及び被控訴人岐阜県出納長に対する請求のうち,平成15年6月から平成20年3月までの本件負担金の支出命令及び支出の差止めに係る部分を取り消して,同部分に係る控訴人らの訴えを却下し,その余の控訴人らの控訴は理由がないからいずれも棄却することとする。 よって,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部裁判長裁判官野田武明裁判官濱口浩裁判官鬼頭清貴は転勤のため,署名押印することが 主文 由がないからいずれも棄却することとする。 よって,主文のとおり判決する。 理由 名古屋高等裁判所民事第4部裁判長裁判官野田武明裁判官濱口浩裁判官鬼頭清貴は転勤のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官野田武明

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