昭和50(行コ)5 所得税額更正処分等取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和51年8月6日 大阪高等裁判所 租税
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判決文本文7,114 文字)

○ 主文一、原判決中、控訴人敗訴の部分を次のとおり変更する。(一) 、控訴人が被控訴人に対してした、被控訴人の昭和三九年分所得税の総所得金額を二一三万三、六〇〇円とする更正処分のうち一九六万七、七七五円をこえる部分ならびに過少申告加算税賦課決定処分のうち右一九六万七、七七五円をこえる部分に対応する部分、昭和四〇年分所得税の総所得金額を一七〇万六、〇二七円とする更正処分(ただし、裁決により一部取消された後のもの)のうち一四七万一、八四五円をこえる部分ならびに過少申告加算税賦課決定処分(ただし、裁決により一部取消された後のもの)のうち右一四七万一、八四五円をこえる部分に対応する部分は、いずれもこれを取消す。(二) 、被控訴人その余の請求を棄却する。二、訴訟費用は第一、二審を通じてこれを八分し、その一を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。○ 事実控訴代理人は、「原判決のうち、控訴人敗訴の部分を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。当事者双方の主張ならびに証拠関係は、当審における主張を次に付加するほかは、原判決の事実摘示と同じ(ただし、原判決一一枚目裏二行目の「昭和三九年分」の次に「および昭和四〇年分各」を、同裏三行目の「右金額は、」の次に「原告から提出された昭和四〇年の損益計算書の記載額であり、昭和三九年分については」を、同一五枚目裏一一行目の「売上金額」の次に「の申告額」を、それぞれそう入する。)であるから、これを引用する。一、控訴人の主張(一) 、控訴人が電力および水道使用量に基づき推計したのは係争各年分の被控訴人の収入であるから、推計結果の当否を検討するために他の数値 れそう入する。)であるから、これを引用する。一、控訴人の主張(一) 、控訴人が電力および水道使用量に基づき推計したのは係争各年分の被控訴人の収入であるから、推計結果の当否を検討するために他の数値と比較対照する必要があるとするならば、それは当然のことながら係争各年分に近接する年分の被控訴人の収入金額でなければならないところ、控訴人が推計した係争各年分の収入金額と昭和四一年分以降の被控訴人の収入金額とを対比してみた場合、両者の間に、前者が不合理であると認められるほどの隔差はない。 力および水道使用量に基づき推計したのは係争各年分の被控訴人の収入であるから、推計結果の当否を検討するために他の数値と比較対照する必要があるとするならば、それは当然のことながら係争各年分に近接する年分の被控訴人の収入金額でなければならないところ、控訴人が推計した係争各年分の収入金額と昭和四一年分以降の被控訴人の収入金額とを対比してみた場合、両者の間に、前者が不合理であると認められるほどの隔差はない。なお、係争各年分と昭和四一年分以降の差益率を比較することにより前者の収入金額についての推計結果の当否を論ずるのは相当でない。なんとなれば、差益率の如何は収入金額に対する一般経費の多寡により直接影響されるものであり、ひとり収入金額のみによつて決定されるものではないうえ、一般経費の額は当事者(本件では被控訴人)の主張立証態度のいかんにより認定を異にせざるをえないからである。(二) 、仮に差益率を右推計結果の当否を検討するための基準資料に供しうるとしても、また、仮に係争各年分の収入金額推計のために一般経費率を採用すべきであるとしても、昭和四一年分の一般経費として計上されている減価償却費のうちには、その年にのみ特有な自動車の償却費二〇万円が含まれているから、この金額を控除して同年の差益率、一般経費率を算定しなければならない。(三) 、更正決定に対する異議申立てにあたり、被控訴人が自ら作成して申立書に添付した損益計算書(乙第四号証)には、昭和四〇年の売上(収入)金額が三二〇万円である旨の記載がある。従つて、この金額をもつて同年の最低限の売上(収入)金額と認めるべきである。(四) 、昭和四〇年分の雇人費の額は当事者間に争いがない。しかるところ、雇人費は単なる間接事実では である旨の記載がある。従つて、この金額をもつて同年の最低限の売上(収入)金額と認めるべきである。(四) 、昭和四〇年分の雇人費の額は当事者間に争いがない。しかるところ、雇人費は単なる間接事実ではなく、課税要件を構成する主要事実にあたると解されるから、この点についての控訴人の主張を認める旨の被控訴人の陳述には自白としての拘束力ある。二、被控訴人の主張当審における控訴人の主張はすべて争う。なお、係争各年分の被控訴人の所得額を算定するについて、証拠によつて客観的に確定しうるものは一般経費の額だけである。従つて、確定された一般経費に基づいて所得額を推計するのが唯一の合理的な方法である。 接事実ではなく、課税要件を構成する主要事実にあたると解されるから、この点についての控訴人の主張を認める旨の被控訴人の陳述には自白としての拘束力ある。二、被控訴人の主張当審における控訴人の主張はすべて争う。なお、係争各年分の被控訴人の所得額を算定するについて、証拠によつて客観的に確定しうるものは一般経費の額だけである。従つて、確定された一般経費に基づいて所得額を推計するのが唯一の合理的な方法である。○ 理由一、原判決事実摘示中、被控訴人の請求原因1の事実は当事者間に争いがない。そして、当裁判所も、(イ)係争各年分(昭和三九年、同四〇年分)の被控訴人の所得税については、各年分の所得金額を推計して更正処分をすることが許される、(ロ)右所得金額の計算上、必要経費に算入されるべき金額のうち、いわゆる一般経費に該当するものは、昭和三九年分が一一四万八、四〇三円、同四〇年分が一一二万九、六九三円である、と判断する。その理由は、原判決理由第二項1および同項2の(一)(同判決一七枚目表二行目から二一枚目裏二行目まで)の説示するところと同じであるから、その記載を引用する。また、右必要経費のうち、いわゆる特別経費にあたる雇人費は係争各年分とも一一九万円と認めるのが相当と考えるが、この点については、原判決二二枚目表五行目の「から、昭和四〇」以下を左記(A)のとおり訂正し、同(B)の記載を付加するほかは、同判決理由第二項2の(二)(同判決二一枚目裏三行目から二三枚目表五行目)の説示を引用する。(A) 、「。しかも、係争各年における被控訴人の雇入の数は、原審における被控訴 )の記載を付加するほかは、同判決理由第二項2の(二)(同判決二一枚目裏三行目から二三枚目表五行目)の説示を引用する。(A) 、「。しかも、係争各年における被控訴人の雇入の数は、原審における被控訴人本人尋問の結果(第一回)によつてもこれを確定することができず、前示乙第四号証中の一雇入数についての記載は右本人尋問の結果に徹して正確性に疑問があるので採用しがたく、他に右人数を確認するに足りる証拠はない。しかし、同本人尋問の結果によれば、係争各年における雇入数は昭和四一年のそれとほぼ同数であることがうかがえるところ、右本人尋問の結果とこれにより成立を認める甲第八号証によると、昭和四一年分の雇人費は、賄費等を含めて一一九万円と認められるので、係争各年分の雇人費もこれと同額と推認するのが相当である。 載は右本人尋問の結果に徹して正確性に疑問があるので採用しがたく、他に右人数を確認するに足りる証拠はない。しかし、同本人尋問の結果によれば、係争各年における雇入数は昭和四一年のそれとほぼ同数であることがうかがえるところ、右本人尋問の結果とこれにより成立を認める甲第八号証によると、昭和四一年分の雇人費は、賄費等を含めて一一九万円と認められるので、係争各年分の雇人費もこれと同額と推認するのが相当である。(B) 、控訴人は、係争各年の雇人費に関する控訴人の主張を認める旨の被控訴人の陳述には自白の拘束力がある、と主張するけれども、いわゆる推計課税における主要事実は所得金額のいかんであつて、その所得金額を計算するための過程、すなわち、収入金額、必要経費はすべて間接事実にすぎないとみるのが相当なので、右控訴人の主張は採用できない。二、以下、係争各年分のクリーニング業による被控訴人の収入金額について検討する。原審証人Aの証言により成立を認める乙第二五ないし第二七号証ならびに弁論の全趣旨によると、一般にクリーニング業による収入金額は、機械設備、従業員の数および熟練度、営業内容、加工料金の諸条件が一定であれば、電力使用量におおむね比例し、水道使用量ともかなり強い相関々係のあることが認められるところ、原審証人B、同Cの各証言ならびに原審における被控訴人本人尋問の結果(第一回)を総合すれば、被控訴人のクリーニング営業における右条件は、昭和三九年から同四一年に至る 係のあることが認められるところ、原審証人B、同Cの各証言ならびに原審における被控訴人本人尋問の結果(第一回)を総合すれば、被控訴人のクリーニング営業における右条件は、昭和三九年から同四一年に至るまでほとんど変動がなかつたものと認められるので、昭和四一年分の電力・水道使用量に対する係争各年の電力・水道使用量の増減割合を算出し、これを昭和四一年分の収入金額に乗じて係争各年の収入金額を算定する控訴人主張の推計方法は合理的なものということができる。被控訴人は、電力、水道の使用量は必ずしも収入金額と比例するものではなく、このうち電力の点については、昭和四一年から同四三年までの被控訴人の電力使用量と収入金額の関係からみても明らかである旨主張するけれども、前示B、Cの各証言、被控訴人本人尋問の結果(第一回)によると、昭和四二年ころ以降は、それまでいわゆるコイン店に吸収されていた顧客が被控訴人のような通常のクリーニング業者に次第に戻つて来るようになり、特に、水洗加工に比して電力使用量が少いうえに売上金額の多いドライ加工の受注が増加し、被控訴人方においても臨時雇を採用して右受注に応じたほか、クリーニング料金も相当程度値上げされる等、昭和四一年と同四二、四三年とは被控訴人の事業の諸条件に相違のあることが認められるから、右主張は首肯しがたい。 までいわゆるコイン店に吸収されていた顧客が被控訴人のような通常のクリーニング業者に次第に戻つて来るようになり、特に、水洗加工に比して電力使用量が少いうえに売上金額の多いドライ加工の受注が増加し、被控訴人方においても臨時雇を採用して右受注に応じたほか、クリーニング料金も相当程度値上げされる等、昭和四一年と同四二、四三年とは被控訴人の事業の諸条件に相違のあることが認められるから、右主張は首肯しがたい。なお、電力・水道の使用量割合に代えて、収入に対する一般経費の割合、すなわち、一般経費率を基礎とする推計方法(原判決採用の方法)も考えられないでもないが、電力、水道料のほかにもろもろの費目を含む一般経費と収入金額との間に、電力、水道の使用量と収入金額との相関々係と同程度またはそれ以上の密接かつ必然的な相関関係があるとはとうてい解しがたいので、右方法は電力・水道の使用割合による推計方法に比較して合理性に乏しく、採用でき 力、水道の使用量と収入金額との相関々係と同程度またはそれ以上の密接かつ必然的な相関関係があるとはとうてい解しがたいので、右方法は電力・水道の使用割合による推計方法に比較して合理性に乏しく、採用できない。しかるところ、被控訴人が控訴人に提出した昭和四一年分の確定申告書に記載された収入金額が三四六万九、一〇〇円であることは当事者に争いがなく、従つて、同年において少くとも右同額の収入があつたものと推定することができる。そして、成立に争いのない乙第五ないし第七号証によると、被控訴人の電力使用量は、昭和三九年四月から一二月分まで四、八四九キロワツト、同四〇年分が五、六六九キ口ワツト、同四一年分が五、〇〇〇キロワツトであることが認められるが、昭和三九年一月から三月分までの使用量を明らかにしうる資料がないので、同年を通じての使用量は原判決事実摘示の控訴人の主張3、(一)、(2)、(イ)のとおり推計するほかはなく、その結果は、六、八六六キロワツトとなる。また、成立に争いのない乙第八、第九号証によると、昭和三九年、同四〇年、同四一年の被控訴人の水道使用量は、それぞれ三、三七六立方メートル、三、一九六立方メートル、三、一四一立方メートルであることが認められる。そこで、前記争いのない昭和四一年分の申告収入金額と右認定の電力・水道使用量に基づき、前説示の方法に従つて、係争各年の収入金額を算出すると、原判決事実摘示の控訴人の主張3、(一)のとおりの推計過程により、昭和三九年分は四二四万六、一七八円、同四〇年分は三七三万一、五三八円となる。 訴人の水道使用量は、それぞれ三、三七六立方メートル、三、一九六立方メートル、三、一四一立方メートルであることが認められる。そこで、前記争いのない昭和四一年分の申告収入金額と右認定の電力・水道使用量に基づき、前説示の方法に従つて、係争各年の収入金額を算出すると、原判決事実摘示の控訴人の主張3、(一)のとおりの推計過程により、昭和三九年分は四二四万六、一七八円、同四〇年分は三七三万一、五三八円となる。三、次に、右推計にかかる各収入金額から前記の必要経費を控除して係争各年の被控訴人の事業所得額を算出すると、左記のように、昭和三九年分は一九〇万七、七七五円、同四〇年分は一四一万一、八四五円となる。(算式)昭和39年分 入金額から前記の必要経費を控除して係争各年の被控訴人の事業所得額を算出すると、左記のように、昭和三九年分は一九〇万七、七七五円、同四〇年分は一四一万一、八四五円となる。(算式)昭和39年分 4、246、178円-(1、148、403円+1、190、000)=1、907、775円一般経費雇入費昭和40年分 3、731、538円-(1、129、693+1、190、000)=1、411、845円一般経費雇入費以上により、被控訴人の係争各年分の事業所得額は右各金額と推計され、その推計方法に合理性のあることは前説示のとおりであるから、被控訴人は右各年に各金額に合致する事業所得を挙げた蓋然性があると認められるところ、この点についての的確な反証はない。もつとも、係争各年の推計による収入金額ならびに前記一般経費から算出される差益率と、成立に争いのない甲第五ないし第七、第二一、第二二号証の各一および弁論の全趣旨により被控訴人提出にかかる各確定申告書に記載されたと認められる昭和四一年から同四六年までの各年ごとの収入金額ならびに一般経費の額から算出される差益率との間、係争各年の推計による所得額ならびに右各書証と弁論の全趣旨により右各申告書に記載されたものと認められる昭和四一年以降の各年の所得金額との間に、それぞれやゝ均衡な失する点があるかのように考えられないこともないが、申告納税制度の趣旨、実情からみて、また、前認定のとおり、係争各年と昭和四二年以降とでは被控訴人の事業の諸条件に相違があることからみて、前記各推計結果の相当性を否定しうるものではないというべきである。ところで、被控訴人は、係争各年に事業所得のほか、各六万円の配当所得をえた旨の控訴人の主張を明らかに争わないので、これを自白したものとみなす。 れやゝ均衡な失する点があるかのように考えられないこともないが、申告納税制度の趣旨、実情からみて、また、前認定のとおり、係争各年と昭和四二年以降とでは被控訴人の事業の諸条件に相違があることからみて、前記各推計結果の相当性を否定しうるものではないというべきである。ところで、被控訴人は、係争各年に事業所得のほか、各六万円の配当所得をえた旨の控訴人の主張を明らかに争わないので、これを自白したものとみなす。してみると、係争各年における被控訴人 というべきである。ところで、被控訴人は、係争各年に事業所得のほか、各六万円の配当所得をえた旨の控訴人の主張を明らかに争わないので、これを自白したものとみなす。してみると、係争各年における被控訴人の総所得は、前記推計結果にそれぞれ六万円ずつを加算した金額、すなわち、昭和三九年分は一九六万七、七七五円、同四〇年分は一四七万一、八四五円となる。四、そうすると、本件各更正処分は右各総所得金額をこえる部分にかぎり、いずれも被控訴人の所得を過大に認定した違法があり、従つて、これに付随してなされた本件各過少申告加算税の賦課決定処分も右各超過部分に対応する部分に限り違法であるから、被控訴人の本訴請求は、右各更正処分、賦課決定処分のうち、右各違法部分の取消を求める限度で正当として認容すべきであるが、その余は失当として棄却を免れないことになる。そこで、これと結論を一部異にする原判決中の控訴人敗訴部分を右の趣旨に変更することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条、九二条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官日野達蔵荻田健治郎尾方滋)

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