主文 被告人を懲役7年に処する。 未決勾留日数中160日をその刑に算入する。 理由 (犯罪事実)被告人は,第1 下校途中のA(当時10歳)を見かけるや,同児が13歳未満であることを知りながら,わいせつな行為をする目的で,平成10年12月8日午後4時40分ころ,同児が帰宅した埼玉県a市B方に玄関から侵入し,同所2階4.5畳間において,同児に対し,その両腕をつかんで布団の上に押し倒し,同児の身体に布団をかぶせるなどの暴行を加えた上,下着内に手を差し入れて,胸部をなで回し,もって,13歳未満の女児に対し,強いてわいせつな行為をし,第2 下校途中のC(当時8歳)を見かけるや,同児が13歳未満であることを知りながら,わいせつな行為をする目的で,平成12年3月6日午後3時20分ころ,同児が帰宅した埼玉県b市D方に玄関から侵入し,同所子供部屋において,同児に対し,スカートの中に手を差し入れて,体操ズボンの上からその陰部をなで回すなどし,もって,13歳未満の女児に対し,わいせつな行為をし,第3 帰宅途中のE(当時7歳)を見かけるや,同児が13歳未満であることを知りながら,わいせつな行為をしようと企て,平成12年8月14日午後1時ころ,埼玉県c市のエレベーター内において,同児に対し,スカートの中に手を差し入れて,下着の上からその陰部や臀部をなで回すなどし,もって,13歳未満の女児に対し,わいせつな行為をし,第4 下校途中のF(当時11歳)を見かけるや,同児が13歳未満であることを知りながら,わいせつな行為をする目的で,平成12年9月14日午後3時30分ころ,同児が帰宅した埼玉県d市G方に無施錠の玄関から侵入 校途中のF(当時11歳)を見かけるや,同児が13歳未満であることを知りながら,わいせつな行為をする目的で,平成12年9月14日午後3時30分ころ,同児が帰宅した埼玉県d市G方に無施錠の玄関から侵入し,同所1階寝室において,同児に対し,その両肩をつかんでベッド上に押し倒し,その上半身に掛け布団をかぶせるなどの暴行を加えた上,下半身を裸にしてその陰部を手指で弄び,もって,13歳未満の女児に対し,強いてわいせつな行為をし,第5 わいせつな行為をする目的で,下校途中の女児を拐取しようと企て,平成13年5月28日午後2時ころ,埼玉県e市路上において,H(当時6歳,平成6年11月1日生)に対し,「学校へ行く道を教えて。I先生に会いに行く。」などと虚偽の事実を申し向け,同児をしてその旨誤信させて,同市路上まで道案内をさせ,さらに,そのころ,同所において,同児に対し,「おいで。おいで。」などと申し向けて,同児を同所に駐車した普通乗用自動車までおびき寄せて連れ去ろうとしたが,同所付近に人の気配を感じたため,その目的を遂げず,第6 下校途中の女児を,13歳未満であることを知りながら,拐取し強いてわいせつな行為をしようと企て,平成13年5月28日午後3時ころ,埼玉県e市路上において,J(当時7歳)に対し,「I先生知ってる。I先生のところに連れてって。」などと虚偽の事実を申し向け,同児をしてその旨誤信させて,同市所在のK小学校東門付近路上まで道案内をさせ,さらに,そのころ,同所において,同児に対し,「やっぱり自分で行く。Lちゃんのところまで送ってってあげる。」などと申し向けて,同児を,同市路上に駐車した普通乗用自動車までおびき寄せ,そのころ,同所において,いきなり同児を抱きかかえて同車後部座席に押し込み,ガムテープでその両手両足を緊縛して,同児を逮捕すると 申し向けて,同児を,同市路上に駐車した普通乗用自動車までおびき寄せ,そのころ,同所において,いきなり同児を抱きかかえて同車後部座席に押し込み,ガムテープでその両手両足を緊縛して,同児を逮捕するとともに,自己の支配下に置き,同車を走行させて同児を同市又は同県f市駐車場まで連行し,そのころ,同所に駐車中の同車内において,同児に「パンツ脱いでくれる。」などと申し向け,同児にパンツを脱がせた上,その陰部を,手指で弄び,舌先でなめるなどし,同日午後3時30分ころ,同県e市路上において,同児を解放するまでの間,同車内から同児の脱出を不可能にさせ,もって,わいせつの目的をもって同児を拐取した上,13歳未満の女子に対し強いてわいせつの行為をし,かつ,その間,同児を不法に逮捕監禁し,第7 平成13年6月5日午後5時45分ころ,埼玉県e市団地敷地内において,M(当時6歳)に対し,射精して同児の頭部に精液をかける暴行を加えた。 (証拠) 省略(法令の適用)罰条第1及び第4の各行為各住居侵入の点刑法130条前段各強制わいせつの点包括して刑法176条第2の行為住居侵入の点刑法130条前段強制わいせつの点刑法176条後段第3の行為刑法176条後段第5の行為刑法228条,225条第6の行為わいせつ目的拐取の点刑法225条強制わいせつの点包括して刑法176条逮捕監禁の点包括して刑法220条第7の行為刑法208条科刑上一罪第1,第2及び第4の各罪刑法54条1項後段,10条( 括して刑法176条逮捕監禁の点包括して刑法220条第7の行為刑法208条科刑上一罪第1,第2及び第4の各罪刑法54条1項後段,10条(いずれも重い強制わいせつ罪の刑で処断)第6の罪刑法54条1項前段,後段,10条(最も重いわいせつ目的拐取罪の刑で処断)刑種選択(第7の罪) 懲役刑併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い第6の罪の刑に加重)未決算入刑法21条(量刑の理由) 1 本件は,被告人が,いずれも小学生である女児の自宅に侵入してわいせつ行為をした3件の住居侵入,強制わいせつの事案(判示第1,第2及び第4),エレベーター内で女児にわいせつ行為をした事案(判示第3),わいせつ行為をする目的で女児を拐取しようとしたが未遂に終わり(判示第5),また同じくわいせつ行為をする目的で女児を拐取し,逮捕監禁した上,強いてわいせつ行為に及び(判示第6),更に女児に対して卑わいな形態の暴行を加えた(判示第7)という事案である。 2 被告人は,小学生程度の女児に対して強い性的欲望を持つようになり,自己の歪んだ性欲を満足させるため,判断能力が未熟で抵抗力も弱いため自己の意のままになりやすい小学生の女児に狙いを付けて本件各犯行に及んでいるのであって,その動機は自己中心的かつ卑劣極まりないものであり,酌量の余地は全くない。 また,その各犯行態様等についてみるに,まず最も刑の重い判示第5,第6の犯行においては,被告人は,ワゴン車で小学校付近まで乗り付け,小学校までの道案内を頼んだり,あらかじめ聞き出して知った教師の名前を言うなどして言葉巧みに被害児を油断させ,ワゴン車付近までおびき寄せたが, においては,被告人は,ワゴン車で小学校付近まで乗り付け,小学校までの道案内を頼んだり,あらかじめ聞き出して知った教師の名前を言うなどして言葉巧みに被害児を油断させ,ワゴン車付近までおびき寄せたが,人の気配を感じてら致を断念したにもかかわらず,その約1時間後には,同様の手口でおびき寄せた別の被害児をいきなり抱え上げてワゴン車内に押し込み,あらかじめ切り取っておいたガムテープでその両手足を緊縛し口にも貼り付けるなどした上で車を疾走させ,被害児を自己の支配下において拐取し,約30分間にわたって被害児を車内に閉じこめて監禁しており,しかも,その間,被害児の陰部を手指や舌でもてあそび,口淫をさせようとした後,その顔面等に向けて射精までしているのであって,その犯行態様は計画的である上に極めて卑わいかつ卑劣なもので,誠に悪質である。判示第1,第2及び第4の犯行についても,狙いをつけた下校途中の被害児を追跡し,本人から聞き出すなどして家には他に誰もいないことを確認した上でその自宅に上がり込んでおり,狡猾かつ大胆であるし,被害児を押し倒して布団をかぶせたり,「静かにしろ。」などと怒鳴り付けるなどの暴行脅迫を加えた上,執拗にその胸部や陰部等をなで回したり,被害児の臀部に向けて射精するなど,執拗なわいせつ行為に及んでいるのであって,その犯情はいずれも悪質である。また,判示第3の犯行では,エレベーターという密室で被害児と2人きりになるや,その陰部や臀部をなで回しており,判示第7の犯行も,団地内の人目の付かない場所において被害児の面前で自己の陰茎を露出させ,射精してその頭部に精液をかけるという誠に卑わいかつ被害児の人格を冒涜するような暴行を加えているのであって,いずれも卑劣な犯行である。 被告人の目に留まったばかりに,突然このような性的被害にあった被害児 の頭部に精液をかけるという誠に卑わいかつ被害児の人格を冒涜するような暴行を加えているのであって,いずれも卑劣な犯行である。 被告人の目に留まったばかりに,突然このような性的被害にあった被害児らは,大人に対して恐怖感を覚えたり,怒りやすくなったりするなど,それぞれ甚大な被害を被っており,発育途上にある被害児らの今後の健全な成長に悪影響が生じないかが深刻に懸念されるところであり,保護者らの受けた衝撃も大きく,処罰感情が厳しいのもごく当然である。更に被告人は,これまで本件と同種の犯行を多数回にわたって繰り返していたことも窺われるのであって,被告人のこの種事犯についての常習性は顕著で,規範意識も欠けており,再犯のおそれも高いといわざるを得ない。 以上に照らすと,被告人の刑責は誠に重いといわなければならない。 3 そうすると,他方において,判示第5の犯行については,幸いにも通行人が来たことにより未遂に終わっていること,被告人には前科前歴がないこと,被告人が捜査段階から本件各犯行を概ね認めており,公判廷でもそれなりに反省の念を表示していること,被告人の兄や妻が出廷し,今後の指導監督を誓っていることなど,被告人のために酌むべき幾つかの事情も存在するが,これらの事情を十分考慮しても,被告人に対しては,主文のとおりの刑を科するのが相当である。 (出席した検察官伊藤俊行,弁護人柳重雄)(求刑懲役10年)平成14年3月18日さいたま地方裁判所第二刑事部(裁判長裁判官吉村正,裁判官大渕真喜子,裁判官小笠原義泰)
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