1 令和5 年1 月26 日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3 年(ワ)第11118 号 損害賠償等請求事件口頭弁論終結日 令和4 年10 月26 日判決 5原 告 株式会社C2 プレパラート(以下「原告会社」という。) 原告 A 10(以下「原告A」という。)原告ら訴訟代理人弁護士 橋 本 阿友子同 出井 甫 被 告 B 15同訴訟代理人弁護士 山口貴士主文1 被告は、原告Aに対し、275 万円及びこれに対する令和2 年8 月16日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告会社に対し、165 万円及びこれに対する令和2 年8 月1620日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 被告は、別紙3 被告表示目録記載のマスクを複製又は頒布してはならない。 4 被告は、前項記載のマスク及びこれを作成するために使用したデータを廃棄せよ。 255 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 2 6 訴訟費用は、これを5 分し、その2 を被告の負担とし、その余は原告らの負担とする。 7 この判決は、第1 項及び第2 項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求51 被告は、原告Aに対し、660 万円及びこれに対する令和2 年8 月16 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告会社に対し、440 万円及びこれに対する令和2 年8 月16 日から支払済みま 円及びこれに対する令和2 年8 月16 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告会社に対し、440 万円及びこれに対する令和2 年8 月16 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 被告は、別紙1「広告の要領」記載の要領をもって、別紙2「広告の内容」記10載の謝罪広告を1 回掲載せよ。 4 主文第3 項及び第4 項と同旨第2 事案の概要1 本件は、育成シミュレーションゲーム「艦隊これくしょん-艦これ-」(以下「本件ゲーム」という。)等を開発・運営する原告会社及びその代表者である原告A15が、①被告が、令和2 年8 月16 日、本件ゲームをテーマにした同人誌即売会(以下「本件即売会」という。)において、原告Aの顔貌を元に作成したお面(以下「本件マスク」という。)を着用し、本件ゲーム内のキャラクター(以下、個別のキャラクターの如何を問わず「本件キャラクター」と総称する。)を性玩具に見立てた内容等の記載された同人誌(以下「本件同人誌」という。)を頒布し20たことなどが、原告らの名誉を毀損すると共に、原告Aのパブリシティ権、肖像権及び名誉感情を侵害し、また、②被告が、令和2 年5 月~8 月の間に、短文投稿サービス「ツイッター」において行った本件ゲーム等に関する一連の投稿が、原告らの名誉を毀損すると共に、原告Aの肖像権及び名誉感情を侵害する旨を主張して、被告に対し、以下の請求をする事案である。 25(1) 民法709 条及び710 条に基づく損害賠償請求として、原告Aに対し、660 3 万円及びこれに対する令和2 年8 月16 日(不法行為日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金、並びに、原告会社に対し、440 万円及びこれに対する令 対し、660 3 万円及びこれに対する令和2 年8 月16 日(不法行為日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金、並びに、原告会社に対し、440 万円及びこれに対する令和2 年8 月16 日(不法行為日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の各支払(2) 民法723 条に基づき、名誉を回復するのに適当な処分として、別紙1「広5告の要領」記載の要領をもって、別紙2「広告の内容」記載の謝罪広告を1 回掲載すること(3) 肖像権に基づく差止請求として、別紙3 被告表示目録記載のマスク(本件マスク)の複製及び頒布の差止め並びに本件マスク及びこれを作成するために使用したデータの廃棄102 前提事実(当事者間に争いがないか、末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。証拠番号の枝番は省略する(以下同様)。)(1) 当事者ア 原告ら原告会社は、本件ゲーム及びそのメディアミックス作品群を開発・運営15している会社である。本件ゲームは、海防艦等の艦艇(軍艦)を女性に擬人化させた「艦娘」と呼ばれるキャラクター(本件キャラクター)を集め、戦闘を行う育成シミュレーションゲームである。そのユーザー数は500 万人に上り、ゲームの配信、イベント、グッズの販売等が広く展開されているところ、その一環として、原告会社は、本件キャラクターの衣装を着用20した女性店員を配置し、食事の提供と共に本件ゲームのグッズを販売する「カレー機関」という名称の店舗(以下「本件店舗」という。)を運営している。 原告Aは、原告会社の代表取締役であると共に、本件ゲームのプロデューサーとして、その企画、開発、運営に携わっている。同原告は、ゲーム25愛好家に広く閲読されている家庭用ゲーム雑誌及び ている。 原告Aは、原告会社の代表取締役であると共に、本件ゲームのプロデューサーとして、その企画、開発、運営に携わっている。同原告は、ゲーム25愛好家に広く閲読されている家庭用ゲーム雑誌及び電子版週刊雑誌「ファ 4 ミ通」(株式会社KADOKAWA Game Linkage 発行)に顔写真と共に紹介されるなど、本件ゲームのユーザーの間では著名な人物である。 イ 被告被告は、ツイッター上で、ユーザー名を「D」、アカウント名を「(省略)」とするアカウントにより、本件ゲームや原告らに関する投稿を行っ5ていた。 (2) 被告の行為ア ツイッターへの投稿被告は、令和2 年5 月~同年8 月の間、ツイッターにおいて、別紙4 投稿目録記載のとおり、本件ゲーム等に関する投稿を行った(以下、これら10の一連のツイートを「本件ツイート」ともいう。)。 イ 本件マスクの着用及び本件同人誌の頒布等被告は、同年8 月16 日、本件即売会において、本件マスクを着用しながら、本件同人誌(甲5)を頒布した。 (3) 本件同人誌の内容等15本件同人誌は、被告がサークル名「#艦これはみんな仲良く」により本件即売会に参加するにあたり作成した「犯罪撲滅!!地球の安全!合法レイプ実現『海防艦ラブドール』ならアナタの夢、かなう。」と題する10 頁程度の漫画等をその内容とする。その概略は、海防艦を擬人化させた本件キャラクターを、「海防艦ラブドール」という児童型ラブドール(人型の主に男性向け20性玩具の一種)に見立て、当該ドールの使用により性欲を発散させることで性犯罪等の犯罪撲滅に資するといったことを内容とするものである。本件キャラクターに関する描写の具体的内容は、別紙5 描写目録記載1 のとおりである(以下、これらの描写を「 より性欲を発散させることで性犯罪等の犯罪撲滅に資するといったことを内容とするものである。本件キャラクターに関する描写の具体的内容は、別紙5 描写目録記載1 のとおりである(以下、これらの描写を「本件キャラクター描写」と総称する。)。 また、本件店舗においては、本件キャラクターの衣装を着用した複数の女25性をスタッフとして配置し、接客にあたらせているところ、その衣装は、キ 5 ャバクラその他の風俗店の女性店員のように、極端に肌を露出させた衣装を着用しているわけではなく、スカートの長さも膝丈程度である。また、そこでの接客は、1 フロアに20 名程度の利用客を入場させ、数名の店員がテーブル越しに接客するスタイルである。店員と利用客は食事を提供するためのテーブルを挟んでおり、利用客から店員の足元は見えづらい構造である。店員5が利用客に接近して接客することもない(令和2 年春以降は、特に、コロナ禍でもあり、利用客と通常より距離を置いている)。これに対し、本件同人誌末尾の「キャバカレー」と題する4 コマ漫画には、別紙5 描写目録記載2のとおりの描写がある(以下、これらの描写を「本件店舗描写」と総称する。)。 さらに、本件同人誌3 頁及び5 頁には、それぞれ、原告Aと同定される男10性イラスト(以下、前者を「男性イラスト1」、後者を「男性イラスト2」という。)が記載されている。上記各男性イラストに関する描写は、別紙5 描写目録記載3 のとおりである(以下、これらの描写を「本件男性イラスト描写」と総称する。)。 さらに、本件同人誌10 頁のクレジット表記(以下「本件クレジット表記」15という。)には、本件同人誌の原作として本件ゲームの名称が表示されているほか、「SPECIAL THANKS」として、原告らの各名称に加え、「 頁のクレジット表記(以下「本件クレジット表記」15という。)には、本件同人誌の原作として本件ゲームの名称が表示されているほか、「SPECIAL THANKS」として、原告らの各名称に加え、「TwiFemis」との記載に続いて3 つのツイッターアカウントが表示されている。ただし、原告ら及び上記3 アカウントの保持者らは、被告による本件同人誌の制作、頒布等に関わっておらず、賛同もしていない(甲146、147)。なお、「TwiFemis」20(ツイフェミ)とは、ツイッター上でフェミニズムに関する言動を展開する人々又はその現象を指す俗語・インターネットスラングである。 (4) 本件マスクの形状等被告は、原告Aに無断で本件マスクを作成し、本件同人誌に本件マスクの写真を掲載すると共に、本件即売会において、本件マスクを着用しながら本25件同人誌を頒布した。 6 本件マスクは、別紙3 被告表示目録記載のとおり、原告Aの顔写真を元に、これをマスクとして着用できるよう、山型に湾曲させて作成したものである(甲4、10)。 本件同人誌8 頁には、本件マスクの写真と共に、「本邦初公開!これが【神】のリアルマスクだ―――ッ!」との宣伝文句及び「古来より人は儀式や祭礼に5際し、自らに神格を宿すために仮面をまとったという・だとすれば神である(省略)のマスクが作られるのは人間心理の必然的帰結であろう。」との説明文の記載がある。 3 争点(1) 本件同人誌の頒布等に関するもの10ア 本件同人誌の頒布等による原告らの名誉毀損の成否(争点1-1)イ 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aのパブリシティ権侵害の成否(争点1-2)ウ 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害 否(争点1-1)イ 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aのパブリシティ権侵害の成否(争点1-2)ウ 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否(争点1-3)15(2) 本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否(争点2)(3) 本件ツイートによる原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否(争点3)(4) 本件マスク及びそのデータ廃棄等の必要性の有無(争点4)(5) 原告らの損害及びその額(争点5)(6) 謝罪広告の必要性の有無(争点6)204 争点に関する当事者の主張(1) 本件同人誌の頒布等による原告らの名誉毀損の成否(争点1-1)(原告らの主張)ア 本件同人誌の内容等は前提事実 (3)のとおりであるところ、被告は、本件クレジット表記に、真実に反し、「SPECIAL THANKS」として原告らの名25称を表示すると共に、「原作」欄に本件ゲームの名称を表示することにより、 7 あたかも原告らが本件同人誌の制作等に関与し、本件キャラクターを性玩具として扱い、又はそのように扱うことを許容していること等の事実を摘示した。 また、原告Aについては、本件同人誌の制作等に一切関与していないにもかかわらず、本件同人訴の「おまけ4 コマ」と題する部分に掲載された5「君のid は」とのタイトルの3 コマ漫画(以下「本件3 コマ漫画」という。)において、「A監督 最新作」との記載により著作者として表示されている。 このような摘示事実は、原告らが、自身の管理する本件ゲームのコンテンツに愛着も敬意も抱いていないといった印象を与えるものであり、原告10らの社会的評価を低下させる。 イ 本件キャラクター描写は、本件キャラクターをメインキャ 、自身の管理する本件ゲームのコンテンツに愛着も敬意も抱いていないといった印象を与えるものであり、原告10らの社会的評価を低下させる。 イ 本件キャラクター描写は、本件キャラクターをメインキャラクターとする本件ゲームのコンテンツに対する著しい中傷である。本件即売会は本件ゲームにテーマを限定した同人誌即売会であるところ、原告会社は、独自に作成したガイドライン(以下「本件ガイドライン」という。)に反しない15限りで、このようなファン活動に寛容な態度を取ってきた。このため、本件同人誌が本件即売会で頒布されたことは、本件同人誌の作成、頒布等を原告会社が認容しているとの事実を摘示するものである。 しかも、本件同人誌には、本件クレジット表記として原告会社の名称が表示されていることをも踏まえると、本件同人誌の内容は、本件キャラク20ターの中傷に原告会社も関与していた事実を摘示するものである。 このような事実は、原告会社が、自己の管理するコンテンツである本件キャラクターに愛着も敬意も抱いていないという印象を与え、原告会社の社会的評価を低下させる。 ウ 本件店舗描写は、原告らが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関25する法律(以下「風営法」という。)に違反している可能性のある店舗を営 8 んでいるとの事実を摘示するものである。このような事実は原告らの社会的評価を低下させる。 エ したがって、被告が本件同人誌を頒布した行為は、原告らそれぞれの名誉を毀損する。 (被告の主張)5否認ないし争う。 同人誌という媒体の性質、体裁上、一般読者の通常の読み方に従えば、原告らの主張するような読み方は成立しない。すなわち、本件即売会のような同人イベントでの頒布物の内容を著作権者が承認しているという社会通念は存在しない。また、 裁上、一般読者の通常の読み方に従えば、原告らの主張するような読み方は成立しない。すなわち、本件即売会のような同人イベントでの頒布物の内容を著作権者が承認しているという社会通念は存在しない。また、本件クレジット表記はユーモアであり、これを見て、原10告らが本件同人誌に対し「特別の感謝」の意を表するような人物であるという印象を受けることはない。 (2) 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aのパブリシティ権侵害の成否(争点1-2)(原告Aの主張)15個人は、人格権に由来する権利として、その氏名、肖像等をみだりに利用されない権利を有する。肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合、その顧客吸引力を排他的に利用する権利であるパブリシティ権も、この人格権に由来する権利に含まれる。具体的には「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に」違法なパブリシティ権侵害と20なり、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す場合、③肖像等を商品等の広告として使用する場合がこれに当たる。 本件において、被告は、原告Aの顔写真を、実際の人物の顔と同等以上の大きさのマスクに使用し、このマスク(本件マスク)を着用しながら、本件25マスクを掲載すると共に本件3 コマ漫画において原告Aの氏名を無断で使用 9 し、同漫画の著作者として表示した本件同人誌を本件即売会において頒布した。これは、上記①~③のいずれの場合にも該当する。 したがって、被告の上記行為は、原告Aのパブリシティ権を侵害する。 (被告の主張)否認ないし争う。被告は、本件マスク自体は販売していない。また、原告5Aの肖像には顧客吸引力が認められるほどの したがって、被告の上記行為は、原告Aのパブリシティ権を侵害する。 (被告の主張)否認ないし争う。被告は、本件マスク自体は販売していない。また、原告5Aの肖像には顧客吸引力が認められるほどの周知性はない。このため、本件マスクを被った人物は人目を引いたかもしれないが、これを広告として利用したとはいえない。 (3) 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否(争点1-3)10(原告Aの主張)ア 肖像権の侵害被告は、本件マスクを着用すると共に、その写真が掲載された本件同人誌を頒布した。当該掲載ページの記載内容に加え、本件同人誌が全体として原告A及び本件ゲームを誹謗中傷する内容であることから、被告は、悪15意をもって同原告の顔貌をマスクに使用したといえる。 したがって、被告が、本件マスクの写真を撮影し、本件同人誌に掲載した行為、及び本件即売会において本件マスクを着用の上、本件同人誌を頒布した行為は、原告Aの肖像権を侵害する。 イ 名誉感情の侵害20(ア) 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等上記のとおり、被告は、悪意をもって原告Aの顔貌を本件マスクに使用したものであり、一般の注意と捉え方からすれば、同原告の人格権侵害に値するほどに同原告の社会的評価を低下させるものである。 したがって、被告の上記行為は、原告Aの名誉感情を侵害する。 25また、本件店舗描写の4 コマ目記載の描写(別紙5 描写目録記載2) 10 も、原告Aの名誉感情を侵害するものである。 (イ) 本件男性イラストの描写原告Aを描写したものと見られる男性イラスト1 の発言の描写(別紙5 描写目録記載3(1))は、一般の読者の注意と読み方において、同原告が、幼女をレイプしたいとの願望を有 本件男性イラストの描写原告Aを描写したものと見られる男性イラスト1 の発言の描写(別紙5 描写目録記載3(1))は、一般の読者の注意と読み方において、同原告が、幼女をレイプしたいとの願望を有し、当該願望を抑えるため、代わ5りにオナホ(女性器の形状を模した性玩具の一種の名称の略語)を使用しているが、これを使い尽くすほど性欲の強い人物であると理解されるものである。 また、原告Aを描写したものと見られる男性イラスト2 について、当該人物を「勃起豚」と呼ぶ記載(別紙5 描写目録記載3(2))があるとこ10ろ、「勃起豚」とは、性的に興奮した状態を維持している太った人物を意味する。原告Aを「勃起豚」と称することは、原告Aが太った性欲の塊のような人物であることを示すものである。しかも、本件同人誌は、原告Aを「勃起豚」と揶揄するのみならず、男性器が勃起しているようなイラスト(男性イラスト2)で表現しており、原告Aを根拠なく「幼女15を連れまわしている」人物であり、幼女に興奮して勃起する人物であるように描いている。 以上の被告の行為は、いずれも原告Aの名誉感情を侵害する。 (被告の主張)否認ないし争う。同人誌という媒体の性質、体裁上、一般読者の通常の読20み方に従えば、指摘されるような読み方は成立しない。 (4) 本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否(争点2)(原告らの主張)ア 本件キャラクターには人権がないとの投稿被告は、別紙4 投稿目録(1)のとおり、「艦娘は兵器なので、人権がない」25との言及を繰り返している。また、これらの投稿には、その投稿内容に沿 11 うものとして被告がイラスト画像を添付したものがあるところ、これらのイラストは、いずれも本件ゲームの二次創作であり、本件キャラクターを改 る。また、これらの投稿には、その投稿内容に沿 11 うものとして被告がイラスト画像を添付したものがあるところ、これらのイラストは、いずれも本件ゲームの二次創作であり、本件キャラクターを改変した描写である。 これらの投稿は、一般の読者の注意と読み方からすれば、本件キャラクターが、身体拘束を加えられ、解体されて廃棄処分にされる等の扱いを受5けても問題のないキャラクターであるとの印象を与えるものである。本件キャラクターは、本件ゲームの設定上「人」として描写されており、上記のような扱いを受け得る存在ではないにもかかわらず、被告の投稿は断定的であり、本件キャラクターが当初からそのようなキャラクター像として設定されていたかのような表現を用いている。このため、これらの投稿は、10被告の描写する本件キャラクター像こそが原告会社によって設定されたものであり、原告会社が当該投稿を許容しているとの事実を摘示するものと理解される。 このような事実は、原告会社が、自ら展開する本件キャラクターを単なるコンテンツ上の道具という程度にしか扱わず、敬意も愛着も有していな15いといった印象を与えるものであり、原告会社の社会的評価を低下させる。 したがって、被告の上記行為は、原告会社の名誉を毀損する。 イ 本件キャラクターに関する卑猥な表現被告は、別紙4 投稿目録(2)のとおり、本件キャラクターを凌辱の対象として表現した。これらの投稿は、一般の読者の注意と読み方からすれば、20本件キャラクターを男性の性的欲求のはけ口として扱うものである。本件キャラクターは、本件ゲームの設定上、戦艦を擬「人」化したものであり、被告が描写したような取扱いを受けるような存在ではないにもかかわらず、被告の投稿は断定的であり、本件キャラクターが当初からそのようなキ ラクターは、本件ゲームの設定上、戦艦を擬「人」化したものであり、被告が描写したような取扱いを受けるような存在ではないにもかかわらず、被告の投稿は断定的であり、本件キャラクターが当初からそのようなキャラクター像として設定されていたかのような表現を用いている。このため、25これらの投稿は、被告の描写する本件キャラクター像こそが原告会社によ 12 って設定されたものであり、原告会社が当該投稿を許容しているとの事実を摘示するものと理解される。 このような事実は、原告会社が、自ら展開する本件キャラクターを単なるコンテンツ上の道具という程度にしか扱わず、敬意も愛着も有していないといった印象を与えるものであり、原告会社の社会的評価を低下させる。 5したがって、被告の上記行為は、原告会社の名誉を毀損する。 ウ 原告らが被差別部落への差別を助長しているかのような投稿被告は、別紙4 投稿目録(3)のとおり、「四号」と呼ばれる本件ゲームの「第四号海防艦」というキャラクターのイラストと共に「よつ」と記載している。上記キャラクターは自称「よつ」と名乗っているものの、これは10単に「四号」という名称に由来するものである。しかし、被告の上記投稿では、「よつ」との表記があたかも被差別部落に関する差別用語として使われているように解釈され、ひいては、本件ゲームが被差別部落に関与しているかのように理解される。 また、被告のツイートには本件ゲームと台湾問題とを関連付けるかのよ15うなものもあるが、原告らは本件ゲームをこのような関連付けにより展開していない。 これらの投稿は、原告らが本件ゲームを被差別部落問題に関連付ける意図をもって制作・展開すると共に、台湾問題と関連付けている等の事実を摘示することにより、原告らの社会的評価を低下させるもので ない。 これらの投稿は、原告らが本件ゲームを被差別部落問題に関連付ける意図をもって制作・展開すると共に、台湾問題と関連付けている等の事実を摘示することにより、原告らの社会的評価を低下させるものである。 20したがって、被告の上記行為は、原告らの名誉を毀損する。 エ 本件店舗に関する誹謗中傷被告は、別紙4 投稿目録(4)のとおり、本件店舗について投稿し、本件店舗を「キャバカレー」、「派遣型風俗キャバカ〇ー機関」と、あたかもキャバクラまがいの風俗店であるかのように揶揄した。このような記載は、本25件店舗を訪れたことのない者に対し、本件店舗につきキャバクラまがいの 13 店舗であるとの誤解を与える。 また、その投稿には、本件店舗の運営が風営法違反に当たり、逮捕者(容疑者が原告Aであることを推認させる記載を含む。)が出ているとの記載も存在する。このような事実は、原告らが法令に違反した店舗を経営しているという印象を与えるものであり、原告らの社会的評価を低下させる。 5したがって、被告の上記行為は、原告らの名誉を毀損する。 (被告の主張)否認ないし争う。一般読者の通常の読み方からして、被告が原告ら主張に係る事実を摘示したとはいえず、また、これにより原告らの社会的評価が低下したともいえない。 10(5) 本件ツイートによる原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否(争点3)(原告Aの主張)ア 肖像権の侵害被告は、別紙4 投稿目録(5)のとおり、原告Aの許諾なく、人物を特定するに十分な大きさで同人の顔写真をツイッターに投稿した。これは、原告15Aの肖像権を侵害する。 イ 名誉感情の侵害被告は、別紙4 投稿目録(6)のとおり、原告Aを揶揄ないし愚弄する内容の投稿を行った。これらの投稿は、多くのネット ーに投稿した。これは、原告15Aの肖像権を侵害する。 イ 名誉感情の侵害被告は、別紙4 投稿目録(6)のとおり、原告Aを揶揄ないし愚弄する内容の投稿を行った。これらの投稿は、多くのネットユーザーに対し、原告Aに関する誤った印象を植え付けると共に、同原告に対して多大な精神的苦20痛を与えるものである。 したがって、被告の上記投稿は、原告Aの名誉感情を侵害し、社会通念上許容される限度を超える侮辱行為である。 (被告の主張)否認ないし争う。 25(6) 本件マスク及びそのデータ廃棄等の必要性の有無(争点4) 14 (原告Aの主張)被告が本件即売会で本件マスクを着用していたこと、本件マスクを着用した人物の写真をツイッター上に投稿したことなどを踏まえると、被告は、本件マスクを制作、公表等することにより原告Aの肖像権を侵害する意図があったといえる。にもかかわらず、被告は、本件即売会の主催者や参加者等に5より本件即売会での本件マスクの着用等が問題視されるなどして問題が大きくなってから、その態度を急変させている。 このような被告の態度の変遷等を踏まえると、被告は、原告Aに無断で本件マスクを制作し、将来もこれを公表等する恐れがある。 したがって、被告による原告Aへの権利侵害の停止又は予防のためには、10被告に対し、本件マスクの複製及び頒布の差止め並びに本件マスク及びこれを作成するために使用したデータの廃棄を求める必要性が極めて高い。 (被告の主張)争う。 (7) 原告らの損害及びその額(争点5)15(原告らの主張)ア 原告会社の損害原告会社が本件同人誌の作成、頒布行為による名誉権の侵害により被った社会的評価の低下の程度等を踏まえると、当該行為により原告会社に対して被告が支払うべき慰 (原告らの主張)ア 原告会社の損害原告会社が本件同人誌の作成、頒布行為による名誉権の侵害により被った社会的評価の低下の程度等を踏まえると、当該行為により原告会社に対して被告が支払うべき慰謝料は150 万円を下らない。 20また、原告会社が被告の本件ツイートによる名誉権の侵害により被った社会的評価の低下の程度等を踏まえると、当該行為により原告会社に対して被告が賠償すべき損害額は250 万円を下らない。 イ 原告Aの損害原告Aが本件同人誌の作成、頒布行為による名誉権、名誉感情、肖像権25及びパブリシティ権の侵害により被った精神的苦痛に対する慰謝料は300 15 万円を下らない。 また、原告Aが、被告の本件マスク着用による肖像権、パブリシティ権及び名誉感情の侵害により被った精神的苦痛に対する慰謝料は100 万円を下らない。 さらに、原告Aが、被告の本件ツイートによる肖像権及び名誉感情等の5侵害により被った精神的苦痛に対する慰謝料は200 万円を下らない。 ウ 弁護士費用相当損害額原告らは、被告の行為が悪質かつ継続的に行われていたことから、本件につき弁護士に委任せざるを得なくなった。その弁護士費用のうち、少なくとも請求額の1 割相当である100 万円は、被告の不法行為と相当因果関10係のある損害である。 (被告の主張)争う。 慰謝料の算定に当たっては、被告が本件マスクをかぶったのはイベント当日の1 日だけであり、本件マスクの頒布はしていないこと、本件同人誌の販売数15は10 冊程度であり、頒布したイベントは1 日だけであること、本件同人誌を販売業者に販売委託したことはあるが、本件即売会の2 日後には販売依頼を取り下げており、1 冊も販売されていないこと、本件ツイートはいずれもリツ 、頒布したイベントは1 日だけであること、本件同人誌を販売業者に販売委託したことはあるが、本件即売会の2 日後には販売依頼を取り下げており、1 冊も販売されていないこと、本件ツイートはいずれもリツイートや「いいね」の回数が少なく、ほとんど注目を集めていないこと、本件ゲームにおいて、本件キャラクターは被弾してダメージを受けると脱衣する20という設定であり、清純なイメージはないこと等の事情を考慮すべきである。 (8) 謝罪広告の必要性の有無(争点6)(原告らの主張)被告の行為すなわち本件同人誌や本件ツイートを通じて、本件ゲームに登場する本件キャラクターは、人間の性欲を満たす玩具になり得るものとして25世に知れ渡った。また、本件同人誌の原告らに係るクレジット表記に接した 16 者や原告らの真意を知らない本件ゲームのユーザー等は、原告らのあずかり知らない被告の上記行為により、本件ゲームや原告らに関する印象を刷り込まれたことになる。加えて、原告Aについては、本件マスクにより自己の意図しない方法・描写で自身の肖像が出回った。 これらの被告の行為により原告らに生じた損害は、金銭による賠償だけで5回復できるものではなく、被告による謝罪広告を要する。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断1 本件同人誌の頒布等による原告らの名誉毀損の成否(争点1-1)について10(1) 本件同人誌には、前提事実(3)のとおりの記載がある。 また、甲15 及び弁論の全趣旨によれば、原告会社は、本件ゲームに係る同人誌やイラスト、漫画、小説等の一般慣例的な「同人活動」について、公序良俗に反するもの、ゲームシステムのあるもの、ゲーム内の音源又は画像を使用したもの、関係者及び関係会社に迷惑を与えるもの以外は基本的に許容15す 、小説等の一般慣例的な「同人活動」について、公序良俗に反するもの、ゲームシステムのあるもの、ゲーム内の音源又は画像を使用したもの、関係者及び関係会社に迷惑を与えるもの以外は基本的に許容15する旨の二次創作ガイドライン(本件ガイドライン)をツイッター上で公表していることが認められる。 他方、本件同人誌には、原告らが本件同人誌の制作等に関与したことないしその内容を許容していることを示す明示的な事実の摘示はない。もっとも、本件クレジット表記には、「SPECIAL THANKS」として原告らの名称が表示20されると共に、「原作」欄に本件ゲームの名称が表示されている。 (2) 検討本件同人誌は、本件ゲームの愛好者向け同人誌即売会である本件即売会において販売された同人誌である。その内容も、本件ゲームそれ自体とは異なり、本件キャラクターを性玩具として扱うなどの本件キャラクター描写のよ25うな卑猥なイラストやストーリーを含む漫画を主な内容とし、全体としては、 17 本件ゲームないし本件キャラクターを揶揄する趣旨も含むものと理解される。 しかも、本件同人誌は、随所に原告A個人を揶揄する趣旨のものと理解されるイラストや文言による描写をも含む。本件クレジット表記に「TwiFemis」として3 つのツイッターアカウントが挙げられているところ、この語がツイッター上でフェミニズムに関する言動を展開する人々又はその現象を指すイ5ンターネットスラングであることに鑑みても、本件同人誌は、本件クレジット表記に表記された者を揶揄する趣旨を強く含むものであることがうかがわれる。 このような本件同人誌の性質及び内容に鑑みると、一般的な読者の注意と読み方を基準とした場合に、本件ゲームの制作者である原告らが本件同人誌10の制作に協力したと理解さ あることがうかがわれる。 このような本件同人誌の性質及び内容に鑑みると、一般的な読者の注意と読み方を基準とした場合に、本件ゲームの制作者である原告らが本件同人誌10の制作に協力したと理解されるとは考え難く、また、本件ゲームの設定が本件同人誌の内容に沿うものと理解されるともいい難い。 しかし、他方で、本件ガイドラインの内容がやや抽象的なものであり、本件ゲームに係る二次創作作品が本件ガイドラインにより許容される範囲が必ずしも明確でないことを併せ考慮すると、上記基準によっても、本件同人誌15の頒布という行為それ自体をもって、このような内容の二次創作作品が本件ガイドラインにより許容される範囲内に含まれ、許容されるものであるという判断を原告会社が行ったという事実を摘示するものと理解されることは合理的にあり得る。しかも、「SPECIAL THANKS」として本件クレジット表記に原告らの名称が明記され、原作として本件ゲームの名称が記されているこ20とは、このような理解を強めるものといえる。 この場合、原告会社は、自ら管理するコンテンツである本件キャラクターに対する愛着や敬意の乏しい企業として、その社会的評価が低下すると見るのが相当である。また、原告Aについても、本件ゲームのプロデューサーとして本件ゲームのユーザーの間では著名な人物であることなどに鑑みると、25原告会社とは別に個人としての社会的評価が同様に低下すると見られる。 18 このことは、本件店舗描写に関しても同様である。 (3) 小括以上の事情に鑑みると、一般的な読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件キャラクターに対する卑猥な描写をその内容とすると共に、クレジット表記に「SPECIAL THANKS」と付して原告らの名称等を記載した本件同5人誌 読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件キャラクターに対する卑猥な描写をその内容とすると共に、クレジット表記に「SPECIAL THANKS」と付して原告らの名称等を記載した本件同5人誌を頒布する行為及び本件店舗描写は、原告らそれぞれの名誉を毀損するものといえる。これに反する被告の主張は採用できない。 2 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aのパブリシティ権侵害の成否(争点1-2)について原告Aは、被告が本件マスクを着用しながら本件同人誌を頒布した行為及び10本件同人誌に本件マスクの写真を掲載した行為につき、原告Aのパブリシティ権侵害を主張する。 肖像等を無断で使用する行為については,①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し,③肖像等を商品等の広告として使用するなど,専ら肖像等の有す15る顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に,パブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となる(最高裁判所平成24 年2 月2 日第一小法廷判決・民集66 巻2 号89 頁参照)。 本件の場合、そもそも、原告Aが本件ゲームの愛好者等の間で著名であるとしても、そのことから直ちに同原告の肖像等に顧客吸引力があることにはなら20ないところ、この点について、同原告は何ら具体的な主張立証をしない。 この点を措くとしても、本件マスクは、原告Aの写真を顔面に着用できるように山型に湾曲させただけの粗雑な作りのものにすぎない。そのため、本件マスクやこれを撮影した写真は、同原告の肖像の写真(甲10)とは相応に異なる印象を与えるものであり、同原告の肖像それ自体を独立して鑑賞の対象とする25目的で作成されたものとはいい難い。また、本件同人誌における本件 した写真は、同原告の肖像の写真(甲10)とは相応に異なる印象を与えるものであり、同原告の肖像それ自体を独立して鑑賞の対象とする25目的で作成されたものとはいい難い。また、本件同人誌における本件マスクの 19 写真は全10 頁程度のうちの8 頁目にのみ掲載されている(甲5)。しかも、同頁の本件マスクの写真は、「本邦初公開!これが【神】のリアルマスクだ―――ッ!」との宣伝文句と共に、「古来より人は儀式や祭礼に際し、自らに神格を宿すために仮面をまとったという・だとすれば神である(省略)のマスクが作られるのは人間心理の必然的帰結であろう。」との説明文の記載と共に掲載され5ており、これらは、本件同人誌の本編である漫画の内容と直接的には無関係に、主に原告Aを揶揄する文脈で掲載されているものと理解される。これを踏まえると、本件即売会での本件同人誌の頒布にあたり被告が本件マスクを着用していた点についても、同様に原告Aを揶揄する趣旨で行われたものと理解するのが相当である。 10また、本件3 コマ漫画における原告Aの氏名は、その素材となった別作品の宣伝用画像(甲148)の構図に擬して作成した最終コマに表示されたものであり、著作者として表示されたものとは理解し得ないと共に、当該コマの上部に小さく配置されているに過ぎないこともあって、原告Aの氏名の顧客吸引力の利用を目的としたものとはいい難い。 15そうすると、本件マスクの写真の掲載及び本件即売会での本件同人誌頒布時における着用並びに本件3 コマ漫画の氏名の記載は、上記①~③のいずれにも当たらず、その他専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に当たるとは認めるに足りない。 したがって、これらの行為は原告Aのパブリシティ権を侵害する違法なもの20とはいえない。 たらず、その他専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に当たるとは認めるに足りない。 したがって、これらの行為は原告Aのパブリシティ権を侵害する違法なもの20とはいえない。この点に関する原告Aの主張は採用できない。 3 本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否(争点1-3)について(1) 肖像権侵害の成否人はみだりに自己の容貌,姿態を撮影されないことについて法律上保護さ25れるべき人格的利益を有するところ,ある者の容貌,姿態をその承諾なく撮 20 影することが不法行為法上違法となるかどうかは,被撮影者の社会的地位,撮影された被撮影者の活動内容,撮影の場所,撮影の目的,撮影の態様,撮影の必要性等を総合的に考慮して,被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決せられる(最高裁平成17 年11 月10 日第一小法廷判決・民集59 巻9 号2428 頁参照)。 5撮影された写真が雑誌等に掲載されるなどして公開された場合も,同様の判断枠組みが妥当すると考えられる。 前記2 のとおり、本件マスクは、原告Aの写真を粗雑な方法で加工したものであり、原告Aの肖像の写真(甲10)とは相応に異なる印象を与えるものではある。しかし、本件同人誌では本件マスクが原告Aの「リアルマスク」10と紹介されていること、原告Aが本件ゲームの愛好者等の間で著名であること等の事情に照らすと、被告が本件マスクの写真が掲載された本件同人誌を本件マスクを着用しながら頒布した行為は、原告Aの写真を無断で公開した場合と同様に理解することができる。また、本件同人誌の内容、とりわけ本件マスクの紹介の仕方等に照らすと、被告は、専ら原告Aを揶揄する目的 スクを着用しながら頒布した行為は、原告Aの写真を無断で公開した場合と同様に理解することができる。また、本件同人誌の内容、とりわけ本件マスクの紹介の仕方等に照らすと、被告は、専ら原告Aを揶揄する目的で15本件マスクを作成し、これを着用の上、その写真を掲載した本件同人誌を頒布したといえる。 以上のような写真の使用目的及び使用態様等に照らすと、本件マスクに係る被告の各行為は、自己の容貌等の写真をみだりに公開されないことについての原告Aの人格的利益を侵害し、その侵害が社会生活上受忍すべき限度を20超えるものというべきであり、不法行為法上違法と認めるのが相当である。 これに反する被告の主張は採用できない。 (2) 名誉感情の侵害前記のとおり、被告は、専ら原告Aを揶揄する目的で本件マスクを作成し、これを着用の上、本件即売会にて本件同人誌を頒布した。加えて、本件同人25誌には、原告Aと同定される男性イラストに係る本件男性イラスト描写が掲 21 載されている(前提事実(3))。また、本件店舗描写についても、本件同人誌の他の記載と合わせると、「(省略)」などの記載は原告Aを指すことが明確に理解される。 このような被告の行為は、原告Aに対する社会通念上許される限度を超える侮辱行為であり、原告Aの人格的利益(名誉感情)を侵害する違法なものとし5て、不法行為に当たるとするのが相当である。これに反する被告の主張は採用できない。 4 本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否(争点2)について(1) 本件店舗に関する投稿について被告は、別紙4 投稿目録(4)のとおり、原告会社の運営する本件店舗を「キ10ャバカレー」、「派遣型風俗キャバカ〇ー機関」などと呼んだ上、「キャバカレー」が違法風俗店として摘発され、セクキャバ「 被告は、別紙4 投稿目録(4)のとおり、原告会社の運営する本件店舗を「キ10ャバカレー」、「派遣型風俗キャバカ〇ー機関」などと呼んだ上、「キャバカレー」が違法風俗店として摘発され、セクキャバ「キャバカレー」経営者である「(省略)」が風営法違反の疑いで逮捕されたという内容の画像を、実在するニュース映像風の画像のように表現して投稿した(前提事実(2)ア)。 一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば、被告の上記各投稿は、15原告会社の経営する本件店舗が「違法風俗店」として捜査機関により摘発され、原告Aと同定される者が風営法違反の疑いで逮捕されたという事実を摘示したものと理解される。これにより、上記各投稿は、これを閲覧した者において、原告らが違法な風俗店を経営し、その代表者である原告Aが逮捕されたという印象を与えるものであって、原告らの社会的評価をいずれも低下20させるものといえる。 したがって、被告の上記各投稿は、原告らそれぞれの名誉を毀損するものであり、原告らに対する不法行為に当たると認められる。これに反する被告の主張は採用できない。 (2) 原告らのその余の主張について25ア 本件キャラクターの人権等に言及した投稿について 22 原告会社は、被告が、別紙4 投稿目録(1)の各投稿により、本件キャラクターに人権がなく、身体拘束されて解体されても問題がないというキャラクター像を原告会社が設定し、被告の投稿を許容しているという事実を摘示し、原告会社の社会的評価を低下させた旨を主張する。 しかし、投稿先であるツイッターという投稿サービスの性質等をも踏ま5えて考えると、一般の閲覧者の普通の注意と読み方によれば、被告の上記各投稿は、いずれも本件キャラクター等に関する卑猥な妄想や冷笑的な捉え方といった被告 ッターという投稿サービスの性質等をも踏ま5えて考えると、一般の閲覧者の普通の注意と読み方によれば、被告の上記各投稿は、いずれも本件キャラクター等に関する卑猥な妄想や冷笑的な捉え方といった被告個人の考えやこれを具現化したイラスト画像を投稿したと理解されるものであり、本件キャラクターにつき原告会社がこのような考えに沿うキャラクター像を当初から設定していたとか、当該投稿を許容10しているといった事実を摘示するものとは必ずしも理解し得ない。 したがって、この点に関する原告会社の主張は採用できない。 イ 本件キャラクターに関する卑猥な投稿について原告会社は、被告が、別紙4 投稿目録(2)の各投稿により、原告会社が本件キャラクターを凌辱の対象、男性の性的欲求のはけ口として扱うという15キャラクター像として設定し、被告の投稿を許容しているという事実を摘示し、原告会社の社会的評価を低下させた旨を主張する。 しかし、上記アと同様に、一般の閲覧者の普通の注意と読み方によれば、被告の上記各投稿は、本件キャラクターを素材とする被告作成の卑猥なイラスト画像をそのタイトル等と共に紹介したものと理解されるにとどまり、20本件キャラクターにつき原告会社がこのような画像等に沿う内容のキャラクター像を当初から設定していたとか、当該投稿を許容しているといった事実を摘示するものとは必ずしも理解し得ない。 したがって、この点に関する原告会社の主張は採用できない。 ウ 被差別部落等に言及した投稿について25原告らは、被告が、別紙4 投稿目録(3)の各投稿により、原告らが、本件 23 ゲームを被差別部落問題に関連付ける意図をもって制作・展開すると共に、台湾問題と関連付けている等の事実を摘示して、原告らの社会的評価を低下させた旨を主張する。 より、原告らが、本件 23 ゲームを被差別部落問題に関連付ける意図をもって制作・展開すると共に、台湾問題と関連付けている等の事実を摘示して、原告らの社会的評価を低下させた旨を主張する。 しかし、一般の閲覧者の普通の注意と読み方によれば、被告の上記各投稿は、本件同人誌その他被告又は被告の所属するサークルにおいて作成す5る同人誌において、被差別部落に対する差別用語とも理解し得る表現が使用されていることを奇貨として、同人誌等の認知度向上や原告Aを揶揄することを図ったものと理解されるのであって、原告会社が本件ゲームを被差別部落問題に関連付ける意図をもって制作・展開し、又は台湾問題と関連付けているといった事実を摘示するものとは理解し得ない。 10したがって、この点に関する原告らの主張は採用できない。 5 本件ツイートによる原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否(争点3)について(1) 肖像権の侵害被告は、別紙4 投稿目録(5)のとおり、原告Aの許諾なく複数の顔写真を投15稿した(前提事実(2)ア)。これらの投稿に加え、同一アカウントに投稿されたツイート(別紙4 投稿目録(6))の内容等を踏まえると、被告による原告Aの顔写真の投稿は、同原告を揶揄する目的でされたものと理解される。 このような使用目的及び使用態様等に照らすと、原告Aの顔写真に係る被告の行為は、自己の容貌等の写真をみだりに公開されないことについての同20原告の人格的利益を侵害し、その侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものとして、不法行為法上違法と認めるのが相当である。これに反する被告の主張は採用できない。 (2) 名誉感情の侵害被告は、別紙4 投稿目録(6)のとおり、原告Aに関する投稿をした(前提事25実(2)ア)。これらの投稿は るのが相当である。これに反する被告の主張は採用できない。 (2) 名誉感情の侵害被告は、別紙4 投稿目録(6)のとおり、原告Aに関する投稿をした(前提事25実(2)ア)。これらの投稿は、その内容に照らし、原告Aを揶揄ないし愚弄する 24 ものと理解される。 したがって、被告による上記各投稿は、原告Aに対する社会通念上許される限度を超える侮辱行為であり、同原告の人格的利益を侵害する違法なものとして、不法行為に当たると認めるのが相当である。これに反する被告の主張は採用できない。 56 小括(1) 原告Aの請求について以上のとおり、被告による本件同人誌の頒布等による原告Aの名誉毀損並びに本件マスクを着用して本件同人誌を頒布等した行為による同原告の肖像に係る人格的利益及び名誉感情の侵害は、いずれも同原告に対する不法行為10を構成するものと認められる。また、被告のツイッターにおける本件店舗に関する投稿による原告Aの名誉毀損並びに同原告の顔写真等の投稿による同原告の肖像に係る人格的利益及び名誉感情の侵害は、いずれも原告Aに対する不法行為を構成するものと認められる。 他方、本件同人誌の頒布等による原告Aのパブリシティ権の侵害及び被告15のツイッターにおける被差別部落に関する投稿による同原告の名誉権の侵害は認められない。 (2) 原告会社の請求について以上のとおり、被告による本件同人誌の頒布等及び被告のツイッターにおける本件店舗に係る投稿による原告会社の名誉毀損は、いずれも原告会社に20対する不法行為を構成するものと認められる。 他方、被告のツイッターにおける本件キャラクターの人権等に言及する投稿、本件キャラクターに関する卑猥な投稿及び被差別部落に関する投稿については、いずれも原告会社の名誉 を構成するものと認められる。 他方、被告のツイッターにおける本件キャラクターの人権等に言及する投稿、本件キャラクターに関する卑猥な投稿及び被差別部落に関する投稿については、いずれも原告会社の名誉を毀損するものとはいえず、原告会社に対する不法行為を構成するものとは認められない。 257 本件マスク及びそのデータ廃棄等の必要性の有無(争点4)について 25 前記のとおり、被告による本件マスクの着用等は、原告Aの肖像に係る人格的利益の侵害に当たる。 このことと、本件同人誌の内容及び本件マスクの着用等の状況に加え、被告が本件マスク及びその作成に当たり使用したデータを廃棄その他の方法により既に使用不能にしたことを認めるに足りる証拠がないことに鑑みると、本件5マスクによる原告Aの肖像に係る人格的利益の侵害を停止又は予防するためには、本件マスク及びその作成に使用したデータの廃棄の必要性があるといえる。これに反する被告の主張は採用できない。 8 原告らの損害及びその額(争点5)について(1) 原告Aの損害及びその額10原告Aの損害額については、以下のとおり、合計275 万円とするのが相当である。 ア 本件同人誌は、原告Aがプロデューサーとして関与する本件ゲームでの設定とは異なり、本件キャラクターを性玩具として扱うと共に、同原告の顔写真等を掲載して同原告を揶揄ないし中傷する内容を含むものである。 15これによる同原告に対する社会的評価の低下の程度は無視し得ず、かつ、同原告に対する侮辱の程度は高いといえる。 他方、本件同人誌の販売数は証拠上不明であり(なお、被告はこの点につき10 冊程度と主張する。)、また、被告による本件マスクの着用は本件即売会当日の1 日だけにとどまる。 20これらの事情その他本件 本件同人誌の販売数は証拠上不明であり(なお、被告はこの点につき10 冊程度と主張する。)、また、被告による本件マスクの着用は本件即売会当日の1 日だけにとどまる。 20これらの事情その他本件に顕れた事情を併せ考慮すると、本件同人誌の頒布等による原告Aの名誉毀損並びに本件マスクの着用、本件同人誌の頒布等による原告Aの肖像に係る人格的利益及び名誉感情の侵害により賠償すべき損害額については、150 万円とするのが相当である。 イ 本件ツイートのうち、本件店舗に関する投稿は、原告Aが違法な風俗店25を経営した疑いで逮捕されたという事実をインターネット上で公開するも 26 のであり、これによる同原告の社会的評価の低下は無視できない。同原告の顔写真等の投稿も、同原告を執拗に揶揄する悪質なものといえる。 他方、被告によるこれらの投稿の閲覧者数は証拠上不明である。 これらの事情その他本件に顕れた事情を併せ考慮すると、本件ツイートのうち、本件店舗に関する投稿による原告Aの名誉毀損及び名誉感情の侵5害並びに同原告の顔写真等の投稿による肖像に係る人格的利益及び名誉感情の侵害により賠償すべき損害額については、100 万円とするのが相当である。 ウ 弁護士費用相当損害額以上に照らすと、本件の各不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相10当額は、25 万円とするのが相当である(2) 原告会社の損害及びその額原告会社の損害額については、以下のとおり、合計165 万円とするのが相当である。 ア 前記のとおり、本件同人誌は、原告会社が開発・運営する本件ゲームで15の設定とは異なり、本件キャラクターを性玩具として扱う内容を含むものである。これによる原告会社に対する社会的評価の低下の程度は無視し得ない。他方、本件同人誌の販売数 発・運営する本件ゲームで15の設定とは異なり、本件キャラクターを性玩具として扱う内容を含むものである。これによる原告会社に対する社会的評価の低下の程度は無視し得ない。他方、本件同人誌の販売数は証拠上不明である。 これらの事情その他本件に顕れた事情を併せ考慮すると、本件同人誌の頒布等による原告会社の名誉毀損により賠償すべき損害額については、5020万円とするのが相当である。 イ 前記のとおり、本件店舗に関する投稿は、原告会社の運営する店舗が違法な風俗店として捜査機関により摘発され、その代表者である原告Aが逮捕されたという事実をインターネット上で公開するものであり、これによる原告会社の社会的評価の低下は無視できない。他方、その投稿の閲覧者25数は証拠上不明である。 27 これらの事情その他本件に顕れた事情を併せ考慮すると、本件店舗に関する投稿による原告会社の名誉毀損により賠償すべき損害額については、100 万円とするのが相当である。 ウ 弁護士費用相当損害額以上に照らすと、本件の各不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相5当額は、15 万円とするのが相当である。 9 謝罪広告の必要性の有無(争点6)について本件同人誌の内容、本件マスクの着用等の状況、本件同人誌の販売数や本件ツイートの閲覧者数が不明であることその他本件における一切の事情を考慮すると,原告らが受けた名誉毀損並びに原告Aの肖像に係る人格的利益及び名10誉感情の侵害による損害については,金銭による賠償がされることによって回復が図られるものといってよく,これに加えて謝罪広告の掲載を命ずる必要はない。これに反する原告らの主張は採用できない。 10 まとめ以上より、原告Aは、名誉毀損並びに肖像に係る人格的利益及び名誉感情の15侵害 てよく,これに加えて謝罪広告の掲載を命ずる必要はない。これに反する原告らの主張は採用できない。 10 まとめ以上より、原告Aは、名誉毀損並びに肖像に係る人格的利益及び名誉感情の15侵害の不法行為に基づき、被告に対し、合計275 万円の損害賠償請求権及び不法行為日である令和2 年8 月16 日(本件即売会の開催日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。また、原告Aは、肖像に係る人格的利益に基づき、被告に対し、本件マスクの複製又は頒布の差止請求権並びに本件マスク及びその作成に使用したデータの廃棄請求権を有20する。 また、原告会社は、名誉棄損の不法行為に基づき、被告に対し、合計165 万円の損害賠償請求権及び令和2 年8 月16 日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。 第4 結論25よって、原告らの請求は、それぞれ主文掲記の限度で理由があるから、その 28 限度でこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47 部 5 裁判長裁判官杉 浦 正 樹 10裁判官小 口 五 大 裁判官15稲 垣 雄 大
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