主文 被告人を懲役2年6月に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 名古屋地方検察庁で保管中の商品券お内渡票(額面1万円のもの)1枚(平成29年領第287号符号1)及び甲商品券(綴りに4枚綴られているもの)1冊(平成29年領第289号符号1)を没収する。 被告人から金195万円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間,国土交通省中部地方整備局(以下「中部地方整備局」ともいう。)道路部道路工事課長補佐として,企画部技術管理課を併任し,中部地方整備局発注の直轄国道等に関する工事の施工,予定価格の積算調書の作成,入札及び契約の技術的審査等の職務に従事していたものであるが,第1 中部地方整備局が平成22年2月19日に入札執行した平成21年度42号紀宝BP紀宝トンネル工事(以下「紀宝トンネル工事」という。)の一般競争入札に際し,平成22年2月15日頃,名古屋市中区三の丸2丁目5番1号所在の中部地方整備局において,土木建築その他の工事の測量,設計,請負等を業とする株式会社A(以下「A」という。)の従業員であり,先行して行われた同トンネルの工事において工事所長を務めたBに対し,同社の技術提案の加算点等から算出した,同社が紀宝トンネル工事を確実に落札できる上限金額を教示するなどして,職務上不正な行為をしたことの謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら,同年3月13日頃,愛知県刈谷市a町bc番地d所在の当時の被告人方において,Bから,商品券100枚(額面金額合計100万円。名古屋 行為をしたことの謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら,同年3月13日頃,愛知県刈谷市a町bc番地d所在の当時の被告人方において,Bから,商品券100枚(額面金額合計100万円。名古屋地方検察庁平成29年領第289号符号1)を郵送により供与を受け,もって,職務上不正な行為をしたことに関し, 賄賂を収受し,第2 中部地方整備局が平成24年1月24日に入札執行した平成23年度紀勢線古里第1トンネル工事(以下「古里第1トンネル工事」という。)の一般競争入札に関し,前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに,その職務に反し,平成24年1月19日頃,前記場所所在の中部地方整備局において,Bに対し,同社の技術提案の加算点等から算出した同社が古里第1トンネル工事を確実に落札できる上限金額を教示するなどし,もって入札等に関する秘密を教示することにより入札等の公正を害すべき行為を行い,第3 前記第2記載のとおり,Bに対して落札上限金額を不正に教示したことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら,同年2月上旬頃,前記当時の被告人方において,Bから,商品券100枚(額面金額合計100万円。名古屋地方検察庁平成29年領第287号符号1)を郵送により供与を受け,もって,職務上不正な行為をしたことに関し,賄賂を収受した。 (法令の適用)被告人の判示第1及び第3の各所為はいずれも刑法197条の3第2項,1項に,判示第2の所為は入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(以下「官製談合防止法」という。)8条にそれぞれ該当するところ,判示第2の罪について所定刑中懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条に き行為の処罰に関する法律(以下「官製談合防止法」という。)8条にそれぞれ該当するところ,判示第2の罪について所定刑中懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年6月に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予することとし,名古屋地方検察庁で保管中の商品券お内渡票(額面1万円のもの)1枚(名古屋地方検察庁平成29年領第287号符号1)は判示第3の犯行で,甲商品券(綴りに4枚綴られているもの)1冊(名古屋地方検察庁平成29年領第289号符号1)は判示第1の犯行で,被告人が収受した賄賂 であるから,同法197条の5前段によりこれらを没収し,被告人が判示第1及び第3の犯行により収受した賄賂である商品券195枚(額面金額合計195万円)は没収することができないので,同法197条の5後段によりその価額金195万円を被告人から追徴することとする。 (量刑の理由)本件は,国土交通省中部地方整備局において,直轄国道等に関する工事の施工等を所掌する道路部道路工事課の課長補佐等の地位にあった被告人が,同局の発注するトンネル工事の一般競争入札に関し,入札に参加した土木工事会社の従業員から,落札上限金額を教示するなど職務上不正な行為をしたことの謝礼として100万円分の商品券を受領し(判示第1),その後,別のトンネル工事の一般競争入札に際し,同従業員に同様に落札上限金額を教示するなどした上(判示第2),その謝礼として100万円分の商品券を受領した(判示第3),という加重収賄2件及び官製談合防止法違反1件の事案である。 まず,官製談合防止法違反の犯行についてみると,一般競争入札の (判示第2),その謝礼として100万円分の商品券を受領した(判示第3),という加重収賄2件及び官製談合防止法違反1件の事案である。 まず,官製談合防止法違反の犯行についてみると,一般競争入札の実施に際し,技術提案の加算ポイントや,技術提案の評価による加算点を踏まえた落札上限金額等は,入札参加業者にとって,高値での落札を確実に可能とする情報に当たり,厳重に秘匿されなければならないところ,被告人は,以前の工事で知り合った土木工事会社従業員の依頼を受け,報酬も欲しいなどとの身勝手な思いもあって,入札手続の段階ごとに,これらの情報等を逐一同従業員に教示するなど,態様は悪い。その上,被告人は,技術提案を評価する課内会議の場においても,同社に有利になるような意見を述べて,加算点に反映させるなどもし,入札の公正を害する行為を積極的に重ねており,犯意も強固だったといえる。その結果,教示を受けた土木工事会社は,被告人の教示に沿った技術提案を行い,加算点において他社に大差をつけて,当該工事を落札しており,入札制度の公正を著しく害している。 次に,加重収賄の各犯行についてみると,被告人は,いずれも上記のような職務上の重大な不正行為をしたことに対する謝礼の趣旨で,それぞれ額面合計100万 円の多額の商品券を受け取っており,収賄額合計は200万円に上っている。被告人は,平成22年2月及び平成24年1月にそれぞれ入札執行された,いずれも落札価格が12億円を超える2件のトンネル工事について,同一の土木工事会社従業員を相手に本件各犯行を重ねたものであり,同従業員と深く癒着する中で私腹を肥やしたというべきで,公務員の職務行為の公正に対する信頼を著しく害したことも疑いがなく,厳しく非難されるべきである。 以上によれば,本件各犯行の犯情は悪く,被告人の刑事責 と深く癒着する中で私腹を肥やしたというべきで,公務員の職務行為の公正に対する信頼を著しく害したことも疑いがなく,厳しく非難されるべきである。 以上によれば,本件各犯行の犯情は悪く,被告人の刑事責任を軽くみることはできないが,同種事案の量刑傾向に照らせば,前科前歴のない被告人に対し懲役刑の実刑をもって処するべきであるとまではいえない。 そこで,以上の事情のほか,被告人が事実を認めて反省の態度を示していること,自ら招いたこととはいえ,本件により懲戒免職処分を受けるなどの社会的制裁を受けていること,妻が公判廷において被告人を監督し支えていく旨約束していることなどの事情も併せ考慮して,主文の刑を量定することとした。 (求刑懲役2年6月,主文掲記の没収及び追徴,弁護人の意見執行猶予付き判決)平成29年5月24日名古屋地方裁判所刑事第1部 裁判長裁判官山田耕司裁判官諸徳寺聡子裁判官荻原 惇
▼ クリックして全文を表示