主文 高石市立P1保育所の廃止処分の取消しを求める原告らの請求をいずれも棄却する。 原告らの予備的請求に係る訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 主位的請求被告が「高石市立保育所設置条例の一部を改正する条例」(平成13年高石市条例第10号。以下「本件改正条例」という。)の制定によってした,高石市立P1保育所(以下「本件保育所」という。)の廃止処分(以下「本件廃止処分」という。)を取り消す。 予備的請求(1)被告が制定した本件改正条例が無効であることを確認する。 (2)被告は,原告らに対し,本件改正条例に基づく一切の準備行為及び本件保育所における保育の実施の解除処分をしてはならず,平成14年4月1日以降も原告らの監護する別紙目録記載の児童(以下「本件各児童」という。)を本件保育所において保育の実施をしなければならない。 第2事案の概要本件は,高石市に居住し,本件各児童の親権者であり,その監護する本件各児童を本件保育所に入所させていた原告らが,被告が本件改正条例により,高石市立保育所設置条例(昭和62年高石市条例第5号。以下「本件条例」という。)の一部を改正して本件保育所を廃止したため,本件各児童を本件保育所に入所させ,本件保育所において保育を受けてきた原告らの権利を侵害したとして,主位的請求として,本件改正条例の制定による本件保育所の廃止処分(本件廃止処分)の取消しを,予備的請求として,本件改正条例の無効確認並 びに無名抗告訴訟としての本件改正条例に基づく準備行為及び本件保育所における保育の実施の解除の禁止(予防的不作為訴訟)と本件保育所における保育の実施(義務付け訴訟)を求めている事案である。 なお,訴状の記載からは,原告らは,本件改正条例の公布 準備行為及び本件保育所における保育の実施の解除の禁止(予防的不作為訴訟)と本件保育所における保育の実施(義務付け訴訟)を求めている事案である。 なお,訴状の記載からは,原告らは,本件改正条例の公布をもって取消訴訟(主位的請求)ないし無効確認訴訟(予備的請求)の対象となる行政処分とする趣旨と解されなくはない。しかしながら,原告らは,上記取消しないし無効確認を求める相手方(被告)として,高石市長ではなく,高石市としていることや,原告らの準備書面の記載など弁論の全趣旨を総合すれば,原告らは,本件改正条例の制定をもって行政処分とする趣旨と解するのが相当である。 前提となる事実等(1)児童福祉法及び本件条例の定め等ア児童福祉法の定め(ア)平成9年法律第74号による改正(以下「平成9年改正」という。)前の児童福祉法24条は,市町村は,保護者の労働又は疾病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により,その監護すべき乳児,幼児又は39条2項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合において,保護者から申込みがあったときは,それらの児童を保育所に入所させて保育する措置を採らなければならない旨規定していた。 (イ)児童福祉法について平成9年改正が行われた。これは,児童福祉法は昭和22年に制定されたものであるところ,近年の少子化の進行,夫婦共働き家庭の一般化,家庭や地域の子育て機能の低下,児童虐待の増加など児童や家庭を取り巻く環境は大きく変化しているのに対し,児童家庭福祉制度は,発足以来,その基本的枠組みは変わっておらず,保育需要の多様化や,児童をめぐる問題の複雑・多様化に適切に対応することが困難になっているなど,制度と実態の齟齬が顕著になっていること を踏まえ,児童の福祉を増進するため,子育てしやすい環境の整備を図るととも 化や,児童をめぐる問題の複雑・多様化に適切に対応することが困難になっているなど,制度と実態の齟齬が顕著になっていること を踏まえ,児童の福祉を増進するため,子育てしやすい環境の整備を図るとともに,次代を担う児童の健全な成長と自立を支援するため,児童家庭福祉制度を再構築するとの趣旨で改正が行われたものである。 そして,この平成9年改正の中で,児童保育施策等の見直しとして,保育所について,市町村の措置による入所の仕組みを,保育所に関する情報の提供に基づき保護者が保育所を選択する仕組みに改めることとされた。 (乙5号証の2)(ウ)平成9年改正後の児童福祉法24条は,1項で,市町村は,保護者の労働又は疾病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により,その監護すべき乳児,幼児又は39条2項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合において,保護者から申込みがあったときは,それらの児童を保育所において保育しなければならない旨の規定となった。また,同改正後の同法24条2項は,同条1項に規定する児童について保育所における保育を行うこと(以下「保育の実施」という。)を希望する保護者は,厚生省令(現厚生労働省令)の定めるところにより,入所を希望する保育所その他同省令の定める事項を記載した申込書を市町村に提出しなければならない旨規定し,同条3項は,市町村は,一の保育所に付いて,当該保育所への入所を希望する旨を記載した前項の申込書に係る児童のすべてが入所する場合には当該保育所における適切な保育の実施が困難となることその他のやむを得ない事由がある場合においては,当該保育所に入所する児童を公正な方法で選考することができる旨規定する。さらに,同改正後の同条5項は,市町村は,同条1項に規定する児童の保護者の保育所の選択及び保育所の適正な運営の確保 においては,当該保育所に入所する児童を公正な方法で選考することができる旨規定する。さらに,同改正後の同条5項は,市町村は,同条1項に規定する児童の保護者の保育所の選択及び保育所の適正な運営の確保に資するため,同省令の定めるところにより,その区域内における保育所の設置者,設備及び運営の状況その他の同省令の定める事項に関し情報 の提供を行わなければならない旨規定している。 (エ)また,保育の実施(平成9年改正後)を解除する場合においては,市町村長は,あらかじめ,当該保育の実施に係る児童の保護者に対し,当該保育の実施の解除の理由について説明するとともに,その意見を聴かなければならない旨規定されている(平成9年改正後の児童福祉法33条の4。なお,同改正前においても,措置の解除について,同様の規定がされていた。)。 (オ)児童福祉法35条3項は,市町村は,厚生省令(現厚生労働省令)の定めるところにより,あらかじめ,同省令で定める事項を都道府県知事に届け出て,児童福祉施設を設置することができる旨規定している。 イ本件条例(平成6年高石市条例第7号による改正後のもの)の定め本件条例1条は,被告は,児童福祉法35条3項の規定に基づき,高石市内に居住する児童を保護し,その健全な育成を図るため保育所を設置する旨規定する。 そして,本件改正条例による改正前の本件条例2条は,保育所の名称及び位置として,以下の6か所の保育所(以下「市立保育所6園」という。)を掲げていた。 高石市立P2保育所(高石市α××××番地)高石市立P3保育所(高石市β×××番地の4)高石市立P4保育所(高石市γ×××番地の1)高石市立P5保育所(高石市δ×××番地の1)高石市立P6保育所(高石市ε×××番地の1)高石市立P1保育所(高石市ζ××番地の3)(本件保育所)( 高石市立P4保育所(高石市γ×××番地の1)高石市立P5保育所(高石市δ×××番地の1)高石市立P6保育所(高石市ε×××番地の1)高石市立P1保育所(高石市ζ××番地の3)(本件保育所)(甲1号証)ウ本件改正条例の定め本件改正条例は,本件条例2条から,高石市立P1保育所(本件保育 所)の項を削るというものであり,その附則において,本件改正条例は平成14年4月1日から施行する旨規定されている。 (甲6号証)エ高石市保育実施条例(昭和62年高石市条例第4号。平成9年12月17日高石市条例第11号による改正後のもの。以下「実施条例」という。)の定め実施条例は,児童福祉法24条1項の規定に基づき保育の実施に関し必要な事項を定めるものである(1条)。実施条例2条は,保育の実施基準について規定しており,3条は,申込手続その他保育の実施に関し必要な事項は,市長が別に定める旨規定している。 (甲2号証)オ高石市保育実施条例施行規則(昭和62年高石市規則第13号。平成10年3月31日高石市規則第14号による改正後のもの。以下「実施規則」という。)の定め実施条例の施行について必要な事項を定めるものとして,実施規則が制定されている(1条)。実施規則2条1項は,保育所に児童の保育を委託しようとするときは,福祉事務所長の承諾を受けなければならない旨規定し,また同条2項は,福祉事務所長は,児童が保育上又は管理上適当でないと認めるときは,入所の許可をしないことができる旨規定している。そして,実施規則3条1項は,入所の承諾を受けようとする者(申込者)は,保育所入所申込書を福祉事務所長に提出しなければならない旨規定し,4条は,福祉事務所長は,入所の承諾又は不承諾を決定したときは,保育所入所承諾書又は保育所入所不承諾書により申込者に通知するもの は,保育所入所申込書を福祉事務所長に提出しなければならない旨規定し,4条は,福祉事務所長は,入所の承諾又は不承諾を決定したときは,保育所入所承諾書又は保育所入所不承諾書により申込者に通知するものとする旨規定している。 また,実施規則6条は,児童又はその保護者が,(ア)実施条例2条の規定に該当しなくなった場合(1号),(イ)保護者が福祉事務所長が行う保 育上の指示に従わない場合(2号),(ウ)疾病その他の事由により他の児童に悪影響を及ぼす恐れがある場合(3号),(エ)実施規則2条2項に該当するに至った場合(4号),(オ)その他福祉事務所長が適当でないと認めた場合(5号)の一に該当する場合には,福祉事務所長は,一時その出席を停止し,又は退所させることができる旨規定している。そして,実施規則7条は,福祉事務所長は,実施規則6条の規定により児童を退所させるときは,保育実施解除通知書により保護者に通知するものとする旨規定している。 (甲3号証)(2)本件各児童の本件保育所への入所ア原告P7について原告P7は,高石市に居住する者であり,P8(平成▲年▲月▲日生。)の親権者である。 原告P7は,被告から委任された高石市福祉事務所長から,平成11年3月25日,P8について,実施期間を同年4月1日から平成17年3月31日までとして,本件保育所への入所承諾の決定を受け,P8について本件保育所において保育を受けていた。 (当事者間に争いのない事実)イ原告P9について原告P9は,高石市に居住する者であり,P10(平成▲年▲月▲日生。)及びP11(平成▲年▲月▲日生。)の親権者である。 原告P9は,被告から委任された高石市福祉事務所長から,P10については,平成12年3月27日,実施期間を同年4月1日から平成17年3月31日までとして,P11 成▲年▲月▲日生。)の親権者である。 原告P9は,被告から委任された高石市福祉事務所長から,P10については,平成12年3月27日,実施期間を同年4月1日から平成17年3月31日までとして,P11については,平成13年3月23日,実施期間を同年4月1日から平成19年3月31日までとして,それぞれ本件保育所への入所承諾の決定を受け,P10及びP11について,本件保育 所において保育を受けていた。 (当事者間に争いのない事実)(3)本件保育所の廃止(民営化)に至る経緯ア被告(高石市行財政改革推進本部)は,平成10年2月,財政運営,事務事業,組織体制などの行政全般にわたる見直しを行い,市民福祉の一層の向上のため,市民のニーズに柔軟に対応できる行政サービス体制の確保がより重要になっているとし,少子高齢化,国際化,高度情報化の進展など,社会経済情勢の変化と地方分権化のもと,新たな行政課題に対応するため,既存の行政を再点検し,限られた財源と人材を有効に活用し,最小の経費で最大の効果が上げられるよう,簡素で効率的な行財政運営をめざすためとして,高石市行財政改革大綱を策定した。同大綱においては,事務事業について,民間活力の活用をあげ,多様化,高度化する市民ニーズに応えるため,民間のノウハウが十分に活かせ,効果的,効率的に市民サービスの向上が図れるものについては,既存の第3セクターの活用を図るとともに積極的に各種団体,企業など民間活力の導入を検討するとされている。 (乙41号証)イ被告は,地方税法改正等による大幅な税収減の影響により,被告の財政状況は他市町村に比べて急激に悪化し,極めて深刻な状況に直面してきているとして,高石市行財政改革大綱をより実効のあるものとし,市民福祉の一層の向上を図り,市民のニーズに柔軟に対応できる行政サービス体制 況は他市町村に比べて急激に悪化し,極めて深刻な状況に直面してきているとして,高石市行財政改革大綱をより実効のあるものとし,市民福祉の一層の向上を図り,市民のニーズに柔軟に対応できる行政サービス体制を確保するため,市民の目線にたって無駄を省き,行政の全ての分野において総点検や見直しを行うためとして,平成12年8月,高石市行財政改革実施計画を策定した。同実施計画は,平成12年度を初年度とする概ね5年間の計画とするとされた。そして,同実施計画中,民間活力の活用の1つとして,保育所のあり方について,育児と就労の両立支援,子育て家 庭への支援など,乳幼児の健全育成をめざすため,効率的,効果的な保育所運営を図るとともに,多様化する保育需要に対応した保育施策を進めるため民間活力の導入を図るとし,平成12年度及び平成13年度を「検討」,平成14年度を「実施」,平成15年度及び平成16年度を「継続」とする計画を策定している。 (乙14号証)ウ被告(高石市福祉事務所長)は,平成12年9月3日,高石市市民会館において,保育所に児童を入所させている保護者を対象とする説明会を開催し,同説明会において,被告の公立保育所を民営化するとの発表をした。 (甲9号証,当事者間に争いのない事実)エ被告(保険福祉部児童福祉課)は,平成12年10月11日,平成13年5月8日及び同年6月4日に,それぞれ市立保育所6園の各父母の会の役員との間で,話し合いを行った。また,平成12年11月11日に,高石市長と父母の会の役員との懇談会が行われた。 (甲97号証,103号証,乙43号証,証人P12,同P13,当事者間に争いのない事実)オ市立保育所6園の父母の会は,高石市立保育所の民営化に反対する請願書の署名を集め,平成12年12月7日,高石市議会に請願書を提出したが,高石市 証人P12,同P13,当事者間に争いのない事実)オ市立保育所6園の父母の会は,高石市立保育所の民営化に反対する請願書の署名を集め,平成12年12月7日,高石市議会に請願書を提出したが,高石市議会は,同月18日,上記請願を不採択とした。 (甲10号証,当事者間に争いのない事実)カ被告は,大阪市立大学助教授のP14(以下「P14委員長」という。)を委員長とし,P14委員長を含めて6名の委員からなる高石市立保育所移管に係る選考委員会(以下「本件選考委員会」という。)を設け,本件選考委員会において,市立保育所6園のうち民営化の対象保育所の選定や,民営化後の同保育所の運営主体の選定等の検討を行うこととされた。 本件選考委員会は,平成13年2月6日,同年4月13日,同年6月2 8日,同年9月10日及び同月15日の5回開催された。 (乙23号証の3ないし7,43号証)キP15,P16及びP17を請求代表者として,平成13年5月13日,高石市長に対し,高石市立保育所の民営化の是非を問う住民投票条例の制定請求がされた。高石市長はこれを高石市議会に付し,高石市議会は,同月23日,同条例制定の議案を否決した。 (甲11号証,当事者間に争いのない事実)ク本件選考委員会は,平成13年5月25日,民営化する保育所の選定基準として,①多様化する保育ニーズに応えるために必要な事業を踏まえること,②待機児童解消のため,受け入れ可能な一定規模の施設とすること,③一定の時期利用可能な耐用年数の施設であること,④既存の民間保育所との立地関係(バランス)に配慮すること,⑤現状の保育所の入所状況を勘案することとの5点を付した意見書を高石市長に提出した。被告は,本件選考委員会の上記選定基準を踏まえた上で,市立保育所6園のうち民営化する保育所として,本件保育所を選定し 現状の保育所の入所状況を勘案することとの5点を付した意見書を高石市長に提出した。被告は,本件選考委員会の上記選定基準を踏まえた上で,市立保育所6園のうち民営化する保育所として,本件保育所を選定した。 (甲67号証の2,乙43号証,証人P12)ケ平成13年6月7日の新聞朝刊各紙において,被告は,平成14年度から本件保育所を民営化する方針であり,同月12日に開催される高石市議会に本件条例の改正案を提案すると発表した旨の報道がされた。 (甲12号証)コ高石市長は,平成13年6月12日,高石市議会に対し,本件改正条例の制定の議案(以下「本件議案」という。)を提出した。 高石市議会は,本件議案を建設厚生委員会に付託し,同月13日行われた同委員会において,本件議案の審議を行い,本件改正条例の制定を可決した。そして,同月15日行われた高石市議会本会議(6月定例会(第2回))において,本件議案が審議され,可決された。 高石市長は,同月21日,本件改正条例を公布した。 (甲5号証,6号証,乙42号証,44号証,当事者間に争いのない事実)サ被告(保険福祉部児童福祉課)は,本件保育所の保護者会役員への説明会を,平成13年6月20日,同年7月4日,同月17日,同月23日及び同月30日にそれぞれ実施した。また,被告は,本件保育所で児童の保育を受けている保護者(以下「本件保育所保護者」という。)に対する説明会を,平成13年6月23日,同月30日,同年10月12日,同年11月28日及び平成14年1月23日にそれぞれ実施した。 (甲102号証,104号証,乙2号証ないし4号証,43号証)シ被告は,平成13年8月15日から同月27日まで,本件保育所を民営化した後の事業者の募集を行い,7法人がこれに応募した。 (乙23号証の1,6,7,43号証)ス本件 証ないし4号証,43号証)シ被告は,平成13年8月15日から同月27日まで,本件保育所を民営化した後の事業者の募集を行い,7法人がこれに応募した。 (乙23号証の1,6,7,43号証)ス本件選考委員会のP14委員長と,本件保育所の保護者会役員との間で,平成13年8月18日及び同年9月20日の2回にわたって,懇談会が開催された。 (乙22号証の1,2,43号証)セ本件選考委員会は,本件保育所の民営化後の事業者の選定について,「法人選考の目安」を作成し,同目安にそって応募のあった7法人の検討を行った。その上で,本件選考委員会は,平成13年9月25日,高石市長に対し,社会福祉法人P18(以下「P18」という。)が本件保育所を移管する社会福祉法人として総合的に最も適切であるとの意見を報告した。 (甲68号証,乙23号証の1,3,6,7,43号証)ソ被告(高石市長)は,平成13年9月25日,本件保育所の民営化後の事業者として,P18とすることに決定した。そして,同月26日,高石 市長の本件保育所保護者宛書面により,本件保育所の民営化後の事業者としてP18と決定した旨の通知がされた。 (甲15号証,乙23号証の2,43号証)タP18は,本件保育所保護者に対する説明会を,平成13年10月25日,同年11月6日,同月21日,同年12月11日及び平成14年1月18日の合計5回開催した。 (甲51号証,98号証,99号証,104号証,乙43号証)チ被告(高石市福祉事務所長,高石市児童福祉課長)は,本件保育所保護者に対し,平成13年12月,「保育所入所変更申込書の提出について(お願い)」と題する書面(以下「本件提出依頼書」という。)を配布した。本件提出依頼書には,本件保育所が平成14年4月1日付けで廃止され,同日付けでP18に経営主体 育所入所変更申込書の提出について(お願い)」と題する書面(以下「本件提出依頼書」という。)を配布した。本件提出依頼書には,本件保育所が平成14年4月1日付けで廃止され,同日付けでP18に経営主体を移して,新たにP19保育園として開設されることになること,そのため,本件保育所における保育の実施期間は,平成14年3月31日で終了することになること,そこで,本件保育所に入所している0歳児から4歳児の保護者においては,同年4月1日以降,P19保育園への入所を希望するか,他の保育所への転園を希望するかのいずれかを選択する必要があり,同年1月25日までに,保育所変更申込書を提出してほしいこと,同日までに変更申込書の提出がない場合には,同年4月1日以降は待機となることが記載されていた。 (甲19号証)ツ高石市長は,平成14年2月26日,大阪府知事に対し,廃止予定日を同年3月31日として,本件保育所を廃止したいので届け出る旨の保育所廃止届出書を提出した。同届出書には,現在入所している児童の廃止後の受入計画について,同年4月1日より定員を120名から140名に拡充し,P18の運営による保育所において受入を行う,転園希望については,高石市内の他の保育所で保育を継続して受入を行う旨記載されており,ま た,廃止をする具体的理由として,本件改正条例によると記載されている。 (乙28号証)テ本件保育所は,平成14年4月1日廃止され,同日,P18を経営主体とするP19保育園が開設された。 本件保育所で保育を受けていた平成13年度の0歳児から4歳児まで合計85名については,49名がP19保育園に,35名が他の公立保育所に,1名が他の民間保育園に,それぞれ転園した。 (乙43号証,証人P12,当事者間に争いのない事実)(4)本件各児童の転園ア原告P7 については,49名がP19保育園に,35名が他の公立保育所に,1名が他の民間保育園に,それぞれ転園した。 (乙43号証,証人P12,当事者間に争いのない事実)(4)本件各児童の転園ア原告P7について原告P7は,本件提出依頼書に対し,平成14年1月25日,P8について,本件保育所での就学までの保育を承諾されて入所しているので,本件保育所での保育を希望する,ただし,平成14年度に本件保育所が廃止された場合には,保育を必要とするので,公立のP3保育所での保育を希望するとの保育所変更申込書を提出した。 P8は,平成14年4月1日以降,P3保育所に入所し,同保育所において保育を受けている。 (甲63号証,乙25号証の3,証人P13)イ原告P9について原告P9は,本件提出依頼書に対し,平成14年1月24日,P10及びP11について,平成14年度以降も本件保育所が存続する場合は,本件保育所での保育を第1希望とする,ただし,平成14年度に本件保育所が廃止,民営化された場合には,やむを得ず,公立のP3保育所(希望順位1)ないしP6保育所(希望順位2)での保育を希望するとの保育所変更申込書を提出した。 P10及びP11は,平成14年4月1日以降,P3保育所に入所し, 同保育所において保育を受けている。 (甲62号証,乙25号証の1,2) 争点 (1)本件各訴えの適法性(本案前の争点)(2)本件改正条例の制定の適法性 争点についての当事者の主張(1)争点(1)(本件各訴えの適法性(本案前の争点))について(原告らの主張)ア本件廃止処分の取消請求(主位的請求)について(ア)保育を受ける権利は,児童福祉法24条に規定されているところ,平成9年改正前は措置制度であると理解されていた。 しかし,この規定は,そもそも第一義的に憲法 分の取消請求(主位的請求)について(ア)保育を受ける権利は,児童福祉法24条に規定されているところ,平成9年改正前は措置制度であると理解されていた。 しかし,この規定は,そもそも第一義的に憲法25条,26条に根拠を有する権利であるところ,これら憲法上の権利は,一般的に抽象的権利にとどまるものであって,それのみを根拠として裁判規範性を有する具体的権利として認めることはできないものの,児童福祉法によって規範化されたものである。 そして,平成9年改正前の児童福祉法の下でも,保育に欠ける児童について,市町村の措置義務が規定されていたのであり,その意味で,もともと保育を受ける権利は保護者の実体的権利として規定され,これが一方的に奪われることは許されていなかった。 しかし,平成9年改正前の児童福祉法24条は,いったん保育を受けるにいたった場合は,継続的に保育を受ける権利を保障する趣旨を含んでいたといえるが,利用前に特定の保育所の選択までを権利として想定することは困難であったといえる。 これに対し,平成9年改正後の児童福祉法は,保育所における保育の 関係を保護者と市町村との公法上の契約関係として規定したものとして説明し,同法24条2項において特定の保育所に対する保育の申込みの規定をおくこととなった。 すなわち,平成9年改正後の児童福祉法は,同法24条1項で,保育を受ける権利一般が市町村との権利義務の契約関係として明示すると共に,同条2項で保護者の特定の保育所への申込みの権利を明示的に規定したものであり,これら立法的手当がされたことによって,憲法上の保育を受ける権利をさらに具体化し,保育所選択権を含む保育所入所権という裁判規範性を有する具体的権利として確立されたものである。 このように,平成9年改正後の児童福祉法24条は,保護者が入所希望し 保育を受ける権利をさらに具体化し,保育所選択権を含む保育所入所権という裁判規範性を有する具体的権利として確立されたものである。 このように,平成9年改正後の児童福祉法24条は,保護者が入所希望しない保育所に入所させることはできず,保護者の入所希望を法的に保障するいう保護者の入所選択権と,入所後は,保護者の意に反して転園させられないという権利とを保障するものである。また,児童福祉法24条に基づきいったん入所した以上,そこには一種の契約関係が成立し(希望保育所の申込みと承諾通知),意に反して転園させられない権利を有すると考えることもできる。 (イ)被告は,本件のような公立保育所の廃止は地方自治法244条の2第1項に基づき条例で定められるものであり,また,具体的な廃止行為は同法149条7号に基づいて地方公共団体の長の権限とされている旨主張する。 確かに,被告主張のような規定が存すること自体には誤りはない。 しかしながら,公立保育所の廃止については制限がなく,条例でいかようにも定め得るというのは論理の飛躍である。本件のような公法上の契約は,児童福祉法に基づくものであり,法律に拘束されている。条例よりも法律が優位するのは当然であり,いかに条例とはいえ,違法な内容の条例は取消しを免れない。 (ウ)平成9年改正で,児童福祉法は,同法上の認可保育所の中から特定の保育所を選択することを法的に認めたものであり,すべての保育所が保育方針等付加サービスを含めて異なることを前提に,従来の措置による入所方式から,保護者が入所を希望する保育所を選択して,申込みに基づき市町村と保護者が利用契約を締結する仕組みに改めたものである。 また,保育所の本質は,単なる箱物ではなく,児童が保育士や他の児童らとともに成長,発達していく場である。公立と民間の保育所の間にお 基づき市町村と保護者が利用契約を締結する仕組みに改めたものである。 また,保育所の本質は,単なる箱物ではなく,児童が保育士や他の児童らとともに成長,発達していく場である。公立と民間の保育所の間においてはもちろん,同じ公立の保育所の間でも,すべての保育所はそれぞれ異なる。 このように,平成9年改正後の児童福祉法24条が,希望する保育所を選択することを認めた趣旨や,保育所の本質からすると,保護者が入所を希望する保育所を選択して,申込みに基づき市町村と保護者が利用契約を締結し,現に特定の保育所において保育の実施を受けていたのに,途中で当該保育所が廃止され当該保育所において保育の実施を受けられなくなるということは,保護者が選択した当該保育所で保育を受けることができなくなるという点で,同法が認めた保護者の選択は無為に帰し,その目的を達せられなくなるのであるから,同法33条の4にいう保育の実施の解除に当たると解するのが相当である。 すなわち,児童福祉法33条の5は,行政手続法第3章に規定されている不利益処分の手続規定を適用除外としているところ,これは,保育の実施の解除が行政手続法に定める不利益処分に当たらないからではない。その趣旨は,児童福祉法24条1項の規定による保育の実施を解除する処分が,行政手続法2条4項に規定する不利益処分に該当するものであることを前提とした上で,保育の実施の解除が,これまでサービスを受けて生活していた者がその終了後どのように生活していくかという点で,本人や関係者との双方的な話し合いを通じて確認した上で結論を 出すことが必要という特徴を有しており,また,現にそのような手続が行われていることから,行政手続法による弁明手続が必ずしもなじまない面があるとして,保育の実施の解除処分の特徴を踏まえつつ,一般法たる行政手続法 要という特徴を有しており,また,現にそのような手続が行われていることから,行政手続法による弁明手続が必ずしもなじまない面があるとして,保育の実施の解除処分の特徴を踏まえつつ,一般法たる行政手続法並の意見聴取を義務付ける独自の手続を定めたものである。 そして,児童を心身ともに健やかに育成するためには,当該児童の状態にあった適切な保育がされなければならず,そのためには,保育の安定性,継続性が不可欠である。また,保育所は,単なる箱物ではなく,保育士と当該保護者,児童の間の信頼関係をもとに長年にわたり築き上げてきた人間的な営みであり,公立と民間園の間ではもちろん,同じ公立の保育所の間でも,それぞれ異なるものである。 したがって,これまで児童が保育の実施を受けてきた当該保育所を廃止して児童の保育環境を一変させることは,それがどうしても避けられないやむを得ない理由が必要で,仮にそれが避けられないとしても,その影響は必要最小限にとどめるべく,それぞれの児童の発達成長段階等に応じた保育の安定性,継続性をできるだけ確保することが必要である。 本件のように,保育所を廃止し,民営化する場合は,まさにこの保育の特殊性を考慮した特別な手続が必要であり,一人一人の児童について,あらかじめ本人や保護者との双方的な話し合いを通じて確認した上で保育所の廃止という結論を出すことが必要である。そして,その手続に当たっては,当該児童の発達程度や個性,それを取り巻く環境などその実状を十分斟酌し,児童や保護者の理解が得られるように努めながら判断を行わなければならない。 そうだとすれば,本件保育所を廃止する場合は,これまで保育の実施を受けてきた本件保育所での保育の実施を受けられなくなるのであるから,まさに児童福祉法33条の4が予定する場面に他ならず,そのよう に解するのが ,本件保育所を廃止する場合は,これまで保育の実施を受けてきた本件保育所での保育の実施を受けられなくなるのであるから,まさに児童福祉法33条の4が予定する場面に他ならず,そのよう に解するのが行政手続法とは別に児童福祉法33条の4で保育の実施の解除に係る説明等の手続を設けた趣旨にも合致する。 (エ)原告らは,平成9年改正後,前提となる事実等(2)記載のとおり,被告から委任を受けた高石市福祉事務所長によって,その監護する本件各児童について,それぞれ就学前まで(P8及びP10につき平成17年3月31日まで,P11につき平成19年3月31日まで)本件保育所に入所させる旨の入所決定を受け,本件保育所において,その監護する本件各児童の保育を受けてきた。したがって,原告らには,その監護する本件各児童について,それぞれ就学前まで本件保育所で保育を受ける権利がある。 しかるに,本件改正条例は,平成14年4月1日午前零時をもって,本件保育所を廃止するものである。これは,被告が原告らに対する入所承諾等の決定において,同決定に定める就学前まで本件保育所で保育を実施するとした決定内容を違えるものであり,(ア)記載の原告らの保育を受ける権利(入所選択権,意に反して転園させられない権利)を違法に侵害するものである。 (オ)被告は,入所者(保護者)の権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行為は,大阪府知事への届出及び入所者(保護者)への廃止通知というべきであるから,本件改正条例の制定を行政処分としてこれを抗告訴訟によって争うことはできない旨主張する。 しかしながら,被告のいう届出や廃止通知は,本件改正条例による本件保育所の廃止を前提としての事後処理にすぎず,届出や廃止通知をもって処分行為ということはできない。 したがって,本件改正条例の制定をもっ かしながら,被告のいう届出や廃止通知は,本件改正条例による本件保育所の廃止を前提としての事後処理にすぎず,届出や廃止通知をもって処分行為ということはできない。 したがって,本件改正条例の制定をもって,原告らの権利を侵害する行政処分と解すべきである。 イ本件改正条例の無効確認請求(予備的請求(1))について 行政事件訴訟法36条は,無効等の確認の訴えについて,当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効等の確認を受けるについて法律上の利益を有する者で,当該処分の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り提起できる旨定めている。 本件においては,本件改正条例が少なくとも形式的には存在し,本件改正条例の施行日までにこれを前提とする準備行為がされて,原告らに対しても,本件保育所での保育の実施を解除する具体的処分がされる可能性がある。したがって,本件改正条例の施行日(平成14年4月1日)前に原告らが取消訴訟を提起して本件改正条例の効力を争うことができないとすれば,原告らが後にされる具体的な保育の実施の解除処分を待ってその取消しを得ても,その段階では原告らの監護する本件各児童の入所する本件保育所は存在しないのであるから,原告らの保育所に入所する利益を回復しようという原告らの目的を達成することはできない。 したがって,本件においては,被告に対し,本件改正条例の無効確認を求める訴えが提起できるというべきである。 ウ予防的不作為訴訟等(予備的請求(2))について(ア)現行法は,抗告訴訟として,処分の取消訴訟をはじめ4種類の訴訟形式を法定しているが,国民の権利救済の必要を満たすために,これ以外の訴訟形式が要求される場合には,法定外の訴訟形式を排斥する趣旨で )現行法は,抗告訴訟として,処分の取消訴訟をはじめ4種類の訴訟形式を法定しているが,国民の権利救済の必要を満たすために,これ以外の訴訟形式が要求される場合には,法定外の訴訟形式を排斥する趣旨ではない。 一般に司法権が行政権の第一次判断である行政処分の事後審査にとどまるべきであるとしても,事後的関与では,どうしても権利救済の実効を期し得ない場合,たとえば回復しがたい重大な権利侵害の危険が差し迫っており,他に救済の手段のないような場合にまで事後救済の原則にこだわり,国民の権利救済の要請を無視するのは妥当でない。最高裁判 決においても,侵害を受ける権利の性質及びその侵害の程度,不利益処分の確実性及びその内容又は性質等に照らし,処分を受けてからこれに関する訴訟の中で事後的に義務の存否を争ったのでは回復しがたい重大な損害を被るおそれがある等,事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情がある場合には,事前救済の可能性がある旨を示唆しており(最高裁昭和47年11月30日判決,民集26巻9号1746頁),このような場合には無名抗告訴訟の1つとして事前に違法な侵害を禁止する訴え等を認めるべきである。 (イ)本件の場合は,平成14年4月1日午前零時をもって本件保育所を廃止する旨の条例であり,被告は,本件改正条例に基づいて本件保育所の廃止に向けた準備行為を進めており,原告らに対しても,本件保育所での保育の実施を解除して,他の保育所において保育を実施する処分がされることは確実である。そして,本件改正条例の施行日の平成14年4月1日が到来すれば,原告らの監護する本件各児童が入所している本件保育所が廃止されることは確実である。その場合,原告らが監護する本件各児童には入所すべき保育所がなくなって,原告らが選択した本件保育所で保育の実施の各 ,原告らの監護する本件各児童が入所している本件保育所が廃止されることは確実である。その場合,原告らが監護する本件各児童には入所すべき保育所がなくなって,原告らが選択した本件保育所で保育の実施の各期間中保育を受ける権利が侵害されることになるばかりか,原告らの監護する本件各児童について文字通り保育に欠ける事態となるのであって,そのような事態となれば事後的な損害賠償等では回復しがたい重大な損害を被ることは明らかである。本件改正条例の制定の取消等を求めることができないとすると,被告の違法な侵害を事前に予防するための他の救済の手段がないことも明らかである。 よって,本件のような場合には,事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情がある場合といえるから,予備的請求(2)記載のとおり,無名抗告訴訟の1つとして,事前に被告の違法な侵害を禁止し,被告に一定の処分を命じる義務付け訴訟が認められるべきである。 (被告の主張)ア本件廃止処分の取消請求(主位的請求)について(ア)条例の制定という立法行為は,それ自体が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものではない。 なお,条例に基づく行政庁の具体的処分を待たずに,条例そのものによって直ちに個人の権利義務に直接具体的な影響を及ぼすものについては,例外的に抗告訴訟の対象となると解する余地はあるが,本件はそのような場合に当たらない。 すなわち,本件改正条例は,平成14年4月1日をもって,被告において設置する市立保育所から本件保育所が削られるというものであるが,入所者(保護者)の権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行為は,その後における大阪府知事への届出(児童福祉法35条6項)及び入所者(保護者)への廃止通知(甲19号証)というべきであって,本件改正条例そのものの効力を抗告訴訟に に直接具体的な影響を及ぼす行為は,その後における大阪府知事への届出(児童福祉法35条6項)及び入所者(保護者)への廃止通知(甲19号証)というべきであって,本件改正条例そのものの効力を抗告訴訟によって争うことができるとする原告らの主張は失当である。 (イ)原告らは,平成9年改正後の児童福祉法24条により,保育所の選択権が保障され,また,選択した当該特定の保育所で保育を受ける権利(意に反して転園させられない権利)が存する旨主張する。 しかしながら,平成9年改正後の児童福祉法24条により,保護者は申込みにあたり希望する保育所を記載することとなったことをもって,保育所選択権の保障と呼ぶか否かはさておき,このことから,同改正によって,いったん保育所に入所すれば,保育の実施期間において当該保育所の廃止をなし得ないという権利までが保護者に付与されたものと解することはできない。 すなわち,同改正により,入所する際に希望する保育所を選択する仕組みになったからといって,当然に原告らの主張のような権利が保障さ れたのではなく,入所選択制度は,当該特定の(希望があった)保育所において受入能力がある限り(存続する限り)において認められる制度であると解される。そして,地方自治法244条の2第1項は,公の施設の設置,管理及び廃止は条例によるものとし(すなわち,議会の議決に基づくものとし),具体的な設置,廃止行為は,同法149条7号に基づき地方公共団体の長の権限とされているところであって,この設置,廃止行為は,地方公共団体の裁量にかかるところである。児童福祉法の規定の内容は,入所の際の手続を定めているにすぎず,地方自治法244条の2第1項によって与えられている議会の権利を制限することを示すような規定は何ら存在しないのであり,このような規定から,地方自治 規定の内容は,入所の際の手続を定めているにすぎず,地方自治法244条の2第1項によって与えられている議会の権利を制限することを示すような規定は何ら存在しないのであり,このような規定から,地方自治法による公の施設の廃止の規定すら制限されるごとき原告ら主張の権利の存在を認めることはできない。 さらに,児童福祉法自体が,市町村による児童福祉施設(保育所を含む。)の廃止の手続を定めているところ(同法35条6項),廃止の対象たる施設が,廃止時点において入所者がある場合を含んでいることが,同法施行規則38条1項2号からも明らかである。 以上からすれば,平成9年改正により入所の際に入所を希望する保育所名を記載して申込みを行い,これに対する市町村の承諾によって保育所への入所が行われることになったからといって,保護者らに,その後において意に反する転園をさせられない権利が付与されたものではなく,その後における保育所の廃止(条例制定)が制限されるものではないというべきである。 (ウ)また,原告らは,平成9年改正後の保育所の利用関係を契約関係あるいは契約的側面を有するものとした上で,いったん合法的に認められた保育所の利用利益を行政側の事情で一方的に侵害することは違法である旨主張する。 しかしながら,平成9年改正後の保育所の利用関係を契約関係あるいは契約的側面を有するものと言うか否かは用語の問題にすぎないものであり,その内容を実質的に検討する必要がある。 しかるところ,(イ)記載の事情等を勘案すると,被告と原告ら保護者の間において,被告が負う義務は,原告らの本件各児童に対し,就学までの間,保育サービスを,本件保育所において提供する義務というものではなく,選択可能な保育所のうちから保護者が希望する保育所において保育サービスを提供する義務というべきでもの 件各児童に対し,就学までの間,保育サービスを,本件保育所において提供する義務というものではなく,選択可能な保育所のうちから保護者が希望する保育所において保育サービスを提供する義務というべきでものである。そして,この意味での原告らの利用利益が失われない限り,違法が云々されるものではない。(イ)記載のように,児童福祉法35条6項,同法施行規則38条1項により,入所者がいる保育所の廃止ができる旨が明確に規定されていることからしても,原告らの主張が失当であることは明らかである。 本件においては,本件各児童は,平成14年3月31日までは本件保育所,同年4月1日以降はP3保育所という,いずれも当該期間に存在する保育所のうち原告らの希望に基づいた保育所において保育を受けているものであって,原告らのいうような利益の剥奪がされているものではない。 なお,保育所の廃止等によってある保育所の運営が中止される場合,利用者にとって,客観的には保育施設が変更されたことになる。 しかしながら,市町村が負っている義務は上記記載のとおりであり,児童福祉法24条1項に定める市町村の義務内容が保育所における保育であって,特定の保育所における保育とされていないことからしても,この場合の保育施設の変更は,いわば契約条件の変更と解されるべきである。 そして,被告の義務の内容が上記記載のとおりである以上,保育所の廃止の場合,廃止後の保育所の中から希望のある保育所において保育を 継続することについて,法定の正当事由なるものを要求される理由はないというべきである(廃止そのものが法定の正当事由とも言い得る。)。 (エ)さらに,原告らは,本件保育所の廃止が児童福祉法33条の4に規定する保育の実施の解除に当たる旨主張する。 しかしながら,市町村には保護すべき児童がある以上,申込みによ 当事由とも言い得る。)。 (エ)さらに,原告らは,本件保育所の廃止が児童福祉法33条の4に規定する保育の実施の解除に当たる旨主張する。 しかしながら,市町村には保護すべき児童がある以上,申込みによっって保育所において保育しなければならない義務が存するが,これは,特定の保育所での保育に限定されるものではなく,本件各児童が本件保育所で保育されなくとも,他の保育所で保育されても義務違反となるわけではない。児童福祉法33条の4にいう保育の実施の解除とは,現に保育所で保育されている児童が,今後保育所における保育の実施を行わないという場合であって,本件のように,公立保育所から民営保育所への運営主体の変更があっても,引き続き保育を実施するという場合は,同条にいう保育の実施の解除に該当しない。 イ本件改正条例の無効確認請求(予備的請求(1))についてア記載のように,本件改正条例の制定をもって,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものということはできないから,本件改正条例の無効確認請求(予備的請求(1))は,不適法な訴えである。 ウ予防的不作為訴訟等(予備的請求(2))について原告らの予防的不作為訴訟等(予備的請求(2))についても,既に本件保育所は廃止されており,原告らのいう事前救済の前提が存していない以上,不適法な訴えである。 (2)争点(2)(本件改正条例の制定の適法性)について(被告の主張)ア保育所の設置及び廃止は条例によって行われるところ(地方自治法244条,244条の2),当該条例の制定は,福祉に係る諸条件及びこれを裏付ける財政条件等,種々の要素を総合勘案して各議員により審議される ものであり,これらの判断は市議会に委ねられているところである。その判断にあたっては,その性質上,議会において広範な裁量権を有するものであり,そ 種々の要素を総合勘案して各議員により審議される ものであり,これらの判断は市議会に委ねられているところである。その判断にあたっては,その性質上,議会において広範な裁量権を有するものであり,それが特定の児童や保護者に著しく過重かつ不合理な負担を課したり,法令に定められた基準による保育を受けることが事実上不可能になるなど,裁量権の範囲を逸脱する著しく不合理なものであるとされない限り,当該条例が違法とされるものではない。 しかるところ,以下記載のとおり,本件改正条例の制定は,合理的な裁量に基づくものである。 イ本件改正条例は,単に本件保育所を廃止して同所における保育を中止するものではなく,当該施設を社会福祉法人に貸与し,同法人において引き続き保育を行うことを前提としている(これを以下「本件民営化」ないし「民間移管」という。)。 そして,後記のとおり,公立保育所の民間移管は,増加する保育サービスの需要に応えるための施策として,地方自治体における公務員定数の抑制方針や税収の低下傾向の中において,全国的に推進されている。 ウ保育サービス供給増の必要性(ア)共働き家庭の一般化と保育サービスの需要増加近年,景気の悪化の他,女性が職業を持つことに対する意識の変化等により,全国,大阪府と同様,高石市においても,女性の就業者が増加している。 このような傾向や,育児に係る外部サービス利用に対する意識の変化等を背景に,保育サービスに対する需要が高まってきており,高石市では,平成10年4月1日から,0歳児,1歳児の枠の拡充を,また,平成11年4月1日から市内全保育所において,保育時間の延長(午前7時30分から午後6時30分までを,午前7時から午後7時までに延長)を実施してきた。 (イ)保育所の基盤整備の遅れ就学前児童数に占める保育所利用児童 全保育所において,保育時間の延長(午前7時30分から午後6時30分までを,午前7時から午後7時までに延長)を実施してきた。 (イ)保育所の基盤整備の遅れ就学前児童数に占める保育所利用児童の割合をみると,全国の25. 7パーセントに比べて高石市は19.5パーセント(平成13年度)と,大幅に全国平均を下回っている。また,保育所の定員,利用児童数等の状況をみると,私営保育所(設置者が民間である保育所に,設置者が地方公共団体で当該地方公共団体から運営業務を民間に委託された保育所を加えたもの)における充足率は,平成11年,12年,13年とも100パーセントを超えており,公立を大きく上回っている。 (ウ)待機児童数が多いこと(ア)記載のとおり,保育所利用の需要が伸びる一方,(イ)記載のとおり供給体制が遅れていることから,高石市においては,昨今,年度途中から低年齢児(0歳児ないし2歳児)を中心に入所申込みが増加し,待機(直ちに保育所に入所できないこと)が発生している。特に,平成13年度では,4月から12名の待機児童が発生し,平成14年1月1日時点では,待機児童が82名にのぼっている。 また,待機率(待機児童数/入所児童数)は,平成13年4月には1. 4パーセント,平成14年1月には9.1パーセントと増加傾向にある。 エ保育サービス供給増にあたっての制約条件ウ記載のとおり,社会においては保育サービスの供給増加が求められているところ,以下のとおり,その対応に際してはさまざまな制約が存している。 (ア)公務員定数の抑制方針後記(イ)記載のとおり,被告の財政状況の悪化もあり,被告においては,すべての分野におけるスリム化を指向して,平成12年8月に高石市行財政改革実施計画を策定し,公務員の定員管理の適正化を決定し,国の第9次定員削減計画等を参 告の財政状況の悪化もあり,被告においては,すべての分野におけるスリム化を指向して,平成12年8月に高石市行財政改革実施計画を策定し,公務員の定員管理の適正化を決定し,国の第9次定員削減計画等を参考に,平成13年10月,職員定員管理 計画を策定した。同計画においては,平成11年4月1日の定数703名を,平成16年4月1日には610名(93名=13.2パーセント削減)とすることが目標とされている。 被告において,上記目標のもと,平成11年4月時点の職員定数703名を,平成12年4月1日から683名,平成13年4月1日から677名,平成14年4月1日から655名とする旨の職員定数条例の改正を毎年行っている。 (イ)税収の低下傾向被告の市税収入は,平成8年度決算において153億円であったものが,平成12年度決算では133億円(20億円減少)となり,さらに平成13年度決算見込みでは127億円,平成14年度決算見込みでは120億円と,年々減収の一途となることが予想されている。 このようなことから,平成10年度から平成12年度の3年間の決算状況では,実質収支は保っているものの,市財政調整基金の積立金取り崩しによって財政運営を行っている(平成10年度から平成12年度までに36億8000万円を取り崩している。)。さらに,平成13年度には市土地開発基金から5億6000万円,市職員退職手当基金から6億円の借入を予算化して予算編成を行う状況となっていた。 オ公立保育所と民間保育所の保育コスト比較被告におけるエ記載のような財政状況において,その改善が至急に必要となっているところ,被告における公立保育所の1歳児においては,国基準(児童6人に職員1名)を超える児童4人に職員1名の配置基準を行っているなどの配置数の格差により,公立保育所と民間保育所では, 要となっているところ,被告における公立保育所の1歳児においては,国基準(児童6人に職員1名)を超える児童4人に職員1名の配置基準を行っているなどの配置数の格差により,公立保育所と民間保育所では,サービス提供の費用について,約2倍の格差が生じている。 カ全国における民営化の推進について(ア)公共サービスを,民間の資金や能力を活用して効率的かつ効果的に 提供し,地方公共団体の事業コストの削減や,より質の高い公共サービスの提供を図る方法として,民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律が制定され,行政財産の貸付などによる民間運営が定められるところとなっている。 (イ)公立保育所の民営化についても,保育ニーズの増加と財政上の制約という近時の状況を解決するものとして,現に多数行われており,また,平成13年3月閣議決定にかかる規制改革推進3か年計画(平成14年3月29日改定)においても,限られた財源を有効に活用し,かつ社会のニーズに応じた保育を実施するという観点から,公立保育所の運営については,社会福祉法人やNPO,民間企業等へ民間委託することも有効な処方箋であるとされ,国の施策として民間委託の活用を促進する旨が明記されている。全国においては,既に建物の貸与によるものが約100件,業務の委託によるものが約260件あるとされ,大阪府下においても,以下のように順次実施されている。 a堺市平成13年4月より2園,平成14年4月より2園が社会福祉法人にb池田市平成13年4月より2園が学校法人にc守口市平成14年4月より3園が社会福祉法人に(ウ)(イ)記載の全国的な動きは,平成13年11月の児童福祉法改正により,保育サービスの提供拡大に資する方法として公設民営の促進が法律上明記され,市町村において,適切な対応 3園が社会福祉法人に(ウ)(イ)記載の全国的な動きは,平成13年11月の児童福祉法改正により,保育サービスの提供拡大に資する方法として公設民営の促進が法律上明記され,市町村において,適切な対応がさらに求められるところである。 キ対象保育所の選定と新旧保育所のサービス水準の同一性 (ア)以上のような,保育サービスの需要増加と,市行政全体のスリム化に基づく公立保育所によるサービス供給拡大の困難性,また,全国的な民営化の推進への動き等を総合考慮した結果,被告は,公立保育所を廃止し,民間に設置主体,運営業務主体を移管して保育の実施を行うことを検討し,学識者と公共的団体の代表者からなる本件選考委員会において,民間移管を行う保育所の決定に関する意見を受けて,本件改正条例を議会に諮った。そして,議会において賛成,反対それぞれの立場からの討論が行われた上,各議員において,討論の結果や,上記を含む諸事情を総合的に判断の上議決が行われ,可決されたものである。 (イ)本件改正条例制定後には,民間移管先を公募により募集し,本件選考委員会の意見を受けてこれを被告において決定するとの前提にて,本件改正条例を議会に諮ることとしており,その際には,保育水準,保育内容において問題が生じることがないことを基本に検討している。 現に,その後,民間移管先の社会福祉法人との間で,従前の保育水準が低下することがないよう配慮することとしており,その旨事業運営者と覚書を締結している。また,共通の年間保育目標,保育内容をもって今後の主たる運営事項とし,保育水準の維持をはかることとしている。 (ウ)平成13年11月からは,移管先の事業者の保育士が本件保育所に来て引継を行い,平成14年1月からは,次年度のクラス担任を予定されている保育士がそのクラスに入り,子供の個性や特徴 としている。 (ウ)平成13年11月からは,移管先の事業者の保育士が本件保育所に来て引継を行い,平成14年1月からは,次年度のクラス担任を予定されている保育士がそのクラスに入り,子供の個性や特徴,また1日の生活の流れを把握するとともに,2月以降はさらにその回数を増やし,十分な引継を行い,円滑な移行を諮った。 なお,児童福祉施設最低基準(昭和23年12月29日厚生省令第63号)4条2項は,最低基準を超えて,設備を有し,又は運営をしている児童福祉施設においては,最低基準を理由として,その設備又は運営を低下させてはならない旨規定する。しかるところ,今回の民間移管に 伴う定員増に伴い,1歳児については,職員配置基準が児童4人に1名から児童5人に1名となったが,今回の民営化は保育の実施にかかる供給を拡大する必要のもとに行われるものであり,これが上記規定の趣旨に反するものではない。さらに,民間移管の保育園に通う保護者への配慮の趣旨から,特に平成14年度については,経過措置として,臨時職員の配置により,従前と同様の児童4人に職員1名の基準が維持されたものである。 ク本件保育所の廃止に際してとった手続が適正であること本件改正条例制定後,被告は,保護者や職員組合に説明を行い,理解を得るよう務めたところであり,また,民営化にあたり移管先となる事業者の選定にあたっても,外部の者で構成する本件選考委員会を設置し,公平な手続によっている。したがって,本件保育所の民間移管については,手続面においても何ら違法とされる理由はない。 ケ本件保育所の民間移管後の状況(ア)本件保育所の民間移管が実施された後,本件各児童はP3保育所において,従前と変わらない水準の保育を受けている。また,民間移管にかかる保育所(P18が運営するP19保育園)においても,児童福 (ア)本件保育所の民間移管が実施された後,本件各児童はP3保育所において,従前と変わらない水準の保育を受けている。また,民間移管にかかる保育所(P18が運営するP19保育園)においても,児童福祉施設最低基準に定める基準ないしこれを上回る内容で行われており,何の問題もなく保育が行われている。 (イ)民間移管によって,移管にかかる保育所の定員数が120名から140名に増加し,高石市内全体で930名から950名に増加された。 高石市内の保育所の利用児童数も,平成13年度の846名から平成14年度には904名に増加し,高石市における就学前児童数に対する保育所利用者数の割合は,平成13年4月の19.5パーセントから,平成14年4月には20.8パーセントとなっている。このように,民間移管により,高石市内のより多くの児童が保育サービスを受けることが 可能になっている。 また,これまで,公立,民間のいずれの保育所も,保育時間は午前7時から午後7時までであったところ,民間移管にかかる保育所が延長保育の実施を開始し,午後9時までの延長保育が可能となっている。 (ウ)児童1人当たりの運営経費(被告による支出額)は,公立保育所が民間保育所の約2倍になっており,民間移管後1年を経た決算(平成14年度決算)においては,純歳出額において約8257万円減少となっている。 (原告らの主張)ア児童福祉法24条は,保護者が保育所を選択して申し込むこと,これに対して市町村が承諾して利用契約関係が発生することを規定している。これを前提とすれば,保護者が選んで,いったん入所した保育所を意に反して転園させられることがない権利も保障されている。むろん転園が全く許されないわけではなく,例外的に,①やむを得ない特段の事情がある場合に,②手続的には,当該保育所での保育がで 所した保育所を意に反して転園させられることがない権利も保障されている。むろん転園が全く許されないわけではなく,例外的に,①やむを得ない特段の事情がある場合に,②手続的には,当該保育所での保育ができなくなった事情を保護者に説明して理解を得る努力(保育の実施の解除の際の説明義務を尽くす)をすれば,保護者の意に反する転園が許容されることもあると考えられる。 しかしながら,保育所は,子どもたちの生活の場であり,そこでの人間関係が子どもたちの人格形成の基盤であることからすると,意に反する転園は,人格形成期の子どもたちの人間関係の基盤を破壊し,再構築を強いることを意味する。その意味で,この意に反する転園を強いられない権利は,人格権に密接に関わる問題である。したがって,上記特段の事情も,意に反する転園を強いる目的が合理的であることはもちろん,その方法も必要最小限度のものでなければならない。 イ本件保育所を廃止する理由がないこと(ア)被告は,本件保育所を廃止する理由として,公立の本件保育所を廃 止・民営化することによって,財政難の中,公立と民間の超過負担の格差を解消し,経費を削減することによって,延長保育や待機児童の解消など保育ニーズに応えるということをあげる。 しかしながら,そもそも市町村は,児童福祉法24条により,保育に欠ける児童を保育所で保育を実施しなければならない義務を負っている。 その市町村の保育の実施義務に基づいて設置されたのが地方自治法上の公の施設としての公立保育所であり,同法244条1項により市町村には公の施設の設置義務が課されているから,これを廃止することは,合理的な理由が必要である。合理的な理由もなく公の施設である保育所を廃止することは,保育の実施義務,保育所設置義務に反し,違法というべきである。 そして,本件では,原告 から,これを廃止することは,合理的な理由が必要である。合理的な理由もなく公の施設である保育所を廃止することは,保育の実施義務,保育所設置義務に反し,違法というべきである。 そして,本件では,原告ら保護者は公の施設である本件保育所で現に利用関係にたっており,本件保育所が廃止されると,原告ら保護者は公の施設である本件保育所の利用関係から排除されることになるのであるから,その合理性の判断についても,条例で自由に決められるというのではなく,少なくとも厳格な合理性の基準によるべく,本件保育所を廃止する具体的な必要がなく,それを避けうる手段が他にある場合には,本件保育所を廃止することは違法というべきである。そして,本件保育所を廃止する場合でも,それによる影響は最小限にとどめるべく,そのような配慮を欠いた本件保育所の廃止は違法というべきである。 (イ)延長保育について延長保育は,従来午後7時までであった保育時間を午後9時まで2時間延長するものであるが,これはもともと要望は低いものであった。すなわち,被告が平成11年9月にまとめた子育てに関するアンケートにおいても,延長保育の希望は11.5パーセントで,希望調査10項目中8位であり,現状のままでいいとの回答が9割近くあった。 したがって,本件保育所を民営化してまで延長保育を実施する根拠に乏しい。 実際,民営化後のP19保育園で午後9時までの延長保育を利用しているのは3名程度であり,平成14年4月から同年7月までで,利用者はせいぜい1日に1名ないし2名であり,利用者がゼロの日が1週間の半分くらいある。 (ウ)待機児童の解消について高石市では,これまで待機児童は特に問題となっておらず,公立保育所の廃止を決定した年である平成12年4月時点でもゼロである。被告は,平成14年度の保育の利用児童数 。 (ウ)待機児童の解消について高石市では,これまで待機児童は特に問題となっておらず,公立保育所の廃止を決定した年である平成12年4月時点でもゼロである。被告は,平成14年度の保育の利用児童数が904名に増加したとするが,従来の公立保育所の定員は930名であるから,定員の枠内にとどまっている。長期的に見ても,保育所入所児童数は平成4年から増加傾向にあるが,それでも入所定員数を下回っているし,全国,大阪府と比べても,高石市の定員充足率は低く,特に公立の保育所は80パーセント台とまだまだ余裕がある。 被告は,将来の保育所入所児童数の予測すらしていなかったのではないかと推察されるところであり,児童に与える影響をできるだけ少なくするべく,十分な引継をするために,せめて1年間保育所の廃止,民営化を延ばして欲しいとの原告ら保護者の希望を無視してまで保育所を廃止,民営化する根拠に乏しい。 また,仮に入所児童数の増加が見込まれるとしても,高石市の公立保育所は,まだまだ余裕があり,定員の適正化を図れば,十分対応可能である。特に,本件保育所,P2保育所及びP5保育所には空き教室もあって,厚生省令によって定員の適正化を図れば,入所児童数の増加にも十分対応可能である。 したがって,待機児童の解消ということは,およそ保育所を廃止,民 営化する理由たり得ない。入所児童数の増加が予測されるとしても,被告として,保育所を廃止する前に,まず定員の適正化を検討すべきであり,その当否は別として国の基準の125パーセントまで入所させることができる,いわゆる定員の弾力化という方法もあるにもかかわらず,被告がこれらのことについて検討した形跡は全くない。 (エ)財政効果についてa被告の財政悪化の原因は,固定資産税をはじめとする税収が減少する中で,土木費ないし公共事 う方法もあるにもかかわらず,被告がこれらのことについて検討した形跡は全くない。 (エ)財政効果についてa被告の財政悪化の原因は,固定資産税をはじめとする税収が減少する中で,土木費ないし公共事業費を突出させてきたことにあるのであり,保育所事業費が財政悪化の原因ではない。 本件で問題となっている公立保育所の事業費は,近年保育所入所児童数が増加する中で,その増加率自体は低く抑えられ,ここ数年はほぼ横ばいといっても過言ではなく,とりわけ平成5年度以降増加傾向にあった公立保育所の職員数が平成12年度には減少に転じ,今後も一定の退職者が予想されるところから,退職に伴う新規採用を考慮に入れても,公立保育所の保育所事業費は確実に減少すると見込まれる。 したがって,財政難のため公立の保育所を廃止することは本末転倒である。 b第2に,保育という問題を単に財政コストのみにて判断することも問題である。被告の挙げる超過負担の問題は,主に保育士の年齢による人件費の格差であるが,その議論は保育における保育士の年齢,経験年数の持つ意味を一切度外視するものである。すなわち,保育士は,単なる子どもの遊び相手ではない。保育所に入所する児童は,0歳児から5歳児までの児童であるが,この時期の児童は,乳児期,幼児期,幼年期と成長が著しく,それも一人一人に個人差,個性があるのであって,単に教科書的に保育を理解しているだけでは,一人一人の発達に応じた保育を実施したことにはならない。3歳児は4歳児の,4歳 児の保育は5歳児の保育を見据えながら,一人一人の発達段階に応じて連続的に行われていくものであり,それなりの保育を実施するには,一定の経験が必要になってくるのである。経験豊かな故に当然賃金も高くなるのであり,民間の保育所のように,短大を卒業して間がない保育士が圧倒的多 行われていくものであり,それなりの保育を実施するには,一定の経験が必要になってくるのである。経験豊かな故に当然賃金も高くなるのであり,民間の保育所のように,短大を卒業して間がない保育士が圧倒的多数を占め,結婚はもちろん,子育ての経験のない保育士が大半を占める状況では,子どもの発達段階に応じた適切な保育を実践することはできない。本件保育所では,育児教室や,園庭開放などの地域活動も,他の保育所に先駆けて積極的に行われているが,このような地域支援事業を行うためには,一定の保育の経験が必要であり,このような子育て支援事業を支えているのが,経験豊かな保育士達なのである。 c第3に,財政効果をみても,さしたる財政効果はない。 被告は,公立と民間園の児童一人当たりの保育所運営経費の格差の問題としてとらえ,本件保育所の利用者が85名であるから,単純に一人当たり100万円で,約8500万円の財政的効果があるとするが,これは現実を無視した空論である。保育所運営経費の大半は人件費であり,なるほど本件保育所の保育士達が全員退職したならば,被告の試算どおりの財政効果があるかもしれないが,保育士等は公務員であるから身分が保障されていて,本件保育所を廃止,民営化したとしても,保育士等が退職しなければ,公立保育所の運営経費は減少せず,財政効果は出てこない。 また,仮に一定の退職者が望めるとしても,それは保育所の廃止,民営化の直接の効果ではなく,保育所が廃止,民営化されようとされまいと,退職という事実によって生じるのであって,保育所の廃止,民営化によって生じるものではない。したがって,保育所の廃止,民営化の当面の財政効果を検討するには,この保育士達の退職による人 件費の減少はそれに含めるべきではなく,せいぜい保育所を廃止,民営化しなかった場合に必要となる, い。したがって,保育所の廃止,民営化の当面の財政効果を検討するには,この保育士達の退職による人 件費の減少はそれに含めるべきではなく,せいぜい保育所を廃止,民営化しなかった場合に必要となる,臨時保育士の採用等による人件費に求めなければならない。 さらに,公立保育所を廃止すると,公立保育所の入所児童数が減るから,国や大阪府の義務負担金は当然に大幅に減る。したがって,保育士等の退職者数が少ないときは,逆に,被告の超過負担は増えることになる。また,民間園が1つ増えると,私立の保育所では,保育所の定員区分に従って,児童一人当たりの保育単価が,民間施設給与等改善費が12パーセント,10パーセントなどと加算されることになっているところから,公立の保育所を廃止,民営化すると被告の義務負担金は増えることになる。 実際,被告の平成13年度決算と平成14年度予算に基づき,被告の超過負担を計算すると,公立保育所については,保育所運営経費は,約12億3000万円から約11億5000万円と,8222万3000円減少しているが,逆に,国庫負担金,府負担金,府補助金が大幅に減少して,歳入部分の合計が7334万3000円減少している。 そして,被告の負担金の合計は,保育所運営経費から前記歳入の合計を差し引いたものであり,それから被告の義務負担金を差し引いたのが,いわゆる被告の超過負担であるから,それで比較すると,被告の超過負担は,本件保育所を廃止したことによって,逆に721万4000円増える結果となっている。 また,私立の保育所については,義務負担金や施策による超過負担金が増えて,結局,被告の超過負担金は3373万7000円増えるという結果になっている。そして,それを合計すれば,被告の超過負担金は4095万1000円増える結果となっている。 そして,上記結果 担金が増えて,結局,被告の超過負担金は3373万7000円増えるという結果になっている。そして,それを合計すれば,被告の超過負担金は4095万1000円増える結果となっている。 そして,上記結果は,本件保育所から公立保育所へ転園した35名 の児童の存在を前提とするものであるところ,本件保育所の児童85名全員が新設される私立のP19保育園に移っていたとしたら,公立保育所の入所児童数の減少に伴い国や大阪府から入ってくる歳入の合計は更に減少するから,被告の超過負担はさらに増えていたはずであり,私立の園の入所児童数が増えることに伴い,被告の私立保育所に対する超過負担は更に増えて,結局,被告の公立と私立の超過負担の合計は,更にもっと増えていたはずである。 なお,退職者数を考慮に入れたとしても,平成13年度では保育所の欠員が6名あり,このことから平成13年度決算と平成14年度決算見込みで比較すると約5000万円の経費減ということである。これを考慮しても,上記のように,本件保育所を廃止,民営化したことによって被告の超過負担は4095万1000円増えるのであるから,それによる財政効果は約900万円くらいしかない。さらに,被告は,保育所の引継予算として200万円を支出したのであるから,これを差し引くと約700万円となって,財政効果はほとんどなくなる。これに対し,本件保育所を廃止,民営化しなかった場合,欠員に応じて臨時保育士を採用するのに約2600万円かかるというのであるから,6名の退職に伴い約5000万円の経費が削減され,臨時保育士の採用分約2600万円を差し引いても,約2400万円の経費削減効果が出てくる。このように,本件保育所を廃止しないで,臨時保育士を雇って継続した方が,当面の財政効果は大きい。 d被告は,原告ら保護者の,本件保育所を 万円を差し引いても,約2400万円の経費削減効果が出てくる。このように,本件保育所を廃止しないで,臨時保育士を雇って継続した方が,当面の財政効果は大きい。 d被告は,原告ら保護者の,本件保育所を廃止することによる具体的な財政効果を示して欲しいとの求めに対し,単純に公立と私立との比較を示すだけで,結局,最後まで具体的な財政効果を明らかにしなかった。これは,本件保育所を廃止するに当たり,当面の具体的な財政効果を試算していなかったからであり,当面の財政効果を試算さえす れば,性急に本件保育所を廃止,民営化する財政的な必要性は全くないことは明らかであったはずである。 e原告ら保護者が求めていたのは,仮に保育所を廃止することがやむを得ないとしても,児童に与える影響をできるだけ少なくすべく,せめて十分な引継を行うために,1年延ばして欲しいというものであった。被告の保育士(所長を含む。)の定年退職者数の推移は,平成14年度から平成18年度までの5年間は,各年度1名の定年退職者があるだけで,一定の退職者数が出てくるのは平成19年度3名,平成20年度6名,平成21年度8名と,平成19年度以降となっている。 とすれば,一定の退職者数が見込まれる平成19年度まで本件保育所の廃止,民営化を待てば,本件保育所に入所していた本件各児童はすべて無事卒園することができたのである。さしたる当面の財政効果もないのに,原告ら保護者のささやかなこの要求すら聞き入れずに,性急に本件保育所を廃止する根拠は財政的にみても全くない。 fさらに,被告は,被告の行政財産である本件保育所の土地,建物を無償で貸与し,備品(遊具や机,その他調理設備なども含む。)を無償で譲渡している。これらの資産は税金によってまかなわれているものであり,財政難であればなおさら売却の方法をとるべきで 所の土地,建物を無償で貸与し,備品(遊具や机,その他調理設備なども含む。)を無償で譲渡している。これらの資産は税金によってまかなわれているものであり,財政難であればなおさら売却の方法をとるべきである。 (オ)保育所を廃止しなくても他の手段が存すること仮に,財政上の理由から保育所運営経費を削減する必要があるとしても,保育所の廃止だけがその手段ではない。現に本件保育所に入所し利用関係に立っている児童が存在するのであるから,その保育所の利用関係から排除することになる保育所の廃止は最後の手段というべきものであって,国の基準を上回る保育士の配置基準を見直すとか,退職者が出ることに応じて,臨時の保育士を雇用するなど他に取るべき手段はいくらでもある。また,保育所を廃止することがやむを得ない としても,それによる児童に与える影響は最小限にとどめるべく,十分な引継をするなどして,児童の福祉を害さないようにするべきである。 しかるに,被告がこのような他の手段を検討した形跡は全く伺われず,また,児童に対する配慮も全くすることなく,本件改正条例を制定した。これは明らかに合理的理由を欠く,違法な保育所の廃止,民営化である。 ウ本件改正条例は,平成9年改正後の児童福祉法の趣旨も理解せず,児童の福祉に対する配慮を欠いている。 本件改正条例は,平成13年6月5日議会に提出され,わずか1週間後の同月15日に強行可決された。 保育所が廃止,民営化されると,その日を境に保育士が全員入れ替わる。 移管にあたっては引継を充分に行い,1年間の保育の流れを理解する必要があることから,原告ら保護者達は,平成14年の実施ではなく,平成15年以降に民営化を行うよう要望してきた。 しかし,平成13年6月13日の建設厚生委員会では,このような保護者の要望には全く触れられなかった。 から,原告ら保護者達は,平成14年の実施ではなく,平成15年以降に民営化を行うよう要望してきた。 しかし,平成13年6月13日の建設厚生委員会では,このような保護者の要望には全く触れられなかった。 また,本件改正条例を制定したときには,当該保護者にとって重大な関心事である保育の内容に係る移管条件も,移管先法人も何も決まっておらず,ただ,本件保育所を廃止するというだけであった。本件廃止条例で本件保育所を廃止することを決定しながら,移管先法人が決まらないという事態になれば,本件保育所の児童にとって取り返しのつかないことになる。 また,少なくとも,移管条件の内容によっては,移管先法人がそれを受け入れることができず,被告や原告ら保護者の意見や要望が実現しないことも十分あり得るのであって,それは取りも直さず,移管後の保育条件の低下をもたらすものである。 本件改正条例は,平成9年改正後の児童福祉法の趣旨も理解せず,原告ら保護者のせめて1年延ばして欲しいという最低限の要望すら無視し,本件保育所の児童の福祉の配慮を欠いた違法なものといわなければならない。 エ本件保育所の廃止により,本件各児童を含む本件保育所に入所していた児童や,原告らを含む保護者は,新たな人間関係の構築に伴う児童の心身の負担,保護者自身も従来と異なる体制や理念のずれ,対応から生じる不信感との葛藤,なによりも長期にわたって築いてきたコミュニケーション関係の崩壊と再構築という負担の増加,以上の葛藤を克服するための心身へのストレスという被害を共に受けてきた。 また,本件保育所を廃止することによって,経験豊かな保育士を生かす場を喪失したことも重大である。 さらに,高石市の公立保育所は,小学校に対応して小学校区毎に1つおかれており,友人関係を含めて保育所から小学校にそのまま持ち上がり,幼 って,経験豊かな保育士を生かす場を喪失したことも重大である。 さらに,高石市の公立保育所は,小学校に対応して小学校区毎に1つおかれており,友人関係を含めて保育所から小学校にそのまま持ち上がり,幼児期から小学校まで一貫した教育がなされ得るという点ですばらしいものを持っていたが,本件保育所が廃止され,η地域には公立の保育所がなくなってしまった。 オ廃止の手続上の違法性(ア)争点(1)についての原告ら主張に記載のとおり,本件保育所を廃止することは,児童福祉法33条の4に規定する保育の実施の解除に当たる。 したがって,被告は,保育の実施の解除にあたり,あらかじめ,当該保育の実施に係る児童の保護者に対し,保育の実施の解除の理由について説明するとともに,その意見を聴かなければならない。 しかるに,被告は,本件改正条例を制定する前はもちろん,本件改正条例を制定した後も,この手続を一切していない。 (イ)原告らが本件保育所が廃止されることを知ったのは,平成13年6 月7日の朝刊の新聞報道である。それまで原告らは,被告から本件保育所が廃止されるという説明等を受けることはもちろん,それを知る由もなかった。 そして,原告らが本件保育所が廃止されることを知ったわずか1週間後には,本件改正条例が制定されてしまっている。 (ウ)また,本件廃止条例制定後も,原告らは,本件選考委員会で意見を述べることも,傍聴もできず,会議録の公開もしてもらえなかった。P14委員長との懇談が実現したのも,移管条件に係る募集条項が既に決定され,配布された後の平成13年8月18日及び同年9月20日の2回であった。このように,原告ら保護者は,本件選考委員会が保護者にとって重要な移管要件や移管先法人を決定するに際し,意見を述べる機会を全く奪われた。 (エ)移管先法人がP18と 同年9月20日の2回であった。このように,原告ら保護者は,本件選考委員会が保護者にとって重要な移管要件や移管先法人を決定するに際し,意見を述べる機会を全く奪われた。 (エ)移管先法人がP18と決定された後の同事業会による説明会も,原告ら保護者の不安を増大させるものであった。P18による説明は,制服の導入時期や延長保育の料金徴収等の移管条件すら理解していないものであり,また,その他にも保護者として納得できず,あるいは不安になるようなやりとりが数多くされた。 (オ)このような中で,被告は,本件提出依頼書を配布し,原告ら保護者に対し,平成14年1月25日までに新設の民間園に入所するのか,他の公立保育所に転園するのかの二者択一の保育所変更申込書を提出することを求め,これを提出しなければ待機児童になるとまで言って,無理矢理返事を求めた。 これは,平成9年改正後の児童福祉法が保障する,意に反して入所,転園させられない権利を明らかに侵害するものである。 (カ)結局,このまま民間園に行くか,他の公立保育所に転園するかの選択に迫られた本件保育所の保護者達は,悩んだ末,35名もの児童が他 の公立保育所に転園した。この転園率は実に42パーセントにも達しており,過去の他市における公立保育所の廃止,民営化による転園希望状況と比較しても,著しく高いものである。 カ被告は,民間移管後1年を経た決算(平成14年度決算)においては,純歳出額において約8257万円の減少となっている旨主張する。 しかしながら,この数字は以下のとおりまやかしのものであり,逆に,急激な民営化によって財政支出が増えていることが分かる。 まず,歳入については,障害児保育対象事業費府補助金の255万円の増額,延長保育促進事業府補助金の増額61万6000円中31万6000円及び一時保育促 営化によって財政支出が増えていることが分かる。 まず,歳入については,障害児保育対象事業費府補助金の255万円の増額,延長保育促進事業府補助金の増額61万6000円中31万6000円及び一時保育促進基盤整備事業府補助金の126万8000円の合計413万4000円は民営化とは無関係である。 次に歳出については,一般職給,職員手当等及び共済費の差額合計1億1185万5492円の減少は,正職員10人分の人件費に相当するものであるが,このうち4名は保育所費款外への異動であり,現在も被告の職員であるから,被告の財政全体からみた歳出の削減にはなっていない。また,他の6名は退職者であるが,退職者による歳出の減少は,公務員の退職という事実によって発生するものであり,民営化の効果とはいえない。 さらに,本件保育所を廃止して民営化したことにより,私立の保育所の運営に要する経費として1億1432万7230円が増加している。これに,民間保育所施設開設準備補助金88万1350円を加えると,合計1億1520万8580円歳出が増えている。 これらを勘案すると,被告は,本件保育所を民営化したことによって,逆に,3517万6849円財政支出が増える結果となっている。すなわち,本件保育所を民営化したことによる被告の財政効果は,財政に資するどころか,大幅なマイナスであった。 第3争点に対する判断 争点(1)(本件各訴えの適法性(本案前の争点))について(1)本件廃止処分の取消請求(主位的請求)についてア原告らは,本件改正条例の制定をもって,原告らの権利を侵害する行政処分(本件廃止処分)に当たるとして,その取消しを求めている。 条例の制定は,通常は,一般的,抽象的な規範を定立する立法作用の性質を有するものであり,原則として,個人の具体的権利義務に直接の効果を及 処分(本件廃止処分)に当たるとして,その取消しを求めている。 条例の制定は,通常は,一般的,抽象的な規範を定立する立法作用の性質を有するものであり,原則として,個人の具体的権利義務に直接の効果を及ぼすものではないから,抗告訴訟の対象となる処分には当たらないものと解される。しかしながら,他に行政庁の具体的処分を経ることなく,当該条例自体によって,その適用を受ける特定の個人の具体的な権利義務に直接影響を及ぼすような例外的な場合には,当該条例の制定行為自体をもって行政処分とみる余地が存するものと解するのが相当である。 したがって,本件改正条例の制定が上記例外的な場合に当たるか否か,以下検討する。 イ(ア)本件に関する児童福祉法の規定内容は,前提となる事実等ア記載のとおりである。これによると,保育に欠ける児童に対する保育について規定する児童福祉法24条は,平成9年改正前の市町村の措置による入所の仕組みから,同改正により,保育所に関する情報の提供に基づき保護者が保育所を選択し,市町村と保護者との間で,保護者が選択した保育所における保育を実施することを内容とする利用契約(公法上の契約)を締結する仕組みに変更されたものと解される。 (イ)このことは,以下のような平成9年改正に関する厚生省(当時。以下同様)の担当者の発言内容や資料等からも明らかである。 a平成9年3月17日の全国児童福祉主管課長会議において,厚生省のP20保育課長は,平成9年改正により,保護者と市町村の関係は,児童福祉法という特別の法律に基づく,いわゆる公法上の契約ということになるのではないかと考えている,保護者が希望する保育所で児 童福祉施設最低基準に定められた条件で,保育してくれと市町村に対して申し込み,これに対して,市町村の側では,保育に欠けているか否かの事実確認をし ないかと考えている,保護者が希望する保育所で児 童福祉施設最低基準に定められた条件で,保育してくれと市町村に対して申し込み,これに対して,市町村の側では,保育に欠けているか否かの事実確認をした上で,保育サービスを保育所において提供しなければならない,法律上,原則として,保護者の側からの契約申込みに対して,応諾義務を市町村の側に課している旨の発言をしている。 (甲56号証)b平成9年6月23日の全国児童福祉主管課長会議において,厚生省のP20保育課長は,保護者と市町村との関係は,行政処分の関係から,公法上の利用契約へと変わる,保護者の申請ということが法律上明記されたことから,むしろ利用者の立場が強まったと考えられるが,満員になった場合の選考を含め,これは行政処分ではない旨の発言をしている。 (甲55号証)c平成9年9月19日の全国児童福祉主管課長会議において,厚生省のP21保育課長補佐は,平成9年改正で市町村と保護者の関係が公法上の契約という形になったが,入所手続上においては,保護者からの申込みに対して,市町村が承諾書を交付するということで,基本的に公法上の契約というものが成立すると考えている旨の発言をしている。 (甲57号証)d厚生省児童家庭局が監修し,平成9年9月に作成されたパンフレット(児童福祉法改正のポイント)において,保育施策の見直しとして,これまでの行政処分による入所の仕組みから利用者の申込みによる市町村と保護者との利用契約を締結する仕組みに改められることになった旨の記載がされている。 (乙5号証の4) e児童福祉法規研究会編による「最新児童福祉法・母子及び寡婦福祉法・母子保健法の解説」において,平成9年改正について,利用者の立場に立った良質かつ多様な保育サービスが弾力的に提供される制度的な枠組み 児童福祉法規研究会編による「最新児童福祉法・母子及び寡婦福祉法・母子保健法の解説」において,平成9年改正について,利用者の立場に立った良質かつ多様な保育サービスが弾力的に提供される制度的な枠組みを整備するため,措置(行政処分)による入所方式から,保護者が各保育所に関する十分な情報を得た上で,入所を希望する保育所を選択して,申込みに基づき市町村と保護者が利用契約を締結する仕組みに見直したものである旨の記載がされている。 (甲7号証)(ウ)以上のように,平成9年改正後の児童福祉法の下においては,保育に欠ける児童の保護者と市町村との間で,保護者が選択した保育所において保育を実施することを内容とする利用契約を締結することとなる。 そして,保護者による保育所の選択権を認めた同改正の趣旨にかんがみれば,上記利用契約の内容とされた保護者が選択した保育所で保育を受ける権利は,同利用契約の存続期間中保護されるべきものと解されるから,上記保護者は,同利用契約の存続期間中,当該保育所が存続しているにもかかわらず,その意に反して他の保育所への転園を強要されることなく,当該保育所において保育を受ける権利を有するものと解するのが相当である。そして,同改正後においては,上記利用契約は,原則として,当該保育に欠ける児童の就学までをその契約期間とするものと解するのが相当である(この点,証拠(甲57号証)によれば,平成9年9月19日の全国児童福祉主管課長会議における質疑応答の際,厚生省の担当者において,入所期間については,応募者の希望にそった形で設定する必要があり,市町村の方で一方的に相手の意向を無視して1年なりの入所期間を独断で決めることは,平成9年改正の趣旨からいっても許されないと考えている旨の回答がされている。)。 (エ)被告から委任された高石市福祉事務所 の方で一方的に相手の意向を無視して1年なりの入所期間を独断で決めることは,平成9年改正の趣旨からいっても許されないと考えている旨の回答がされている。)。 (エ)被告から委任された高石市福祉事務所長の原告らに対する,本件各 児童の本件保育所への入所承諾の内容は,前提となる事実等(2)記載のとおりである。これによれば,原告P7は,被告との間で,P8について,平成11年4月1日から平成17年3月31日までの間,本件保育所において保育を受けることを内容とする利用契約を締結したものであり,また,原告P9は,被告との間で,P10及びP11について,P10については平成12年4月1日から平成17年3月31日までの間,P11については平成13年4月1日から平成19年3月31日までの間,それぞれ本件保育所において保育を受けることを内容とする利用契約を締結したものと認められる。 したがって,原告らは,被告との間で締結した上記各利用契約に基づき,本件保育所が存続する以上,本件各児童について,上記各期間中,本件保育所において保育を受ける権利を有するものと解するのが相当である(実施条例2条に規定する保育の実施基準を満たさなくなった場合等,実施規則6条の規定に該当するに至った場合はもとより別論である。)。 ウ(ア)一方,本件保育所は,本件条例に基づき,高石市内に居住する児童を保護し,その健全な育成を図るために地方公共団体たる被告が設置するものであり(前提となる事実等(1)イ),地方自治法244条1項にいう,住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(公の施設)に当たるものと解される。 この点,地方自治法244条の2第1項は,地方公共団体は,法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか,公の施設の設置及びその管理に関する事項 施設(公の施設)に当たるものと解される。 この点,地方自治法244条の2第1項は,地方公共団体は,法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか,公の施設の設置及びその管理に関する事項は,条例でこれを定めなければならない旨規定し,また,第2項は,地方公共団体は,条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて,これを廃止する場合には,議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければなら ない旨規定している。さらに,同法149条7号は,公の施設を設置し,管理し,及び廃止することを,地方公共団体の長の担任事務の1つとしている。 してみれば,地方公共団体ないしその長は,当該地方公共団体が現に行い,あるいはこれから行おうとする様々な施策の内容や,当該地方公共団体の置かれた財政状況,その他当該地方公共団体を取り巻く様々な要因を総合的に勘案し,公の施設を設置し,管理し,あるいは廃止することができるものと解すべきであって,公の施設の設置,管理及び廃止については,地方公共団体ないしその長の広範な裁量に委ねられていると解するのが相当である。 (イ)したがって,公の施設である本件保育所を廃止するか否かは,(ア)記載のように,被告ないし被告の長(高石市長)の広範な裁量に委ねられた事項というべきであって,その裁量権の行使に逸脱ないし濫用が存した場合に初めて本件保育所の廃止が違法となるものと解される。 (ウ)してみれば,イ記載のような平成9年改正後の児童福祉法の下における,保育に欠ける児童の保護者と市町村との間で締結された,保護者の選択した保育所において保育を実施することを内容とする利用契約は,あくまでも当該保育所が存続することを前提とするものであり,市町村がその有する広範な裁量により当該保育所を廃止することがあ ,保護者の選択した保育所において保育を実施することを内容とする利用契約は,あくまでも当該保育所が存続することを前提とするものであり,市町村がその有する広範な裁量により当該保育所を廃止することがあり得ることは,当該保育所の公の施設としての性格からくる制約として当該利用契約において前提とされているものと解するのが相当である。児童福祉法(35条6項)及び同法施行規則(38条1項2号)は,保育所等の児童福祉施設が入所者がいる時点でも廃止される場合があることを前提とする廃止手続を定めているが,これも上記解釈を裏付けるものである。 したがって,当該保護者は,市町村がした当該保育所の廃止が市町村の有する裁量権の逸脱ないし濫用に当たる場合に初めて,当該保育所の廃 止の違法をいうことができるものと解すべきである。 本件においても,原告らは,本件保育所が存続することを前提として,被告との間でイ(エ)記載のような利用契約を締結したものというべきであって,被告による本件保育所の廃止も,これが裁量権の逸脱ないし濫用に当たらない限りは,当然に上記利用契約が前提とするところと解するのが相当である。 エ(ア)この点,原告らは,被告による本件保育所の廃止は,児童福祉法33条の4にいう保育の実施の解除に当たる旨主張する。 (イ)そこで検討するに,平成9年改正後の児童福祉法24条2項は,「前項に規定する児童について保育所における保育を行うこと(以下「保育の実施」という。)」と規定しており,また,同法33条の4は,「都道府県知事,市町村長……は,次の各号に掲げる措置又は保育の実施等を解除する場合には,あらかじめ,当該各号に定める者に対し,当該措置又は保育の実施等の解除の理由について説明するとともに,その意見を聴かなければならない。」とし,その3号で「母子保護の実施 の実施等を解除する場合には,あらかじめ,当該各号に定める者に対し,当該措置又は保育の実施等の解除の理由について説明するとともに,その意見を聴かなければならない。」とし,その3号で「母子保護の実施及び保育の実施当該母子保護の実施又は保育の実施に係る児童の保護者」としている。 してみれば,児童福祉法の規定は,平成9年改正後においても,保護者が選択した特定の保育所において保育を実施することをもって,「保育の実施」とするものではなく,「保育所における保育を行うこと」をもって,「保育の実施」と定義付けているのであり,同法33条の4にいう保育の実施の解除も,市町村が保育所における保育を行うことを解除する場合をいうものと解するのが相当である。これに対し,特定の保育所において保育を受けていた児童が他の保育所に転園する場合や,あるいは,当該保育所が民営化されたことに伴い,民営化後の保育所において保育を受けることとなったような場合には,同法33条の4にいう 保育の実施の解除には当たらないものと解すべきである。 (ウ)これを本件についてみるに,前提となる事実等(3)チ記載のとおり,被告は,本件改正条例制定後,廃止されることとなる本件保育所に入所している0歳児から4歳児の保護者に対し,平成14年4月1日以降,民営化されたP19保育園への入所を希望するか,他の保育所への転園を希望するかのいずれかを選択するよう本件提出依頼書を配布している。 してみれば,被告は,本件保育所を廃止することにより,本件保育所で保育を受けていた児童について,保育所における保育を行うことを解除したものではなく,引き続き保育所における保育を行うことを前提に,保護者らに対し,選択する保育所の希望の聴取を行っているものである。 そして,原告らが監護する本件各児童についても,前提となる とを解除したものではなく,引き続き保育所における保育を行うことを前提に,保護者らに対し,選択する保育所の希望の聴取を行っているものである。 そして,原告らが監護する本件各児童についても,前提となる事実等(4)記載のとおり,平成14年4月1日以降は,被告が設置するP3保育所において保育を受けているのである。 したがって,本件保育所の廃止をもって,児童福祉法33条の4にいう保育の実施の解除に当たるとする原告らの主張は失当である。 オ(ア)以上から,原告らは,被告との間で,本件保育所が存続することを前提として,本件各児童について,それぞれの利用期間にわたって本件保育所において保育を受けることを内容とする利用契約を締結したものと解されるところ,被告による本件保育所の廃止は,これが被告の有する裁量権の逸脱ないし濫用に当たる場合には,その違法をいうことができるものと解すべきこととなる。このことは,裏返せば,被告において裁量権の逸脱ないし濫用に当たるような本件保育所の廃止を行った場合には,その監護する本件各児童について本件保育所での保育を受けることを内容とする利用契約を締結していた原告らが同利用契約に基づいて有する,本件各児童について本件保育所で保育を受ける権利を侵害するものということができるから,本件保育所の廃止は,原告らが具体的に 有する上記権利を侵害する行政処分に当たるものと解するのが相当である。してみれば,かかる原告らの有する権利を侵害する行政処分に対する不服申立てとしての抗告訴訟の途を認める必要があるものといわなければならない。 (イ)aこの点,被告は,原告ら保護者の権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行為は,本件改正条例制定後における大阪府知事への届出(児童福祉法35条6項)及び入所者(保護者)への廃止通知(甲1 この点,被告は,原告ら保護者の権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行為は,本件改正条例制定後における大阪府知事への届出(児童福祉法35条6項)及び入所者(保護者)への廃止通知(甲19号証)というべきであって,本件改正条例そのものの効力を抗告訴訟によって争うことはできない旨主張する。 bまず,大阪府知事への届出について検討するに,児童福祉法35条6項は,市町村は,児童福祉施設を廃止し,又は休止しようとするときは,その廃止又は休止の日の1か月前までに,厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない旨規定している。 しかしながら,この市町村から都道府県知事に対する児童福祉施設(保育所も含まれる。)の廃止の届出は,市町村において既に決定した児童福祉施設の廃止について,①廃止の理由,②入所させている者の処置,③廃止の期日及び財産の処分について届出を行い,この届出を受けた都道府県知事において,市町村に対して必要な指導を行う趣旨によるものと解される。したがって,この廃止の届出をもって,当該児童福祉施設の利用者の権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼすものと解することはできない。 本件においても,前提となる事実等(3)ツ記載の,大阪府知事に対する本件保育所の廃止の届出をもって,原告らが被告との間で締結した利用契約に基づいて有する,本件各児童について本件保育所で保育を受ける権利に具体的な変動を及ぼす行政処分に当たるものと解することはできない。 c次に,被告は,入所者(保護者)への廃止通知(甲19号証)をもって,原告ら保護者の権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行為に当たる旨主張する。 しかしながら,被告がいう上記入所者(保護者)への廃止通知の内容は,前提となる事実等(3)チ記載のとおりである 原告ら保護者の権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行為に当たる旨主張する。 しかしながら,被告がいう上記入所者(保護者)への廃止通知の内容は,前提となる事実等(3)チ記載のとおりであるところ,これは,同記載のとおり,被告(高石市福祉事務所長,高石市児童福祉課長)において,本件保育所保護者に対し,平成13年12月,「保育所入所変更申込書の提出について(お願い)」と題する書面(本件提出依頼書)を配布したものであり,本件提出依頼書には,本件保育所が平成14年4月1日付けで廃止され,同日付けでP18に経営主体を移して,新たにP19保育園として開設されることになること,そのため,本件保育所における保育の実施期間は,平成14年3月31日で終了することになること,そこで,本件保育所に入所している0歳児から4歳児の保護者においては,同年4月1日以降,P19保育園への入所を希望するか,他の保育所への転園を希望するかのいずれかを選択する必要があり,同年1月25日までに,保育所変更申込書を提出してほしいこと,同日までに変更申込書の提出がない場合には,同年4月1日以降は待機となることが記載されていたものである。 上記のような本件提出依頼書の記載内容にかんがみれば,本件提出依頼書の配布をもって,原告ら本件保育所保護者の権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行政処分に当たるものと解することはできないものといわざるを得ない。 d以上から,被告がいう,大阪府知事への届出(児童福祉法35条6項)ないし入所者(保護者)への廃止通知(甲19号証)をもって,原告らの権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行政処分に当たるものと解することはできない。 そして,前述のような原告らと被告間で締結された利用契約の内容と,高石市内に居住する児 ,原告らの権利義務ないし法的地位に直接具体的な影響を及ぼす行政処分に当たるものと解することはできない。 そして,前述のような原告らと被告間で締結された利用契約の内容と,高石市内に居住する児童を保護し,その健全な育成を図るため保育所を設置するとして,市立保育所6園を規定していた本件条例中,本件保育所の項を削るとした本件改正条例の内容(前提となる事実等(1)イ,ウ)に照らせば,本件改正条例の内容は,他に行政庁の具体的処分を経ることなく,当該条例自体によって,その適用を受ける特定の個人の具体的な権利義務に直接影響を及ぼすような例外的な場合に当たり,本件改正条例の制定行為自体をもって行政処分に当たるものと解するのが相当である。 (ウ)したがって,本件改正条例の制定をもって行政処分(本件廃止処分)に当たるとして,その取消しを求める原告らの主位的請求は,抗告訴訟として適法なものと解される。 (2)本件改正条例の無効確認請求(予備的請求(1))及び予防的不作為訴訟等(予備的請求(2))について原告らは,本件改正条例の施行前に本件訴訟を提起し,本件改正条例の施行日前に取消訴訟を提起して本件改正条例の効力を争うことができない場合を念頭において,予備的請求として,本件改正条例の無効確認請求(予備的請求(1))及び予防的不作為訴訟等(予備的請求(2))をも提起している。 しかしながら,本件改正条例の制定を行政処分(本件廃止処分)として,その取消しを求める取消訴訟を提起することができるものと解すべきことは(1)記載のとおりであるから,原告らにおいて,これとは別に,本件改正条例の無効確認を求める訴えの利益は存しないものといわなければならない。また,同様に,上記取消訴訟を提起できるものと解する以上,これとは別に,無名抗告訴訟として,原告らの予備的請 とは別に,本件改正条例の無効確認を求める訴えの利益は存しないものといわなければならない。また,同様に,上記取消訴訟を提起できるものと解する以上,これとは別に,無名抗告訴訟として,原告らの予備的請求(2)にかかる予防的不作為訴訟等を提起することも許されないものと解するのが相当である。 したがって,原告らの予備的請求は,いずれも不適法なものとして,却下 を免れない。 争点(2)(本件改正条例の制定の適法性)について(1)本件保育所の廃止が公の施設の廃止に当たり,被告(ないし被告の長)の広範な裁量に委ねられた事項というべきであって,その裁量権の行使に逸脱ないし濫用が存するものと認められる場合に初めて本件保育所の廃止が違法となるものと解されることは,1記載のとおりである。 そこで,本件改正条例の制定をもってした本件保育所の廃止が,被告の有する裁量権の逸脱ないし濫用に当たるものと認められるか否か,以下検討する。 (2)ア本件保育所の廃止(民営化)に至る経緯は,前提となる事実等(3)記載のとおりであり,被告が設置する市立保育所についてこれを民営化しようとの動きは,平成10年2月に策定された高石市行財政改革大綱により民間活力の導入の提言がされたのを踏まえ(前提となる事実等(3)ア),被告の財政状況が急激に悪化し,極めて深刻な状況に直面する中で,同大綱をより実効のあるものとするとして平成12年8月に策定された高石市行財政改革実施計画において,保育所における民間活力の導入が計画され,平成14年度にこれを実施するとされたことによるものと認められる(前提となる事実等(3)イ)。 イまた,被告における平成13年度の職員定員管理計画(乙15号証)は,定員管理のあり方として,組織活動を能率的に遂行すると同時に,その活動に要する人員を適正に配置し, 提となる事実等(3)イ)。 イまた,被告における平成13年度の職員定員管理計画(乙15号証)は,定員管理のあり方として,組織活動を能率的に遂行すると同時に,その活動に要する人員を適正に配置し,被告の大幅な税収入の落ち込みから危機的な状況にある財政に対して,財政的負担の軽減をより一層推し進める必要があるとし,適正化の手法として,自主的,主体的に効率的かつ効果的な定員管理の適正化を推進するため,①退職に伴う自然減,②組織機構の簡素合理化,③再任用制度の活用,④施設の民営化,⑤事務の民間委託,⑥事務事業の見直し,⑦機械化,⑧早期退職の特例措置について方策を講 じるものとするとしている。そして,同計画は,このうち,④施設の民営化について,定員モデルとの比較において平成12年4月1日現在18人の超過となっている,また,類似団体との比較においては,民生部門の超過が顕著であり,今後保育士の定年退職者の動向を見ながら,保育所の民営化により,適正な定員規模の実現化に努めることとするとしている。 そして,同計画の記載によれば,被告において,平成11年4月1日現在の職員定数703名であったのを,平成12年4月1日で20名,平成13年4月1日で6名削減し,同日現在の定数は677名で3.7パーセントの削減となっており,また,削減の数値目標として,前記平成11年4月1日の定数703名を平成16年4月1日現在で93名(13.2パーセント)削減し,610名を目標とするとされている。 ウなお,被告の財政状況の悪化については,P22労働組合及び社団法人P23からなるP24が平成13年4月28日に発行した「さしせまる土建型財政危機をいかに打開するか-高石市財政の現状と再建の課題-」と題する報告書(甲31号証)においても,被告の財政収支の動きについて,実質単年度 24が平成13年4月28日に発行した「さしせまる土建型財政危機をいかに打開するか-高石市財政の現状と再建の課題-」と題する報告書(甲31号証)においても,被告の財政収支の動きについて,実質単年度収支(当該年度の実質収支(形式収支から翌年度に繰り越すべき財源を差し引いたもの)から前年度の実質収支を差し引いた単年度収支に,積立金,繰上償還金を加算し,そこから積立金取崩し額を差し引いたもの)でみた場合,被告の実質単年度収支は,平成5年度以降は毎年赤字であり,しかも傾向的に増大を示しているとされている。 エこれらからすると,被告による,市立保育所を廃止,民営化するとの方策は,悪化する財政状況を踏まえ,既存の行政を再点検し,限られた財源と人材を有効に活用し,最小の経費で最大の効果が上げられるよう,簡素で効率的な行財政運営をめざすとの観点から採られた施策の1つということができる。 (3)アそこで,被告の財政状況の悪化に対する財政効果の点から,本件保育所 の廃止,民営化について検討するに,証拠(乙17号証,31号証,43号証)によれば,高石市における公立保育所と民間保育所との児童1人当たりの運営経費(歳出総額を月平均人数で除した額)の比較は以下のとおりであり(なお,平成7年度ないし平成11年度は千円単位の概算),公立保育所における運営経費が民間保育所における運営経費の約2倍となっていることが認められる。 平成7年度公立保育所217万5000円民間保育所90万9000円平成8年度公立保育所223万2000円民間保育所94万6000円平成9年度公立保育所223万4000円民間保育所97万6000円平成10年度公立保育所208万円民間保育所100万4000円平成11年度公立保育所207万2000円民間保育所 平成9年度公立保育所223万4000円民間保育所97万6000円平成10年度公立保育所208万円民間保育所100万4000円平成11年度公立保育所207万2000円民間保育所103万1000円平成12年度公立保育所201万4532円民間保育所104万5718円イまた,証拠(乙33号証,43号証)によれば,ア記載のように公立保育所における運営経費が民間保育所における運営経費の約2倍となっている理由として,保育士の配置数が児童福祉施設最低基準を上回る基準による配置をしている公立保育所と,上記最低基準に沿った配置をしている民間保育所とで下記のとおり違いがあることと,保育士の平均年齢が公立保育所の方が民間保育所よりも高いことによる人件費の差に基づくところが大きいことが認められる。 0歳児公立保育所3:1(児童3人に対し保育士1名。以下同様) 民間保育所3:11歳児公立保育所4:1民間保育所6:12歳児公立保育所6:1民間保育所6:13歳児公立保育所18:1民間保育所20:14・5歳児公立保育所28:1民間保育所30:1ウさらに,証拠(乙42号証,47号証の1,2)によれば,本件改正条例制定時,保育所にかかる超過負担金は,年間で約8億2000万円にのぼっていたことが認められる。 エなお,証拠(乙47号証の1ないし3)によれば,本件保育所の廃止,民営化がされる前の被告の平成13年度決算と,同廃止,民営化がされた後の被告の平成14年度決算とを比較すると,以下のとおりとなっていることが認められる。 (ア)保育所の運営に要する経費a公立保育所平成13年度決算12億3195万0254円平成14年度決算10億6185万6348円差1億7009万3906円減 いることが認められる。 (ア)保育所の運営に要する経費a公立保育所平成13年度決算12億3195万0254円平成14年度決算10億6185万6348円差1億7009万3906円減b民間保育所平成13年度決算2億6822万7250円平成14年度決算3億8255万4480円差1億1432万7230円増c全体平成13年度決算15億0017万7504円平成14年度決算14億4441万0828円差5576万6676円減 (イ)歳入a公立保育所平成13年度決算3億9833万3465円平成14年度決算3億4825万4156円差5007万9309円減b民間保育所平成13年度決算1億7998万7173円平成14年度決算2億5687万5149円差7688万7976円増c全体平成13年度決算5億7832万0638円平成14年度決算6億0512万9305円差2680万8667円増(ウ)差引額((ア)-(イ)の額)a公立保育所平成13年度決算8億3361万6789円平成14年度決算7億1360万2192円差1億2001万4597円減b民間保育所平成13年度決算8824万0077円平成14年度決算1億2567万9331円差3743万9254円増c全体平成13年度決算9億2185万6866円平成14年度決算8億3928万1523円差8257万5343円減(エ)超過負担金の額((ウ)の差引額の一部を構成)a公立保育所平成13年度決算7億6478万3827円平成14年度決算6億5281万6227円差1億1196万7600円減b民間保育所平成13年度決算5193万1839円平成14年度決算7128万5911円 差 78万3827円平成14年度決算6億5281万6227円差1億1196万7600円減b民間保育所平成13年度決算5193万1839円平成14年度決算7128万5911円 差1935万4072円増c全体平成13年度決算8億1671万5666円平成14年度決算7億2410万2138円差9261万3528円減これによると,本件保育所が廃止,民営化された後の平成14年度決算においては,同廃止,民営化前の平成13年度決算に比して,8000万円余の財政効果が生じていることが認められる。 もっとも,この点,原告らが指摘するように,歳入の増加の中には,本件保育所の廃止,民営化とは関係しない増加も存するところである(原告らは,廃止,民営化と無関係な歳入の増加として,413万4000円存する旨指摘している。)。しかしながら,このような点を考慮しても,本件保育所の廃止,民営化により,平成14年度決算において,前年度に比して7000万円を超える財政効果が生じているものと認められる。 この点,原告らは,歳出のうち,一般職給,職員手当等及び共済費の差額合計1億1185万5492円の減少は,正職員10人分の人件費に相当するものであるが,このうち4名は保育所費款外への異動であり,現在も被告の職員であるから,被告の財政全体からみた歳出の削減にはなっていない,また,他の6名は退職者であるが,退職者による歳出の減少は,公務員の退職という事実によって発生するものであり,民営化の効果とはいえない旨主張する。 しかしながら,上記保育所費款外へ異動した4名について,本件保育所の廃止,民営化がなく,上記4名が保育所費款外へ異動しなかった場合には,当該4名の異動先に配置する職員を別に補充しなければならないのであるから,本件保育所の廃止,民営化によ 4名について,本件保育所の廃止,民営化がなく,上記4名が保育所費款外へ異動しなかった場合には,当該4名の異動先に配置する職員を別に補充しなければならないのであるから,本件保育所の廃止,民営化により,人件費が削減されたものといえる。また,退職者6名についても,本件保育所が廃止,民営化されたことにより退職したとすれば,これは本件保育所の廃止,民営化により人 件費が削減されたものといえるし,これとは無関係に退職したとしても,本件保育所の廃止,民営化がなければ,退職者分を補充する職員の配置が必要となるところ,本件保育所の廃止,民営化によりこれが不要となったのであるから,やはり,本件保育所の廃止,民営化により人件費が削減されたものといえる。 オこれらからすると,財政状況が悪化していた被告において,財政効果の点から本件保育所を廃止,民営化したことが,被告の有する裁量権の逸脱ないし濫用に当たるものとは認められない。 なお,原告らは,財政効果の点からは,本件保育所を廃止,民営化するよりも,臨時保育士を雇用した方がより大きな財政効果が見込まれる旨主張する。しかしながら,原告らが主張するような臨時保育士を雇用する方策が,財政効果の実を上げるために被告として採り得る選択肢の1つとなるとしても,かかる方策を採ることなく,本件保育所を廃止,民営化する方法によって財政効果を期したことをもって,裁量権の逸脱ないし濫用に当たるものということはできない。 (4)ア次に,被告は,本件保育所を廃止,民営化する施策を採った理由として,保育サービス供給増の必要性が存した旨主張するので,この点について,以下検討する。 イ待機児童について(ア)証拠(乙13号証)によれば,高石市における待機児童数の推移は,平成12年度は,4月時点においては待機児童は存しなかったが, 張するので,この点について,以下検討する。 イ待機児童について(ア)証拠(乙13号証)によれば,高石市における待機児童数の推移は,平成12年度は,4月時点においては待機児童は存しなかったが,平成13年3月時点では27人の待機児童が存したこと,また,平成13年度は,4月時点において,12人の待機児童が存し,本件改正条例の制定後であるが,平成14年1月には,待機児童数が82人にまで増えたことがそれぞれ認められる。 (イ)また,証拠(乙8号証)によれば,全国的に,保育の需要の急速な 増大とその多様化に対し,特に都市部等で供給が追いつかないことが大きな問題となっていることが認められる。 そして,本件改正条例の制定後であるが,平成13年9月6日には,厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長の各都道府県・指定都市・中核市民政主管部(局)長宛「待機児童ゼロ作戦の推進について」と題する書簡(平成13年9月6日雇児保第35号)が作成されており,その中で,国において待機児童ゼロ作戦を進めることとしているところであるが,都道府県及び市町村においても,厚生労働省がこれまで実施してきた各般の規制緩和措置,予算措置及び来年度概算要求等を踏まえて,地域の保育需要に的確に応えた保育サービスの提供が行われるよう計画的かつ積極的に取り組まれたい旨の記載がされている(乙8号証)。 さらに,平成13年12月11日に総合規制改革会議によって作成された,規制改革の促進に関する第1次答申において,急増する保育需要に対応する方策の1つとして,公立保育所の民間への運営委託等の促進が挙げられており,そこでは,公立保育所においては,社会福祉法人等が運営する認可保育所に比べ,運営コストがかかるだけでなく,利用者のニーズへの迅速かつ的確に対応できないとの問題を抱えている,このた が挙げられており,そこでは,公立保育所においては,社会福祉法人等が運営する認可保育所に比べ,運営コストがかかるだけでなく,利用者のニーズへの迅速かつ的確に対応できないとの問題を抱えている,このため限られた財源を有効に活用し,かつ社会のニーズに応じた保育を実施するという観点から,公立保育所の運営については,社会福祉法人やNPO,民間企業等へ民間委託することも有効な処方箋と考えられる旨記載されている(乙8号証)。 (ウ)本件保育所が廃止,民営化された後の待機児童の状況についてみるに,証拠(甲19号証,67号証の2,乙20号証の1,28号証,証人P12)によれば,被告において公立保育所の民営化を行うに当たり,待機児童の解消を図るため,定員枠を20名程度増やすこととされたこと,本件保育所の定員は120名であったところ,本件保育所の受入可 能枠は150名であったことから,本件保育所を民営化するに際し,定員を140名とすることとされたこと,現にP18が運営するP19保育園においては,定員を140名として運営されており,平成15年4月1日時点では,高石市では待機児童は存しないことがそれぞれ認められる。 (エ)以上からすれば,待機児童を解消することも念頭において本件保育所の廃止,民営化をしたことが,被告の有する裁量権の逸脱ないし濫用に当たるものとは認められない。 ウ延長保育について証拠(甲19号証,67号証の2,73号証の1,2,乙20号証の1)によれば,被告において公立保育所を民営化するに当たり,当時実施されていた午前7時から午後7時までの保育を,さらに1時間ないし2時間程度延長し,午後9時くらいまでの延長保育を行うこととされたこと,本件保育所を民営化するに際しても,開所時間は午前7時から午後7時までとし,さらに2時間程度延長保育 保育を,さらに1時間ないし2時間程度延長し,午後9時くらいまでの延長保育を行うこととされたこと,本件保育所を民営化するに際しても,開所時間は午前7時から午後7時までとし,さらに2時間程度延長保育を実施することとされたこと,現にP18が運営するP19保育園においては,午後9時までの延長保育が実施されていることが認められる。 もっとも,証拠(甲73号証の1,2)によれば,P19保育園における平成14年4月1日から同年7月26日までの午後7時以降の延長保育の実施状況は,同年4月が7日間で延べ10人,同年5月が10日間で延べ13人,同年6月が10日間で延べ14人,同年7月が12日間で延べ19人というものであり,午後7時以降の延長保育の利用者がいない日の方がむしろ多いことが認められる。また,証拠(甲47号証)によれば,被告が平成11年6月に行った子育てに関するアンケート調査の結果では,延長保育については,回答者の約9割が「現在のままでよい」というもの であり,「もっと長く見てもらいたい」との回答は約1割となっていたこと,及び,同アンケート結果では,預かり保育の希望が最も多く,延長保育を希望する割合は,10項目中,7番目にすぎなかったことがそれぞれ認められる。 以上からすれば,延長保育の観点だけをみれば,それ単独で本件保育所を民営化すべきとする十分な理由足り得るかについては疑義も存するところである。しかしながら,上記アンケート結果によっても,約1割の保護者は延長保育を希望していたこと,また,現に数は多くないものの,民営化後のP19保育園において延長保育が実施されており,需要自体は存したものといえることに照らせば,延長保育の実施をも念頭において本件保育所の廃止,民営化をしたことをもって,被告の有する裁量権の逸脱ないし濫用が存するものと認め 長保育が実施されており,需要自体は存したものといえることに照らせば,延長保育の実施をも念頭において本件保育所の廃止,民営化をしたことをもって,被告の有する裁量権の逸脱ないし濫用が存するものと認めることもできない。 (5)以上検討した結果によれば,財政状況が悪化している被告が,財政効果の観点及び民営化による待機児童の解消や延長保育の実施といった保育サービスの拡充の観点から,本件保育所を廃止,民営化したことをもって,裁量権の逸脱ないし濫用に当たると認めることはできない。 なお,原告らは,本件保育所廃止の手続上の違法性を主張する。しかしながら,本件保育所の廃止が児童福祉法33条の4にいう保育の実施の解除には当たらないことは,1(1)エ記載のとおりであるから,被告には,同規定に基づく本件保育所保護者への事前の説明や保護者からの意見聴取義務が存するものとは認められない。してみれば,前提となる事実等(3)記載のような経過を経てした本件保育所の廃止について,本件改正条例の制定による本件廃止処分が被告の裁量権の逸脱ないし濫用と認められるような手続上の違法性は認められないものと解するのが相当である。 他に,被告が本件改正条例の制定によってした本件廃止処分について,被告の裁量権の逸脱ないし濫用が存したものと認めるに足る証拠は存しない。 結論 よって,原告らの各請求のうち,本件廃止処分の取消しを求める主位的請求を棄却し,本件改正条例の無効確認請求及び予防的不作為訴訟等を求める予備的請求に係る訴えをいずれも却下することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官山田知司裁判官田中健治裁判官小野裕信 裁判所第2民事部裁判長裁判官山田知司裁判官田中健治裁判官小野裕信
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