平成24(行ケ)10346 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年6月27日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
ファイル
hanrei-pdf-83385.txt

キーワード

判決文本文26,541 文字)

- 1 -平成25年6月27日判決言渡平成24年(行ケ)第10346号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成25年4月16日判決 原告株式会社カワグチ 訴訟代理人弁理士岡田英彦服部光芳伊藤寿浩太田直矢加藤圭一佐久間卓見 被告特許庁長官指定代理人井出英一郎水莖弥堀内仁子 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた判決特許庁が不服2012-5098号事件について平成24年8月27日にした審 - 2 -決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,商標登録出願に対する拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決取消訴訟である。争点は,①本願商標が商標法3条1項3号に該当するとした審決の判断と,②商標法3条2項に該当しないとした審決の判断の当否である。 以下においては「商標法3条」を単に「法3条」と表記する。 1 本願商標本願商標は,以下のとおりの構成からなる立体商標であって,第9類及び第35類に属する願書に記載されたとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成22年12月27日に出願されたが,その指定商品及び指定役務は,平成23年8月19日に補正され,第9類「ジョイントボックス」(屋内配線の接続部用ボックス)となった を指定商品及び指定役務として,平成22年12月27日に出願されたが,その指定商品及び指定役務は,平成23年8月19日に補正され,第9類「ジョイントボックス」(屋内配線の接続部用ボックス)となった(甲25,29)。 【本願商標】(立体商標) 2 特許庁における手続の経緯 - 3 -本件出願につき,平成23年6月7日,拒絶理由通知書が発送された(甲26)。 原告は,前記指定商品役務についての手続補正書を提出したが(甲29),平成23年12月20日,拒絶査定が発送された(甲31)。 原告は,平成24年3月19日,不服の審判請求をしたが(不服2012-5098号,甲32),特許庁は,平成24年8月27日,請求を不成立とする審決をした。 3 審決の理由の要点(1) 法3条1項3号について本願商標は,上記のとおりの立体的形状よりなるところ,その円筒形状のボックス部分は,電気配線の結束部分を納めるカバー部分であって,かつ,該ボックス部分入り口に接合された13個の三角形状の弁は,その先端が内側を向いており,中心に円形状の穴を有している構造よりなる。そして,電気配線の結束部分を納めるカバー部分が円筒形であることは,その商品の形状としてはごくありふれたものであるといえる(甲4,5)。また,該ボックス部分入り口に接合された13個の三角形状の弁は,電気配線の結束部分をワンタッチでかぶせるために考案された機能的な構造であるといえる。そうとすれば,該立体形状は,本願指定商品に係る「ジョイントボックス」の機能的な構造としての形状の一形態を表したものとみるのが相当である。 そして,本願商標に係る「ジョイントボックス」の形状については,原告が提出した意匠公報検索資料(甲3)に掲載された種々の形状から見ても,インターネット情 状の一形態を表したものとみるのが相当である。 そして,本願商標に係る「ジョイントボックス」の形状については,原告が提出した意匠公報検索資料(甲3)に掲載された種々の形状から見ても,インターネット情報(甲5ないし7)によってもさまざまな形のものが考案されているところである。してみれば,本願商標をその指定商品である「ジョイントボックス」に使用しても,取引者,需要者は,単に上記商品の形状を表示するにすぎないものとして理解するにとどまり,自他商品を認識するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。 したがって,本願商標は,法3条1項3号に該当する。 また,法3条1項3号に該当するとして,商標登録を受けることができない立体商標は,商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標である。すなわち,商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発 - 4 -明ないし考案として,商品等の美感の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが,これらの法の保護の対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,商品等の形状について,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反する。 (2) 法3条2項について出願に係る商標が,指定商品の品質等を表示するものとして法3条1項3号から5号に該当する場合に,それが同条2項に該当し,登録が認められるかどうかは,使用に係る商標及び商品(役務),商標の使用開始 出願に係る商標が,指定商品の品質等を表示するものとして法3条1項3号から5号に該当する場合に,それが同条2項に該当し,登録が認められるかどうかは,使用に係る商標及び商品(役務),商標の使用開始時期及び使用期間,使用地域,当該商品(役務)の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して,出願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品(役務)であることを認識できるものと認められるかどうかによって決すべきものであり,その場合に,使用に係る商標及び商品(役務)は,原則として出願に係る商標及びその指定商品(指定役務)と同一であることを要するものというべきである。 原告により提出された証拠を総合判断するに,商品の「ジョイントボックス」について,本願商標の立体的形状を使用していることは理解できるが,その特徴的なボックス部分入り口に接合された13個の三角形状の弁が明確に表されている証拠は,新聞(甲8)と雑誌(甲16)における写真のみである。そして,本願商標の立体的形状を用いている商品(「使用商品」という。)には,「ナイスハット」の文字商標が使用されている(甲1,2,8,16,18)。さらに,「ナイスハットHタイプ年度別生産・販売・市場占有率」と題する表(甲9)によれば,販売数量及び販売価格は,最も多いときは,平成16年度ないし平成18年度の約920万個の約1億5700万円であり,市場占有率は,最も多いときは平成19年度の87.0%となっている。しかしながら,本願商標の使用期間は15年程度であって,新聞,雑誌に使用商品が取り上げられた記事等があるものの,その使用商品についての宣伝,広告の証拠は提出されていない。さらに,本願商標に係る使用商品の販売数量を客観的に裏付ける証拠はなく,取引先や販売店舗数,販売地域等も明らかではない。そして があるものの,その使用商品についての宣伝,広告の証拠は提出されていない。さらに,本願商標に係る使用商品の販売数量を客観的に裏付ける証拠はなく,取引先や販売店舗数,販売地域等も明らかではない。そして,市場占有率において,着工新設住宅に - 5 -おける木造住宅のみの戸数を対象とし,また,平均的に1戸に使用されるジョイントボックスの数量を約20個とした具体的根拠も不明確である。さらに,原告が提出したアンケート結果(甲19)については,電気設備工事業者及び電設資材卸業者のみであるところ,回収率は1893社中556社で29.4%と少なく,信ぴょう性に乏しい上に,対象者はいずれもジョイントボックスを日常的に取り扱っている専門家であるにもかかわらず,本願商標のジョイントボックスの形状からの「カワグチ」又は「ナイスハット」の想起率は69.1%で決して高いと認めることができず,専門家を対象としていることから「知らない」という回答をしづらい傾向となることも考えられ,一定程度の認知度は認められるものの,本願商標のジョイントボックスが周知性を有するとまではいえない。 したがって,原告が提出した証拠によって,本願商標が,その指定商品に使用された結果,取引者,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(法3条1項3号に係る判断の誤り)(1) 審決の判断はボックス部分(カバー部分)の形状,すなわち円筒形の部分を重視したものであって,本願商標の弁形状を軽視した判断であり,失当である。 本願商標の特異かつ特徴的な形状は,主として弁の部分にある。他のジョイントボックスにおいて,本願商標のような弁形状を採用したものは存在せず,本願商標の弁形状は全く斬新な形状であって ,失当である。 本願商標の特異かつ特徴的な形状は,主として弁の部分にある。他のジョイントボックスにおいて,本願商標のような弁形状を採用したものは存在せず,本願商標の弁形状は全く斬新な形状であって,かつ単にジョイントボックスの機能的な構造の一形態を表示しただけのものでもない。一般的に,商品の形状は何らかの目的があって施されるものであり,機能面を考慮しながらも,特別な印象を与える装飾的な形状として施されることも珍しくない。しかも,商品の内容や種類によっては,その機能とは全く関係のない形状を採用することができない商品も存在する。本願商標に係るジョイントボックスの形状は,電気配線の結束部分にかぶせることによって配線の結束部分が弁を通過し,弁が戻ろうとする働きによりジョイントボック - 6 -スが固定されるというものであり(甲1,2),ジョイントボックスを固定するという意味においては,その機能とは全く関係のない形状を採用することができない商品である。ジョイントボックスの性質に鑑みると,本願商標のジョイントボックスは家屋の配線工事において配線を結束するものであることから,これを取り扱う需要者または取引者は電気設備工事業者等の専門業者に限られる。この場合,個人の嗜好に基づく形状は採用され難く,実務的な機能が求められる傾向がある。これに対し,本願商標は,このような実務的な機能を担保しながらも,弁形状においては従来なかった特別な印象を与える装飾的な形状として具現化したものである。 立体商標において自他商品識別力を有するか否かは,ある程度機能面も考慮された形状であったとしても,その商品の内容,種類あるいは性質に基づいて判断されるべきであって,他の同種の商品にはない特徴的な形状を有する以上,自他商品識別力を有するものである。ジョイントボックスという た形状であったとしても,その商品の内容,種類あるいは性質に基づいて判断されるべきであって,他の同種の商品にはない特徴的な形状を有する以上,自他商品識別力を有するものである。ジョイントボックスという商品の性質上,配線を結束する又は固定するという機能は本来的な機能であって,必要不可欠であるといえる。 その上で,本願商標は,固定するという機能を他の同種の商品にはない弁という予測し難い特異な形態で実現しているのであって,ジョイントボックスにおいて一般的に採用し得る形状ではない。具体的には,従来のジョイントボックスでは固定台を設けて固定していたのに対し,本願商標は固定台を廃してワンタッチで取り付けられるという機能を斬新な形状で実現したものである。このように,機能とは関連性のない装飾的な形状を採用しづらいジョイントボックスにおいて,本願商標はグレープフルーツを切断したような特別な印象を与える自他識別力をも兼ねそろえた特異な形状である。本願商標は,一見すると指定商品を想起し得る形状ではなく,弁形状が極めて特異な形状及び特別な印象を与えるものであるから,本願商標が法3条1項3号に該当するか否かの判断にあたり参考とされるべきものである。 してみれば,審決が,「本願商標の弁形状が機能に基づく形状であるからといって,取引者,需要者が商品の形状を表示するにすぎないと認識し,自他商品識別標識として認識し得ない」と認定したのは,本願商標の弁形状を軽視し,基本的に商品の - 7 -形状のみに基づく立体商標の登録を認めないという先入観で判断したものであると疑わざるを得ない。 (2) 商品等の形状は,本来的には自他商品等の識別標識というよりも,商品等の機能又は美感をより発揮させるものとして採択されるものが多いのは事実であるが,「全体としてみた場合,商品等の機能 ない。 (2) 商品等の形状は,本来的には自他商品等の識別標識というよりも,商品等の機能又は美感をより発揮させるものとして採択されるものが多いのは事実であるが,「全体としてみた場合,商品等の機能,美感を発揮させるために必要な形状を有している場合,これに接する取引者,需要者は商品等の形状を表示したものと認識するに止まる」との審決の判断には誤解がある。 すなわち,取引者又は需要者が商品等の形状を表示したものと認識するのは,その商品について必要不可欠な形状,一般的に採用し得る機能又は美感を感得し得る形状であって,商品の全体をみて,商品の用途,機能,さらには取引状況から予測し難い特異な形状や特別な印象を与える装飾的形状を備えている場合には,これに接する取引者又は需要者は,単に商品等の形状を表示したものと認識するに止まらず,当該形状に自然と目に留まるものである。例えば,カバー部分を造営材等に固定するための固定孔を有している形状,開口部が結線束の挿入,抜脱を考慮した構造として形成されている形状は,需要者において予測し得る範囲内のものであるとはいえない。また,固定に関しては,被告の比較対象とするジョイントボックス(乙1ないし3,5)は,固定台を用いて造営材へ固定するものがほとんどであるが,原告商品は,弁の戻ろうとする動きにより結線部分を固定できるので造営材に固定すべき必然性はないし,開口部についても,乙4のジョイントボックスは,2枚の保持部を内側に折りたたんで使用する必要があり,原告商品のようにワンタッチでかぶせるものとは機能も利便性も異なる。 本願商標は,その形状のみをもって,取引者や需要者には原告の商品であるとの認識で定着している。これは,本願商標が他の同種の商品にはない特徴的な形状であるからに他ならない。すなわち,ジョイントボックスとい 商標は,その形状のみをもって,取引者や需要者には原告の商品であるとの認識で定着している。これは,本願商標が他の同種の商品にはない特徴的な形状であるからに他ならない。すなわち,ジョイントボックスという商品の用途,機能及び他の同種のジョイントボックスの形状等から鑑みて,取引者,需要者は本願商標の突飛で斬新な形状をした形状を頼りに商品を識別しているとしか考えられない。 - 8 -(3) 審決では,「本願商標について,商品等の機能又は美感と関わる形状は,多少特異なものであっても,未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当であって,商品等の形状をもって構成される本願商標は,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として法3条1項3号に該当し,商標登録を受けることができない」と認定している。 しかしながら,本願商標がジョイントボックスの形状そのものを認識できるに止まらないことは,原告が電気設備工事業者及び電設資材卸売業者に対して行ったアンケートから明らかである。すなわち,本願商標の形状を見て「知らない」と回答した者が,自由回答集において当該商品を「天井穴開け用のカバー」,「野菜・果物の桟又は絞り器」,「水切り」,「なべ,つけもの用たる」,「掃除機用バケツ又はほこり入れ」,「果物をしぼる道具」等の様々な回答をしていることからも明らかである(甲19・①問2 30~37)。 この事実に基づけば,本願商標は「商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域」を逸脱した,ジョイントボックスの固定観念を覆す程の極めて特異な形状であることは明らかである。また,そもそも被告の主張する「商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域」の定義ないし範囲が不明確であり,この点について スの固定観念を覆す程の極めて特異な形状であることは明らかである。また,そもそも被告の主張する「商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域」の定義ないし範囲が不明確であり,この点について,被告からは何ら説明もないし根拠も示されていない。 (4) 審決は,「特許法・実用新案法の保護対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,商品等の形状について,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反する。」と判断した。 しかしながら,審決は,商標法の法目的の本質を理解せず,特許法及び意匠法と同列に並べて解釈したものであり,明らかに誤りである。 特許法及び意匠法は創作物である発明やデザインが保護対象であり,商標法の保護対象は業務上の信用と需要者の利益であって商品等の形状そのものではない。と - 9 -すれば,業務上の信用が化体し続ける限り,その商標は更新により保護され,かつ需要者の利益も保護されるべきものである。本願商標はその形状のみを以って取引者や需要者において原告の商品であることが認識(識別)されている。これは,本願商標の形状そのものに業務上の信用が化体しているにほかならない。商標法は特許法や意匠法とは本質的に異なる制度趣旨であって,かつ仮に弊害が生じてもこれを是正できる制度も構築されている以上,「商品等の形状を特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて,商標権により半永久的に独占権を認める結果を生じさせることになるから,自由競争の不当な制限に当たり公益に反する」という審決の判断は,商標法の法目的の本質を理解せず,特許法 る権利の存続期間を超えて,商標権により半永久的に独占権を認める結果を生じさせることになるから,自由競争の不当な制限に当たり公益に反する」という審決の判断は,商標法の法目的の本質を理解せず,特許法及び意匠法の法目的と同列に並べて解釈したものであり,明らかに失当である。本願商標は,その形状そのものに業務上の信用が化体している以上,仮に半永久的に保護されるとしても何ら問題はなく,むしろ積極的に保護されるべきものである。 (5) 以上によれば,本願商標の弁形状は極めて特異な形状であり,本願商標を指定商品「ジョイントボックス」に使用しても取引者,需要者は,単に上記商品の形状を表示するにすぎないものとして理解するには止まらず,自他商品識別標識として認識し得るものであるから,本願商標は法3条1項3号には該当しない。 2 取消事由2(法3条2項に係る判断の誤り)(1) 原告が提出した証拠の中に,本願商標に係る商品の弁の正確な個数まで把握できるものが少ないのは否めないが,本願商標の特徴は,弁の個数というより弁を採用した形状そのものにある。そうすると,原告が提出した証拠から本願商標に係るジョイントボックス全体形状を把握するには十分であり,本願商標と原告が販売するジョイントボックスの形状の同一性を損なうこともない。 (2) また,審決では,「使用商品には「ナイスハット」の文字商標が使用されているものである」と認定しているが,この点についても,本願商標と原告が販売するジョイントボックスが同一性を損なうことはない。 原告が文字商標「ナイスハット」を使用するのは,商品取引において単に商品種 - 10 -別(ジョイントボックス)や品番を用いるよりも取引を円滑に行えるからである。 しかも,原告が提出したアンケート結果(甲19・24頁)によれば を使用するのは,商品取引において単に商品種 - 10 -別(ジョイントボックス)や品番を用いるよりも取引を円滑に行えるからである。 しかも,原告が提出したアンケート結果(甲19・24頁)によれば,本願商標に係るジョイントボックスの形状のみを見て「知っている」もしくは「知っているような気がする」と回答した者(以下,「商品認知者」という。)のうち,原告を想起した割合は62.7%もあり,本願商標に係るジョイントボックスは,その形状のみで需要者又は取引者である電気設備工事業者等に認知され,既に高い周知性を獲得していることは明らかである。 (3)ア審決では,「使用商品についての宣伝,広告の証拠は,まったく提出されていない。さらに,本願商標に係る使用商品の販売数量を客観的に裏付ける証拠もなく,取引先や販売店舗数,販売地域等も明らかではない」と認定している。 原告がこれまで販売してきた本願商標に係るジョイントボックスの販売数量は以下のとおりである(甲9,40。なお,販売資料〔甲44〕と記載が合致していない部分があるが,甲9,40は過去の大まかな販売数量を把握するために管理システムから算出したものであり,甲44の方が正確である。納品書〔甲41,42〕の記載と合致していない部分があるのは,納品書に漏れがあったためである。)。 平成8年約455万個平成9年約588万個平成10年約582万個平成11年約696万個平成12年約800万個平成13年約816万個平成14年約829万個平成15年約920万個平成16年約920万個平成17年約920万個平成18年約920万個平成19年約880万個平成20年約790万個平成21年約680万個平成22 万個平成16年約920万個平成17年約920万個平成18年約920万個平成19年約880万個平成20年約790万個平成21年約680万個平成22年約710万個平成23年約675万個ところで,本願商標に係るジョイントボックスは,原告の取引先である代理店に納品され,これらの代理店から電設資材卸売業者を通じて全国の電気工事会社へ販売されているといった取引実情がある。また,本件アンケートにおいて,電気設備 - 11 -工事業者あるいは電設資材卸売業者の約7割が,本願商標から原告を想起している(甲19・24頁)。さらに,本願商標の商品認知者のうち91.3%の者が本願商標に係るジョイントボックスを現在又は過去に取り扱ったことがあると回答している(甲19・27頁[14])。 してみれば,本願商標は高い周知性を獲得しており,ジョイントボックスの業界におけるシェアは他社とは比較にならない程に高いものであるため,そもそも原告には宣伝・広告を大々的に行う必要はない。それ故に,「使用商品についての宣伝,広告の証拠は,まったく提出されていない」のである。既に高いシェア及び周知性を獲得しているにもかかわらず,さらに高額な費用を投じて宣伝・広告を行う意味はない。費用対効果が極めて悪いからである。このように,極めて高いシェアを獲得している場合,もはや大々的な宣伝・広告を行う必要のないことは電設資材業界のみならず全ての業界においても常識的にあり得ることであり,大々的な宣伝・広告を行っていないことをもって本願商標の周知性が否定されるものではない。本件の場合,大々的な宣伝・広告を行っていない事実は,逆に本願商標が既に高い周知性を獲得している事実としても認定できる。 イまた,審決は,原告が提出し 商標の周知性が否定されるものではない。本件の場合,大々的な宣伝・広告を行っていない事実は,逆に本願商標が既に高い周知性を獲得している事実としても認定できる。 イまた,審決は,原告が提出した本願商標のジョイントボックスの市場占有率に関する証拠(甲9)について「原告の主張する市場占有率は信用性にかけるものといわざるを得ず,採用することができない」と判断した。 確かにこれに関する裏づけ証拠は提出していないが,これは証拠を提出しようがないからである。住宅には多種多様なものがあり,一戸当たりで使用するジョイントボックスの数にはバラツキがあり,業界において公的に一定の基準を設けることができないからである。もっとも,木造住宅1戸当たりのジョイントボックスの使用個数の証言については複数の電気設備工事事業者から獲得できており(甲53以下),原告の算定の前提に誤りはない。本件においては,ジョイントボックスを取り扱う電気設備工事業者が木造住宅一個当たりに取り扱うジョイントボックスの個数を経験則に基づいて算出したものであり,長年培った経験則でも充分に信用性に足 - 12 -りるものである(なお,原告商品は原則として木造住宅用のものであるから,基本的には鉄筋コンクリート造りの建造物にはほとんど使用されない。リーフレット〔甲1,2〕には木造住宅用とは記載していないが,使用例として造営材への使用を記載している。原告のウェブサイト〔乙12〕も鉄筋・鉄骨住宅への使用を否定していないだけで,主な使用用途を木造住宅用と明示している。)。しかも,本件アンケート(甲19・24頁)の全趣旨から,本願商標は高い周知性を獲得しているのは明らかであり,原告の本願商標に係るジョイントボックスの販売実績(甲40)から鑑みても,原告が提出した本願商標のジョイントボックスの市 9・24頁)の全趣旨から,本願商標は高い周知性を獲得しているのは明らかであり,原告の本願商標に係るジョイントボックスの販売実績(甲40)から鑑みても,原告が提出した本願商標のジョイントボックスの市場占有率に関する証拠(甲9)は,充分に信頼のおけるものといえる。木造住宅一戸当たり平均20個のジョイントボックスが使用されるとの前提で,国土交通省資料による木造住宅着工数(平成22年度であれば46万4140戸)を基礎数値として算出すれば,使用商品の市場シェアは70%以上になり(甲9,40),仮に誤差が±20%あったとしても市場シェアは50%を下らない。 (4) 審決では,「アンケートの対象者は,電気設備工事業者及び電設資材卸売業者のみであるところ,1893社のうち回答したのは556社であり,その回収率も29.4%と少なく,そもそも信ぴょう性に乏しい」旨主張する。 この点について,市場調査専門会社であって,市場調査に関して高い専門的知識と経験を有する株式会社日本リサーチセンターから,本件アンケートの内容(調査方法)に鑑みれば,その回収率が29.4%という結果は,過去のアンケート実績と比較しても高い結果であるという陳述を得ている(甲39)。過去に株式会社日本リサーチセンターが実施したアンケート調査のうち,本件アンケートの条件(調査対象:事業所,発送方法:郵便,回答方法:郵送等)に近いアンケートでの回収率は,調査母体数に対して概ね10%~20%程度であり,本件アンケートの回収率が29.4%という結果は,予想以上に高いものであったことが理解できる。なお,原告は本件アンケートを実施する際,その回答率が10%程度であると予想した上で,統計学上,信ぴょう性のおける回答数を得るために調査母体数(約1900社) - 13 -を決定した。したがって, ,原告は本件アンケートを実施する際,その回答率が10%程度であると予想した上で,統計学上,信ぴょう性のおける回答数を得るために調査母体数(約1900社) - 13 -を決定した。したがって,調査対象が1893社であって,回答数556社という数字は,統計学上充分に信頼性の高い数字である。 してみれば,審決において「回収率が少なく,信憑性に乏しい」との指摘は根拠がなく,極めて主観的なものであるといわざるをえない。 (5) 審決では,「アンケートの対象者はジョイントボックスを日常的に取り扱っている専門家であって,数ある種類のジョイントボックスを熟知していると考えられるにもかかわらず,本願商標のジョイントボックスの形状から,「カワグチ」もしくは「ナイスハット」いずれかの想起率は,69.1%であり,決して高いものではない」と指摘する。 確かに,アンケートの対象者はジョイントボックスを取り扱っている専門家であるが,その専門家の約7割が本願商標に係るジョイントボックスの形状のみから原告を想起しているのであり,本願商標に係るジョイントボックスの商品認知者(甲19・27頁[12])でいえば,約8割にあたる79.2%の者が原告を想起しているのであり,本願商標に係るジョイントボックスが原告の出所を表す識別標識として周知性を獲得していることは明らかである。さらに,本件アンケートにおいて本願商標に係るジョイントボックスの商品認知者(485社)のうち,91.3%に当たる443社が現在又は過去に本願商標に係るジョイントボックスを取扱ったことがあると回答した事実からも,これらの専門家は,数ある種類のジョイントボックスを熟知しているからというより,本願商標に係るジョイントボックスを現在又は過去に使用した経験があるからこそ想起できたと解するのが自然であ た事実からも,これらの専門家は,数ある種類のジョイントボックスを熟知しているからというより,本願商標に係るジョイントボックスを現在又は過去に使用した経験があるからこそ想起できたと解するのが自然である(甲19・27頁[14]問6)。なお,本願商標に係るジョイントボックスは,主に木造住宅の屋内配線工事の際に使用される特殊な商品であるから,一般消費者が使用することはほとんどあり得ず,小売店などは主たる需要者とはいえず,原告が販売を全く想定していない個人を含む一般消費者向けの小売店等にまで拡大することは,主たる需要者の認知度を測るものとして適切ではない。 審決では「アンケート対象者は,その道の専門家であるゆえ,該アンケートを回 - 14 -答するに際し,心理的に知らないと回答しづらい傾向になることも考えられ,社内で調査のうえ,回答したものも少なくないものと推認し得る。」と指摘するが,本件アンケートに回答するか否かはあくまで任意によるものであって,「専門家であるゆえ心理的に知らないと回答しづらい」のであれば,わざわざ郵送又はFAX等による回答をしない(面倒臭いことをしない)と考えるのが自然である。 また,アンケートは全国の電気設備工事業者及び電設資材卸業者を対象とするものであるから,郵送やFAX等によるアンケートを採用するのは合理的であるといえる。 さらに,本願商標に係るジョイントボックスの取引者,需要者は,上述のように電気設備工事業者及び電設資材卸業者に限られるので,当該取引者,需要者に直接アンケートをとる事は当然であって,ジョイントボックスの取引者,需要者ではない者に対してアンケートしても意味はなく,真の周知性は立証できない。 (6) 以上によれば,本願商標は原告に長年使用された結果,需要者又は取引業者である電気設備工事 ックスの取引者,需要者ではない者に対してアンケートしても意味はなく,真の周知性は立証できない。 (6) 以上によれば,本願商標は原告に長年使用された結果,需要者又は取引業者である電気設備工事業者あるいは電設資材卸売業者に対して周知性を獲得しているといえるから,法3条2項の適用を受けて登録されるべきものである。 第4 被告の反論 1 取消事由1に対し(法3条1項3号該当性)(1) 本願商標の構成本願商標は,指定商品第9類「ジョイントボックス」の立体的形状に係るものであり,同形状は,次のような特徴(以下,これらの特徴をそれぞれ「特徴点a」などという。)を有している。 a 本体は,透明な円筒形状の容器(カバー部分)であり,その形状は,上部に向かってやや広がっていき,上部5分の1相当部分では,段を設けて一回り大きく成形され,最上端部には縁部が設けられている。 b 本体のカバー部分内部は,結線束を入れるために,空洞となっている。 - 15 -c 本体の上面縁部には,本体を造営材(固定できる部材)に固定するための固定孔が左右2箇所に設けられている。 d 本体のカバー部分へ結線束を収納するための開口部付近の内側には,13個の三角形状の弁体が成形されている。 e 13個の三角形状の弁体は,その先端がカバー部分の内部に向かって90度折れ曲がっており,そのため,中心に略円形状の穴を有している。 (2) 原告商品の機能及び形状についてア第9類「ジョイントボックス」は,建造物の電気配線において,結線部分の漏電や絶縁不良を防止するための配線器具であって,コネクター(電線と電線または電気器具とを接続するための電気部品。),スリーブ(絶縁や結束保護に用いる,ナイロン・ガラス製の具。)及びその結線(以下,こ 電や絶縁不良を防止するための配線器具であって,コネクター(電線と電線または電気器具とを接続するための電気部品。),スリーブ(絶縁や結束保護に用いる,ナイロン・ガラス製の具。)及びその結線(以下,これらをまとめて「結線束」という場合がある。)をほこりや水などの外的要因から保護(カバー)するために使用されるものである(甲1,2,4)。 イ各種ウェブサイト(乙1ないし5)によれば,「ジョイントボックス」として用いられるものとしては,①電気配線の結線束を収納するためのカバー部分を有すること,②カバー部分の形状が様々であること,③カバー部分を造営材等に固定するための固定孔部分を有しているものが多いこと,④開口部の形状は,結線束の挿入,抜脱を考慮した構造として成形されていること,特に,内側に折りたたんで使用する2枚の保持部を有し,上からかぶせるだけで簡単に取付けができるように成形されたものもあること(乙4)といった特徴が認められる。 (3) 本願商標の立体的形状と商品「ジョイントボックス」との比較リーフレット(甲1,2)によれば,本願商標の立体的形状のうち,特徴点a~cは,結線束を収納するための基本的な形状であって,このうち端部の固定孔は,本体を造営材に固定するという機能に資するものであり,特徴点d及びeに係る弁体は,結線束を開口部からカバー部分内部に押し込んで収納する際に,弾力的に曲がってその収納を容易にし,また,収納された結線束がカバー部分から抜脱するの - 16 -を防ぐという機能に資するとともに,13個の三角形状弁体を円状に並べ,中央に略円形状の穴を有することで,開口部に一定程度の美観を与えるものといえる。 特に,開口部の弁体からなる形状については,他にもワンタッチでかぶせるジョイントボックスが実際にあって,その形状は, 中央に略円形状の穴を有することで,開口部に一定程度の美観を与えるものといえる。 特に,開口部の弁体からなる形状については,他にもワンタッチでかぶせるジョイントボックスが実際にあって,その形状は,2枚の弁状ともいえる部分を開口部に有するタイプ(乙4)のものもあるのであるから,審決時においては,本願商標の弁体は予想し得る範囲内の形状であって斬新なものであるとはいえないし,仮に,その開口部の形状が斬新な形状であったとしても,それは,電気配線の結束部分にかぶせることによって配線の結束部分が弁体を通過し,弁体が戻ろうとする働きによりジョイントボックスが固定されるという,正に機能に資するための形状にほかならない。 このように,本願商標に係る立体的形状は,商品「ジョイントボックス」における前記(2)イ①~④のような形状を組み合わせた範囲を大きく超えるものとは認められない。 そうすると,本願商標に係る立体的形状は,審決時(平成24年8月27日)を基準として,客観的に見れば,「ジョイントボックス」の機能又は美感を効果的に高めるために採用されるものであって,また,「ジョイントボックス」の形状として,需要者において予測し得る範囲内のものというべきである。 (4) 本願商標の識別性について以上によれば,本願商標の立体的形状は,客観的に見れば,指定商品である「ジョイントボックス」の機能又は美感に資することを目的とする形状からなるものというべきであるから,本願商標は,商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,法3条1項3号に該当する。 2 取消事由2に対し(法3条2項の非該当性)(1) 本願商標の本条項の該当性についてア本願商標の形状及び当該形状に類似した他の商品等の存否についてリーフレット(甲1,2 する。 2 取消事由2に対し(法3条2項の非該当性)(1) 本願商標の本条項の該当性についてア本願商標の形状及び当該形状に類似した他の商品等の存否についてリーフレット(甲1,2)によれば,原告が本願商標の特異かつ特徴的な形状と - 17 -主張する開口部の弁体形状を含む,本願商標に係る立体的形状からなる商品「ジョイントボックス」(以下「使用商品」という。)については,特許・意匠登録を有する(ナイスハットの周辺特許・意匠を各20件出願中である)旨の表示がなされている。 被告が調査したところによれば,使用商品に関連する特許権及び意匠権は数多く存在しており(乙6ないし11),例えば,特許権として特許第3162239号(乙7)等及び意匠権として登録第1427780号(乙10)等が存在する。 したがって,使用商品については,審決時はもとより現時点においても,上記特許権・意匠権で保護されている機能及び形状に関し,第三者は,それらの権利と抵触するような同種商品を製造,販売することは許されず,そのため,本願商標の形状及び当該形状に類似した他の商品等の存在も認められないところであり,この意味において,使用商品は,同種の商品に見られない独特の形状を有するともいえる。 しかし,商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発明ないし考案として,商品等の美感の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが(現に使用商品については,上記のとおり,独占権が付与されている。),これらの法の保護の対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有 商品については,上記のとおり,独占権が付与されている。),これらの法の保護の対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,商品等の形状について,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反する。 したがって,審決時において,本願商標の形状及び当該形状に類似した他の商品等が存在しないとしても,この点は何ら評価に値しない。 イ本願商標が使用された期間,商品の販売数量,広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情について(ア) 原告は,愛知県に本社を置く,絶縁ステップル,リングスリーブ,差 - 18 -込形電線コネクタ,屋内用透明ジョイントボックス等を取り扱い製品とする会社である(乙12)。 (イ) 原告の使用商品には,常に「ナイスハット」の商標が使用され,販売されている(甲1,2,乙13,14)。 (ウ) 使用商品の販売数量及び販売金額は,平成8年度の455万個の約7,700万円に始まり,最も多いときは,平成16年度ないし平成18年度の920万個の約1億5700万円,平成23年度は,675万個で約1億4800万円である(甲9,40)。 (エ) 商標「ナイスハット」の付された使用商品については,販売開始後17年ほどの間に,「発明と生活」,「ZENKAN」,「TRIGGER」等の雑誌で計6回,「電材流通新聞」,「日刊工業新聞」,「FTジャーナル」の新聞で計5回,掲載され紹介されている(甲8,11ないし18,23,24)。 (オ) 商標「ナイスハット」の付された使用商品について,その特徴的なカバー部分の開口部の入り口に成形さ Tジャーナル」の新聞で計5回,掲載され紹介されている(甲8,11ないし18,23,24)。 (オ) 商標「ナイスハット」の付された使用商品について,その特徴的なカバー部分の開口部の入り口に成形された13個の三角形状の弁体が明確に表されている証拠は,新聞(甲8)及び雑誌(甲16,45)における写真のみである。 (カ) 本件アンケートの結果(甲19)によれば,電気設備工事業者あるいは電設資材卸売業者の約7割が,本願商標から原告を想起している。 ウ評価(ア) 前記イ(ウ)によれば,使用商品の販売数量については,それ相当の数量が製造,販売されていることは認められるものの,業界における商品「ジョイントボックス」自体の総販売数量が定かではないことから,その市場シェアは明らかであるとはいえない。 この点につき,原告は,木造住宅一戸当たり平均20個のジョイントボックスが使用されるとの前提で,使用商品は主に木造住宅に使用されると述べ,これを国土交通省資料による木造住宅着工数(平成22年度であれば46万4140戸)を基礎数値として算出すれば,使用商品の市場シェアは70%以上になるし(甲9,4 - 19 -0),仮に誤差が±20%あったとしても市場シェアは50%を下らないことは明白であると主張する。 しかし,使用商品に係るリーフレット(甲1,2)ですら,主たる用途が木造住宅用とは記されておらず,むしろ,雑誌の記事(甲17)には「ジョイントボックスは,木造,鉄骨住宅などの電気工事において,・・・結線部分を絶縁するときに使う。」との記載があるし,また,原告のウェブサイト(乙12)にある「よくある質問」の中にも,「Q:ナイスハットHタイプ(注:使用商品)とMタイプどう違いますか?」との質問に対し,「A:Hタイプは主に木造住宅用。Mタイプは ,また,原告のウェブサイト(乙12)にある「よくある質問」の中にも,「Q:ナイスハットHタイプ(注:使用商品)とMタイプどう違いますか?」との質問に対し,「A:Hタイプは主に木造住宅用。Mタイプは主に鉄筋・鉄骨の二重天井の先行配線用に開発しましたが,用途は同じですので状況に応じて選んで下さい。」との回答があり,これらのことからすれば,使用商品の開発時の意図はともかくとして,実際に使用される使用商品の用途が木造住宅用に限定されるものでないことは明らかである。そして,使用商品の納入実績表(甲10)に記載されている集合住宅,校舎,公民館,老人ホーム等の多数の建造物は,その事実を裏付けるものとしてみるべきである。 また,インターネット情報によれば,「総務の森」のウェブページには,「1. 日本一休みが多くても不況知らずの未来工業!/岐阜県輪之内町に未来工業という住設部品メーカーがある。創業者は・・・だ。例えば一軒の戸建住宅に配電用のジョイントボックスが50個前後使用される。大きなビルなら数千個も使われる。これらの部品のシェアを70%以上握っているから強いのだ。」の記載がある(乙15)。 仮に,木造住宅一戸当たりのジョイントボックス平均使用数が20個ではなく50個であるとすれば,単純計算で市場シェアは70%から30%弱になるし,一戸当たりの使用個数が断然増える鉄筋・鉄骨住宅を含む総戸数(平成22年度であれば819,020戸)を基礎数値として計算するならば,10%を下回る可能性すらあり得るものである。 よって,原告が主張する使用商品の市場シェアは,信ぴょう性を欠くものといわ - 20 -ざるを得ない。 (イ) また,本願商標が使用された期間は,前記イ(ウ)によれば,平成8年に使用を開始したものと認められるから,審決時点(平成24年 は,信ぴょう性を欠くものといわ - 20 -ざるを得ない。 (イ) また,本願商標が使用された期間は,前記イ(ウ)によれば,平成8年に使用を開始したものと認められるから,審決時点(平成24年8月27日)では,17年ほどの使用ということになるが,前記アのとおり,当該使用期間は,使用商品に関連する特許権・意匠権による保護下での使用である。 (ウ) 使用商品は,その使用期間中,雑誌,新聞等において幾度か紹介されているものの,使用商品の宣伝広告は,ほとんどなされていないというのが実態である。 (エ) また,アンケートの対象者は,電気設備工事業者あるいは電設資材卸売業者であるところ,使用商品において,前者は需要者であり,後者は取引者であると解される。ここで,使用商品の取引者が電設資材卸売業者すなわち卸売業者に限定されているのは,原告の現在の商取引における個別的な事情によるものである。 しかし,一般に,商品「ジョイントボックス」の取引者とは,卸売業者に限定されるものではなく,これを取り扱う小売店(電器店,ホームセンター等)も含まれる。したがって,そのような個別的な取引の事情に基づき対象者を限定したアンケート結果において,原告を想起する割合が約7割という結果が出たことは,ある意味当然であろうから,決して高いものとはいえない。むしろ,そのような調査ですら,残り約3割の者は,原告以外の者を想起するという結果が出たと評価すべきである。 (2) 小括以上からすると,本願商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかについて,①当該商標の形状及び当該形状に類似した他の商品等の存否の要件については,前記(1)アのとおり,本願商標に係る立体的形状からなる商品「ジョイントボックス」にあっては,第三者は,これと同種の形状からなる商品を製造,販売す 当該形状に類似した他の商品等の存否の要件については,前記(1)アのとおり,本願商標に係る立体的形状からなる商品「ジョイントボックス」にあっては,第三者は,これと同種の形状からなる商品を製造,販売することができないものである。同じく②当該商標が使用された期間,商品の販売数量,広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情の要件については,前記(1)イのとお - 21 -り,当該商標が使用された期間,商品の販売数量等の事情を参酌したとしても,市場シェアについては信ぴょう性を欠くといわざるを得ず,また,広告宣伝がされた実情がほとんどなく,取引者を限定したアンケートですら,約3割の取引者,需要者が原告以外の者を想起するという結果が出ているのであるから,これらを総合的に勘案すれば,いまだ本願商標に係る立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得するに至っているとまではいえないというべきである。 したがって,本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるものとはいえないから,法3条2項の要件を具備しない。 第5 当裁判所の判断 1 前記第2の1【本願商標】の各図から,本願商標の形状について次のとおり認められる。 ① 本体は,透明な円筒形状の容器(カバー部分)であり,その形状は,上部に向かってやや広がっていき,上部5分の1相当部分では,段を設けて一回り大きく成形され,最上端部には縁部が設けられている。 ② 本体のカバー部分内部は,結線束を入れるために空洞となっている。 ③ 本体の上面縁部には,本体を造営材(固定できる部材)に固定するための固定孔が左右2箇所に設けられている。 ④ 本体のカバー部分へ結線束を収納するための開口部付近の内側には,グレープフルーツを切断したときにみられるように13個の三 定できる部材)に固定するための固定孔が左右2箇所に設けられている。 ④ 本体のカバー部分へ結線束を収納するための開口部付近の内側には,グレープフルーツを切断したときにみられるように13個の三角形状の弁体が成形されている。 ⑤ 13個の三角形状の弁体は,その先端がカバー部分の内部に向かって90度折れ曲がっており,そのため,中心に略円形状の穴を形成している。 ⑥ 本体下方には,突起部が存在し,突起部を下に向けて当該部分を切除すれば,開口部から浸入した汚水を排水することができる。 2 他のジョイントボックスの形状については次のとおり認められる(甲3ない - 22 -し7,乙1ないし5)。 立方体や直方体に近い箱状(上部が円弧状となっているものも含む。)といった他の形状のものも存在するが,円筒形状の容器で,上部に段を設けて,最上端部に縁部が設けられているもの,それには固定孔が付属しているもの,本体下方に突起部が存在しているもの,固定具ないし固定孔が装備されているものが多数存在する。 色としては透明ないし半透明のものが多い。 そのうち,ネグロス電工のジョイントボックス「スポッター」(乙4)は,円弧2つを組み合わせた,両面が凸面レンズのような形状の両端を,直線で切り落とした形を柱状にしたもので,中は空洞になっており,入り口には保持部が付属しており,切り落とした直線部分に固定孔自体は存在するが,固定具を使用しなくても結束体を固定することが可能である。 3 法3条1項3号該当性について,審決が,「本願商標をその指定商品である「ジョイントボックス」に使用しても,取引者,需要者は,単に上記商品の形状を表示するにすぎないものとして理解するにとどまり,自他商品を認識するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。」と ョイントボックス」に使用しても,取引者,需要者は,単に上記商品の形状を表示するにすぎないものとして理解するにとどまり,自他商品を認識するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。」と判断したのに対し,原告は,「本願商標の特異かつ特徴的な形状は,主として弁の部分にある。他のジョイントボックスにおいて,本願商標のような弁形状を採用したものは存在せず,本願商標の弁形状は全く斬新な形状であって,かつ単にジョイントボックスの機能的な構造の一形態を表示しただけのものでもない。他の同種の商品にはない特徴的な形状を有する以上,自他商品識別力を有するものである。」旨主張する。 しかしながら,他のジョイントボックスの形状等を見ても,電気配線の結合部分を覆うためにボックス部分の形状が円筒形のものが多く,より詳細に観察した際には,上部に向かってやや広がっていき,最上端部には縁部が設けられているものが多数存在し,色は透明なものがある上に,本体のカバー部分内部は,結線束を入れるために空洞となっており,本体の上面縁部には,本体を造営材(固定できる部材)に固定するための固定孔が設けられ,本体下方には,汚水の排水用の突起部が存在 - 23 -することは,ジョイントボックスにとって一般的に採用された極めてありふれた形状であるといえる(甲1ないし7,乙1ないし5)。 開口部の弁についても,使用商品にのみ取り付けられているわけではなく,他にもワンタッチでかぶせるジョイントボックスが実際に存在するから(乙4。ただし,弁は2枚である。もっとも,使用商品同様に位置としては開口部に有する。),本願商標の弁自体は機能に資する目的のための形状であるといってよい。弁自体は,電気配線の結束部分にかぶせることによって配線の結束部分が弁体を通過し,弁体が戻ろうとする働きに ては開口部に有する。),本願商標の弁自体は機能に資する目的のための形状であるといってよい。弁自体は,電気配線の結束部分にかぶせることによって配線の結束部分が弁体を通過し,弁体が戻ろうとする働きによりジョイントボックスが固定されるという,正に機能に資するための形状にほかならないのであって,当該形状は商品の機能向上の観点から選択されたものであり,機能について特許を受けるのは別として,自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものというべきである。本願商標の弁体の並びがグレープフルーツを切断したような形状を有している点も,結線束を保護するためにカバー内に固定するという機能を果たすために弁がカバー全体にわたって整然と並んでいるにすぎず,機能に資する目的の形状であることを超えるものではない。とりわけ,結線束をカバー内に収納した後はジョイントボックスの円筒部分を上向きにして使用することが一般的であることをふまえると,設置後に特別な印象を与えるものとはいえない。 審決の上記判断に誤りはなく,この判断を前提にして本願商標は法3条1項3号に該当するとした審決の判断にも誤りはない。この誤りをいう取消事由1は理由がない。 4 法3条2項該当性について判断する前提事実として,次のとおり認めることができる。 (1) 原告商品の納入状況(甲10)原告は,本願商標の立体的形状に成る商品(使用商品)を販売し,平成16年4月16日にはハウス食品株式会社六甲工場,平成16年12月6日には国際医療福祉大学付属熱海病院,平成18年2月4日には和歌山県水産研究所,平成18年2 - 24 -月28日には農集排砂田地区処理施設,平成18年3月31日には下関港湾合同電気設備,平成18年6月15日には中央合同庁舎第一号別館,平成18年9月8日には小樽商科大学 平成18年2 - 24 -月28日には農集排砂田地区処理施設,平成18年3月31日には下関港湾合同電気設備,平成18年6月15日には中央合同庁舎第一号別館,平成18年9月8日には小樽商科大学,平成18年12月6日には新丸の内ビルディング,平成19年1月11日には栃木県庁行政棟1,平成19年1月29日には競輪場中央スタンド棟,平成20年1月15日には加古川病院,平成20年2月8日にはクリーンランドごみ焼却施設,平成20年6月16日には東京都の東村山駅,平成22年4月12日には大阪の松田病院,平成22年10月21日には関越自動車道嵐山パーキングエリア,平成23年7月8日には天草市役所等に納入され,それ以外にも多数の団地や保育所,学校等に納入された。 (2) 原告商品の認知度に関する事実ア原告の使用商品には,常に「ナイスハット」の商標が使用され,販売されている(甲1,2,乙13,14)。 イ商標「ナイスハット」の付された使用商品については,販売開始後17年ほどの間に,「発明と生活」,「ZENKAN」,「TRIGGER」等の雑誌で計6回,「電材流通新聞」,「日刊工業新聞」,「FTジャーナル」の新聞で計5回,掲載され紹介された(甲8,11ないし18,23,24)。ただし,商標「ナイスハット」の付された使用商品について,その特徴的なカバー部分の開口部の入口に成形された13個の三角形状の弁体が明確に表されている証拠は,新聞(甲8)及び雑誌(甲16,45)における写真のみである。 ウ株式会社日本リサーチセンター(甲43)は,電気設備工事に携わっている人,又は自社で電気配線器具の内容を知っている人が,原告商品を認知しているか,当該製品の形状を見て,メーカー名や商品名を想起するかを把握する目的で,郵送・対象者による自記入方式,ナイスハ わっている人,又は自社で電気配線器具の内容を知っている人が,原告商品を認知しているか,当該製品の形状を見て,メーカー名や商品名を想起するかを把握する目的で,郵送・対象者による自記入方式,ナイスハットの写真提示の方法で,全国を対象に,1893発送し,そこから556サンプルを回収した(回収率29.4%)。調査対象は,「全日本電気工事業工業組合連合会会員要覧2011」(甲21),「全日本電設資材卸業協同組合連合会HP」(甲22)記載の会員名簿のリストから抽 - 25 -出し,ナイスハットの写真を提示した上で対象者への該当性,非認知者に対しては思い浮かぶイメージ,認知者に対しては使い方の認知,メーカー名想起,商品名想起,使用経験を調査した。その結果,原告商品の形状を提示した際の商品認知率は87.2%となり,認知者のうち「カワグチ」又は「ナイスハット」を想起した割合は79.2%であり(「カワグチ」が62.7%,「ナイスハット」が72.2%),上記想起率を全数でみると「カワグチ」又は「ナイスハット」を想起した割合は69.1%であり(「カワグチ」が54.7%,「ナイスハット」が62.9%)となった(甲19)。 エ使用商品の販売数量及び販売金額は,平成8年度は455万個で約7700万円に始まり,最も多いときは,平成16年度ないし平成18年度は約920万個で約1億5700万円であって,平成23年度は約675万個で約1億4800万円である(甲9,40,44)。 5 使用商品の販売数量については,上記認定事実のとおり,それ相当の数量が製造,販売されていることは認められるものの,業界におけるジョイントボックスに相当する商品の総販売数量についての立証がないので,使用商品の市場シェアは明らかであるとはいえない。 この点につき,原告は,木造住宅一戸当 ことは認められるものの,業界におけるジョイントボックスに相当する商品の総販売数量についての立証がないので,使用商品の市場シェアは明らかであるとはいえない。 この点につき,原告は,木造住宅一戸当たり平均20個のジョイントボックスが使用されるとの前提で,電気事業者の証言書を提出し(甲53ないし57),使用商品は主に木造住宅に使用されると述べ,これを国土交通省資料による木造住宅着工数(平成22年度であれば46万4140戸)を基礎数値として算出すれば,使用商品の市場シェアは70%以上になるし(甲9,40),仮に誤差が±20%あったとしても市場シェアは50%を下らないことは明白であると主張する。 しかしながら,使用商品に係るリーフレット(甲1,2)ですら,主たる用途が木造住宅用とは記されておらず,むしろ,雑誌の記事(甲17)には「ジョイントボックスは,木造,鉄骨住宅などの電気工事において,・・・結線部分を絶縁するときに使う。」との記載があるし,また,原告のウェブサイト(乙12)にある「よ - 26 -くある質問」の中にも,「Q:ナイスハットHタイプとMタイプどう違いますか?」(判決注:ナイスハットHタイプは,甲1のとおり,使用商品である。)との質問に対し,「A:Hタイプは主に木造住宅用。Mタイプは主に鉄筋・鉄骨の二重天井の先行配線用に開発しましたが,用途は同じですので状況に応じて選んで下さい。」との回答があり,これらのことからすれば,使用商品の開発時の意図はともかくとして,実際に使用される使用商品の用途が木造住宅用に限定されるものでないことは明らかである。原告は,主として木造住宅に利用されていると主張しているが,原告作成の納入実績表(甲10)の中には,工場,官庁の合同庁舎,学校,ビル,病院,ごみ焼却場といったように,明らかに木造とは考 明らかである。原告は,主として木造住宅に利用されていると主張しているが,原告作成の納入実績表(甲10)の中には,工場,官庁の合同庁舎,学校,ビル,病院,ごみ焼却場といったように,明らかに木造とは考えられず,鉄筋造りでしかも巨大な建造物も含まれているのであって,鉄筋造りの建造物用を除外して市場占有率を算定することについては疑問がある。そして,鉄筋造りの巨大な建造物には大量のジョイントボックスが使用されることが想定されるから,この場合には,原告が主張するように市場占有率の誤差が10%や20%にとどまらず,原告商品の市場占有率の数値がかなり小さくなることが十分考えられる。 そうすると,需要者が本願商標につき原告商品との認識を持つことが可能という法3条2項の要件を充足することは困難である。 原告はまた,要するに,アンケートの結果(甲19)からすれば,「アンケートの対象者はジョイントボックスを取り扱っている専門家であって,約7割が本願商標に係るジョイントボックスの形状のみから原告を想起しているのであり,原告の出所を表す識別標識として周知性を獲得していることは明らかである。さらに,上記ジョイントボックスの商品認知者(485社)のうち,91.3%が現在又は過去に上記ジョイントボックスを取り扱ったことがあると回答した事実からも,使用した経験があるからこそ想起できたと解するのが自然である。」旨主張する。 なるほど,アンケートの回収率だけを見ると,決して低い数字ではない(甲39,43)。しかしながら,上記アンケートによると,本願商標から原告を想起している電気設備工事業者あるいは電設資材卸売業者は,当然に除外することが予定され - 27 -るべきではない鉄筋造りの建造物用分を除外しても約7割であって,その数値は一定の周知性は認められると評価できこ 気設備工事業者あるいは電設資材卸売業者は,当然に除外することが予定され - 27 -るべきではない鉄筋造りの建造物用分を除外しても約7割であって,その数値は一定の周知性は認められると評価できこそすれ,特別に顕著であるということはできない。 しかも,原告がアンケートの対象としたのは,電気設備工事業者及び電設資材卸売業者のみである。法3条2項にいう「需要者」の中には原告の実際の取引の相手方となり得る電気設備工事業者及び電設資材卸売業者に限定されているわけではなく,卸売業者,小売販売業者も含まれていると解される上に,工事の元請業者やさらには工事発注者や建物所有者も本件指定商品の需要者に含まれる余地があるが,本件ではそれらの者が対象者に含まれていないことからしても,対象の範囲の設定に問題があることが指摘でき,この点においても上記アンケートの結果を基礎とした特別な顕著性を推し量ることはできない。 加えて,アンケートの調査方法は,原告商品の写真を3枚(そのうち1枚は,通常の使用後の状況と比較すれば,原告の弁が認識できるような斜め下方向から撮影したもの)示した上で,知っているかどうか尋ね(問1),知らなければそのイメージを尋ね(問2),知っているないし知っているような気がする者に対してはその用途(問3),メーカー名(問4),商品名(問5),取扱いの経験の有無(問6)を尋ねるというものである(甲19)。前記4(2)イで認定したように,13個の弁体を明確に示した使用商品の掲載紹介は一部に限られていたことを踏まえると,アンケートの調査方法からして電気設備工事業者あるいは電設資材卸売業者が永年使用に基づき原告の商品として識別性を取得するようになったのかその機序を明らかにしていないといわざるを得ないし,使用商品の写真のみを提示とした結果,他社製品との 事業者あるいは電設資材卸売業者が永年使用に基づき原告の商品として識別性を取得するようになったのかその機序を明らかにしていないといわざるを得ないし,使用商品の写真のみを提示とした結果,他社製品との関係で原告の使用商品をその形状から識別性を有していると考えているかどうかという点についても,このアンケート結果からは不明といわざるを得ない。 なお,原告は,平成25年1月号の業界誌「電気と工事」に使用商品について広告を掲載したことがあるが,これまでほとんど広告を行っておらず(甲45,弁論の全趣旨),原告がそれほど広告宣伝を行っていないのは,少なくとも木造建造物 - 28 -については一定の周知がなされ,多額の費用をかけてまで広告を掲載する必要がないからであると認められるが,そのことのみで本件商標について商標権登録を受けるに足りる自他識別能力があることの根拠とするのに十分でない。 6 以上の次第であって,本件商標は法3条2項に該当しないというべきであるから,取消事由2も理由がない。 第6 結論以上より,原告の請求は理由がない。 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平 裁判官池下 朗 裁判官新谷貴昭 新谷貴昭

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る