1主 文被告人を懲役1年4月に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 理 由(罪となるべき事実)被告人は,A県選挙管理委員会委員長が令和2年8月25日,Bらを解職請求代表者として告示した同県県知事の解職請求に関し,解職請求者の署名を偽造しようと考え,C,D及びEらと共謀の上,ほしいままに第1 同年10月23日,佐賀市ab丁目c番d号eにおいて,Fをして,A県知事解職請求者署名簿の氏名欄に,別紙1(添付省略)記載のとおり,いずれも同県知事の選挙権を有するGほか38名の各氏名を記載させ第2 同月25日から同月26日までの間,前記eにおいて,Hをして,A県知事解職請求者署名簿の氏名欄に,別紙2(添付省略)記載のとおり,いずれも同県知事の選挙権を有するIほか15名の各氏名を記載させ第3 同月下旬頃,前記eにおいて,Jをして,A県知事解職請求者署名簿の氏名欄に,別紙3(添付省略)記載のとおり,いずれも同県知事の選挙権を有するKほか15名の各氏名を記載させもって解職請求者の署名を偽造した。 (法令の適用)罰 条 判示第1,第2及び第3の各行為について,いずれもそれぞれ包括して刑法60条,地方自治法81条2項,74条の4第2項刑種の選択 いずれも懲役刑を選択 2併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重)刑の執行猶予 刑法25条1項(量刑の理由)本件は,被告人が,政治団体においてA県知事のいわゆるリコール活動を行っていたCらと共謀し,アルバイト作業員らに合計71名の解職請求者の署名を署名簿にそれぞれ記載させて偽造したと 量刑の理由)本件は,被告人が,政治団体においてA県知事のいわゆるリコール活動を行っていたCらと共謀し,アルバイト作業員らに合計71名の解職請求者の署名を署名簿にそれぞれ記載させて偽造したという事案である。 本件は,住民の直接の意思表示によって選出,解職されるべき地方公共団体の長につき,本来存在しない民意を無断で作出することでその地位を失わせようとしたものであり,直接民主主義や地方自治の根本を蔑ろにする悪質な犯罪である。 被告人は,解職請求に必要な署名数を確保するために大量の署名偽造を企てたCから相談を受け犯行に誘われると,著名人との人脈を作り,今後のビジネスチャンスにつなげることを期待して,本件各犯行に加担したものである。もとより,利己的な動機に酌むべき点もない上,被告人自身,Cの依頼を引き受けてから,短期間での遂行に向けて具体的な計画を立て,自身が代表を務める会社の関連会社従業員に自ら指示して,署名偽造を行う遠方の会場やアルバイト作業員を用意するなどしており,前記計画の一環として行われた本件各犯行において不可欠かつ重要な役割を果たしている。 以上によれば,本件を主導したのはCであることを踏まえても,本件事案の悪質性や,計画的,大胆かつ組織的な本件各犯行に対する被告人の寄与の大きさなどを考慮すると,被告人に対しては,弁護人の求める罰金刑を選択することは相当ではなく,懲役刑を選択すべきである。 その一方で,被告人は,自首し,詳細に供述したことで本件事案の解明が進んでおり,この点は相当程度有利に考慮すべきであり,このほか,被 3告人が自己の責任の重さを感じ,犯行に関わったことを悔いていること,前科前歴が見当たらないこと,顧問税理士が出廷して更生への助力を約したこと,贖罪寄付をしたこと等の事情も踏まえると,主文 3告人が自己の責任の重さを感じ,犯行に関わったことを悔いていること,前科前歴が見当たらないこと,顧問税理士が出廷して更生への助力を約したこと,贖罪寄付をしたこと等の事情も踏まえると,主文の懲役刑とした上でその刑の執行を猶予するのが相当である。 (求刑 懲役1年4月,弁護人の科刑意見・罰金刑) 令和4年1月24日名古屋地方裁判所刑事第1部裁判長裁判官山 田 耕 司 裁判官 戸 﨑 涼 子裁判官岩 谷 彩
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