平成14(行ウ)1 公文書非公開決定取消請求

裁判年月日・裁判所
平成14年10月9日 福井地方裁判所
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判決文本文9,490 文字)

平成14年(行ウ)第1号公文書非公開決定取消請求事件(口頭弁論終結日平成14年7月10日)判決 主文 1 被告が原告に対し,平成13年1月19日付けでした,「日本エアシステム(JAS)が県に提出した福井空港への就航確約書」を公開しない旨の処分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 事案の概要本件は,原告が,平成13年1月5日,被告に対し,株式会社日本エアシステム(以下「JAS」という。)が福井県(以下「県」という。)に提出した福井空港への就航確約書(以下「本件公文書」という。)について,福井県情報公開条例に基づき情報公開請求を行ったが,被告は,同月19日,文書の全部を公開しない決定(以下「本件非公開決定」という。)をし,原告のした異議申立ても棄却したため,本件非公開決定の取消しを求めて提訴したものである。 第3 前提事実(争いのない事実以外は末尾に認定証拠を掲記した。) 1 原告は,福井県住民である。被告は,福井県情報公開条例(以下「新条例」という。)2条1項に定める実施機関である。 2 新条例は,前文において,「地方自治の本旨に基づいた県政を推進するためには,県が,県政を負託している県民に対して,その諸活動の状況を説明する責務を全うすることが必要であり,このことは,同時に,県民の『知る権利』の実現に寄与することでもある。情報公開制度は,県がこのような『説明責務』を全うするための重要な制度であり,地方分権が進展し,今後ますます地方自治体と住民の自立と自己責任が求められていく中で,県民の理解と信頼を基本とする,公正で透明性の高い県政を実現する上においても,不可欠のものである。このような考え方 地方分権が進展し,今後ますます地方自治体と住民の自立と自己責任が求められていく中で,県民の理解と信頼を基本とする,公正で透明性の高い県政を実現する上においても,不可欠のものである。このような考え方に立って,この条例を制定する。」と定め,7条には次のとおり規定している。 「実施機関は,公開請求があったときは,公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き,公開請求者に対し,当該公文書を公開しなければならない。 (1号ないし5号,7号省略)六県,国または他の地方公共団体が行う事務または事業に関する情報であって,公にすることにより,次に掲げるおそれその他当該事務または事業の性質上,当該事務または事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの(イ省略)ロ契約,交渉または争訟に係る事務に関し,県,国または他の地方公共団体の財産上の利益または当事者としての地位を不当に害するおそれ(ハないしホ省略) 」 3 新条例は平成12年3月に成立し,同年7月1日から施行されたもので,福井県公文書公開条例(以下「旧条例」という。)の全部を改正しているが,新条例附則3条により,「施行日前に実施機関の職員が作成し,または取得したものについては,新条例第7条および第9条の規定にかかわらず,なお従前の例による」旨定められている。 旧条例7条には,「実施機関は,次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については,公文書の公開をしないものとする。」とされ,その6号には,「県または国等が行う検査,試験,入札,交渉,争訟,渉外,人事その他の事務に関する情報であって,公開することにより,当該もしくは同種の事務の目的が達成できなくなり,またはこれら され,その6号には,「県または国等が行う検査,試験,入札,交渉,争訟,渉外,人事その他の事務に関する情報であって,公開することにより,当該もしくは同種の事務の目的が達成できなくなり,またはこれらの事務の公正もしくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの」と規定されていた。 4(一) 本件公文書は,東亜国内航空株式会社(変更後の社名「株式会社日本エアシステム」,以下単に「JAS」ともいう。)が県に対し,昭和61年と平成8年にそれぞれ1通ずつ交付した計2通の文書である。 昭和61年に交付された文書(以下「昭和61年文書」という。)は日本工業規格B4判1枚の袋とじ形式の文書で,平成8年に交付された文書(以下「平成8年文書」という。)は日本工業規格A4判1枚の表書き形式の文書である(乙8)。 (二) 昭和61年文書は,東亜国内航空株式会社取締役社長作成名義にかかる文書で,袋とじ左頁には,文書発行番号,年月日,宛名(福井県知事B宛),件名,時候の挨拶等が記され,同右頁には,福井空港拡張整備後に,福井空港を離発着点とする定期便(福井ー東京間)を運行する用意があることを確認する旨,年月日,宛名が記載されている(乙8)。なお,同文書は収受時に部外秘とされた(甲3の2,甲6)。 (三) 平成8年文書は,JAS代表取締役社長作成名義にかかる文書で,文書発行番号,年月日,宛名(福井県知事A宛),件名,時候の挨拶,昭和61年文書で確認した内容に変更がない旨が記載されている(乙8)。 (四) 本件公文書は,前記のように,県が新条例施行日前に取得したものである。 5(一) 原告は,平成13年1月5日,被告に対し,JASが県に提出した福井空港への就航確約書について新条例に基づき情報公開請求を行った。 (二) 被告は,平成13年1月19日 したものである。 5(一) 原告は,平成13年1月5日,被告に対し,JASが県に提出した福井空港への就航確約書について新条例に基づき情報公開請求を行った。 (二) 被告は,平成13年1月19日,その請求に対し,公文書の全部を公開しない旨の決定をした。その理由は,本件公文書が,旧条例7条6号に該当する,すなわち,「交渉に関する情報であり,公開することにより今後関係者の理解協力が得られず,福井空港拡張整備計画の円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるため」というものであった(甲2)。 (三) 原告は,本件非公開決定に対し,平成13年1月24日,被告に対し異議を申し立てたが,被告は,同年10月24日,異議申立てを棄却した。 その理由は,①本件公文書には交渉に関する情報が記録されている。②JASが福井空港へ就航するか否かという問題は同空港の整備事業にとって重要な要素であるほか,JASにとっても経営戦略上の大きな課題であって,このような問題に関して確定的合意がなされていない状況の下で個別の交渉内容を公開することは,JASとの信頼関係を害し,今後のJASとの交渉を著しく困難にするおそれがあるが,本件公文書はJASとの継続的交渉の過程でそれぞれの時点における意思確認の性質を有する文書であり,現段階で本件公文書を公開することは,個別の交渉内容を公開することに等しい。③福井空港拡張計画が「凍結」された現在においても,本件公文書の公開により今後の交渉事務に困難を生じるおそれがあることに変わりはなく,また,計画凍結及び航空業界の現状に鑑み,県とJASとの関係については従来にも増して細心の配慮が必要になることからすると,本件公文書を一部でも公開することがJASとの信頼関係維持に影響を与え,今後の交渉に著しい支障を及ぼすおそれがある,というもの Sとの関係については従来にも増して細心の配慮が必要になることからすると,本件公文書を一部でも公開することがJASとの信頼関係維持に影響を与え,今後の交渉に著しい支障を及ぼすおそれがある,というものであった(甲7)。 第4 争点 1 本件公文書は旧条例7条6号の非公開情報に該当するか。 (被告の主張)本件公文書は,県が従前から拡張整備後の福井空港へのJASの就航について同社と話合いを重ねている過程で提示されたものであり,交渉に関する文書に該当する。そして,JASが福井空港へ就航するか否かという問題は同空港の整備事業にとって重要な要素であるほか,JASにとっても経営戦略上の大きな課題であり,このような問題に関して確定的合意がなされていない状況の下で個別の交渉内容を公開することは,JASとの信頼関係を害し,今後のJASとの交渉を著しく困難にするおそれがあるが,本件公文書はJASとの継続的交渉の過程でそれぞれの時点における意思確認の性質を有する文書であり,そのように交渉の重要な要素となる文書を交渉の合意に至るまでの間に逐次公開することは,個別の交渉内容を公開することに等しい。福井空港拡張計画が「凍結」された現在においても,本件公文書の公開により今後の交渉事務に困難を生じるおそれがあることに変わりはない。また,計画凍結及びJASと日本航空株式会社との経営統合などの航空業界の現状に鑑みると,県とJASとの関係については従来にも増して細心の配慮が必要になることから,本件公文書を一部でも公開することがJASとの信頼関係維持に影響を与え,今後の交渉に著しい支障を及ぼすおそれがある。本件公文書は全体として旧条例7条6号に規定する文書に該当する。 本件公文書の存在及び内容が県議会での質疑によって明らかになったとしても,そのことと文書自体を に著しい支障を及ぼすおそれがある。本件公文書は全体として旧条例7条6号に規定する文書に該当する。 本件公文書の存在及び内容が県議会での質疑によって明らかになったとしても,そのことと文書自体を公開することとは自ずから行為の性質が異なる。福井空港拡張整備事業が県の重要施策であることから,当該事業の交渉経過は広く県民に知らせるべきであり,そのため県議会でも交渉経過にかかる答弁を必要な範囲で行ってきたが,他方,本件公文書を交渉の最終合意がなされるまでの間に公開することは,今後,JASとの交渉が再開された場合,交渉過程における文書のやり取りに支障が生じることはもちろん,文書による最終協定や合意の成否にまで影響を及ぼしかねないし,さらには,交渉ないし協議の進展自体が著しく困難になることは容易に想定されるものである。 (原告の主張)本件公文書には,JASが就航する用意があることを確認する内容しか記載されておらず,「個別の交渉内容」が詳細に記載されているとは考えられない。しかも,そこまで明らかにされているのであれば,今更このような内容の本件公文書を公開したところで個別の交渉内容を公開したことにはならないし,県とJASとの信頼関係の維持に影響を与えることになるとも考えられない。 また,本件訴えの口頭弁論終結時においては,福井空港拡張整備計画は凍結され,JASは日本航空株式会社と経営統合されることとなったのであるから,今後同計画が再開されたとしても,交渉は新たに仕切直しとならざるを得ず,旧条例7条6号該当性は消滅した。 2 本件非公開決定に付記された理由は決定に理由付記を求めた新条例11条2項に反しないか。 (原告の主張)被告が本件非公開決定に付記した理由は,単に「交渉に関する情報であり,公開することにより今後関係者の理 付記された理由は決定に理由付記を求めた新条例11条2項に反しないか。 (原告の主張)被告が本件非公開決定に付記した理由は,単に「交渉に関する情報であり,公開することにより今後関係者の理解協力が得られず,福井空港拡張整備計画の円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるため」条例7条6号に該当するとするのみで,原告としては,いかなる根拠に基づいて本件公文書が同条項に該当するのか不明であり,十分な理由付記がなされているとはいえない。 (被告の主張)被告が付記した理由で被告の判断の根拠は示されており,記載は必要十分なものである。 第5 当裁判所の判断 1 争点1(本件公文書は旧条例7条6号の非公開情報に該当するか)について(一) 旧条例7条6号が,交渉等の事務に関する公文書について一定の非公開事由を定めたのは,県の機関が関係者との間で行う交渉等の事務に関する情報には,合意の成立や紛争の解決に向けて事前折衝をする過程で出された提案,意見等が含まれている場合があり,これが公開されることにより,今後,自由な発言や意見交換が妨げられ,ひいては最終的な合意の成立あるいは紛争の解決が困難になるおそれがあり,また,これらの情報には,交渉等の相手方から提供された情報を含んでいることが考えられ,これを公開することにより,交渉等の相手方と県との信頼関係が損なわれ,爾後交渉等の事務において協力を得ることが困難になるおそれがあるので,公開することにより,当該もしくは同種の事務の目的が達成できなくなり,またはこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれが生じる場合には公開しないこととしたものと解される。 そして,情報公開制度を県の説明責任を全うし県民の知る権利の実現に寄与するものと位置づけた新条例の趣旨に照らせば,同号 支障を及ぼすおそれが生じる場合には公開しないこととしたものと解される。 そして,情報公開制度を県の説明責任を全うし県民の知る権利の実現に寄与するものと位置づけた新条例の趣旨に照らせば,同号の非公開事由に該当するか否かは,当該交渉等の経緯・内容,当該情報の性質・具体的内容,当該もしくは同種事務の性質・内容等の諸般の事情を考慮し,交渉等の事務への支障のおそれが具体的に存在するといえるかどうかを客観的に判断すべきである。 (二) 以上の見地にたって検討するに,前提事実及び弁論の全趣旨によれば,本件公文書は,いずれも,県がJASとの間で福井空港就航についての交渉をする過程でJASから交付された文書であり,その内容は,JASが福井空港拡張整備後に定期便を運行させる用意があることを確認したものであるから,本件公文書は「交渉」に関する情報を記載した性質のものと認めることができる。 ところで,福井空港に定期便を就航させるか否かという事柄は,航空会社にとって経営上の重要課題であり,運賃や便数の設定,就航機種の選定,就航についての採算の見通し,航空会社の現在及び将来の経営状態,競合他社の動向といった諸事情を検討した上で航空会社としての意思決定がなされるものと考えられる。そして,このような慎重かつ多角的な検討を要する交渉事項については,詳細な交渉内容そのものについてはもとより,交渉過程におけるそれぞれの時点でなされた提案や意見,あるいは一定の合意など,広く交渉過程に属する情報全体について,これらを公開することにより自由な発言や意見交換が妨げられ,合意の成立が困難になるおそれがあると認められる。さらに,このような個別の交渉内容を公開することは,県と相手方当事者との間の信頼関係を著しく損なうことになるほか,今後県と同種の交渉に入ろうとする同業 合意の成立が困難になるおそれがあると認められる。さらに,このような個別の交渉内容を公開することは,県と相手方当事者との間の信頼関係を著しく損なうことになるほか,今後県と同種の交渉に入ろうとする同業他社等をも委縮させるなどの事態を招来しかねず,ひいては,当該交渉の目的を達成することが著しく困難となって,同種の事業の遂行に著しい支障を来すおそれがあるものといわなければならない。 従って,定期便の就航に関する個別の交渉内容を具体的に記載した公文書は,原則として,旧条例7条6号の非公開事由に該当するものと認めるのが相当である。 また,個別の交渉内容を直接記載したものでなくても,文書の性格,記載内容等から,県と航空会社との個別の交渉内容が推知でき,それを公表することにより相手方の信頼関係を著しく損なうとみられ,交渉の目的を達成することが困難となり,あるいは事務の遂行に著しい支障が生じると具体的に予想されるような場合には,やはり,当該公文書は同号の非公開事由に該当するものというべきである。 (三) そこで,本件公文書が個別の交渉内容を記載し,あるいはこれを推知できる内容であるか否かにつき検討する。 (1) 昭和61年文書は,日本工業規格B4判1枚で袋とじ横書き形式の文書である(乙8,乙9)。 被告の説明(乙8)によれば,同文書の袋とじ右頁には,「福井空港拡張整備後に福井空港を離発着点とする定期便(福井ー東京間)を運行する用意があることを確認する」旨の内容と,「年月日」「福井県知事宛」「取締役社長名」が記載され,JASの社印と代表者印が押捺されているところ,その内容を黒塗りにした同文書(乙9)の形式と照合すると,同文書の右頁には,表題の他には被告の主張する文言以外の記載はないものと認められる(中心的意思内容が記載されて 表者印が押捺されているところ,その内容を黒塗りにした同文書(乙9)の形式と照合すると,同文書の右頁には,表題の他には被告の主張する文言以外の記載はないものと認められる(中心的意思内容が記載されていると認められる箇所の文字数は,被告主張の上記括弧書内の文言と同一数である。)。 また,被告の説明(乙8)によれば,同文書の袋とじ左頁には,「文書発行番号」「年月日」「福井県知事B宛」「東亜国内航空株式会社取締役社長名」「件名」「時候の挨拶等」が記載され,同社の社印と代表者印が押捺されているところ,その内容を黒塗りにした同文書(乙9)の形式と照合すると,本文に該当する箇所は横10行にわたって内容が記載されていることが認められる。 上記文書の内容・形式からすると,昭和61年文書は,袋とじ右頁において,拡張整備後の福井空港に定期便を就航させる用意があることを確認することに主眼があり,袋とじ左頁はその前文に相当する文書であると推認される。 してみると,昭和61年文書は,交渉過程の一定時点でのJASの意思を確認した文書として差し入れられたもので,これを基礎に,さらに確定的合意に至るまで交渉を積み重ねることが予定されたものであり,その中心的内容は,確定的合意ができ交渉が成立する前段階における交渉過程や交渉内容が記載されたに等しいものというべきである。 (2) 平成8年文書は,日本工業規格A4判1枚で横書き形式の文書である(乙8,乙10)。 被告の説明(乙8)によれば,同文書には,「文書発行番号」「年月日」「福井県知事 A宛」「株式会社日本エアシステム取締役社長名」「件名」「時候の挨拶」が記載された後,「昭和61年文書で確認した内容に変更がない」旨の内容が記載され,同社の社印と代表者印が押捺されているところ,その内 宛」「株式会社日本エアシステム取締役社長名」「件名」「時候の挨拶」が記載された後,「昭和61年文書で確認した内容に変更がない」旨の内容が記載され,同社の社印と代表者印が押捺されているところ,その内容を黒塗りにした同文書(乙10)の形式と照合すると,本文に該当する箇所には横18行にわたって時候の挨拶を含めた内容が記載されていることが認められる。 上記文書の内容・形式からすると,平成8年文書は,JASが昭和61年文書で確認した就航の意思を新たな時点で再確認することを主眼としたものである。 してみると,平成8年文書も,昭和61年文書と同様に,交渉過程の一定時点でのJASの意思を確認した文書として差し入れられたもので,これを基礎に,さらに確定的合意に至るまで交渉を積み重ねることが予定されたものであり,その中心的内容は,確定的合意ができ交渉が成立する前段階における交渉過程や交渉内容が記載されたに等しいものというべきである。 (3) 昭和61年文書,平成8年文書は,上記のような性格の文書であって,少なくともその意思確認にかかる部分は,特別の事情のない限り,旧条例7条6号の非公開事由に該当するものである。 ところで,本件においては,JASが県に対して提出した,「拡張整備後の福井空港に就航する意思があることを確認した文書」が存在すること自体は,平成11年9月開催の県議会の質疑において明らかにされていたところであり(甲5,弁論の全趣旨),その文書の内容も平成11年12月開催の県議会の質疑において明らかにされ(甲5),次いで,平成12年2月開催の県議会の質疑において,被告自ら,JASから就航の意思につき再確認を受けている旨を答弁している(甲5,弁論の全趣旨)のであって,当該時点における県自らの判断によって,以後本件公文書 12年2月開催の県議会の質疑において,被告自ら,JASから就航の意思につき再確認を受けている旨を答弁している(甲5,弁論の全趣旨)のであって,当該時点における県自らの判断によって,以後本件公文書の存在とその核心部分の内容はすでに広く公開されて周知となっていたことが認められる。 そうすると,このような県の態度自体から,当該時点においてすでに,本件公文書の存在及びその核心部分の内容を公開することによっては,以後の本件交渉における自由な発言や意見交換を妨げることはなく,また,県とJASとの信頼関係を損なうものでもないと判断されたことが推認される。そして,さらに2年近くを経た現時点にあっては,本件公文書の公開が今後の交渉における県とJASとの間の信頼関係を損なうとは通常考え難く,そのことを認めるに足りる証拠もない。 なお,被告の説明(乙8)によれば,昭和61年文書の袋とじ左頁は「時候の挨拶等」の記載というにすぎず,平成8年文書の意思確認部分以外の部分も同様の記載というにすぎないから,そこに個別の交渉内容に関する情報等が別途記載されていることを窺い得ない。 従って,本件公文書の存在・内容が福井空港への就航交渉の重要な要素であるとしても,現時点においては,それを公開することによって県の交渉事務の目的を達成することができず,または,交渉事務の執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるとは到底いうことができない。 昭和61年文書に関しては,部外秘の扱いを受けていたことが認められるが,上記のようにその内容が議会の質疑において明らかにされた以上,部外秘の扱いは実質上解除されたものとみるのが相当である。 2 以上検討の結果によれば,本件公文書を公開することによって,県の交渉事務の目的を達成することができず,または,交渉事務の執 された以上,部外秘の扱いは実質上解除されたものとみるのが相当である。 2 以上検討の結果によれば,本件公文書を公開することによって,県の交渉事務の目的を達成することができず,または,交渉事務の執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるとは認められないから,本件公文書は旧条例7条6号にいう非公開情報に該当するとは認められない。 よって,その余の点について判断するまでもなく,本件非公開決定は取消しを免れない。 3 結論以上により,本件非公開決定は違法であるから,これを取り消すこととし,訴訟費用の負担につき行政訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 福井地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官小原卓雄裁判官酒井康夫裁判官髙松晃司

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