令和5年11月16日判決言渡令和5年(ネ)第1464号損害賠償請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所令和2年(ワ)第6993号) 主文 1 本件各控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決のうち、控訴人らに係る部分を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人Aに対し、484万7009円及びうち351万6260円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被控訴人は、控訴人Bに対し、661万2345円及びうち470万3930円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被控訴人は、控訴人Cに対し、 715万1998円及びうち519万8655円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被控訴人は、控訴人Dに対し、125万5816円及びうち121万1045円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 被控訴人は、控訴人Eに対し、122万0787円及びうち117万7220円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被控訴人は、控訴人Fに対し、1560万5255円及びうち1134万4850円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金 員を支払え。 8 被控訴人は、控訴人Gに対し、1540万2016円及びうち1130万6213円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 被控訴人は、控訴人Hに対し、1695万1466円及びうち1234万1588円に対する 及びうち1130万6213円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 被控訴人は、控訴人Hに対し、1695万1466円及びうち1234万1588円に対する平成26年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。被控訴人は、控訴人Iに対し、578万6210円及びうち412万2470円に対する平成27年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 11 被控訴人は、控訴人株式会社Jに対し、114万2311円及びうち95万3040円に対する平成27年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 12 被控訴人は、控訴人株式会社Kに対し、2929万9806円及びうち2346万6300円に対する平成27年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 13 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 14 上記第2項~第12項につき仮執行宣言第2 事案の概要(略称は、当審で注記しないものは原判決のそれによる。) 1 大阪市長は、原判決別紙3物件目録記載の各土地(本件各土地)につき、原判決別紙4損害額計算表(別紙計算表)記載のとおり、別紙計算表中の「差額(損害額元本)」欄が着色された年度(本件各年度)の所有者に対し、本件各年度の固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)の各賦課決定(本件各賦課決定)をした。 本件(原審)は、上記所有者又はその相続人である原審原告らが、本件各賦課決定には、本件各土地の評価において、大阪市の固定資産評価実施要領(本 件要領)が定める、容積率の異なる地域にわたる土地(容積率混在土地)を対象とする補正(本件補正)をしなかった違法があり、別紙計算表の本件各年度の各「差額(損害額元本)」欄の金額につき過納 件要領)が定める、容積率の異なる地域にわたる土地(容積率混在土地)を対象とする補正(本件補正)をしなかった違法があり、別紙計算表の本件各年度の各「差額(損害額元本)」欄の金額につき過納が生じていると主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、別紙計算表の「請求合計(確定利息含む)」欄記載の額及び「請求元本」欄記載の額に対する「全体最終起算時」欄の日から支払済みまで平成29年法律第44号(改正法)による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原審は、原審原告らの請求をいずれも棄却したので、原審原告らのうち、亡L訴訟承継人原審原告M及び原審原告Nを除くその余の原審原告である控訴人らがこれらを不服として、本件各控訴を提起した。 2 固定資産評価基準等の定め、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次の3のとおり当審における控訴人らの補充主張を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1~4に記載のとおり(ただし、亡L訴訟承継人原審原告M及び原審原告Nにのみ関係する部分を除く)であるから、これを引用する。 3 当審における控訴人らの補充主張⑴ 本件補正の定めの解釈について控訴人らは、容積率混在土地であれば、必ず本件補正を適用すべきであると主張したところ、原審は、容積率混在土地であっても更に「容積率混在という価格事情が特に著しい影響がある場合」にのみ本件補正を適用すべきであるとして、本件補正の適用場面を限定的に解釈した。しかし、この解釈は誤りである。本件要領では評価基準所定の「所要の補正」を行うべき場合として「容積率混在土地」を定めているが、これは、容積率混在土地であれば、当然にその価格事情が特に著しい影響がある場合であると考え、容積率混 る。本件要領では評価基準所定の「所要の補正」を行うべき場合として「容積率混在土地」を定めているが、これは、容積率混在土地であれば、当然にその価格事情が特に著しい影響がある場合であると考え、容積率混在土地である以上は必ず本件補正をすべきとしたものである。そう解しないと、全ての容積率混在土地について、容積率混在という価格事情が特に著しい影 響があるかどうかを調査検討しなければならなくなるが、そのような調査は現実的ではない。また、本件補正の補正率表によると、補正による減価率は3%~34%が予定されているが、容積率混在という価格事情が特に著しい影響があるというのに減価率が僅か3%という微修正しか行わない場合があるというのも極めて不合理である。したがって、容積率混在土地の固定資産評価に当たっては、必ず本件補正を適用すべきことを予定したものと解すべきである。 ⑵ 本件O土地に対する本件補正の適用について本件補正の適用要件について、原審の解釈を前提とするにしても、本件O土地の周辺地域は、平成10年以降、高層利用されていた地域であった。すなわち、本件O土地周辺の35個のブロックの物件をみると、平成15年の時点において21個(6割)が高層利用されている(甲A41、42〔枝番を含む。以下同じ〕)。これだけ多数の物件が高層利用されていれば、本件O土地の周辺地域はその土地の最有効使用が容積率を上限まで使用した建物の地域であったといえる。また、最有効使用の判断に当たっては、オーナーチェンジが生じた土地についての使用方法に着目することが合理的である。新しく不動産を取得したオーナーは当該不動産について最有効使用を実現しなければ投下資本を回収できない。それゆえ、オーナーチェンジが生じた物件については最有効使用がされるものと推認される。本件 ある。新しく不動産を取得したオーナーは当該不動産について最有効使用を実現しなければ投下資本を回収できない。それゆえ、オーナーチェンジが生じた物件については最有効使用がされるものと推認される。本件意見書(甲A34)は、こうした視点を考慮して、本件O土地周辺地域につき、最有効使用が容積率を上限まで使用した建物の地域としたものであるが、その見解は正当であり、これを採用しなかった原審は不当である。 さらに、被控訴人は、平成27年以降については、本件O土地につき、容積率混在という価格事情が特に著しい影響がある場合があると認めて、本件補正を適用し、同土地の所有者である控訴人株式会社Kに過納金を返還している。原審は、平成19年当時と平成29年当時で周辺土地の使用状況につ いてあまり変化はないと指摘しているが、そうすると、平成26年以前についても、同様に本件補正を適用すべきであった。この点を十分に検討せず、控訴人らの主張を排斥した原審は不当である。 ⑶ 本件P土地に対する本件補正の適用について原審は、周辺土地の一般的な使用方法に基づいて最有効使用が容積率を上限まで使用した建物の地域かどうかを判断しているが、最有効使用は「ある不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用」を指し(甲A40)、現状(特定時点)の使用状況と一致するものではない。現状(特定時点)の使用状況は個々の所有者の思惑により異なるものであるから、これを重視すべきではない。 また、価格時点平成23年1月1日の本件P土地の各物件の状況類似地域の各標準宅地の鑑定評価書(乙26~29)には、上記各標準宅地の最有効使用欄に「店舗付き共同住宅」、「中層の共同住宅」などの記載がみられるが、これら利用の形態からすると当該建物は5階建て以上となり得る 各標準宅地の鑑定評価書(乙26~29)には、上記各標準宅地の最有効使用欄に「店舗付き共同住宅」、「中層の共同住宅」などの記載がみられるが、これら利用の形態からすると当該建物は5階建て以上となり得ることが優に想像できる。5階建て以上の建物を建築する場合、容積率の上限(指定容積率400%÷指定建ぺい率80%)まで使用した建物になる可能性が高い。 そうすると、上記各鑑定評価書の記載からは、同年当時の本件P土地付近の標準宅地の最有効使用建物が許容容積率を上限まで使用した建物であったと評価すべきことになる。原審は、上記鑑定評価書の見方を誤っている。 さらに、本件O土地の場合と同様、被控訴人は、平成26年以降、本件P土地につき、容積率混在という価格事情が特に著しい影響がある場合があると認めて、本件補正を適用し、控訴人株式会社Kを除く上記土地の所有者である控訴人らに過納金を返還している。平成26年とその前の利用に差はなく、本件P土地について、本件補正を適用しなかった原審には誤りがある。 ⑷ 国家賠償法1条1項の解釈について原審は、本件各賦課決定が本件各土地の評価において本件補正を行わなか ったことにつき、それが評価基準の定めに反する(客観的に違法である)かどうかはともかく、職務上通常尽くすべき注意義務に違反したと評価し得るような明らかな判断の誤りがあるとはいえないと判断し、あたかも重過失が国家賠償法上の違法性の認定に必要との独自の解釈論を展開し、最高裁判例(最高裁平成30年(受)第388号令和2年3月24日第三小法廷判決・民集74巻3号292頁)に抵触するものとなっている。しかし、固定資産税・都市計画税の課税方式は、申告納税方式ではなく、課税庁が税額を計算する賦課課税方式であり、行政の計算が税額に直結する。そのため、 集74巻3号292頁)に抵触するものとなっている。しかし、固定資産税・都市計画税の課税方式は、申告納税方式ではなく、課税庁が税額を計算する賦課課税方式であり、行政の計算が税額に直結する。そのため、不動産の固定資産評価額の算定に際しては、当然に高度な職務上の注意義務が課せられるべきものであり、課税処分の過程に誤りがあれば、その性質上、当然に過失があったことになる。そして、本件各賦課決定は、本件要領・評価基準に反する評価に基づく賦課課税行為であるから、注意義務に違反したものとして、国家賠償法上の違法があると評価されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も控訴人らの請求は理由がないと判断する。その理由は、次の2のとおり、当審における控訴人らの主張に対する判断を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」(以下「原審判断」という。)の1及び2に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、亡L訴訟承継人原審原告M及び原審原告Nにのみ関係する部分を除き、原判決を次のとおり補正する。 ⑴ 原判決32頁1行目から2行目にかけての「当該土地」を「対象土地の属する地域」と、7行目の「本件各土地」を「本件各土地の属する地域」とそれぞれ改める。 ⑵ 原判決39頁5行目から6行目にかけての「最有効使用建物が高層の店舗付共同住宅(許容容積率を上限まで利用した建物)」を「最有効使用が「高層の店舗付共同住宅(許容容積率を上限まで利用した建物)」の敷地」と改 める。 2 当審における控訴人らの主張について⑴ 本件補正の定めの解釈について控訴人らは、容積率混在土地である以上は必ず本件補正をすべきであると主張する。しかしながら、本件補正の定めについては、容積率混在土地であ 主張について⑴ 本件補正の定めの解釈について控訴人らは、容積率混在土地である以上は必ず本件補正をすべきであると主張する。しかしながら、本件補正の定めについては、容積率混在土地であっても「容積率混在という価格事情が特に著しい影響がある場合」に限って適用すべきものであることは、引用に係る原審判断1⑵で説示したとおりである。 控訴人らは、上記のとおり解すると、価格事情が特に著しい影響があるかどうかを個別に調査検討しなければならなくなり、このような調査は現実的ではないなどと主張するが、容積率混在土地の地価への影響は、本件報告書(乙4)が示すとおり、周辺土地の利用状況如何により左右されるところが大きいところ、こうした周辺土地の利用状況は空撮等の写真や標準宅地の評価書で一応の判断は可能である。むしろ、「容積率混在という価格事情が特に著しい影響がある場合」でないにもかかわらず、容積率混在土地であるという一事をもって本件補正を適用して評価することは、固定資産税等の課税標準である価格(地方税法349条1項)、すなわち、適正な価格(同法341条5号)との乖離を招き、適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準の定めである評価基準及びその内容を具体化すべき本件要領の目的に反することになりかねない。また、控訴人らは、本件補正の補正率表によると、補正による減価率は3%~34%が予定されているが、容積率混在という価格事情が特に著しい影響があるというのに減価率が僅か3%という微修正しか行わない場合があるというのも極めて不合理であると主張する。しかしながら、補正率表は、当該土地における容積率の異なる土地の面積割合と容積率の差異割合との相関で形成されるところ、容積率混合土地によって、その価格事情が特に著しい影響があると認められる場合 る。しかしながら、補正率表は、当該土地における容積率の異なる土地の面積割合と容積率の差異割合との相関で形成されるところ、容積率混合土地によって、その価格事情が特に著しい影響があると認められる場合でも、容積率の差異のあ る部分の面積割合が全体からして極小さい場合は価格差も当然小さくなるものと考えられるから、補正による減価率の下限が3%と定められているからといって特に不合理とはいえない。したがって、本件補正の要件として、容積率混在という価格事情が特に著しい影響がある場合を必要としたからといって、補正率表と矛盾するものということはできない。 よって、控訴人らの上記主張は理由がない。 ⑵ 本件O土地に対する本件補正の適用についてア控訴人らは、本件O土地周辺の35個のブロックの物件をみると、平成15年の時点において21個(6割)が高層利用されており、これだけ多数の物件が高層利用されていれば、本件O土地の周辺地域はその土地の最有効使用が容積率を上限まで使用した建物の地域であったといえると主張する。 なるほど、控訴人らが提出した証拠(甲A41、42)によれば、本件O土地周辺においては、控訴人らの主張のとおり平成15年の時点で6割が高層利用されていたことが認められるけれども、この事実は引用に係る原審判断の認定事実(原判決第3の1⑶ウ)と大きく齟齬するものではない。そして、国道〇号(Q)の道路境界から25m内は指定容積率が600%という高い容積率の周辺地域(前提事実⑶イ、甲Ⅰ2の1)において、高層利用が大半というものではなく6割程度に留まり、しかも、控訴人らが指摘する高層利用の中には5階~7階建てという中層の建物が混在していること(甲A42の16~18)を総合すれば、その地域が必ずしも許容容積率の上限 うものではなく6割程度に留まり、しかも、控訴人らが指摘する高層利用の中には5階~7階建てという中層の建物が混在していること(甲A42の16~18)を総合すれば、その地域が必ずしも許容容積率の上限まで利用されている地域と評価することはできず、その周辺地域の状況から、「容積率混在という価格事情が特に著しい影響があると認められる場合」に該当することが明らかであると認めることはできない。したがって、控訴人らの上記主張は理由がない。 イまた、控訴人らは、最有効使用の判断に当たっては、オーナーチェンジ が生じた土地についての使用方法に着目することが合理的である、本件意見書は、こうした視点を考慮して、本件O土地周辺地域につき、最有効使用が容積率を上限まで使用した建物の地域としたものであるが、その見解は正当であり、これを採用しなかった原審は不当であると主張する。 しかしながら、最有効使用の判断に当たって、オーナーチェンジがあることを必ず考慮しなければならないとの評価基準や要領は見当たらない上、オーナーチェンジがあるからといって、新オーナーが当該土地を許容容積率の上限まで利用するものと必ずしも限られるものではない。本件O土地周辺にはコンビニやガソリンスタンド、駐車場を併設した低層の商業施設も存在しており(甲A41、42及び弁論の全趣旨)、当該土地をこれら低層の商業施設として利用する可能性もあり得るところであるから、最有効使用の判断に当たって、オーナーチェンジがあることを考慮することが合理的であるともいえない。そして、本件意見書に基づく控訴人らの主張が採用できないことは引用に係る原審判断1⑶エのとおりであるから、控訴人らの上記主張も採用できない。 ウさらに、控訴人らは、平成27年以降、被控訴人は、本件O土地につき づく控訴人らの主張が採用できないことは引用に係る原審判断1⑶エのとおりであるから、控訴人らの上記主張も採用できない。 ウさらに、控訴人らは、平成27年以降、被控訴人は、本件O土地につき、本件補正を適用し、控訴人株式会社Kに過納金を返還したのであるから、平成26年以前についても、同様に本件補正を適用すべきであり、これをしなかったのは違法であると主張する。 しかしながら、平成26年以前において、本件O土地について、「容積率混在という価格事情が特に著しい影響があると認められる場合」に該当することが明らかであると認めることができないこと、したがって、本件補正をしなかったことにつき、大阪市長ないし被控訴人の評価担当職員に職務上通常尽くすべき注意義務に違反したと評価し得るような明らかな判断の誤りがあるといえず、それが国家賠償法上違法とはいえないことは、補正して引用した原審判断1⑶で認定判断したとおりである。被控訴人は、 控訴人Aの代理人からの連絡を契機として、平成26年ないし平成27年以降、本件P土地及び本件O土地について本件補正を適用しているが、固定資産の評価に当たり、一定の基準に基づいて評価を行っても、実際と乖離する場合があることは避けられず、納税者からの指摘に基づいて修正することがあり得ることは地方税法の予定するところである(地方税法417条1項、2項、432条1項、434条1項)。これは固定資産税等につき賦課課税方式を採った上、迅速かつ大量に処理しなければならない固定資産の評価においてはやむを得ないところである。したがって、納税者のこうした指摘に基づいて税額の修正をしたことがあったからといって、直ちに修正に係る年度より前の年度の賦課決定につき課税担当者に職務上の注意義務違反があったことになるものではな 。したがって、納税者のこうした指摘に基づいて税額の修正をしたことがあったからといって、直ちに修正に係る年度より前の年度の賦課決定につき課税担当者に職務上の注意義務違反があったことになるものではなく、また、これが推定されるというものでもない。したがって、被控訴人が、平成27年以降、本件O土地について本件補正を適用したからといって、平成26年以前について本件補正を適用しなかったことが直ちに違法となるものではなく、上記事実をもって結論を左右するものではない。 したがって、控訴人らの上記主張も採用することはできない。 ⑶ 本件P土地に対する本件補正の適用についてア控訴人らは、原審は、周辺土地の一般的な使用方法に基づいて最有効使用が容積率を上限まで使用した建物の地域かどうかを判断しているが、現状の使用状況は個々の所有者の思惑により異なるものであるから、これを重視すべきではないなどと主張する。 しかしながら、個々の所有者の思惑などといった主観的事情は容易には把握することができないから、最有効使用が容積率を上限まで使用した建物の地域かどうかの判断に当たって、周辺土地の客観的な使用状況に依拠し、これを重視することは、迅速かつ大量の固定資産の評価においては最も適切である。したがって、控訴人らの上記主張は理由がない。 イまた、控訴人らは、本件P土地につき、各標準宅地の価格時点平成23年1月1日の鑑定評価書には、その最有効使用欄に「店舗付き共同住宅」、「中層の共同住宅」などの記載があることから、これら利用の形態からすると当該建物は5階建て以上となり得ることが優に想像でき、その場合、容積率の上限まで使用した建物となる可能性が高いから、上記各標準宅地の最有効使用建物が容積率を上限まで使用した建物であったと評価できる 当該建物は5階建て以上となり得ることが優に想像でき、その場合、容積率の上限まで使用した建物となる可能性が高いから、上記各標準宅地の最有効使用建物が容積率を上限まで使用した建物であったと評価できる旨主張する。 しかしながら、最有効使用建物が「店舗付き共同住宅」や「中層の共同住宅」とされているというのみでは、容積率を上限まで使用していることと直ちに結びつくものではない(一般に建物を建築する場合、駐車場等の用地確保等により、その面積について指定建ぺい率〔80%〕の上限まで利用するとは限らないから、5階建て建物を建てたからといって必ずしも容積率の上限となる建物である可能性があるとはいえない。)。かえって、上記各標準宅地の鑑定評価書においてその周辺地域はいずれも高層の建物地域であると判断されていないこと、引用に係る原審判断1⑶イのとおり、上記各標準宅地のうちPに接する3つの土地の実容積率はいずれも許容容積率を下回っており、そのうち2つは許容容積率の半分にも満たないことからすると、上記各標準宅地の鑑定評価書の記載からは、本件P土地付近のPに接する地域は、最有効使用が容積率の上限まで利用されている地域ではなかったと判断するのが相当である。したがって、控訴人らの上記主張も採用できない。 ウさらに、控訴人らは、本件P土地につき、本件O土地の場合と同様、平成26年以降、被控訴人は本件補正を適用し、控訴人株式会社Kを除く控訴人らに過納金を返還したのであるから、平成25年以前についても、同様に本件補正を適用すべきであり、これをしなかったのは違法であると主張するが、控訴人ら指摘の事実によって結論が左右されないことは、本件 O土地の場合と同様である。したがって、控訴人らのこの点の主張も理由がない。 ⑷ 国家賠償法1条1項の解釈につ 主張するが、控訴人ら指摘の事実によって結論が左右されないことは、本件 O土地の場合と同様である。したがって、控訴人らのこの点の主張も理由がない。 ⑷ 国家賠償法1条1項の解釈について控訴人らは、原審が国家賠償法上の違法の認定にあたかも重過失が必要との独自の解釈論を展開するものであると主張する。しかしながら、原審判断1⑶の判示は、本件各賦課決定の基となる本件各土地の評価において本件補正を行わなかったことについて、大阪市長ないし被控訴人の担当職員が控訴人らとの関係において職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該評価を行ったか否かを検討し、そのような評価をし得る事情が認められない旨を説示するものであって、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったと判断するために重過失が必要であると判示したものではない。したがって、控訴人らの引用する最高裁判決に抵触する旨の主張は、その前提を欠き、採用することができない。 また、控訴人らは、固定資産税・都市計画税の課税方式は、申告納税方式ではなく、課税庁が税額を計算する賦課課税方式であるから、行政の計算が税額に直結するため、固定資産評価額の算定に際して高度な職務上の注意義務が課され、課税処分の過程に誤りがあれば、その性質上、当然に過失があったことになるから、本件補正がされなかった点は、国家賠償法上違法とされるべきであると主張する。 しかしながら、国家賠償法1条1項の違法が公務員の職務上の注意義務違反をいうことは、原審判断1⑴の最高裁判例のとおりであり、このことは行政処分である固定資産税等の賦課決定にも妥当し、評価基準に適合しないことをもって直ちに国家賠償法上違法と評価されるものではない。そして、固定資産税等が賦課課税方式であることを考慮しても、 のことは行政処分である固定資産税等の賦課決定にも妥当し、評価基準に適合しないことをもって直ちに国家賠償法上違法と評価されるものではない。そして、固定資産税等が賦課課税方式であることを考慮しても、上述したところによれば、本件補正を行わなかったことに、職務上通常尽くすべき注意義務に違反したと評価し得るような事情は認められない。そのほか、控訴人らが掲げる 下級審裁判例(甲A38、39)も、控訴人ら主張に係る文脈で判示したものではなく、本件に適切ではない。したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。 3 結語以上の次第で、控訴人らの請求は理由がないので、これらを棄却すべきであるところ、これと同旨の原判決は相当である。よって、本件各控訴はいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第4民事部 裁判長裁判官阪本勝 裁判官遠藤俊郎 裁判官大野祐輔
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