主文 被告人を懲役1年8か月に処する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,Aと共謀の上,第1 法定の除外事由がないのに,平成15年5月19日ころ,兵庫県a市b町c番市営住宅d号室所在の前記A宅において,覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する結晶粉末約0.06グラムを水に溶かして,前記Aから自己の身体に注射してもらい,もって,覚せい剤を使用し,第2 みだりに,同日,同所において,覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩酸塩の結晶粉末合計約1.353グラム(平成15年押第109号の1及び2はその鑑定残量)を所持したものである。 (証拠の標目)―括弧内の甲,乙で始まる数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―省略(補足説明)被告人は,判示第2の事実につき,当公判廷において,自分は共犯者とされるAに同判示の覚せい剤(以下「本件覚せい剤」という。)の購入代金の一部を出したことはあるが,これは同代金ないし本件覚せい剤をAに贈与した(あげた)ものであって,本件覚せい剤を所持してはいない旨述べ,弁護人も,これを受けて,被告人には主観的にも客観的にも本件覚せい剤の所持ないし所有は認められないとして,いずれも同事実を否認する。 しかし,関係証拠によれば,被告人とAはかねてから代金をほぼ平等に出しあって覚せい剤を共同購入しこれらを共同して使用しつつ本件に至ったもので,本件覚せい剤は3度目の共同購入にかかる覚せい剤であり,これがA宅に保管されていたのは,被告人に家族があり,Aが(事実上)独居していたからに過ぎず,本件覚せい剤は,それ以前共同購入された覚せい剤同様,Aの固有財産とは明確に区別されて保管されてい あり,これがA宅に保管されていたのは,被告人に家族があり,Aが(事実上)独居していたからに過ぎず,本件覚せい剤は,それ以前共同購入された覚せい剤同様,Aの固有財産とは明確に区別されて保管されていたもので,その保管場所,形態もおおむね被告人の知るところであり,被告人がAに本件覚せい剤(持分)やその代金を譲渡したり,本件覚せい剤の処分を完全に委ねたことも全くないことが明らかである。すなわち,被告人に本件覚せい剤の所持が認められることは論をまたず,しかも,それは,本件覚せい剤がAのみが所持,所有する物であって被告人にはAの本件覚せい剤所持に対する共謀共同正犯が成立するというにとどまらず,被告人には本件覚せい剤に対する間接所持が認められ,さらに,本件覚せい剤は被告人とAの共同所有物であることもまた明らかである。 以下,念のためこの点につきやや詳しく説明する(以下,括弧内の甲,乙で始まる数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号。また,Aと被告人の公判廷における供述(被告人の供述については第4回期日におけるそれ)については「A○ページ」などと,証人尋問調書ないし被告人供述調書における速記録のページを示す。)第1 1 まず,本件関係証拠によれば,以下の各事実が認められるというべきである。 (1)ア被告人は,平成14年12月ないし平成15年1月ころから,Aが購入してきた覚せい剤を同人宅で同人に注射してもらって使用していたが,同年3月末ないし4月はじめころ(被告人によれば同月5日あるいは12日。乙5),同人から覚せい剤購入代金を一部負担するようにいわれ,両名は覚せい剤購入代金を半分ずつ出すことにした。その上で,被告人とAは,一度に多量に覚せい剤を購入すれば,捕まる危険が減るし,よい覚せい剤を割安に入手できるだろうなどと相談し, するようにいわれ,両名は覚せい剤購入代金を半分ずつ出すことにした。その上で,被告人とAは,一度に多量に覚せい剤を購入すれば,捕まる危険が減るし,よい覚せい剤を割安に入手できるだろうなどと相談し,両名が各2万5000円ずつ負担して覚せい剤を5万円分購入することとした。被告人は,その上で,Aと共に被告人の運転する自動車で大阪市e区まで覚せい剤を買いに行き,覚せい剤5万円分を密売人から購入した(A6ないし8ページ,15ないし17ページ,被告人3,4ページ,14ページ,乙5)。 イ被告人とAはその後この覚せい剤を同人宅で使用していたが,被告人は,この覚せい剤を購入したころ,Aに対し,この覚せい剤につき,A宅で置いておいて欲しい旨告げた。これに対し,Aが,被告人の分もAが保管していると,Aが覚せい剤を使うこともあるし,そのような疑いも生じるので自分の分は自分の分として分けた方がよい旨答えたところ,被告人は,家族がいるので自宅に持って帰ることはできないとか,Aがこの覚せい剤を使ってもかまわない等と述べ,覚せい剤を自宅に持っていくことなどについては拒絶した(A18,19ページ,35ページ,47,48ページ,被告人14,15ページ等)。 Aは,被告人に対し,被告人がA宅に来ないときには一人でこの覚せい剤を使用しない旨申し向けており,実際はこの覚せい剤を単独で使用することも1,2度あったが,その都度被告人に報告していた(A24ページ,49ページ,乙5等)。 なお,当時,Aは実質的に一人暮らしであり,一方,被告人は妻子と共に暮らしていた(A9ページ,乙1)。 ウ被告人とAは,その後同年4月末か5月初めころ(被告人によれば同年4月22日。乙5)にも自動車で大阪市e区まで行き覚せい剤を5万円分購入 妻子と共に暮らしていた(A9ページ,乙1)。 ウ被告人とAは,その後同年4月末か5月初めころ(被告人によれば同年4月22日。乙5)にも自動車で大阪市e区まで行き覚せい剤を5万円分購入したが,2人で自動車を停車させた所から密売人のところに向かうと目立つ等の理由でA一人が密売人に会うこととし,一方このためもあって購入代金5万円については被告人がうち3万円を負担した。その後,被告人とAは,同月6日ころ,みたび覚せい剤を購入する旨を話し合ったが,購入当日である同月8日ころは,被告人の都合が悪いとの理由で,Aのみが覚せい剤を購入に行くこととなった。購入代金はやはり5万円であったが,被告人は,その当日にAに3万円を渡し,Aは自分の2万円とを合わせて覚せい剤(本件覚せい剤)を購入した。本件覚せい剤もA宅で保管されていた(A26ないし30ページ,甲18,乙5)。 また,そのころ,被告人自身が自由にできる銀行口座の残高は約10万円程度であった(被告人24ページ,乙6)。 (2) Aないし被告人とAは,(1)ア認定のとおり同年3,4月ころ5万円で覚せい剤を購入した後,(1)ウ認定のとおり2回覚せい剤を購入したが,それ以外に覚せい剤を購入したことはなかった(A17,18ページ,47ページ,被告人19ページ)。 (3) Aは,本件覚せい剤を含むこれら覚せい剤((2)でみた,購入費用を被告人との両名で負担した覚せい剤)について,日頃はこれら覚せい剤を購入した際に密売人からもらい受けた注射器等覚せい剤使用道具とともに袋(A所有ではあるが特に財産的価値のないもの)に入れてA宅の6畳間の整理ダンスの引き出しないし4畳半間のタンスの引き出し内に保管し,使用時に取り出すようにしていた。また,この引き出しにはA所有の貴重な金 有ではあるが特に財産的価値のないもの)に入れてA宅の6畳間の整理ダンスの引き出しないし4畳半間のタンスの引き出し内に保管し,使用時に取り出すようにしていた。また,この引き出しにはA所有の貴重な金品が入っているようなことはなかった。被告人も,A宅の6畳間の整理ダンスにこれら覚せい剤が保管されていること,4畳半間のどこかにも覚せい剤が保管されていることを知っていた(A19ないし22ページ,44ないし46ページ,被告人5,6ページ,26ページ,34ページ,甲7,10)。 また,被告人が自ら覚せい剤を前記保管場所から取り出すこともあった(A23ページ,46,47ページ)。 (4) 被告人は,Aの家を訪れたときはほぼ毎回(被告人の捜査段階の供述によると毎回。乙4の4ページ)これらの(購入費用を被告人との両名で負担した)覚せい剤をAから注射してもらって使用しており,被告人がA宅に行こうとして同人に断られるのは同人の都合がつかない時等に限られており,また,被告人がA宅でこれらの覚せい剤を使用する際被告人がAにその使用の許諾を求めたり,逆にAが被告人のこの覚せい剤使用を断ることはなかった(A10,11ページ,34,44ページ,被告人12,13ページ等)。 そして,被告人やAがこれらの覚せい剤を使用する頻度(被告人がA宅に行く頻度ともなる。)は,本件による逮捕の直前には,週に四,五回という程度にまで達していた(A10ページ,乙4)。 また,被告人とAは,これらの(購入費用を被告人との両名で負担した)覚せい剤を使用する際,前述の注射器を使っていたが,それぞれ専用の注射器を使用するようにし,注射器の袋にマジックペンで印を付けて二人の使用する注射器を明確に区別していた(被告人19,20ページ)。 (5) する際,前述の注射器を使っていたが,それぞれ専用の注射器を使用するようにし,注射器の袋にマジックペンで印を付けて二人の使用する注射器を明確に区別していた(被告人19,20ページ)。 (5) 被告人が,これらの(購入費用を被告人との両名で負担した)覚せい剤についてAにやると言ったり,自分の物ではないと言ったことはなかった(A26ページ,被告人4ページ)。 そして,Aは,これらの覚せい剤が二人の物であると思っていた(A25ページ。なお,Aは,被告人が本件覚せい剤を所持する意思がなかったと述べたことは意外である旨供述している。A37ページ)。 2 前記認定に関し,被告人は,Aに対し,覚せい剤を同人方で預かって欲しい等と言ったことはないと供述する(被告人4ページ)。しかし,(後述のように被告人をかばおうとしている)Aの供述内容に加え,被告人自身公判廷でも自宅に覚せい剤を置かなかった理由として家族がいると第一に述べていること(被告人14ページ)や,被告人自身の捜査段階の供述,さらに後述(第2の2(2))のとおり被告人の弁解が信用できないことに照らし,到底信用できない(なお,1(3)でみた,被告人が自ら覚せい剤を前記保管場所から取り出すこともあったとの点についても,同様の事情や被告人自身の供述(被告人20ないし22ページ)からみて,Aの供述のとおりと認める。)。 第2 1 第1の1の認定事実からすると,本件覚せい剤については,Aの直接所持が認められることは当然であるが,さらに以下のとおり認められる。 (1) まず,本件覚せい剤に対する被告人の所持をあえて無視しても,被告人は,自ら及びAが本件覚せい剤を継続的に使用するためAが本件覚せい剤を所持することにつき同人と共謀していたことが認められる。 (2) 次に せい剤に対する被告人の所持をあえて無視しても,被告人は,自ら及びAが本件覚せい剤を継続的に使用するためAが本件覚せい剤を所持することにつき同人と共謀していたことが認められる。 (2) 次に,被告人自身に本件覚せい剤の所持(間接所持)も認められる。 物の所持とは,物を支配する意思をもってこれを事実上支配する状態をいう。しかし,物に対し事実上の支配を及ぼすためにこれを直接握持している必要はなく,社会通念上その物に対する支配があると考えられる状態があれば所持にあたるというべきである(客観的に「事実上物を支配する状態」が,主観的に「支配の意思」がそれぞれ認められる場合に,所持の事実が認められることになる。)。 これを本件についてみると,被告人とAとは,購入費用を被告人との両名で負担した覚せい剤については,基本的に,被告人とAの両名がいる時にだけ,一方,本件により逮捕される直前ころには頻繁に使用してきたことが認められ,また,Aは,被告人との関係ではこれらの覚せい剤に被告人の支配を及ぼさせるような保管,管理方法(これらの覚せい剤がほぼ一貫してAの他の財産と混在するようなことのない状態で保管されていたこと等)をとり,これを排他的に保管,管理してはおらず,被告人もまたこれらの覚せい剤に対するAのこのような保管方法を認識し,これを前提に再び本件覚せい剤購入資金を半額ないしそれ以上負担したことが認められ,被告人についても,本件覚せい剤に対する事実上の支配は客観面でも主観面でも優に認められる。 (3) さらに,前記認定事実,とりわけ被告人が購入代金を一部負担するようになってから購入された覚せい剤の保管状況及び使用状況,また,被告人が本件覚せい剤購入当時自由になる金銭を約10万円とあまり有していなかったのにもかかわら とりわけ被告人が購入代金を一部負担するようになってから購入された覚せい剤の保管状況及び使用状況,また,被告人が本件覚せい剤購入当時自由になる金銭を約10万円とあまり有していなかったのにもかかわらず,この購入のために3万円も出資したこと等にかんがみれば,被告人が本件覚せい剤をAと共同して所有していた事実も優に認められるというべきである。 2 これらの認定に対し,まず,被告人は,公判段階に至り,本件覚せい剤ないしその購入代金はAにあげたものである等として,本件覚せい剤に対する所持,所有ないしその意思を否定し,Aも一部これに沿うかのような供述をする。しかし,これらは以下に述べるとおり前記認定を左右しない。 (1) 第1に,被告人の弁解に沿うかのようなAの供述部分をみる。 まず,同人は,本件覚せい剤ないし被告人が代金の一部を負担した覚せい剤について,全部Aの物と考えてもよいとも思えるという趣旨の発言もしている(A34ページ以下)。しかし,これは,被告人が本件覚せい剤の所持を否認していることを知った後の意見というべきもので事実について述べたものとはいえない上,同人は,被告人やその家族の前で被告人の不利になることはいいづらい等とも述べ,明らかに可能であれば被告人をかばいたいとの態度を示している(特にA37ないし41ページ)のであって,Aが本件覚せい剤の所持,所有者が自分であって被告人ではないかのように述べていることにより前記認定が左右されないことは明らかである。 なお,Aは,被告人に対して,本件覚せい剤を全部Aが使ったらどうする,ということを聞き,被告人が「それならば別に構わへんで」などと返答したとも述べている(A48ページ)が,これは,そもそも先に述べたところからみてほとんど信用できない上,仮に被告人がこれに どうする,ということを聞き,被告人が「それならば別に構わへんで」などと返答したとも述べている(A48ページ)が,これは,そもそも先に述べたところからみてほとんど信用できない上,仮に被告人がこれに類する発言をしたとしても,前記認定に照らすと,被告人のこの発言は,費用を分担して購入した覚せい剤が二人の共有物であるといっても,被告人の都合によりこれをA方で保管することにするのであるから,場合によりAがこれを全て使ってしまっても被告人は文句を言わないという趣旨程度のものとしか解しえないというべきであって,現にその後Aがこれら覚せい剤を単独で全部あるいは明らかに多く使うなどということのないまま本件覚せい剤の購入,所持に至っていることに照らすと,被告人のこのような発言から被告人に本件覚せい剤に対する所有の意思を疑うことはとうていできない。 (2) 次に,被告人は,被告人は本件覚せい剤ないしその購入代金をAに贈与するつもりであったもので本件覚せい剤に対する所持,所有の意思がなかったということの裏付けとして,Aに対し,本件覚せい剤の処分について「もう僕のことは気にせんと,自由にしてくれ」等と何度も言った旨弁解する(被告人4ページ)。しかし,本件覚せい剤等をAに贈与する意思でそのように何度も述べるなら,端的にこれをあげる等と述べればよいはずであるが,被告人がAに対しそのような発言をしたことの全くないことは被告人(被告人4ページ,16ページ)とA(A26ページ等)が共に認めるところである。したがって,被告人のこの弁解は,それ自体不合理であって(具体的に贈与の意思を明らかにしないまま贈与したつもりになっているということ自体もまず不合理である。),Aの((1)でみた以外の)供述や被告人の捜査段階における供述にも照らし到底信用できず,結局,この点は 贈与の意思を明らかにしないまま贈与したつもりになっているということ自体もまず不合理である。),Aの((1)でみた以外の)供述や被告人の捜査段階における供述にも照らし到底信用できず,結局,この点は前記認定のとおりであって,被告人は,購入費用を一部負担した覚せい剤の保管をAに依頼した際に自分がいなくてもAが使ってよい旨一度述べた程度と認められる。 (3) さらに,被告人は,捜査段階において本件覚せい剤に対する所持,所有を明確に認めていることにつき,捜査当初捜査官からお金を支出すればそれは所持である旨言われたために,本件覚せい剤をAに贈与したという説明をしなかった旨弁解する(被告人16,17ページ等)。 しかし,被告人がAに対しそのような発言をしたことが全くなく,被告人の贈与の弁解自身がまず不合理であることは先にみたとおりである上,物を贈与する(あげる,あげない)というのは法律的知識がない者でもわかる単純な行為であり,被告人が本当に本件覚せい剤やその購入資金をAに贈与したのであれば,捜査官に覚せい剤購入資金を出せばその所持ないし所有者になるなどと言われてもなお,そのような気持ちがなかったとか贈与の事実を主張することは十分に可能であったというべきであり,被告人のこの弁解も不自然,不合理であって到底信用できない。 そして,被告人の捜査段階での供述は,特に不合理な点もなく,十分信用するに足りる。 (4) なお,これまで認定,検討したところやAの供述(A24ページ)等に照らし,本件覚せい剤がAの家に保管されており,お互いの使用する分が区別されていなかったため事実上Aが自由に使用できたという状態から,被告人の共同所有の事実を否定することもできない。 3 以上のとおりであって,本件覚せい剤ないしその購入資金 お互いの使用する分が区別されていなかったため事実上Aが自由に使用できたという状態から,被告人の共同所有の事実を否定することもできない。 3 以上のとおりであって,本件覚せい剤ないしその購入資金はAに贈与したものである旨の被告人の公判廷での弁解は信用できず,被告人につき本件覚せい剤の共同所持,共同所有の事実は前掲関係証拠により優に認められる。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為は刑法60条,覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条に,判示第2の所為は刑法60条,覚せい剤取締法41条の2第1項にそれぞれ該当するが,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の重い判示第2の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役1年8か月に処し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。 (量刑の理由)本件は,被告人が共犯者と資金を出し合って購入した覚せい剤を共犯者の家で保管して所持し,そのような覚せい剤の一部を同所において共犯者に注射してもらって使用したという各覚せい剤取締法違反の事案である。 被告人は,平成12年9月に覚せい剤使用によって有罪判決を受け,執行猶予中の身であったにもかかわらず,覚せい剤の誘惑に屈して再び覚せい剤使用を始め,その当初は共犯者からの連絡を受けてから同人宅を訪れて覚せい剤を使用していたのが,次第に自ら連絡して同人宅に赴くなど積極的に覚せい剤を使用するようになった挙げ句その執行猶予期間内に本件各犯行に及んだものであり,本件各犯行は極めて常習的な犯行であって,被告人の覚せい剤に対する親和性,依存性も顕著というべきである。所持にかかる覚せい剤の量も少なくない。そして,被告人は,公判段階に至り,判示第2の覚せい剤を共犯者と共同所持,共同所有 な犯行であって,被告人の覚せい剤に対する親和性,依存性も顕著というべきである。所持にかかる覚せい剤の量も少なくない。そして,被告人は,公判段階に至り,判示第2の覚せい剤を共犯者と共同所持,共同所有していたことが明らかな本件で,この覚せい剤を被告人の家族に発見等されないようにするため共犯者に頼んで同人宅に保管してもらっていたという状況を奇貨として,公判廷で自らの覚せい剤所有,所持の事実を否定する不合理な弁解を繰り返し,同覚せい剤所持の責任をすべて共犯者に押し付けて自らの責任を回避しようとする態度に出ているのであり,このような自らの犯した罪に真正面から向き合おうとしないまことに卑怯な態度にかんがみると,再犯のおそれもなお存するといわざるを得ない。 以上の事情からすると,被告人の刑事責任は重大であり,被告人が捜査段階では本件各犯行を認めていたもので,公判廷においても使用の事実や覚せい剤購入資金の一部負担など外形的事実の多くはこれを素直に認めて反省悔悟の情を示し,薬物依存症脱却のためリハビリセンターに相談するなどの手段により,今後一切覚せい剤の誘惑に屈しない旨誓約していること,被告人が前記執行猶予付判決を受けた後覚せい剤使用を再開したのは共犯者に誘われるなどしたためであったこと,被告人が,養育しなければならない3人の娘を含めた家族にとっても,被告人自身が開業し経営してきた不動産会社にとっても,欠くことのできない重要な存在であること,被告人の妻及び弟が連携して被告人を厳しく指導監督することを誓っていること等,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮し,さらに,これらの事情があれば共犯者に自己の責任を押しつけてでも責任回避をしたいという誘惑に駆られることがあり得ることを被告人に有利に解したとしてもなお,被告人に対し実刑をもって臨むべきことは当然 ,さらに,これらの事情があれば共犯者に自己の責任を押しつけてでも責任回避をしたいという誘惑に駆られることがあり得ることを被告人に有利に解したとしてもなお,被告人に対し実刑をもって臨むべきことは当然である。 よって,主文のとおり判決する。 平成15年12月18日神戸地方裁判所第11刑事係乙裁判官橋本一
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