平成28(ワ)10154 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年6月27日 大阪地方裁判所
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判決文本文3,480 文字)

平成29年6月27日判決言渡し同日原本交付裁判所書記官平成28年(ワ)第10154号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成29年4月24日判 決 原告カギの110番カギマート合同会社 同訴訟代理人弁護士関谷俊宏 被告 Rセキュリティ株式会社 同訴訟代理人弁護士森博之主 文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は「カギの110番」を含む表示を使用してはならない。 2 被告は別紙被告の登録電話番号及び登録住所一覧表記載の電話番号登録を抹消せよ。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,原告が,被告において原告と同一又は類似の営業表示を使用しており,これは不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当するとして,被告に対し,同法3条1 項に基づき,被告が「カギの110番」を含む表示を使用することの差止めを請求するとともに,同条2項に基づき,別紙被告の登録電話番号及び登録住 所一覧表記載の電話番号登録の抹消を請求した事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実又は後掲の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告は,平成22年1月20日に設立された各種鍵の製造・販売及び各種錠前の開鍵・開扉の業務等を目的とする会社である。 イ被告は,平成18年10月2日に設立された鍵及び金庫の販売,卸,取付,修理等を目的とする会社である。 (2) 原告及び被告のiタウンページへの電話登録ア原告は,iタウンペー 会社である。 イ被告は,平成18年10月2日に設立された鍵及び金庫の販売,卸,取付,修理等を目的とする会社である。 (2) 原告及び被告のiタウンページへの電話登録ア原告は,iタウンページに,登録名義をいずれも「カギの110番」として,別紙原告の登録電話番号及び登録住所一覧表記載の電話番号及び住所を登録している。 イ被告は,iタウンページに,別紙被告の登録電話番号及び登録住所一覧表記載のとおり,登録名義を「カギの110番玉出」のように,「カギの110番」という文字列の後に大阪市内の地名を付け加えた表示(以下「被告表示」という。)として,同別紙記載の電話番号及び住所を登録している。 (3) 原告及び被告の営業形態原告及び被告は,いずれも各種錠前の開錠等の営業を行っており,上記(2)のi タウンページに登録した電話番号に電話をかけてくる顧客からの依頼を受けている。 なお,原告は,別紙原告の登録電話番号及び登録住所一覧表のうちの一か所のみに店舗を設けており,当該店舗の登録電話番号を使ってかかってくる顧客からの依頼を同店舗で受け付けるだけでなく,当該店舗の登録電話番号以外のi タウンページに登録された各電話番号を使ってかかってきた顧客からの依頼の電話も,当該店舗の登録電話番号に転送されることで顧客からの依頼を受け付け,その後,同店舗から顧客の指示する場所に従業員が赴くシステムとなっている。被告においても,多数の電話番号を登録しているが,実在の店舗を設けず,原告と同様に特定の電話 番号先に転送し依頼を受け付けるシステムを採用している(甲1の1ないし5)。 3 争点(1) 「カギの110番」が原告の営業表示として需要者の間に広く認識されているか(争点1)(2) 原告の営業表示である「カギの110番」と被告表示が同一 いる(甲1の1ないし5)。 3 争点(1) 「カギの110番」が原告の営業表示として需要者の間に広く認識されているか(争点1)(2) 原告の営業表示である「カギの110番」と被告表示が同一又は類似のもので,被告が被告表示を使用することが原告の営業との混同を生じさせるか(争点2)(3) 原告による差止請求及び抹消請求の成否(争点3)第3 争点についての当事者の主張 1 争点1(「カギの110番」が原告の営業表示として需要者の間に広く認識されているか)について(原告の主張)原告は,平成7年頃から,大阪市内を中心として,「カギの110番」という営業表示を用いて,開錠サービス等の営業を行ってきた。「カギの110番」は原告の商号で,原告の営業を表示するものであり,原告の営業表示として需要者の間に広く認識されている。 (被告の主張)原告の主張の第1文は不知。原告の主張の第2文は否認し,争う。原告の商号は「カギの110番カギマート合同会社」である。 2 争点2(原告の営業表示である「カギの110番」と被告表示が同一又は類似のもので,被告が被告表示を使用することが原告の営業との混同を生じさせるか)について(原告の主張)被告表示は,原告の営業表示である「カギの110番」と同一又は類似のものである。そして,被告が被告表示を使用して営業を行っていることによって,需要者が被告と原告の営業を混同するおそれがある。 したがって,被告の行為は不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当す る。 (被告の主張)被告が被告表示を使用して営業を行っていることは認め,原告のその余の主張は不知又は否認し,争う。 3 争点3(原告による差止請求及び抹消請求の成否)について(原告の主張)原告は,被告が被告表示を使用 表示を使用して営業を行っていることは認め,原告のその余の主張は不知又は否認し,争う。 3 争点3(原告による差止請求及び抹消請求の成否)について(原告の主張)原告は,被告が被告表示を使用して営業を行っていることによって,営業上の利益を侵害されている。したがって,原告は,被告に対し,不正競争防止法3条1 項に基づき,被告が「カギの110番」を含む表示を使用することの差止めを請求するとともに,同条2項に基づき ,別紙被告の登録電話番号及び登録住所一覧表記載の電話番号登録の抹消を請求する。 (被告の主張)原告の主張は否認し,争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(「カギの110番」が原告の営業表示として需要者の間に広く認識されているか)について原告は,「カギの110番」が原告の営業表示として需要者の間に広く認識されていると主張するところ,確かに,別紙原告の登録電話番号及び登録住所一覧表記載のとおり,iタウンページには,原告が営業表示と主張する「カギの110番」という登録名義で多数の電話番号及び店舗が登録されていることが認められる。 しかし,開錠サービスという業務の性質からすると,需要者は,本来の鍵を用いて錠前を開錠することができないというような緊急事態において,開錠サービスの事業者を探すために電話番号等を調べようとして,iタウンページの当該部分を閲覧するものと考えられるから,iタウンページを介して原告を認識する需要者は限定的であるとともに,またその認識機会も単発的であると考えられる。 なお,iタウンページには電話番号とともに多数の住所が掲載されているが,上 記認定のとおり,実在の店舗は一か所のみであるから,実在の店舗の看板や,同店舗で使用される営業車両の外観等を通して「カギの110番」との営業表示に需要 もに多数の住所が掲載されているが,上 記認定のとおり,実在の店舗は一か所のみであるから,実在の店舗の看板や,同店舗で使用される営業車両の外観等を通して「カギの110番」との営業表示に需要者が接する機会は限られているといわなければならず,これだけで需要者が原告の営業表示を広く認識するに至るということは困難である。そのほか,原告の営業表示について,何らかの宣伝広告活動がされていることについての主張立証は全くない。 そうすると,「カギの110番」が原告の営業表示として需要者から広く認識されるようになっていたものとはおよそ認められない。 2 結論以上によれば,被告の行為は,不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に当たるとは認められないから,本件訴訟が,原告が周知営業表示の主体であることを前提とする不正競争防止法違反に基づく請求に係る訴訟である以上,その余の争点について判断するまでもなく,原告の被告に対する請求にはいずれも理由がないこととなる。 よって,原告の請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 裁判官野上誠一 裁判官大川潤子

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