平成1(ワ)549 三菱重工業長崎造船所計画年休

裁判年月日・裁判所
平成4年3月26日 長崎地方裁判所
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【DRY-RUN】主   文 一 原告らと被告との間において、平成三年一二月二四日現在の別紙選定者目録記 載の選定者各員(ただし、選定者P1を除く。)の年次有給休暇保有日数が、それぞ れ別紙選定者別年次有給休暇保有日数

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判決文本文18,233 文字)

主文 一原告らと被告との間において、平成三年一二月二四日現在の別紙選定者目録記載の選定者各員(ただし、選定者P1を除く。)の年次有給休暇保有日数が、それぞれ別紙選定者別年次有給休暇保有日数一覧表第(3)欄記載のとおりであることを確認する。 二原告らの選定者P1の年次有給休暇保有日数の確認を求める訴えを却下する。 三原告らの年次有給休暇保有日数確認のその余の請求及び原告P2の未払い賃金請求をいずれも棄却する。 四訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第一原告らの請求及び被告の答弁一原告ら(年次有給休暇保有日数確認請求)原告らと被告との間において、平成三年一二月二四日現在の別紙選定者目録記載の選定者各員の年次有給休暇保有日数が、それぞれ別紙選定者別年次有給休暇保有日数一覧表第(1)欄記載のとおりであることを確認する。 (未払い賃金請求)被告は、原告P2に対し、金一万一五一七円及びこれに対する平成元年一二月二九日から支払い済みに至るまで年六分の割合による金員を支払え。 二被告原告らの請求をいずれも棄却する。 第二事案の概要本件は、選定当事者である原告らが、被告会社が労働基準法(以下「労基法」という。)三九条五項に基づき年次有給休暇(以下「年休」ともいう。)の計画的付与を実施したことに対し、それが違法無効であるとして、選定者らの残存保有有給休暇の日数の確認を求めるとともに、原告P2が、残存する年休の保有日数を超えて休暇をとったとされ、これにより所定の賃金を控除されたことを争い、その控除分の賃金の支払いを請求した事案である。 (前提となる事実)一原告らは、別紙選定者目録記載の選定者らから選定された選定当事者である。 選定者らは、いずれも被告会社長崎造船所に勤務する従業員であり、全国一般労働組 を請求した事案である。 (前提となる事実)一原告らは、別紙選定者目録記載の選定者らから選定された選定当事者である。 選定者らは、いずれも被告会社長崎造船所に勤務する従業員であり、全国一般労働組合長崎地方本部長崎連帯支部長崎造船分会(以下「長船労組」という。)に所属している組合員である。 被告会社は、船舶、原動機、兵器等の製造・修理等を業とする従業員約五万五〇〇〇人を雇用する会社であり、長崎造船所は、その事業場の一つである。 二被告会社においては、昭和五九年以来、夏季における一〇日程度の連続休暇を実施する一環として、有給休暇(昭和六一年からは二日)の一斉取得の措置をとってきたが、これに反対する長船労組の組合員らについては、これに拘束されないとの取り扱いであった。ところが、昭和六三年に改正労基法(昭和六二年法律第九九号)が施行されたことから、被告会社は、同法三九条五項に定める年次有給休暇の計画的付与(以下「計画年休」という。)としてこれを実施するならば、反対する者をも拘束して有給休暇一斉取得の措置をとることが可能になったと考えた。 三そこで、被告会社は、昭和六三年一〇月、長船労組との団体交渉の際、昭和六四年七月二五日及び二六日の有給休暇一斉取得は労基法上の計画年休として実施することを検討している旨述べ、一二月の団体交渉の際に、右計画年休の内容をさらに具体的かつ明確に説明した。 四これに対し、長船労組は、右会社案では計画年休の立法目的にそぐわず、かえって個人の年休の自由利用を妨げるものとなることなどを指摘して、組合案(①付与日数の大幅増、②一斉・班別・個人別付与方式の効果的な組合せによる多様な付与方式の採用、③計画年休以外の年休取得率向上諸対策の実施等)を提示した。 被告会社は、右の件に関し、長船労組と団体交渉を行ったが、結局、長船労 斉・班別・個人別付与方式の効果的な組合せによる多様な付与方式の採用、③計画年休以外の年休取得率向上諸対策の実施等)を提示した。 被告会社は、右の件に関し、長船労組と団体交渉を行ったが、結局、長船労組とは計画年休の実施について合意に至らなかった。 五しかし、被告会社は、昭和六三年一二月二一日、長崎造船所の全従業員の半数以上(約九八パーセント)の従業員(労働者)で構成される全日本民間労働組合連合会全国造船重機械労働組合連合会三菱重工労働組合長崎造船支部(以下「重工労組」という。)との間で、前記提案の昭和六四年七月二五日及び二六日の二日を計画年休とし、各人の保有する年休のうち二日を年初に計画年休に充当することなどを内容とする書面による協定を締結し、有給休暇を与える時季に関する定めをした。 また、年休に関する就業規則にも、計画年休についての規定が新設された。 六被告会社は、右労使協定に従い、昭和六四年(平成元年)七月二五日及び二六日の二日を長崎造船所における計画年休として実施した。 七原告P2は、平成元年六月二七日及び二八日に有給休暇をとるとして勤務をしなかった。これに対し、被告会社は、この時点で原告P2の保有する年休は、計画年休として年初に指定された前項の二日分を除くと一日にすぎなかったとして、六月二七日についてはこれを有給休暇としたが、六月二八日についてはこれを欠勤として取り扱い、当日分の賃金を控除した。 八被告会社は、平成二年及び平成三年についても、右昭和六四年(平成元年)の計画年休と同様に、重工労組との間の労使協定に基づいて、各二日の計画年休を実施した。 (争点)一本件各計画年休の適法性ないしこれが選定者らにも適用されるか否か。 二原告P2の平成元年六月二八日の欠勤が有給休暇となるか否か。 (原告らの主張の要旨)一長船労組 年休を実施した。 (争点)一本件各計画年休の適法性ないしこれが選定者らにも適用されるか否か。 二原告P2の平成元年六月二八日の欠勤が有給休暇となるか否か。 (原告らの主張の要旨)一長船労組に所属する選定者らは、いずれも被告会社の本件計画年休に反対し、その指定された日に出勤しようとしたが、被告会社によって拒否された。 しかし、被告会社が平成元年から実施した前記各年次有給休暇の計画的付与は、以下のとおり違法かつ無効であり、また選定者らを拘束するものではない。 すなわち、 1 重工労組との間でなされた計画年休についての本件労使協定は、労基法三九条五項の立法趣旨に反しており、適法な労使協定とみなすことはできない。 改正労基法に基づく計画年休は、年休取得率の向上という立法趣旨に貢献することが明らかであること、もっぱら他の意図(例えば、企業利益の追求等)に悪用されないこと、労働者個々人の年休利用が妨げられないこと、仮に妨げられることがあったとしても、それは最小限にとどめられ、かつ十全な配慮が加えられるべきこと、計画に当たっては労働者の意思が充分に反映されることなど、有効かつ合理的なものでなければならない。 これを本件についてみると、(一) 協定締結当事者たる重工労組は、被告会社と計画年休協定を締結するに当たって、過半数組合としての公正代表義務を完全に放棄しており、計画に労働者の意思が充分に反映されていない。協定当事者が公正代表義務に違反する協定は手続上重大な瑕疵があり、無効である。仮にすべてが無効でないとしても、その協定締結に異議のある選定者らについては効力が及ばないと解すべきである。 (二) 本件労使協定はその内容においても違法、無効である。本件計画年休は、過去の実績からしても、年休取得率の向上に全く貢献しないだけでなく、多くの労働者 については効力が及ばないと解すべきである。 (二) 本件労使協定はその内容においても違法、無効である。本件計画年休は、過去の実績からしても、年休取得率の向上に全く貢献しないだけでなく、多くの労働者の年休の自由利用を妨げることによって、より安易に画一的な人員配置と生産計画を保障し得るという、一方的に企業利益ないし企業効率に基づく措置にすぎないのであって、このような措置は改正労基法の立法趣旨に反する。また、被告会社の本件計画年休は、あらかじめ業務上必要とされる特定部門の労働者を適用除外し、業務上必要とされる労働者に対して計画年休当日その適用を解除する措置もなされており、さらに、計画年休当日に当番者などを指定し、具体的な業務を伴う違法な自宅待機を命じるなどしており、これらの各事実からしても、本件計画年休は、専ら企業利益にのみ基づくものである。 (三) 被告会社による今回の計画年休は、長船労組の反対を無視し強引に実施されたものであり、長船労組など少数組合の本件計画年休からの除外の申入れを全く考慮しないで、被告会社が過半数組合のみと本件計画年休を協定し、少数組合員である選定者らにこれを強制したものである。被告会社は、これによって、長船労組など少数組合の労働条件決定機能を弱体化し、所属組合員を故なく不利益に取り扱っているものであり、これは不当労働行為意思のあらわれであって、被告会社による不当な労務対策である。 2 被告会社と重工労組との計画年休協定が労基法三九条五項に基づく適法な労使協定として締結されたものであったとしても、直ちに、選定者らの年休自由利用の権利が同協定によって拘束されるものではない。 個々の労働者の年休取得の自由を拘束する計画年休協定の民事的効力は、それに従って計画年休を実施する旨の労働契約上の合意なしでは発生しないのであり、その 権利が同協定によって拘束されるものではない。 個々の労働者の年休取得の自由を拘束する計画年休協定の民事的効力は、それに従って計画年休を実施する旨の労働契約上の合意なしでは発生しないのであり、その合意は、単に就業規則に定めるだけでは足りず、計画年休に従うという労働者個々人の個別合意が必要である。 選定者らは、そのような労働契約の変更には同意していないのであり、被告会社が計画年休付与を強行したことは、選定者らに対しては効力を生じない。 二仮に、本件計画年休が適法であったとしても、原告P2に対する賃金控除は違法であり、被告会社は控除した賃金を原告P2に支払うべきである。 1 被告会社は、平成元年六月時点で、原告P2に対し、同人の年休保有残存日数が四日あることを示唆し、原告P2による平成元年六月二八日の年休届けを何ら異議を述べずにその前日に受理した。したがって、原告P2と被告会社は、六月二八日を年休扱いとすることで合意したというべきである。 仮に、右合意が有効でないとしても、そのことを、被告会社の示唆によって同日を年休として指定できると誤信していた原告P2の不利益に帰するのは不当である。 2 原告P2は昭和六三年度全労働日の八割以上を出勤していないから、同人が保有していた年休は性質上いわゆる法定外年休(労基法上与えられる年休ではなく労働契約上特に与えられた年休)であるところ、計画年休の労使協定は、あくまでも、労基法上の年休にのみ適用されるものである。したがって、原告P2による労働契約上の年休権行使は、本件計画年休の労使協定に妨げられず適法かつ有効に成立している。 三したがって、選定者らの保有する年次有給休暇の残存日数は、本件最終口頭弁論期日である平成三年一二月二四日現在、別紙選定者別年次有給休暇保有日数一覧表第(1)欄記載のとおりとなる。 している。 三したがって、選定者らの保有する年次有給休暇の残存日数は、本件最終口頭弁論期日である平成三年一二月二四日現在、別紙選定者別年次有給休暇保有日数一覧表第(1)欄記載のとおりとなる。 (被告の反論)一本件計画年休は、労基法所定の手続に従い、適法に締結された労使協定に基づいて実施され、手続的にも内容的にも不合理な事由はなく、また、不当労働行為にも当たらないものであって、適法である。 本件計画年休は、労使協定によって、当然に本件事業所の全労働者を拘束するものである。仮に労使協定のみによっては拘束できないとしても、本件においては、適法に就業規則の変更手続を経ており、その内容は合理的であるから、原告らに対し規範的効力を有する。 したがって、選定当事者らの保有する年次有給休暇の残存日数は、別紙選定者別年次有給休暇保有日数一覧表第(2)欄の平成三年一二月二四日現在残存数欄記載のとおりである。 二原告P2の平成元年六月二七日時点における年次有給休暇残存日数は、年初に本件計画年休に指定された二日を除き一日であったのであるから、六月二八日の欠勤については充当すべき有給休暇はない。また、被告会社は、六月二八日を年休扱いとする旨を原告P2と合意したという事実はない。もとより、原告P2は本件計画年休によって同人の平成元年六月二七日時点における有給休暇残存日数を熟知しており、被告会社の示唆によって同日を年休として指定できると誤信したことはない。 なお、本件計画年休は適法な労使協定に基づいて実施されたものであるが、右労使協定を前提に就業規則も適法かつ合理的に変更されているのであるから、いわゆる法定外年休についても法定年休と同様に本件計画年休が適用実施されることになる。 第三争点に対する判断一争点に対する判断の前提として、本件の具体的な事実 理的に変更されているのであるから、いわゆる法定外年休についても法定年休と同様に本件計画年休が適用実施されることになる。 第三争点に対する判断一争点に対する判断の前提として、本件の具体的な事実経過をみると、以下のとおりである。 1 被告会社の組織と原告らの地位(一) 被告会社の組織被告会社は、本社を東京に置き、長崎等の各地区に一二の事業所を有し、約五万五〇〇〇人の従業員を擁している株式会社であり、船舶・原動機・兵器等の製造・修理等を業としている。 長崎造船所は、被告会社の事業所(事業場)の一つであり、長崎市及びその周辺に工場を有し、昭和六三年一二月二一日当時従業員数は約九六〇〇人で、主として船舶・原動機・産業機械等の製造・修理を行っていた。 (二) 労働組合の組織状況及び選定者らの地位(1) 昭和六三年一二月二一日現在、被告会社には、①全日本民間労働組合連合会全国造船重機械労働組合連合会三菱重工労働組合、②日本労働組合総評議会全日本造船機械労働組合三菱重工支部、③日本労働組合総評議会全国一般長崎三菱連帯支部長崎造船分会(長船労組)等の三つの労働組合が組織されていた。そして、長崎造船所には、①の下部組織である長崎造船支部(重工労組)、②の下部組織である長崎造船分会(以下「長崎分会」という。)及び長船労組の三つの労働組合が存在し、重工労組の組合員数が当時九三四三名、長崎分会の組合員数が一六二名、長船労組の組合員数が二五名であった。したがって、重工労組が右事業場における労働者の約九八パーセントを組織し、過半数組合であったことになる。 (2) 選定者らは、昭和六三年一二月当時、長崎造船所の従業員であり右長船労組の組合員であった。そして、原告P2は、昭和四五年長船労組結成以来、同労組の執行委員の地位にあった。 2 年休一斉取得日の設定 選定者らは、昭和六三年一二月当時、長崎造船所の従業員であり右長船労組の組合員であった。そして、原告P2は、昭和四五年長船労組結成以来、同労組の執行委員の地位にあった。 2 年休一斉取得日の設定長崎造船所は、多数組合である重工労組からの要求により、右組合との協定に基づいて、夏季における一斉休暇を実現する一環として、昭和五九年に年次有給休暇の一斉取得日を設定した。その後も、同組合と協定を締結して、社員保有の年次有給休暇のうち、昭和六〇年までは一日、昭和六一年からは二日を年初に休暇カード上凍結し一斉取得日に充当してきた。 なお、右有給休暇の一斉取得は、重工労組組合員及び非組合員である管理職を対象として実施されていたが、これに反対していた長船分会及び選定者ら所属の長船労組の組合員については、右実施の対象外としていた(乙第一ないし第五号証の各一ないし三)。 3 計画年休労使協定の成立(一) 被告会社は、昭和六三年一〇月一一日、重工労組から、昭和六四年年次有給休暇一斉取得日設定の件につき、従前と同様に、昭和六四年(平成元年)七月二五日及び二六日の二日間を右一斉取得日とするよう申入れを受けた(乙第六号証)。 (二) 被告会社は、従前からなされていた年次有給休暇の一斉取得日を、新設された労基法の計画年休制度として実施することを検討し、昭和六三年一〇月二八日、被告会社と長船労組との団体交渉において、長船労組に対して、休日の振り替え等を含めて七月下旬に一〇日間の連続休日を設けることなどを内容とする「昭和六四年年間休日案及び年次有給休暇一斉取得日設定の件」と題する提案をなし、その中で、昭和六四年七月二五日及び二六日の年次有給休暇の一斉取得は労基法三九条五項に定める年次有給休暇の計画的付与として実施することを検討している旨述べた。そして、同年一二月、 題する提案をなし、その中で、昭和六四年七月二五日及び二六日の年次有給休暇の一斉取得は労基法三九条五項に定める年次有給休暇の計画的付与として実施することを検討している旨述べた。そして、同年一二月、長崎造船所の各労働組合に対し、その団体交渉の席で、昭和六四年七月二五日及び二六日を年次有給休暇の計画的付与日としたい旨の提案を具体的に行った(乙第七号証の一ないし三、第八、第九号証の各一、二、第一〇、第二二号証)。 (三) 長船労組は、被告会社及び重工労組に対し、右会社の提案は労基法に定める計画年休の立法趣旨にもとり、個人の年休の自由利用を妨げるものとなることなどを指摘し、かつ長船労組員には年休の自由利用の必要性について特別の事情があることなどを具体的に示して、参議院の付帯決議の趣旨に従って同組合員を協定から除外するよう求め、仮に労基法の立法趣旨に沿った内容の協定であって除外ができないときには事前に意見聴取をすることを書面をもって申入れ、さらに、被告会社に対し、昭和六三年一二月二三日、具体的な組合対案を提示した(甲第一一ないし第一五号証)。 (四) 被告会社は、右の件に関して長船労組と団体交渉を行ったが、結局、長船労組とは計画年休の実施について合意に至らなかった。しかし、被告会社は、昭和六三年一二月二一日、前記のとおり、長崎造船所において労働者の過半数で組織する労働組合である重工労組との間で、前記提案の昭和六四年(平成元年)七月二五日及び二六日の二日を計画年休とし、各人の保有する年休のうち二日を年初に計画年休に充当することなどを内容とする書面による協定を締結し、有給休暇を与える時季に関する定めをした(甲第一一号証の一、二)。 (五) 被告会社は、右計画年休を各部課長宛に通知するなど周知措置を講ずると共に、長船労組に対しては、昭和六三年一二月二八 を締結し、有給休暇を与える時季に関する定めをした(甲第一一号証の一、二)。 (五) 被告会社は、右計画年休を各部課長宛に通知するなど周知措置を講ずると共に、長船労組に対しては、昭和六三年一二月二八日の団交の席上及び平成元年七月一九日付文書により、選定者ら各人に対しては、同月二〇日に書面をもって、それぞれ右計画年休を通知した(乙第一五号証の一ないし四、第一六、第一七、第二二号証)。 4 就業規則の変更(一) 被告会社は、重工労組との前記労使協定を前提に、長崎造船所の社員就業規則に、昭和六四年一月一日から実施するものとして、第二九条第六項として「本条に定める有給休暇の一部について、法令の定めるところにより、有給休暇を与える時季に関する定めをした場合は、これにより有給休暇を与える。」という規定を新設し、また、年休の計画年休への充当、計画的付与の適用除外及び適用解除等の規定を就業規則細部事項に設け、いずれについても、長崎造船所の労働者の過半数で組織する労働組合である重工労組の意見を聴き、同労組のこれに同意する旨の意見書を添付した上で、昭和六三年一二月二三日右社員就業規則を、同月二七日右細部事項を、それぞれ就業規則の変更として長崎労働基準監督署に届出て、受理された(乙第一二号証の一ないし三、第一三号証の一ないし三、第二三、第二四、第二八号証)。 (二) さらに、被告会社は、右社員就業規則及び細部事項について各社員に対して周知措置を講じた(乙第一四号証、第一五号証の一ないし四)。 5 平成二年及び平成三年の計画年休(一) 平成二年の計画年休について、被告会社は、従前と同様に、重工労組から申入れを受け、長船労組を含む各労働組合との団体交渉を経て、平成元年一二月二一日、重工労組との間で、右提案の平成二年七月二五日及び二六日の二日を計画年休とし、各人 会社は、従前と同様に、重工労組から申入れを受け、長船労組を含む各労働組合との団体交渉を経て、平成元年一二月二一日、重工労組との間で、右提案の平成二年七月二五日及び二六日の二日を計画年休とし、各人の保有する年休のうち二日を年初に計画年休に充当することなどを内容とする書面による協定を締結し、有給休暇を与える時季に関する定めをし、所要の周知措置を講じた。選定者ら長船労組員に対しては、平成元年一二月二六日の団交の席上及び平成二年七月二〇日付文書により、右の計画年休を通知した(乙第三四、第三五号証、第三六号証の一ないし四、第三七号証の一ないし三、第三八、第三九号証、第四〇号証の一ないし三、第四一号証)。 (二) 平成三年の計画年休についても、同様に、被告会社は、長船労組を含む各労働組合との団体交渉を経て、平成二年一一月二六日、重工労組との間で、平成三年七月二四日及び二五日の二日を計画年休とし、各人の保有する年休のうち二日を年初に計画年休に充当することなどを内容とする書面による協定を締結し、有給休暇を与える時季に関する定めをし、所要の周知措置を講じ、選定者ら長船労組員らに対しては、平成二年一二月二四日の団交の席上で、右計画年休を通知した(乙第四二号証、第四三号証の一、二、第四五ないし第四九号証)。 二以上の事実経過を前提として、以下、本件計画年休の効力について検討する。 1 原告らは、本件計画年休は、これに反対した長船労組に属する選定者らには効力が及ばないと主張する。 しかし、昭和六二年の労基法の改正により同法三九条五項が新設され、労使協定に基づく計画年休制度が設けられた趣旨は、わが国における年休の取得率が、長期の休暇が普及し年休の完全取得が原則である欧米諸国と比べて極めて低い水準にとどまっていることに鑑み、労働者が事業の繁忙や職場の他の労働者へ 休制度が設けられた趣旨は、わが国における年休の取得率が、長期の休暇が普及し年休の完全取得が原則である欧米諸国と比べて極めて低い水準にとどまっていることに鑑み、労働者が事業の繁忙や職場の他の労働者への業務のしわよせ等を気兼ねすることなく年休を取得することを可能にすること、及び、休暇の本来の姿である連続・長期の年休の取得を可能にすることによって、年休の取得率を向上させ、労働時間の短縮と余暇の活用を推進しようとしたことにある。そこで、法は、労働者の個人的事由による取得のために一定の日数を留保しつつ、これを超える日数については、書面による労使協定に基づく計画的付与の制度を新設し、この計画的付与については、これに反対する労働者をも拘束する効果を認め、集団的統一的な取り扱いを許すことによって、労使協定による年休の計画的消化を促進しようとしたものであると解される。 したがって、労基法上、労使協定による計画年休制度が新設されたことにより、年休日の特定を完全に労働者個人の権利としていた従来の建前は改められ、前記の個人的事由による取得のために留保された五日を超える日数については、個人的な特定方法に加えて、労働者と使用者の協議によって集団的統一的に特定を行う方法が認められるに至ったもので、一旦右労使協定により年休の取得時季が集団的統一的に特定されると、その日数について個々の労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権は、共に、当然に排除され、その効果は、当該協定により適用対象とされた事業場の全労働者に及ぶと解すべきである。 2 また、原告らは、本件計画年休の内容などが労基法の趣旨に反し不合理であるから、違法、無効であるとして、種々の事由を主張する。 ところで、本件計画年休は、先にみたとおり過半数組合である重工労組との間で適法に締結された労使協定に基づくもので 労基法の趣旨に反し不合理であるから、違法、無効であるとして、種々の事由を主張する。 ところで、本件計画年休は、先にみたとおり過半数組合である重工労組との間で適法に締結された労使協定に基づくものであるところ、労基法が右のような過半数の労働者で組織する労働組合との協定による計画年休を定めたのは、労働組合と使用者との協議を経ることによって、当該事業場の労働者と使用者の実情に応じた適切な協定が定められることを期待してのことであり、反面、その協定に至る手続の公正さや内容的な合理性は、法所定の要件に反しない限り、原則としては、労働組合と使用者との自主的かつ対等な協議によって担保されるべきものとして、双方の協議にゆだねられたものと解するのが相当である。 そうすると、本件計画年休が、その手続・内容において、原告らが主張するように、年休取得率向上など改正労基法の趣旨に沿わず不合理であったとしても、そのことのみによって本件計画年休の効力が左右されるものではない。 3 しかしながら、一応は以上のようにいえても、本件のように、いわゆる過半数組合との協定による計画年休において、これに反対する労働組合があるような場合には、当該組合の各組合員を右協定に拘束することが著しく不合理となるような特別の事情が認められる場合や、右協定の内容自体が著しく不公正であって、これを少数者に及ぼすことが計画年休制度の趣旨を没却するといったような場合には、右計画年休による時季の集団的統一的特定の効果は、これらの者に及ばないと解すべき場合が考えられなくもない。 そうすると、原告らが本件計画年休の違法・無効事由として具体的に主張している点は、右の限度においては、なお検討の余地があるというべきであるから、以下、それについて、右の観点から検討を加えることとする。 (一) まず、原告らは、本件 の違法・無効事由として具体的に主張している点は、右の限度においては、なお検討の余地があるというべきであるから、以下、それについて、右の観点から検討を加えることとする。 (一) まず、原告らは、本件協定締結当事者たる重工労組は、被告会社と計画年休協定を締結するに当たって、過半数組合としての公正代表義務を完全に放棄しているのであり、協定当事者が公正代表義務に違反する協定は手続上重大な瑕疵があり、無効である、と主張する。 ところで、原告らの主張する公正代表義務の当否はともかく、労使協定によって、その対象となる全ての労働者が、一定日数の年休について時季指定権を失うことになるのであるから、労使協定を締結するに際しては、事前に、何らかの形で、全ての対象労働者にその内容を告知し、これに反対する労働者の意見を聴取するための手立てを講じておくことは、労基法の趣旨にも適うものであると考えられる。 しかし、本件においては、前記のとおり、被告会社は、本件協定を締結するに際し、選定者らの属する長船労組との間でも、本件協定締結の前後十数回にわたり団交を行っており、以後各年度の計画年休労使協定の締結に際しても同様に団交において長船労組の意見を聴取しているところである。 したがって、長船労組と立場を異にする重工労組が、本件協定の締結にあたって、長船労組の意見を聴取せず、その立場や意見を代表しなかったとしても、前述のような計画年休制度の趣旨をも考慮すると、本件協定によって選定者らを拘束することが著しく不合理であるとは到底いえない。 (二) さらに、原告らは、本件計画年休は、過去の実績からしても年休取得率の向上に全く貢献しないだけでなく、特定部門の労働者を適用除外しまた業務上必要とされる労働者に対し適用解除することなどにみられるように、安易かつ一方的に企業利益ないし企 去の実績からしても年休取得率の向上に全く貢献しないだけでなく、特定部門の労働者を適用除外しまた業務上必要とされる労働者に対し適用解除することなどにみられるように、安易かつ一方的に企業利益ないし企業効率の追求のみに基づく措置にすぎず、このような措置は改正労基法の立法趣旨に反し無効であり、選定者らを拘束するものではないと主張する。 確かに、別紙三菱重工長崎造船所年次有給休暇取得状況(甲第三九号証。その数値自体は当事者間に争いがない。)のとおり。被告会社においては、従前の年休一斉取得日の設定前の年休取得率が五一・九パーセントであったのが、年休一斉取得日の設定を実施した昭和五九年以後は、四五・二ないし四八・八パーセントとかえって低下し、さらに本件計画年休を実施した平成元年以後の年休取得率も、四六・一ないし四八・七パーセントと年休一斉取得の措置をとる以前の取得率にまでは回復せず、結果として、本件計画年休によって年休取得率に必ずしも向上していないものである。そして、その一因として、原告らが指摘するとおり、個々の労働者の中には、個人的な事情によって時季指定権を行使しうる年休を相当日数分確保しておくことを余儀なくされているため、本件計画年休制度の実施により、かえって年休取得への自己抑制を促されるという結果になっている者がいるであろうことも、否定できないところである。 しかしながら、仮に右のような実態であり、本件計画年休によって年休取得率の明らかな向上がもたらされなかったとしても、これをもって、本件計画年休の内容が著しく不公正であって、選定者らを本件計画年休に拘束することが計画年休制度の趣旨を没却するなどとはいえないことが明らかである。 また、被告会社の本件計画年休は、予め業務上必要とされる特定部門の労働者を適用除外し(平成元年においては二六九〇 休に拘束することが計画年休制度の趣旨を没却するなどとはいえないことが明らかである。 また、被告会社の本件計画年休は、予め業務上必要とされる特定部門の労働者を適用除外し(平成元年においては二六九〇名)、さらに計画年休当日、業務上必要とされる労働者に対して適用解除とする措置もなされており(平成元年七月二五日において計一九六名(出勤者一六名、出張者一八〇名)、同月二六日において計二二九名(出勤者三四名、出張者一九五名))、平成元年七月一日当時在籍した長崎造船所の従業員の約三割の従業員が業務上の都合によって計画年休の適用から排除されていることが認められる。 加えて、原告らは、被告会社では、計画年休当日に当番者などを指定し、具体的な業務を伴う自宅待機を命じているなどと主張し、本件計画年休は、もっぱら企業利益にのみ基づくものであるという。 しかしながら、右適用除外や当番者の指定などは、当該適用除外を受けた者や当番者として指定された者についての計画年休の合理性ないし公正さの問題であって、選定者らがこれにあたらない以上、本件計画年休の効力を選定者らに及ぼす上での障害となるものではない。 もっとも、適用解除についてはなお問題がある。すなわち、前記のとおり、年休時季の集団的統一的特定により、労働者が時季指定権を失うとともに、使用者としても、時季変更権を失ったものと解すべきところ、仮に、計画年休の適用解除の内容が、業務上の必要性がある場合には容易にこれを認め、反対に労働者側の都合による場合には一切認めないとされ、使用者に一方的に有利な内容となっているなどの場合には、衡平の観点からみて、これに反対する労働者を拘束することが著しく不合理で公正を欠くと解する余地がある。 しかしながら、本件計画年休においては、産前・産後の不就業期間中の者や結婚・出産・忌引 合には、衡平の観点からみて、これに反対する労働者を拘束することが著しく不合理で公正を欠くと解する余地がある。 しかしながら、本件計画年休においては、産前・産後の不就業期間中の者や結婚・出産・忌引休暇を届け出た者など、主に労働者側の事情による適用解除も認められ(乙第一一、第一三号証の各二)、現にこれらにより適用解除とされた者も存在する(甲第二三号証)ことや、業務上の必要については、一定の高度な必要性を要求しており、その運用においても、恣意的な取扱いがなされていることを窺わせる証拠もないことなどに照らすと、この点において本件計画年休が著しく不合理、不公正であるということはできない。 (三) さらに、原告らは、被告会社による今回の計画年休は、長船労組の反対にもかかわらず、これを無視して、長船労組の組合員にも効力が及ぶものとして強行されたものであり、これは、長船労組など少数組合をことさらに不利益に取り扱っているものであり、不当労働行為意思のあらわれであると主張し、さらに、本件計画年休は、被告会社の事業の合理的遂行に資するにすぎず、個々の従業員の年休取得の自由をことさらに侵害するとか、選定者にとって全くとる必要のない年休を本人の意思を無視して年休として押しつけ、年休日数を当初から二日減じて告知するという方法で選定者らの年休取得の自由を侵害するものであり、選定者らにとっては本件計画年休は不必要である、などと主張する. しかしながら、被告会社が不当労働行為の意図をもって本件計画年休を実施したことを窺わせる証拠は一切なく、また、本件計画年休の日数がわずか二日にすぎないことなどを考えると、これが労働者の年休取得の自由をことさらに侵害するものともいえないことは明らかである. とはいえ、前記のとおり、被告会社においては従来から年休一斉取得の措置をとって にすぎないことなどを考えると、これが労働者の年休取得の自由をことさらに侵害するものともいえないことは明らかである. とはいえ、前記のとおり、被告会社においては従来から年休一斉取得の措置をとっていたが、長船労組組合員らはこれに拘束されていなかったものであるところ、右のような形態の一斉取得措置によって特段の混乱が生じていたとの形跡は窺われず、他方、本件計画年休の実施によって年休取得率が明らかに向上したともいえない。そうすると、長船労組自体やその組合員にとっては、労基法に基づく本件計画年休の実施には特段の利益がないことになるばかりか、少数組合である長船労組にとっては、年休時季の集団的統一的特定方法である労使協定の当事者となることができず、事実上その団交事項の一部について権能が弱体化したともいえ、また、長船労組の個々の組合員にとっても、年休取得の時季指定権を失ってしまったという結果のみがもたらされたともいえるのであって、長船労組やその組合員の立場からみれば、改正労基法に基づく本件計画年休は、結果として、被告会社の経営合理化のみに寄与し、労働組合や労働者には不利益のみをもたらしたともいえない訳ではない。 しかし、他方で、被告会社によるアンケートの結果(乙第五一ないし第五五号証の各一、二)などに照らせば、被告会社においては、計画年休や休日の振り替えなどによる夏季の長期一斉休暇については、大多数の労働者がこれに賛同し、制度として既に一定の定着をみているといえること、被告会社は、各労働組合との交渉の中でその意向聴取の機会を持ち、計画年休の日数は二日として自由に時季を指定できる年休の日数を確保できるように配慮していることなどの事実が認められ、これらの事実をも考え併せると、本件計画年休の内容が著しく不公正で計画年休の趣旨を没却しているとか、これを原 自由に時季を指定できる年休の日数を確保できるように配慮していることなどの事実が認められ、これらの事実をも考え併せると、本件計画年休の内容が著しく不公正で計画年休の趣旨を没却しているとか、これを原告らに及ぼすことが著しく不合理となる特別の事情があるなどとは到底いえないことが明らかである。 4 そして、以上の諸事情を総合し、かつ、原告主張のその他の事情を考慮しても、本件計画年休協定の効力を原告らに及ぼすことを否定すべき事情は認められないから、選定者らは本件計画年休に適法に拘束されるものというべきである. 三以上の次第で、選定者P1を除くその余の選定者らの平成三年一二月二四日現在の各年次有給休暇保有日数は、平成元年度から実施された本件各計画年休が選定者らにも適用された結果、結局、別紙選定者別年次有給休暇保有日数一覧表第(3)欄記載のとおりになる(ちなみに、同表の第(2)欄の各数値のうち、本件計画年休の適用を前提とする部分以外の数値は、当事者間に争いがない。)。 したがって、原告らの平成三年一二月二四日現在の各年次有給休暇保有日数の確認請求は、同表第(3)欄記載の限度で理由があるが、その余の請求は理由がない。 また、選定者P1は、平成三年七月三一日付けで被告会社を退職したことが弁論の全趣旨によって明らかであるから、選定者P1については、その保有する年次有給休暇の残存日数を確認する利益がない。 四原告P2の平成元年六月二八日の欠勤について 1 平成元年六月二七日の段階で原告P2の保有していた年次有給休暇が三日であることは、当事者間に争いがないところ、前記のとおり、本件計画年休により、平成元年七月二五日及び二六日の二日があらかじめ計画年休日に指定され、当該二日分については時季指定権が排除されていたのであるから、実際に原告P2が時季を指定できる 前記のとおり、本件計画年休により、平成元年七月二五日及び二六日の二日があらかじめ計画年休日に指定され、当該二日分については時季指定権が排除されていたのであるから、実際に原告P2が時季を指定できる年次有給休暇の残存日数は一日に過ぎなかったというべきである。 したがって、六月二七日の年休取得により指定可能な年休はなくなっていたもので、原告P2の六月二八日の休暇届出を適法な年休の時季指定とみることはできない。 2 次に、原告P2は、被告会社との間で、本件六月二八日を年休扱いとすることを合意したと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。 さらに、同原告は、被告会社が原告P2に対し保有年休の残存日数を、計画年休分を控除しないまま実際の日数より多いもの(同年六月当初で四日)と示唆した旨を主張する。しかし、原告らが示唆を受けた原因であると指摘する原告P2の諸願カード(甲第三四号証)の「年次有給休暇・残存」欄には、本件計画年休による二日分を差し引かないで右の残存日数が記載されていたものの、同カードの冒頭には本件計画年休による二日分の指定が明記されており、たまたま残存日数欄の記載がそれを控除しないで記載されていたにすぎないこと、他方、原告P2は、長船労組の執行委員の役職にあって、自己の保有する有給休暇のうち二日分は、本件計画年休によって年初から計画年休日に指定、充当されることになっており、本件計画年休の効力が及ぶ以上は自己が時季指定権を自由に行使できる残存日数は年初から二〇日に過ぎなかったことや被告会社が右の扱いに例外を設けるはずはないことを充分認識していたこと、しかしながら、同原告は、これに抗議する意図で、あえて六月二七日、二八日の二日を年休として届け出たことが認められる(甲第一四、第三三号証、乙第二二号証、第三一号証の一、原告P2本人尋問の結 いたこと、しかしながら、同原告は、これに抗議する意図で、あえて六月二七日、二八日の二日を年休として届け出たことが認められる(甲第一四、第三三号証、乙第二二号証、第三一号証の一、原告P2本人尋問の結果、証人P3及び同P4の各証言)から、原告P2が、年休の残存日数について被告会社から誤った示唆を受けた結果、六月二八日を年休として指定できると誤信していたとは認められない。 そうすると、右の点を根拠に前記年休の届けを適法なものとすることはできない。 3 また、原告P2は、自分が保有していた年休はいわゆる法定外年休すなわち労働契約に基づく年休であるところ、計画年休労使協定はあくまでも労基法に基づく法定年休にのみ適用されるものにすぎないから、原告P2による労働契約上の年休権行使は適法かつ有効に成立していると主張する。 しかしながら、法定外年休については、そもそもその時季の特定方法について特段の制約がある訳ではなく、当該法定外年休が付与される根拠たる労働契約、労働協約ないし就業規則に委ねられているというべきである。そして、本件において原告P2に対する法定外年休を付与する根拠となるのは、被告会社の就業規則であると解されるところ、前記のとおり、本件計画年休の実施に伴い、就業規則が改正され、年休について定めた二九条の六項には、「本条に定める有給休暇の一部について、法令に定めるところにより、有給休暇を与える時季に関する定めをした場合は、これにより有給休暇を与える。」と規定されたのであるから、これによれば、就業規則上も労基法三九条五項と同一内容の計画年休制度が定められていると解される。そして、本件計画年休を定めた労使協定では、法定年休と法定外年休とを区別していない以上、法定外年休についても法定年体と同一に扱うとの趣旨を含んでいることが明らかである。 なお れていると解される。そして、本件計画年休を定めた労使協定では、法定年休と法定外年休とを区別していない以上、法定外年休についても法定年体と同一に扱うとの趣旨を含んでいることが明らかである。 なお、右就業規則の変更は、これまで自由に時季指定権を行使し得た従来の法定外年休のうち計画年休に充当される年休について、労働者が時季指定権を失うことになるのであるから、その限りにおいて就業規則の不利益変更であると考えられなくはないものの、法が計画年休制度を合理的なものとして是認している以上、そして、法定年休以上に労働者に有利にする理由もないことからすると、右変更は合理的なものというべきである。 したがって、法定外年休についても右就業規則を介して法定年休に準ずる取扱いが認められると解され、法定外年休であることを理由に本件計画年休の効力が及ばないという原告P2の主張は、採用できない。 なお、以上に述べたことは、その他の選定者らのうち法定外年休を保有するものについても同様である。 五結論以上のとおりであって、原告らの請求は、平成三年一二月二四日現在の別紙選定者目録記載の選定者各員(選定者P1を除く。)の年次有給休暇保有日数が、それぞれ別紙選定者別年次有給休暇保有日数一覧表第(3)欄記載のとおりであることの確認を求める限度で理由があり、選定者P1にかかる訴えは確認の利益がないから不適法であり、原告らのその余の年次有給休暇保有日数の確認を求める請求及び原告P2の未払い賃金請求は、いずれも理由がない。 (裁判官小田耕治井上秀雄森浩史)別紙(三菱重工長崎造船所年次有給休暇取得状況)省略選定者目録長崎市<以下略> P5同 <以下略> P6同 <以下略> P7同 <以下略> P8長崎県西彼杵郡<以下略> P9長崎市<以下略> P10同 <以 所年次有給休暇取得状況)省略選定者目録長崎市<以下略> P5同 <以下略> P6同 <以下略> P7同 <以下略> P8長崎県西彼杵郡<以下略> P9長崎市<以下略> P10同 <以下略> P11同 <以下略> P12同 <以下略> P13同 <以下略> P14長崎県西彼杵郡<以下略> P15長崎市<以下略> P16同 <以下略> P2同 <以下略> P17同 <以下略> P18同 <以下略> P19長崎県西彼杵郡<以下略> P20同 <以下略> P21同 <以下略> P22同 <以下略> P23同 <以下略> P24同 <以下略> P1同 <以下略> P25同 <以下略> P26同 <以下略> P27以上別表選定者別年次有給休暇保有日数一覧表<03009-001>

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