昭和26(う)410 虚偽文書作成行使詐欺被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和27年5月31日 仙台高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人Aを懲役八月に、同Bを懲役四月に各処する。      但しこの裁判確定の日から被告人Aに対しては二年間同Bに対しては一 年間夫々右刑の執行を

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判決文本文7,077 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人Aを懲役八月に、同Bを懲役四月に各処する。 但しこの裁判確定の日から被告人Aに対しては二年間同Bに対しては一年間夫々右刑の執行を猶予する。 原審並びに当審の訴訟費用は全部被告人両名の連帯負担とする。 理由 弁護人横山敬教の控訴趣意は記録中の同弁護人提出の控訴趣意書記載のとおりであるから、これを引用する。 右控訴趣意に対する判断先ず、原判決が判示事実認定の証拠としている被告人A、同Bの検祭官に対する各供述調書の任意性について按ずるに、右各調書は、当時検事が部下検察事務官三名と外に地元白石地区警察署の司法警察員多数を引卒して現場に臨み、大いに勢威を示し、前後三日間に亘り、地元民関係者数十名を何れも被疑者として取調を為し、その間非常な衝戟を与えた状況下において作成されたものであるとの所論事実は記録上これを認むるに足る何等の資料がない。尤も、被告人Aは、原審第三回公判廷で、弁護人の問に対し、湯の原駐在所において三日間も取調べられた旨供述しているが、取調が三日間に亘つたからと云つて、そのことから直にその供述が任意でないと断定し難いことは勿論、却つて右第三回公判調書中の同被告人の供述として「三日間も取調べられたため問はれる侭答えた」旨の記載に徴すれば、その供述内容の真否の点は姑く措き、その供述自体は任意に出てたものと解することが出来る。のみならず、前記各供述調書は原審で弁護人がこれを証拠とすることに同意し、且その証拠調に何等の異議を申立てなかつた書面であり、(被告人等に於ても之に対し反対の意思を表明した形跡がない。)右各調書に依れば、検察官は予め供述拒否権を告げ、且録取後読み聞かせたるに誤りのないことを申立てて夫々署名押印していることも明か であり、(被告人等に於ても之に対し反対の意思を表明した形跡がない。)右各調書に依れば、検察官は予め供述拒否権を告げ、且録取後読み聞かせたるに誤りのないことを申立てて夫々署名押印していることも明かであるから、この点から考察しても被告人等の任意の供述を記載した書面であることは疑う余地がない。従つて、右各供述調書の任意性を否定する論旨は理由がない。 次に、その真実性の点について考察するに、なるほど、被告人等は原審公判廷で起訴状記載の公訴事実を否認し、右供述調書中の供述に哉は真実にあらざる虚偽の自白を記載したものであるとか或は、錯覚を起し真実に反して供述した旨を陳述していることは所論の通りであるが、被告人等の右公判廷に於サる供述は、原審で取調べた他の証拠に対比して輙く信を措き難く、本件記録並びに原審で取調べた一切の証拠を精査検討して見ても右寄供述調書中の供述記載が真実に反する事実を記載したものとは考えられない。また、被告人Aの検察官に対する第一回供述調書と第二回供述調書中の各供述記載との問に矛盾があるとも認められない。即第一回供述調書では、被告人Aが木炭検査員C及び被告人Bに対し、木炭空供出(実在しない木炭を実在するものとして検収して貰うこと)の手続を依頼した経緯を明かにし、第二回供述調書では、右空供出に際しての被告人等の具体的行動を明かにしているものと解し得るからである。従つてその間矛盾があり信を措き難しとする所論も既にその前提に於て理由がなく、採用の限りでない。 而して、前記被告人等の検察官に対する各供述調書及び原判決か挙げている他の証拠を綜合すれば、原判示日時当時被告人Aが木炭生産者D外二一名の代表者として木炭を政府に売渡すべく実際に供出した数量は一三〇俵で、(原判沢が一四〇俵と認定したことは誤認であるが、この程度の誤認は判決に影響 合すれば、原判示日時当時被告人Aが木炭生産者D外二一名の代表者として木炭を政府に売渡すべく実際に供出した数量は一三〇俵で、(原判沢が一四〇俵と認定したことは誤認であるが、この程度の誤認は判決に影響を及ぼすものとは認められない。)被告人Bはこの事実を熟知しながり被告人Aの懇請に基き七二〇俵の供出があつたものとして之を検収した旨虚偽の事実を記載した薪炭受入調書一通を作成したこと、被告人Aは右の薪炭受入調書をその記載内容が真実であるものの如く装うてE地方薪炭林産組合(原判決にE地区林産組合とあるは誤記と認む。)に提出し、因て係員をしてモの旨誤信せしめ、右受入調書記載の金額合計九八、二六〇円の支払を受けて之を騙取したことを十分に肯認することが出来るし、記録を精査しても原審のこのような認定に誤りがあるとは認められない。また、被告人等の各供述調書は相互に補強証拠となるばかりでなく、原判決は所論被告人等の供述調書の外に罪体を証明するに足る薪炭受入調書、明細書、受領証並びに検察事務官に対するFの供述調書等をも証拠としていることは判文上明かであるから、被告人に不利益な唯一の自白を証拠として判示事実を認定したものでないことは勿論である。 尚、本件は、真実は一三〇俵しか受入れが済んでいないのに七二〇俵の受入れがなされた旨を記載した一通の虚偽の薪炭受入調書を行使してその代金全額の支払を受けたもので、原判決がその証拠に採用している検察事務官のFに対する供述調書及び当審受命裁判官の同人に対する証人尋問調書に徴しても原判示E地方薪炭林産組合としては、その受入調書が右のような虚偽のものであることが判明していれば、その調書記載の代金はその一部といえどもその支払をする意思がなかつたことが明かであるから原判決が右受入調書記載の七二〇俵分の代金全額につき詐欺を認めたのは うな虚偽のものであることが判明していれば、その調書記載の代金はその一部といえどもその支払をする意思がなかつたことが明かであるから原判決が右受入調書記載の七二〇俵分の代金全額につき詐欺を認めたのは正当で、その内実際に供出のあつた一三〇俵分について詐欺の成立を認むべきでないとの論旨も理由がない。 要之叙上各点についての原審の認定には所論のような違法はなくこれらに反する論旨はいずれも独自の見解に過ぎないのであるが更に進んで本件の詐欺が被告人両名の共謀による共同犯行と認め得るか否かの点について考察するに、原判決挙示の証拠によれば被告人Bが前記の如く虚偽の薪炭受入調書を作成して之を被告人Aに交付するに至つた所以のものは、判示犯行当時、被告人A等の斡旋でG部落林産組合の組合員が買受けることとした製炭用山林に対する契約保証金一〇万円の支払方法として、右組合員各人において四、五〇〇円宛を出資することとなつたところ各人に金員がなく、被告人Aは、同人等の意向により、H林産組合に対して原木資金の融資方を折衝したが、資金がなく応じ難しとして拒絶されたため改めて組合員各人から木炭四〇俵宛を政府に売渡して右保証金を捻出することとした。ところが、右木炭の出荷も思う様にはかどらず、一方保証金支払の期限が切迫したため、ここに被告人Aは、当時の木炭検査員C及び同検収員被告人Bの両名に対し、現に供出されている木炭は組合貞Iの三〇俵、同Jの三〇俵及び同Kの七〇俵の合計一三〇俵だけであるが、組合員が困つている、その余は間もなく組合員をして供出せしめるから、合計七二〇俵の木炭を検査、検収したこととしてその旨の薪炭受入調書を作成して貰い度い旨懇請し、被告人Bは、右Aの請託を容れて木炭七二〇俵の受入調書を作成交付するに至つたことを認め得るに過ぎない。しかして斯る事実関係の下にお 検収したこととしてその旨の薪炭受入調書を作成して貰い度い旨懇請し、被告人Bは、右Aの請託を容れて木炭七二〇俵の受入調書を作成交付するに至つたことを認め得るに過ぎない。しかして斯る事実関係の下においては被吉人Bが被告人Aの前記受入調書の提示を欺岡手段とした詐欺の所為につき共同犯行の認識を以て之に加担したものとは認められない。(原判決中被告人Bの虚偽の薪炭受入調書の作成、被告人Aの同文書の行使が共に罪とならないことについては後段説示の通りである。)即被告人Bにつき被告人Aの詐欺行為を容易ならしめた点においてその幇助の責任を問うのは格別、之が共同正犯としての責任は問い得ないものと解するを相当とする。果して然らば、右の点を共謀に因る共同正犯と認定した原判決は、証拠に基かずして事実を認定したことに帰し、この点に於て原判決は破棄を免れない。論旨は以上の意味にむいて理由がある。 次に職権を以て審査するに原判決は木炭検収員たる被告人Bを公務員とし同被告人が木炭検収の仕事上作成した薪炭受入調書を公文書としていることは判文上明かである。しかし、刑法上ある者を公務員というには単にその者の従事する仕事が公務であるばかりでなく、その公務に従事するゆえんが国家又は公共団体の機関としてであることを要することは多言をまたない。そこで被告人Bが木炭検収員としてこのような条件を備えていたかどうかを検討すると、当裁判所が職権で調査した証人Lの当公廷における供述及び昭和二七年四月一二日附農林省林野庁長官の「政府薪炭検収員任命に関する件」と題する書面を綜合すると、被告人Bが従事していた本件木炭の検収は、昭和二三年八月二一日農林省令第七三号薪炭需給調整規則に基く政府買入木炭の検収であつたこと、同被告人がその仕事に徒事したのは、昭和二三年五月五日二三林野第五三八六号農林省林野局 た本件木炭の検収は、昭和二三年八月二一日農林省令第七三号薪炭需給調整規則に基く政府買入木炭の検収であつたこと、同被告人がその仕事に徒事したのは、昭和二三年五月五日二三林野第五三八六号農林省林野局長官発各木炭事務所長宛通牒に基く同者仙台木炭事務所長の措置によつて採用された木炭検収員としてであつたこと、右林野局長官の通牒は、当時、農林当局としては、政府買入薪炭の検収に従事させるため政府職員たる検収員を置く計画を立てたが、その実施に際し、政府職員の定員数及び予算上の関係からそれが不可能になり、その結果、木炭一俵につき一円、薪一束につき一〇銭の割合の手数料を支払う契約の下に検収の請負制度を実施することに計画を変更し、各本人から註負契約の請書を徴して検収事務に従事させることにし、ただ、生産者等の相手方に対し、政府薪炭の検収をする者であることを表示するため、便宜上、各木炭事務所長から右各本人に「検収員を命ずる」旨の辞令に準ずるものを発給することとし、その旨林野局長官から各木炭事務所長宛に通牒したものであつたこと、而して、爾来各木炭事務所長は右通牒に基き、それぞれその管内において若干名の検収員を置き、前記薪炭需給調整規則施行後は、引続き同規則に基く政府買入薪炭の検収事務を右検収員に行わせていたが、その問国としては右検収員に対し右手数料を支払う外何等の給与を行わないことはもちろん、公務員としての取扱は全くしていなかつたものであること等がそれぞれ明かであ<要旨>る。以上によれば、前記林野局長官の通牒に基いて置かれた木炭検収員は、その行う仕事は国の公務であつた</要旨>が、その国との関係は単に民法上の請負人と注文者との関係に止まるものであつて、国とその職員という関係ではなく、従つて、検収員が検収の仕事に従事するのは単なる請負人としてであつて、国の機関と </要旨>が、その国との関係は単に民法上の請負人と注文者との関係に止まるものであつて、国とその職員という関係ではなく、従つて、検収員が検収の仕事に従事するのは単なる請負人としてであつて、国の機関としてではなかつたものであることが明かである。そうだとすれば被告人Bは公務員ではなかつたのであり、従つて、同人が木炭検収員としての仕事上作成すべき文書であつた薪炭受入調書は公文書ではなかつたものといわざるを得ず、原判決が之を公務員とし、公女書としたことは、この点に関する法令の解釈を誤つたか又は事実を誤認したものであつて、しかもその誤りが判決に影響を及ぼすことは明白であるから、原判決は破棄を免れない。 よつて刑事訴訟法第三九七条に則り原判決を破棄し、同法第四〇〇条但書により当裁判所において更に判決するに(事実)被吉人Aは昭和二〇年から同二四年一〇月頃までの間、宮城県刈田郡E地方薪炭林産組合の刈田郡a村G部落木炭取扱人として、同部落の木炭生産者のため、木炭の供出(政府への売渡)に関する事務を代理して処理していたもの、被告人Bは昭和二三年一〇月頃から同二四年六月頃まで、農林償仙台木炭事務所宮城県刈田郡a村駐在の木炭検収員として政府から請賃つて、同村において、政府が生産者から買入れる木炭につき、品種、等級、数量等を確認するいわゆる検収の手続を行つた上、その代金額をも算定し薪炭受入調書を作成して売渡人に交付する仕事に従事していたものであるが、第一被告人Aは昭和二四年三月二〇日頃、前記a村G薪炭林産組合所属の組合員において買受けた製炭用山林の契約保証金の捻出に窮した結果、D外二一名の右組合員が、政府に売渡すべく供出した木炭は一三〇俵に過ぎなかつたのに拘らず、七二〇俵の供出があり所定の売渡手続を了した旨虚偽の記載をした薪炭受入調書の発行を受け 金の捻出に窮した結果、D外二一名の右組合員が、政府に売渡すべく供出した木炭は一三〇俵に過ぎなかつたのに拘らず、七二〇俵の供出があり所定の売渡手続を了した旨虚偽の記載をした薪炭受入調書の発行を受け、之を使用して金員を騙取し上うと企て、当時前記の仕事に従事していた被告人Bに対し、右のような虚偽の薪炭受入調書の発行方を懇請し因て同人からその頃農林省仙台木炭事務所長宛薪炭受入調書用紙の所定欄に昭和二四年三月二〇日D外二一名から木炭七二〇俵が政府に売渡され所定の検収を了した旨虚偽の事実を記載し、これに検収員としての同人の記名印及び印章を押捺した内容虚偽の薪炭受入調書一通(証第一号)の交付を受け、同月二二日頃、当時政府買上げの木炭代金につき薪炭受入調書と引換えに之が立替払をしていた宮城県刈田郡b町所在E地方薪炭林産組合に赴き、同組合係員に対し、右虚偽の薪炭受入調書をその内容が真実のものの如く装うて提出し、因て同係員をしてその旨誤信せしめ、即時同所で右受入調書と引換えに同調書記載の木炭代金合計九八、二六〇円の支払を受けてこれを騙取し、第二被告人Bは前記の如くD外二一名から真実政府に売渡された木炭は合計一三〇俵に過ぎないこと、及び被告人Aは前掲虚偽の薪炭受入調書をその内容が真実であるものの如く装うて提出行使し、以て金員を騙取するものなるの情を知りながら前記の如く被告人Aの懇請を容れてこれを作成交付し因て同人の前記犯行を容易ならしめてこれを幇助し、たものである。 (証拠の標目)右の事実は一、 原審第一回及び同第三回各公判調書中の被告人等の供述記載一、 被告人Aの検察官に対する第一、二回各供述調書一、 被告人Bの検察官に対する供述調書一、 当審に於ける受命裁判官の証人F、同Mに対する各尋問調書一、 当審公判廷に於ける証人Lの 記載一、 被告人Aの検察官に対する第一、二回各供述調書一、 被告人Bの検察官に対する供述調書一、 当審に於ける受命裁判官の証人F、同Mに対する各尋問調書一、 当審公判廷に於ける証人Lの供述一、 昭和二七年四月一二日附林野庁長官の仙台高等裁判所第一刑事部長宛「政府薪炭検収員任命に関する件」と題する書面一、 押収に係る薪炭受入調書一通(証第一号)明細書三通(証第二号の一乃至三)及び受領証一通(証第三号)を綜合して之を認定する。 (法令の適用)法律に照すに、被告人Aの判示所為は刑法第二四六条策一項に被告人Bの判示所為は同法第二四六条第一項第六二条第一項に各該当するところ、被告人Bについては従犯であるから、同法策六三条第六八条第三号を適用して法律上の減軽をした上夫々の刑期範囲内で被告人Aを懲役八月に、同Bを懲役四月に各処し、但し諸般の情状に鑑み被告人両名に対し刑法第二五条を適用して本裁判確定の日から、被告人Aに対しては二年間、同Bに対しては一年間夫々右刑の執行を猶予すべく、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項第一八二条によりその全部(一、二審共)を被告人両名の連帯負担とする。 なお、本件公訴事実中被告人両名は共謀の上行使の目的を以て判示三月二〇日頃刈田郡a村cで判示七二〇俵の薪炭受入調書を作成し之を判示の如く行使して以て有印虚偽公文書を作成行使したものであるとの点は前段当裁判所の職権調査の項において説示した通り、被告人Bは公務員でなく、従つて同人の作成すべき薪炭受入調書も私文書であつて公文書でなく、しかもその作成名義を偽つていないのであるから私文書偽造罪にもならないのであるが、判示詐欺の所為と牽連犯として起訴されたことが明かであるから、特にこの点につき主文で無罪を言渡さない。 よつて主文の通り判決する。 (裁判長裁判 いのであるから私文書偽造罪にもならないのであるが、判示詐欺の所為と牽連犯として起訴されたことが明かであるから、特にこの点につき主文で無罪を言渡さない。 よつて主文の通り判決する。 (裁判長裁判官鈴木禎次郎裁判官高橋雄一裁判官佐々木次雄)

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