1 令和4 年7 月7 日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3 年(ワ)第24416 号 発信者情報開示請求事件口頭弁論終結日 令和4 年5 月11 日判決 5原告 A 同訴訟代理人弁護士 河 瀬 季同 谷 川 智同 足 立 梓10 被 告 株式会社NTTドコモ 同訴訟代理人弁護士 上 田 雅 大同 藏 田 彩 香15同 横 山 経 通主文1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 20事実及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は、原告が、氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを経25由してインターネット上の短文投稿サイト「ツイッター」に投稿した別紙投稿記事 2 目録記載の記事(以下「本件記事」という。)により、原告の著作物に係る著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことが明らかである旨を主張して、被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4 条1 項に基づき、別紙発信者情報目録記載の発信者情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。 51 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記した証拠(枝番号があるものはそれらを含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア 原告は、(省略)ことを目的とし、(省略) 実(当事者間に争いがないか、掲記した証拠(枝番号があるものはそれらを含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア 原告は、(省略)ことを目的とし、(省略)を行う一般社団法人であり、令和3 年6 月16 日に設立された(甲2)。 10イ 「B協議会」(以下「本件協議会」という。)は、原告の上記目的①~③を同じく目的とし、原告の上記事業①’及び②’等を同じくその事業とする任意団体であり、令和2 年11 月30 日に規約を制定・施行して設立された(甲1)。 ウ 株式会社C(以下「C」という。)は、本件協議会の設立時、その共同代表を務めていた会社である(甲1)。また、Dは、Cの取締役を務めている者である(甲1510)。 エ 被告は、電気通信事業法による電気通信事業をその目的の一部とする株式会社であり、一般論として、特定電気通信役務提供者及び開示関係役務提供者に該当し得る。 (2) Dによる本件文書の作成20Dは、E宛ての令和3 年2 月5 日付け「(省略)についての調査のお願い」と題する文書(甲8。以下「本件文書」という。)を作成した。 本件文書は、(省略)事象(以下「本件事象」という。)(省略)について、(省略)調査及び対応を依頼するものである。 (上記のほか、甲10)。 25(3) 氏名不詳者によるツイッターへの投稿 3 氏名不詳者は、別紙投稿記事目録の「投稿日時」欄記載の日時に、ツイッター・インク(以下「ツイッター社」という。)が提供する「ツイッター」に本件記事(甲7)を投稿した(以下、この投稿を「本件投稿」という。)。 本件記事には、「貧すれば鈍する我が業界①」との本文と共に、別紙投稿画像目録記載の画像(甲9。以下「本件画像」という。)が添付されている 7)を投稿した(以下、この投稿を「本件投稿」という。)。 本件記事には、「貧すれば鈍する我が業界①」との本文と共に、別紙投稿画像目録記載の画像(甲9。以下「本件画像」という。)が添付されている。本件画像は、本5件文書の一部を画像化したものである(甲7~9)。 (4) 本件協議会は、ツイッター社を債務者として、本件投稿に用いられたアカウントについてログインした際のIP アドレスのうち同社が保有するもの全て等の仮の開示を求める仮処分命令申立てを行い(当庁令和3 年(ヨ)第22110 号仮処分命令申立事件)、令和3 年7 月15 日、その旨の仮処分決定(甲3)を得た。これを受10け、ツイッター社は、同事件の債権者である本件協議会の代理人に対し、所定の情報を開示した(甲4~6)。本件訴えは、この開示結果を踏まえたものである。 (5) ツイッターの仕組みツイッターを利用するためには、利用者は、ツイッターのアカウントを作成する必要があり、アカウントを作成するためには、名前、電話番号又は電子メールアド15レスを登録する必要がある。また、登録したアカウントから投稿等を行う際には、利用者は、当該アカウントに設定したパスワードを入力してログインをする必要がある。 2 争点(1) 本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性(争点1)20(2) 本件投稿による原告の権利侵害の明白性(争点2)ア 原告の本件文書に係る著作権の有無(争点2-1)イ 適法な引用の抗弁の成否(争点2-2)(3) 発信者の電話番号及び電子メールアドレスの開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3)253 争点に関する当事者の主張 4 (1) 争点1(本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性)〔原告の主張〕 アドレスの開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3)253 争点に関する当事者の主張 4 (1) 争点1(本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性)〔原告の主張〕本件投稿がされたツイッターにおけるツイート(投稿)の仕組みは、利用者が設定したアカウントにログインし、次に、ログインされた状態でツイートするというものである。このため、侵害情報そのものに当たるツイートの送信に、ログイン情5報の送信は不可欠である。 また、法4 条1 項は、「権利の侵害に係る発信者情報」とやや幅をもたせた規定となっており、侵害情報そのものから把握される発信者情報だけではなく、侵害情報に関して把握される発信者情報であれば、これを開示することも許容していると解される。さらに、ログイン情報の送信に割り当てられたIP アドレスから把握される10発信者情報であっても、当該侵害情報の発信者のものと認められるのであれば、その開示は不当ではないと解される上、開示対象となる発信者情報は総務省令で定めるものに限定されており、いたずらに拡大されないように定められている。以上からすると、上記のように解することが、加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図るという法4 条1 項の趣旨にも合致するといえる。 15本件投稿に用いられたアカウント(以下「本件アカウント」という。)には「(省略)」というハンドルネームが用いられているところ、これは、複数人が管理することを想定させるようなものではない。また、別紙発信者情報目録記載1 のNo.1 及びNo.2 にかかる「接続元IP アドレス」欄記載の各IP アドレス(以下「本件接続元IPアドレス」という。)によるログイン日時(令和3 年6 月23 日及び同月25 日)に近20接する同月30 日 .2 にかかる「接続元IP アドレス」欄記載の各IP アドレス(以下「本件接続元IPアドレス」という。)によるログイン日時(令和3 年6 月23 日及び同月25 日)に近20接する同月30 日頃にも、本件アカウントでは、「既に債務超過だったようだし関係者の皆様としては引き取ってもらえてよかったのでは。CさんGJ。」、「C(省略)の株式取得 @(以下省略)より」、「こうして穏やかに再編されていくのは良きことかと存じます。CのPMI に要するコストがいかほどかは存じません。」などとCに言及するツイートを繰り返しており、本件記事と同様の話題につき同一の考えに基25づく投稿がされている。他方、その投稿の体裁は砕けたものであり、集団として(省 5 略)に関する情報を発信する様式とはいえず、私信に過ぎない性質を強く有している。これらのことから、一定の考えを有する個人が私的に本件アカウントを運用し、本件投稿を含むツイートを行ったといえる。 そうすると、別紙発信者情報目録記載1 の「発信日時」に本件接続元IP アドレスを使用して本件アカウントにログイン(以下「本件ログイン」という。)した者に係5る発信者情報は、「権利の侵害に係る発信者情報」に該当する。 〔被告の主張〕原告が開示を求める発信者情報は、本件アカウントへのログイン時の通信に係る発信者情報である。しかし、ログイン時の通信は、原告の権利が侵害されたという本件投稿に係る通信そのものではないから、本件発信者情報は、「当該権利の侵害に10係る発信者情報」に当たらない。 仮に、ログイン情報に係る通信記録の発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」に含まれる余地があるとしても、本件接続元IP アドレスを用いて本件アカウントにログインされたのは令和3 月6 月23 日及び同 イン情報に係る通信記録の発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」に含まれる余地があるとしても、本件接続元IP アドレスを用いて本件アカウントにログインされたのは令和3 月6 月23 日及び同月25 日であり、本件投稿がされた同年2 月9 日午前0 時03 分から4 か月以上も後である。このような情報が15「侵害に係る」発信者情報であるとはいい難いから、本件発信者情報は「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当しない。 (2) 争点2-1(原告の本件文書に係る著作権の有無)〔原告の主張〕ア 本件文書は、本件事象の異常性及びその原因について、本件協議会の共同代20表であったCの取締役であるDが独自の観点から創作したものであり、作成者の個性が表れている。したがって、本件文書は「言語の著作物」(著作権法10 条1 項1号)に当たる。 イ Dによる本件文書の作成当時、原告は設立されておらず、設立準備中の一般社団法人であった。 25しかし、著作権法上「法人」には「法人格を有しない社団又は財団で代表者又は 6 管理人の定めがあるもの」が含まれるところ(2 条6 項)、「社団」とは、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。本件協議会は、令和3 年2 月当時、Cをはじめとする幹事会社5 社を含む正会員18 社、賛同会員18 社が存在し、会員全体による定例会5が開催されると同時に、理事会に相当する幹事会社による幹事会が開催されることもあった。すなわち、幹事会社が本件協議会を代表して運営方針等を検討し、定例会によって会員全体の意思決定を行っていた。したがって、本件文書作成当時にお 会に相当する幹事会社による幹事会が開催されることもあった。すなわち、幹事会社が本件協議会を代表して運営方針等を検討し、定例会によって会員全体の意思決定を行っていた。したがって、本件文書作成当時における本件協議会は、「代表者…の定めがある」「社団」であり、著作権法上の「法人」である。 10また、本件協議会は、本件事象を受け、定例会において、本件事象の原因究明及び再発防止に向けた対応を実施することとした。その意思決定を受けて、Cの取締役であると共に本件協議会の実務担当者であるDは、本件協議会における職務として本件文書を作成した。すなわち、本件文書は、Dが、本件協議会の発意に基づき職務上作成したものである。さらに、本件文書の作成名義としては、公表するとす15れば記載する予定の「B協議会」との名称を付していた。 加えて、本件協議会及びCとDとの間には、本件文書につき、その権利の帰属に関する契約又は勤務規則等は存在しない。 以上のとおり、本件文書は、「法人」である本件協議会の発意に基づき、本件協議会の業務に従事するDが職務上作成した著作物であって、本件協議会が自己の著作20の名義の下に公表するものであり、本件協議会及びCとDとの間に、本件文書についてその権利の帰属に関する契約又は勤務規則等は存在しないことから、本件文書の著作権は、職務著作として、法人格を有しない社団である本件協議会に帰属した。 その後に原告が設立されたところ、設立準備中の一般社団法人が存在する場合、かかる団体に発生した権利は、一般社団法人の設立の完了により、当該設立後の法25人に包括的に承継される。したがって、本件協議会に帰属していた本件文書の著作 7 権は、原告の設立により原告に承継されており、原告が本件文書の著作権を有する。 〔被告の主張〕D 25人に包括的に承継される。したがって、本件協議会に帰属していた本件文書の著作 7 権は、原告の設立により原告に承継されており、原告が本件文書の著作権を有する。 〔被告の主張〕Dが本件文書を作成した当時、原告は設立されておらず、「B協議会」(本件協議会)という名称の権利能力なき社団が存在していたのみである。このため、原告の発意に基づいてDが本件文書を執筆することはあり得ず、また、権利能力なき社団5であった本件協議会は権利の主体となり得ない。さらに、本件協議会が「法人」(著作権法2 条6 項)として著作権の帰属主体となり得るとしても、このことは、原告が本件文書の著作権を有することを意味するものではない。すなわち、本件文書の作成当時、原告が設立中であること及び本件文書の作成が原告の設立準備行為に当たることは何ら立証されていない。本件文書の作成名義が原告の団体種別を除く名10称と一致することは、単に本件協議会の名義を使用したに過ぎず、原告が本件文書作成当時に設立準備中であったことの根拠にはならない。 加えて、法人の設立準備中に行われた行為のうち、設立後の法人に承継されるものは、法人の設立それ自体を目的とする限度にとどまると解されるところ、本件文書の作成や行政機関への陳情行為は、一般社団法人としての原告の設立それ自体と15は無関係である。そうである以上、仮に本件文書作成当時原告が設立準備中であったとしても、このような設立それ自体とは無関係の行為に関連して生じた著作権が設立後の法人である原告に承継されることはあり得ない。 (3) 争点2-2(適法な引用の抗弁の成否)〔被告の主張〕20本件投稿は、本件文書に係る適法な引用(著作権法32 条1 項)の要件を満たす可能性がある。すなわち、本件投稿に対しては、「本 (3) 争点2-2(適法な引用の抗弁の成否)〔被告の主張〕20本件投稿は、本件文書に係る適法な引用(著作権法32 条1 項)の要件を満たす可能性がある。すなわち、本件投稿に対しては、「本件は既に業界駆け巡ってる情報ですし霞ヶ関内部情報でもないのでアカ停止にはならないかと。」とツイートされており、本件投稿当時、既に本件文書は不特定多数の者に提示されていた可能性がある。また、本件投稿は、「貧すれば鈍する我が業界」との記述と共に本件文書の一部25のスクリーンショットを投稿したものであることから、本件文書の内容を批評する 8 目的により行われたものであり、引用の目的上正当な範囲内で行われたと見る余地がある。 したがって、本件投稿による原告の権利侵害が明白であるとはいえない。 〔原告の主張〕Dは、本件文書をEに対してのみ提出しており、それ以外に進んで外部に公表し5たことはない。被告が指摘するツイートは本件投稿の発信者自身によるものであるところ、このような者が自己防衛の弁解を行うのは当然であり、上記ツイートをもって本件文書が公表されていたということはできない。仮に、第三者が何らかの方法により本件文書を入手することができたとしても、原告はかかる入手に同意していないため、本件文書は「公表」されたものとはいえない。 10また、本件投稿は、未公表の本件文書を「貧すれば鈍する我が業界①」との表題を添えて公表するものであり、このような社外秘の情報を批判的な表題を付して暴露することは、正当な目的に基づくものとはいえない。 よって、本件投稿をもって適法な引用とはいえない。 (4) 争点3(発信者の電話番号及び電子メールアドレスの開示を受けるべき正当15な理由の有無)〔原告の主張〕原告は、本件投稿を行った者に対して、 件投稿をもって適法な引用とはいえない。 (4) 争点3(発信者の電話番号及び電子メールアドレスの開示を受けるべき正当15な理由の有無)〔原告の主張〕原告は、本件投稿を行った者に対して、名誉毀損に関する損害賠償請求を行う予定である。その前提として、被告から、被告が保有するその投稿者の特定に資する発信者情報の開示を受ける必要がある。したがって、原告には本件発信者情報の開20示を受けるべき正当な理由がある。 氏名及び住所が開示された場合であっても、発信者が、被告が把握している住所より転居する可能性は十分にあるから、氏名及び住所の開示により十分に発信者を特定できるとはいえない。また、電子メールアドレス又は電話番号のいずれかのみが開示された場合であっても、開示された電子メールアドレス又は電話番号の変更25等がされる場合も十分にあり得る。このため、氏名及び住所に加え、電子メールア 9 ドレス及び電話番号のいずれも、発信者を特定するために必要な情報である。そうである以上、原告が電子メールアドレス及び電話番号の開示を受けることには、正当な理由がある。 〔被告の主張〕氏名又は名称及び住所の開示を受けることができる場合、それだけで損害賠償請5求権の行使が可能であり、電話番号及び電子メールアドレス情報は不要である。したがって、原告が求めるこれらの情報の開示には、正当な理由があるとはいえない。 第3 当裁判所の判断1 争点1(本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性)について(1) 「権利の侵害に係る発信者情報」の意義10法4 条1 項は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が開示関係役務提供者に対して開示を請求することのできる情報として、「権利の侵害に係る発信者情 」の意義10法4 条1 項は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が開示関係役務提供者に対して開示を請求することのできる情報として、「権利の侵害に係る発信者情報」と規定しているところ、「関係する」という意義の「係る」という文言が用いられていることからしても、「権利の侵害に係る発信者情報」は、権利侵害行為そのものに使用された発信者情報に限定されず、権利侵害行15為に関係する情報を含むと解し得る。また、法4 条の趣旨は、特定電気通信(法2条1 号)による情報の流通には、これにより他人の権利の侵害が容易に行われ、その高度の伝ぱ性ゆえに被害が際限なく拡大し、匿名で情報の発信がされた場合には加害者の特定すらできず被害回復も困難になるという、他の情報流通手段とは異なる特徴があることを踏まえ、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害を20受けた者が、情報の発信者のプライバシー、表現の自由、通信の秘密に配慮した厳格な要件の下で、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求することができるものとすることにより、加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図ることにあると解される(最高裁平成22 年4 月8 日第一小法廷判決・民集64 巻3 号676 頁参照)。 25このような趣旨に鑑みると、権利侵害行為そのものの送信時点ではなく、その前後 10 に割り当てられたIP アドレス等から把握される発信者情報であっても、それが当該侵害情報の発信者のものと認められる場合には、「権利の侵害に係る発信者情報」に当たると解すべきである。 (2) 検討前提事実(前記第2 の1(5))のとおり、ツイッターを利用するには、利用者は、5パスワード ものと認められる場合には、「権利の侵害に係る発信者情報」に当たると解すべきである。 (2) 検討前提事実(前記第2 の1(5))のとおり、ツイッターを利用するには、利用者は、5パスワードを設定するなどしてアカウントを登録し、ログインの際にはその登録したパスワードの入力を求められる。 また、証拠によれば、本件アカウントのアカウント名は「(省略)」(甲7)又は「(省略)」(甲13、14)というものであり(いずれもユーザー名は「@(以下省略)」である。)、このようなアカウント名からは、少なくとも本件アカウントが複数人により10管理されているものとは必ずしも推測されない。また、本件アカウントからの投稿者は、本件投稿に対する第三者からの返信に対し、「令和を生きるサラリーマンのはしくれとして、社外非情報を漏洩することはいたしません。」と返信している(甲7)。 この返信からは、特定の個人が本件アカウントを使用していることがうかがわれ、むしろ本件アカウントが法人や団体に管理されているなどして複数人により使用さ15れているものとはいいがたい。他に本件アカウントが複数人により使用されていることをうかがわせる具体的な事情はない。 さらに、証拠によれば、本件アカウントにより、本件ログインと近接する時期である令和3 年6 月30 日頃に、「C (省略)の株式取得…@(以下省略)より」(甲13、14)、「既に債務超過だったようだし関係者の皆様としては引き取ってもらえて20よかったのでは。CさんGJ」(甲13)、「こうして穏やかに再編されていくのは良きことかと存じます。CのPMI に要するコストがいかほどかは存じません。」(甲14)などといった投稿がされている。これらの投稿がされたのは本件投稿がされた約4か月後であるところ、その内容は、本件記事 ことかと存じます。CのPMI に要するコストがいかほどかは存じません。」(甲14)などといった投稿がされている。これらの投稿がされたのは本件投稿がされた約4か月後であるところ、その内容は、本件記事とその関心事ないし話題が共通しているといってよく、このことは、本件アカウントの使用者が本件投稿の投稿者と同一25人物であることをうかがわせる。 11 以上の事情を総合的に考慮すると、本件接続元IP アドレスを使用して本件アカウントに本件ログインをした者は、本件投稿をした者と同一の個人であると見るのが相当である。そうである以上、本件ログインに係る本件発信者情報は、侵害情報である本件投稿の発信者のものと認められるから、「権利の侵害に係る発信者情報」に当たるというべきである。これに反する被告の主張は採用できない。 52 争点2-1(原告の本件文書に係る著作権の有無)について(1) 前提事実、証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア 本件協議会は、令和2 年11 月30 日、(省略)などを目的とし、(省略)をその事業として設立されたものであるが(前記第2 の1(1)イ)、同日施行の定款(甲1)10には、目的(2 条)及び事業(3 条)のほか、次のとおりの定めがある。また、その設立初年度の幹事会社はCを含む発起会社5 社とし、Cと「F株式会社」(以下「F」という。)ほか1 社が共同代表とされた(定款附則(2))。 (省略)イ 本件協議会は、令和3 年1 月27 日に開催された定例会において、本件事象15に関連してEに対する提言をすることを決定した。 当時本件協議会の共同代表であったCの取締役であるDは、本件協議会の実務担当者として、同日、職務上入手した資料を基に、(省略)の原因 本件事象15に関連してEに対する提言をすることを決定した。 当時本件協議会の共同代表であったCの取締役であるDは、本件協議会の実務担当者として、同日、職務上入手した資料を基に、(省略)の原因等の調査の必要性や(省略)のために必要な事項の検討・判断がされるための働きかけの必要性等について記載した本件文書の原稿を作成し、本件協議会の幹事会社及び正会員向けに送20付した。その後、Dは、一部修正の上本件文書を完成させ、同年2 月4 日、本件協議会の会員に対してこれを送付した。なお、Dは、本件文書の原稿送付に際し、本件文書は定例会の決定を受け、正会員の意見等を踏まえて作成されたものであること、本件文書は非公開とし、本件協議会の名義でEに対して提出予定であることを申し添えた。 25(以上につき、甲10、17、18) 12 ウ 本件文書は、E宛ての令和3 年2 月5 日付け「(省略)についての調査のお願い」と題するものであり(前記第2 の1(2))、その作成名義は「B協議会」とされているほか、本件文書の末尾の「関係当事者一覧」には、「報告者」として本件協議会が記載され、その共同代表であるC及びFの担当者として、前者はDが、後者はFの専務取締役がそれぞれ挙げられている(甲8)。 5エ 原告は、「A」との名称で令和3 年6 月16 日に設立されたものであるが(前記第2 の1(1)ア)、その際、その代表理事にDが就任したほか、Fの上記専務取締役が代表取締役に就任した(甲2)。 (2) 検討ア 上記(1)イ認定に係る各事実を踏まえると、本件文書は、本件協議会の定例会10における決定を受けて、本件協議会の共同代表であるCの取締役であるDがその作成担当者となって作成した言語の著作物と認められる。 イ 著作権法上「法 踏まえると、本件文書は、本件協議会の定例会10における決定を受けて、本件協議会の共同代表であるCの取締役であるDがその作成担当者となって作成した言語の著作物と認められる。 イ 著作権法上「法人」には「法人格を有しない社団…で代表者又は管理人の定めがあるものを含む」(同法2 条6 項)ところ、上記(1)ア及びウ認定に係る各事実によれば、本件協議会は、法人格こそ有しないものの、定款(甲1)により、その目15的及び事業、入会及び会員資格喪失の要件を含む会員資格、共同代表等の役員の設置、選解任及び権限、総会の設置、運営及び権能、幹事会の設置及び権限、定例会の設置等について定められ、これに基づく運営がされていたことがうかがわれる。 このような事情に鑑みると、本件協議会は、法人格を有しない社団で、代表者又は管理者の定めがあるものといってよく、著作権法上は「法人」に該当する。 20そうすると、本件文書は、著作権法上は法人とされる本件協議会の発意に基づき、本件協議会の業務に従事するDがその職務上作成したものといえる。 ウ 本件文書の作成名義は、本件協議会の名称と同一の「B協議会」であり、かつ、少なくともEに対する提出が予定されていたことから、本件文書は、本件協議会が自己の著作の名義の下に公表するものとして作成されたものと認められる。 25さらに、本件文書作成当時、本件協議会の定款、契約その他において、本件文書 13 をDその他本件協議会以外の者の著作物とする旨の別段の定めは見当たらない。 そうすると、本件協議会は、本件文書の著作者であり、本件文書に係る著作権を有していたものと認められる。 エ 前提事実(前記第2 の1(1)ア~ウ、(4))に加え、上記(1)認定の各事実によれば、原告と本件協議会は、その名称が、法人の属性を表 り、本件文書に係る著作権を有していたものと認められる。 エ 前提事実(前記第2 の1(1)ア~ウ、(4))に加え、上記(1)認定の各事実によれば、原告と本件協議会は、その名称が、法人の属性を表す「一般社団法人」の有無5を除きいずれも「B協議会」である点で共通する。また、原告と本件協議会は、その目的及び事業も同一である。しかも、本件協議会の共同代表を務めていたCの取締役であるD及びFの専務取締役がそれぞれ設立後の原告の代表理事及び代表取締役に就任した。これらの事情に加え、本件協議会の設立から原告の設立までの期間が6 か月余であること、本件協議会の申立てに係る仮処分決定の結果を踏まえて原10告が本件訴えを提起したことをも考慮すると、本件協議会は、原告の設立に向けた準備的な活動を行うと共にその目的に沿う事業活動を行っていたものであり、本件協議会と原告とは、原告の法人格取得の前後を通じて、実質的に同一の団体として事業活動を行っていたものと見るのが相当である。 そうである以上、少なくとも本件協議会がその事業活動を通じて取得した本件文15書に係る著作権については、法人格取得後の原告に当然承継されるものとすることが本件協議会及び原告の合理的意思に合致するものと考えられる。また、このように解したとしても、本件協議会と原告との実質的な同一性に鑑みれば、第三者が予測し得ない不利益を受けることは考え難い。 したがって、原告は、本件文書に係る著作権を有することが認められる。 20オ これに対し、被告は、仮に本件文書作成当時、本件協議会が原告を設立準備中であったとしても、設立準備中の行為のうち設立後の法人にその権利が帰属するのは、法人が設立されることを目的とする行為に限られるなどとして、原告は本件文書の著作権を承継しないなどと主張する 設立準備中であったとしても、設立準備中の行為のうち設立後の法人にその権利が帰属するのは、法人が設立されることを目的とする行為に限られるなどとして、原告は本件文書の著作権を承継しないなどと主張する。 しかし、上記認定のとおり、本件協議会と原告とは、原告の法人格取得の前後を25通じて実質的に同一の団体として事業活動を行っていたことに鑑みると、本件協議 14 会がその事業活動を通じて取得した本件文書の著作権を原告が承継し得ないとすることは、およそ実態にそぐわないものというほかない。また、原告が本件文書の著作権を承継しないとすると、実際上、本件文書の著作権はその帰属先を失うことともなりかねず、相当でない。 これらの事情等に鑑みると、この点に関する被告の主張は採用できない。 5(3) 小括以上より、原告は、本件文書に係る著作権を有する。 また、本件記事は、原告が著作権を有する本件文書を複製したものであり、本件投稿はこのような本件記事を公衆送信したものといえることから、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害するものと認められる。 103 争点2-2(適法な引用の抗弁の成否)について被告は、本件投稿につき、引用の要件を満たす可能性があるため、本件投稿により原告の著作権が侵害されたことは明らかではないと主張する。 しかし、本件記事は、「貧すれば鈍するわが業界①」との本文と共に複製した本件文書の一部の画像4 つを添付したものであるところ、その投稿(本件投稿)の目的15は必ずしも明確でない。その本文の内容から、本件投稿の目的が批評等にあると見る余地はあるものの、上記のとおり、本件投稿は、本文部分は12 文字とごく僅かであり、本件文書の一部をそのまま複製した画像4 つにほぼ占められていることと併せ考えると、正当な範囲 が批評等にあると見る余地はあるものの、上記のとおり、本件投稿は、本文部分は12 文字とごく僅かであり、本件文書の一部をそのまま複製した画像4 つにほぼ占められていることと併せ考えると、正当な範囲内での引用とはいい難い。 したがって、本件投稿は、適法な引用の要件を満たさない。この点に関する被告20の主張は採用できない。 したがって、侵害情報である本件投稿の流通によって原告の権利が侵害されたことは明らかといえる。 4 争点3(発信者の電話番号及び電子メールアドレスの開示を受けるべき正当な理由の有無)について25被告は、原告には本件発信者情報として発信者の電話番号や電子メールアドレス 15 の開示を受けるべき正当な理由がない旨を主張する。 しかし、本件各ログインに係る発信者の氏名・名称及び住所が開示されれば原告が発信者に対する損害賠償請求を行い得るとしても、転居は比較的容易であることから、なお電話番号や電子メールにより発信者を特定する必要はあるといえる。また、電話番号又は電子メールアドレスも比較的容易に変更可能であることを考える5と、発信者の特定のためにはそのいずれも必要といえる。 したがって、原告は、本件記事の発信者に対する損害賠償請求権の行使等のために、発信者の氏名又は名称及び住所のほか、電話番号及び電子メールアドレスについても開示を受けるべき正当な理由があるといえる。 5 まとめ10以上より、被告は、原告が自己の著作権を侵害されたとする本件投稿との関係で、開示関係役務提供者に当たることから、原告は、被告に対し、本件発信者情報の開示請求権を有する。 第4 結論よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり15判決する。 東京地方裁判所民事第47部 対し、本件発信者情報の開示請求権を有する。 第4 結論よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり15判決する。 東京地方裁判所民事第47部 20裁判長裁判官杉 浦 正 樹 25裁判官 16 小 口 五 大 裁判官5鈴 木 美 智 子 17 (別紙発信者情報目録 省略)(別紙投稿記事目録 省略)(別紙投稿画像目録 省略)
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