平成26(行ウ)224 食品衛生法に基づく水俣病の法定調査等の義務付け行政訴訟等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年1月27日 東京地方裁判所 その他
ファイル
hanrei-pdf-86956.txt

判決文本文41,002 文字)

平成28年1月27日判決言渡平成26年(行ウ)第224号食品衛生法に基づく水俣病の法定調査等の義務付け行政訴訟等請求事件 主文 1 本件訴えのうち,義務付け請求及び違法確認請求に係る部分を却下する。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 義務付け請求(以下「本件各義務付け請求」と総称する。)(1) 被告熊本県に対する請求ア水俣保健所長及び天草保健所長は,昭和31年から現在までの管轄区域における原告を含む食中毒患者である水俣病患者発生について,食品衛生法58条2項に基づき,政令所定の調査を行うとともに,熊本県知事に対し,政令所定の報告を行え。 イ水俣保健所長及び天草保健所長は,食品衛生法58条2項に基づき実施した原告を含む調査の結果につき,同条4項に基づき,熊本県知事に対し,政令所定の報告を行え。 ウ熊本県知事は,昭和31年から現在までの熊本県内の原告を含む食中毒患者である水俣病患者発生について,食品衛生法58条3項及び5項に基づき,厚生労働大臣に対し,政令所定の報告を行え。 (2) 被告国に対する請求厚生労働大臣は,昭和31年から現在までの熊本県内の原告を含む食中毒患者である水俣病患者発生について,食品衛生法60条に基づき,熊本県知事に対し,期限を定めて調査,報告を行うよう求めよ。 2 違法確認請求(以下「本件各違法確認請求」と総称する。) (1) 被告熊本県に対する請求ア水俣保健所長及び天草保健所長が,昭和31年から現在までの管轄区域における原告を含む食中毒患者である水俣病患者発生について,食品衛生法58条2項に基づき,政令所定の調査を行わないこと及び熊本県知事に対し政令所定 び天草保健所長が,昭和31年から現在までの管轄区域における原告を含む食中毒患者である水俣病患者発生について,食品衛生法58条2項に基づき,政令所定の調査を行わないこと及び熊本県知事に対し政令所定の報告を行わないことが違法であることを確認する。 イ水俣保健所長及び天草保健所長が,食品衛生法58条2項に基づき実施した原告を含む調査の結果につき,同条4項に基づき,熊本県知事に対し政令所定の報告を行わないことが違法であることを確認する。 ウ熊本県知事が,昭和31年から現在までの熊本県内の原告を含む食中毒患者である水俣病患者発生について,食品衛生法58条3項及び5項に基づき,厚生労働大臣に対し政令所定の報告を行わないことが違法であることを確認する。 (2) 被告国に対する請求厚生労働大臣が,昭和31年から現在までの熊本県内の原告を含む食中毒患者である水俣病患者発生について,食品衛生法60条に基づき,熊本県知事に対し期限を定めて調査,報告を行うよう求めないことが違法であることを確認する。 3 国家賠償請求(被告両名に対する請求。以下「本件国賠請求」という。)被告らは,原告に対し,連帯して,10万円,並びにこれに対する被告国においては平成26年6月21日から,及び被告熊本県においては同月24日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,熊本県水俣市在住の原告が,原告を含む水俣病患者の発生につき,被告熊本県に所属する水俣保健所長及び天草保健所長において,食品衛生法所定の調査及び熊本県知事への報告をせず,同被告に所属する熊本県知事において,同法所定の厚生労働大臣(旧厚生大臣)への報告をせず,被告国に所属す る厚生労働大臣において,同法所定の熊本県知事に対する調査及び報告の求めを 告をせず,同被告に所属する熊本県知事において,同法所定の厚生労働大臣(旧厚生大臣)への報告をせず,被告国に所属す る厚生労働大臣において,同法所定の熊本県知事に対する調査及び報告の求めをしてこなかったことは,それぞれ違法であり,原告はこれらにより精神的苦痛を被ったと主張して,(1)各関係被告に対し,①行政事件訴訟法37条の2に基づき,これらの調査若しくは報告又はその求めをすることの義務付け(本件各義務付け請求)及び②行政事件訴訟法上の当事者訴訟として,これらの調査若しくは報告又はその求めをしないことが違法であることの確認(本件各違法確認請求)を求めるとともに,(2)被告らに対し,連帯して,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料1000万円の一部として10万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(本件国賠請求)を求める事案である。 1 関係法令の定め食品衛生法は別紙1-1ないし1-6のとおり,同法施行令は別紙2-1ないし2-5のとおり,同法施行規則は別紙3-1及び3-2のとおり,それぞれ順次改正がされた(ただし,漢字の旧字体は新字体に改め,項番号は補い,直近の条文からの改正箇所に下線を付し,必要な註記を〔〕で施した。)。 2 前提事実(後掲各証拠等により認められる。)(1) 水俣病についてア水俣病患者の発生の確認昭和31年5月1日,水俣市所在の新日本窒素肥料株式会社(現・チッソ株式会社。以下,商号変更の前後を問わず「チッソ」という。)附属病院の医師は,水俣保健所長に対し,四肢の痙性失調等を主症状とする患者を日本脳炎の疑いがある者として報告した。これを受け,水俣市奇病対策委員会,熊本大学医学部水俣病研究班,旧厚生省厚生科学研究班等が調査した結果,昭和28 長に対し,四肢の痙性失調等を主症状とする患者を日本脳炎の疑いがある者として報告した。これを受け,水俣市奇病対策委員会,熊本大学医学部水俣病研究班,旧厚生省厚生科学研究班等が調査した結果,昭和28年から昭和31年12月までに患者数64名,うち死者数21名のいることが判明した(数値は旧厚生省公衆衛生局環境衛生部食品衛生課が編さんし昭和33年3月に発行した『昭和31年全国食中毒 事件録』による。)。(甲3,14,15,39)現在では,前記の昭和31年5月1日の水俣保健所長に対する報告をもって,水俣病公式確認(公式発見)の日とされている(甲3,甲30の1丁,甲31の9丁,甲36の4丁,甲42,甲48の8丁)。 イ水俣病の原因に関する調査研究等(ア) 水俣病は,公式確認当初,原因が特定されないことから住民の不安が高まり,感染を恐れる向きもあり,また,治療費等の負担が困難な患者が多くいたこともあり,昭和31年7月下旬頃から,擬似日本脳炎として,当時の伝染病予防法に基づき患者の隔離措置が執られた。被告熊本県衛生部は旧厚生省公衆衛生局防疫課に宛てて,同年8月3日付け電報で「脳炎様患者が多発し7月末現在患者18名,死者3名」と報告し,同年9月8日付け「水俣市における原因不明脳炎様疾患の発生について」と題する文書で,発見された患者は34名,うち死者13名であり,同年8月以降,新患者の届出はないが,発病しても隔離されるのを嫌って受診しない場合が相当ある模様なので調査しているとの内容を報告した。(甲13の3~4丁)(イ) 熊本大学医学部水俣病研究班は,昭和31年11月3日に開催された第1回研究報告会において,水俣病の原因物質としてはある種の重金属,マンガンが疑われ,その原因は水俣湾産魚介類の摂取によるものと考えられ,魚介類の汚染の 病研究班は,昭和31年11月3日に開催された第1回研究報告会において,水俣病の原因物質としてはある種の重金属,マンガンが疑われ,その原因は水俣湾産魚介類の摂取によるものと考えられ,魚介類の汚染の原因としてはチッソ水俣工場の廃水が疑われる旨の「水俣地方に発生せる原因不明の中枢神経系疾患に関する中間報告」をまとめた(甲3,甲13の4~5丁,甲31の9丁,弁論の全趣旨)。 被告熊本県は,水俣市の住民に対して水俣湾の魚介類を摂取しないように呼び掛けるとともに,湾内での漁業を自粛するよう,地元の漁業協同組合に申し入れた。そして,昭和31年12月以降,しばらくの間は, 新たな患者の発生がみられなくなった。(甲3,14)(ウ) 旧厚生省厚生科学研究班は,昭和32年1月25日及び同月26日に開催した第1回報告会において,水俣湾産魚介類の摂取禁止を話し合い,同年7月12日に開催した第4回報告会において,水俣病は「中毒性脳症であって,水俣湾産魚介類を摂食することによって発病する」としつつ,「魚介類の有毒化の原因及び有害物質の判定についてはなお今后の研究にまたねばならない」旨を公式に発表した(甲3,弁論の全趣旨)。 (エ) 昭和33年8月,新たな水俣病患者の発生が確認された。そして,被告らが把握していた昭和34年8月現在の水俣病患者の発生状況は,患者数71名,死亡者28名であった。(甲3)(オ) 旧厚生省は,昭和34年10月2日厚生省発衛第572号をもって,食品衛生調査会に諮問し,食品衛生調査会は,同年11月12日,旧厚生省に対し,水俣病は,水俣湾及びその周辺に棲息する魚介類を多量に摂取することによっておこる主として中枢神経系統の障害される中毒性疾患である旨を答申した(甲48の8丁)。 (カ) 被告国は,昭和43年9月,水俣病はチ ,水俣湾及びその周辺に棲息する魚介類を多量に摂取することによっておこる主として中枢神経系統の障害される中毒性疾患である旨を答申した(甲48の8丁)。 (カ) 被告国は,昭和43年9月,水俣病はチッソ水俣工場のアセトアルデヒド製造施設内で生成されたメチル水銀化合物が原因で発生したものである旨の政府見解を発表した(甲3)。 ウ食品衛生法(昭和47年法律第108号による改正前のもの。別紙1-1参照)4条2号不該当の判断被告熊本県は,昭和32年7月24日,熊本県第2回水俣奇病対策連絡会議において,水俣湾産魚介類について,食品衛生法4条2号の規定を発動して,販売の目的をもってする採捕を禁止する区域を告示する意向を固め,同年8月16日,旧厚生省公衆衛生局長に対し,「該当海域に生息する魚介類は海域を定めて,有害又は,有毒な物質に該当する旨告示を行い,〔食品衛 生法〕4条2項〔2号の誤記〕を適用すべきものと思料するが,貴局の御意見をお伺いします。」旨,求意見照会したところ,旧厚生省公衆衛生局長は,「水俣湾特定地域の魚介類を摂食することは,原因不明の中枢性神経疾患を発生するおそれがあるので,今後とも摂食されないよう指導されたい。」としつつ,「然し,水俣湾内特定地域の魚介類のすべてが有毒化しているという明らかな根拠が認められないので,該特定地域にて漁獲された魚介類のすべてに対し食品衛生法第4条第2号を適用することは出来ないものと考える。」と回答し,被告熊本県は,水俣湾産魚介類について上記の告示をすることを見送った(甲13の29~30丁,弁論の全趣旨)。 エ地域住民に対する健康調査の実施(ア) 昭和35年11月から3か年にわたり,被告熊本県衛生研究所の担当者らは,不知火海全域を対象に毛髪水銀調査を実施し(3年間で3418件),こ 全趣旨)。 エ地域住民に対する健康調査の実施(ア) 昭和35年11月から3か年にわたり,被告熊本県衛生研究所の担当者らは,不知火海全域を対象に毛髪水銀調査を実施し(3年間で3418件),この結果をもとに熊本大学が一部地区の住民に調査票を送って症状の調査を行ったが,検診までは行われなかった(甲39)。 (イ) 被告熊本県は,昭和46年,健康調査を開始し,約11万人の対象住民にアンケート調査を行い,約2万3000人を検診し,2次検診の受診者はその約半分であった。また,同年,熊本大学に第2次研究班が置かれ,大規模な健康調査が行われた。(甲39)昭和40年代後半に行われた健康調査により,軽症者を含む多くの患者が放置されていたことが発見された(甲49)。 オ健康被害の補償等(ア) 昭和44年12月15日に「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法」(以下「旧救済法」という。)が公布された。同法は,疾病にかかっている者の申請に基づいて,当該疾病が指定地域に係る大気の汚染又は水質の汚濁の影響によるものである旨の認定(以下「旧救済法認定」という。)を行って,医療費,医療手当及び介護手当を支給する制度を設けた ものである。同法施行令は,水俣市等を指定地域として水俣病を定めるなどし,同法ともども,昭和45年2月1日から施行された。(公知の事実)(イ) 次いで,昭和48年10月5日に公害健康被害補償法(現・公害健康被害の補償等に関する法律。以下,法律名変更の前後を通じて「公健法」という。)が公布された。同法は,非特異的疾患が多発している地域として指定される第一種地域と,特異的疾患が多発している地域として指定され 以下,法律名変更の前後を通じて「公健法」という。)が公布された。同法は,非特異的疾患が多発している地域として指定される第一種地域と,特異的疾患が多発している地域として指定される第二種地域について,それぞれ定められた疾病にかかっていると認められる者の申請に基づいて,当該疾病が第一種地域又は第二種地域に係る大気の汚染又は水質の汚濁の影響によるものである旨の認定(以下「公健法認定」という。)を行って,医療や介護に係る損害のみならず,公害の影響による健康被害に係る損害全般を補償給付する制度として,旧救済法より補償内容を拡充したものである。同法施行令は,水俣市等を第二種地域として水俣病を定めるなどし,同法ともども,昭和49年9月1日から施行された。なお,同法には,同法施行の際現に旧救済法認定を受けている者は,公健法認定を受けた者とみなす(附則11条)ほか,同法施行の際現に旧救済法認定を申請している者については,従前の例により旧救済法認定をすることができ,この場合においては,その認定を受けた者は,政令で定めるところにより,公健法認定を受けた者とみなす(附則12条)旨の経過規定が置かれた。(公知の事実)(ウ) 旧環境庁企画調整局環境保健部長は,水俣病の公健法認定に関して,昭和52年7月1日環保第262号をもって,関係都道府県知事及び政令市市長に宛てて,四肢末端の感覚障害に加えて,運動失調,平衡機能障害,求心性視野狭窄等の症候の組合せが認められることを公健法認定の判断条件とする「後天性水俣病の判断条件について」と題する通知を発した(甲1。以下,この通知で示された水俣病の判断条件を「昭和52 野狭窄等の症候の組合せが認められることを公健法認定の判断条件とする「後天性水俣病の判断条件について」と題する通知を発した(甲1。以下,この通知で示された水俣病の判断条件を「昭和52年判断条件」という。)。 (エ) もっとも,昭和52年判断条件の下における水俣病の公健法認定が得られなかった者らにより複数の訴訟が提起される状況にあったところ,平成7年7月,当時の与党3党(自民党,社会党,さきがけ)は,最終的かつ全面的な解決に向け,水俣病とは認定されないが四肢末梢優位の感覚障害を有する者を対象にした原因企業による一時金(ただし,公健法による給付よりも低額のもの)の支払,医療費等の支給などを内容とする解決策を取りまとめ(以下「平成7年の政治解決」という。),これを受け容れた原告らによる訴訟の取下げなどが行われた。 平成22年11月末現在において,公健法認定の申請をした者は,熊本県,鹿児島県及び新潟県(以下「関係3県」という。)の合計で3万1155名,うち認定を受けた者は2969名であり,また,平成7年の政治解決の対象となった者は訴訟を取り下げた者約2000名を含む1万1152名に上った。((エ)全体につき,甲30)(オ) 他方,平成7年の政治解決を受け容れずに訴訟を継続した者らもいたところ,最高裁判所平成13年(オ)第1194号,第1196号,同年(受)第1172号,第1174号平成16年10月15日第二小法廷判決・民集58巻7号1802頁(以下「関西訴訟最高裁判所判決」という。)は,水俣病の患者であると主張する者ら又はその承継人らが,水俣病の発生及び被害拡大の防止のために,被告国は公共用水域の水質の保全に 民集58巻7号1802頁(以下「関西訴訟最高裁判所判決」という。)は,水俣病の患者であると主張する者ら又はその承継人らが,水俣病の発生及び被害拡大の防止のために,被告国は公共用水域の水質の保全に関する法律及び工場排水等の規制に関する法律(いわゆる水質二法)に基づく規制権限を,被告熊本県は旧熊本県漁業調整規則に基づく規制権限を,それぞれ行使することを怠ったと主張して国家賠償を求めた事案において,昭和52年判断条件が複数の組合せが必要であるとした症候のうち,四肢末梢優位の感覚障害の症候のみが認められる者等の請求を認容した原審の判断を是認した(甲3)。 被告熊本県は,これを受けて,平成16年11月,「今後の水俣病対策 について」と題する書面により,環境大臣に対し,八代海(不知火海)沿岸地域の住民等の健康調査などの対策を講ずることを要望した(甲40)。 また,環境大臣の私的懇談会として設けられた「水俣病問題に係る懇談会」は,平成18年9月,水俣病の総合的な調査研究を推進することなどを含む内容の提言書を取りまとめた(甲41)。 (カ) 関西訴訟最高裁判所判決の後,自身が水俣病患者であると主張する者らによる提訴が相次いだ状況を受けて,平成21年7月15日に「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」(以下「水俣病救済特措法」という。)が公布され,「水俣病問題については,平成7年の政治解決等により紛争の解決が図られてきたところであるが,平成16年のいわゆる関西訴訟最高裁判所判決を機に,新たに水俣病問題をめぐって多くの方々が救済を求めており,その解決には,長期間を要することが見込まれている。こうした事態をこのまま看過することはできず,公害健康被害の補償等に関する法律に基づく判断条件を満たさないものの救済を必要とする方 済を求めており,その解決には,長期間を要することが見込まれている。こうした事態をこのまま看過することはできず,公害健康被害の補償等に関する法律に基づく判断条件を満たさないものの救済を必要とする方々を水俣病被害者として受け止め,その救済を図ることと」された(同法前文)。同法による救済措置は,過去に通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けた可能性があり,かつ,四肢末梢優位の感覚障害を有する者等で,同法施行の際に現に神経症状に係る医療に係る措置を要するとされているもののうち,公健法認定の申請者や提訴者等を除くものに対して,水俣病被害者手帳を交付し,関係事業者が一時金を,関係3県が療養費及び療養手当を支給すること(5条,6条)等を骨子とするものであった。(甲30,公知の事実)この水俣病被害者手帳の交付を申請した者は,期限とされた平成24年7月末までに,関係3県で約6万5000人(うち熊本県で約4万3000人)に上った(弁論の全趣旨)。 (キ) 他方,最高裁判所平成24年(行ヒ)第202号平成25年4月16日 第三小法廷判決・集民243号329頁は,水俣市で出生,生活してきた者のした旧救済法認定申請を熊本県知事が棄却した処分の取消しと旧救済法認定の義務付けとを,その相続人である子が求めた事案において,原告の被相続人である申請人は四肢末端優位の感覚障害のみを有していたとしつつ,これらの請求をいずれも認容した原判決(福岡高等裁判所平成20年(行コ)第6号平成24年2月27日第5民事部判決・甲22)について,昭和52年判断条件に定める症候の組合せが認められない四肢末端優位の感覚障害のみの水俣病が存在しないという科学的な実証はなく,旧救済法認定の判断は,上記症候の組合せが認められない場合についても,経験則に照らして関係証 定める症候の組合せが認められない四肢末端優位の感覚障害のみの水俣病が存在しないという科学的な実証はなく,旧救済法認定の判断は,上記症候の組合せが認められない場合についても,経験則に照らして関係証拠を総合的に検討した上で行うべきものであるなどと判示してその判断を是認し,被告熊本県等の上告を棄却した(甲26。以下,同最高裁判所判決と,これと同日に,公健法認定棄却処分の取消し及び公健法認定の義務付けの各請求を棄却した別の原判決を,同様の考え方を示して破棄し,原審に差し戻した最高裁判所平成24年(行ヒ)第245号平成25年4月16日第三小法廷判決・民集67巻4号1115頁とを合わせて,「平成25年最高裁判所判決」という。)。 (ク) 環境省総合環境政策局環境保健部長は,平成26年3月7日環保企発第1403072号をもって,関係3県知事及び新潟市長に宛てて,平成25年最高裁判所判決で総合的検討の重要性が指摘されたことを受け,昭和52年判断条件に定める症候の組合せが認められない場合における同条件にいう総合的検討の在り方を整理したとする内容の「公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定における総合的検討について」と題する通知を発した(甲28)。 (2) 原告についてア生育歴原告は,熊本県水俣市在住の漁師の家庭に生まれ育った昭和29年○月 ○日生まれの男性である(甲2,弁論の全趣旨)。 イ公健法認定の申請原告は,平成7年,平成11年,平成17年の3回にわたり,公健法認定の申請をしたが,初回の申請については棄却,2回目の申請については取り下げ,3回目の申請については,平成20年4月30日現在,未処分となっており,現在まで公健法認定を受けられていない(甲2,弁論の全趣旨)。 ウ別件訴訟の提起原告を含 目の申請については取り下げ,3回目の申請については,平成20年4月30日現在,未処分となっており,現在まで公健法認定を受けられていない(甲2,弁論の全趣旨)。 ウ別件訴訟の提起原告を含む数名の者は,被告らに対し,平成19年,被告らの規制権限不行使により水俣病に罹患したと主張して,国家賠償法1条1項に基づき,原告においては慰謝料及び弁護士費用等1700万円並びに遅延損害金の支払等を求める訴えを熊本地方裁判所に提起した(同裁判所同年(ワ)第1355号事件。甲52,53)ところ,同裁判所は,平成26年3月31日,原告の請求を一部認容する旨の判決を言い渡し(判例時報2233号10頁),その控訴審が福岡高等裁判所に係属中である(甲57,弁論の全趣旨)。(以下,この訴訟を「互助会訴訟」という。)上記熊本地方裁判所判決においては,原告が水俣病に罹患している旨判断されたが,食品衛生法に基づく被告らの規制権限の不行使を主張する部分(すなわち,被告らは,昭和32年1月25日及び同月26日の旧厚生省厚生科学研究班の第1回報告会の時点から,食品衛生法(昭和47年法律第108号による改正前のもの)27条(別紙1-1参照)所定の保健所長の調査等により水俣病の病因物質を特定し,同法(同改正前のもの)22条(同別紙参照)に基づき,営業者に対し,水俣湾内産の魚介類の廃棄等を命ずる等の義務があったにもかかわらず,これらを怠ったとするもの。)については,国家賠償法上の違法があるとは認められない旨の判断がされた。 3 主な争点及び当事者の主張本件の主な争点は,(1)食品衛生法58条(平成15年法律第55号2条による改正前の同法27条(別紙1-1ないし1-5参照)を含む。以下同じ。)2項による保健所長の調査(以下「食中毒調査」という。) 本件の主な争点は,(1)食品衛生法58条(平成15年法律第55号2条による改正前の同法27条(別紙1-1ないし1-5参照)を含む。以下同じ。)2項による保健所長の調査(以下「食中毒調査」という。),同項及び同条4項による保健所長の報告並びに同条3項及び5項による都道府県知事の報告(以下「食中毒報告」と総称する。),並びに同法60条(平成15年法律第55号2条による改正前の同法28条の2(別紙1-5参照)を含む。以下同じ。)による厚生労働大臣の都道府県知事に対する調査及び報告の要請(以下「食中毒調査報告要請」といい,食中毒調査及び食中毒報告と合わせて「食中毒調査報告等」という。)の処分性の有無(争点1),(2)食中毒調査報告等をしないことが違法であることの確認を求める訴えの利益の有無(争点2)並びに(3)食中毒調査報告等がされないことが違法であり,これにより原告の利益が侵害されているか否か(争点3)であり,これらに関する当事者の主張は,以下のとおりである。 (1) 食中毒調査報告等の処分性の有無(争点1)(原告の主張)ア(ア) 食中毒調査報告等の実施により,因果関係の定量的把握に基づく水俣病患者認定のための適正な基準が策定され,その適用により適正な患者認定が進む。逆に,食中毒調査報告等の不実施により,本来認定されるべき患者が認定されていない。つまり,この食中毒調査報告等は,食中毒患者である水俣病患者の法的地位に直接影響を及ぼすから,処分に該当する。さらに,水俣病患者の権利利益の迅速かつ実効的救済の観点からも,処分性が肯定されるべきである。 (イ) 被告らが主張する処分性についての最高裁判所判例は確定したものではない。例えば最高裁判所平成17年7月15日第二小法廷判決・民集59巻6号1661頁(以下「平成17年最高裁判所判決」 る。 (イ) 被告らが主張する処分性についての最高裁判所判例は確定したものではない。例えば最高裁判所平成17年7月15日第二小法廷判決・民集59巻6号1661頁(以下「平成17年最高裁判所判決」 という。)等の趣旨は,行政行為が国民の権利に直接影響を与えずとも,他の行政手続と関連し相まって国民の権利に影響を与え,その点について国民が司法の場で救済を求める必要性が高い場合には,処分性を弾力的に解釈して,行政訴訟を認めるというものである。 しかるところ,水俣病に関する食品衛生法上の調査等の手続は,調査,調査報告,報告要請,患者の診断,診定,患者への対処,患者の認定申請,公的検診等が逐次なされて,各種行政機関の協力・協働により,適正な公衆衛生上の対処と各患者に対する対応が全うされるのであるから,まさに一連のメカニズムが形成されて手続が進行するものである。また,これらの手続がなされないことにより,法的に正しい水俣病の基準が措定されず,認定申請しても法的に適切な手続が受けられず,結局,法的に正しい認定が受けられないという決定的な不利を,原告を含めて地域住民が被っており,この不利益は食品衛生法に則った調査が拒否されていることの当然の延長,必然の発展である。 食品衛生法(特に調査報告)と公害法との関係についていえば,食品衛生法は,公害事件の場合,公害法(旧公害対策基本法及び環境基本法)を上位規範として,積極的な行政を展開しなければならなかったはずである。すなわち,旧公害対策基本法14条は「公害の予測に関する調査その他公害の防止のために講ずべき施策の策定に必要な調査を実施しなければならない」と定めており,環境基本法28条は「国は,環境の状況の把握,環境の変化の予測又は環境の変化による影響の予測に関する調査,その他の環境を保全す 講ずべき施策の策定に必要な調査を実施しなければならない」と定めており,環境基本法28条は「国は,環境の状況の把握,環境の変化の予測又は環境の変化による影響の予測に関する調査,その他の環境を保全するための施策の策定に必要な調査を実施するものとする」と定めており,同法31条2項に「国は,公害に係る被害の救済のための措置の円滑な実施を図るため,必要な措置を講じなければならない」と明記されているところ,上記の「必要な調査」等には,食品衛生法上の調査を含めるべきであ り,公健法における水俣病の認定ないし認定基準の策定に当たっては,食品衛生法上の調査を実施しなければならない。食品衛生法と公健法が,科学的行政的に関連し合い協働しなければ,国民の生命と健康を守れないことは明らかである。 (ウ) 熊本水俣病事件では,処分行政庁らにおいて,食中毒患者等の発生が多人数,広域であり,かつ,死者発生の可能性があると認め,他方,地域住民から食中毒調査の要請が頻繁にあったのに,処分行政庁らは,食中毒調査報告等をしなかったのであり,半世紀以上の食中毒調査報告等の拒否は,余りにも悪質・異常である。このように,法令が予測していない異常な事態が被告らの責任によって起こった場合には,法令は,その立法趣旨に基づき,法令の無効を回避するために,国民に具体的な事態是正手続を認めるものである。水俣病事件は,新憲法発布以降の日本国において極めて異常な事態であり,他の事件と比較することが出来ないほどのものであるから,法令解釈においても特別特殊な対処が必要である。 イ食品衛生法1条は,平成15年制定の食品安全基本法3条の規定を受けた平成15年改正により,「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もって国民の健康の保護を図ることを目的とする」と,食中毒調査の目的と 生法1条は,平成15年制定の食品安全基本法3条の規定を受けた平成15年改正により,「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もって国民の健康の保護を図ることを目的とする」と,食中毒調査の目的と法的効果の対象が国民であることを具体的に明記したが,それ以前の「公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」との規定の下でも,食品衛生法は,国民の生命の保全を明記した憲法13条や,全ての国民は,健康で文化的な生活を営む権利を有すると宣言した憲法25条1項,国は,すべての生活部面について,公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないと明記した同条2項に基づいて制定された点を重視して,個々の国民の健康増進維持を最優先の目的とし,この目的を達成するため行政庁に対し積極行政を展開するよう要請していると当然解釈されていた。平成15年改 正により国民個人の具体的な生命,健康の保護の法的義務はますます高まったのである。 本件で問題となる食品衛生法の条文の解釈においても,上記のような根本趣旨を踏まえるべきであり,食中毒調査報告等の目的は,食中毒に関するデータの収集による被害実態の把握,疫学理論に基づく原因究明,原因食品の喫食と症状との因果関係の定量的把握,被害拡大防止策を実施することに加え,個別の食中毒患者との関係では,迅速かつ適正な調査及び診定を受ける利益を保護することにある。 この点,被告らは,食中毒調査報告等の目的は食中毒拡大防止のための対策を講じるとともに,食中毒防止のための行政の適正な運営方針の基礎資料を得るという公益を保護するためのものであると主張するが,法の根本趣旨を無視するものである。 ウ旧厚生省の昭和39年7月13日環発第214号「食中毒処理要領」(甲5。ただし,平成20年4月22日食安発第0422001号による改正後のも と主張するが,法の根本趣旨を無視するものである。 ウ旧厚生省の昭和39年7月13日環発第214号「食中毒処理要領」(甲5。ただし,平成20年4月22日食安発第0422001号による改正後のもの。以下,単に「処理要領」という。)は,調査の内容として,食中毒患者等の症候学的観察,検査,死体解剖,原因食品の疫学的調査,販売系統の疫学的調査,試験検査等を挙げ,平成9年3月24日衛食第85号「食中毒調査マニュアル」(甲6。以下,処理要領と合わせて「処理要領等」という。)では,患者等,喫食者及び関係者の調査として,特に,症候学的調査(対象者の発症の有無,症状,発症年月日,既往歴等の確認)及び喫食状況調査の具体的方法を示しており,食中毒患者等の発症状況や症状,原因食品の喫食状況,患者の排泄物等の検査結果,患者診定の結果等は,食中毒調査票に記録される。 このように,保健所長は,原因食品を食べて発症した患者を掘り起こし,喫食調査及び症状調査を行うとともに,食中毒患者と診定するのであり,診定は保健所長の確認行為であるとともに,患者等に対して食中毒事件手 続内の患者等であるという社会的,公権的な地位と権利を付与する行為であり,これにより患者には食中毒調査手続に参加する医療患者としての権利を取得する。食中毒調査によって,患者らは,私生活というプライバシーを公にされるのであるから,これに関して患者に一切の権利がないとすれば,調査に協力する国民が不満を持つことは正当であり,患者等が調査資料,統計資料として利用されることの許諾を求められるのに対して一切権利を持たないなどというのは基本的人権無視の発想である。 エむろん,食中毒調査報告等は1つの全体的な手続であるから,その具体的な手続の中には,表面上はあたかも行政諸機関相互の間だけの手続のよ 権利を持たないなどというのは基本的人権無視の発想である。 エむろん,食中毒調査報告等は1つの全体的な手続であるから,その具体的な手続の中には,表面上はあたかも行政諸機関相互の間だけの手続のように見えるものがあるかもしれないが,その手続の究極の目的が個々の国民の生命・健康である以上,その諸手続はこの目的を指導理念としてなされるのであり,国民の権利義務と全く関係なく,国民との関係性を生ずる余地もないという解釈は誤りである。諸機関相互の個々の手続が,適正効率的になされなければ,究極の国民の生命・健康が実現しないのであるから,諸手続は常に国民との関係性を維持し,国民と直接の関係性を持っている。 オ原告は,食中毒調査報告等がされないことにより,食品衛生法に基づく迅速かつ適正な調査(適正な認定検診),患者診定を受けるという法的利益を侵害されていて,公健法認定に係る審査を受けられず,公健法認定がされなければ適正な補償を受けられず,症状が更に悪化するという回復が著しく困難な重大な損害を被るおそれがあるが,他に法的救済手段がないから,本件各義務付け請求に係る訴えは訴訟要件を満たす。 (被告らの主張)ア義務付けの訴えを含む抗告訴訟とは,行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいい(行政事件訴訟法3条1項),義務付けを求める行政庁の行為が同条2項にあたる行為(「処分」)に該当しない場合は,義務付け の訴えは訴訟要件を欠き,不適法となる。ここで,「処分」の意義については,公権力の主体たる国又は公共団体が法令の規定に基づき行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものであるとするのが,確立した判例である。 イしかるところ,食中毒は,不特定多数の者が摂取する食品に起 の行為によって直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものであるとするのが,確立した判例である。 イしかるところ,食中毒は,不特定多数の者が摂取する食品に起因して発生する衛生上の危害であって,集団的に発生し,拡大するものであり,その処置いかんでは,被害者の救済,事故の拡大の防止等人命に影響するところが大きいため,食品衛生法58条は,現に食中毒が発生している場合に,直ちに原因となる食品等及び病因物質を究明し,食中毒の拡大防止のための対策を講じるとともに,食中毒防止のための行政の適正な運営方針の基礎資料を得る手段として,医師,保健所長及び都道府県知事等に届出,報告及び調査の義務を課したものであり,食中毒患者自体を網羅的に把握するためのものではない。また,我が国においては,従来に比べて,食品の流通が広域化してきており,食中毒が全国的に散発して発生する傾向があることから,特に国がその適正な対処を確保する必要がある大規模・広域食中毒について,危害の発生防止のため緊急を要する場合は,国が都道府県等に対して調査等の要請を行うことができるようにする必要があるため,食品衛生法60条,同法施行規則77条(平成16年厚生労働省令12号による改正前の同規則24条の2(別紙3-1参照)を含む。)により,厚生労働大臣は,食中毒患者等が500人以上発生した等の場合に食中毒調査報告要請ができるとされた。 ウ食中毒調査の内容は,中毒の原因となった食品等及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査や食中毒患者等の血液等についての微生物学的若しくは理化学的試験又は動物を用いる調査にすぎず,当該食中毒患者等を患者として認定などするものではなく,また,当該調査によって国民 との間で何らかの権利義務関係が生ずるなどといっ 物学的若しくは理化学的試験又は動物を用いる調査にすぎず,当該食中毒患者等を患者として認定などするものではなく,また,当該調査によって国民 との間で何らかの権利義務関係が生ずるなどといった効果はないから,食中毒調査は「処分」に当たらない。原告の主張する「食中毒事件手続内の患者等であるという社会的公権的な地位と権利」は,いかなる内実を有するのか不明であり,これをもって法的権利とは到底認められない上,診定は,医師による臨床診断それ自体を指す事実行為にすぎず,食中毒調査も事実行為にすぎない(食品衛生法は,食中毒調査に関して,行政上の不服申立てや訴え提起を認め,争訟性のあるものとして扱っていると読み取れる規定も置いていない。)のであるから,これらの行為が直接に食中毒患者等の権利義務関係を形成し,又はその範囲を確定することはなく,また,何らかの法的利益を保護するものでもない。 エまた,行政機関相互間における内部行為は,その行為が直接の国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定する効果を伴うものでない場合,処分性は認められないというのが確立した判例であるところ,食中毒報告及び食中毒調査報告要請は,正しく行政機関相互における内部行為にすぎず,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定する効果を何ら伴うものではないから,「処分」には当たらない。 オ本件各義務付け請求に係る訴えは,不適法であって却下を免れない。 (2) 食中毒調査報告等をしないことが違法であることの確認を求める訴えの利益の有無(争点2)(原告の主張)被告らは,原告が当事者訴訟をするには,確認の利益がなければならず,その場合にも,即時確定の利益がある場合に限られると主張する。 しかし,被告らが確認の利益を狭隘に限定する主張の根拠がなく,行政機関の違法行 告が当事者訴訟をするには,確認の利益がなければならず,その場合にも,即時確定の利益がある場合に限られると主張する。 しかし,被告らが確認の利益を狭隘に限定する主張の根拠がなく,行政機関の違法行為が極めて明確であり,かつ,重大な結果をもたらし,違法確認判決によりその結果を容易に回避できる場合は,確認の利益があると解すべきである。 少なくとも原告を含む約6万5000人の水俣病患者が,処分行政庁らの食中毒調査報告等拒否によって現に違法な取扱いを受けている異常な違法事態が,違法確認の判決によって容易に回避できるから,本件各違法確認請求に係る訴えは適法である。 (被告らの主張)ア公法上の当事者訴訟としての確認の訴えは,公法上の法律関係を前提とし,これに基づいて生ずる権利義務の存否,法的地位の有無の確認を求めるものでなければならない。したがって,行政の行為それ自体を違法確認の対象とすることは許されず,違法な行政の行為等によって生ずべき負担や義務がないことの確認を求めるなど,公法上の法律関係に関し確認の利益が認められる場合に初めて確認の訴えが適法になるというべきである。 原告は,本件各違法確認請求において,行政庁が食中毒調査報告等を行わないことそれ自体の違法確認を求めるものにすぎず,その請求に係る訴えによって,いかなる意味で,原告と被告らとの間において公法上の法律関係が存在すること及びこれに基づいて生ずる権利義務の存否,法的地位の有無の確認を求めるのか何ら明らかにしておらず,これら請求は,何ら原告と被告らとの間の公法上の法律関係に関する確認を求めるものではないといわざるを得ない。 イまた,原告は,原告のいかなる法的地位にいかなる危険や不安定が現存し,これを解消するために本件各違法確認請求につき確認判決を得ることが 係に関する確認を求めるものではないといわざるを得ない。 イまた,原告は,原告のいかなる法的地位にいかなる危険や不安定が現存し,これを解消するために本件各違法確認請求につき確認判決を得ることが必要かつ適切であること及びその根拠について,何ら具体的に主張していない。 ウしたがって,本件各違法確認請求に係る訴えについて公法上の法律関係に関する確認の利益が認められないことは明らかというべきであるから,これら訴え部分は,いずれも不適法であり,却下を免れない。 (3) 食中毒調査報告等がされないことが違法であり,これにより原告の利益が 侵害されているか否か(争点3)(原告の主張)ア本件食中毒調査報告等が故意又は過失によって今日までなされず,原告自身はもとより被ばく露地の住民も,食品衛生法所定の調査を受けることができなかったために,水俣病罹患の有無を確認することもできず,水俣病の正しい病像を確認することもできず,被ばく露地域の住民の公衆衛生上の患者発生実態を確認することもできず,焦燥感と不安感,さらには社会的に水俣病の患者として認められぬ不利益など,重大な心身の打撃と経済的な損害を強いられた。 イすなわち,被告らの処分行政庁の不作為によって,原告は生まれてから今日まで,① 食品衛生法所定の調査を受けることができず,食品衛生法上の権利である適正な手続を受けることができず,他の食中毒事件患者に比べて行政上不適切,不平等な取扱いを受け,そのため,国民の権利を剥奪され,② 自己が水俣病食中毒患者であるか否か,その罹患の有無を確認することができず,そのため,社会的にも法的にも食中毒患者と認められないでおり,③ 水俣病の正しい病像を確認することもできず,被ばく露地域の住民の公衆衛生上の患者発生実態を確認することもできていない ることができず,そのため,社会的にも法的にも食中毒患者と認められないでおり,③ 水俣病の正しい病像を確認することもできず,被ばく露地域の住民の公衆衛生上の患者発生実態を確認することもできていない結果,医学的に全く根拠のない違法な昭和52年判断条件を基準とされ,そのため,違法な公健法認定審査が行われて申請を棄却されて,互助会訴訟等を提起しなければならず,挙げ句,時効・除斥期間経過を主張され,上記②及び③のために,公健法認定がされた者と比べて社会的にも経済的にも大きな差別を受け,これまで水俣病に対する適切かつ十分な治療を受けることができず,このようなことで水俣病患者であるか否かが分からない状態に置かれたこと等により日々不安と焦燥感の中で悲惨な生活を強いられたのである。 原告の60年間の精神的苦痛の慰謝料は1000万円を下らないが,原 告の損害のうち,慰謝料の一部である10万円を請求する。 ウ被告らは,食中毒調査報告等の手続の目的は,専ら公益を保護することにあり,国民の利益は反射的利益にすぎないと主張する。 しかしながら,上記(1)の原告の主張のとおり,食品衛生法上の各手続は,直接患者・国民の福利を除いては成り立たないことはもとより,特に水俣病事件においては行政の対応が余りにも異常・悪質であったために,行政の作為を期待する国民の権利は単なる反射的利益というばかりではなくて,法律上個別国民の損害賠償を認める根拠となる。 また,食品衛生法1条は,同法における規制その他の措置の目的と法的効果の対象が国民であることを,明確,具体的に記載しているのであり,同法上の規定で国民が福利を得るものは国民の法的権利であり,行政にとってその行為は国民に対する義務なのである。 さらに,処理要領の規定をみても,例えば,食中毒調査に際し, に記載しているのであり,同法上の規定で国民が福利を得るものは国民の法的権利であり,行政にとってその行為は国民に対する義務なのである。 さらに,処理要領の規定をみても,例えば,食中毒調査に際し,保健所職員は,患者が医師の診断を受けていない場合は,患者に対して診断を受けるように勧奨することが義務付けられているが,この勧奨は,患者・国民から見ると診断を受ける契機になる法的福利であり,権利であり,決して反射的利益ではない。同じく処理要領で義務付けられた「応急処理」の中にも,何よりも患者等の救護が含まれていることは当然であり,この点でも,国民は法定調査開始直後に,法的権利性のある福利を受けることが明らかである。そして,保健所長による報告書の作成も,文言的には上級機関に対する義務となっているが,これにより患者等は,自己が巻き込まれた中毒事件の実態を確認でき,適切な医療と拡大防止が可能になるのであるから,患者等に対する義務であり,知事はその報告書によって適切に国民の健康の保持と災害の拡大を防ぐ措置を執る義務が生ずるのであるから,この点でも保健所長による報告書作成は,国民に対する義務でもある。したがって,調査の結果,報告書にまとめられた食中毒事件の情報は, 保健機関が住民等に適切に報道することも義務付けられている。 総合的判断による原因の確定は,行政機関以上に患者本人にとっては死活問題であり,調査・情報が行政機関のためだけにあるなどという被告らの主張は,食品衛生法の根本趣旨を完全に取り違えている。さらに,措置として原因食品の販売・使用の禁止・停止を強制し得るとも明記してある食中毒調査が,国民の権利義務と無関係であるなどという被告らの主張は,規定にも実態にも全く合致しない。 (被告らの主張)ア国家賠償法1条1項にいう「違法」 止・停止を強制し得るとも明記してある食中毒調査が,国民の権利義務と無関係であるなどという被告らの主張は,規定にも実態にも全く合致しない。 (被告らの主張)ア国家賠償法1条1項にいう「違法」とは,公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいうから,公権力の行使に当たる公務員の不作為が同項の適用上「違法」と評価されるためには,当該公務員が損害賠償を求めている国民との関係で個別具体的な職務上の法的義務(作為義務)が存し,かつ,その作為義務に違反してその職務行為を行わなかったという関係が存在することが必要である。 そして,当該国民との関係で当該公務員が職務上の権限を行使すべき法的義務(作為義務)を負っているというためには,当該根拠法令が当該公権力の行使によって損害を受けたという個別の国民の権利又は法的利益を保護の対象としているといえなければならない。すなわち,当該公権力の不行使が職務上の法的義務に違背して違法とされるためには,当該根拠法令によって保護された具体的権利・利益が侵害されたことが必要であって,当該公権力を行使することによって当該国民が何らかの利益を受けることがあったとしても,当該行政法規の目的が専ら公益を保護しているにすぎない場合は,それは反射的にもたらされる事実上の利益(反射的利益)にすぎず,法律上直接的に保護される利益とはいえない。 イしかるところ,食品衛生法58条の目的は専ら公益を保護するためのものであり,食中毒調査報告等は,直接的に個別の国民との関係において, 食中毒の発生実態や正しい病像を明らかにするものではなく,また,食中毒患者等を患者として認定するといったものではないから,原告の主張するこうした利益は,同条によって保護された利益とはいえない。 なお,処理要領等は,地 い病像を明らかにするものではなく,また,食中毒患者等を患者として認定するといったものではないから,原告の主張するこうした利益は,同条によって保護された利益とはいえない。 なお,処理要領等は,地方自治法245条の4に規定する地方公共団体に対する技術的助言にすぎず,これに違反する行為があった場合には,当不当の問題は生じ得たとしても,違法の問題は生じ得ないのであるから,これらに記載があるからといって直ちに法的権利性が認められるものではない。 ウそうすると,食中毒調査報告等の主体たる保健所長,都道府県知事又は厚生労働大臣は,原告との関係において,食中毒調査報告等をすべき個別具体的な職務上の法的義務を負担しているとはいえず,これら行政庁が食中毒調査報告等をしないことが,国家賠償法1条1項の適用上違法となることはあり得ない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(食中毒調査報告等の処分性の有無)について(1) 行政事件訴訟法37条の2第1項の義務付けの訴えは,抗告訴訟の一種として行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるものである(同法3条6項1号)が,ここで「処分」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいい(同条2項),公権力の主体が行う行為のうち,その行為によって国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁判所昭和28年(オ)第1362号昭和30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁,最高裁判所昭和37年(オ)第296号昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁各参照)。 (2) 食中毒報告及び食中毒調査報告要請についてこれを食中毒調査報告等についてみると,食中毒調査報告等のうち,まず, 保健所長及び都道府県知事による食中毒 8号1809頁各参照)。 (2) 食中毒報告及び食中毒調査報告要請についてこれを食中毒調査報告等についてみると,食中毒調査報告等のうち,まず, 保健所長及び都道府県知事による食中毒報告並びに厚生労働大臣による食中毒調査報告要請は,行政機関相互の行為であって,行政行為として外部に対する効力を有するものではなく,これによって直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定する効果を伴うものではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない(最高裁判所昭和49年(行ツ)第8号昭和53年12月8日第二小法廷判決・民集32巻9号1617頁参照)。 この点,原告は,食品衛生法の目的が国民の生命・健康を図ることにある以上,これを目的とする諸手続はすべて国民の権利義務と直接の関係性を有している旨主張するが,手続の目的が国民の権利保護にあることと,これを目的とする個々の手続に処分性が認められるか否かとは,別次元の問題であって,原告の上記主張するところをもって,食中毒報告及び食中毒調査報告要請の処分性が認められることにはならない。 そうすると,本件各義務付け請求に係る訴えのうち,被告熊本県に対し食中毒報告の義務付けを求め,被告国に対し食中毒調査報告要請の義務付けを求める部分は,その義務付けを求める内容に抗告訴訟の対象としての処分性が認められないから,その余の点につき判断するまでもなく,不適法である。 (3) 食中毒調査についてア食中毒調査の内容は,①中毒の原因となった食品等及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査及び②中毒した患者若しくはその疑いのあるもの若しくはその死体の血液,ふん便,尿若しくは吐物その他の物又は中毒の原因と思われる食品等についての微生物学的若しくは理化学的等の試験による調査から成る(食品衛生法施行令 者若しくはその疑いのあるもの若しくはその死体の血液,ふん便,尿若しくは吐物その他の物又は中毒の原因と思われる食品等についての微生物学的若しくは理化学的等の試験による調査から成る(食品衛生法施行令36条(平成15年政令第505号による改正前の同令6条(別紙2-1ないし2-4参照)を含む。 以下同じ。))。 しかるに,これらの調査は,その性質上,一定の事実関係の認定作用及び判断作用にとどまる行為であって,調査の対象者や調査の対象物の所有 者との関係において,直接,何らかの権利義務を形成し,又はその範囲を確定する効果を伴うものではない。 すなわち,これらの調査を実施する際に,事実関係の認定をするため,関係者から聴き取りが必要となるとしても,それを受忍すべきことを規定する法条が別に存在しない以上,関係者が任意に応じた場合にのみ行い得るものと考えられるし,血液等の採取が必要となるとしても,強制採取を規定する法条が別に存在しない以上,任意で提供されたもののみを試験の対象とし得るものと考えられるから,調査の対象者等に対し何らかの受忍義務を課すものではないと解される。また,調査の結果,中毒の原因となった食品等及び病因物質が判明し,調査対象者が食中毒患者であり,又はそうではないと判断されたとしても,当該調査対象者に対し直ちに何らかの権利や地位を付与することを予定しているものでもない。 イこの点,原告は,水俣病に関する食品衛生法上の食中毒調査の手続は,他の行政手続と関連し相まって国民の権利に影響を与えるものであり,司法の場での救済を求める必要性が高いから,平成17年最高裁判所判決等の趣旨に照らし,処分性を認めるべきである旨主張する。 しかしながら,食品衛生法上の食中毒調査の手続と,原告がそれに関連する行政手続であると主張する水俣 要性が高いから,平成17年最高裁判所判決等の趣旨に照らし,処分性を認めるべきである旨主張する。 しかしながら,食品衛生法上の食中毒調査の手続と,原告がそれに関連する行政手続であると主張する水俣病の公健法認定に係る手続との間には,法令上,直接の関連性が見当たらず,運用上両者が連動していることを認めるに足りる証拠もないことからすると,本件は,平成17年最高裁判所判決の事案とは異なるものといわざるを得ない。 ウまた,原告は,食品衛生法1条に「国民の健康の保護を図ることを目的とする」との文言があることなどに照らし,個別の食中毒患者との関係で食中毒調査を受ける利益が保護されている旨主張する。 しかしながら,食品衛生法の目的が国民の健康の保護を図ることにあるとしても,それは,食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要 な規制その他の措置を講ずることにより,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止することを通じて実現することが予定されているものであり(同法1条参照。なお,同条は,平成15年法律第55号1条による改正前においては「公衆衛生の向上及び増進」に寄与することを目的とすると規定されていたものである(別紙1-1ないし1-4参照)が,これは憲法25条2項を受けた文言と考えられることに照らし,その目的は,同改正の前後を通じて基本的に変わるところがないと解される。),食品衛生法全体を通観すると,衛生上の危害が発生することを防止するために個別の国民に対して行われる上記の「規制」とは,直接的には,販売の用に供する食品等の流通,製造等の禁止に関する諸規定(同法第2章,第3章)と,これらに違反した場合に発動される同法54条(平成15年法律第55号2条による改正前の同法22条(別紙1-1ないし1-5参照)を含む。)の規定による汚染食 止に関する諸規定(同法第2章,第3章)と,これらに違反した場合に発動される同法54条(平成15年法律第55号2条による改正前の同法22条(別紙1-1ないし1-5参照)を含む。)の規定による汚染食品等の規制であり,やや間接的には汚染食品等を提供した営業者に対する同法55条(同改正前の同法23条を含む。)以下の規定による規制等であると考えられる。これに対し,食中毒調査は,同法第10章(同改正前は第8章)「雑則」の中に置かれており,上記の各規制を講ずるための前段階としての情報収集の手続として位置付けられているものと解され,食中毒調査の対象となることについて,その後になされ得る上記の各規制行為から離れて独自の法的権利性を付与されていると解すべき法令上の根拠は見出せない。 したがって,個別の食中毒患者との関係で食中毒調査を受ける利益が保護されているとまではいえない。 エさらに,原告は,食中毒調査を構成する「診定」は患者等に対して食中毒事件手続内の患者等であるという社会的,公権的な地位と権利を付与する行為であるとして,食中毒調査は処分性を有する行政行為である旨を述べるようである。 しかしながら,そもそも「診定」自体,食中毒調査の内容を定めた食品衛生法及び同法施行令上規定の存在する概念ではない上,その意味するところも,医師が臨床的に病名を食中毒と診断すること(甲12の7頁(14)2)以上のものではないと解される。そして,食中毒調査の過程において,食中毒患者等が医師による診断の対象とされるからといって,当然に,当該食中毒患者等に何らかの権利や法的地位が付与されると解すべき根拠も見当たらない。 オ以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも採用することができず,本件各義務付け請求に係る訴えのうち,被告熊本県に対し食中毒調査 かの権利や法的地位が付与されると解すべき根拠も見当たらない。 オ以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも採用することができず,本件各義務付け請求に係る訴えのうち,被告熊本県に対し食中毒調査の義務付けを求める部分も,その義務付けを求める内容に抗告訴訟の対象としての処分性が認められないから,その余の点につき判断するまでもなく,不適法である。 (4) 小括以上によれば,本件各義務付け請求は,抗告訴訟の対象としての処分性を備えるとはいえない食中毒調査報告等の義務付けを求めるものであり,行政事件訴訟法37条の2第1項の要件を満たさないから,本件訴えのうちこれらに係る部分は,不適法なものとして却下を免れない。 2 争点2(食中毒調査報告等をしないことが違法であることの確認を求める訴えの利益の有無)について(1) 確認の訴えは,即時確定の利益がある場合,換言すれば,現に,原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在し,これを除去するため被告に対し確認判決を得ることが必要かつ適切な場合に限り許されるものである(最高裁判所昭和27年(オ)第683号昭和30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2082頁参照)。 (2) これを本件についてみると,本件各違法確認請求は,処分行政庁らが水俣病について食中毒調査報告等をしないことが違法であることの確認を求め るものであるが,このような訴えは,単に行政庁の不作為を取り上げてその違法の確認を求めるにとどまり,主観訴訟において確認の対象となるべき原告の現在有する権利又は法律的地位自体明らかでないから,その意味において,即時確定の利益がないことが明らかである。 したがって,本件各違法確認請求に係る訴え部分は,原告の有する権利又は法律的地位についての危険又は不安を除去する 自体明らかでないから,その意味において,即時確定の利益がないことが明らかである。 したがって,本件各違法確認請求に係る訴え部分は,原告の有する権利又は法律的地位についての危険又は不安を除去するために必要かつ適切な内容のものであるとはいえず,即時確定の利益がないから,確認の利益を欠くものとして不適法というべきである。 (3) この点,原告は,被告らが食中毒調査報告等をしないことの違法が明確で,重大な結果をもたらしており,違法確認判決によりその結果が容易に回避できるとして,確認の利益があると解すべきである旨主張する。 しかしながら,原告の選択した確認訴訟の対象が適切でないことは上記(2)に判示したとおりであって,違法の明確性や結果の重大性はこの判断を左右するものではない。上記原告の主張は,独自の見解であって採用することができない。 (4) 以上のとおりであるから,本件訴えのうち本件各違法確認請求に係る部分も,その余の点につき判断するまでもなく,不適法であり,却下を免れない。 3 争点3(食中毒調査報告等がされないことが違法であり,これにより原告の利益が侵害されているか否か)について(1) 国家賠償請求は,公務員の公権力の行使等による不法行為に基づく損害賠償請求として,民法の特則を成すものであり(憲法17条,国家賠償法4条参照),不法行為が成立するためには,一般に,損害賠償を請求する者の法的保護の対象となる利益が違法に侵害されたことを要するものである(最高裁判所昭和57年(オ)第902号昭和63年6月1日大法廷判決・民集42巻5号277頁,最高裁判所昭和61年(オ)第329号,第330号平成3年4月26日第二小法廷判決・民集45巻4号653頁,最高裁判所平 成17年(受)第2184号平成18年6月23日第二小法廷判 77頁,最高裁判所昭和61年(オ)第329号,第330号平成3年4月26日第二小法廷判決・民集45巻4号653頁,最高裁判所平 成17年(受)第2184号平成18年6月23日第二小法廷判決・集民220号573頁,最高裁判所平成19年(受)第808号ないし第813号平成20年6月12日第一小法廷判決・民集62巻6号1656頁各参照)。 (2) 原告の主張する利益が法的に保護されているといえるかア前記第2の2の前提事実(2)ウのとおり,原告は,被告らに対し,食品衛生法による汚染食品等の規制権限の行使を通じて保護されるべき原告の健康が,被告らの権限不行使により侵害され,水俣病に罹患するに至った旨を主張して,別に互助会訴訟を提起して国家賠償を請求しているが,原告は,本件において,上記のような主張をしているものではなく,①食品衛生法所定の食中毒調査を受けられるべき手続上の地位,②自己が食中毒患者であるか否かが確認されるべき利益,③食中毒である水俣病の正しい病像及び患者発生実態を知り得べき利益(上記①ないし③は,前記第2の3(3)(原告の主張)イの①ないし③に対応する。)が,それぞれ法的利益であるとした上,行政庁らが食中毒調査報告等をしてこなかったことにより,原告のこれらの利益が侵害されたと主張して,本件国賠請求をしているものと解される(原告第6準備書面)。 そこで,上記①ないし③がそれぞれ食品衛生法上保護された法的利益といえるかを検討する。 イまず,上記アの①の食中毒調査を受けられるべき手続上の地位については,前記1(3)ウに判示したところと同様に,食中毒調査が,その本来的目的である汚染食品等の規制のために必要な情報収集手段であることを離れて,食中毒患者等が食中毒調査を受け得べきことについて,その手続的な地位を法的に保 示したところと同様に,食中毒調査が,その本来的目的である汚染食品等の規制のために必要な情報収集手段であることを離れて,食中毒患者等が食中毒調査を受け得べきことについて,その手続的な地位を法的に保障してこれを保護しているとまで解すべき法令上の根拠は見出せず,これが法的利益として保護されているとは解されない。 原告は,処理要領上の「応急処理」が食中毒患者等の救護を想定しているとして,食中毒調査を受けられることが法的利益であるかのように主張 する。しかし,処理要領自体は法令ではないから,そこに規定されているすべてを法的利益として理解することはできないのはもとより,前記のとおり,食中毒調査の本来的目的が原因食品等及び病因物質の追及並びにひいて汚染食品等に対する規制であることに照らせば,処理要領(甲5)Ⅳ1(1)に規定されている「応急処理」とは,むしろ主として原因施設と想定される施設及びその従業員らに係る状況の保全や,原因食品等と想定される食品等の流通の差止め等を念頭に置くものであると考えられ,これが食中毒患者等の救護を想定しているとは必ずしも認め難い。いずれにしても,上記原告の主張は採用することができない。 ウ次に,上記アの②の自己が食中毒患者であるか否かが確認されるべき利益についても,前記1(3)ウに判示したところと同様に,食中毒調査が,その本来的目的である汚染食品等の規制のために必要な情報収集手段であることを離れて,調査の対象者が食中毒患者であるか否かを確認すること自体を食中毒患者等に対して法的に保障してこれを保護しているとまで解すべき法令上の根拠は見出せず,これが法的利益として保護されているとは解されない。 なお,原告は,上記の利益につき,食中毒調査がされていれば,水俣病が感染症・奇病であるという誤った風評や患者 で解すべき法令上の根拠は見出せず,これが法的利益として保護されているとは解されない。 なお,原告は,上記の利益につき,食中毒調査がされていれば,水俣病が感染症・奇病であるという誤った風評や患者の差別は起こり得なかったという主張を前提に,その裏返しとして,これらの風評,差別にさらされることのない利益と同様の意味合いで主張しているものとも解される。しかし,食品衛生法が,食中毒調査を通じて,そういった社会的誤解がないよう食中毒患者として確認することまでをも,法的利益として保護していることをうかがわせる規定は見出せない。むしろ,食中毒の中にも,菌等による感染型のものはあり(甲5の処理要領Ⅵ1(1)参照),食中毒患者等が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定されている疾病を罹患している場合も想定されていること(同Ⅳ1(1) ア)からすると,食中毒患者等として扱われることで感染症であることが否定されるという一般的な関係自体,必ずしも認め難いものである。 結局,水俣病について,食中毒事件として処理されることによって上記のような事態を回避することができた可能性は,反射的利益としてしか観念することのできないものであり,食品衛生法が,一般に,食中毒患者であるか否かが確認されることをもって法的利益として保護しようとしているものとは解することができない。 エさらに,上記アの③の食中毒の正しい病像及び患者発生実態を知り得べき利益についての原告の主張は,前記第2の2の前提事実(1)オに摘示した水俣病患者の健康被害補償に係る対応の経過を前提にしつつ,仮に食中毒調査によって食中毒の正しい病像及び患者発生の実態が把握されていれば,四肢末梢優位の感覚障害等の1つの症候を示すだけの水俣病患者が多数存在することが明らかになり,その 経過を前提にしつつ,仮に食中毒調査によって食中毒の正しい病像及び患者発生の実態が把握されていれば,四肢末梢優位の感覚障害等の1つの症候を示すだけの水俣病患者が多数存在することが明らかになり,その結果が公表されていれば,水俣病患者の健康被害補償に係る対応の経過は上記前提事実のようなものとはならなかったであろうことを想定しての主張であると解される。 この点,前記1(3)ウに判示したとおり,食中毒調査の本来的目的は,原因食品等及び病因物質を追及した上,汚染食品等を規制することを通じて,食品衛生上の危害の発生を防止することにあり,食品衛生法は,その規制を実効性あるものとするため,原因食品等に加えて病因物質を特定することにまでは関心を置いていると考えられるものの,これらが特定できる限りにおいては,規制を加えるべき汚染食品等や,これに加えるべき規制の方法を判断することは基本的に可能であると解される。そうすると,当該食中毒の病像や患者の発生の広がりは,せいぜいこれらの原因食品等や病因物質を特定するために必要な限度において,これを把握しようとしているにとどまると解され,一般に迅速な対応が必要になると考えられる汚染食品等を規制するまでの過程段階の作業と位置付けられる食中毒調 査において,これらのために必要な範囲を超えて,食中毒患者の詳細な病像や患者発生状況の詳細までをも把握しようとしているとは考え難い。 また,処理要領において,食中毒調査の結果を広報する措置を執る場合があり得ることが想定されている(甲5の処理要領Ⅵ1(5))としても,前記イに判示したとおり,処理要領の内容のすべてを法的利益として理解できるものではない上,そもそもこの広報の措置自体,食品衛生法61条1項等を受けたものと考えられる同要領Ⅵ1(4)の同種業者に対する指導 に判示したとおり,処理要領の内容のすべてを法的利益として理解できるものではない上,そもそもこの広報の措置自体,食品衛生法61条1項等を受けたものと考えられる同要領Ⅵ1(4)の同種業者に対する指導や,食品衛生教育,啓発宣伝(なお,旧厚生省又は厚生労働省において食中毒報告に基づき年別に食中毒事件録が編さんされているのも,この範ちゅうに含まれる事柄であると解される。甲4の8丁参照。)と同様,基本的に新たな被害の拡大を防止する目的で行うことを想定したものであると解され,そのような処理要領上の規定を根拠に,食中毒調査が,既に発生した健康被害の事後的な補償に資する目的で行われることを想定していると理解することはできない。 以上に検討したところによれば,仮に食中毒調査の過程において,食中毒患者の病像や患者の発生状況に関する情報が知れることがあり得るとしても,それらは,食中毒調査に伴って反射的,副次的に得られる範囲の情報にすぎないと考えられる。 他方,食中毒患者の健康被害の事後的な補償は,食品衛生関係法令以外の他の法令ないし個別の措置によって対処されるべき事柄であると考えられ,こうした他の法令等による対処に際して,食中毒調査によって得られる情報を活用する余地はないではないにしても,それを実施しなければならないと解すべき法律上の根拠はないものといわざるを得ない。実際,食品衛生法に基づく食中毒調査ではない健康調査等によっても,患者の事後的な補償に資する情報の収集は可能であると考えられる(健康調査の実施に関する提言等がされてきたことは前記第2の2の前提事実(1)オ(オ) のとおりであるし,水俣病救済特措法37条においても,指定地域(公健法上の第二種地域のうち水俣病に係る地域。同法2条2項参照)及びその周辺の地域に居住していた者の健康に 実(1)オ(オ) のとおりであるし,水俣病救済特措法37条においても,指定地域(公健法上の第二種地域のうち水俣病に係る地域。同法2条2項参照)及びその周辺の地域に居住していた者の健康に係る調査研究等を政府が積極的かつ速やかに行い,その結果を公表することが規定されているところである。)。 以上によれば,食中毒の正しい病像及び患者発生の実態を食中毒調査報告等の方法により知り得べきことが法律上保護されているとは解されず,仮に食品衛生法の規定する食中毒調査報告等によりこれらを知る利益が得られる場合を考え得るとしても,それは事実上得られる反射的利益にとどまるものというべきである。 オそのほか原告は,行政の作為を期待する国民の権利が侵害されていることも本件国賠請求の原因として述べているかのようでもある(前記第2の3(3)(原告の主張)ウ)が,その期待が保護されるとする論拠は,結局のところ,上記アの①ないし③に主張するところに収れんされていると解され,いずれにしても,これを法的に保護されている利益としてとらえることはできない。 (3) 小括以上のとおり,原告が本件国賠請求において侵害されたと主張するところの利益は,いずれも法的に保護されているとは解し得ないものであるから,本件国賠請求は,その余の点につき判断するまでもなく,理由がない。 4 結論よって,前記1及び2のとおり,本件訴えのうち,本件各義務付け請求及び本件各違法確認請求に係る部分は不適法であるから,これを却下するとともに,前記3のとおり,本件国賠請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判 ,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官平山馨 裁判官馬場潤 (別紙1-1)食品衛生法(昭和47年法律第108号による改正前のもの)の定め(昭和23年1月1日の施行から昭和47年8月28日まで)第1章総則第1条この法律は,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。 第2章食品及び添加物第4条左に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供するために,採取し,製造し,[輸入し,]加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない。〔昭和28年8月1日施行の同年法律第113号による改正前においては[]内はない。〕一腐敗し,若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し,一般に人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認められているものは,この限りでない。 二有毒な,又は有害な物質が含まれ,又は附着しているもの。但し,人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては,この限りでない。 三病原微生物により汚染され,又はその疑があり,人の健康を害う虞があるもの。 四不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を害う虞があるもの。 第6章営業第22条 [厚生大臣又は]都道府県知事は,営業者 その疑があり,人の健康を害う虞があるもの。 四不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を害う虞があるもの。 第6章営業第22条 [厚生大臣又は]都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合においては,営業者若しくは当該[官吏]吏員にその食品,添加物,器具若しくは容器包装を廃棄させ,その他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命じ,又は前条第1項の許可を取り消し, 若しくは営業の全部若しくは一部を禁止し,若しくは期間を定めて停止することができる。〔昭和28年8月1日施行の同年法律第113号による改正前においては[]内はない。〕第8章雑則第27条食品,添加物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑のある者を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 [2 保健所長は,前項の届出を受けたときは,政令の定めるところにより,調査し,且つ,都道府県知事に報告しなければならない。 3 都道府県知事は,前項の規定による報告を受けたときは,政令の定めるところにより,厚生大臣に報告しなければならない。]〔昭和28年9月1日施行の同年法律第213号による改正前においては[]内の2項及び3項はない。〕 (別紙1-2)食品衛生法(平成11年法律第87号による改正前のもの)の定め(昭和47年8月29日から平成12年3月31日まで)第1章総則第1条この法律は,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。 第2章食品及び添加物第4条左に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与 に起因する衛生上の危害の発生を防止し,公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。 第2章食品及び添加物第4条左に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供するために,採取し,製造し,輸入し,加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない。 一腐敗し,若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し,一般に人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認められているものは,この限りでない。 二有毒な,若しくは有害な物質が含まれ,若しくは附着し,又はこれらの疑いがあるもの。但し,人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては,この限りでない。 三病原微生物により汚染され,又はその疑があり,人の健康を害う虞があるもの。 四不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を害う虞があるもの。 第6章営業第22条厚生大臣又は都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合においては,営業者若しくは当該官吏吏員にその食品,添加物,器具若しくは容器包装を廃棄させ,その他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命じ,又は第21条[前条]第1項の許可を取り消し,若しくは営業の全部若しくは一部を禁止し,若しくは期間を定めて停 止することができる。〔平成7年11月24日施行の同年法律第101号による改正前においては[]内のとおり。〕第8章雑則第27条食品,添加物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑のある者を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 2 保健所長は,前項の届出を 物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑のある者を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 2 保健所長は,前項の届出を受けたときは,政令の定めるところにより,調査し,且つ,都道府県知事に報告しなければならない。 3 都道府県知事は,前項の規定による報告を受けたときは,政令の定めるところにより,厚生大臣に報告しなければならない。 (別紙1-3)食品衛生法(平成11年法律第160号による改正前のもの)の定め(平成12年4月1日から平成13年1月5日まで)第1章総則第1条この法律は,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。 第2章食品及び添加物第4条左に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供するために,採取し,製造し,輸入し,加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない。 一腐敗し,若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し,一般に人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認められているものは,この限りでない。 二有毒な,若しくは有害な物質が含まれ,若しくは附着し,又はこれらの疑いがあるもの。但し,人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては,この限りでない。 三病原微生物により汚染され,又はその疑があり,人の健康を害う虞があるもの。 四不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を害う虞があるもの。 第6章営業第22条厚生大臣又は都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合においては,営業者若しくは当 の混入又は添加その他の事由により,人の健康を害う虞があるもの。 第6章営業第22条厚生大臣又は都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合においては,営業者若しくは当該官吏吏員にその食品,添加物,器具若しくは容器包装を廃棄させ,又はその他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。 第23条都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合〔中略〕 においては,同条〔第21条を指す。〕第1項の許可を取り消し,又は営業の全部若しくは一部を禁止し,若しくは期間を定めて停止することができる。 第8章雑則第27条食品,添加物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑のある者を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 2 保健所長は,前項の届出を受けたときは,政令の定めるところにより,調査し,且つ,都道府県知事に報告しなければならない。 3 都道府県知事は,前項の規定による報告を受けたときは,政令の定めるところにより,厚生大臣に報告しなければならない。 (別紙1-4)食品衛生法(平成15年法律第55号1条による改正前のもの)の定め(平成13年1月6日から平成15年8月28日まで)第1章総則第1条この法律は,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。 第2章食品及び添加物第4条左に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供するために,採取し,製造し,輸入し,加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供するために,採取し,製造し,輸入し,加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない。 一腐敗し,若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し,一般に人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認められているものは,この限りでない。 二有毒な,若しくは有害な物質が含まれ,若しくは附着し,又はこれらの疑いがあるもの。但し,人の健康を害う虞がない場合として厚生労働大臣が定める場合においては,この限りでない。 三病原微生物により汚染され,又はその疑があり,人の健康を害う虞があるもの。 四不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を害う虞があるもの。 第6章営業第22条厚生労働大臣又は都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合[〔中略〕]においては,営業者若しくは当該官吏吏員にその食品,添加物,器具若しくは容器包装を廃棄させ,又はその他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。〔平成14年9月7日施行の同年法律第104号による改正前においては[]内は ない。〕第23条都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合〔中略〕においては,同条〔第21条を指す。〕第1項の許可を取り消し,又は営業の全部若しくは一部を禁止し,若しくは期間を定めて停止することができる。 第8章雑則第27条食品,添加物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑のある者を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 2 保健所長は,前項の届出を受けたと 若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑のある者を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 2 保健所長は,前項の届出を受けたときは,政令の定めるところにより,調査し,且つ,都道府県知事に報告しなければならない。 3 都道府県知事は,前項の規定による報告を受けたときは,政令の定めるところにより,厚生労働大臣に報告しなければならない。 (別紙1-5)食品衛生法(平成15年法律第55号2条による改正前のもの)の定め(平成15年8月29日から平成16年2月26日まで)第1章総則第1条この法律は,食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。 第2章食品及び添加物第4条左に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供するために,採取し,製造し,輸入し,加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない。 一腐敗し,若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し,一般に人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認められているものは,この限りでない。 二有毒な,若しくは有害な物質が含まれ,若しくは附着し,又はこれらの疑いがあるもの。但し,人の健康を害う虞がない場合として厚生労働大臣が定める場合においては,この限りでない。 三病原微生物により汚染され,又はその疑があり,人の健康を害う虞があるもの。 四不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を害う虞があるもの。 第6章営業第22条厚生労働大臣 微生物により汚染され,又はその疑があり,人の健康を害う虞があるもの。 四不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を害う虞があるもの。 第6章営業第22条厚生労働大臣又は都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合〔中略〕においては,営業者若しくは当該官吏吏員にその食品,添加物,器具若しくは容器包装を廃棄させ,又はその他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。 第23条都道府県知事は,営業者が第4条〔中略〕の規定に違反した場合〔中略〕においては,同条〔第21条を指す。〕第1項の許可を取り消し,又は営業の全部若しくは一部を禁止し,若しくは期間を定めて停止することができる。 〔加えられた2項は略〕第8章雑則第27条食品,添加物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。 2 保健所長は,前項の届出を受けたときその他食中毒患者等が発生していると認めるときは,速やかに都道府県知事等に報告するとともに,政令で定めるところにより,調査しなければならない。 3 都道府県知事等は,前項の規定により保健所長より報告を受けた場合であつて,食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し,又は発生するおそれがあると認めるときその他厚生労働省令で定めるときは,直ちに,厚生労働大臣に報告しなければならない。 4 保健所長は,第2項の規定による調査を行つたときは,政令で定めるところにより,都道府県知事等に報告しなければならない。 5 都道府県知事等は,前項の規定による報告を受けたと ればならない。 4 保健所長は,第2項の規定による調査を行つたときは,政令で定めるところにより,都道府県知事等に報告しなければならない。 5 都道府県知事等は,前項の規定による報告を受けたときは,政令で定めるところにより,厚生労働大臣に報告しなければならない。 第28条の2 厚生労働大臣は,食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し,若しくは発生するおそれがある場合又は食中毒患者等が広域にわたり発生し,若しくは発生するおそれがある場合であつて,食品衛生上の危害の発生を防止するため緊急を要するときは,都道府県知事等に対し,期限を定めて,食中毒の原因を調査し,調査の結果を報告するように求めることができる。 (別紙1-6)食品衛生法の定め(平成16年2月27日から現在まで)第1章総則第1条この法律は,食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。 第2章食品及び添加物第6条次に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供するために,採取し,製造し,輸入し,加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない。 一腐敗し,若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし,一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは,この限りでない。 二有毒な,若しくは有害な物質が含まれ,若しくは付着し,又はこれらの疑いがあるもの。ただし,人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては,この限りでない。 三病原微生物により汚染され,又 害な物質が含まれ,若しくは付着し,又はこれらの疑いがあるもの。ただし,人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては,この限りでない。 三病原微生物により汚染され,又はその疑いがあり,人の健康を損なうおそれがあるもの。 四不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を損なうおそれがあるもの。 第9章営業第54条厚生労働大臣又は都道府県知事は,営業者が第6条〔中略〕の規定に違反した場合〔中略〕においては,営業者若しくは当該職員[官吏吏員]にその食品,添加物,器具若しくは容器包装を廃棄させ,又はその他営業者に対し食 品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。〔平成19年4月1日施行の平成18年法律第53号による改正前は[]内のとおり。〕〔平成21年9月1日施行の同年法律第49号により加えられる2項は略〕第55条都道府県知事は,営業者が第6条〔中略〕の規定に違反した場合〔中略〕においては,同条〔第52条を指す。〕第1項の許可を取り消し,又は営業の全部若しくは一部を禁止し,若しくは期間を定めて停止することができる。 第10章雑則第58条食品,添加物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。 2 保健所長は,前項の届出を受けたときその他食中毒患者等が発生していると認めるときは,速やかに都道府県知事等に報告するとともに,政令で定めるところにより,調査しなければならない。 3 都道府県知事等は,前項の規定により保健所長より報告を受けた場合であつて,食中毒患者等が厚生労働省 やかに都道府県知事等に報告するとともに,政令で定めるところにより,調査しなければならない。 3 都道府県知事等は,前項の規定により保健所長より報告を受けた場合であつて,食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し,又は発生するおそれがあると認めるときその他厚生労働省令で定めるときは,直ちに,厚生労働大臣に報告しなければならない。 4 保健所長は,第2項の規定による調査を行つたときは,政令で定めるところにより,都道府県知事等に報告しなければならない。 5 都道府県知事等は,前項の規定による報告を受けたときは,政令で定めるところにより,厚生労働大臣に報告しなければならない。 第60条厚生労働大臣は,食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し,若しくは発生するおそれがある場合又は食中毒患者等が広域にわたり発生し,若しくは発生するおそれがある場合であつて,食品衛生上の危害の発生を防止するため 緊急を要するときは,都道府県知事等に対し,期限を定めて,食中毒の原因を調査し,調査の結果を報告するように求めることができる。 (別紙2-1)食品衛生法施行令(昭和55年政令第119号による改正前のもの)の定め(昭和28年9月1日の施行から昭和55年5月31日まで)(中毒原因の調査)第6条法第27条第2項〔中略〕の規定により保健所長が行うべき調査は,左の通りとする。 一中毒の原因となつた食品,添加物,器具,容器包装又はおもちや及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査二中毒した患者若しくはその疑のある者若しくはその死体の血液,ふん、、便,尿若しくは吐物その他の物又は中毒の原因と思われる食品,添加物,器具,容器包装若しくはおもちやについての細菌学的又は理化学的試験による調査(中毒に る者若しくはその死体の血液,ふん、、便,尿若しくは吐物その他の物又は中毒の原因と思われる食品,添加物,器具,容器包装若しくはおもちやについての細菌学的又は理化学的試験による調査(中毒に関する報告)第7条保健所長は,法第27条第1項の規定による届出を受けたときは,厚生省令の定めるところにより報告書を作成し,都道府県知事にこれを提出しなければならない。 〔2項略〕 3 都道府県知事は,第1項の報告書を受理したときは,厚生省令の定めるところにより週別及び月別の報告書を作成し,厚生大臣にこれを提出しなければならない。 (別紙2-2)食品衛生法施行令(平成12年政令第309号による改正前のもの)の定め(昭和55年6月1日から平成13年1月5日まで)(中毒原因の調査)第6条法第27条第2項〔中略〕の規定により保健所長が行うべき調査は,左の通りとする。 一中毒の原因となつた食品,添加物,器具,容器包装又はおもちや及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査二中毒した患者若しくはその疑のある者若しくはその死体の血液,ふん、、便,尿若しくは吐物その他の物又は中毒の原因と思われる食品,添加物,器具,容器包装若しくはおもちやについての細菌学的又は理化学的試験による調査(中毒に関する報告)第7条保健所長は,法第27条第1項の規定による届出を受けたときは,厚生省令の定めるところにより報告書を作成し,都道府県知事にこれを提出しなければならない。 〔2項略〕 3 都道府県知事は,第1項の報告書を受理したときは,厚生省令の定めるところにより報告書を作成し,厚生大臣にこれを提出しなければならない。 (別紙2-3)食品衛生法施行令(平成15年政令第35 府県知事は,第1項の報告書を受理したときは,厚生省令の定めるところにより報告書を作成し,厚生大臣にこれを提出しなければならない。 (別紙2-3)食品衛生法施行令(平成15年政令第350号による改正前のもの)の定め(平成13年1月6日から平成15年8月28日まで)(中毒原因の調査)第6条法第27条第2項〔中略〕の規定により保健所長が行うべき調査は,左の通りとする。 一中毒の原因となつた食品,添加物,器具,容器包装又はおもちや及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査二中毒した患者若しくはその疑のある者若しくはその死体の血液,ふん、、便,尿若しくは吐物その他の物又は中毒の原因と思われる食品,添加物,器具,容器包装若しくはおもちやについての細菌学的又は理化学的試験による調査(中毒に関する報告)第7条保健所長は,法第27条第1項の規定による届出を受けたときは,厚生労働省令の定めるところにより報告書を作成し,都道府県知事にこれを提出しなければならない。 〔2項略〕 3 都道府県知事は,第1項の報告書を受理したときは,厚生労働省令の定めるところにより報告書を作成し,厚生労働大臣にこれを提出しなければならない。 (別紙2-4)食品衛生法施行令(平成15年政令第505号による改正前のもの)の定め(平成15年8月29日から平成16年2月26日まで)(中毒原因の調査)第6条法第27条第2項〔中略〕の規定により保健所長が行うべき調査は,次のとおりとする。 一中毒の原因となつた食品,添加物,器具,容器包装又はおもちや(以下この条及び次条第2項において「食品等」という。)及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査二中毒した患者若しくはその疑いのある者若しくはその死体 品,添加物,器具,容器包装又はおもちや(以下この条及び次条第2項において「食品等」という。)及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査二中毒した患者若しくはその疑いのある者若しくはその死体の血液,ふん便,尿若しくは吐物その他の物又は中毒の原因と思われる食品等についての微生物学的若しくは理化学的試験又は動物を用いる試験による調査(中毒に関する報告)第7条保健所長は,法第27条第2項の規定による調査(以下この条において「食中毒調査」という。)について,前条各号に掲げる調査の実施状況を逐次都道府県知事,保健所を設置する市の市長又は特別区の区長(以下この条において「都道府県知事等」という。)に報告しなければならない。 2 都道府県知事等は,法第27条第3項〔中略〕の規定による報告を行つたときは,前項の規定により報告を受けた事項のうち,中毒した患者の数,中毒の原因となつた食品等その他の厚生労働省令で定める事項を逐次厚生労働大臣に報告しなければならない。 3 保健所長は,食中毒調査が終了した後,速やかに,厚生労働省令で定めるところにより報告書を作成し,都道府県知事等にこれを提出しなければならない。 4 都道府県知事等は,前項の報告書を受理したときは,厚生労働省令で定めるところにより報告書を作成し,厚生労働大臣にこれを提出しなければならない。 (別紙2-5)食品衛生法施行令の定め(平成16年2月27日から現在まで)(中毒原因の調査)第36条法第58条第2項〔中略〕の規定により保健所長が行うべき調査は,次のとおりとする。 一中毒の原因となつた食品,添加物,器具,容器包装又はおもちや(以下この条及び次条第2項において「食品等」という。)及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査二中毒した のとおりとする。 一中毒の原因となつた食品,添加物,器具,容器包装又はおもちや(以下この条及び次条第2項において「食品等」という。)及び病因物質を追及するために必要な疫学的調査二中毒した患者若しくはその疑いのある者若しくはその死体の血液,ふん便,尿若しくは吐物その他の物又は中毒の原因と思われる食品等についての微生物学的若しくは理化学的試験又は動物を用いる試験による調査(中毒に関する報告)第37条保健所長は,法第58条第2項の規定による調査(以下この条において「食中毒調査」という。)について,前条各号に掲げる調査の実施状況を逐次都道府県知事,保健所を設置する市の市長又は特別区の区長(以下この条において「都道府県知事等」という。)に報告しなければならない。 2 都道府県知事等は,法第58条第3項〔中略〕の規定による報告を行つたときは,前項の規定により報告を受けた事項のうち,中毒した患者の数,中毒の原因となつた食品等その他の厚生労働省令で定める事項を逐次厚生労働大臣に報告しなければならない。 3 保健所長は,食中毒調査が終了した後,速やかに,厚生労働省令で定めるところにより報告書を作成し,都道府県知事等にこれを提出しなければならない。 4 都道府県知事等は,前項の報告書を受理したときは,厚生労働省令で定めるところにより報告書を作成し,厚生労働大臣にこれを提出しなければならない。 (別紙3-1)食品衛生法施行規則(平成16年厚生労働省令12号による改正前のもの)の定め(平成15年8月29日から平成16年2月26日まで)第22条の2 法第27条第3項〔中略〕の厚生労働省令で定める数は50人とする。 〔2項略〕第24条の2 法第28条の2の厚生労働省令で定める数は,500人とする。 6日まで)第22条の2 法第27条第3項〔中略〕の厚生労働省令で定める数は50人とする。 〔2項略〕第24条の2 法第28条の2の厚生労働省令で定める数は,500人とする。 (別紙3-2)食品衛生法施行規則の定め(平成16年2月27日から現在まで)第73条法第58条第3項〔中略〕の厚生労働省令で定める数は50人とする。 〔2項略〕第77条法第60条の厚生労働省令で定める数は,500人とする。

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る