平成20(行ウ)150 特別報酬支給差止等請求事件(住民訴訟)

裁判年月日・裁判所
平成22年9月3日 大阪地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文51,073 文字)

- 1 -主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告和泉市長(以下「被告市長」という。)に対し⑴(主位的請求)被告市長は,Aに対し,1億7855万1307円及びこれに対する平成20年8月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 ⑵(予備的請求)被告市長は,Aに対し,1297万8905円及びこれに対する平成21年4月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 2 被告和泉市病院事業管理者(以下「被告管理者」という。)に対し被告管理者は,Bに対し,2499万0368円及びこれに対する平成20年8月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,和泉市の職員,和泉市水道事業の職員及び和泉市病院事業の職員のそれぞれ一部に対し,平成19年度の夏季と年末に特別報酬の名目で金員(以下,これらを総称して「本件特別報酬」という。)を支給する支出決定及び支出命令が行われたところ,和泉市の住民である原告が,本件特別報酬の支給は,和泉市職員の給与に関する条例(昭和38年8月2日和泉市条例第16号。ただし,平成21年和泉市条例第5号(以下「本件改正条例」という。)による改正前のもの。以下「旧給与条例」といい,本件改正条例による改正後のもの- 2 -を「新給与条例」という。)又は特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年11月1日和泉市条例第22号。以下「特別職報酬条例」という。)及び地方自治法(ただし,平成20年法律第69号による改正前のもの。以下「地自法」という。)204条の2に違反する違法な支出であるなどとして,地自法 市条例第22号。以下「特別職報酬条例」という。)及び地方自治法(ただし,平成20年法律第69号による改正前のもの。以下「地自法」という。)204条の2に違反する違法な支出であるなどとして,地自法242条の2第1項4号に基づき,⑴ 被告市長に対し,ア主位的に,上記支出決定及び支出命令がされた際に和泉市長の職にあり和泉市水道事業管理者の権限を行っていたAに対し,民法709条に基づき,和泉市職員及び和泉市水道事業職員に対する平成19年度の本件特別報酬の支給額相当額及びこれに対する被告市長への本件訴状送達日の翌日である平成20年8月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求することを求め,イ予備的に,Aに対して,民法709条に基づき,上記職員らへの平成19年度の本件特別報酬の支給額相当額に対するその支給日から本件改正条例施行日までの遅延損害金の合計額及びこれに対する本件改正条例施行日の翌日である平成21年4月2日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求することを求め,⑵ 被告管理者に対し,上記当時和泉市病院事業管理者の職にあったBに対し,民法709条に基づき,和泉市病院事業の職員に対する平成19年度の本件特別報酬の支給額相当額及びこれに対する被告管理者への本件訴状送達日の翌日である平成20年8月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求することを求める住民訴訟である。 2 法令等の定め⑴ 地自法ア非常勤職員普通地方公共団体は,普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職- 3 -員を除く。)に対し,報酬を支給しなければならない(同法203条1項)。 上記職員のうち議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給する。ただし,条例で特別の定めをした場 -員を除く。)に対し,報酬を支給しなければならない(同法203条1項)。 上記職員のうち議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給する。ただし,条例で特別の定めをした場合は,この限りでない(同条2項)。 報酬の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない(同条5項)。 イ常勤職員普通地方公共団体は,普通地方公共団体の常勤の職員並びに短時間勤務職員(地方公務員法(以下「地公法」という。)28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員をいう。地自法92条2項)に対し,給料及び旅費を支給しなければならない(同法204条1項)。 普通地方公共団体は,条例で,前項の職員に対し,期末手当等を支給することができる(同条2項)。 給料,手当及び旅費の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない(同条3項)。 ウ給与条例主義普通地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには,これを地自法203条1項の職員及び同法204条1項の職員に支給することができない(同法204条の2)。 ⑵ 地公法ア一般職及び特別職地方公務員(地方公共団体及び特定地方独立行政法人のすべての公務員をいう。)の職は,一般職と特別職とに分ける(同法3条1項)。 一般職は,特別職に属する職以外の一切の職とする(同条2項)。 臨時又は非常勤の顧問,参与,調査員,嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職は,特別職とする(同条3項3号)。 - 4 -イ地公法の適用地公法の規定は,一般職に属するすべての地方公務員に適用し(同法4条1項),法律に特別の定めがある場合を除くほか,特別職に属する地方公務員には適用しない(同条2項)。 ウ給与その他の勤務条件 地公法の規定は,一般職に属するすべての地方公務員に適用し(同法4条1項),法律に特別の定めがある場合を除くほか,特別職に属する地方公務員には適用しない(同条2項)。 ウ給与その他の勤務条件一般職に属するすべての職員の給与は,生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない(同法24条3項)。 一般職に属するすべての職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は,条例で定める(同条6項)。 一般職に属するすべての職員の給与は,給与に関する条例に基づいて支給されなければならず,又,これに基づかずには,いかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない(同法25条1項)。 給与に関する条例には,給料表,昇給の基準に関する事項,時間外勤務,夜間勤務及び休日勤務に対する給与に関する事項,特別地域勤務,危険作業その他特殊な勤務に対する手当及び扶養親族を有する職員に対する手当を支給する場合においては,これらに関する事項,非常勤職員の職及び生活に必要な施設の全部又は一部を公給する職員の職その他勤務条件の特別な職があるときは,これらについて行う給与の調整に関する事項,職階制を採用する地方公共団体においては,その職に職階制が始めて適用される場合の給与に関する事項,その他給与の支給方法及び支給条件に関する事項,を規定するものとする(同条3項)。 エ単純労務職員に関する特例職員のうち,公立学校の教職員,単純な労務に雇用される者その他その職務と責任の特殊性に基づいて地公法に対する特例を必要とするものについては,別に法律で定める(同法57条)。 - 5 -なお,同法57条に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であって,地方公営企業等の労働関係に関する法律 を必要とするものについては,別に法律で定める(同法57条)。 - 5 -なお,同法57条に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であって,地方公営企業等の労働関係に関する法律3条4号の職員(地方公営企業に勤務する一般職に属する地方公務員)以外のものに係る労働関係その他身分取扱いについては,その労働関係その他身分取扱いに関し特別の法律が制定施行されるまでの間は,地方公営企業等の労働関係に関する法律(17条を除く。)及び地方公営企業法(平成19年法律第94号に基づく改正前のもの。以下「企業法」という。)37条から39条までの規定を準用する(地方公営企業等の労働関係に関する法律附則5項)。 ⑶ 企業法ア目的企業法は,地方公共団体の経営する企業の組織,財務及びこれに従事する職員の身分取扱いその他企業の経営の根本基準等を定め,地方自治の発達に資することを目的とし(同法1条),地方公営企業の経営に関して,地自法,地方財政法及び地公法に対する特例を定める(同法6条)。 イ適用範囲企業法は,地方公共団体の経営する企業のうち水道事業等に適用されるほか(同法2条1項),同法3条から6条まで,17条から35条まで,40条から41条まで並びに附則2項及び3項の規定(以下「財務規定等」という。)は,地方公共団体の経営する企業のうち病院事業に適用される(同法2条2項)。そのほか,地方公共団体は,政令で定める基準に従い,条例で定めるところにより,その経営する企業に,同法の規定の全部又は一部を適用することができる(同条3項)。 和泉市においては,同市の経営する病院事業に,財務規定等を除く企業法の規定が平成8年4月1日から適用されている(同条項,地方公営企業法施行令1条1項,和泉市病院事業の設置等に関する条例(昭和47 和泉市においては,同市の経営する病院事業に,財務規定等を除く企業法の規定が平成8年4月1日から適用されている(同条項,地方公営企業法施行令1条1項,和泉市病院事業の設置等に関する条例(昭和47年和- 6 -泉市条例第3号,乙7)2条の2)。 ウ地方公営企業の管理者の設置について地方公営企業を経営する地方公共団体には,地方公営企業の業務を執行させるため,企業法2条1項の事業ごとに管理者を置く。ただし,条例で定めるところにより,政令で定める地方公営企業について管理者を置かないことができる(同法7条)。 和泉市においては,同条ただし書,地方公営企業法施行令8条の2,和泉市水道事業の設置に関する条例(昭和41年和泉市条例第27号,乙6)3条1項の各規定により,水道事業に管理者を置かないものとされている。 エ管理者の地位及び権限地方公営企業の管理者は,地方公営企業の業務を執行し,当該業務の執行に関し当該地方公共団体を代表するが(企業法8条1項),同法7条ただし書の規定により管理者を置かない地方公共団体においては,管理者の権限は,当該地方公共団体の長が行う(同条2項)。 したがって,和泉市においては,管理者が置かれていない水道事業については被告市長が,管理者が置かれている病院事業については被告管理者が,それぞれ管理者の権限を行う。 オ企業職員の給与企業職員の給与は給料及び手当であり(同法38条1項),その給与は,生計費,同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与,当該地方公営企業の経営の状況その他の事情を考慮して定めなければならない(同条3項)。 企業職員の給与の種類及び基準は,条例で定める(同条4項)。 和泉市においては,企業職員で常時勤務を要するもの及び地公法28条の5 況その他の事情を考慮して定めなければならない(同条3項)。 企業職員の給与の種類及び基準は,条例で定める(同条4項)。 和泉市においては,企業職員で常時勤務を要するもの及び地公法28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員(以下「常勤企業職員」という。)の給与の種類は,給料及び手当であり(和泉市企業職員の給与- 7 -の種類及び基準に関する条例(昭和44年和泉市条例第5号。以下「企業職員条例」という。乙5)2条1項),上記手当には期末手当も含まれる(同条3項)。一方,上記職員以外の企業職員(以下「非常勤企業職員」という。)については,上記職員との権衡を考慮し,予算の範囲内で給与が支給される(同条例17条)。 ⑷ 旧給与条例(乙2,16)ア旧給与条例は,地自法204条及び地公法24条6項の規定により和泉市職員(いわゆる再任用職員を含む一般職の職員。)の給与に関する事項を定めることを目的とする(同条例1条,2条)。 イ非常勤職員(再任用短時間勤務職員を除く。)の給与は,この条例の規定にかかわらず,日額又は月額とし,その額は,予算の範囲内において職員の給与との均衡を考慮して任命権者が定めるものとし(同条例12条1項),当該非常勤の職員には,他に別段の定めがない限り,上記給与を除くほか他のいかなる給与も支給しない(同条2項)。 ウ地公法57条に規定する単純な労務に雇用される職員の給与の種類及び基準については,この条例を準用する(同条例附則6項)。 ⑸ 新給与条例等(乙14,21)等ア 3条(職員の給与)の規定にかかわらず,一般職の非常勤職員(再任用短時間勤務職員を除く。)には,報酬を支給する(同条例12条1項)。 イ一般非常勤職員(市等退職非常勤職員,国民健康保険料徴収員以外の非常勤職員をいう。)の報酬は らず,一般職の非常勤職員(再任用短時間勤務職員を除く。)には,報酬を支給する(同条例12条1項)。 イ一般非常勤職員(市等退職非常勤職員,国民健康保険料徴収員以外の非常勤職員をいう。)の報酬は,一般非常勤職員報酬表(同条例別表第3)を適用し,規則で定めるところにより決定した号給の額に,その職種,勤務日数,職務内容その他の条件に応じて規則で定める率を乗じて得た額とする(同条例12条2項⑴号,12条の2第1項)。 市等退職非常勤職員(常勤の職員であった者であって,勧奨により退職して市に雇用されている非常勤職員及び他の官公庁等の職員であった者で- 8 -あって,当該他の官公庁等を退職して市に雇用されている非常勤職員のうち任命権者が定めるものをいう。)の報酬は,市等退職非常勤職員報酬表(同条例別表第4)を適用し,規則で定めるところにより決定された号給による額に,その職種,勤務日数,職務内容その他の条件に応じて規則で定める率を乗じて得た額とする(同条例12条2項⑵号,12条の2第1項)。 ウ上記に定めるところにより算定し難い非常勤職員の勤務に対しては,時間額又は日額により報酬額を調整することができる(同条例12条3項)。 エ新給与条例の規定は,平成21年4月1日以後の勤務に係る非常勤職員の報酬及び費用弁償について適用し,同日前の勤務に係る非常勤職員の給与については,なお従前の例による(同条例附則2項)。 また,旧給与条例(同条例12条の規定に基づいて,任命権者が別に定めた規則,規程その他これらに類する訓令等を含む。以下「旧条例」という。)の規定に基づいて,新給与条例の施行日の前日までの勤務について支給された非常勤職員の給与(特別報酬その他給与の性格を有する一切の給付を含む。)は,新給与条例の規定により支給された報酬及び費用弁償 。)の規定に基づいて,新給与条例の施行日の前日までの勤務について支給された非常勤職員の給与(特別報酬その他給与の性格を有する一切の給付を含む。)は,新給与条例の規定により支給された報酬及び費用弁償とみなす(同条例附則3項)。 この場合において,旧条例の規定に基づいて,非常勤職員に対して,年度の初日から年度の末日までの間の勤務に対して支給した給与の総額が新給与条例の規定により算定した額と異なる場合においても,調整しないものとする(同条例附則4項)。 ⑹ 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年和泉市条例第22号。以下「特別職報酬条例」という。甲5)ア和泉市は,地自法203条5項の規定により,特別職の職員で非常勤のもの(議会の議員及び消防団員を除く。)の報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法について定めることを目的として,特別職報酬条例を制定し- 9 -ている(同条例1条)。 イ特別職の職員の報酬の額は,同条例別表のとおりであるが(同条例2条1項),別表に掲げるもの以外の委員の報酬については,任命権者が被告市長との協議を経て日額で定める(同条2項)。 ウ以上のほか,臨時又は非常勤の嘱託員及びこれに準ずるものの報酬額は,日額又は月額とし,予算を超えない範囲内において任命権者が被告市長の承認を得て定める(同条3項)。 エ報酬の支給方法については,同条例に定めるほか,旧給与条例の例による(同条例3条)。 ⑺ 和泉市職員の勤務時間等に関する規則(乙1)等和泉市職員の勤務時間等に関する条例(昭和32年条例第29号)2条1項の規定に基づく勤務時間は,休憩時間を除き,1週間につき38時間45分であり,その割り振りについては,午前8時45分から午後5時15分までである(同規則2条1項)。 3 前 条例第29号)2条1項の規定に基づく勤務時間は,休憩時間を除き,1週間につき38時間45分であり,その割り振りについては,午前8時45分から午後5時15分までである(同規則2条1項)。 3 前提となる事実等本件において,以下の各事実等は,当事者間に争いがないか,又は,掲記の各証拠(特に断りのない限り,書証番号には枝番号を含む。)及び弁論の全趣旨から容易に認定することができる。なお,当事者間に争いがない事実等については認定根拠を付していない。 ⑴ 当事者及び請求の相手方ア原告は,和泉市の住民である。 イ Aは,平成17年6月19日から平成21年6月18日まで,和泉市長の職にあり,和泉市水道事業管理者の権限を行っていた。 ウ Bは,平成18年4月1日から和泉市病院事業管理者の職にある。 - 10 -⑵ 本件特別報酬の支給が問題とされている職員(以下「本件職員ら」という。)(乙18)ア本件職員らの内訳は,(ア) 市庁舎内の部署・出張所・図書館等に勤務する職員128名(以下「職員①」という。)(イ) 市立保育園に勤務するパート保育士51名(以下「職員②」といい,職員①と併せて「職員①②」という。)(ウ) 市立保育園に勤務する調理員18名(以下「職員③」という。)(エ) 市立小・中学校に勤務する給食調理員38名(以下「職員④」といい,職員③と併せて「職員③④」という。また職員①②と職員③④を併せて「職員①から④まで」という。)(オ) 上下水道部(地方公営企業)に勤務する職員2名(以下「職員⑤」という。)(カ) 市立病院(地方公営企業)に勤務する事務職員・看護師・看護助手・薬剤師・社会福祉士・社会福祉主事の合計31名(ただし,平成19年12月支給時には29名)(以下「職員⑥」といい,職員⑤と併 (カ) 市立病院(地方公営企業)に勤務する事務職員・看護師・看護助手・薬剤師・社会福祉士・社会福祉主事の合計31名(ただし,平成19年12月支給時には29名)(以下「職員⑥」といい,職員⑤と併せて「職員⑤⑥」という。)である。 イ本件職員らの勤務日数及び週間勤務時間は,職員①は週4日(勤務する曜日は職場により異なる。)・30時間勤務職員②は週6日(月曜日から土曜日まで)・24時間勤務職員③は週6日(月曜日から土曜日まで)・30時間勤務職員④は週5日(月曜日から金曜日まで)・30時間勤務職員⑤は週4日(勤務する曜日は職務により異なる。)・30時間勤務職員⑥のうち,看護師は週5日(勤務する曜日は交代制につき不定)・32時間勤務,看護助手・薬剤師・社会福祉士・社会福祉主事は週5日(勤- 11 -務する曜日は交代制につき不定)・30時間勤務であった。 ⑶ 和泉市における非常勤職員の任用についての内部基準ア和泉市非常勤職員の任用に関する要綱(甲4,弁論の全趣旨)被告市長は,「和泉市非常勤職員の任用に関する要綱」と題する内部基準を制定し,平成4年4月1日から施行しており,職員①から職員③までについては同要綱が適用された。 同要綱は,非常勤職員の任期を原則として1年とし(2条1項),非常勤職員の勤務時間は,週当たり30時間を超えないものとするほか(3条1項),非常勤職員に対する報酬及び費用弁償は,特別職報酬条例2条3項及び旧給与条例12条に規定する範囲内で別に定めるところにより支給する旨規定する(4条)。 イ和泉市学校給食非常勤嘱託調理員の任用に関する要綱(甲19,弁論の全趣旨)和泉市教育委員会は,「和泉市学校給食非常勤嘱託調理員の任用に関する要綱」と題する内部基準を制定し,平成11年4月1日から施 泉市学校給食非常勤嘱託調理員の任用に関する要綱(甲19,弁論の全趣旨)和泉市教育委員会は,「和泉市学校給食非常勤嘱託調理員の任用に関する要綱」と題する内部基準を制定し,平成11年4月1日から施行しており,職員④については同要綱が適用された。 同要綱は,非常勤職員の任期を原則として1年以内とし(2条1項),非常勤職員の勤務時間を1週間につき30時間を超えないものとする(3条)ほか,非常勤職員に対する報酬及び費用弁償については,特別職報酬条例2条3項及び旧給与条例12条に規定する範囲内で別に定めるところにより支給する旨規定する(4条)。 ウ和泉市再雇用職員の任用に関する要綱(甲20,弁論の全趣旨)被告市長は,「和泉市再雇用職員の任用に関する要綱」と題する内部基準を制定し,平成8年4月1日から施行しており,職員⑤については同要綱が適用された。 - 12 -同要綱は,一定の職員で勧奨を受けて退職したもののうち,非常勤の職の職員として任用されたものを再雇用職員とした上で,再雇用職員の任用期間を1年とし(4条1項),再雇用職員の勤務時間を週当たり30時間を超えないものとするほか(7条1項),再雇用職員に対して支給する報酬及び費用弁償の額については,別途被告市長が定める旨規定する(9条)。 エ和泉市立病院嘱託職員制度等(甲22,乙9,弁論の全趣旨)被告管理者は,「和泉市立病院嘱託職員制度」と題する内部基準の要綱を制定し,平成16年11月1日から施行している。 同要綱は,嘱託職員に対する委嘱期間を原則として1年間とし(同要綱6),その労働時間を1週間32時間として,その範囲内で始業及び終業時間を調整することができる旨規定する(同要綱1)。 また,被告管理者は,「和泉市立病院非常勤嘱託職員の任用に関する要綱」と題する内部基準を制 働時間を1週間32時間として,その範囲内で始業及び終業時間を調整することができる旨規定する(同要綱1)。 また,被告管理者は,「和泉市立病院非常勤嘱託職員の任用に関する要綱」と題する内部基準を制定し,同年4月1日から施行している。 同要綱は,非常勤嘱託職員の任期を1年以内とし(2条1項),勤務時間を週当たり30時間を超えないものとするほか(3条1項),非常勤嘱託職員に対する報酬及び費用弁償については,予算を超えない範囲内において,別に定めるところにより支給する旨規定する(4条)。 ⑷ 非常勤職員等に対する特別報酬の支給制度ア被告市長は,平成4年4月1日,「非常勤職員の報酬及び費用弁償取扱基準」(以下「非常勤職員報酬等基準」という。)を制定しており,上記基準は,週3日以上勤務の者に対して夏季及び年末特別報酬を支給すると定め,その支給額は,月額報酬(19万2000円以内)に支給率(夏季特別報酬は100分の185,年末特別報酬は100分の200+1万円),在職期間率(基準日以前6か月間の在職期間に応じた割合),勤務率(要勤務日のうち出勤した日の割合に応じた率)を掛け合わせた額であった(甲6,弁論の全趣旨)。 - 13 -イまた,被告市長は,平成8年4月1日,勧奨退職後の再雇用された職員について,「再雇用職員の報酬及び費用弁償取扱基準」(以下「再雇用職員報酬等基準」という。)を制定しており,上記基準は,再雇用職員に対し,6月期及び12月期に特別報酬を支給すると規定している。その支給額は,月額報酬額に支給率,在職期間率,勤務率を掛け合わせた額である(乙3)。 ウまた,和泉市教育委員会は,平成11年4月1日,「学校給食非常勤嘱託調理員の報酬及び費用弁償取り扱い基準」を定めており,上記基準は,学校給食非常勤嘱託調理員に対し,夏季 た額である(乙3)。 ウまた,和泉市教育委員会は,平成11年4月1日,「学校給食非常勤嘱託調理員の報酬及び費用弁償取り扱い基準」を定めており,上記基準は,学校給食非常勤嘱託調理員に対し,夏季特別報酬及び年末特別報酬を支給すると定め,その支給額は,月額報酬(13万3000円)に支給率(夏季特別報酬は100分の185(+2500円),年末特別報酬は100分の203+1万円),在職期間,勤務率を掛け合わせた額であった(乙8)。 エさらに,「和泉市立病院嘱託職員制度」は,和泉市立病院嘱託職員が毎年6月1日及び12月1日の各基準日に在職(各基準日前1月以内の退職を含む。)する場合は,和泉市立病院職員に準じ期末勤勉手当を支給すると規定する(乙9,弁論の全趣旨)。 また,被告管理者は,平成16年4月1日,「非常勤嘱託員(医療技術員)の報酬及び費用弁償取扱基準」及び「非常勤嘱託員(看護助手・社会福祉主事)の報酬及び費用弁償取扱基準」と題する各取扱基準を,平成18年10月1日,「非常勤嘱託員(社会福祉士)の報酬及び費用弁償取扱基準」と題する取扱基準を定めている。これらの基準は,いずれも,基本となる報酬額が異なるものの,上記イと同様の算出方法により,各非常勤嘱託員に対し夏季特別報酬及び年末特別報酬を支給すると規定する(乙10から12まで,弁論の全趣旨)。 ⑸ 本件特別報酬の支給行為に係る専決権限- 14 -職員①から④までに対する本件特別報酬の支給行為については,本件職員らが配置されている各部署の課長に専決権限があり(和泉市事務決裁規程(乙20)12条2項,別表第2),職員⑤に対する支給行為については和泉市水道事業経営総務課長(和泉市水道事業管理規程(乙24)8条),職員⑥に対する支給行為については和泉市市立病院事務局総務課長(和泉市 0)12条2項,別表第2),職員⑤に対する支給行為については和泉市水道事業経営総務課長(和泉市水道事業管理規程(乙24)8条),職員⑥に対する支給行為については和泉市市立病院事務局総務課長(和泉市市立病院業務分掌規程(乙25)5条別表第3)にそれぞれ専決権限がある。 ⑹ 本件特別報酬の支給行為ア職員①から職員⑤までに対する給与の支給の専決権限者は,職員①から職員⑤までに対し,平成19年6月ころ及び同年12月ころ,別紙のとおり,平成19年度夏季特別報酬(総額8191万2540円)及び平成19年度年末特別報酬(総額9663万8767円)を支給した。 イ職員⑥に対する給与の支給の専決権限者は,職員⑥に対し,平成19年6月ころ及び同年12月ころ,別紙のとおり,平成19年度夏季特別報酬(総額1107万8923円)及び平成19年度年末特別報酬(総額1391万1445円)を支給した。 ⑺ 監査請求原告は,平成20年5月30日,和泉市監査委員に対し,本件職員らに対する平成19年度の特別報酬の支給につき,監査請求をしたところ,和泉市監査委員は,同年7月28日,原告の上記監査請求を棄却した(甲1)。 ⑻ 本件訴訟の提起原告は,平成20年8月13日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 ⑼ 本件改正条例等の制定及び施行平成21年3月25日,和泉市議会において本件改正条例が成立し,同条例は同年4月1日から施行された(乙14,21)。また,被告市長は,和泉市職員の給与に関する条例施行規則の一部を改正する規則(平成21年和泉市規則第12号。以下「本件改正規則」といい,本件改正規則による改正- 15 -後の和泉市職員の給与に関する条例施行規則を「新規則」という。乙17)を制定し,同日,公布した。本件改正規則は,同日施行された。 4 争 「本件改正規則」といい,本件改正規則による改正- 15 -後の和泉市職員の給与に関する条例施行規則を「新規則」という。乙17)を制定し,同日,公布した。本件改正規則は,同日施行された。 4 争点⑴ 職員①②に対する本件特別報酬の支給決定の適法性⑵ 職員③④に対する本件特別報酬の支給決定の適法性⑶ 職員⑤⑥に対する本件特別報酬の支給決定の適法性⑷ 職員①から④までに対する本件特別報酬の支給の違法性が本件改正条例によりさかのぼって治癒されたかどうか⑸ 地方公営企業の管理者に対し地自法243条の2第1項の適用があるかどうか⑹ 和泉市の損害の有無⑺ A及びBの故意又は過失の有無 5 争点に対する当事者の主張⑴ 職員①②に対する本件特別報酬の支給決定の適法性(争点⑴)【原告の主張】ア本件職員らが一般職か特別職かについて公務員の任用は,相手方の同意を要するものの,任命権者による行政行為の性質を有するものであるから,公務員がいかなる地位,身分を取得するかは,任命権者の任用行為の内容,すなわち任命権者が法の予定している任用類型のうちいずれを選択したかということによって定まるものである。そして,任命権者の上記意思は,辞令の記載により判断されるべきものであるが,これにより任用類型が必ずしも明らかではないときは職名やそれを規定する法令などを資料として解釈されるのであり,当該公務員の担っている職種,勤務条件などの実体のみによって任命権者の上記意思が確定されるものではない。 そうであるところ,和泉市の担当者が,議会の審議において,本件職員- 16 -らの非常勤職員への任用根拠として地公法3条3項3号であることを繰り返し答弁していること,本件職員らに対する辞令には,いずれも「和泉市○○非常勤嘱託員に委嘱する」 議において,本件職員- 16 -らの非常勤職員への任用根拠として地公法3条3項3号であることを繰り返し答弁していること,本件職員らに対する辞令には,いずれも「和泉市○○非常勤嘱託員に委嘱する」などと記載されており,この委嘱の文言は通常一般職員には用いられないものであること(一般職については通常「任命」と記載する。),嘱託員の文言は地公法の一般職の規定上は存在せず,同法3項3項3号にのみ使われていること,本件職員らの報酬については,従来から特別職報酬等審議会で審議されていること,和泉市非常勤職員の任用に関する要綱(甲4)には,非常勤職員の報酬及び費用弁償は特別職報酬条例によるとされていることからすれば,本件職員らはすべて特別職の非常勤職員であるというべきである。また,実質的に見ても,本件職員らはいずれも特別職として雇用するにふさわしい者である。 しかも,一般職で期限付きの任用をする場合は地公法22条5項に基づく臨時的任用職員となり,その任用期間は6月を超えない期間とされ,さらにその更新も6月とされ,再度の更新はできないにもかかわらず,和泉市非常勤職員の任用に関する要綱,和泉市学校給食非常勤嘱託調理員の任用に関する要綱,和泉市市立病院非常勤嘱託職員の任用に関する要綱等によれば,本件職員らの任用期間は1年とされ,必要と認めるときは更新するとされている。このような任用は特別職でなければできないはずである。 したがって,本件職員らはいずれも特別職である。 イ職員①②は地自法204条1項の常勤職員に当たらないこと常勤であるか非常勤であるかは,まずもって常勤・非常勤の通常の意味に従い,その生活の糧を専らその職から得ていることを予定しているか否かで判断すべきであり,勤務時間の大半をそれに費やしているかどうかで判断すべきである。 あるかは,まずもって常勤・非常勤の通常の意味に従い,その生活の糧を専らその職から得ていることを予定しているか否かで判断すべきであり,勤務時間の大半をそれに費やしているかどうかで判断すべきである。具体的には,常勤(週40時間)の4分の3以上,つまり,週30時間を超えない勤務に従事する職員は常勤の職員に該当しないというべきである(なお,現在の和泉市の常勤職員の勤務時間は週38. - 17 -75時間であるが,全国の都道府県はすべて週40時間であり,その他の市においてもこのような週38.75時間体制を取っている自治体は少数であるから,常勤か非常勤かを判断する際の常勤職員の勤務時間は週40時間と考えるべきである。)。 そうであるところ,本件職員らの週当たりの勤務時間はほぼすべて30時間を超えないのであるから,常勤職員とはいえない。 以上のことは,和泉市非常勤職員の任用に関する要綱4条及び和泉市学校給食非常勤嘱託調理員の任用に関する要綱4条には,非常勤職員に対する報酬及び費用弁償は特別職報酬条例によるとされ,さらに同条例1条が,同条例が地自法203条5項により特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償の額等について定めることを目的とする旨明示していることからも明らかである。 ウ職員①②に対する特別報酬の支給は給与条例主義違反であること地自法が非常勤職員には原則としてその勤務日数に応じた報酬を支給するものと規定した上(同法203条2項),報酬の額等は条例で定めなければならない(同条4項)と給与条例主義を原則としている理由は,職員に対して給与を権利として保障することと,給与の決定を,住民の代表である議会の条例制定を通じて民主的にコントロールすることにあり,給与の支給時期の調整のような技術的・細目的な事項について地方公共団体の長の定 与を権利として保障することと,給与の決定を,住民の代表である議会の条例制定を通じて民主的にコントロールすることにあり,給与の支給時期の調整のような技術的・細目的な事項について地方公共団体の長の定める規則に委任することは許されないものではないとしても,給与の種類,額,支給方法等の給与に関する基本的事項については,条例自体でこれを定める必要があると解するのが通説である。また,同条2項ただし書には「条例で特別の定をした場合は,この限りでない。」との規定があるが,これは,沿革上,被告が主張するような生活給的趣旨の支給を容認する趣旨で追加されたものではない。 そうであるところ,和泉市においては,非常勤職員について,特別職報- 18 -酬条例において,その報酬額は日額又は月額とするとしか規定しておらず,これは特別報酬の支給の決定の基準となる報酬についてすべて任命権者及び市長に委任するものであって,給与条例主義に反することは明らかである。また,同条例は報酬の支給方法は日額又は月額と定めているところ,仮に本件特別報酬が文字通りの報酬と解するとしても,年2回夏季及び期末に支給する方式は同条例で定められた支給方法に反するものであり,委任の範囲を超え違法となる。そればかりか,非常勤職員報酬等基準は,地自法15条所定の規則としての形式がとられておらず,同条所定の制定及び公布の手続を履践しておらず,同条の規則には該当しないのであるから特別職報酬条例自体にも違反するものである。 そうだとすれば,被告市長は,給与条例主義違反の特別職報酬条例に基づき,または,条例が適法だとしてもそれに違反して,本件職員らに対して特別報酬を支給していることになる。これは給与条例主義に反する違法な公金支出であり許されない。 他方,仮に職員①②につき旧給与条例が適用されるとして 適法だとしてもそれに違反して,本件職員らに対して特別報酬を支給していることになる。これは給与条例主義に反する違法な公金支出であり許されない。 他方,仮に職員①②につき旧給与条例が適用されるとしても,非常勤職員に対する報酬にはいわゆる生活給たる要素は含まれず,純粋に勤務の反対給付であるから,実質的な期末手当である本件特別報酬を支給することは違法である。このことは,昭和31年9月28日自丁行発第28号行政課長通知に照らしても明らかである。のみならず,旧給与条例12条1項は,給与は日額又は月額とする旨規定しており,同条2項では,1項の給与を除くほか他のいかなる給与も支給しないと規定されているのであるから,本件特別報酬の支給はこの条例の委任の範囲をも超えた違法な支出である。 【被告らの主張】ア本件職員らがいずれも一般職であること一般職とは,地公法上の勤務時間等の労働条件に関する事項や,特に給- 19 -与については生計費や民間労働者の給与等の事情を考慮して支給すべきこと(同法24条,25条,58条),福利厚生に関する事項(同法42条以下),職員団体に関する事項(同法52条以下),職務専念義務や政治的行為の制限・兼業の禁止・争議行為の禁止等の服務規律に関する事項(同法29条以下),勤務成績の評定に関する事項(同法40条)の規律等に服すべき職業的公務員を意味するのに対し,特別職は,その規定ぶりや一般職との比較からいって,臨時的な職に就いたり,自己の仕事を持ちつつ一定の事項について独自の専門性(ただし,一定の資格を保有しているからといって直ちに特別職に該当するというわけではない。)を活かして職務遂行するような職に就く公務員を意味するものということができる。 そうであるところ,本件職員らは,いずれも,その他の正規職員(一般職 って直ちに特別職に該当するというわけではない。)を活かして職務遂行するような職に就く公務員を意味するものということができる。 そうであるところ,本件職員らは,いずれも,その他の正規職員(一般職に属することにつき争いのない職員)が従事しているのと同様の職務を,正規職員に準じる時間遂行しており,正規職員と同様の服務規律にも服していること,また,その勤務時間の状況や兼業禁止等のため,市から支給される給与によって生計を立てている者であることなどからいって,地公法に規定するような規律等に服する職業的公務員であるといえ,一般職の公務員に該当する。 なお,原告は,本件職員らが一般職に該当するならば臨時的任用職員となるはずであるが,本件職員らはいずれも任用期間が1年とされ,更新もされているから,臨時的任用職員として扱われていない旨主張するが,一般に,地方自治体は,臨時的任用職員以外に必要に応じて一般職として一定の期限付きの任用を行い,それを更新することができるのであり(最判昭和38年4月2日・民集17巻3号435頁),本件職員らはこれに該当するものであるから,何らの問題もない。 イ職員①②は地自法204条1項の常勤職員に該当すること非常勤職員と常勤職員の区別については,地自法によってもその他の法- 20 -令によっても明らかでないから,それらの区別は,当該職員が地自法203条にいう「報酬」と同法204条にいう「給料」の差異の点から行うべきである。すなわち,「給料」は職務遂行・労働の対価というだけでなく,職員がこれに依存して生計を維持していくという生活給的要素を持っていることにかんがみ,生活給を支給されるべき立場の職員は「給料」を支給される常勤職員に該当すると解すべきである。 そうであるところ,職員①は,週当たりの勤務時間が30時 という生活給的要素を持っていることにかんがみ,生活給を支給されるべき立場の職員は「給料」を支給される常勤職員に該当すると解すべきである。 そうであるところ,職員①は,週当たりの勤務時間が30時間であり,常勤職員の勤務時間の勤務時間の4分の3を超える時間の勤務をしていること(人事院規則15-15によれば,国家公務員においては,常勤職員の週当たりの勤務時間の4分の3を超える勤務時間を勤務する職員は常勤職員として扱われている。),職員②は,週当たりの勤務時間は24時間であるが,月曜から土曜までの毎日,午前と午後の数時間ずつ勤務しており,自由な時間がかなり制約されていること,職員①②は,共に,常勤職員とほぼ同じ内容・態様の職務を遂行し,常勤職員と同様,兼業禁止その他の厳格な服務規律を受け,その生計を市から支給される金銭に依存している面があることなどにかんがみれば,地自法204条1項の常勤職員に該当すると解することもできる。 ウ職員①②に対する特別報酬の支給は給与条例主義に違反しないこと(ア) 前記イのようなとらえ方をすれば,旧給与条例12条は,地自法204条3項に基づいて定められたものと理解でき,これは職員①②にも適用される。 (イ) また,職員①②が地自法204条1項の常勤職員に該当しないとしても,次のようにいえる。 地自法203条は,非常勤職員に報酬を支給しなければならないと規定しており(同条1項),その勤務日数に応じて報酬を支給するものとしている(同条2項)が,条例で別段の定めをした場合はこの限りでは- 21 -ないと規定している(同項ただし書)。これは,非常勤職員に対して支給する報酬は,本来は生活給たる意味を有さず,純粋に勤務に対する反対給付としての性格を持つものであるという観点から,勤務量すなわち勤務日数に応じて いる(同項ただし書)。これは,非常勤職員に対して支給する報酬は,本来は生活給たる意味を有さず,純粋に勤務に対する反対給付としての性格を持つものであるという観点から,勤務量すなわち勤務日数に応じて支給されるのが原則とされるが,実際問題としては,非常勤職員の中にも勤務の実態が常勤職員とほとんど同様であるとか,生活給を支給するのと同様な対処をしていくのが妥当である者も多々存在し,原則を貫くのが困難であるため,純然たる勤務に対する反対給付にとどまらない報酬支給をすることを認め,勤務日数とは離れて月額制の報酬支給等をすることを認めているものである。したがって,地方自治体は,同項ただし書に基づき,非常勤職員に対し,勤務日数によらない生活保障的な要素を考慮した報酬を支給することもできるし,さらに,慣例上夏や冬の生活費等が増嵩する月には,そのことを考慮して増額した報酬額を支給することをしても,違法とまではいえないものである。 そうであるところ,旧給与条例12条は,非常勤職員の給与(これは「非常勤職員の報酬」と読むことになる。)の額は予算の範囲内において常勤職員の給与との均衡を考慮して任命権者が定めるものと規定している。これは,非常勤職員の報酬額等は,採用時における市の財政状況や人員の必要性等を考慮して決める必要があり,一律的・確定的な額を条例で定めるのが困難又は妥当でないことが多い上,特に職員①は早期退職勧奨制度により早期退職した元常勤職員で非常勤職員として再採用された者が半数近くを占めており,それらの者の報酬については退職時の給与額の状況や採用時の市の財政状況等に応じて調整する必要があること,上記(ア)で述べたところによれば,職員①②はいずれもその勤務実態が常勤職員と同様であり,生活給を支給するのと同様な対処をしていくのが妥当であることにか の財政状況等に応じて調整する必要があること,上記(ア)で述べたところによれば,職員①②はいずれもその勤務実態が常勤職員と同様であり,生活給を支給するのと同様な対処をしていくのが妥当であることにかんがみ,やむを得ず任命権者に報酬額等の決定を委任しているものであるから,先に述べた地自法203条2項ただ- 22 -し書の趣旨にも合致するものである。旧給与条例12条1項の文言上も,報酬を「月額」とすると規定するにとどまり,毎月固定額を支給しなければならないような規定ぶりにはなっていない。他方で,同条は,予算の範囲内かつ常勤職員の給与との均衡を考慮するという明確な基準を示しており,これにより市議会による民主的統制も維持確保できるように配慮している。 また,同条項は,予算の範囲内において常勤職員等の給与との権衡を考慮して任命権者が定めるとだけ規定しているが,これは,地方公共団体の非常勤職員が,国家公務員について規定した一般職の職員の給与に関する法律(以下「給与法」という。)22条2項所定の常勤を要しない職員と同様に,その職務内容・勤務態様等が多種多様で性質上一律的な規律になじまないだけでなく,一般職に属する常勤職員を中核とする人的体制を補完するものとしてその時々の行政需要や財政状態等に柔軟に対処するために制度として位置づけられている側面があり,これらの点において普通地方公共団体の常勤職員とは大きな差異があることによるものである。常勤職員と非常勤職員との間に制度上の差異があることは地方公務員においても国家公務員においても変わるところはなく,両者において異なる立法政策を採る実質的な理由はないし,むしろ地公法24条3項は,職員の給与は国家公務員の給与その他の事情を考慮して行わなければならないと規定し,地方公務員の給与については国家公務員のそ おいて異なる立法政策を採る実質的な理由はないし,むしろ地公法24条3項は,職員の給与は国家公務員の給与その他の事情を考慮して行わなければならないと規定し,地方公務員の給与については国家公務員のそれと同水準となるよう毎年国が指導するなど,国家公務員の給与に関する法令に準じて運用されていることにかんがみれば,地自法203条は,普通地方公共団体の非常勤職員に対する報酬については,給与法22条2項の規定に準じ,条例において報酬の額及び支給方法について基本的基準のみを定め,その具体的な決定を当該普通地方公共団体の長に委任することをも許容していると考えることができるのであり,旧- 23 -給与条例の上記定めが給与条例主義に違反することはない。このことは,総務省が,市の一般職の職員の給与に関する条例について「第24条の常勤を要しない職員…については任命権者は,常勤の職員との権衡を考慮して予算の範囲内で給与を支給する」との例規を示していることからも,是認できるところである。 そして,任命権者は,旧給与条例12条に基づき,非常勤職員報酬等基準及び再雇用職員報酬等基準を定め,これらに基づいて公平かつ適正に報酬等を支給している。特別報酬もその一環である。 したがって,任命権者が職員①②に対し上記基準に従って特別報酬を支給することは,旧給与条例12条に基づくものであり,何ら給与条例主義(地自法203条5項)に違反するものではないし,旧給与条例にも違反するものではない。 (ウ) なお,仮に職員①②がいずれも特別職の職員だとしても,特別職報酬条例2条3項は,旧給与条例12条とほぼ同内容であるので,いずれにしても,上記で述べた主張が当てはまるものである。 ⑵ 職員③④に対する本件特別報酬の支給決定の適法性(争点⑵)【原告の主張】ア企業法は, ,旧給与条例12条とほぼ同内容であるので,いずれにしても,上記で述べた主張が当てはまるものである。 ⑵ 職員③④に対する本件特別報酬の支給決定の適法性(争点⑵)【原告の主張】ア企業法は,一般職について適用される地公法の特例を定めたものであり,特別職である非常勤職員に企業法を適用する余地はない。また,単純労務職員についての規定(地公法57条)もまた,一般職に属する地方公務員を前提としているところ,本件職員らはいずれも特別職に当たるから,上記法律は適用されない。実質的にも,職員③④は,いずれもその大半の職員が国家資格である調理師資格を有しており,専門的技術者に該当するのであって,単純労務職員に該当しないことは明らかである。 そうすると,職員③④についても地自法203条5項及び特別職報酬条例が適用されることになるが,前述したとおり,本件特別報酬の支給行為- 24 -についても同条例が地自法203条5項に違反するのみならず,本件特別報酬の支給は特別職報酬条例自体にも違反するものであって,違法である。 イ仮に企業法の適用を受けるとしても,同法38条4項で,企業職員の給与の種類及び基準は,条例で定めるとされているところ,企業職員条例17条では,企業職員で職員以外のものについては,職員との均衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給するとしかされておらず,給与条例主義の要請を充足していないのであるから,上記規定自体が違法であり,したがって,本件特別報酬の支給はいずれにせよ違法である。 【被告らの主張】ア職員③④は,前記⑴【被告らの主張】アで述べたところに加え,地公法に定められている身分保障も与えられていること,年休,特別休暇等が付与され,厚生年金・健康保険等の保険にも加入することになっており,特別職には与えられない待遇が保障され で述べたところに加え,地公法に定められている身分保障も与えられていること,年休,特別休暇等が付与され,厚生年金・健康保険等の保険にも加入することになっており,特別職には与えられない待遇が保障されていることにかんがみれば,いずれも一般職であることは明らかである。 イまた,職員③④は,いずれも,学校栄養職員・栄養教諭の作成した献立に従い,学校給食会・学校栄養職員・栄養教諭の調達した食材を使い,和泉市教育委員会等が策定した手順に基づき,機械的に調理・片付け等を行う業務に従事するだけであり,技術者や監督者,生徒等に対する指導者などではないのであるから,単純労務職員である。たまたま和泉市が調理員について調理師資格を有する者を募集対象としているからといって,調理員が単純労務職員でなくなるものではない。 ウそうすると,職員③④の給与については企業法38条が準用されるところ,同条1項は,それらの職員の給与は給料及び手当とすると規定し,同条4項は,給与の種類及び基準は条例で定めるとのみ規定する。これは,地方公営企業等が民間企業と同様にサービスを提供しその対価を得る活動を営んでおり,そこに所属する企業職員も民間企業の労働者とできるだ- 25 -け同様に扱っていくのが相当であることから,企業職員の給与については,労働組合との団体交渉や,職員の生計費,民間企業の労働者の給与,当該地方公営企業の経営状況等を踏まえて,管理者が決定することが基本とされているからである。同法38条4項にいう条例について旧自治省によって示された準則である「企業職員の給与の種類及び基準に関する条例」においても,いわゆる常勤職員の給与の種類(給料,期末手当など)及び基準が示されるとともに,いわゆる常勤職員以外の職員について「企業職員で職員(いわゆる常勤職員)以外のものについ 基準に関する条例」においても,いわゆる常勤職員の給与の種類(給料,期末手当など)及び基準が示されるとともに,いわゆる常勤職員以外の職員について「企業職員で職員(いわゆる常勤職員)以外のものについては,職員の給与との権衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給する」との規定が示されているのも,これと同趣旨である。 エ和泉市においては,単純労務職員についての企業法38条4項に基づく条例として,旧給与条例附則6項によって同条例を準用している。そして,職員③は週6日・30時間,職員④は週5日・30時間の勤務であり,常勤職員たる調理員・給食調理員と全く同様の職務内容となっていることからすれば,これらの職員は地自法204条の「常勤の職員」に該当するものであり,旧給与条例12条は,地自法204条3項に基づいて定められたものと理解できるから,これに基づく本件特別報酬の支給は適法である。 オ仮に職員③④が「常勤の職員」に該当しないとしても,旧給与条例附則6項により準用される同条例12条は,任命権者が,常勤職員等との権衡を考慮しながら,予算の範囲内で給与を決定・支給することを規定している。企業職員の給与は,あくまで任命権者が決定するものであり,条例には給与の種類と基準のみが規定されれば足りること,非常勤職員の職務が多様であり,その時々の行政需要や財政事情等に対応すべき一般的必要性があることからすれば,上記の規定の内容で十分である。なお,上記における「給与」については,企業法38条3項及び旧給与条例3条にかんが- 26 -み,任命権者が,期末手当を含む諸手当の中から適切な手当を選択・支給することになる。 カそして,上記条例の規定を受けて,被告市長は,職員③④に関し,旧給与条例12条に基づく非常勤職員報酬等基準及び学校給食非常勤嘱託調理員の報酬 当の中から適切な手当を選択・支給することになる。 カそして,上記条例の規定を受けて,被告市長は,職員③④に関し,旧給与条例12条に基づく非常勤職員報酬等基準及び学校給食非常勤嘱託調理員の報酬及び費用弁償取扱基準により,期末手当に相当する額の特別報酬を支給している。 以上の各種取扱基準とそれに基づく特別報酬の決定・支給は,企業法38条3項に規定されているとおり,職員③④の勤務時間・勤務内容・実情等がいわゆる常勤職員と同様のものである状況を考慮したものである。 キしたがって,職員③④に対する本件特別報酬の支給決定も適法である。 ⑶ 職員⑤⑥に対する本件特別報酬の支給決定の適法性(争点⑶)【原告の主張】ア企業法は,一般職について適用される地公法の特例を定めたものであり,特別職である非常勤職員に企業法を適法する余地はない。また,単純労務職員についての規定(地公法57条)もまた,一般職に属する地方公務員を前提としているところ,職員⑤⑥はいずれも特別職にあたるから,上記法律は適用されない。 そうすると,職員⑤⑥についても地自法203条5項及び特別職報酬条例が適用されることになるが,前述したとおり,本件特別報酬の支給行為についても同条例が地自法203条5項に違反するのみならず,本件特別報酬の支給は特別職報酬条例自体にも違反するものであって,違法である。 イ仮に企業法の適用を受けるとしても,同法38条4項で,企業職員の給与の種類及び基準は,条例で定めるとされているところ,企業職員条例17条では,企業職員で職員以外の者については,職員との権衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給するとしかされておらず,給与条例主義の要請を充足していないのであるから,上記規定自体が違法であり,したがって,- 27 -本件特別報酬の支給はいずれにせ の権衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給するとしかされておらず,給与条例主義の要請を充足していないのであるから,上記規定自体が違法であり,したがって,- 27 -本件特別報酬の支給はいずれにせよ違法である。 【被告らの主張】ア職員⑤⑥は,前記⑴【被告らの主張】アで述べたところに加え,地公法が定める身分保障も与えられていること,年休,特別休暇等が付与され,厚生年金・健康保険等の保険にも加入することになっており,特別職には与えられない待遇が保障されていることにかんがみれば,いずれも一般職であることは明らかである。 イ職員⑤は,地方公営企業の職員であり,その給与については企業法38条が適用される(企業法2条1項1号,和泉市水道事業の設置等に関する条例)。また,職員⑥は,和泉市では市立病院について企業法の規定を全部適用することとしているので(和泉市病院事業の設置等に関する条例2条の2),企業職員として,その給与については企業法38条が適用される。 そうであるところ,同条1項は,それらの職員の給与は給料及び手当とすると規定し,同条4項は,給与の種類及び基準は条例で定めるとのみ規定する。これは,地方公営企業等が民間企業と同様にサービスを提供しその対価を得る活動を営んでおり,そこに所属する企業職員も民間企業の労働者とできるだけ同様に扱っていくのが相当であることから,企業職員の給与については,労働組合との団体交渉や,職員の生計費,民間企業の労働者の給与,当該地方公営企業の経営状況等を踏まえて,管理者が決定することが基本とされているからである。同項にいう条例について旧自治省によって示された準則である「企業職員の給与の種類及び基準に関する条例」においても,いわゆる常勤職員の給与の種類(給料,期末手当など)及び基準が示されるとともに,い 。同項にいう条例について旧自治省によって示された準則である「企業職員の給与の種類及び基準に関する条例」においても,いわゆる常勤職員の給与の種類(給料,期末手当など)及び基準が示されるとともに,いわゆる常勤職員以外の職員について「企業職員で職員(いわゆる常勤職員)以外のものについては,職員の給与との権衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給する」との規定が示されてい- 28 -るのもこれと同趣旨である。 和泉市においては,同項に基づき,企業職員条例を制定しているところ,同条例2条1項は,常時勤務の職員を「職員」とし,その「職員」であって6月1日及び12月1日に在職するものに対し,同日以前の6か月間の在職期間や勤務成績に応じて期末手当及び勤勉手当を支給することができると定めている。職員⑤⑥は,いずれも勤務時間・勤務内容・実情等がいわゆる常勤職員と同様のものであるから,これによって期末手当等の支給がされているといえる。 他方,職員⑤⑥が常勤職員に該当しないとしても,同条例17条は,管理者が,常勤職員との権衡を考慮しながら,予算の範囲内で給与を決定・支給することを規定しているところ,被告市長は,職員⑤の勤務時間・勤務内容・実情等がいわゆる常勤職員と同様のものである状況を考慮して,同条例17条並びにこれに基づく再雇用職員報酬等基準によって,期末手当に相当する特別報酬を決定・支給している。また,被告管理者は,職員⑥の勤務時間・勤務内容・実情等がいわゆる常勤職員と同様のものである状況を考慮して同条例17条に基づき,「和泉市立病院嘱託職員制度」,「非常勤嘱託員(医療技術員)の報酬及び費用弁償取扱基準」,「非常勤嘱託員(社会福祉士)の報酬及び費用弁償取扱基準」,「非常勤嘱託員(看護助手・社会福祉主事)の報酬及び費用弁償取扱基準」と題する各種 「非常勤嘱託員(医療技術員)の報酬及び費用弁償取扱基準」,「非常勤嘱託員(社会福祉士)の報酬及び費用弁償取扱基準」,「非常勤嘱託員(看護助手・社会福祉主事)の報酬及び費用弁償取扱基準」と題する各種取扱基準を定め,これらに基づき,職員⑥に対して期末手当を決定・支給している(なお,和泉市では,和泉市病院事業の設置等に関する条例2条の2により病院事業について企業法の全部適用をしているため,職員⑥の給与については同法38条4項及び企業職員条例が適用される。)。 ウしたがって,職員⑤⑥に対する本件特別報酬の支給決定も適法である。 - 29 -⑷ 職員①から④までに対する本件特別報酬の支給の違法性が本件改正条例によりさかのぼって治癒されたかどうか(争点⑷)【被告らの主張】ア新給与条例は,週38時間45分勤務するいわゆる常勤職員よりも勤務時間の短い職員について,一般非常勤職員,市等退職非常勤職員などと称することとし,これを平成20年法律第69号による改正後の地方自治法(以下「新地自法」という。)203条の2の非常勤の職員に位置づける観点から,同条1項及び3項に基づき報酬(と費用弁償)のみを支給することとし,ただし,和泉市におけるそれらの非常勤職員は常勤職員に準ずる勤務時間を勤務したり,常勤職員に準ずる職務に就いていることなどから,単に勤務日数に基づいて報酬支給するのは相当でないことを考慮し,同条2項ただし書に基づき月額報酬等も支給することができるとして,その支給額等について規定した。また,新給与条例は,報酬の支給額について報酬表をもって定めることにしつつ,各非常勤職員に適用される号給は施行規則で定めることとし,さらに,職種・勤務日数・職務内容等の条件に応じて規則で定める率を乗じて調整することとしたものである(同条例12条2項 て定めることにしつつ,各非常勤職員に適用される号給は施行規則で定めることとし,さらに,職種・勤務日数・職務内容等の条件に応じて規則で定める率を乗じて調整することとしたものである(同条例12条2項,12条の2)。なお,施行規則についても平成21年4月1日付けで改正された(本件改正規則)。 なお,上記のとおり新給与条例が規則に委任したとしても,何ら白紙委任と評されるものではなく,給与条例主義に違反するものではない。このことは,同条例が報酬の根本的な金額については報酬表をもって明らかにしていること,非常勤職員の職務や経歴の多様性,その時々の行政需要に対応する必要性,財政事情等による変動の大きさなどにかんがみ,各非常勤職員への報酬表の適用号給や職種等による支給額の調整については規則に委ねて,その機動的で柔軟な対応を確保する必要があること,下位規範への委任は,問題解決方法の指示が委任規定自体に認められている必要は- 30 -なく,法令全体の趣旨,文言などから導き出されることができれば足りると解されているところ(最判昭和49年11月6日・刑集28巻9号393頁の最判解説245頁参照),新地自法203条の2第2項ただし書の趣旨は,非常勤職員が常勤職員に準ずる勤務時間や職務等に従事しているような場合に,単なる勤務日数に基づく報酬ではなく,常勤職員との均衡を図った妥当な報酬を支給することができるとした点にあり,新給与条例及びこれに基づく本件改正規則は,この趣旨に沿い,非常勤職員の多様性を踏まえて報酬表の適用号給や職種等に応じた調整率を規定しているものであること,継続的に雇用されている非常勤職員の報酬表の適用号給については勤務成績に応じたものとすべきことを明示していること,給与法22条2項の規定ぶり,公務員の給与関係についてはあくまで公務員組織 であること,継続的に雇用されている非常勤職員の報酬表の適用号給については勤務成績に応じたものとすべきことを明示していること,給与法22条2項の規定ぶり,公務員の給与関係についてはあくまで公務員組織の内部的関係であり,公権力と一般国民との関係とは異なるものであり,下位規範への委任の問題についても柔軟に考える余地があること,以上の点から明らかである。また,このような規定の仕方は,常勤職員に関するそれと同様である。 イそして,新給与条例は,非常勤職員に対する従前の報酬支給に関して給与条例主義のより一層の徹底を図る観点から,その附則3項に,新給与条例施行前に非常勤職員に対して支給された報酬等の一切は新給与条例に基づいて支給された報酬等とみなすことを規定した。 ウしたがって,本件職員らに対する報酬支給は,新給与条例が制定されるまでもなく適法であるが,仮にこれが違法であったとしても,新給与条例が制定されることによりさかのぼって適法な支給となったものである。 エ新給与条例は,職員①②に適用されるほか,新給与条例附則6項により,単純労務職員である職員③④にも準用される。この場合,単純労務職員に対しては給料及び手当を支給することができるので(地方公営企業等の労働関係に関する法律附則5項,企業法38条),新給与条例における「報- 31 -酬」は「給料」と,「費用弁償」は「通勤手当」と,それぞれ読み替えることになるが,いずれにしても本件職員らに対する特別報酬支給は適法であるし,仮に違法であったとしてもさかのぼって適法となったことは明らかである。 【原告の主張】ア旧給与条例及び新給与条例はいずれも一般職について定めたものであるところ,既に述べたとおり,本件職員らはいずれも地公法3条3項3号に規定する特別職であり,適用される条例は特別職報 原告の主張】ア旧給与条例及び新給与条例はいずれも一般職について定めたものであるところ,既に述べたとおり,本件職員らはいずれも地公法3条3項3号に規定する特別職であり,適用される条例は特別職報酬等条例であるから,本件改正条例は本件に何らの影響を及ぼさない。 イまた,仮に職員①から④までが一般職とみなされたとしても,給与条例主義上,給与の支給時期の調整のような技術的,細目的事項について地方公共団体の長の定める規則に委任することは許されないものではないとしても,給与の種類,額,支給方法等の給与に関する基本的事項については,条例自体でこれを定める必要がある。 そうであるところ,新給与条例においては,各号給に対する報酬額を定めるのみで,いかなる職種がどの号給に対応するか,さらには,職種によって報酬を調整する率等はすべて規則に委任しているのであり(同条例12条1項,2項,12条の2第1項,2項),このような規定では,職員①から④までについてその報酬を定めることはもとより,どの程度の報酬が支給されるかの目安すらつかない。そうすると,新給与条例によれば,議会の影響が及ばない規則において職員①から④までの報酬をいかようにも決定できるといえ,条例において単に給与の支給根拠のみを定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて普通地方公共団体の長又は規則に委任するものであり違法である。 ウ条例や法律は未来に対して法律的効果を発揮するもので,過去の事件については何ら影響を及ぼさないのが原則であり(最判昭和27年1月25- 32 -日・民集6巻1号22頁),ただ,民事訴訟においては,国民に不利益を与えたり,既得の権利利益を侵害するなど国民の権利義務を侵害しない範囲で,かつ,公共の福祉を実現するなど遡及適用を認めるに当たって特段 民集6巻1号22頁),ただ,民事訴訟においては,国民に不利益を与えたり,既得の権利利益を侵害するなど国民の権利義務を侵害しない範囲で,かつ,公共の福祉を実現するなど遡及適用を認めるに当たって特段の合理的理由がある場合に限り,遡及適用の余地があるが,そのような例外的な措置を有効とするには,その適用期間を含め明確に定める必要がある。また,遡及適用は法治主義の原則の例外をなすものであるから,無制約に適用され得るものではなく,例えば無効な行為には適用できないというべきである。 本件改正条例附則3項は遡及適用を規定しているようにもみえるが,本件改正条例には特別報酬に関しこれを適法化する何らの定めもなく,遡及適用についても何ら定めはない。また,同附則4項によれば,旧給与条例に基づいて支給した給与の総額が新条例に基づき算定した額と異なる場合でも差額の調整はしない旨規定しており,旧給与条例に基づいて支給された本件特別報酬の額に対して何らの影響も与えないはずであるから,同附則3項の経過措置は遡及適用を明確に定めたものとはいえない。本件改正条例の議会審議においても,専ら非常勤職員の報酬の条例化と報酬の経験加算等についての審議が主であり,同条例が遡及適用により過去の特別報酬の支給の違法性を治癒する趣旨を含むものであるとの審議は,提案理由の説明を含め一切されていない。また,仮に同項が遡及適用を定めたものであるとしても,本件改正条例によって本件特別報酬の違法性が治癒するとなると,市長に対する損害賠償請求権が消滅し,結果的に市に損害を与え,ひいては市民に対し不利益を与えることにあるから,本件では公共の福祉の実現に何ら寄与することはなく,上記特段の合理的理由があるとはいえない。さらに,そもそも,本件特別報酬の支出が給与条例主義に違反しておこなわれ 対し不利益を与えることにあるから,本件では公共の福祉の実現に何ら寄与することはなく,上記特段の合理的理由があるとはいえない。さらに,そもそも,本件特別報酬の支出が給与条例主義に違反しておこなわれた瑕疵は重大かつ明白であり,無効と解すべきであるから,遡及適用は許されない。 - 33 -のみならず,新給与条例及び本件改正規則は,本件訴訟で争われている特別報酬制度を廃止する一方,特別報酬の1年分の額を12分し,それを各月に上乗せして報酬を定め,過去に年2回支給された特別報酬については,上記上乗せ後の毎月の報酬の一部とみなすというものであるところ,趣旨や支給方法が異なる普通報酬と特別報酬をこのように同一のものとみなすことは違法な特別報酬の支給をした事実を没却するものである。このような遡及適用が許されると,たとえ地方公共団体の長が当該地方公共団体との関係で不法行為をしたとしても,はるか後になって条例等を改正することによりすべて遡及的に適法とし,当該地方公共団体に対する損害賠償責任を免れることができるのであり,これは権力者のお手盛りによる自己免責にほかならず,正義の観念に照らして許されない。 エしたがって,新給与条例は以上のとおり違法無効である上,仮にこれが適法であったとしても,同条例附則に基づく遡及適用は許されないから,新給与条例により職員①から④までに対する特別報酬の支給がさかのぼって適法になったということはできない。 ⑸ 地方公営企業の管理者に対し地自法243条の2第1項の適用があるかどうか(争点⑸)【被告管理者の主張】病院事業管理者は,病院事業に関し市を代表する立場にあるとはいうものの,市長から任命され(企業法7条の2第1項),市長から必要な指示を受け(同法16条),予算調整,決算審査,市議会への議案提出等の重要 院事業管理者は,病院事業に関し市を代表する立場にあるとはいうものの,市長から任命され(企業法7条の2第1項),市長から必要な指示を受け(同法16条),予算調整,決算審査,市議会への議案提出等の重要な権限は市長に留保され(同法8条),また,一般職員と同様な分限免職制度の適用を受けるとともに(同法7条の2第7項),一般職員と全く同様な服務規律を受け懲戒処分制度の適用も受けるなど(同条8項,10項),その職務遂行における実際的状況は一般職員とパラレルに捉えられるものであることなどからして,病院事業管理者にも地自法243条の2第1項の適用があ- 34 -ると解すべきである。したがって,病院事業管理者は,故意又は重過失がある場合に限り,損害賠償責任を負うというべきである。 なお,本件では,本件特別報酬の支給はいずれも病院事業管理者とは別の専決権限者によって行われているため,Bの故意又は重過失は,当該専決権限者に対する指揮監督についてあることが必要となる。 【原告の主張】地方公営企業の管理者は,地方公営企業の業務の執行に関し,当該地方公共団体を代表するものであり,種々の財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている(企業法8条,9条)。また,同法34条は,地自法243条の2の規定を地方公営企業に従事する職員の賠償責任について準用しているが,その中で,地自法243条の2の規定における「普通地方公共団体の長」を「管理者」と読み替える旨規定している。これらによれば,地方公営企業の管理者は,地方公営企業の業務の執行に関しては,普通地方公共団体における長と同視すべき地位にあると認められる。 そうであるところ,地方公共団体の長については,その職責にかんがみ,同条の職員には含まれないと解されていることからすれ ては,普通地方公共団体における長と同視すべき地位にあると認められる。 そうであるところ,地方公共団体の長については,その職責にかんがみ,同条の職員には含まれないと解されていることからすれば,同条を準用する企業法34条の適用においては,地方公営企業の管理者もまた,その職責にかんがみ,地自法243条の2第1項の賠償責任の対象としての職員には含まれないものと解すべきである。 ⑹ 和泉市の損害の有無(争点⑹)【原告の主張】ア主位的請求についてこれまで述べたとおり,本件職員らに対する本件特別報酬の支給は,いずれも,給与条例主義又は旧給与条例自体若しくは特別職報酬条例自体に違反して違法であるから,和泉市には本件特別報酬の合計額相当額の損害が生じている。 - 35 -また,民法上,金銭を違法に流出させたときは,被害者がその金員により不当に利得したものに対し不当利得返還請求権を有する場合でも,違法流出者に対し流出額について賠償を求めることができると解され,最高裁判決においても,被害者が同時に他の者に別の債権を有し,その債権が回収できれば損害は存しなくなる事例において,別の債権の存することは加害者の損害賠償義務を免れさせるものではないとしているところである。 そうだとすれば,本件において,仮に市が本件職員らに対し不当利得返還請求権を有していたとしても,そのことは,被告市長及び被告管理者に対し損害賠償請求をすることを求めることにつき何ら障害にならない。 イ予備的請求についてまた,仮に本件改正条例及び本件改正規則の各施行により,本件特別報酬の支給が適法になったとしても,遡及適用は許されず,本件改正条例等の施行後についてのみ有効となるものであり,それまでに支給された特別報酬の違法性には変わりはないから,特 の各施行により,本件特別報酬の支給が適法になったとしても,遡及適用は許されず,本件改正条例等の施行後についてのみ有効となるものであり,それまでに支給された特別報酬の違法性には変わりはないから,特別報酬の支給から本件改正条例等の施行時までの本件特別報酬の合計額相当額に対する法定利息分に相当する損害が発生しているはずである。 【被告らの主張】ア主位的請求についてこれまで述べたとおり,本件職員らに対する特別報酬の支給は何ら違法ではなく,また,職員①から④までについては,仮に違法だとしても,本件改正条例及び本件改正規則の施行によってさかのぼって適法になったのであるから,いずれにせよ和泉市には損害は生じていない。 仮に本件職員らに対する特別報酬の支給が違法・無効であったとしても,和泉市は本件職員らに対し支出相当額の不当利得返還請求権を有するのであるから(なお,報酬は職員の生活費に使用されているものであり,職員の利得は現存する。),和泉市に損害はないものである。 - 36 -また,仮に,本件職員らに対する給与支給が違法であるとするならば,和泉市は本件職員らに対し支給済みの給与相当額の返還を求めることになるが,本件職員らは,和泉市のために現実に職務を遂行したのであるから,その代償を受けるべき地位にある。そして,本件改正条例附則3項及び4項により,本件改正条例の規定が同条例施行前に支給された特別報酬にも遡及適用されるのであるから,和泉市はこれに基づいて,支給済みの給与相当額と同様の給与を支給しなければならないことになる。 以上のようにみると,結局,本件職員らに対する給与の支給が仮に違法であったとしても,和泉市には何らの損害・損失は生じていないということになる。 イ予備的請求について前記⑷のとおり,仮に本件特別報 うにみると,結局,本件職員らに対する給与の支給が仮に違法であったとしても,和泉市には何らの損害・損失は生じていないということになる。 イ予備的請求について前記⑷のとおり,仮に本件特別報酬の支給が違法であったとしても,その違法は,本件改正条例等の施行によってさかのぼって適法になったものである。原告は,遡及適用が認められないなどと主張するが,本件改正条例附則において遡及適用を明確に規定していることに加え,本件訴訟が提起され審理が進められていることを受けて本件改正条例案が市議会に上程されたという経緯にかんがみても,遡及適用が認められることは明らかである。 したがって,和泉市には損害は何ら発生していない。 ⑺ A及びBの故意又は過失の有無(争点⑺)【原告の主張】ア被告市長及び被告管理者は,権限を委任し又は専決させた職員について違法な財務会計上の行為を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務を負っていると解され(最判平成3年12月20日・民集45巻9号1455頁参照),被告市長らが上記指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により同職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときは,自- 37 -らも財務会計上の違法行為を行ったものとして,市が被った損害についての賠償責任を負うというべきである。 イ地自法上,非常勤職員には手当(本件では特別報酬)を支給できないこと,地方公務員の給料等の勤務条件について給与条例主義がとられていることは,法令及び条例の文言上明らかであるところ,和泉市長であったA及び和泉市病院事業管理者であったBは,それらについて当然知っていなければならない。仮に知らなかったとしても,A及びBは,決裁に当たり,その法令上の根拠について常に関心を払うべきことは当然であるから,本件特別報酬の決裁を であったBは,それらについて当然知っていなければならない。仮に知らなかったとしても,A及びBは,決裁に当たり,その法令上の根拠について常に関心を払うべきことは当然であるから,本件特別報酬の決裁をするに当たって,その法令上の根拠を確認すれば,本件職員らに対しては手当(特別報酬)を支給することはできないこと,また,旧給与条例上,非常勤職員の給与に関する明示の規定を欠いており,非常勤職員の給与について適用されるべき条例が存在しないことを容易に知ることができたといえ,本件特別報酬の支出を阻止することができたというべきである。加えて,本件においては,平成18年12月定例会の一般質問(A及びBも出席していた。)において,市議会議員から,本件特別報酬が違法の可能性がある旨指摘していたにもかかわらず,A及びBは,それ以後何らの対応もとらずに本件特別報酬の支給を阻止しなかったのであるから,両名に監督義務違反の過失(Bについては重過失)があることは明白である。 ウなお,確かに,本件特別報酬の支給当時,近隣自治体で報酬の具体額を条例に直接規定する団体はなかったものの,多くはその上限を定めていたのに対し,和泉市においては報酬等についてその一切を任命権者に委任するもので,給与条例主義に反する程度はより重いといえ,そうである以上,他の複数の自治体が同様の定めをしていたからといって両名の過失が否定されるわけではない。かえって,本件では,昭和27年から昭和54年にかけて,地方公務員の給与の適正化に関し,当時の自治省公務員部長等か- 38 -ら3つの通知が発出されていたこと,本件訴訟に先立ち,平成17年に大阪府の自治体において本件と類似の訴訟が複数提起されていたこと,労働団体においても非常勤職員に対する手当の支給が問題視されていたことにかんがみれば, されていたこと,本件訴訟に先立ち,平成17年に大阪府の自治体において本件と類似の訴訟が複数提起されていたこと,労働団体においても非常勤職員に対する手当の支給が問題視されていたことにかんがみれば,本件特別報酬が違法であるか,又は極めて問題の多い支給であることが容易に判断できたはずである。 エ上記のような事情があり,非常勤職員に対する報酬の細目を条例及び規則で定めることに関し何らの困難もなかったにもかかわらず,A及びBは,漫然と本件特別報酬の支給の継続を阻止しなかったのであるから,両名には過失(Bについては重過失)が認められることは明らかである。 【被告らの主張】ア A及びBについては,それぞれ,和泉市長及び和泉市病院事業管理者としての各部署の長に対する監督義務違反の有無が問題となり得るが,これについては,これまで述べたとおり,各部署の長の専決による支出命令はいずれも適法であることから,監督義務違反は問題とならないものである。 イまた,仮に本件特別報酬の支給が違法と評価されたとしても,本件職員らと地自法203条,204条との関係などについては,これらの規定の曖昧さ,この問題に対する確たる最高裁判例や国の通達等が存在しないこと,非常勤職員の給与に関する条例の準則として「一般職の職員の給与に関する条例(市の事例)」(乙13)及び「企業職員の報酬及び費用弁償に関する条例(案)」(乙4)が示されており,和泉市の条例はこれに準拠していること,国家公務員たる非常勤職員の給与については,給与法22条2項が和泉市等の条例と同様な規定ぶりをしていること,本件職員らは現実に勤務し,給与を受けて生活しており,適切な処遇を施すべき必要があることなどの状況の中で,大阪府や大阪府下の市町村でも,従来から和泉市と同様に,非常勤職員について詳細な報酬基準等 ,本件職員らは現実に勤務し,給与を受けて生活しており,適切な処遇を施すべき必要があることなどの状況の中で,大阪府や大阪府下の市町村でも,従来から和泉市と同様に,非常勤職員について詳細な報酬基準等を定める条例を置くところはなく,和泉市と同様な報酬支払の取扱いがされてきている実情- 39 -があったことなどからしても,少なくともA及びBにおいて,監督義務違反の過失があったとは到底評価できない。 第3 当裁判所の判断 1 本件職員らが一般職か特別職かについて⑴ 問題の所在本件では,本件特別報酬の支給行為がいわゆる給与条例主義(地自法203条,204条)に違反するかどうかが争われているところ,前記法令等の定めのとおり,和泉市においては,特別職報酬条例1条が,特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償の額等について定めることを目的とすると規定する一方,旧給与条例及び新給与条例は,いずれも,一般職の職員の給与に関する事項を定めることを目的とすると規定しているため,本件職員らが特別職の職員(地自法3条3項)に該当するか,一般職(同条2項)に該当するかによって,地自法に違反するかどうかの判断の基礎となるべき条例が異なることとなる。 ⑵ 特別職の類型についてそこで本件職員らが特別職の職員に該当するかどうか検討すると,地公法は,3条3項において,特別職として1号から6号まで9種類の職を列挙し,同条2項において,これら特別職に属する職以外の一切の職をすべて一般職と規定していることに照らせば,同条3項は,特別職を上記9種類の職に限定した趣旨の規定であると解するのが相当である。 そうであるところ,前記前提となる事実等記載のとおり,本件職員らの職種は,市庁舎等に勤務する職員,保育士,調理員及び企業職員であるから,「臨時又は非常 た趣旨の規定であると解するのが相当である。 そうであるところ,前記前提となる事実等記載のとおり,本件職員らの職種は,市庁舎等に勤務する職員,保育士,調理員及び企業職員であるから,「臨時又は非常勤の顧問,参与,調査員,嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職」(同項3号)に該当しない限り,特別職には該当しないことになる。 ⑶ 地公法3条3項3号該当性そこで,本件職員らの職が同号の職に該当するかどうか検討すると,同号- 40 -が「臨時又は非常勤の顧問,参与,調査員,嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職」を一般職ではなく特別職として分類した趣旨は,生活を維持するために常時公務に就くのではなく,特定の必要に応じ,一定の学識,技能又は経験等に基づいて,随時,地方公共団体の業務に参画する者については,職階制(同法23条)や成績主義(同法40条)など,同法の定める他の一般的規定を適用することにつき不都合があると考えられた点にあると解される。そして,同法3条3項3号がそうした顧問,参与,調査員等の職務の性質に基づいて特別職かどうかを定めていることにかんがみれば,ある職員が同号の特別職に該当するかどうかは,任命権者の意思や辞令等の表示に加えて,客観的な職務の内容・性質,勤務態様や勤務条件等を総合的に考慮して判断すべきである。 そうであるところ,前記前提となる事実等に加え,証拠(甲2から4まで,19,20,22,23,25)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件職員らは,職員④を除き,いずれも「委嘱する」との文言が付された辞令によって任用され,任期が1年と定められていること,和泉市議会において,和泉市の幹部が,本件職員らの任用根拠がいずれも同号によるものであることを複数回答弁していること,和泉市非常勤職員の任用に関する要綱4条,和泉市学校給食非常 定められていること,和泉市議会において,和泉市の幹部が,本件職員らの任用根拠がいずれも同号によるものであることを複数回答弁していること,和泉市非常勤職員の任用に関する要綱4条,和泉市学校給食非常勤嘱託調理員の任用に関する要綱4条には,いずれも,非常勤職員に対する報酬及び費用弁償については特別職報酬条例2条3項及び旧給与条例12条に規定する範囲内で別に定めるところにより支給する旨規定されていることがそれぞれ認められ,これら辞令上の記載や議会における答弁内容に照らせば,和泉市の担当者は本件職員らがいずれも特別職に当たるものと認識していた可能性があるといえる。 しかしながら,前記前提となる事実等に加え,証拠(甲4,19,20,22,乙18)及び弁論の全趣旨によれば,本件職員らは,①市庁舎内の部署等に勤務する職員,②パート保育士,③市立保育園の調理員,④市立小・- 41 -中学校の給食調理員,⑤上下水道部に勤務する職員及び⑥市立病院に勤務する事務職員・看護師・看護助手・薬剤師・社会福祉士・社会福祉主事であり,それぞれ1週間当たり4日から6日出勤し,いずれもその他の常勤職員と同様の勤務をしていること,本件職員らに対しては,いずれも,職務専念義務,秘密保持義務,信用失墜行為の禁止等の制約が課され,かつ,任命権者は,勤務成績によって本件職員らを免職とすることができることが認められる。 このような本件職員らの勤務態様や勤務条件に照らせば,本件職員らは,いずれも,勤務担当部署の他の一般職の常勤職員らとほぼ同等の勤務環境において,上司の指示を受けて同様の職務に服していることがうかがわれるのであって,本件職員らの職務が,客観的にみて,勤務担当部署の他の一般職の常勤職員と比較して,一定の学識,技能又は経験等が必要であり,職階制(同法23条)や成績 の職務に服していることがうかがわれるのであって,本件職員らの職務が,客観的にみて,勤務担当部署の他の一般職の常勤職員と比較して,一定の学識,技能又は経験等が必要であり,職階制(同法23条)や成績主義(同法40条)等の同法の定める他の一般的規定を適用することにつき不都合があるような性質のものであると直ちに評価することは困難というべきである。 そして,本件における原告の監査請求に対する対象部局の説明(甲1)から本訴に至るまで,被告らにおいて本件職員らが一般職に該当すると説明し,上記時点においては任命権者においてもそのように認識していると認められることも併せ考えれば,本件職員らが同法3条3項3号の特別職の職員に該当するとの評価を基礎づける具体的事実についてこれ以上の主張立証を欠く本件においては,本件職員らが特別職に該当すると認めることはできない。 ⑷ 結論以上より,本件職員らはいずれも特別職に該当するとは認められないから,本件職員らに対しては,特別職報酬条例の適用はないというべきである。 したがって,以下では,本件職員らの種類ごとに,適用されるべき条例及び給与条例主義違反の有無等を検討することとする。 - 42 - 2 職員①②に対する本件特別報酬の支給の適法性について(争点⑴)⑴ 職員①②が「常勤の職員」に該当するか否かア前記法令等の定めのとおり,地自法は,「非常勤の職員」(同法203条1項)と「常勤の職員」(同法204条1項)をそれぞれ規定し,地公法も,「非常勤職員」(同法25条3項5号,26条の2第1項等)と規定して,地方公共団体の職員を常勤職員及び非常勤職員に区別するものの,その分類基準は一義的に明らかとはいえない。 もっとも,地自法は,普通地方公共団体の常勤の職員と非常勤の職員とで異なる給与体系を規定し, 方公共団体の職員を常勤職員及び非常勤職員に区別するものの,その分類基準は一義的に明らかとはいえない。 もっとも,地自法は,普通地方公共団体の常勤の職員と非常勤の職員とで異なる給与体系を規定し,非常勤の職員については,議会の議員を除き,報酬及び費用弁償のみを支給するものとし,報酬についてはその勤務日数に応じて支給するのを原則とし,他方,常勤の職員については,給料及び旅費並びに法定の各種手当を支給するものとしている。その趣旨については,そもそも給与は勤務に対する反対給付としての性格を有するものであるが,非常勤の職員については,その勤務の態様からして,その給与が生活給的意味を有せず,勤務に対する純然たる反対給付としての性格のみを有するものということができるから,常勤の職員の給与については,我が国の生活習慣上,盛夏及び年末に生活費が一時的に増嵩することを考慮して支給される生活給である期末手当や生活保障的性格をも有する退職手当等の各種手当を支給すべきものとし,非常勤の職員の給与については,勤務に対する反対給付として,原則としてその勤務量,具体的には勤務日数に応じた対価及び費用弁償のみを支給すれば足りることとしたものであると解される。そうであるとすれば,地自法204条1項にいう常勤の職員とは,その勤務の態様に照らして当該勤務が当該職員及びその家族の生計を支えるいわゆる生活の糧を得るための主要な手段と評価し得るような職務に従事する職員をいい,そのような職員に該当するかどうかについては,当該職員の任用形式のみならずその職務の内容及び性質等をも勘案し社会- 43 -通念に従って決すべきものと解される。 ところで,前記前提となる事実等のとおり,和泉市においては,職員①②を任用するに当たり,その内規として「和泉市非常勤職員の任用に関する要綱」 - 43 -通念に従って決すべきものと解される。 ところで,前記前提となる事実等のとおり,和泉市においては,職員①②を任用するに当たり,その内規として「和泉市非常勤職員の任用に関する要綱」(甲4)を制定しており,これによれば,非常勤職員の勤務時間は週当たり30時間を超えないものとされていることが認められるところ,この趣旨は,国家公務員において,常勤職員の1週間当たりの勤務時間40時間(一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律5条1項)の4分の3である30時間を超えない勤務時間の職員を非常勤職員としていること(人事院規則15-15)を踏まえ,常勤職員と非常勤職員との勤務時間の差を規定したものと解される。このことに加えて,1週間当たりの勤務時間数が30時間を超えるような態様の勤務に従事する職員は,社会通念に照らしても,当該勤務が当該職員及びその家族の生計を支えるいわゆる生活の糧を得るための主要な手段となっているのが通常であることにもかんがみれば,上記要綱の規定は,常勤非常勤を区別する基準として一応の合理性があるというべきである。そこで,1週間当たりの勤務時間数が30時間を超えない和泉市の職員については,特段の事情のない限り,地自法上の非常勤職員に該当するものと認めるのが相当である。 イそうであるところ,前記前提となる事実等のとおり,職員①の勤務態様は週30時間勤務,職員②は週24時間勤務であり,いずれも30時間を超えないものであるから,非常勤職員に該当するものと認められるところ,職員①②の職務の内容・性質等を勘案しても,上記認定を覆すものではない。 したがって,職員①②は,いずれも地自法上の非常勤職員であり,常勤職員(同法204条1項)には該当しないというべきである。 ⑵ 職員①②に対する本件特別報酬の支給の適法性 すものではない。 したがって,職員①②は,いずれも地自法上の非常勤職員であり,常勤職員(同法204条1項)には該当しないというべきである。 ⑵ 職員①②に対する本件特別報酬の支給の適法性ア前記⑴のとおり,職員①②はいずれも地自法上の常勤職員には該当せず,- 44 -同法上の非常勤職員に該当するというべきところ,前記法令等の定めのとおり,同法203条2項本文は,非常勤の職員のうち議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給する旨規定し,同項ただし書きは,条例で特別の定めをした場合はその限りではない旨規定し,さらに同条4項は,報酬の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならないと規定することから,職員①②に対してした本件特別報酬の支給が,上記地自法の各規定に違反しないかが問題となる。 イそこで検討するに,旧給与条例1条は,地自法204条及び地公法24条6項の規定により和泉市職員の給与に関する事項を定めることを目的とするとした上で,上記の「職員」とは,一般職の職員(いわゆる再任用職員を含む。)である旨規定し,さらに同条例3条は,一般職の職員に対する給与として,期末手当及び勤勉手当を支給する旨規定している。他方,同条例12条は,非常勤職員(再任用短時間勤務職員を除く。)の給与は,この条例の規定にかかわらず,日額又は月額とし,その額は,予算の範囲内において職員の給与との均衡を考慮して任命権者が定めると規定している。そして,同条の非常勤職員を,地自法上の非常勤職員と別異に解する理由はないところ,前記⑴のとおり,職員①②はいずれも地自法上の非常勤職員に該当するというのであるから,職員①②については,同条例12条が適用されることになる。 そうであるところ,同条は,「非常勤職員(再任用短時間勤務職員 り,職員①②はいずれも地自法上の非常勤職員に該当するというのであるから,職員①②については,同条例12条が適用されることになる。 そうであるところ,同条は,「非常勤職員(再任用短時間勤務職員を除く。)の給与は,この条例の規定にかかわらず,日額又は月額とし,その額は,予算の範囲内において職員の給与との均衡を考慮して任命権者が定める。」と規定し,日額又は月額で定めることのできない手当の支給を定めていないといわざるを得ない。そうであるにもかかわらず,前記前提となる事実等のとおり,和泉市においては,平成4年に和泉市長によって制定された内規たる非常勤職員報酬等基準に基づき,週3日以上勤務の者を- 45 -対象として,夏季及び年末に,月額報酬に一定の支給率,在職期間率及び勤務率を掛け合わせた額の特別報酬を支給していたというのであり,このような特別報酬の支給は,日額又は月額による支給を定める上記旧給与条例の規定に違反する行為であったといえる。また,そうである以上,旧給与条例においては特別報酬の支給根拠となる「特別の定め」(地自法203条2項ただし書き)が存在しなかったことにならざるを得ないから,職員①②に対する本件特別報酬の支給は,地自法203条2項に違反し,給与条例主義にも違反する違法な行為であったというべきである。 3 職員③④に対する本件特別報酬の支給の適法性について(争点⑵)⑴ 職員③④が単純労務職員に該当するか否かア原告は,職員③④がいずれも特別職の職員であることを前提に,特別職報酬条例が適用される旨主張しているが,本件職員らはいずれも特別職に該当すると認めることはできず,一般職に該当することは前記のとおりである。他方,被告は,職員③④がいずれも「単純な労務に雇用される者」(地公法57条)に該当し,企業法の適用を受ける いずれも特別職に該当すると認めることはできず,一般職に該当することは前記のとおりである。他方,被告は,職員③④がいずれも「単純な労務に雇用される者」(地公法57条)に該当し,企業法の適用を受ける旨主張することから,これについて以下検討する。 イ地公法57条が「単純な労務に雇用される者」について同法の特例を規定した趣旨は,単純労務職員も公務員であるものの,高度な判断を伴わない単純な労務に従事するもので,民間の類似の職種の勤労者と職務内容が実質的に共通しているので,公務員として欠くことのできない規制は別として,できる限り民間の勤労者と同じような取り扱いをすることとされた点にあるものと解される。 ところで,単純労務職員の範囲についての通達(昭和38年5月8日自治丁公発第130号大阪府総務部長あて公務員課長回答。乙15)は,ある職員が単純な労務に雇用される者に該当するかどうかは,その者の職務及び責任の実態に基づいて判断すべきであるとした上で,(イ)技術員(運- 46 -転手,機械運転手,交換手,タイピスト,調理師)及び(ロ)作業員(工夫,葬儀夫,清掃夫,清掃婦,連絡員,炊事夫,炊事婦,校務員,園務員,給食員)については,技術者,監督者又は行政事務を担当する者でない限り,これに該当すると解するとしていることが認められる。同通達が(イ)及び(ロ)の各職員が単純労務職員に該当するとしたのは,同条の上記趣旨を踏まえ,少なくとも(イ)及び(ロ)の各職員については,その者の職務及び責任の実態に照らした上で,その職務内容が民間の類似の職種の勤労者と職務内容が実質的に共通していることから,同条を適用して,民間の勤労者と同じような取り扱いをすることが適当であると判断されたことによるものと考えられる。そうだとすれば,ある職員が単純労務職員に該当す 務内容が実質的に共通していることから,同条を適用して,民間の勤労者と同じような取り扱いをすることが適当であると判断されたことによるものと考えられる。そうだとすれば,ある職員が単純労務職員に該当するかどうかは,当該職員の個別具体的な職務内容が単純な労務に従事するものであるかどうかを見た上,民間の類似の職種の勤労者と実質的に共通しており,できる限り民間の勤労者と同じような取り扱いをするのが相当であると認められる職務及び責任の実態であるかどうかによって判断すべきであり,かつ,上記(イ)及び(ロ)の職種については,技術者,監督者又は行政事務を担当するものでない限り,これに該当するものと解すべきである。 ウ前記前提となる事実等及び証拠(乙18)によれば,職員③④は,いずれも調理員又は給食調理員として和泉市内の保育園又は小中学校において他の常勤職員と同様の職務に従事していることが認められるが,調理業務以外に監督事務や行政事務を担当している証拠は見当たらない。そうすると,職員③④についても,公務員ではありながら,民間の類似の職種の勤労者と職務内容が実質的に共通しており,できる限り民間の勤労者と同じような取り扱いをすることが適当であるというべきであり,上記通達における「調理師」,「炊事夫,炊事婦」の事例と同様,単純労務職員に該当するというべきである。 - 47 -⑵ 職員③④が「常勤の職員」に該当するか否かア前記のとおり,職員③④はいずれも単純労務職員に該当するから,これらの職員の給与については,その種類及び基準についてのみ普通地方公共団体の条例で定めれば足りることになる(地公法57条,地方公営企業等の労働関係に関する法律附則5項,企業法38条4項)。そして,旧給与条例附則6項によれば,単純労務職員の給与の種類及び基準については同条 条例で定めれば足りることになる(地公法57条,地方公営企業等の労働関係に関する法律附則5項,企業法38条4項)。そして,旧給与条例附則6項によれば,単純労務職員の給与の種類及び基準については同条例を準用することとされるため,職員③④が常勤職員に該当する場合には同条例2条以下が,非常勤職員に該当する場合には同条例12条が,それぞれ適用されることとなる。そこで,職員③④に対する本件特別報酬の支給の適法性の判断の前提として,まず職員③④が地自法上の常勤職員に該当するかどうかが問題となる。 イそこで検討するに,職員①②と同様,職員③については,「和泉市非常勤職員の任用に関する要綱」(甲4)が,職員④については,「和泉市学校給食非常勤嘱託調理員の任用に関する要綱」(甲19)が,それぞれ内規として制定されており,これらによれば,非常勤職員の勤務時間はいずれも週当たり30時間を超えないものとされていることが認められるところ,これらの規定は,前記2⑵で述べたのと同様の理由から,常勤非常勤を区別する基準として一応の合理性があるというべきである。そこで,この基準を満たす職員については,特段の事情のない限り,地自法上の非常勤職員に該当するものと認めるのが相当である。 そうであるところ,前記前提となる事実等のとおり,職員③④の勤務態様は,いずれも週30時間勤務であるから,非常勤職員に該当するものというべきで,他にこの判断を覆すに足りる事情は見当たらない。 ⑶ 職員③④に対する本件特別報酬の支給の適法性ア前記法令等の定めのとおり,企業法38条4項は,企業職員の給与の種類及び基準は,条例で定める旨規定することから,職員③④に対してした- 48 -本件特別報酬の支給が,上記企業法の規定に違反しないかが問題となる。 イそこで検討するに,前記⑵のとお 員の給与の種類及び基準は,条例で定める旨規定することから,職員③④に対してした- 48 -本件特別報酬の支給が,上記企業法の規定に違反しないかが問題となる。 イそこで検討するに,前記⑵のとおり,職員③④はいずれも地自法上の常勤職員には該当せず,非常勤職員に該当するから,その給与については,旧給与条例12条が適用されることになる。 しかしながら,同条は,非常勤職員の給与は,同条例の規定にかかわらず,日額又は月額とし,その額は,予算の範囲内において常勤の職員との均衡を考慮して任命権者が定めると規定するのみで,その他に本件特別報酬に対応した規定は存在しない。そうすると,和泉市の条例上,特別報酬という給与の種類は定められていなかったというほかない。 ウしたがって,職員③④に対する本件特別報酬の支給についても,地公法57条,地方公営企業等の労働関係に関する法律附則5項及び企業法38条4項に違反し違法であったというべきである。 4 職員⑤⑥に対する本件特別報酬の支給決定の適法性について(争点⑶)⑴ 職員⑤⑥に対して適用されるべき条例の規定についてア前記1のとおり,職員⑤⑥は特別職の職員には該当しないものの,いずれも企業法15条の企業職員に該当することが明らかであるから,その給与については同法38条4項が適用されることになる。 そうであるところ,企業職員条例2条1項は,常勤企業職員の給与の種類は給料及び手当とすると規定し,同条3項は,手当の種類として期末手当及び勤勉手当を規定している。他方,同条例17条は,非常勤企業職員については,常勤企業職員との権衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給すると規定している。そこで,職員⑤⑥についてはいずれの規定が適用されるのか,すなわち,職員⑤⑥が常勤企業職員に該当するか,それとも非常勤 は,常勤企業職員との権衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給すると規定している。そこで,職員⑤⑥についてはいずれの規定が適用されるのか,すなわち,職員⑤⑥が常勤企業職員に該当するか,それとも非常勤企業職員に該当するかが問題となる。 イそこで検討するに,和泉市においては,職員⑤を任用するに当たり,その内規として「和泉市再雇用職員の任用に関する要綱」(甲20)を制定- 49 -し,また,被告管理者は,和泉市病院の非常勤嘱託職員を任用するに当たり,「和泉市立病院非常勤嘱託職員の任用に関する要綱」(甲22)を制定しており,これらによれば,非常勤職員の勤務時間はいずれも週当たり30時間を超えないものとされていることが認められるところ,前記2⑵で述べたのと同様の理由から,これらの規定もまた,常勤非常勤を区別する基準として一応の合理性があるというべきである。そこで,この基準を満たす職員については,企業職員条例上も,特段の事情のない限り,非常勤企業職員に該当するものと認めるのが相当である。 そして,前記前提となる事実等のとおり,職員⑤,職員⑥のうち看護助手,薬剤師,社会福祉士及び社会福祉主事(以下「本件非常勤企業職員ら」という。)の勤務態様は,週30時間勤務であり,いずれも30時間を超えないものであるから,非常勤企業職員に該当するものと認められるところ,本件非常勤企業職員らの職務の内容,性質等を勘案しても,この認定を覆すものではない。 他方,職員⑥のうち事務職員及び看護師(以下「本件常勤企業職員ら」という。)については,いずれも週32時間勤務であるから,同条例上,常勤企業職員に該当するというべきである。 ⑵ 職員⑤⑥に対する本件特別報酬の支給の適法性ア前記法令等の定めのとおり,企業法38条4項は,企業職員の給与の種類及び基準は であるから,同条例上,常勤企業職員に該当するというべきである。 ⑵ 職員⑤⑥に対する本件特別報酬の支給の適法性ア前記法令等の定めのとおり,企業法38条4項は,企業職員の給与の種類及び基準は条例で定める旨規定するところ,職員⑤⑥に対してした本件特別報酬の支給が,上記規定に違反しないかが問題となる。 イまず,前記⑴のとおり,本件非常勤企業職員らは,いずれも非常勤企業職員に該当するから,その給与については企業職員条例17条が適用されることになる。 そうであるところ,同条は,非常勤企業職員については,常勤企業職員との権衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給するとのみ規定しており,- 50 -企業法38条4項にいう「給与の種類及び基準」が条例で定まっているかどうかが問題となる。 そこで検討するに,企業法の適用を受ける企業職員については地公法24条から26条まで等の規定の適用が除外されており(企業法39条),これによれば,企業職員については,条例自体により給与の支給額を確定し得るものであることが要求されるという厳密な意味での給与条例主義の適用はないと解すべきであるが,条例で給与の種類や基準を規定するに当たっては,具体的な手当の種類を限定的に列挙すべきであって,給与の額を決定するに当たってよるべき原則的基準等を包括的に長に委任することは許されないと解される。 そこで企業職員条例の規定をみると,その2条1項において常勤企業職員の給与の種類を給料及び手当とした上で,2項において,給料は,正規の勤務時間による勤務に対する報酬であって,手当を除いた全額とすると規定し,3項において,手当の種類を管理職手当,扶養手当,地域手当,住居手当,通勤手当,特殊勤務手当,時間外勤務手当,休日勤務手当,夜間勤務手当,宿日直手当,期末手当,勤勉手当及び退職 全額とすると規定し,3項において,手当の種類を管理職手当,扶養手当,地域手当,住居手当,通勤手当,特殊勤務手当,時間外勤務手当,休日勤務手当,夜間勤務手当,宿日直手当,期末手当,勤勉手当及び退職手当とすると列挙するとともに,3条で給料表を設けるものとし,給料表の種類,給料表に定める職務の等級及び号給の数並びに各職務の等級における最低の号給の給料額及び号給間の給料額の差額は企業法38条2項及び3項の規定の趣旨に従って定めなければならない旨を,4条から14条までにおいて各種手当の支給要件を,15条で給与を減額する要件を,16条で常勤企業職員が休職にされた場合の給与の支給を,16条の2で育児休業の承認を受けた常勤企業職員の給与の支給に関する定めをそれぞれ規定し,その上で,上記17条が,非常勤職員については,常勤企業職員との権衡を考慮し,予算の範囲内で給与を支給すると規定している。 このような規定のあり方からすれば,同条の規定は,非常勤企業職員に- 51 -支給される給料及び手当を,同一条件の下での常勤企業職員に支給される給与と比較して,種類及び数額の点で均衡を失しない範囲で定めるべきことを被告管理者に要求していると解するのが相当である。そうであれば,同条の規定は,非常勤企業職員に対する期末手当を含む給与の種類及び基準を定めたものということができる。そして,本件非常勤企業職員に対しては,企業職員条例及びこれに基づく各取扱基準により本件特別報酬が支給されたもので,これを違法ということはできない。 なお,上記の検討によれば,本件非常勤企業職員らに対する本件特別報酬の支給が適法であるというためには,給与に関する各取扱基準によって本件非常勤企業職員らについて定められた特別報酬が,同一条件の下で常勤企業職員に支給されるものを種類及び数額の点 に対する本件特別報酬の支給が適法であるというためには,給与に関する各取扱基準によって本件非常勤企業職員らについて定められた特別報酬が,同一条件の下で常勤企業職員に支給されるものを種類及び数額の点で実質的に超えていないことが必要であるというべきである。しかしながら,本件非常勤企業職員らに支給された本件特別報酬が,同一条件の下で常勤企業職員に支給されるものを種類及び数額の点で実質的に超えている事実については原告からも何ら具体的な主張立証はなく,当該事実はないものと認めることができる。 したがって,本件非常勤企業職員らに対する本件特別報酬の支給は,条例に定められた給与の種類及び基準に従って支給されたものであり,企業法38条4項に違反するとはいえない。 ウ他方,本件常勤企業職員らは,いずれも常勤企業職員に該当し,その給与については企業職員条例2条及び12条が適用される。そして,前記のとおり,同条例は,給与の種類として期末手当及び勤勉手当を支給するとしているところ,本件特別報酬も,当該規定に基づいて支給されたものということができる。 ⑶ まとめ以上によれば,職員⑤⑥に対する本件特別報酬の支給が違法であったとい- 52 -うことはできず,この部分に係る原告の請求は,その余の点を判断するまでもなく,理由がない。 5 職員①から④までに対する本件特別報酬の支給の違法性が本件改正条例によりさかのぼって治癒されたかどうかについて(争点⑷)⑴ 判断枠組みア上記2及び3のとおり,職員①から④までに対する本件特別報酬の支給はいずれも給与条例主義に違反し違法であったというべきところ,本件特別報酬の支給後,職員①から④までについて新給与条例が制定され,同条例によれば,一般職の非常勤職員には報酬のみを支給することとされ(同条例12条1 例主義に違反し違法であったというべきところ,本件特別報酬の支給後,職員①から④までについて新給与条例が制定され,同条例によれば,一般職の非常勤職員には報酬のみを支給することとされ(同条例12条1項),かつ,旧給与条例の規定に基づいて,新給与条例の施行日の前日までの勤務について支給された非常勤職員の給与(特別報酬その他給与の性格を有する一切の給付を含む。)は,同条例の規定により支給された報酬及び費用弁償とみなす(同条例附則3項)と規定されたことから,これによって本件特別報酬の支給行為の違法性がさかのぼって治癒されたのではないかが問題となる。 イそこで検討するに,地自法203条及び204条,地公法24条6項等が普通地方公共団体の職員の給与等に関していわゆる給与条例主義を規定した趣旨は,普通地方公共団体の職員に対して法定の種類の給与を権利として保障するとともに,給与の額及びその支給方法の決定を普通地方公共団体の住民の直接選挙により構成される議事機関である議会の制定する条例に委ねることにより,これに対する民主的統制を図ったものであると解される。このようないわゆる給与条例主義を定めた法律の規定の趣旨等にかんがみると,普通地方公共団体の職員に対し条例に基づかない給与その他の給付の支給が行われた場合において,その後に条例において当該支給の根拠となる規定を設けるとともに,既に行われた支給について当該根拠規定に基づいて支給されたものとみなすと定めることにより,当該支給行- 53 -為自体を是認し,これをさかのぼって適法なものとすることは,職員の権利保障の観点からは,職員の利益になることであって制限すべき理由はなく,また,議会による民主的統制の観点からは,事後的ではあるにせよ議会の承認を得ることで民主的統制の要請を満たすものであって,直ちに給 障の観点からは,職員の利益になることであって制限すべき理由はなく,また,議会による民主的統制の観点からは,事後的ではあるにせよ議会の承認を得ることで民主的統制の要請を満たすものであって,直ちに給与条例主義の上記趣旨を没却するものということはできず,このような追認条例も有効と解される。 ウもっとも,給与条例主義を定めた上記法令の規定の趣旨等からすれば,上記のような追認条例における給与の根拠規定自体が,地自法の給与その他の給付に関する規定や地公法の給与に関する規定に違反しないものであることが,その有効性の前提と解される(なお,新給与条例が施行されたのは平成21年4月であるから,この場合に適法か否かの基準とすべき地自法の規定は,新地自法203条の2及び204条である。)。 ⑵ 新給与条例等の具体的な定めア前記法令等の定めのとおり,新給与条例(乙14,21)は,同条例3条の定めにかかわらず,一般職の非常勤職員には報酬を支給するとした上で(同条例12条1項),一般職の非常勤職員を,a一般非常勤職員,b市等退職非常勤職員及びc国民健康保険料徴収員の3つに分類し,aに対しては一般非常勤職員報酬表(同条例別表第3)を適用し,規則で定めるところにより決定した号給の額に,その職種,勤務日数,職務内容その他の条件に応じて規則で定める率を乗じて得た額を,bに対しては市等退職非常勤職員報酬表(同条例別表第4)を適用し,規則で定めるところにより決定された号給による額に,その職種,勤務日数,職務内容その他の条件に応じて規則で定める率を乗じて得た額を,それぞれ支給するとしている(同条2項,12条の2第1項)。 イ同条例12条の2第2項は,同条1項の規定により号給を決定する場合において,前年度1 年間を通じて一般非常勤職員であった者を同一の職種- 給するとしている(同条2項,12条の2第1項)。 イ同条例12条の2第2項は,同条1項の規定により号給を決定する場合において,前年度1 年間を通じて一般非常勤職員であった者を同一の職種- 54 -の非常勤職員に任用したときは,前年度の勤務実績に応じて規則で定めるところにより,前年度における号給の1 号上位の号給に決定することができると規定する(ただし,当該年度中に58歳以上の年齢に到達する非常勤職員を除く。同条3項)。 ウ新規則(乙17)37条は,新給与条例12条2項1号の新たに報酬表の適用を受ける一般非常勤職員の号給は,次のとおりとする旨規定する。 (ア) パート保育士 31号(イ) 訪問看護師 31号(ウ) 養護学級介助員(教員免許を持つ者に限る。) 3号(エ) 前号以外の養護学級介助員 2号(オ) 留守家庭児童会指導員 1号(カ) 前各号に掲げる者以外の一般非常勤職員 30号エそして,新規則38条1項は,新給与条例12条の2第2項により一般非常勤職員について前年度における号給の1号上位の号給に決定することができる勤務実績は,前年度1年間の暦日から週休日及び休日を除いた日数に対する前年度に実際に終日勤務した日数の割合によるものとし,その割合が100分の85以上でなければならないと規定する。 さらに,新規則39条は,前条の規定により一般非常勤職員の号給を決定するときは,次に定める号給を超えて決定することはできないと規定する。 (ア) パート保育士 50号(イ) 訪問看護師 50号(ウ) 養護学級介助員(教員免許を持つ者に限る。) 22号(エ) 前号以外の養護学級介助員 21号(オ) 留守家庭児童会指導員 20号(カ) 前各号に掲げる者以外の一般非常勤職員 49号- 55 -オ 員(教員免許を持つ者に限る。) 22号(エ) 前号以外の養護学級介助員 21号(オ) 留守家庭児童会指導員 20号(カ) 前各号に掲げる者以外の一般非常勤職員 49号- 55 -オまた,新規則40条1項は,新給与条例12条2項2号の市等退職非常勤職員のうち常勤の職員であった者であって勧奨により退職して市に雇用されている非常勤職員の号給について規定する。 さらに,新規則40条3項は,他の官公庁等の職員であった者であって,当該他の官公庁等を退職して市に雇用されている非常勤職員のうち任命権者が定めるものの号給について規定する。 カ新規則41条1項は,新給与条例12条2項の規定に定めるその職種,勤務日数,職務内容その他の条件に応じて規則で定める率は,次に定める率とすると規定する。 (ア) パート保育士 100分の80(イ) 留守家庭児童会指導員(週4日勤務の者に限る。) 100分の6 (ウ) 学校給食調理員 100分の86(エ) 前3号に掲げる者以外の非常勤職員 100分の100⑶ 検討上記各規定によれば,新給与条例及び新規則は,職員①から④までについて,その職種によって分類し,さらに,それぞれについて細分化された報酬表を条例に規定するほか,条例による委任を受けた規則によって,さらに具体的な職種や職務内容等に応じて適用されるべき報酬表の号給や加算されるべき報酬の額並びに乗じるべき加算率等を規定しているところ,これらは,いずれも,上記職員の報酬額をできる限り具体的かつ明確に定めているということができる。 そうだとすれば,本件特別報酬のうち職員①から④までに対して支払われた部分について新たにその根拠規定となった新給与条例及び新規則の定めが地自法の給与その他の給付に関する規定や地公法の給与に関する規定 そうだとすれば,本件特別報酬のうち職員①から④までに対して支払われた部分について新たにその根拠規定となった新給与条例及び新規則の定めが地自法の給与その他の給付に関する規定や地公法の給与に関する規定に違反するとはいえない。 - 56 -⑷ 原告の主張についてア以上に対し,原告は,新給与条例及び新規則は,違法な特別報酬の支給の事実を没却するものであり,権力者のお手盛りによる自己免責に外ならず,正義の観念に照らしそもそも許されない旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,新地自法等がいわゆる給与条例主義を規定した趣旨が,地方公務員の給与に関する民主的統制を図った点にもあると解される以上,普通地方公共団体が,議会の議決によって成立した条例により,報酬等の支給の根拠となる規定を設けるとともに,既に行われた支給について当該根拠規定に基づいて支給されたものとみなす旨を定めることにより,当該支給行為自体を是認し,これをさかのぼって適法なものとすることは,上記給与条例主義の趣旨に反するものではないというべきであるから,上記原告の主張は採用することができない。 イまた,原告は,条例や法律は過去の事件については何ら影響を及ぼさないのが原則であり,例外的に,国民に不利益を与えたり,既得の権利利益を侵害するなど国民の権利義務を侵害しない範囲で,かつ,公共の福祉を実現するなど遡及適用を認めるに当たって特段の合理的理由がある場合に限り,遡及適用の余地があるところ,そのような例外的な措置を有効とするには,その適用期間を含め明確に定める必要があるし,そもそも無効な行為には適用できないというべきである旨主張する。 しかしながら,新給与条例は,既に行われた本件特別報酬の支給のうち違法となる部分についてこれを同条例に基づく支給であるとみなすことを内容と 効な行為には適用できないというべきである旨主張する。 しかしながら,新給与条例は,既に行われた本件特別報酬の支給のうち違法となる部分についてこれを同条例に基づく支給であるとみなすことを内容とするものであり,その限りにおいて,和泉市に対する違法な支給に係る金銭の返還債務をさかのぼって不発生とする効果があり,違法な支給を受けた本件職員らにとって利益となるのであるから,それが議会の議決に基づく条例によって行われている以上,このような遡及適用を否定すべき理由はないというべきである。また,法令の定め等のとおり,新給与条- 57 -例は,これまで行われてきた特別報酬の支給を,特に範囲を限定することなく同条例に基づく支給であるとみなすことを内容としているから,その適用範囲は明確というべきである。 したがって,原告の上記各主張はいずれも採用することができない。 ウさらに,原告は,新給与条例においては,各号給に対する報酬額を定めるのみで,いかなる職種がどの号給に対応するか,さらには,職種によって報酬を調整する率等はすべて規則に委任しているところ,このような規定では,職員①から④までについてその報酬を定めることはもとより,どの程度の報酬が支給されるかの目安すらつかない,そうすると,新給与条例によれば,議会の影響が及ばない規則において職員①から④までの報酬をいかようにも決定できるといえ,条例において単に給与の支給根拠のみを定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて普通地方公共団体の長又は規則に委任するものであり違法である旨主張する。 しかしながら,前記⑵のとおり,同条例においては,一般非常勤職員,市等退職非常勤職員等の区分毎に報酬表が定められており,これらによって報酬の上限及び下限がいくらであるかは明確になっており,どの程度の報 しながら,前記⑵のとおり,同条例においては,一般非常勤職員,市等退職非常勤職員等の区分毎に報酬表が定められており,これらによって報酬の上限及び下限がいくらであるかは明確になっており,どの程度の報酬が支給されるかの目安がないとはいえない。また,同条例は,上記各報酬表のうちいずれの号を適用するか,同条例12条の2第1項の規定により前年度における号給の1 号上位の号給に決定するための勤務実績の詳細,同条例12条2項の規定に定めるその職種,勤務日数,職務内容その他の条件に応じて規則で定める率についてそれぞれ規則に委任しているが,これらについては,いずれも,委任している事項,範囲及びその方向性や考慮要素が明確であって,委任の範囲を逸脱しているということもできない。 したがって,同条例が上記事項を規則に委任していることが違法とはいえず,原告の上記主張も採用することができない。 - 58 -⑸ まとめ以上によれば,本件特別報酬の支給のうち,職員①から④までに対して行われた部分については,新給与条例及び新規則の施行に伴い,さかのぼってその違法性が治癒されたというべきである。 したがって,原告の請求のうち,職員①から④までに対する本件特別報酬の支給行為に係る部分は,その余の点を判断するまでもなく,理由がない。 6 予備的請求についてなお,原告は,本件特別報酬の支給のうち職員①から④までに対して行われた部分について,仮に本件改正条例及び本件改正規則の各施行により,本件特別報酬の支給が適法になったとしても,本件改正条例等の施行後についてのみ有効となるものであり,それまでに支給された特別報酬の違法性には変わりはないから,特別報酬の支給から本件改正条例等の施行時までの本件特別報酬の合計額相当額に対する法定利息分に相当する損害が発生してい 有効となるものであり,それまでに支給された特別報酬の違法性には変わりはないから,特別報酬の支給から本件改正条例等の施行時までの本件特別報酬の合計額相当額に対する法定利息分に相当する損害が発生しているはずであると主張する。 しかしながら,前記5のとおり,本件特別報酬の支給のうち上記部分については,新給与条例及び新規則の施行に伴い,さかのぼってその違法性が治癒されたというべきであり,これにより損害賠償請求権もさかのぼって発生しなかったというべきであるから,原告の上記主張は採用することができない。 7 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官山田明 - 59 - 裁判官徳地淳 裁判官直江泰輝

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