平成21年3月26日宣告平成19年(わ)第331号関税法違反被告事件主文被告人A1株式会社を罰金2億5000万円に,被告人A2を懲役2年4月及び罰金1500万円に処する。 被告人A2に対し,未決勾留日数中110日をその懲役刑に算入する。 被告人A2においてその罰金を完納することができないときは,金5万円を1日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。 訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人A1株式会社(以下「被告会社」という)は,食肉の輸入販売等を営む。 もの,被告人A2(以下,単に「被告人」という)は,被告会社の代表取締役と。 して同社の業務を統括しているものであるが,被告人は,被告会社の業務に関し,被告会社がB株式会社名義を用いてデンマーク王国から外国産冷凍豚部分肉を輸入するに当たり,不正に関税を免れようと企て,別紙一覧表記載のとおり,平成16年1月26日から平成17年2月7日までの間,前後823回にわたり,大阪市此花区桜島3丁目8番18号所在の大阪税関桜島出張所ほか3か所において,同出張所長らに対し,情を知らない通関業者の従業員を介し,被告会社が輸入する同冷凍豚部分肉の正当な課税価格は合計71億1427万1755円であり,納付すべき関税額は合計65億2424万4300円であったにもかかわらず,課税価格が合計130億8706万2033円であり,関税額が合計5億6268万4900円である旨の内容虚偽の輸入申告をして,その都度,大阪税関桜島出張所長らから同冷凍豚部分肉の輸入許可を受けた上,当該貨物を保税地域から引き取り,もって不正の行為により,納付すべき関税額と申告税額との差額合計59億6155万94 00円を免れた。 (補足説明)第1 争点 弁護人は,( )検察官が,被告会社及び被告人 保税地域から引き取り,もって不正の行為により,納付すべき関税額と申告税額との差額合計59億6155万94 00円を免れた。 (補足説明)第1 争点 弁護人は,( )検察官が,被告会社及び被告人を公訴提起したことは,公訴権 の濫用に当たり許されないから,公訴棄却されるべきである,仮に公訴棄却されない場合であっても,( )豚肉の差額関税制度が違憲・無効であり,また,( )被 告会社は豚肉の関税法上の輸入者には当たらず,納税義務を負わないから,被告人及び被告会社は,いずれも無罪である旨主張するところ,当裁判所は,判示のとおりの事実を認定し,公訴棄却の申立ても理由がないと判断したので,以下,その理由を説明する。 第2争点( )(豚肉の差額関税制度の憲法適合性)について 弁護人の主張弁護人は,豚肉の差額関税制度は,被告会社の営業の自由及び財産権を不当に侵害するものであるから,憲法22条1項,29条1項に違反し,違憲無効であると主張する。そこで,豚肉の差額関税制度の内容についてみた上で,その合憲性について検討する。 豚肉の差額関税制度の内容( )前掲各証拠(以下においては,後記第3の2( )イを除いて,同証拠内に 乙10の不同意部分は含まないものとする)によれば,以下の事実を認め。 ることができる。 豚肉の差額関税制度は,昭和46年,豚肉等の輸入完全自由化に伴い導入された制度である。 そして,その内容は,課税価格が1キログラムにつき,①従量税適用限度価格(基準輸入価格から1キログラムあたりの従量税額を控除した価格)以下のものについては,貨物重量を基準として課する税率(従量税,②従量)税適用限度価格を超え,分岐点価格(基準輸入価格を③の税率に1を加えた 数で除して得た価格)以下のものについては,基準輸入価格と課 ものについては,貨物重量を基準として課する税率(従量税,②従量)税適用限度価格を超え,分岐点価格(基準輸入価格を③の税率に1を加えた 数で除して得た価格)以下のものについては,基準輸入価格と課税価格との差額(差額関税,③分岐点価格を超えるものについては,貨物価格を基準)として課する税率(従価税,となる3つの税率が設けられている。 )また,関税暫定措置法7条の6において,当該年度における豚肉等の輸入数量が,あらかじめ財務大臣が告示する数量を超えた場合には,関税の緊急措置(セーフガード)が執られることが規定されており,セーフガードが発動された場合には,基準輸入価格,又は,従量税及び従価税の税率が引き上げられる。 ( )したがって,豚肉を輸入しようとする者は,分岐点価格以下で豚肉を調 達しても,基本的には(極めて低額となる従量税適用限度価格以上である限り,その価格と基準輸入価格との差額が税額となり,輸入豚肉の国内にお)ける流通価格が基準輸入価格を下回らないような仕組みとなっている。 合憲性の検討( )財産権は憲法29条1項により保障されており,営業の自由も憲法22 条1項により保障されるものと解される。しかしながら,これら憲法上の権利も,公共の福祉による制約を受けるのであって,立法により,公共の福祉を実現するための積極的な社会経済政策の実施の一手段として,個人の経済,,,,活動に対し一定の合理的な規制措置を講ずることは憲法が予定しかつ許容するところである。そして,このような社会経済政策を実施する目的の規制措置については,裁判所は,立法府がその裁量権を逸脱し,当該規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って,これを違憲としてその効力を否定することができるものと解するのが相当である。 ( )そこで ては,裁判所は,立法府がその裁量権を逸脱し,当該規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って,これを違憲としてその効力を否定することができるものと解するのが相当である。 ( )そこで検討するに,豚肉の差額関税制度は,豚肉等の輸入が完全自由化 となり,国内養豚農家の保護と輸入促進との相反する課題を調整するために導入された制度であり(甲2,951,弁866,888,積極的な社会)経済政策を実施する目的の規制であると認められる。 この点,弁護人は,制度導入当初は上記のとおりの目的であったといえるが,現在においては,国産豚肉は主にテーブルミート用,輸入豚肉は主に加工品原料用というように,市場において両者の棲み分けがなされ,また,国内養豚農家の大規模化が図られた結果,国内養豚農家の保護という立法事実は実質的に失われており,食品の安全性に対する意識が高まるなどの事情の変化を背景として,その制度目的は,主として海外から劣悪な豚肉が国内に流入することを防止することにより,国民の生命及び健康に対する危険を除去するという消極目的に変容していると主張する。 しかしながら,加工品原料としての豚肉の主流がフローズンポークとなっていたとしても,国産のチルドポークも加工品原料として使用され得るし,保存のためにフローズンポークにすることもあること,輸入豚肉の全てがフローズンポークに限られているとは認められないこと,大手の量販店等では国産豚肉と輸入豚肉を同じところに並べて同じように販売していることもあること(弁864,888,証人C1,同C2の公判供述)からすれば,現時点においても,国産豚肉と輸入豚肉は競合する関係にあるものと認められる。また,国内養豚農家の大規模化が図られた事実があったとしても,そのことから直ちに,国内養豚農家の保護という積極的 らすれば,現時点においても,国産豚肉と輸入豚肉は競合する関係にあるものと認められる。また,国内養豚農家の大規模化が図られた事実があったとしても,そのことから直ちに,国内養豚農家の保護という積極的な社会経済政策を実現する目的が失われたとは認められない。そして,豚肉の差額関税制度は,食品としての安全性についての検査等を前提に許可や承認を要求するものではな,,く輸入豚肉に関税を賦課するという規制方法をとっていることからしても弁護人が主張するような消極目的の規制と考えることはできない。 ,,,( )次に手段・態様の合理性について検討するに豚肉の差額関税制度は 前記のとおり,①輸入する豚肉の価格が低い場合には,基準輸入価格を下回る部分を関税として徴収し,基準輸入価格以下での豚肉輸入を防ぐことによって国内養豚農家を保護する一方,②その価格が高い場合には,比較的低率な従価税を適用することにより,関税の負担を軽減し,消費者の利益を図る という仕組みで,需要者と国内養豚農家の利益のバランスを図るものであるところ,前掲各証拠,弁888によれば,同制度が導入された昭和46年当時と現在においては,社会経済の状況,国内養豚農家の大規模化,豚肉市場が枝肉ベースから部分肉ベースへとその取引形態を変化させつつあること等の養豚業界の変化などがあり,国内の養豚業をめぐる環境等に変化が生じていることが認められるものの,国内養豚農家を保護する目的を達成するために,豚肉の輸入について,一定の制限を設けること自体の合理性に変わりはない。そして,本来的な豚肉の輸入形態ではない,いわゆるコンビネーション輸入(豚肉のうち,高価格部位と低価格部位を組み合わせて輸入し,1回に輸入する豚肉全体を加重平均した1キログラム当たりの単価を分岐点価格に近づけた価格で輸入申告 態ではない,いわゆるコンビネーション輸入(豚肉のうち,高価格部位と低価格部位を組み合わせて輸入し,1回に輸入する豚肉全体を加重平均した1キログラム当たりの単価を分岐点価格に近づけた価格で輸入申告し,関税額が低額になるように輸入を行う方法)が常態化しており,実際には輸入豚肉のうちには基準輸入価格以下で流通しているものがあること,差額関税制度を悪用して輸入申告価格を偽る不正な行為が多数発覚していること等から,同制度の改廃を求める動向が強まっていること,これを踏まえ,同制度やその運用のあり方について国会等で度々議論されたものの,結局,これが維持され現在にまで至っていることが認められる(前掲各証拠,弁862,863,866,888。さらに,コン)ビネーション輸入により豚肉が輸入されたとしても,低価格部位と高価格部,,位を組み合わせて輸入することから全体的に一定の水準の価格が維持されまた,輸入豚肉の高価格部位の需要自体が低価格部位に比べて量的にそれ程大きくないし,1頭分の豚肉から高価格部位が取れる割合が少ないこと(前掲各証拠)から,安価な輸入豚肉が,国内に大量に流通することを防ぐ効果,,が認められるのであって国内養豚農家の保護に資することは明らかでありその一方で,本制度の下においても,豚肉の輸入が一切禁止されているわけではないことなどからすると,上記の目的を達成するための手段・態様においても,上記の輸入豚肉に係る課税制度が著しく不合理であることが明白で あるとは認められない。 ( )この点,弁護人は,種々の事情を挙げ,差額関税制度は,国内養豚農家 の保護には何ら実質的に結び付かないなどと主張する。 確かに,豚肉輸入業者がコンビネーション輸入を行うために,基準輸入価格以下で輸入豚肉が国内に流通しているが,コンビネーション輸入とい 内養豚農家 の保護には何ら実質的に結び付かないなどと主張する。 確かに,豚肉輸入業者がコンビネーション輸入を行うために,基準輸入価格以下で輸入豚肉が国内に流通しているが,コンビネーション輸入という方法を用いたとしても,安価な輸入豚肉が,国内に大量に流通することを防ぐ。 ,,効果があることは前記のとおりであるまたセーフガードが発動されるとその期間中は,基準輸入価格が上昇し,流通する輸入豚肉の単価も上昇するのであるから,より国内養豚農家の保護に資することになることは明らかである。 また,弁護人は,基準輸入価格と畜産物の価格安定に関する法律の安定上位価格との関係について論難するが,本件当時(平成16年1月から平成17年2月,通常期の基準輸入価格(正肉ベースで546.53円)は,同)()()。 法の安定上位価格正肉ベースで640円を下回っている甲951参照そして,セーフガードが発動された場合には,基準輸入価格(正肉ベースで681.08円)が安定上位価格を上回るが,そもそも,セーフガードは,豚肉の輸入量が一定水準を超えて増えたとき,基準輸入価格を上昇させることにより,国内養豚農家の保護を強化する趣旨のものである(証人C1の公判供述)から,安定上位価格を上回る事態となったとしても,直ちに不合理であるということはできない。この点,セーフガードの発動が繰り返されており,制度が健全に運用されているとはいえない面があることは否定できないが,このことから直ちに制度自体が著しく不合理であるとして違憲無効とすべき理由になるとはいえない。 さらに,現行の差額関税制度の下においても,豚肉を輸入することが著しく困難となっているというわけではないから,直ちにWTO協定に違反すると認めるべきであるということはできない。 なお,豚肉の差額関税制度は,部 差額関税制度の下においても,豚肉を輸入することが著しく困難となっているというわけではないから,直ちにWTO協定に違反すると認めるべきであるということはできない。 なお,豚肉の差額関税制度は,部位別に基準輸入価格が設定されていないこともあり,低価格部位を利用して国内でソーセージ等を加工する場合と,ソーセージ等の加工品を輸入する場合で,関税率が著しく異なる結果,海外に加工工場を持つ大手のハム・ソーセージ会社とその他の国内豚肉加工業者との間で,事実上,課税額に差が生じていることは確かである。しかしながら,部位ごとに関税率を設定した場合には,手続が煩雑化し,部位を偽るなど新たな不正が生じるおそれも否定できないこと(証人C1の公判供述)からすると,部位別に基準輸入価格を設定しないことが直ちに不合理であるとはいえないし,結果的な課税額の差はあくまでも他の制度との関係で事実上生じるものに過ぎないのであるから,このことをもって差額関税制度自体が不合理であるとはいえない。 その他,弁護人は種々主張するが,いずれも,差額関税制度が著しく不合理であることを基礎づける事情とは認められない。 結論 以上の検討からすると,差額関税制度実施後の時間の経過により,現状の豚肉市場と適合しない面が顕在化してきた部分があり,立法論や制度の運用として改善すべき点があるとの主張には首肯できる面もあるものの,本件当時においても,豚肉の差額関税制度が,著しく不合理であることが明白であるとは認めがたく,これが違憲無効であるということはできない。 よって,弁護人の主張は採用できない。 第3争点( )(被告会社が納税義務者に当たるか)について 当事者の主張と関税の納税義務者の意義について検察官は,本件各豚肉輸入について,輸入申告の名義上は,B株式会社が輸入者となっている 第3争点( )(被告会社が納税義務者に当たるか)について 当事者の主張と関税の納税義務者の意義について検察官は,本件各豚肉輸入について,輸入申告の名義上は,B株式会社が輸入者となっているが,関係会社の果たした機能や送金の流れ等からすれば,実質的な輸入者は被告会社であるので,被告会社が関税の納税義務者に当たると主張するのに対し,弁護人は,被告会社は,貨物についての処分権限を有する ものではなく,利益の帰属の点からしても実質的に輸入の効果が帰属する者ではないから,関税の納税義務者には当たらないと主張する。 ところで,関税の納税義務者は,関税法6条にいう「貨物を輸入する者」であるが,財政収入の確保及び国内産業保護という関税制度の目的からすれば,「貨物を輸入する者」とは,実質的にみて本邦に貨物を引き取って処分する権限を有している者,すなわち実質的に輸入の効果が帰属する者に関税を課すべきであるから,このような者が「貨物を輸入する者」に当たると解するのが相。 ,,当であるそして実質的に貨物の輸入の効果が帰属する者に当たるか否かは具体的には,輸出者との交渉,信用状の開設などの信用・保証関係,代金の決済等の輸入手続への関与の仕方,輸入貨物の国内における処分,販売方法の実態,当該輸入取引による利益の帰属関係等の事情を総合して判断すべきものと解するのが相当である。そこで,以下,被告会社が「貨物を輸入する者」に該当するか否かを検討する。 本件取引に至る経緯と本件取引の状況について( )前掲各証拠によれば,本件取引に関係する会社の概要は以下のとおりと 認められる。 ア被告会社被告会社(本店所在地千葉県柏市ab丁目c番d号)は,平成4年9月11日に設立された株式会社であり,牛,豚,馬,鶏等の肉及び内臓の輸出入並びに加工,販売等を目 りと 認められる。 ア被告会社被告会社(本店所在地千葉県柏市ab丁目c番d号)は,平成4年9月11日に設立された株式会社であり,牛,豚,馬,鶏等の肉及び内臓の輸出入並びに加工,販売等を目的としており,設立当初は,被告人の甥が代表取締役を務めていたが,設立後1年以内には,被告人が代表取締役に就任し,現在に至るまで,被告人が代表取締役を務めている。 イB株式会社B株式会社(本件当時の本店所在地東京都港区ef丁目g番h号。以下「B」という)は,平成14年12月16日に,農水産物,畜産物の。 輸出入及び加工販売等を目的に設立された株式会社であり,Dが代表取締 役を務めていたが,実質的な経営者は,Eであった。平成17年10月ころ被告会社に買収されてからは,被告人が代表取締役を務め,その本店所在地も,被告会社と同所となっている(甲35ないし37。 )ウF株式会社F株式会社(以下「F」という)は,香港を事業所所在地として,平。 成13年10月24日に設立され,当初は,被告人が代表取締役を務めていたが,平成16年9月ころからは,被告人に代わり,Gが代表取締役に。 ,,(,就任したまた同社の設立資金は被告会社が立て替えていた甲2425。 )エ有限会社H有限会社H(本店所在地東京都足立区ij丁目k番l。以下「H」という)は,平成11年12月24日,牛,豚,鶏等の肉及び内蔵の輸出。 ,,,入並びに販売等を目的に設立され代表者にはGの母であるIが就任し取締役にGが就任している(甲55,56。 )オJ株式会社J株式会社(本店所在地設立当初は被告会社と同じ。現在は千葉県柏。 「」。),,市mn丁目o番p号以下Jというは平成14年3月20日に牛,豚,馬,鶏等の食肉及び内臓の加工,販売並び 式会社(本店所在地設立当初は被告会社と同じ。現在は千葉県柏。 「」。),,市mn丁目o番p号以下Jというは平成14年3月20日に牛,豚,馬,鶏等の食肉及び内臓の加工,販売並びに輸出入を目的に設立されたが,平成17年4月以降,その目的に通関事務の代行が含まれるようになった。代表取締役は,設立当初から,Kが就任しているが,平成15年4月30日から平成16年12月29日まで,被告人が取締役として就任していた(甲43ないし47。 )( )本件各取引の概要 ア前掲各証拠によれば,本件各取引に至るまでの経緯は,以下のとおりであると認めることができる。 (ア)被告会社は,平成8年か9年ころから,アメリカ産の輸入豚肉の販 売を開始したが,その当初は,L株式会社という牛肉輸入の取引先に豚肉の輸入申告をしてもらい,同社が輸入申告した豚肉を被告会社が買い。 ,,取る形をとっていたしかし輸入豚肉の輸入元の会社と交渉するのは被告人であり,同社との間では,いわゆるコンビネーション輸入と呼ばれる方法で取引をしていた。 (イ)被告会社は,このようにして輸入豚肉を仕入れて販売を行っていたものの,コンビネーション輸入した豚肉のうち,加工用の低価格部位は売れていたが,ヒレ肉などの高価格部位については,すべて売り切ることができず,大量の在庫を抱え込むようになった。また,ヒレ肉などの高価格部位は,1頭の豚肉に占める割合が低く,コンビネーションを組むことにも限界が出てきていた。そこで,被告会社は,輸入豚肉の取扱いを開始してから,8か月ないし10か月ほどで,コンビネーション輸入をやめ,加工用の低価格部位の輸入に特化することとした。 (ウ)その後,被告会社は,豚肉を輸入してもらう輸入者をL株式会社から,被告人が設立したM株式会社(以下「 0か月ほどで,コンビネーション輸入をやめ,加工用の低価格部位の輸入に特化することとした。 (ウ)その後,被告会社は,豚肉を輸入してもらう輸入者をL株式会社から,被告人が設立したM株式会社(以下「M」という)に変更した。 。 Mは,豚肉を分岐点価格付近で輸入し,その価格に関税,消費税,通関手数料を加算した価格で,N株式会社(以下「N」という)に販売し。 た。そして,被告会社は,豚肉の販売先から受注した価格を基準に,それに被告会社に利益が出るような価格で,当該豚肉をNから購入していた。被告会社がNから購入する価格は,Mが輸入した際の価格よりも安い価格であり,Nには,恒常的に赤字が計上されて累積する仕組みであったが,被告人は,国内の豚肉流通価格が,分岐点価格より低いにもかかわらず,輸入申告価格を分岐点価格付近で行うことから,その差額を調整することが不可欠であるとして,赤字を引き受ける会社としてNを取引に介在させていた。多額の赤字を引き受けたNは,その後,多額の負債を抱えたまま放置されている。 (エ)平成11年ころになると,被告会社は,アメリカ産の豚肉だけでなく,カナダ産及びヨーロッパ産の豚肉も扱うようになり,その過程で,本件の豚肉取引においてデンマークから豚肉を出荷したパッカーであるO社製の豚肉を扱うようになった。 ヨーロッパ産のOの豚肉については,当初は,パッカーである同社から出荷され,被告人の姪がカナダに設立したP社を輸出者(エクスポー),(),ターとして介しHが輸入者インポーターとなって輸入された上Nを経由して被告会社に転売されるという取引形態であった。 なお,HとNとの間の取引形態は,上記㨯のMとNとの間の取引形態と同じであった。 (オ)被告会社がヨーロッパ産豚肉の取扱いを始め,被告会社の輸入豚肉の取扱 会社に転売されるという取引形態であった。 なお,HとNとの間の取引形態は,上記㨯のMとNとの間の取引形態と同じであった。 (オ)被告会社がヨーロッパ産豚肉の取扱いを始め,被告会社の輸入豚肉の取扱量が増加した平成12年ころ,ヨーロッパ産の輸入豚肉を扱う会社を経営していたEが被告人を訪れ,被告人に対し,威圧的な態度で,同和関係者などを国内転売先に入れずにヨーロッパ産の豚肉を安い価格で売ると,同和関係者からの嫌がらせがある可能性があるという話をした。これに対し,被告人は,被告会社が扱う輸入豚肉について,Eの会社に輸入者(インポーター)となって取引に入ってもらうことを提案した。その役割は,同和関係者からの嫌がらせの歯止めとして,いわば防波堤になってもらうことであり,輸入者としての実務面は,被告人側で行うというものであった。Eは,これを了承してQ社を設立し,同社がHに代わって被告会社が扱うアメリカ産及びヨーロッパ産の豚肉の輸入者として取引に入ったが,Q社の送金事務や通関事務については,Hが代行し,Gがその事務を行った。なお,被告人とEとの交渉により,Eの会社が一連の豚肉取引の赤字を吸収することとなり,被告会社からEの会社に対しては,輸入通関した豚肉1キログラム当たり2円(後にその額の1か月当たりの上限を2000万円,下限を1000万円とし た)の口銭が支払われることとなった。 。 その後,被告会社の扱う豚肉の数量がさらに増えたため,Eは,BとR株式会社を設立して,この2社に,Q社の役割を分担して引き継がせることとし,ヨーロッパ産の豚肉についてはBが,アメリカ産及びカナダ産の豚肉についてはR株式会社が,それぞれ輸入者となった。Bに対しても,上記口銭が被告会社から支払われていたが,同金員は,Eが管理する口座に送金されていた。なお,被告会社 Bが,アメリカ産及びカナダ産の豚肉についてはR株式会社が,それぞれ輸入者となった。Bに対しても,上記口銭が被告会社から支払われていたが,同金員は,Eが管理する口座に送金されていた。なお,被告会社とBとの間の取引に関しては,当初は契約書を作成していなかったが,途中から作成するようになった。 ,,(カ)被告会社の豚肉取引にEの関連会社が介在するようになったころ被告人が経営する株式会社S(以下「S」という)とKが半分ずつ出。 資してJが設立された。そして,被告会社が取り扱う輸入豚肉のうちの大阪陸揚げ分について,冷蔵庫業者との交渉一切という丙仲業務をJに委託し,その後,各冷蔵庫業者との調整も委託するようになった。被告人は,Jに冷蔵庫関係の調整をやってもらうのであれば,密接に関連する通関業務なども一手にやってもらうのが効率的であると考え,これをKに依頼し,B及びR株式会社の通関事務と代金送金事務をJが代行するようになった。そのため,Bでは具体的な輸入事務には関与せず,通関後に資料に基づき被告会社に対し請求書を送るなどの事務をしていたのみであった。Jでの通関事務や代金送金事務については,被告会社からJに出向した従業員が担当し,被告会社から,Jに対し,出向社員の指導料の名目で月額100万円が支払われた。なお,JがBの業務代行を行うことは,被告人がKに依頼して始まったもので,Bの実質的経営,,。 者であるEはこれに関与しておらず後から聞いて知ったものであるEは,決算期には,被告会社側から送られてきた資料に基づきBの確定申告をしていたが,そのままでは多額の損失のためにかなりの消費税還 付金が生じてしまうので,売上げを適当に調整し損失が目立たないようにして税務署に確定申告をしていた。 (キ)ヨーロッパ産の豚肉の輸出者(エクスポーター までは多額の損失のためにかなりの消費税還 付金が生じてしまうので,売上げを適当に調整し損失が目立たないようにして税務署に確定申告をしていた。 (キ)ヨーロッパ産の豚肉の輸出者(エクスポーター)を務めていたP社は,カナダ産の豚肉も取り扱っていたところ,ヨーロッパ産の豚肉の取扱量が増大したことから,国別に輸出者を整理することとし,平成15年4月ころ,ヨーロッパ産の豚肉についての輸出者をFに変更し,HがFの事務代行を行うようになった。 Fは,輸出者として,O製の豚肉を仕入れ,これをBに販売していたが,当時は,その仕入代金及び売上代金を決算書に計上せず,Bに対する売掛金も帳簿類に記載しなかった。また,Bとの間で売掛残の確認を行うこともなかったため,Bに対して幾らの売掛残があるのかを把握していなかった(証人Gの公判供述,甲26。さらに,Bに対して,何)十億円もの売掛残を有しながら,特段これを取り立てることもしていなかった。その一方で,被告人はOと交渉して,FがOから豚肉を仕入れるごとに同社から1キログラム当たり1円の販売手数料が支払われるよ,。 うにしこれはGが管理するT1銀行のF名義の口座に送金されていたそして,上記決算書では,Fの収入の大半はこの手数料収入であり,この収入でFは事務所経費等を賄っていた。 イ前掲各証拠によれば,本件における具体的な取引の過程は,以下のとおりであると認められる。なお,具体的な販売方法が記載された,被告人の平成19年2月20日付け検察官調書(乙10)の不同意部分について,弁護人は任意性を争っているが,同供述調書が作成されたころ,被告人の体調が取調べに支障があるほど不良であったこと,及び弁護人が主張するような取調官による威圧的な供述の押し付けや不注意に乗じた録取があったことなどを疑わせる事情は認めら 調書が作成されたころ,被告人の体調が取調べに支障があるほど不良であったこと,及び弁護人が主張するような取調官による威圧的な供述の押し付けや不注意に乗じた録取があったことなどを疑わせる事情は認められないので,上記不同意部分も証拠能力を有するというべきである。 (ア)被告会社の一般的な輸入取引の形態被告会社が,輸入冷凍豚の部分肉を国内販売先に販売する方法には,バック・トゥ・バックとロングという2種類の方法がある。 Ⅰバック・トゥ・バックの販売方法とは,次のような手順による販売方法をいう。 ①被告会社が,国内販売先から商品の発注を受け,契約内容の大筋が確定される。 ②被告人が,Fの担当者として,被告会社の国内販売先からの受注単価を考慮し,O等の輸入元(パッカー)に対し,国内販売先が被告会社に発注した内容と同内容(但し,単価については異なる)。 の発注をする。 ③-ⅰ輸入元がその内容で受諾した場合には,仕入れが確定するの,,,で被告会社が国内販売先に対して同販売先からの発注を受諾し同販売先への販売契約が成立する。 ③-ⅱ輸入元が,その内容で受諾せず,カウンターオファー(内容),,を変更した上での新たな販売申し出をした場合には被告会社が発注を受けた国内販売先に対して,カウンターオファーを踏まえた販売条件での販売申し出をする。そして,国内販売先がその条件を受諾した場合には,被告会社と国内販売先との間での新たな条件による販売契約が成立するので,Fは輸入元に対して,カウンターオファーを受諾して,Fと輸入元との間の契約が成立する。 このような販売方法は,リスクが少なく,確実な販売方法であるため,被告会社の取引の大部分を占めていた。 Ⅱロングの販売方法とは,被告会社の国内販売先が決まる前に,Fが輸入元から豚肉を買い付け, 。 このような販売方法は,リスクが少なく,確実な販売方法であるため,被告会社の取引の大部分を占めていた。 Ⅱロングの販売方法とは,被告会社の国内販売先が決まる前に,Fが輸入元から豚肉を買い付け,その後に,被告会社からの国内販売先が決まるという形態である。 ,,この形態の販売方法は国内販売先を見つけることができなければ,,在庫を抱えてしまうというリスクが生じるため被告会社においてはあまり行われなかったが,輸入元が在庫をだぶつかせて安い値段での販売申込があり,かつ,国内販売先の需要が,近日中に出てくると判,。 ,断した場合にはこの形態で買い付けを行っていたこれについてもほとんどの場合は,購入した豚肉が日本に到着するまでに国内販売先に売却していた。 (イ)Oとの具体的な契約条件の交渉及び契約に基づく商品の流れ等Ⅰ被告会社が,国内販売先からバック・トゥ・バックの販売方法による発注を受けると,被告人は,当初は,Fの代表取締役としてOの担,,,当者と交渉をしFがOから購入する冷凍豚肉の輸入量豚肉の部位パッケージ方法などの規格,豚肉1キログラム当たりの仕入れ単価,海上保険料の支払の有無,おおよその船積みの時期などの契約条件を,,決定していたが平成16年9月ころにFの代表取締役を辞めた後も引き続き同様に,被告人がOの担当者との間で上記のような契約条件を交渉し,決定していた。 Ⅱこのようにして契約内容が決まると,被告人から,Fの役員(後に代表者)兼同社の業務代行を行うHの役員であるGに対して,その内容が伝えられ,それとほぼ同時に,Oから,F宛にコンファメーションと呼ばれる契約内容が記載された書面が,Hの事務所にファックス送信される。すると,Gが,被告人から聞いた契約内容とコンファメーションの記載内容に相違がないか 同時に,Oから,F宛にコンファメーションと呼ばれる契約内容が記載された書面が,Hの事務所にファックス送信される。すると,Gが,被告人から聞いた契約内容とコンファメーションの記載内容に相違がないかを確認し,被告会社の海外チーム(輸入業務を取り扱う部署)にこれをファックス送信する。これを受信した被告会社の担当者が,豚肉のコンテナにNP番号という被告会,,,社の管理番号を付し被告人がサインをしてHにファックス送信しさらに,GがこれをOにファックス送信することによって,FとOと の間の豚肉輸入に関する契約が成立する。 Ⅲ一方,FとOとの間の契約が成立する前,あるいは,それとほぼ同時に,被告人の指示を受けた被告会社の従業員が,被告会社の諸経費や利益に相当する額を控除して,Bとの間で,売買単価を決めていたが,Bから被告会社への売買単価については,被告会社に優先的決定権があり,B側が,被告会社が決めた価格に異議を唱えたことはなかった。 また,FとBとの間の契約については,被告人がKに対し,豚肉の品名(部位)に関わりなく,通常期は,1キログラム当たりの単価を524円,セーフガード発動期は,1キログラム当たりの単価を654円と指示をしており,個別の取引に際し,具体的な交渉は行っていなかった。 ⅣFとOとの間の契約が成立すると,Gは,Oから送られてくるシッピング・アドバイスと呼ばれる船積み案内及びインボイスを基に,Oに対する支払日,金額等を把握するための支払予定と題する一覧表を作成し,これを,電子メール又はファックスで,Bの業務代行を行っているJに出向している被告会社の従業員及び被告会社の財務担当者に送っていた。 そして,Gは,FからBに対する契約書であるコンファメーションノート及びインボイスを作成し,これらとともに,Oから送られてき るJに出向している被告会社の従業員及び被告会社の財務担当者に送っていた。 そして,Gは,FからBに対する契約書であるコンファメーションノート及びインボイスを作成し,これらとともに,Oから送られてきたインボイス以外の船積み書類をJに送付していた。なお,FがBに対して発行するコンファメーションノート及びインボイスに記載される貨物の価格は,上記のとおり,被告人から指示された1キログラム当たり524円あるいは654円として計算されていた。 Ⅴその後,商品の豚肉が港に到着すると,Oの許可を得てJが手配した冷蔵庫業者の冷蔵庫に倉入れされる。 ,,ⅥFからOに対する貨物代金の支払やBからFへの支払についてはJに出向していた被告会社の従業員が送金手続を行っていた(Fは,送金に使用される同社の預金通帳や社判などを同従業員に預けていた。Oは,入金を確認すると,商品引渡しを受けるために必要な。)リリースコンファメーションをFにファックス送信し,GがこれをJにファックス送信すると,Jが,通関業者に通関手続を依頼する。通関業者は,FがBに対して発行したコンファメーションノート及びインボイスに記載された貨物の価格を輸入申告価格として関税額等を計算して輸入申告し,申告どおりに関税等を納付するなどして,輸入が許可されていた。 Ⅶ輸入が許可された豚肉は,通常は,Bから冷蔵庫業者への事前の一般的な依頼により,そのすべてが即座に被告会社の所有名義に自動的に変更されることになっており,さらに,同日中に,被告会社が発注を受けた国内販売先に名義が変更されていたから,被告会社が実際に冷蔵庫業者から出庫することは極めて稀であった。 Ⅷなお,被告会社は,通関業者を兼ねていた冷蔵庫業者に対し,Bの冷蔵庫業者に対する冷蔵庫保管料,通関手数料,納付関税に係る立替金 ,被告会社が実際に冷蔵庫業者から出庫することは極めて稀であった。 Ⅷなお,被告会社は,通関業者を兼ねていた冷蔵庫業者に対し,Bの冷蔵庫業者に対する冷蔵庫保管料,通関手数料,納付関税に係る立替金等一切の債務を連帯保証していた。また,Fは,Oとの取引が拡大したことから,同社から二,三億円の保証金の提供を求められたが,それについても被告会社が資金を出している。 ( )具体的な支払の管理 ア当事者の主張検察官は「本件貨物の代金支払は,被告会社からBに振り込まれた金,員を,Bの業務代行者であるJに派遣された被告会社の経理担当者が,香,,,港法人の輸出者であるFの口座を経由して同日中にOに送金しており本件通関手続及び代金支払業務が,実質的には,被告人の指示により,被 」。 ,,告会社の資金によって行われていた旨主張するこれに対し弁護人は「被告会社とB間,BとF間,FとO間の各送金は,それぞれ別個の豚肉取引についての支払であり,検察官の主張は前提を欠く。また,BからFに送金された金員は,必ずしも,被告会社から支出されたものばかりではなく,U又はSなど,被告会社以外の会社とBとの取引に基づいて入金された金員がその原資となっているのであるから,検察官の上記主張には理由がない」旨主張する。 イ前提となる事実(ア)そこで,本件豚肉取引における代金の支払状況についてみると,上記( )イ(イ)Ⅵのとおり,FからOへの支払及びBからFへの支払は, いずれもJに出向していた被告会社の従業員が送金手続を行っていたが,前掲各証拠によれば,FからOへの支払については,上記㨯イ㨯ⅣのとおりGから送られてきた支払予定と題する一覧表に従って,当日が支払予定日の貨物の価格を合計した金額につき,上記従業員がT2銀行q支店に開設されたF名 ば,FからOへの支払については,上記㨯イ㨯ⅣのとおりGから送られてきた支払予定と題する一覧表に従って,当日が支払予定日の貨物の価格を合計した金額につき,上記従業員がT2銀行q支店に開設されたF名義の非居住者円普通預金口座(以下「F送金口座」という)からOの口座への送金手続を行っていたこと,BからF。 への支払については,FがO以外の会社へ支払う予定の金額が記載された,上記一覧表と同様の資料も合わせて参照し,FからO及び同社以外の会社へ支払うべき金額を合計して,上記従業員がT2銀行q支店に開設されたB名義の普通預金口座(以下「B送金口座」という)からF。 送金口座への送金手続を行っていたこと,Jに出向していた被告会社従業員は,Oへの送金においては,NP番号によりどの豚肉に対する支払か把握していたが,Fへの送金ではNP番号の特定はなく,Bにおいては,Fに対する送金日と送金額のみを把握していたに過ぎないことが認められる。 (イ)他方,前掲各証拠によれば,以下の事実も認めることができる。 被告会社においては,財務担当者が,営業などの各部署から回ってくる請求書等を基に,一日ごとに会社全体の入出金を管理する入出金予定表(本件取引に関するものが甲22に添付されている。以下,これを単「」。),,に入出金予定表というを作成し被告人の指示があれば修正し被告人の決済を受けて完成させていた。その入出金予定表には,左列にその日に入金される予定の金額,中列にその日に支払債務が存在する金額,右列にその日に実際に支払う予定の金額が記載されていた。 ,,「(,そして入出金予定表の中列の下の方にはOMDCあるいはヨーロッパ」などという欄があり(OMDC」の記載が現れるの)「は,平成16年6月中旬以降,この欄には,上記㨯 ,,「(,そして入出金予定表の中列の下の方にはOMDCあるいはヨーロッパ」などという欄があり(OMDC」の記載が現れるの)「は,平成16年6月中旬以降,この欄には,上記㨯イ㨯Ⅳのとおり。)Gから送られてくる支払予定と題する一覧表に基づいて,その日にFからO等に支払うべき金額が記載されていた。また,入出金予定表の中列上段から中段にかけて「OMV」などという記載があるが,これら,は,Bの冷蔵庫業者に対する債務額である。 さらに,入出金予定表の中列(その日に実際に支払う予定の金額欄)の下の方にも「OMDC(あるいは,ヨーロッパ」という欄があ,)り,右列の「OMDC」欄の金額が10万の位未満を切上げた数字が記載されている。 また,入出金予定表の中列及び右列には「OMDC」のほかに,,「OMヨーロッパ「OMカナダ」等の記載欄もあり「OMD」,C」の記載と同様の記載がなされていた。 そして,当日の入出金予定表に沿って,B送金口座には,被告会社,あるいはT3銀行r支店に開設されたB名義の普通預金口座以下B,(「別口座」という)又はSの口座から,単独で,あるいは,競合して,。 入出金予定表の右列下の方の「OMDC」等の欄の合計金額に対応した入金がなされていた。 ウ検討(ア)以上の事実からすれば,本件取引における輸入豚肉の代金は,Gが作成する一覧表に記載された支払予定日に,同一覧表に記載された金額が,BからF,FからOに支払われるように送金手続がなされていたものと認められる。 また,被告会社は,同一覧表に基づいて入出金予定表を作成することにより,FからOへの支払について,支払予定日及び支払金額を把握していたこと,これをB(OM)とO(DC)両社に関する債務と認識した上,その支払 会社は,同一覧表に基づいて入出金予定表を作成することにより,FからOへの支払について,支払予定日及び支払金額を把握していたこと,これをB(OM)とO(DC)両社に関する債務と認識した上,その支払予定日に合わせて入出金予定表の中列に掲載し,同じ日の同予定表の右列に,その支払に足りるだけの金額を掲載して,当日のFへの支払額に足りる金額をBに支払うこととしていたこと,B送金口座に被告会社,B別口座又はSの口座等から入出金予定表のBに関する記載(B別口座等に支払われていたとみられる冷蔵庫業者に支払われるべき金額を除く)に従って,この記載と同額以上の入金がされている。 ことが認められる。 これらのことからすれば,被告人が契約交渉をし,最終的に被告会社に販売されることとなっていた輸入豚肉について,被告会社が,FからOへの支払をすべき期日及び金額を把握し,その支払期日にはB送金口座からF送金口座を介してOへの支払が行われるように被告会社が資金繰りをして,支払期日当日ころにB送金口座に支払金額に相当する金額以上の入金をすることにより,B,Fを介して間接的にOへの支払を行っていたものと認められる。 (イ)この点,弁護人が主張するとおり,①平成16年4月12日,同年9月24日,同月27日,同年11月25日,同月26日の支払の原資は,被告会社からの入金だけではなく,BがUから入金を受けた金員が充てられ,②同年12月28日及び同月30日の支払の原資は,被告会 社からの入金だけではなく,BがSから入金を受けた金員が充てられている。 ,,,しかしながらUからの入金に関しUの実質的経営者であったEは「Uは,被告会社からの依頼でその運転資金の調達をする役割を持って。 ,いた私が個人的に付き合いのあるWという会社が融資してくれており被告会社から融資 からの入金に関しUの実質的経営者であったEは「Uは,被告会社からの依頼でその運転資金の調達をする役割を持って。 ,いた私が個人的に付き合いのあるWという会社が融資してくれており被告会社から融資を希望する日付と金額及び返済予定日を知らされると,その金額をUがWから融資を受けてBの口座に振り込んでいた」。 「。」,輸入した豚肉の販売にUは関係していないと供述しているところその供述の信用性を疑わせる事情は特に認められない。また,前掲各証,,,,,,,拠特に甲22 797等によれば平成16年4月12日,同年9月24日,同月27日,同年11月25日及び同月26日の入出金予定表の左列(入金予定欄)下部には,Uから入金がある旨記載されており,その金額の記載もUからBへの入金額とほぼ一致することが認められることからすれば,被告会社がUからBに入金がなされることを認識した上,これを前提として資金繰りをしていたことが明らかである。以上からすれば,弁護人が指摘するUからの入金は,実質的には被告会社に対する貸付金であり,被告会社の資金繰りの一環であると認められる。 一方,SがBと本件に関する豚肉とは異なる豚肉の取引を行っていたことは,BからSに対する請求書や,同じ豚肉についてのSからXへの請求書などの存在から明らかである(弁870,871。しかしなが)ら,前掲各証拠,特に甲22,897,900等によれば,同年12月28日のSからの入金については,その原資は証拠上明らかではないものの,被告会社が作成した同日の入出金予定表の左列(入金予定欄)下部には「割引手形S432,500,000」との記載があり,,同日に同額がSからB送金口座に入金されていること,同月30日のS からの入金については 日の入出金予定表の左列(入金予定欄)下部には「割引手形S432,500,000」との記載があり,,同日に同額がSからB送金口座に入金されていること,同月30日のS からの入金については,その原資は,同日の入出金予定表にも記載がある被告会社のSに対する支払であることが認められ,これは被告会社からSを介してBに入金されたものとみることができる。これらのSからB送金口座への入金が,被告会社の資金繰りと何ら関係のないものであれば,上記の被告会社の入出金予定表に記載される理由はなく,Sは被告人が100パーセント出資して設立した会社であり,被告人が同社の代表取締役も兼務していること(証人C3及び被告人の公判供述)なども併せ考えれば,弁護人が指摘するSからB送金口座への入金についても,被告会社の資金繰りの一環であると評価するのが相当である。 (ウ)なお,弁護人は,被告会社の会計帳簿上,被告会社からBへの代金支払は,FがOへの支払を行った日よりも遅れて行われた旨記載されていると主張する。しかしながら,被告会社は,Bに対し,入出金予定表に基づいて資金繰りをし,送金していたところ,これは,FからOへの支払を念頭において,その支払に充てるために送金していたものであることは前記認定のとおりである。そして,本件当時,被告会社では,Bに対する各支払がどの取引の代金に対するものかを個別に認識してはおらず,事後的に作成された会計帳簿(弁2)においては,弁護人の主張に沿う記載となっているものの,これは会計慣行に従って請求書の日付が古いものから機械的に充当したところ,そのようになったというだけであり(証人C4の公判供述,被告会社が本件当時そのような認識で)会計を行っていたとは認められない。これらに照らせば,弁護人の上記主張は理由がない。 エ 結論 以 ころ,そのようになったというだけであり(証人C4の公判供述,被告会社が本件当時そのような認識で)会計を行っていたとは認められない。これらに照らせば,弁護人の上記主張は理由がない。 エ 結論 以上からすれば,本件輸入豚肉に係るOへの代金の支払については,その時期及び金額を被告会社が統括・管理しており,その支払の原資も,実質的には,被告会社の資金であったと認められる。 ( )そこで,これらの事実を前提に,被告会社が,本件豚肉を輸入した者と して,本件取引に係る関税の納付義務者に当たるかについて検討する。 ア形式的な輸入者前記㨯イの取引関係を整理すると,本件の豚肉取引においては,契約の形式上,デンマークのOから香港のFへ豚肉が販売され,これがFから国内のBへと輸入販売された上,Bから被告会社へ,被告会社から同社の国内販売先へと転売されていく形態になっており,輸入申告の際の輸出者はF,輸入者はBとなるから,関税の納付義務者はBということになりそうである。 イB及びFの取引上の地位,,,(ア)しかしながら具体的な契約交渉過程をみるとOとFとの間では取引対象となる豚肉の種類及び数量並びに1キログラム当たりの売買単価という契約の基本的条件について,被告会社の代表取締役である被告人が,Oの担当者と交渉して決定していた。このようにしてFが購入した豚肉は,そのすべてがBに転売されていたが,その売買単価は,被告人の指示により,関税を考慮して1キログラム当たり524円又は654円と固定されていた。Bに転売された豚肉は,被告会社に転売されるが,その売買単価は,買主である被告会社の代表取締役である被告人の指示により,被告会社の国内販売先に対する売買単価から,被告会社が取得すべき利益や経費等を控除して決定されており,売主であるBがこれ が,その売買単価は,買主である被告会社の代表取締役である被告人の指示により,被告会社の国内販売先に対する売買単価から,被告会社が取得すべき利益や経費等を控除して決定されており,売主であるBがこれに異議を唱えることはなかった。そして,被告会社から国内販売先への売買単価については,被告会社が国内販売先の希望に添う条件でOから豚肉を仕入れることができるかどうかによるにせよ,最終的には被告会社と国内販売先との契約交渉により決定されていたと認められる。 (イ)以上からすると,Bにおいては,被告人の指示によりFが決めた1キログラム当たり524円又は654円という売買単価で豚肉を購入 し,これを被告人の指示により被告会社で決めた売買単価で販売していたものであり,何ら契約条件を決定する主体性を有していなかったことが明らかである。 また,Bの販売単価は,その仕入単価に比べて相当低額であり,恒常的に赤字が発生するような販売単価を受け入れていたこと自体が異常であるが,Bの実質的な経営者であるEは,被告会社の経営者である被告人と契約条件について交渉したことはなく,取引された豚肉の価格とは無関係に,取引量1キログラム当たり2円の金員を販売手数料の名目で被告会社から受け取ることだけを合意しており,この販売手数料が,本件取引に係る支払に使用されていたB送金口座やB別口座と異なる口座に入金されていたことからすれば,B自身の経済的利益は,専ら販売手数料だけであり,豚肉取引の契約条件や収支とは無関係であったと認められる。 (ウ)一方,Fにおいては,仕入価格は被告人がOと交渉して決定し,販売価格は被告人が独断で決めていたと認められる。 被告人は,Fの代表取締役であったこともあるが,その役職を辞した後も同社を支配し,従前と同様にOとの交渉やBへの販売単価の指示を と交渉して決定し,販売価格は被告人が独断で決めていたと認められる。 被告人は,Fの代表取締役であったこともあるが,その役職を辞した後も同社を支配し,従前と同様にOとの交渉やBへの販売単価の指示を続けていた。そして,前記のような本件豚肉取引の流れをみると,被告人は,豚肉が被告会社から国内販売先へ売却されることを念頭においてOとの売買交渉をしていたと考えられる。 ところで,Fは,Oからの仕入単価より相当高額でBに豚肉を販売していたのであるから,その取引により恒常的に多額の利益が累積するはずであるが,Fの代表取締役を被告人から引き継いだGは,Bに対する数十億円に上るとみられる多額の売掛債権の残高を帳簿で管理することさえしていなかった。 また,Fは,Oからの仕入れやBへの販売,及び,これに伴うF送金 口座の入出金を,決算報告書に記載しておらず,Fの運営費用は,主としてT1銀行に開設されたF名義の口座にOから豚肉の取引量に応じて入金される手数料で賄われていた。さらに,前掲各証拠によれば,少なくとも平成15年11月25日から平成17年1月25日までの間は,FのHに対する業務委託料(毎月150万円ないし250万円)が,B別口座からHの口座に送金されていたこと,この支払は被告会社が入出金予定表に掲載しており,被告会社がその支払を管理し,そのための資金繰りをしていたことも認められる。 これらのことからすれば,F自身は,本件豚肉取引自体による利益の回収には無頓着であり,その取引の契約条件や収支にも関心がなかったものと認められる。 ウB及びFの取引の実態(ア)Bは,本件取引において,Fから豚肉を受け取って輸入する業務の一切をJに委託しており,輸入が許可された豚肉は,自動的に被告会社に所有名義が変更されることになっていた。Jにおいても,実際にBか (ア)Bは,本件取引において,Fから豚肉を受け取って輸入する業務の一切をJに委託しており,輸入が許可された豚肉は,自動的に被告会社に所有名義が変更されることになっていた。Jにおいても,実際にBからの受託業務を行っていたのは,代表者のKと出向していた被告会社の従業員であり,Bの販売単価は,被告人の指示により決定されていた。 また,被告会社からJに対しては,技術指導料の名目で,月額100万円が支払われていた。 Fは,本件取引において,被告人から指示された販売単価によりBに対しインボイス等の書類を発行したり,Oから提供される豚肉の到着時期等に関する情報をBに取り次ぐ業務を行っていたが,これらの業務はGが役員をしているHが代行していた。Hに対するFからの業務委託料も,実質的には被告会社が支払を管理して資金繰りをしていた。 (イ)また,豚肉取引に係る代金の支払については,前記( )で検討した とおり,当初の支払予定に従って,BからFへ,FからOへと,Jに出 向していた被告会社の従業員により送金手続が行われることとなっており,その原資はB送金口座に入金されていたが,その資金繰りは被告会社が管理して行っていたと認められる。 (ウ)さらに,FがOと取引を拡大するに当たり,Oから2億円ないし3億円の保証金の提供を求められた際には,被告会社がこれを融通し,輸入業務に伴うBの冷蔵庫業者に対する債務について,被告会社が連帯保証している。 エ実質的な輸入者以上を前提に,被告会社が,関税を納付すべき実質的な輸入者,つまり実質的に本件豚肉の輸入の効果が帰属する者に当たるかを検討する。 (ア)まず,上記イで検討したとおり,F及びBは,本件豚肉取引の契約条件について,何ら関心を有しておらず,仕入価格と販売価格の差益により利益を受ける地位にないものと認め る者に当たるかを検討する。 (ア)まず,上記イで検討したとおり,F及びBは,本件豚肉取引の契約条件について,何ら関心を有しておらず,仕入価格と販売価格の差益により利益を受ける地位にないものと認められる。 (イ)これを対し,被告会社は,国内販売先と販売単価等の契約条件を決めた後,Bからの仕入単価を,その販売単価から自らの利益や経費等を,,控除して一方的に決めていたのであるからOとFとの間の取引条件やFとBとの間の取引条件について,関心を有しないようにも思われる。 しかしながら,被告会社は,前記のとおり,そのほとんどにおいて,国内販売先への売却交渉をした上でOとの売買交渉をしているのであって(ロングの場合においても,被告会社から国内販売先への販売が見込まれる場合に行われ,多くは豚肉が港に着くまでには国内販売先に売却されている,OへFが代金の支払をする時点では,国内販売先に当。)該豚肉を引き渡す債務を負う状態となっていた。したがって,被告会社が,国内販売先に豚肉を引き渡して販売代金を回収するためには,当該豚肉についてOに対する支払がなされ,同社から冷蔵庫業者への搬入許可やリリースコンファメーションが出されることが不可欠であり,その 売買代金は,前記のとおり,B送金口座に被告会社が資金を準備することにより,F送金口座を介して支払われていたのである。したがって,被告会社としては,Bとの取引条件にかかわらず,現実には,Oの販売価格を支払わなければならなかったのであり,Oの販売価格,すなわちOとFとの間の取引条件に直接の利害関係を有していたと認められる。 また,FからBへの販売価格を輸入申告価格として関税が計算され,関税を納付しなければ輸入が許可されず,豚肉を引き取って被告会社の国内販売先に引き渡すことができないが,関税についても, と認められる。 また,FからBへの販売価格を輸入申告価格として関税が計算され,関税を納付しなければ輸入が許可されず,豚肉を引き取って被告会社の国内販売先に引き渡すことができないが,関税についても,Bの冷蔵庫業者に対する支払の一部として,被告会社が入出金予定表に記載して管,,,理し資金繰りを行っていたと認められることからすれば被告会社はFとBとの間の取引条件についても,直接の利害関係を有していたと認められる。 以上からすれば,被告会社は,本件豚肉取引を実現し,国内販売先に豚肉を引き渡して売上げを得るためには,OとFとの間の取引条件に基づいて支払を行い,FとBとの間の取引条件に基づいて計算される関税を納付しなければならず,国内販売先への販売価格から,Oに支払う価格及び納付すべき関税のほか,被告会社からB等の関係会社への直接又は間接の支払を控除した金額が,被告会社の実質的な利益になっていたものと認められる。 このことに加え,被告会社の代表取締役でもある被告人が,OとFとの間の取引条件の交渉に当たっていること,FやBの業務を代行する,G並びにJ及びその担当者も,豚肉を保管する冷蔵庫業者の選定などの事務的な作業は独自の裁量で行っていたものの,取引書類に記載する売買単価等については被告人の指示を受けていたものであること,このため,被告人は,Oから購入する豚肉を国内販売先に売却した場合の被告会社の利益について,FやBに関わりなく予測ないし計算することがで きること,BやFの関係者に対して,被告会社から直接又は間接に定期,,,的な支払がされていたこと被告会社がOへの取引の保証金の融通や冷蔵庫業者への支払保証をしていることからすれば,本件豚肉取引は,実質的には,被告会社がOから豚肉を購入し,輸入していたものと認めるのが相当である。 れていたこと被告会社がOへの取引の保証金の融通や冷蔵庫業者への支払保証をしていることからすれば,本件豚肉取引は,実質的には,被告会社がOから豚肉を購入し,輸入していたものと認めるのが相当である。 (ウ)この点,弁護人が主張するとおり,FやBは,いずれも形式的には独立の法人格を有するものである。しかしながら,本件豚肉の取引の実態が上記のとおりであることからすれば,FやBが取引に介在していることに合理的な理由や必要性は認められない。 それにもかかわらず,この2社が取引に介在しているのは,Oからの仕入単価や,被告会社の仕入単価にかかわらず,Bの行う輸入申告の申告価格を分岐点価格に近づけて,関税額を最小にすることが目的であったと認められる。FとBとの間で行われた豚肉取引における1キログラム当たりの売買単価が,被告人の指示により,Fの仕入価格やBの販売価格とは無関係に,関税額が最小となる分岐点価格が約524円のときは524円,セーフガードが発動されて分岐点価格が約653円のときは654円とされており,被告人が意図的に売買単価を分岐点価格付近に設定していることは明らかである。Oと被告会社との間に,この2社の取引を介在させることにより,実質的に被告会社がOから購入して輸入する豚肉につき,その購入価格にかかわらず関税額を最小にしていたのである。このFとBの取引が正常ものでないことは,最終的な購入者である被告会社の代表取締役である被告人が,被告会社と国内販売先と,,の間の契約の前提となるFBの仕入単価や販売価格を決めていることBが,常に仕入価格より低い価格で被告会社に豚肉を販売し,恒常的に赤字を累積させていること,Fは,仕入価格よりもかなり高い価格でBに転売しているが,その収支や売掛金の残高を把握しておらず,その回 収に関心を示していな い価格で被告会社に豚肉を販売し,恒常的に赤字を累積させていること,Fは,仕入価格よりもかなり高い価格でBに転売しているが,その収支や売掛金の残高を把握しておらず,その回 収に関心を示していないことなど,この2社及び被告会社の間での取引に経済的な合理性が認められないことからも明らかである。そして,このような仕組みによる関税額の最小化は,被告人が豚肉取引にMとNを介在させたときから,介在する会社を変えながら継続的に行われてきたものと認められる。弁護人は,それ以外にも,2社を本件取引に介在させる合理的理由があるとして縷々主張するが,以上のような本件取引の実態からすれば,いずれも上記認定を左右するものではない。 なお,弁護人は,FやBが,本件取引において独自の機能を発揮しており,本件取引以外の活動もしていることから,独自の経済的主体性を有すると主張する。確かに,FやBが本件取引以外の独自の取引や活動をしていることはうかがわれるから,この2社が経済的な実体のないダミー会社である旨の検察官の主張は採用できないが,本件取引における2社の地位や取引の実態が上記認定のとおりと認められる以上,2社が本件取引において独自の経済的主体性を有しているとはいえないのであり,弁護人の主張は採用できない。 (エ)また,弁護人は,①被告会社においては,ほとんどの取引をバック・トゥ・バックの方法により行っているから,豚肉が被告会社の名義に変更される以前に販売先が決定しており,被告会社は当該販売先以外の者に販売することができなかったし,輸入に係る豚肉は,通関すると同時にBから被告会社へ,さらに,通関当日中には被告会社から国内販売先へと名義が変更されることから,輸入時点においては,被告会社は当該豚肉についての処分権限を有しておらず,これを有していたのは国内販売先 Bから被告会社へ,さらに,通関当日中には被告会社から国内販売先へと名義が変更されることから,輸入時点においては,被告会社は当該豚肉についての処分権限を有しておらず,これを有していたのは国内販売先であること,②被告会社が得た利益は僅少で,利益を受けたのは結果的に安価で豚肉を購入できた国内販売先であるから,本件取引による利益の帰属主体は国内販売先であることを理由として,被告会社は実質的輸入者ではないと主張する。 しかしながら,バック・トゥ・バックの方法による場合でも,被告人及び被告会社は,国内販売先から契約条件の提示を受け,被告人はこれを踏まえて最終的に被告会社に利益が出るようにOと契約条件を交渉,,。 ,しこれがまとまれば国内販売先と契約を締結しているそうすると,,現に豚肉を輸入する時点においては国内販売先が決定しているもののそれに先だって,国内販売先からの契約条件の提示を任意に受け,これに基づいて仕入れ先であるOと自由に交渉し,その結果に基づいて国内販売先と契約を締結しているのであるから,自らの意思で自らの利益も考慮して販売先及び販売条件を決定しているというべきであり,被告会社が実質的な処分権を有していることは明らかである。また,被告会社の国内販売先は,本件取引により被告会社が仕入れた豚肉を安価で購入することができたという利益を享受しているとしても,それは被告会社が関税の納付を不正に免れた結果にすぎない。そして,国内販売先は輸入取引条件の決定や輸入手続に何ら関与していないことからしても,国内販売先を実質的な輸入者とみる余地はなく,弁護人の上記主張は到底採用することはできない。 ( ) 結論 したがって,被告会社は,実質的に輸入の効果が帰属する者であり,実質的にみて本邦に貨物を引き取って処分する権限を有する者に 地はなく,弁護人の上記主張は到底採用することはできない。 ( ) 結論 したがって,被告会社は,実質的に輸入の効果が帰属する者であり,実質的にみて本邦に貨物を引き取って処分する権限を有する者に当たるから,関税法上の「貨物を輸入する者」に該当し,被告会社が本件各豚肉輸入に係る関税の納税義務者であると認められる。 第4争点( )(公訴棄却の申立て)について 弁護人は,本件の公訴提起は,①別会社に対する同様の関税法違反事件と比較して,偏頗な公訴提起であり,かつ,②本件各取引における実質的輸入者についての調査が不十分であり,差別的な起訴であって,本件の公訴提起は,検察官の起訴裁量を著しく逸脱した違法なものであるから公訴を棄却されるべきであると 主張する。 そこで検討するに,刑事訴訟法が公訴の提起をするかしないかについて検察官に広範な裁量権を認めていることからすれば,検察官の公訴提起が公訴権の濫用として無効となるのは,公訴提起自体が職務犯罪を構成するような極限的な場合に限られると解される。そして,偏頗で違法な起訴であるか否かは,被告人よりも有利な取扱いを受けている者がいるかどうかによるのではなく,あくまでも被告人自身に対する刑事責任の有無,大小に基づいて,被告人が一般の場合と比べて不当に不利益に取り扱われているかどうかにより判断すべきものと解される。 これを本件についてみるに,本件は,1年以上にわたり823件の不正な輸入申告を繰り返し,約59億円の関税の納付を不正に免れたという巨額の脱税事件であり,組織的かつ計画的に敢行された重大事案であると認められるところ,弁護人の指摘する別会社の違反事件がこれよりもさらに重大な事案であるとは認められない。これに加えて,本件の起訴により被告人及び被告会社が一般の場合と比べて不当に不利益に扱われたこ 認められるところ,弁護人の指摘する別会社の違反事件がこれよりもさらに重大な事案であるとは認められない。これに加えて,本件の起訴により被告人及び被告会社が一般の場合と比べて不当に不利益に扱われたことをうかがわせる事情は何ら認められないし,本件公訴提起が検察官の職務犯罪を構成するようなものとも認められないことは明らかであるから,弁護人の①の主張は理由がない。 また,前記第3で検討したとおり,本件取引に係る関税の納付義務者が被告会社であることは証明十分といえるから,弁護人の②の主張はその前提を誤ったものであるといわざるを得ない。 したがって,弁護人の公訴棄却の申立てには理由がない。 第5 結論 以上の次第であるから,弁護人の主張はいずれも理由がなく,前掲各証拠によれば,判示の事実を認定することができる。 (法令の適用)罰条(被告人及び被告会社につき)別紙一覧表番号1ないし132の各行為 各行為ごとにいずれも平成19年法律第20号附則4条,平成18年法律第17号附則6条及び平成16年法律第15号附則5条により,同法による改正前の関税法117条1項,平成17年法律第22号附則5条により,同法による改正前の関税法110条1項1号別紙一覧表番号133ないし823の各行為各行為ごとにいずれも平成19年法律第20号附則4条及び平成18年,,法律第17号附則6条により同法による改正前の関税法117条1項平成17年法律第22号附則5条により,同法による改正前の関税法110条1項1号刑種の選択(被告人につき)いずれも懲役刑及び罰金刑を選択併合罪の処理懲役刑につき(被告人につき)刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い別紙一覧表番号103の罪の刑に法定の加重)罰金刑につき(被告人及び被告会社につき)いずれも刑法45条前 合罪の処理懲役刑につき(被告人につき)刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い別紙一覧表番号103の罪の刑に法定の加重)罰金刑につき(被告人及び被告会社につき)いずれも刑法45条前段,48条2項(各罪所定の罰金の多額を合計)未決勾留日数の算入(被告人につき)刑法21条(懲役刑に算入)労役場留置(被告人につき)刑法18条訴訟費用の負担(被告人及び被告会社につき)いずれも刑事訴訟法181条1項本文,182条(量刑の理由)本件は,輸入豚肉等の販売等を業とする被告会社の代表者である被告人が,被告会社の業務に関し,同社が外国産冷凍豚部分肉を輸入するに当たり,情を知らない 通関業者の従業員を介して,前後823回にわたり,内容虚偽の輸入申告を行うことにより,いわゆる差額関税合計約59億円をほ脱したという事案である。 被告人は,国内の豚肉流通価格が,いわゆる分岐点価格以下で推移していることから,国内で流通可能な価格で豚肉を輸入して販売するためには,差額関税を免れることが必要不可欠であると考え,内容虚偽の輸入申告を行う等の不正の手段によって,多額の関税を免れようとしたものであって,犯行の経緯や利欲的な動機,国家の課税制度を軽んじる態度には,強い非難が向けられるべきである。 その態様を見ても,名目上の輸出者及び輸入者を介在させ,被告会社が真の納税義務者ではないかのように装い,関税額が最も低額となる分岐点価格に極めて近い価格で豚肉を輸入したように輸入単価を偽装し,納付すべき関税をほ脱していたものであり,甚だ計画的で,巧妙かつ悪質である。そして,関税ほ脱期間は1年余りに及び,その間に823回もほ脱行為を行い,合計59億円余りの多額の関税をほ脱したもので,そのほ脱率も約91パーセントと高率である。被告会社が本件取引により得た販 る。そして,関税ほ脱期間は1年余りに及び,その間に823回もほ脱行為を行い,合計59億円余りの多額の関税をほ脱したもので,そのほ脱率も約91パーセントと高率である。被告会社が本件取引により得た販売利益も合計約2億4500万円にも上り,本件各犯行の結果は重大である。 ,,,,そして被告人は被告会社の代表者として本件各犯行の枠組みを自ら構築し,,関係会社の従業員らに直接指示するなどして主導的な立場で本件各犯行を遂行し本件により多大な利益を享受していたものと認められる。それにもかかわらず,被告人は,差額関税制度自体が不合理であり,かかる制度の下では,本件取引が最善の取引形態であると強弁して本件各犯行を否認し,本税を納付する姿勢すら見せておらず,反省の態度はうかがわれない。 以上からすれば,被告会社及び被告人の刑事責任はいずれも重大であるから,被告会社及び被告人には前科はないことなど,それぞれに有利に斟酌すべき事情を考慮しても,被告会社に対しては,主文の罰金刑を科し,被告人に対しては,主文の懲役刑及び罰金刑を併科するのが相当であると判断した。 (求刑被告会社につき罰金2億5000万円,被告人につき懲役3年6月及び罰 金2500万円)平成21年3月26日千葉地方裁判所刑事第1部裁判長裁判官彦坂孝孔裁判官作田寛之裁判官井草健太
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