平成22(行ス)6 仮の義務付け決定に対する抗告事件(原審・福岡地方裁判所平成22年(行ク)第3号)

裁判年月日・裁判所
平成22年7月20日 福岡高等裁判所 警察関係
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判決文本文4,056 文字)

- 1 -主文 本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理由 第1抗告の趣旨及び理由抗告の趣旨及び理由は,別紙「即時抗告状」及び「抗告理由書」(いずれも写し)に記載のとおりである。 第2当裁判所の判断 当裁判所も,相手方の本件申立ては原決定主文第1項の限度で理由があるものと判断する。その理由は,次のとおり補正するほかは,原決定の「理由」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)4頁4行目の「10条3項」を「10条の3第2項」に,7行目の「4項」を「3項」に,11頁25行目の「怠たり」を「怠り」に改める。 (2)19頁16行目の「2月度」の次に「(同年1月30日から同年2月20日まで)」を加え,20頁5行目の「3月21日」を「2月21日」に,19行目の「適正な原価を償い,かつ,適正な利潤を含むものであること」を「適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」に,21頁22行目の「4号」を「3号」に改める。 (3)27頁8行目の「,同13,同15,同33」を削り,18行目の「乗場」を「乗り場」に,19行目の「1月度」を「2月度」に,20行目の「65%」を「60%」に,28頁15・16行目の「4511万7000円」を「4511万7280円」に,29頁5行目の「149万21000円」を「149万2100円」に,6行目の「5億3968万7000円」を「5億5311万5900円」に,7行目の「4497万4000円」を「4609万3000円」に,16行目の「4億7576万6000円」を「4億7576万5000円」に,33頁16・17行目の「適正な原価を- 2 -償い,かつ,適正な利潤を含むものであること」を「適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」に改める。 (4)35頁25行目の「申請を行 円」に,33頁16・17行目の「適正な原価を- 2 -償い,かつ,適正な利潤を含むものであること」を「適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」に改める。 (4)35頁25行目の「申請を行えば」の次に「(相手方は,原決定後の平成22年5月18日に申請を行った(甲61)。)」を加える。 抗告理由について(1)抗告人は,①本件申請に係る初乗り運賃500円は自動認可運賃と大きく乖離していたこと,②本件申請に係る運賃は,実績年度(平成21年3月度から同年11月度まで)の原価に利潤を加えたものを著しく下回っていたこと,③相手方は今後の収支を確実性をもって予測するに足りる過去(5年)の実績を有しなかったことなどを挙げて,本件申請に係る運賃が法9条の3第2項1号(読み替え後のもの。以下同じ。)にいう「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの」と認めるに足りないとした処分行政庁の判断は合理的である旨主張する。 しかしながら,①自動認可運賃は,それぞれの地域に膨大な数の事業者が存在するタクシー事業においては,すべての事業者の運賃を個別に審査し,その適否を個別に判断することは事実上困難であり,集合的に処理せざるを得ない面があるという実態を踏まえて,行政運用上の措置として設定されたものである。すなわち,自動認可運賃は,行政において,当該運賃が個別事業者の審査を省略したとしても法9条の3第2項に定める運賃等の認可の基準に適合すると合理的に推認し得る運賃水準の上限と下限の幅等を設定したものである(乙15参照)。したがって,自動認可運賃の幅の中に収まる運賃等であれば法9条の3第2項に適合すると推認することはできるが,自動認可運賃から乖離しているからといって,当然に同条項に適合しないものと推認することはできない。 また,②原決定も 幅の中に収まる運賃等であれば法9条の3第2項に適合すると推認することはできるが,自動認可運賃から乖離しているからといって,当然に同条項に適合しないものと推認することはできない。 また,②原決定も説示するとおり,そもそも,開業後間もなく平年度の運送収入からは相当程度乖離するとみられる平成21年3月度や同年4月度の- 3 -実績値を算定の基礎に加える一方,相手方から資料が提出された同年12月度の実績値を算定の基礎に加えないという処分行政庁の運送収入の査定方法が不合理であるということができるから,同年3月度から同年11月度までの実績値との比較をいう抗告人の主張は失当である。 さらに,③相手方は,本件申請当時,福岡交通圏内でタクシー業を営むようになって1年が経過していなかった事業者であるから,過去の実績を有しないのは当然であり,過去の実績を有しないことを根拠とする抗告人の主張は失当である。 (2)ア抗告人は,原決定によれば,処分行政庁は,申請者が示した算定方法がそれ自体としては蓋然性の高い予測方法ではなかった場合にも,その計算の中に蓋然性の高い部分があるかを検討し,計算を加工修正した上で認可の可否を判断しなければならないことになるが,処分行政庁にはそのような義務はない旨主張する。 イそもそも,処分行政庁は,本件申請に係る運賃等が法9条の3第2項1号の基準に適合するか否かを判断すべきものであり,申請者である相手方が提示した本件算定方法の合理性を判断するものではない(本件算定方法は上記適合性判断の資料となるにすぎない。)。 そして,相手方は平成21年1月30日から福岡交通圏内でタクシー業を営んでいる者であることや,本件処分時までに判明していた相手方の運送収入,日車営収,実車率,実車走行キロ等の推移を考慮すると,処分行政庁が,平年度の運送収 年1月30日から福岡交通圏内でタクシー業を営んでいる者であることや,本件処分時までに判明していた相手方の運送収入,日車営収,実車率,実車走行キロ等の推移を考慮すると,処分行政庁が,平年度の運送収入の査定に当たって,開業後間もなく,平年度の運送収入からは相当程度乖離するとみられる同年3月度や同年4月度の実績値を算定の基礎に加える一方,相手方から資料が提出された同年12月度の実績値を算定の基礎に加えなかったことは,法9条の3第2項1号の基準に適合するか否かの判断にある程度の裁量的要素があることを考慮してもなお,不合理であると一応いうことができる。そこで,同年5月度か- 4 -ら同年12月度までの実績値(甲9)を処分行政庁の算定方法に当てはめると,将来の増収見込み等を考慮しないとしても,平年度の運送収入は次のとおり5億1081万1000円となり,処分行政庁の査定した運送収入4億7576万5000円(乙6)と相当程度(金額で約3500万円,比率で約7.4%)乖離する(なお,同じ期間の総走行キロを実車キロと同様に1年当たりに換算すると,処分行政庁が運送原価の査定の基礎とした418万9252㎞(乙7)と約1.2%しか乖離しない424万0390㎞となる。このことは,相手方が,処分行政庁が想定するよりも収益性の高い営業を行っていることをうかがわせる。)。 (ア)平成21年4月21日から同年12月20日までの運送収入の合計額3億4147万6100円(イ)上記期間における合計査定実車走行キロ109万1495㎞(ウ)実車キロ当たりの運送収入(平均)312.85円/㎞((ア)÷(イ))(エ)年間実車キロ163万2769㎞((イ)/244日×365日。 ㎞未満切捨て。以下同じ。)(オ)平年度の運送収入5億1081万1000円((ウ) 312.85円/㎞((ア)÷(イ))(エ)年間実車キロ163万2769㎞((イ)/244日×365日。 ㎞未満切捨て。以下同じ。)(オ)平年度の運送収入5億1081万1000円((ウ)×(エ)。千円未満切捨て。)以上の算定結果に加えて,相手方が処分行政庁に提出した資料等によれば,開業2年目に当たる平成22年には相手方が前年よりも増収する可能性が十分に考えられたこと,現に,本件処分の直前及び本件処分がされたころである平成22年1月度から同年3月度までの運送収入は平均4728万6176円(円未満切捨て。以下同じ。)であり(甲32),平成21年5月度から同年12月度までのそれ(4268万4512円)より約460万円(比率にして約10.8%)高額であること,そもそも相手方- 5 -は本件申請の約9か月前に本件申請に係る運賃等と同じ初乗り運賃500円で原設定認可を受けていたことをも併せ考慮すると,処分行政庁が,将来の増収見込み等を十分考慮することなく,また原認可に付した期限を延伸する間に平成22年1月度以降の運送収入の実績の資料を収集するなどしないまま,平成21年3月度から同年11月度までの実績等に基づいて本件申請を却下したこと(本件処分),及び本件申請を認可しないことはその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると一応認めることができる。 ウ原決定は以上とおおむね同旨をいうものと解することができる。抗告人の上記主張は原決定を正解しないものであり,理由がない。 (3)抗告人は,前記(1),(2)のほかにもるる主張するが,いずれも処分行政庁が本件申請を却下したこと(本件処分)及び本件申請を認可しないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると一応認めることができるとの前記判断を左右するに足りない。 よって,原決定 行政庁が本件申請を却下したこと(本件処分)及び本件申請を認可しないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると一応認めることができるとの前記判断を左右するに足りない。 よって,原決定は相当であるから,本件抗告を棄却し,抗告費用は抗告人に負担させることとして,主文のとおり決定する。 平成22年7月20日福岡高等裁判所第1民事部裁判長裁判官古賀寛裁判官川野雅樹裁判官齋藤毅

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