令和3(ワ)21224 損害賠償金請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年11月21日 東京地方裁判所
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判決文本文15,923 文字)

1 令和4年11月21日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第21224号 損害賠償金請求事件口頭弁論終結日 令和4年9月22日判 決原告エス・アンド・ケー株式会社5被告A主 文1 被告は、原告に対し、5万円及びこれに対する令和3年4月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 103 訴訟費用は、これを16分し、その15を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求15被告は、原告に対し、79万9992円及びこれに対する令和3年4月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要事案の要旨本件は、原告が、被告の運営するオンラインストアにおける別紙画像目録120記載①ないし⑦(以下、番号に従って「本件画像①」、「本件画像②」などということがある。)及び同目録2記載の各画像(以下、これらを総称して「本件商品画像」といい、本件画像①ないし⑦と併せて「本件各画像」ということがある。)を複製した画像の掲載が、本件各画像についての原告の著作権(複製権及び公衆送信(ただし、送信可能化のみ。)権)を侵害するとして、不法行為に基25づく損害賠償として、著作権法114条3項により算定される損害金79万9 2 992円及びこれに対する令和3年4月16日(不法行為の後の日)から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) )から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)5当事者原告は、「SCANPAN」(スキャンパン)ブランドのデンマーク製キッチン製品及び調理器具についての日本国内の正規代理店として、当該製品等の輸入及び販売を行っている株式会社である。 被告は、「B」との屋号を用いて、インターネット上のショッピングモール10において、「C」とのストア名でオンラインストア(以下「被告ストア」という。)を運営する者である(甲3)。 被告ストアにおける本件各画像の利用等(甲2、3、12)ア 本件画像①ないし⑦の各画像は、「SCANPAN」ブランドのノンスティックフライパン(以下「原告商品」という。)を用いて調理をしている写15真や、原告商品に共通する性能、特長などを紹介する写真、画像及び説明文等から構成されている。また、本件商品画像の各画像では、商品ごとに、中央に原告商品の写真が、右下にスポンジの写真が、それぞれ配置されている。 イ 被告は、少なくとも令和3年2月24日から同年5月12日頃にかけて、20被告ストア内に、合計11商品について、商品ごとに一つのウェブページを作成し、当該各ウェブページにおいて、本件画像①ないし⑦の各画像及び本件商品画像のうち当該商品に相当する画像1点をそれぞれ複製した画像を掲載して送信可能化した。 3 ウ 被告は、少なくとも前記イの期間、被告ストアにおいて、原告商品を1点当たり1万6840円ないし4万8123円(いずれも消費税込み)で販売していた。 争点本件各画像の著作物性及び著作権者(争点1)5著作権侵害についての被告の故 て、原告商品を1点当たり1万6840円ないし4万8123円(いずれも消費税込み)で販売していた。 争点本件各画像の著作物性及び著作権者(争点1)5著作権侵害についての被告の故意又は過失の有無(争点2)損害の有無及びその額(争点3)当事者の主張争点1(本件各画像の著作物性及び著作権者)について(原告の主張)10ア 本件各画像は、原告が日本の代理店として長年日本市場に原告商品を販売してきた経験を踏まえ、日本の消費者に伝えるべき大切なことを表現として具現化したオリジナルなものであって、次のとおり、いずれも著作権法上の保護の対象となる著作物である。 なお、本件各画像にはスキャンパン本社から提供された画像も使用され15ているが、それは全体のうちの一部にとどまり、本件各画像に表現されているものは原告独自の発想に基づくものである。 (ア) 本件画像①ブラック、ゴールド及びレッドの配色は高級感及び贅沢感を、クラシックな書体は時代を超えたエレガントさを表現しており、これらを組み20合わせることで全体として上質な料理という印象を与えることを目指している。背景にかすかに見える「Made in Denmark」の表示は、仰々しくなく、さりげない上品な表現であることを示唆している。白い枠で囲んだ写真をばらばらに配置した構図は、消費者が撮った料理のスナップショットのように見せることで、消費者が原告商品を既に生活の一部とし25て使用していることを想像できるようにした。配色やフォントで高級感 4 を表現しながらも、餃子、卵焼き、パンケーキといったごくベーシックな料理を採用したのは、日本の消費者が普段作っている一般的な料理も、原告商品を使えば更においしくなることを示すための意図的、ク を表現しながらも、餃子、卵焼き、パンケーキといったごくベーシックな料理を採用したのは、日本の消費者が普段作っている一般的な料理も、原告商品を使えば更においしくなることを示すための意図的、クリエイティブな選択である。 (イ) 本件画像②5本件画像①に使用した配色、フォント及び「Made in Denmark」の表示を繰り返し使用して、日本の消費者に届けたい洗練されたメッセージとしている。「スキャンパン」が国際的に認知されたブランドで、様々な国の消費者が「良い商品だ」と感じていることを示すために、市場国を表す国旗を多数配置しつつ、メイン市場国、サブ市場国の違いにより国旗10の大きさを変化させている。また、国旗の横にスキャンパンのブランドロゴを大きくあしらって、国際的に通用するブランドであることを強調している。さらに、中華鍋とアジアン料理を組み合わせて、「世界の食卓」というコンセプトとバラエティの多さを表現している。スキャンパン社の中華鍋の写真を用いつつ、他の創造的な表現を組み合わせることで、15原告オリジナルなイメージに仕上げている。 (ウ) 本件画像③本件画像①に使用した配色、フォント及び「Made in Denmark」の表示を繰り返し使用して、日本の消費者に届けたい洗練されたメッセージとしている。グレーとブルーを基調とし、厳しい表情の作業員などを被写20体とした真面目で誠実、北欧の力強い職人技、高品質なハンドクラフトであるとの印象を与える写真を選択した上、白い縁取りをやめてプロフェッショナルな印象に仕上げ、原告商品が丁寧に作られていることを消費者に伝えている。男性が作業している写真はスキャンパン社から提供されたものであるが、他の創造的な表現を組み合わせることで、原告オ25リジナルなイメージに 、原告商品が丁寧に作られていることを消費者に伝えている。男性が作業している写真はスキャンパン社から提供されたものであるが、他の創造的な表現を組み合わせることで、原告オ25リジナルなイメージに仕上げている。 5 (エ) 本件画像④本件画像①に使用した配色、フォント及び「Made in Denmark」の表示を繰り返し使用して、日本の消費者に届けたい洗練されたメッセージとしている。この画像では、熱伝導率が非常に均一であるため鍋を振る必要がないことを、オリジナルな文章と写真で表現した。この点を強調す5るため、写真には動きがないものを選んでいるほか、ローストチキンを被写体として採用し、驚くほど多様な調理ができることを表現している。 (オ) 本件画像⑤本件画像①に使用した配色及びフォントを繰り返し使用して、日本の消費者に届けたい洗練されたメッセージとしている。この画像では、環10境にやさしいとの印象を与えるライトオリーブグレーの背景を選び、緑の木の絵や各種の情報ロゴを加えて、安全性、エコロジー、健康的な生活を連想させるようなデザインにしており、独創的な表現といえる。 (カ) 本件画像⑥ブラック、ゴールド及びホワイトを基調とし、全体的にクラシックで15洗練された印象としている。フォントには、バランスと読みやすさを考えて、太くなく、大きめのサイズを採用した。テキストの色は、消費者に原告商品の長所を強調するためにゴールドを選択した。背景には、製品との視覚的なつながりを保ちつつ、消費者が自然に明るい色のテキストに目を向けるよう、落ち着いた黒色の写真を選んだ。 20(キ) 本件画像⑦本件画像①に使用した配色、フォント及び「Made in Denmark」の表示を繰り返し使用して、日本の消費者に届けたい洗練 けるよう、落ち着いた黒色の写真を選んだ。 20(キ) 本件画像⑦本件画像①に使用した配色、フォント及び「Made in Denmark」の表示を繰り返し使用して、日本の消費者に届けたい洗練されたメッセージとしている。本件画像⑦には、ノンスティック調理器具に通常使用しない黒く硬いスポンジの写真を追加して、他社製品よりもコーティングが丈25夫であることをアピールしている。この表現は、「丈夫な商品」というイ 6 メージを裏付けるための原告オリジナルなものである。また、文章中の赤色は、消費者にこのスポンジの長所を強調するために選択したものである。 (ク) 本件商品画像原告商品を構成する商品を変化させつつ、その商品と本件画像⑦で紹5介されている黒いスポンジとを被写体とした写真である。このデザインは、「丈夫な製品」という表現を継続しつつ、消費者に対し、原告商品と一緒にこのスポンジを購入し、使用することを推奨するためのものである。前記(キ)のとおり、通常は、この黒く硬いスポンジをノンスティック調理器具に使用することはなく、このような形での推奨は、原告独自の10発想に基づく表現である。 イ 原告は、令和元年9月頃、株式会社いつも(以下「いつも社」という。)に対し、インターネット上で原告商品を紹介及び販売することを目的とするウェブサイトの制作及びオンライン販売のマーケティングに関するコンサルティング等を依頼した。いつも社は、原告商品の性能、特長及び保証15制度などを詳細に説明する画像及び説明文等からなる本件各画像を完成させ、原告との合意に基づき、令和2年3月30日、本件各画像の著作権を原告に譲渡した。 したがって、原告は、本件各画像の著作権者である。 (被告の主張)20著作権法による保護の対象 せ、原告との合意に基づき、令和2年3月30日、本件各画像の著作権を原告に譲渡した。 したがって、原告は、本件各画像の著作権者である。 (被告の主張)20著作権法による保護の対象となる著作物であるためには、思想又は感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであることが必要である。すなわち、商品を撮影した画像が著作物に当たるというためには、一定の工夫による「創作性」がなければならない。 これに対し、本件各画像は、単に商品を撮影した写真であるから、「思想又25は感情を創造的に表現した」「美術」「の範囲」に属するものというには、 7 少々疑問がある。 争点2(著作権侵害についての被告の故意又は過失の有無)について(原告の主張)被告は、本件各画像を自ら創作していないのに、被告ストアにおいて利用していた。一方、原告は、自身が運営するオンラインストアにおいて、本件5各画像に関する権利は著作権法等により保護されており、原告の許可なく使用できない旨を掲載していた。これらの事実関係に照らせば、被告が本件各画像について自由に利用できる素材であると誤信することはあり得ないから、被告には、本件各画像に係る原告の著作権侵害について故意がある。 仮に被告に故意がなかったとしても、被告に過失があるのは明らかである。 10(被告の主張)被告が、被告サイトにおいて本件各画像を無断で利用したことは認める。 本件各画像に係る原告の著作権侵害について、被告に故意又は過失があるとの主張は争う。 争点3(損害の有無及びその額)について15(原告の主張)ア 損害の発生被告は、被告ストアにおいて、自らが取り扱う商品を販売する目的で、本件各画像を複製し、これらを、ウェブ 争う。 争点3(損害の有無及びその額)について15(原告の主張)ア 損害の発生被告は、被告ストアにおいて、自らが取り扱う商品を販売する目的で、本件各画像を複製し、これらを、ウェブページ1ページ当たり8点ずつ、合計11ページにわたって掲載して、送信可能化した。これにより、本件20各画像に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害され、原告に本件各画像の使用料相当額(著作権法114条3項)の損害が生じた。 イ 使用料相当額について毎日新聞社、朝日新聞社などの新聞社や株式会社アフロ(以下「アフロ社」という。)などの写真提供会社が提供している画像レンタルサービスで25は、画像8枚を6か月間利用する場合の使用料は17万6000円から3 8 5万2000円である。このような画像レンタルサービスは、再利用を前提として収集した素材を広く一般に提供し、その対価を得ようとするものであり、特に商業的利用の場合には比較的低額な使用料となっている。これに対し、本件各画像のように、特定の商品の販売促進目的で特別に制作された著作物は、広く一般に利用を許諾して対価を得ることを目的とする5ものではなく、仮に第三者に利用を許諾するとすれば、一定の取引関係を前提とし、その取引条件の一環として利用許諾することになるから、使用料は画像レンタルサービスよりも高額となるはずである。 また、原告は、いつも社に対し、本件各画像のデザイン制作料等として、約700万円を支払った。この金額には、デザイン制作料だけでなく、デ10ザインのコンセプトに至るまでの相談料も含まれている。このほか、原告は、スキャンパン本社から提供された製品説明文の翻訳、広告画像制作のためのデータの用意、製品の写真撮影などのために費用と時間を要した。 これらの事情 に至るまでの相談料も含まれている。このほか、原告は、スキャンパン本社から提供された製品説明文の翻訳、広告画像制作のためのデータの用意、製品の写真撮影などのために費用と時間を要した。 これらの事情を踏まえると、本件各画像のウェブページ1ページ当たりの使用料相当額は6万6666円を下らない。 15ウ 被告の主張について被告は、シャッターストック社やピクスタ社が提供する画像レンタルサービスの使用料を指摘して、原告の主張する使用料相当額が高額に過ぎると主張する。 しかし、前記イのとおり、これらの画像レンタルサービスで提供される20画像は、広く一般に提供して利益を得ることを目的として撮影、作成されたものであって、特定の商品の宣伝のためのものではないし、クリエイティブなデザインオプション(グラフィックデザイン、フォント、カラー設定など)は含まれていない。また、一般に、画像レンタルサービスで提供される画像は、アマチュア写真家や趣味的写真愛好家などから広く無償又25は安価に提供を受けた素材が基となっている上、画像レンタルサービス業 9 界における競争が激しいこともあって、その使用料も低額に設定されている。 したがって、被告が指摘する使用料の水準は、本件各画像の使用料相当額算定の参考にならない。 エ 小括5以上によれば、著作権法114条3項により算定される損害額は、79万9992円を下らない。 (被告の主張)シャッターストック社が提供する画像レンタルサービスでは、画像10点を月額3500円、すなわち画像1点当たり月額350円で提供しており、10ピクスタ社が提供する画像レンタルサービスでは、画像3点を月額1980円、すなわち画像1点当たり月額660円で提供している。これらを本件に当てはめた場合、被告 り月額350円で提供しており、10ピクスタ社が提供する画像レンタルサービスでは、画像3点を月額1980円、すなわち画像1点当たり月額660円で提供している。これらを本件に当てはめた場合、被告ストアの各商品ページに6点の画像が掲載されているとして、画像1点当たりの使用料としてより高額な660円を採用しても、1ページ当たり3960円にとどまる。 15また、他の同種事案において、1画像当たりの損害は1000円と認定された裁判例もある。 以上によれば、原告に生じた損害の額は5万円を超えない。 第3 当裁判所の判断争点1(本件各画像の著作物性及び著作権者)について20著作権法2条1項1号は、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定めている。もっとも、この表現の創作性の程度については、高い独創性や、学術性や芸術性が高いことまで要求されているのではなく、その表現に作成者の個性が何らかの形で現れていれば足りると解するのが相当である。また、厳密25な意味での文芸、学術、美術又は音楽の範疇に属するものでなくとも、これ 10 ら四つの範疇に代表される知的、文化的包括概念に含まれていれば足りると解するのが相当である。 以上を前提として、本件各画像が著作権法2条1項1号所定の著作物に当たるか否かを検討する。 ア 本件画像①ないし④の創作性について5(ア) 証拠(甲12)によれば、本件画像①ないし④について、以下の点を認めることができる。 本件画像①ないし④では、いずれも、上部は濃い金色系、中央部から下は薄い金色系の背景とした上で、上部に黒色と赤色の文字で原告商品の特長を要約した短文を記載し、中央部に調理中の写真、画像等を配置10 件画像①ないし④では、いずれも、上部は濃い金色系、中央部から下は薄い金色系の背景とした上で、上部に黒色と赤色の文字で原告商品の特長を要約した短文を記載し、中央部に調理中の写真、画像等を配置10し、下部に当該特長をやや詳しく記載している。さらに、文字の書体、配色や背景の構成、配色として洗練された印象を与えるものを選択するとともに、これらを同一にすることで、画像同士の間で統一感を与えている。その一方で、本件画像①では、「カリカリ♪」、「フワフワ♪」との文言を付加した上で、餃子、卵焼き、パンケーキを調理している写真を15傾け、かつ、一部を重ねて配置することで軽快な印象を作出し、本件画像②では市場国の国旗を掲げて視覚的に強く印象付け、本件画像③及び④では逆に安定感を与えるように写真を整然と掲げている。 (イ) 前記(ア)において指摘した本件画像①ないし④の構成及び内容等に照らせば、本件画像②及び③にスキャンパン本社から提供された写真が用い20られていることを考慮しても、本件画像①ないし④には、書体、配色、掲載写真・画像の選択、配置などの点において、原告商品の販売促進のための画像としての相応の工夫がされており、その表現に作成者の個性が現れているといえるから、思想又は感情を創作的に表現したものと認められる。 25イ 本件画像⑤の創作性について 11 (ア) 証拠(甲12)によれば、本件画像⑤について、以下の点を認めることができる。 本件画像⑤は、上部は濃い金色系、中央部から下は薄い緑色ないし灰色系の背景とした上で、上部に黒色と赤色の文字で原告商品の特長を要約した短文を、中央部に原告商品の素材の特長及び有害物質を含有しな5い旨の文言等を記載し、中央部右側に飲料用アルミ缶に係る容器包装の識別表示の画像を、 上部に黒色と赤色の文字で原告商品の特長を要約した短文を、中央部に原告商品の素材の特長及び有害物質を含有しな5い旨の文言等を記載し、中央部右側に飲料用アルミ缶に係る容器包装の識別表示の画像を、下部に有害物質を含有しない旨を示す画像2点と掌に載せられた緑の木の画像1点とを配置したものである。文字の書体、配色や上部の背景の構成、配色を本件画像①ないし④と同一にすることで、これらの画像との間で統一感を与えている。また、原告商品の素材10の特長や有害物質を含有しない旨の文言を記載するだけでなく、同旨の画像を併せて配置することで、これらの特長を視覚的にも強く印象付けるものとなっている。 (イ) 前記(ア)において指摘した本件画像⑤の構成及び内容等に照らせば、本件画像⑤には、書体、配色、掲載写真・画像の選択などの点において、15原告商品の販売促進のための画像としての相応の工夫がされており、その表現に作成者の個性が現れているといえるから、思想又は感情を創作的に表現したものと認められる。 ウ 本件画像⑥の創作性について(ア) 証拠(甲12)によれば、本件画像⑥について、以下の点を認めるこ20とができる。 本件画像⑥は、黒色系の背景に、白色及び金色の文字で、原告商品の特長を5項目の箇条書きで記載したものである。背景にうっすらと調理器具が表示されているほか、表題の一部のフォントサイズを大きくしたり、強調したい文言を金色で表示したりしている。 25 12 (イ) 前記(ア)において指摘した本件画像⑥の構成及び内容等に照らせば、本件画像⑥には、書体、配色などの点において、原告商品の販売促進のための画像としての相応の工夫がされており、その表現に作成者の個性が現れているといえるから、思想又は感情を創作的に表現したものと認め 本件画像⑥には、書体、配色などの点において、原告商品の販売促進のための画像としての相応の工夫がされており、その表現に作成者の個性が現れているといえるから、思想又は感情を創作的に表現したものと認められる。 5エ 本件画像⑦の創作性について(ア) 証拠(甲12)によれば、本件画像⑦について、以下の点を認めることができる。 本件画像⑦は、上部は濃い金色系、中央部から下は薄い金色系の背景とした上で、上部に黒色と赤色の文字で原告商品を手入れするためのス10ポンジをプレゼントする旨を、中央部から下部にかけて当該スポンジの特長をそれぞれ記載し、中央部右側に当該スポンジの画像を配置したものである。文字の書体、配色や背景の構成、配色を本件画像①ないし④と同一にすることで、これらの画像同士の間で統一感を与えるものとなっているほか、強調したい文言を赤色で表示している。 15(イ) 前記(ア)において指摘した本件画像⑦の構成及び内容等に照らせば、本件画像⑦には、書体、配色、掲載写真の選択などの点において、原告商品の販売促進のための画像としての相応の工夫がされており、その表現に作成者の個性が現れているといえるから、思想又は感情を創作的に表現したものと認められる。 20オ 本件商品画像の創作性について(ア) 証拠(甲12)によれば、本件商品画像について、以下の点を認めることができる。 本件商品画像は、背景全体を白色とした上、原告商品の各商品それぞれについて、当該商品の写真を柄ないし持ち手が右上になるような向き25にして中央に、スポンジの写真を右下に配置した画像である。いずれの 13 画像も、背景全体を白色としたことで、各商品とスポンジの形状、色調、質感が認識しやすくなっているとともに、各商品の向きと配する位置と ポンジの写真を右下に配置した画像である。いずれの 13 画像も、背景全体を白色としたことで、各商品とスポンジの形状、色調、質感が認識しやすくなっているとともに、各商品の向きと配する位置とを同一にすることで、原告商品の全てにわたって統一感を与えるものとなっている。 (イ) 前記(ア)において指摘した本件商品画像の構成及び内容等に照らせば、5本件商品画像においては、商品の撮影に当たって相応の工夫がされているほか、商品とスポンジの配置などの点についても、原告商品の販売促進のための画像としての相応の工夫がされており、その表現に作成者の個性が現れているといえるから、思想又は感情を創作的に表現したものと認められる。 10カ 小括以上のとおり、本件各画像は、いずれも作成者の思想又は感情を創作的に表現したものと認められ、前記アないしオにおいて認定した本件各画像の構成及び内容等にかんがみれば、専ら美術の範疇に代表される知的、文化的包括概念に含まれるものであると認めることができる。 15したがって、本件各画像は、著作権法2条1項1号所定の著作物に当たると認められる。 証拠(甲4、12、13)によれば、本件各画像は、いつも社が、原告との間で締結した令和元年9月30日付けウェブサイト関連業務契約に基づいて新規に作成した上、令和2年3月30日頃、成果物として原告に納品した20ものであること、当該契約において、成果物のうち新規に作成されたデザインの著作権は、検収完了時をもって、いつも社から原告に譲渡するとされていることが認められる。 以上によれば、いつも社が本件各画像を新規に作成したことに伴って取得し、保有していた本件各画像に係る著作権は、令和2年3月30日頃、原告25に譲渡されたと認められるから、同日頃以降の られる。 以上によれば、いつも社が本件各画像を新規に作成したことに伴って取得し、保有していた本件各画像に係る著作権は、令和2年3月30日頃、原告25に譲渡されたと認められるから、同日頃以降の本件各画像の著作権者は原告 14 というべきである。 争点2(著作権侵害についての被告の故意又は過失の有無)について被告は、本件各画像を自身で創作していないことを認識していた以上(当事者間に争いがない。)、本件各画像を複製及び送信可能化するに当たり、本件各画像の著作権者が誰であるのか、著作権者がその利用を許諾しているかどうか5を調査、確認する注意義務があったというべきである。 証拠(甲9A)によれば、原告が楽天市場に開設していたオンラインストアのウェブページには、本件画像①ないし⑦の各画像と同一ではないものの、当該各画像を構成する文言や素材の配置、内容、配色を変更した画像が掲載されていた上、原告により作成されたコンテンツ(画像、映像、デザイン、ロゴ、10テキスト等)に関する権利は著作権法により保護されており、許可なく使用できない旨が記載されていたことが認められる。これらの事実関係に照らせば、被告は、自身が販売しようとする商品のブランド名ないし画像そのものを手掛かりとして、インターネット上の情報ないし画像を検索することにより、本件各画像の著作権者が原告であり、かつ、これを利用するには原告から許諾を得15なければならないことを、容易に認識できたと認められる。 以上のとおり、被告は、本件各画像の著作権者や利用許諾の有無を確認する注意義務があり、しかも、これらを調査、確認をすることが容易であったにもかかわらず、その調査、確認を怠って漫然と被告ストアに本件各画像を複製及び送信可能化したと認められるから、被告には、少なくとも本 注意義務があり、しかも、これらを調査、確認をすることが容易であったにもかかわらず、その調査、確認を怠って漫然と被告ストアに本件各画像を複製及び送信可能化したと認められるから、被告には、少なくとも本件各画像に係る20原告の著作権を侵害したことについて過失があるというべきである。 争点3(損害の有無及びその額)について被告による本件各画像の利用態様について前提事実(2)イのとおり、被告は、少なくとも令和3年2月24日から同年5月12日頃にかけて、被告ストア上の商品ごとに作成されたウェブページ25に、合計11商品につき、本件画像①ないし⑦の各画像及び本件商品画像の 15 うち当該商品に該当する画像1点を、それぞれ複製して送信可能化したことが認められる。 使用料相当額についてア 本件において、原告が、本件各画像を含め、自己が著作権を有する著作物を第三者に有償で利用許諾していたと認めるに足りる証拠はないから、5実際の利用許諾例に準じて使用料相当額を算定することはできない。 イ この点、原告は、新聞社や写真提供会社が提供する画像レンタルサービスにおける使用料を根拠として、本件各画像の1ページ当たりの使用料相当額は6万6666円を下らず、これに本件各画像が掲載されたウェブページのページ数を乗じて使用料相当額を算定すべきであると主張する。 10(ア) まず、ページ数を単純に乗ずることの当否について検討すると、原告商品は、特長、材質、製造方法、メーカーなどが同一である複数のフライパンの一群からなる商品であるところ(甲12)、被告ストアにおける本件各画像の利用態様も、複数の商品販売ページにわたって、原告商品が等しく備える特長等を紹介する本件画像①ないし⑦の各画像の複製物15を共通して複製及び送信可能化 (甲12)、被告ストアにおける本件各画像の利用態様も、複数の商品販売ページにわたって、原告商品が等しく備える特長等を紹介する本件画像①ないし⑦の各画像の複製物15を共通して複製及び送信可能化し、本件商品画像については、当該ページで販売している商品に相当する画像1点を複製及び送信可能化したというものであることが認められる(前提事実(2)ア、イ、甲2)。このような利用態様にかんがみれば、特に、全てのページにわたって原告商品に共通する特長等を紹介する同一の画像7点については、異なる態様で20複数回利用された場合と同視することはできず、本件において、単純にページ数(すなわち販売している商品の種類の数)を乗じて使用料相当額を算定することが相当であるとはいえない。 そこで、更に検討すると、本件各画像は、商品群からなる原告商品のネット通販用広告画像、すなわち販売促進資料として作成されたものと25認められることから(甲12)、原告商品の販売と無関係に本件各画像を 16 使用することは通常考え難く、仮に原告が第三者に本件各画像の利用を許諾するとすれば、原告も主張するとおり、原告商品の日本国内の正規代理店として、原告商品の再販売契約をするに当たり、その販売促進資料として本件各画像全体を利用許諾するような場合が想定される。そして、同一のオンラインショッピングモール上に出店しているとしても、5オンラインストア名が異なれば、商品の販売経路を複数有することになるから、販売促進資料としての画像の利用許諾契約に当たっても、原告商品を取り扱うオンラインストア数の多寡を考慮するのが合理的といえる。アフロ社が提供している画像レンタルサービスにおいて、同一サイトである限り、使用箇所を問わず同じ使用料が設定されている(甲7の10「ウェブ広告 ラインストア数の多寡を考慮するのが合理的といえる。アフロ社が提供している画像レンタルサービスにおいて、同一サイトである限り、使用箇所を問わず同じ使用料が設定されている(甲7の10「ウェブ広告・ホームページ」欄の注記)ことも、オンラインストア数に応じて使用料相当額を算定する方法の合理性を裏付けるものである。 以上のとおり、原告商品が一つの商品群からなるものであること、被告ストアにおける本件各画像の実際の利用態様及び想定される本件各画像の利用許諾の態様にかんがみれば、本件各画像の使用料相当額を算定15するに当たっては、本件各画像の複製物が掲載されたページ数(すなわち販売している商品の種類の数)ではなく、オンラインストア数を基準とすべきであって、本件においては、被告ストアが一つであることから、被告ストア全体にわたって本件各画像を1回利用したものとして算定するのが相当というべきである。 20(イ) 次に、本件各画像の具体的な使用料相当額について検討する。 a 原告が指摘する新聞社の画像レンタルサービスにおいて、具体的にどのような写真や画像が提供されているのかを認めるに足りる証拠はない。しかし、新聞社が提供する写真は、いわゆる報道写真にみられるように、ある事件や事象の一瞬を捉えているなど、構図やシャッタ25ーチャンス等に高度な工夫を凝らした創作性の高いものや、他の手段 17 では入手が困難な希少性の高いものである可能性があると考えられる。 また、アフロ社が提供する画像レンタルサービスについては、上記のような報道写真とは異なる性格の画像も提供されていることがうかがわれるものの(甲7)、やはり、実際にどのような写真や画像が提供されているのかは、本件証拠上認めるに足りない。 5b その一方で、被告が指摘するシャッ なる性格の画像も提供されていることがうかがわれるものの(甲7)、やはり、実際にどのような写真や画像が提供されているのかは、本件証拠上認めるに足りない。 5b その一方で、被告が指摘するシャッターストック社やピクスタ社の画像レンタルサービスについてみると、証拠からうかがわれる具体的な画像の内容(乙3、4)のほか、ピクスタ社では6200万点以上の写真、イラストなどの素材について、料金が1か月間に利用できる画像の点数に基づいて設定されていたり、未利用画像数を翌月以降に10繰り越せるといった条件で提供されていたりすること(乙2、4)にかんがみれば、これらのサービスにおいて低額な使用料で提供されているのは、汎用性のあるウェブサイト用の素材である可能性が高い。 もっとも、商業的利用の可否など、その余の使用条件については、本件証拠上判然としない。 15c これに対し、前提事実(2)ア及び前記(ア)のとおり、本件各画像は、商品販売ページを見た顧客の購買意欲を高めるように、原告商品を用いて調理している様子を撮影した写真や特長等を述べた文言、画像などを配置した原告商品に特化した販売促進目的の画像であって、報道写真とも、シャッターストック社やピクスタ社が提供する汎用性のあ20るウェブサイト用の素材とも、性格及び目的が大きく異なる。また、前記(ア)において説示したとおり、原告が第三者に本件各画像を利用許諾することが想定されるのは、原告商品の正規代理店として、原告商品の再販売契約に当たって販売促進資料として利用されるような場合であるから、専ら写真、画像等の利用許諾に伴う使用料をもって収益25を上げるというビジネスモデルに基づき設定された使用料の水準が妥 18 当するともいい難い。これらの事情に照らせば、原告及び被告の双方 ら写真、画像等の利用許諾に伴う使用料をもって収益25を上げるというビジネスモデルに基づき設定された使用料の水準が妥 18 当するともいい難い。これらの事情に照らせば、原告及び被告の双方がそれぞれ指摘する画像レンタルサービスにおいて規定されている使用料の水準が本件においてそのまま妥当するとはいえない。 その一方で、前記(ア)のとおり、本件各画像は、原告商品の再販売契約に伴う販売促進資料との位置付けで利用許諾されることが想定でき5るから、本件各画像の使用料のみによって本件各画像の取得費用を回収したり、原告商品の再販売によって得られる利益を超えたりするような高額な使用料が設定されるとは考え難い。 このほか、本件各画像は、報道写真のように高度の創作性を有しており代替可能性が小さいとまではいえないものの、原告商品に特化し10た販売促進資料として工夫して作成されたものであり(前記(ア))、相応に創作性を有する著作物であること(前記1)、被告ストアにおける販売商品数は11点であり、本件各画像の利用期間が約3か月間であったこと(前記(1))、本件各画像の利用に当たっての将来の使用料額を定める場面ではなく、原告の許諾を何ら得ることなく本件各画像を15利用した被告に対する損害賠償を請求する場面での金額の算定であることなどを総合考慮すると、本件各画像の使用料相当額は合計5万円と認められる。 ウ 当事者の主張について(ア) 原告は、本件各画像の使用料相当額を算定するに当たり、いつも社に20本件各画像のデザイン制作料等として約700万円を支払ったことを考慮すべきであると主張する。 しかし、原告がいつも社に委託したのは、ウェブサイト関連業務及び検索エンジン最適化サービスであり、本件各画像の制作業務はその一部を構成するにす 0万円を支払ったことを考慮すべきであると主張する。 しかし、原告がいつも社に委託したのは、ウェブサイト関連業務及び検索エンジン最適化サービスであり、本件各画像の制作業務はその一部を構成するにすぎないと認められるところ(甲12)、本件各画像のデザ25イン制作のみに要した費用を認めるに足りる的確な証拠はない。 19 したがって、本件各画像の使用料相当額の算定に当たって、原告が主張する金額を考慮することはできない。 (イ) また、被告は、他の同種事案において、1画像当たりの損害が1000円と認定された例があると主張する。 しかし、各判決は、その訴訟における主張、証拠から認定された事実5関係に基づいて判断されているものであるから、本件訴訟においても直ちにその認定、判断が妥当するとはいえない。 (ウ) したがって、原告及び被告の前記各主張を採用することはできない。 第4 結論以上によれば、原告の被告に対する請求は、著作権侵害を理由とする不法行10為に基づく損害賠償として、損害金5万円及びこれに対する令和3年4月16日(不法行為の後の日)から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、この限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部15 裁判長裁判官 國 分 隆 文20 裁判官 25間 明 宏 充 20 裁判官 裁判官 25間 明 宏 充 20 裁判官 バ ヒ ス バ ラ ン 薫5

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