昭和45(う)1158 殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、兇器準備集合被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和47年1月24日 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人A、同Bをそれぞれ懲役三年に処する。      被告人Aに対し、原審における未決勾留日数中一〇〇日を右刑に算入す る。          理

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判決文本文6,572 文字)

主文原判決を破棄する。 被告人A、同Bをそれぞれ懲役三年に処する。 被告人Aに対し、原審における未決勾留日数中一〇〇日を右刑に算入する。 理由本件各控訴の趣意は、弁護人服部恭敬作成の控訴趣意書に記載のとおり(ただし、第二項を除く)であるので、これを引用する。 法令適用の誤りの控訴趣意について。 所論は、原判示第一の(二)の殺人未遂、傷害と原判示第一の(一)の兇器準備集合とは牽連犯であるにもかかわらず、併合罪として処断している原判決には法令の適用の誤りがある、というのである。 <要旨>よつて検討するに、原判決の認定したところによると、本件は被告人両名がC組組長Cらと共にD</要旨>D組事務所に殴り込みをかけ、同組長その他の者を殺傷するに至ることをも辞さない意図で、昭和四二年九月二四日午後一一時過ごろ、奈良市a町b番地cアパート内のEの居室に集合し、Eもそれに加わり、その後間もなくF、G、Hも加つて集合し、その際被告人Aは実弾付の拳銃一丁を、被告人B、Gは短刀二本を準備し、(原判示第一の(一))、ついで被告人両名は右Cと共謀のうえ、右D組組長及び同組員らを殺傷するに至ることを敢て辞さない意図のもとに翌九月二五日午前零時頃被告人Aが右拳銃を、被告人Bが短刀一本(刃体の長さ約二七センチメートル)を携帯して、奈良市d町e番地所在のD組事務所に至り、同事務所表においてIに対し、被告人Aは未必の殺意をもつて拳銃を一発発射したが命中せず、被告人Bが未必の殺意をもつてIの左横腹を突いたが軽傷を与えるにとどまつて死亡させるに到らす。被告人Bはさらに同事務所表正面出入口ドァ付近に出てきたJの顔面を所携の短刀の鞘で殴りつけて傷害を与えた(原判示第一の(二))、という兇器準備集合と殺人未遂、 与えるにとどまつて死亡させるに到らす。被告人Bはさらに同事務所表正面出入口ドァ付近に出てきたJの顔面を所携の短刀の鞘で殴りつけて傷害を与えた(原判示第一の(二))、という兇器準備集合と殺人未遂、傷害の事案であつて、原判決が右兇器準備集合と殺人未遂、傷害を併合罪として処断していることは所論のとおりである。そして、右事実によると、被告人らの右兇器準備集合は右殺人未遂、傷害を目的とする準備行為であり、右殺人未遂、傷害は兇器準備集合において準備した兇器を使用して行なつた右兇器準備集合の目的を実現した結果であり、前者が発展して後者にいたつたもので、かような関係にある兇器準備集合と殺人未遂、傷害とは、一般社会生活上手段結果の関係にあるものと認められるのみでなく、被告人らの主観においては勿論のこと、本件の具体的事情を客観的にみても、手段結果の関係にあるものと認められる。そうすると、本件兇器準備集合と殺人未遂傷害とは通常手段結果の関係にあり、刑法五四条一項後段の牽連犯であると解するのが相当である。これと異り両者を併合罪とした処断して原判決には法令の適用を誤つた違法があるけれども、原判決は被告人両名について、右兇器準備集合、殺人未遂、傷害、及び原判示第一の(三)、(四)の銃砲刀剣類所持等取締法違反の各罪に関し殺人未遂罪について有期懲役刑を、その他の罪についてそれぞれ懲役刑を選択し、刑法一四条の制限内において再犯加重、併合加重をして長期二〇年の範囲内において被告人らを処断しているのであるから、兇器準備集合と殺人未遂、傷害を牽連犯として処断する場合とその処断刑において異るところはなく、結局判決に影響を及ぼすものではない。論旨は理由がない。 事実誤認の控訴趣意について。 所論は、原判決は原判示第一の(二)において、被告人両名のIに対する行為について殺意 おいて異るところはなく、結局判決に影響を及ぼすものではない。論旨は理由がない。 事実誤認の控訴趣意について。 所論は、原判決は原判示第一の(二)において、被告人両名のIに対する行為について殺意を認定しているが、被告人Aは威かくのため拳銃を一回発射したにすぎず、被告人BはIの優勢な兇器による攻撃を防ぐため短刀を振つたのが同人の左側腹部にあたつて傷を負わせたにすぎず、いずれも殺意はなく、原判決には重大な事実の誤認がある、というのである。 よつて検討するに、原判決挙示の証拠によると原判示第一の(二)におけるIに対する被告人両名の加害行為についてそれぞれ未必の殺意があつたことを十分認めることができる。すなわち右証拠によると被告人両名は九月二四日午後一一時すぎ頃、Cと共にお好み焼屋「K」を出た後、道すがら同人からD組組長D襲撃を命ぜられるや直ちにD殺害を決意し、cアパートにD組事務所へ殴り込んでD組組長や同組員を殺傷する目的で集合し、これにひきつづいて被告人Aは拳銃を携え、被告人Bは刃体の長さ約二七センチメートル短刀を携えて、同じく短刀を携えたGと共に、D組事務所へ行つたこと、同事務所表において、すでに被告人らの襲撃を予期して待機していたIがドアをあけて日本刀を振りかざして向つてきたので、被告人Aは約二メートルの至近距離からIの方に拳銃の銃口を向けて一発発射し、これにひるまず切りこんできたIの腹をめがけて被告人Bが左に体を開きながら右短刀で一回突き、これを見て被告人Aは威かくすべくD組事務所の方へ向つてさらに拳銃を一発発射したこと、被告人の発射した拳銃弾はいづれも同事務所の表入口から屋内に飛んで、一発はカソウター上の飾り柱上部に当りその内部に落下し、一発はカウンター下にあつた運動靴を貫通して床下に落下していること、当時同事務所内にはD組組 拳銃弾はいづれも同事務所の表入口から屋内に飛んで、一発はカソウター上の飾り柱上部に当りその内部に落下し、一発はカウンター下にあつた運動靴を貫通して床下に落下していること、当時同事務所内にはD組組長の他に数名の組員が居て、右拳銃弾がこれらの者に命中するおそれもあつたこと、Iは被告人Bの右短刀に刺されて加療約一週間を要する左側腹部刺創の傷害を受けたこと、が認められる。右の事実関係によると被告人両名は元来殺傷を予期して殴りこみをかけ且つ至近距離から人体に向つて拳銃を発射し、また刃体の長さ約二七センチメートルの十分致命傷を与えるに足る短刀をもつて特に危険な腹部めがけて突き刺しており、被告人両名ともに特にIの生命に危険を及ぼさないように配慮したような形跡は全くなく、これら兇器の種類、攻撃に際しての位置関係、傷害の部位にてらすと、すくなくとも被告人らはIに対し、未必の殺意をもつて拳銃を発射し、短刀で突いたものと認められる。所論は被告人Aについては威かくの為の発砲であり、至近距離での発射であるのに命中していないのはその殺意のない証左であるとし、また被告人BについてはIの左側腹部に軽傷を負わせたにとどまり、而も直ちに逃げ出したことが殺意のない証左であると主張するけれども、被告人Aは原審第七回公判において、右拳銃を発射するに際してどこをめがけて撃つたかわからないが、Iに当らない様に配慮した事はなくIに当つて死んでもかまわないという気持はあつたと供述して未必の殺意があつたことを認めており、同人の供述からみるも単に威かくのために発射したものとは認められず、同人の発射した弾が命中しなかつたのは手許が狂つたためであると考えるのが相当である。また、Iの短刀による受傷は軽傷ではあるけれども被告人BがIの攻撃を避ける為にとつさに左に体を開いたため体型がくずれたまま 射した弾が命中しなかつたのは手許が狂つたためであると考えるのが相当である。また、Iの短刀による受傷は軽傷ではあるけれども被告人BがIの攻撃を避ける為にとつさに左に体を開いたため体型がくずれたまま突き刺した為致命傷を与えることができなかつたに過ぎないものと解せられ、被告人Bが逃走したのは、被告人Aが第二発目を発射した為Iらが事務所内に逃げ込み表戸を内から閉めたがなおも被告人A、同B、G、は、表戸に近寄つて内部の様子をうかがつたところDが内部で猟銃で狙い撃ちにせよと怒鳴つているのを聞いて恐怖を感じて逃げ出したのであつて、Iに対しなおも攻撃を続行できるのに敢て中止して逃走したようなことはなく、同人に対し一突きしたにとどまるからといつて殺意がなかつたものということはできない。 また所論はJに対して殺意を否定しておきながらIに対して殺意を認定しているのは矛盾すると主張するけれども、原判示のとおり被告人BはJの顔面を短刀の鞘で一回殴打して静養一週間を要する左顔面打撲擦過傷を負わせたにとどまるのであつて、兇器の種類、傷害の部位、程度及びこれから推測される打撃の強さからみるとJに対し殺意があつたものとは認め難く、Iに対する攻撃とは質を異にするからIに対しては殺意を認め、Jに対しては単に傷害にとどまるものとする原判決の判断には矛盾があるものとは認められない。被告人A、同BのIに対する攻撃について未必の殺意を認定した原判決の判断は相当であり所論のような事実誤認はない。 論旨は理由がない。 量刑不当の各訴趣意について所論は原刑決の量刑不当をいうので、所論にそつて記録を精査するに、本件は、L組糸C組若衆頭をつとめる被告人Bが、保釈中にかねて右Cと親交のあつたD組へ小遺銭の無心に行つたがD組長の妻から素気なく断られたことに立腹して土足で同事務所座敷に上 つて記録を精査するに、本件は、L組糸C組若衆頭をつとめる被告人Bが、保釈中にかねて右Cと親交のあつたD組へ小遺銭の無心に行つたがD組長の妻から素気なく断られたことに立腹して土足で同事務所座敷に上りこんでD組の対面を傷つけた事に端を発し、同組とD組との間に紛争が生じたが両組長の話合で一応解決し、その話合いの際に右Cの申入れた金銭の無心に対しD組長がそのうちの一部を直ちに手渡し残りを翌日銭湯で手渡すということになつたが、被告人B、及び同人から右土足事件について相談を受けて腐心していたC組代貸をつとめる被告人Aの両名は喫茶店「M」で右Cから右の次第を聞くや、D組長から騙し討ちにされるおそれがあるとして銭湯で会うことを制止し、同人もこれを真に受け、D組長と銭湯で会うのを取り止めるのみならず、D組長や同組員と組をあげて抗争し同組事務所に殴りこみをかけて同組長らを殺傷しようと決意するに至り、附近のお好み焼屋「K」からD組事務所のD組長にその旨の電話をし、帰る道すがら被告人両名らにその旨を命令し、この命令を受けた被告人両名ほか五名は前記のとおり奈良市a町b番地cアパート内のE方に兇器を準備して順次集合し、次でD組事務所を襲撃して前記のとおり殺人未遂、傷害の行為に及んだという事案であつて、暴力団による計画的組織的犯行であるうえ、兇器準備集合においては被告人Bは短刀を、被告人AもHを介して短刀を準備していること、殺人未遂においては、被告人Aは拳銃を発射し、被告人Bも短刀でIの左側腹部を突き傷害を与えており、ともに殺人未遂の実行着であること、本件の遠因は被告人Bが土足でD組事務所座敷にふみこんでD組の体面を汚したという行為にあつて、さらにD、C両組長の話合いによつて一応事態の解決をみたにもかかわらず、被告人両名の右Cに対する無思慮な進言が事態を悪化させ Bが土足でD組事務所座敷にふみこんでD組の体面を汚したという行為にあつて、さらにD、C両組長の話合いによつて一応事態の解決をみたにもかかわらず、被告人両名の右Cに対する無思慮な進言が事態を悪化させたことによること、等本件犯行の動機、態様にてらすと犯罪の情状は重く、さらに被告人Aは昭和三九年一〇月二一日奈良地方裁判所で傷害により懲役六月二年間執行猶予に(後に執行猶予は取り消されて服役)、昭和四〇年一二月二〇日同裁判所で恐喝暴行で懲役一年二月に処せられた前科があること、また被告人Bは昭和四〇年五月二四日同裁判所で贓物牙保、傷害等で懲役一年以上一年六月以下及び罰金一万二千円に処せられた前科がある外、恐喝、同未遂傷害被告事件で奈良地方裁判所で審理中保釈されて本件を敢行したものであること、をいずれも合せ考えると被告人らの刑責は重大であるといわなければならない。しかしながら、本件の原因は右のように被告人らが作りだしたものであるとはいえ、当審における鑑定の結果によれば、Cは当時精神分裂病等によつて心神喪失の状況にあつたものと認められ、このような状況にあつたCが被告人らの軽率な言辞を真に受けて、D組長との約束を取消すばかりでなく、進んでD組事務所を襲撃して殺傷行為に及ぶという精神分裂病による思考障害の結果としかいいようのない異常な思考をするに至り、被告人らにこれを命じたことに最大の原因があり、組員たる被告人らとしては、当時Cが精神分裂病に罹患していたことは知る由もなく、ひたすら組長の命令に従わざるを得ない立場において本件を行つたものであり、又本件殺人未遂等の犯行の態様も相手方の優勢なる反撃にあつてむしろ守勢に立たされ、力及ばないとみるやいとも簡単に現場から逃走しており、発生した結果もおおむね軽微な傷害にとどまるといつてもよいことを考慮すると、被告人 犯行の態様も相手方の優勢なる反撃にあつてむしろ守勢に立たされ、力及ばないとみるやいとも簡単に現場から逃走しており、発生した結果もおおむね軽微な傷害にとどまるといつてもよいことを考慮すると、被告人両名をそれぞれ懲役四年に処した原判決の量刑はやや重すぎるものと認められ、破棄を免れない。論旨は理由がある。 よつて、刑事訴訴法三九七条一項三八一条により原判決を破棄し、同法四〇〇条但書によりさらに自判し、罪となるべき事実、証拠の標目、累犯前科、確定裁判はいずれも原判決挙示のとおり(ただし相被告人Gに関する部分を除く)である。 (法令の適用)被告人両名の原判示第一の所為中、(一)の兇器準備集合の点は刑法二〇八条ノ二、一項、罰金等臨時措置法三条一項に、同(二)のうちIに対する殺人未遂の点は刑法六〇条二〇三条一九九条に、Jに対する傷害の点は同法六〇条二〇四条罰金等臨時措置法三条一項に各該当するが、右兇器準備集合と殺人未遂及び傷害とはそれぞれ順次手段結果の関係にあるから刑法五四条一項後段一〇条によりそれぞれ重い殺人未遂罪の刑に従い、被告人Aの原判示第一の(三)の所為は銃砲刀剣類所持等取締法三条三一条の二、一号に、被告人Bの原判示第一の(四)の所為は銃砲刀剣類所持等取締法三条三一条の三、一号は各該当するので、各所定刑中、原判示第一の(三)、(四)の各罪については懲役刑を、原判示第一の(二)の罪については有期懲役刑を選択し、被告人らの右各罪は前示各前科(被告人Bについては原判決の「累犯に係る前科および確定裁判」の二の(1))にかかる罪と再犯の関係にあるので刑法五六条一項、五七条によりそれぞれその刑に再犯加重をし(原判示第一の(二)の罪については同法一四条の制限に従う)、被告人Bの右各罪は原判決の「累犯に係る前科および確定裁判」の(二)の(2)の確定裁 法五六条一項、五七条によりそれぞれその刑に再犯加重をし(原判示第一の(二)の罪については同法一四条の制限に従う)、被告人Bの右各罪は原判決の「累犯に係る前科および確定裁判」の(二)の(2)の確定裁判を経た罪と同法四五条後段の併合罪であるから同法五〇条により未だ裁判を経ていない本件各罪につきさらに処断すべく、以上被告人らの各罪はそれぞれ同法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文(被告人Bについてはさらに同条但書)一〇条により、それぞれ最も重い殺人未遂罪の刑に同法一四条の制限内で法定の加重をし、その刑期の範囲内で、被告人両名をそれぞれ懲役三年に処し、被告人Aに対し、同法二一条により原審における未決勾留日数中一〇〇日を右刑に算入することとする。 よつて、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官田中勇雄裁判官尾鼻輝次裁判官小河厳)

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