平成28(ワ)131 雇用関係存在確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年3月6日 高知地方裁判所
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判決文本文16,082 文字)

平成30年3月6日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成28年(ワ)第131号雇用関係存在確認等請求事件口頭弁論終結日平成29年11月28日判決主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,32万4696円及びこれに対する平成28年4月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,平成28年5月1日から本判決確定の日まで,毎月16日限り月額32万4696円の割合による金員及びこれらに対するそれぞれ支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告との間で平成25年4月1日に1年間の雇用契約を締結し,その後,2回にわたり同期間の雇用契約を更新した原告が,被告が平成28年4月1日以降は契約を更新しなかったこと(以下「本件雇止め」という。)について,労働契約法19条に基づき,契約が更新されたと主張して,被告に対し, 原告が雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,同月分以降本判決確定日までの給与及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)当事者等 ア被告は,平成23年4月1日にA県が設立した公立大学法人であり,当 初は,B大学及びC大学の2大学を運営していた。B大学は,昭和24年2月にD専門学校を母体として設立されたD大学が,平成23年4月に男女共学化 月1日にA県が設立した公立大学法人であり,当 初は,B大学及びC大学の2大学を運営していた。B大学は,昭和24年2月にD専門学校を母体として設立されたD大学が,平成23年4月に男女共学化され,校名を「B大学」に変更された大学であり,その際に被告が設置者となった。C大学は,昭和28年1月にA県が設置者となって設立認可を受けて同年4月に開学した短期大学であり,平成23年4月から 被告が設置者となったが,平成26年4月の入学者を最後に募集が停止された。 被告は,平成27年4月1日に公立大学法人E大学を統合し,同日以降,E大学の運営も開始した。E大学の前身は,平成8年12月にA県が施設を整備して私学として設立した公設民営の学校法人E大学であり,平成2 1年4月1日に公立大学法人E大学が設置者となったが,上記のとおり被告に統合されることとなった。 イ原告は,下記⑵のとおり,被告との間で,期間の定めのある雇用契約を締結し,同契約に基づき,被告に所属する教職員らの給与計算等の給与関係全般に関する労働に従事してきた労働者であり,平成25年4月1日か ら平成28年3月31日まで2度の更新を経て就労してきたが,同日以降は契約の更新がなく本件雇止めをされた。 ⑵ 原告と被告間の雇用契約の成立等ア被告は,平成25年4月1日,原告との間で,下記の内容を含む期間の定めのある雇用契約(以下,被告と原告を含む労働者との間で締結される 雇用期間が1年間である雇用契約を「有期雇用契約」といい,有期雇用契約を締結した労働者を「契約職員」という。)を締結した(甲1)。 記雇用期間:平成25年4月1日から平成26年3月31日まで勤務内容:総務企画部総務課事務 勤務日数:週5日(月曜日から金 員」という。)を締結した(甲1)。 記雇用期間:平成25年4月1日から平成26年3月31日まで勤務内容:総務企画部総務課事務 勤務日数:週5日(月曜日から金曜日まで) 勤務時間:午前8時30分から午後5時15分まで(うち休憩時間60分)給与:19万5000円(賞与なし)給与支払日:法人(被告を指す。)の規定による(毎月16日)イ被告は,平成26年4月1日,原告との間で,下記の内容を含む雇用契約を締結し,原告との契約を更新した(甲2)。 記雇用期間:平成26年4月1日から平成27年3月31日まで契約更新の有無:更新する場合がありえる勤務内容:総務企画部総務課事務勤務日数:就業規則による(月曜日から金曜日までの週5日) 勤務時間:午前8時30分から午後5時15分まで(うち休憩時間60分)給与:19万7000円(賞与なし)給与支払日:毎月16日ウ被告は,平成27年4月1日,原告との間で,下記の内容を含む雇用契約を締結し,原告との契約を更新した(甲3)。但し,契約の更新の有無 については,労働条件通知書(甲3)の記載上,「更新する場合がありえる」に○が付されているが,これが契約内容となっているか,誤記であるかは争いがある。 記雇用期間:平成27年4月1日から平成28年3月31日まで 契約更新の有無:争いがある。 勤務内容:総務企画部総務課事務勤務日数:就業規則による(月曜日から金曜日までの週5日)勤務時間:午前8時30分から午後5時15分まで(うち休憩時間60分)給与:19万7000円(賞与なし) 給与支払日 業規則による(月曜日から金曜日までの週5日)勤務時間:午前8時30分から午後5時15分まで(うち休憩時間60分)給与:19万7000円(賞与なし) 給与支払日:毎月16日 ⑶ 雇用期間に関する被告の就業規則就業規則8条には,「契約職員の雇用期間は,1会計年度内とする。ただし,3年を超えない範囲内において更新することができる。」と規定されている(甲5)。 ⑷ 3年の雇用期間を超過した契約職員 被告において,契約職員は,上記⑶の就業規則により3年を超えない範囲内での更新に制限されており,後記の公募による再雇用や準職員としての登用がない限り,2つの例外を除き,3年を超えて更新されることはなかった。 その例外とは,契約ミスにより契約期間を3年2か月としてしまった事例と,学生の健康相談への対応に不可欠な保健師が公募で採用できなかったため, 3年を超えて更新された事例である。 ⑸ 公募による再雇用3年の雇用期間を満了した契約職員は,被告が契約職員をハローワークを通じて公募した場合に,申込みをした上,所定の選考手続を受けて,再雇用されることがあった。平成27年度までは,事務職の契約職員の公募が行わ れたが,平成28年度は公募がなされなかった。 ⑹ 準職員採用制度被告は,平成26年度(採用試験は平成25年度)以降,希望があれば,契約職員に選考試験を受験させ,その合格者を雇用期間の定めのない準職員として採用する内部登用制度を導入した。これに合格して,契約職員から準 職員に採用された者もいる。 ⑺ 原告は,平成27年度実施の準職員採用試験を受験したが不合格となり,平成28年3月31日満了をもって雇用契約の更新がなされず(本件雇止め),同年度は事務職の契約職員の公募 採用された者もいる。 ⑺ 原告は,平成27年度実施の準職員採用試験を受験したが不合格となり,平成28年3月31日満了をもって雇用契約の更新がなされず(本件雇止め),同年度は事務職の契約職員の公募がなかったため,公募を経て採用される途もなくなり,同年4月1日以降,被告に対し,労務を提供してい ない。 ⑻ 原告は,平成28年4月1日及び平成29年4月1日にいずれも,労働契約法19条により,それぞれ1年間の雇用契約が更新され,雇用契約上の権利を有する地位にあると主張している。 ⑼ 平成27年度に被告から原告に支給された給与は,時間外勤務手当を含め,合計389万6358円であり,平均すると1か月当たり32万4696円 であった(甲6)。 2 争点及びこれに対する当事者の主張⑴ 争点本件の主たる争点は,本件雇止めが労働契約法19条に反するかであり,具体的には,①同条1号の無期雇用との同視可能性(実質無期契約型),② 同条2号の合理的な理由のある期待(期待保護型),③同条柱書の客観的合理性・社会通念上の相当性の各要件を充たすかである。 ⑵ 争点に対する当事者の主張ア争点①及び争点②について(原告の主張) 労働契約法19条1号及び2号の該当性は,①職務内容,②更新の回数,③雇用の通算期間,④契約期間管理の状況,⑤雇用継続の期待を持たせる言動・制度の有無など諸般の事情を総合的に考慮して判断すべきである。 原告の職務内容は,総務企画課事務であるが,その具体的内容は,主に被告に所属する教職員らの給与の計算等,給与関係全般の事務処理である。 かかる職務は,被告にとって恒常的に必要不可欠なもので,高い専門性や経験を要し,本来なら正職員が担って然るべき程の職務であるといえる。 このよ らの給与の計算等,給与関係全般の事務処理である。 かかる職務は,被告にとって恒常的に必要不可欠なもので,高い専門性や経験を要し,本来なら正職員が担って然るべき程の職務であるといえる。 このように,原告の職務は,臨時的・補助的な仕事ではない。 原告は,採用以降,雇用契約を2回更新され,雇用期間は3年の長期間に及んでいる。被告による有期雇用契約の更新の手続は,対象となる契約 職員の意向確認を行うだけのごく簡単なもので,ほぼ自動的に更新されて いた。 被告においては,平成27年度当初の契約更新時まで,契約職員が3年間で雇止めになるという話は一切出ていなかった。同年度までは,契約職員は,3年間の雇用継続がされた後も希望すれば,形式的にハローワークの求人票に基づいて,一般の応募者と同様に応募し,履歴書を提出して面 接を受ければ,事実上優先的に採用され,雇用が打ち切られる例はなかった。ところが,被告は,平成24年法律第56号による改正後の労働契約法18条(以下,単に「労働契約法18条」という。)の施行を意識して,契約職員に予め周知することなく,平成28年度には,公募による契約職員の再雇用を取りやめるよう方針変更をし,従前から原告が有していた雇 用継続への期待を断ち切った。原告の雇用継続への期待は法的に保護されるべきものである。実際,原告の直属の上司であるF部長は,平成27年12月に,原告に対し,原告が準職員採用試験に不合格となったとしても,公募に対して申込みをすれば,契約職員として平成28年度以降も継続して働くことができる旨の発言をしていた。 以上によれば,労働契約法19条1号又は2号に該当する。 (被告の主張)本件雇止めに関して労働契約法19条1号又は2号が適用,類推適用されることはないし る旨の発言をしていた。 以上によれば,労働契約法19条1号又は2号に該当する。 (被告の主張)本件雇止めに関して労働契約法19条1号又は2号が適用,類推適用されることはないし,仮に類推適用されるとしても,同各号の要件を充たすことはない。 被告は,通算雇用期間の上限を3年と就業規則で定め,採用時の面接でその点を説明している。その上で,3年の通算雇用期間の上限を超えない有期雇用契約を更新する際にも,個々の契約職員ごとに更新の必要性・相当性を判断し,管理職が面談して当該契約職員に対して更新の有無を伝え,更新が必要な契約職員には更新を希望するか否かを確認する手順を踏んで いる。そして,被告は,通算雇用期間が上限に達した契約職員については 契約の更新をしていない。したがって,労働契約法19条1号の要件該当性(実質無期契約型)はない。 原告は,「公募の選考手続を経ての再雇用」の期待を根拠に労働契約法19条2号該当性を主張するが,同号が規定する「更新による雇用継続」とは全く異なるものであり,同号の適用も類推適用もなく,仮に類推適用 がされるとしても,同号の要件を充たさない。被告は,翌年度の人員体制,業務量からみて契約職員の雇用が必要な場合には,ハローワークを通じて契約職員を公募し,通算雇用期間が3年に達した契約職員が申込みをした場合に再雇用をしたことはあるが,一般の応募者に優先して採用していたわけではない。なお,被告の職員は,A県からの派遣職員(以下「県派遣 職員」という。),正職員,準職員,契約職員等(以下,正職員及び準職員を併せて「プロパー職員」ということがある。)により構成されているが,雇用期間がなく長期間働ける職員を増加させるため,県派遣職員を減らしつつ,プロパー職員を増加させる施 員等(以下,正職員及び準職員を併せて「プロパー職員」ということがある。)により構成されているが,雇用期間がなく長期間働ける職員を増加させるため,県派遣職員を減らしつつ,プロパー職員を増加させる施策を講じ,契約職員数を抑制する方針に従った取組みを行ってきた。そして,県派遣職員,正職員,準職員 の定員の制限が撤廃されたことも合わさって,平成28年度はプロパー職員の増員が可能となり,公募による契約職員の採用の必要性がなくなったため,契約職員の公募を行わなかった。したがって,公募の停止は突如として方針転換を図ったことによるものではない。被告の契約職員は,準職員の内部採用試験実施についての通知や説明内容等を通じて,契約職員の 担当する職務の範囲が縮小し,契約職員の公募の機会も漸減していくことを認識していた。原告も,F部長の説明等によって,平成28年度に契約職員としての契約がそのまま更新される余地がないことを認識していた。 イ争点③について(原告の主張) 原告の従前の勤務成績に鑑みれば,本件雇止めには,合理的な理由も社 会的相当性も認められない。 (被告の主張)被告が,その職員構成の改善を迫られ,契約職員とその他の職員の業務分担の見直しが行われていたという客観的状況に照らせば,本件雇止めが,労働契約法19条柱書にいう「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上 相当であると認められないとき」に該当しないことは明白である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実のほか,証拠(甲8,乙12,13,G証人,F証人,原告本人,文中掲記の証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認定できる。 ⑴ 被告は,平成23年4月1日に設立された法人であり,B大 のほか,証拠(甲8,乙12,13,G証人,F証人,原告本人,文中掲記の証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認定できる。 ⑴ 被告は,平成23年4月1日に設立された法人であり,B大学及びC大学の2大学を運営するようになったが,法人化前の組織が行っていた業務に加え,①理事会等の運営業務,②予算・決算業務,③中期計画,年度計画,実績報告書作成業務,④職員採用・育成業務などの業務が加わり,被告の業務量は格段に増加した。 ⑵ 被告の事務職員数及び構成ア被告の事務職員数及び構成は,設立された平成23年度から平成28年度まで,別紙1のとおりで推移した。但し,被告が平成27年4月1日に公立大学法人E大学を統合したことに伴う機構改革によって法人本部が設けられたところ,統合前の両法人で採用された職員及び県派遣職員で法人 本部で勤務することになった職員も存するが,別紙1では法人本部で勤務することになった人数は除外されている(乙4)。 イ被告が,平成23年4月1日に法人化された当初,事務職員の多数を県派遣職員が占めていた。当時,被告の設置者であるA県は,職員の定員について,法人化前の定数管理条例における職員定数の制限と同様の「B大 学及びC大学の2大学で県派遣職員・正職員合計40名」との制限の下に 運営する方針を示していた。 しかしながら,上記⑴のとおり,被告の業務量が格段に増加し,上記定員では対応できなかったため,当時の非常勤職員等の中から公募により契約職員を採用して,人員を確保した。 また,A県は,被告に派遣する職員を漸減する旨の方針を採ったため, 被告の県派遣職員数が年々減少し,被告は,平成26年度までは,県派遣職員の減少分に見合う数の正職員を採用し,それ以外に契約職員を採用して対応した に派遣する職員を漸減する旨の方針を採ったため, 被告の県派遣職員数が年々減少し,被告は,平成26年度までは,県派遣職員の減少分に見合う数の正職員を採用し,それ以外に契約職員を採用して対応した。 被告における正職員の採用は,平成23年度から中途採用(新卒者以外)を毎年行い,平成27年度からは新卒者の採用を開始した。平成27年度 までの中途採用者は,全国公募による応募者(年129人ないし349人)から書類選考した約100人に知的能力試験や適性検査を行って20名程度に絞り込んだ上で,事務局次長以下の職員による1次面接,理事長以下による2次面接(平成25年度までは事務局長以下による面接)を行い,年3ないし6名を採用した。 ウ被告においては,県派遣職員の派遣期間は原則として3年であり,また,契約職員についても就業規則で雇用期間は3年を超えない範囲での更新と制限されていたため,長期間勤務する職員が少なく,職員の間で業務の知識・経験が蓄積されないという問題が顕在化していた。また,複数の業務を経験して被告の業務全体についての知識・理解を持つ職員を育成する必 要があった。 エこうした事情から,被告では,プロパー職員の比率を増加させる必要が生じていた。その対策の一環として,平成25年度に,理事会及び経営審議会での議論を経て,優秀な契約職員を選考試験の実施によって雇用期間の定めのない準職員として内部登用する制度を導入することを決定し,以 後,準職員採用試験を実施してきた。準職員の採用試験の結果は,平成2 6年2月に応募者10名に対して合格者3名,平成27年1月に応募者5名,合格者3名,平成28年1月に応募者17名,合格者4名であった。 (乙1(枝番があるものを全て含む。以下同じ。),乙5ないし8)。 オ に応募者10名に対して合格者3名,平成27年1月に応募者5名,合格者3名,平成28年1月に応募者17名,合格者4名であった。 (乙1(枝番があるものを全て含む。以下同じ。),乙5ないし8)。 オ被告の職員数については,上記イのとおり,「B大学及びC大学の2大学で県派遣職員・正職員合計40名」との制限が設けられており,平成2 7年の統合に伴う法人本部の設置を受け,同年当初は,県派遣職員24名,正職員12名の合計36名であったが,同年度中の被告とA県の協議により,上記制限を撤廃することになり,平成28年には県派遣職員20名,正職員20名,準職員10名となるなど,大幅にプロパー職員が増加することとなった。 カ上記の事情により,プロパー職員数は平成23年度の0名から漸増して平成28年度に30名となり,これに対して,県派遣職員は平成23年度の36名から平成28年度の20名に漸減し,契約職員についても,平成26年度の29名をピークに平成28年度の23名と減少に転じていった(別紙1)。 ⑶ 契約職員の退職等の状況ア被告の契約職員は,就業規則により雇用期間の上限が3年とされているところ(甲5),平成23年の被告設立後,平成28年度までに雇用された契約職員の退職等の状況は別紙2のとおりであり,合計34名である。 但し,同年度現在で契約職員として雇用されており,かつ,通算雇用期間 が3年未満の者は除外されている(乙9,10)。 イ被告において,契約職員の雇用は,1会計年度ごとに更新がなされるが,その際に,少なくとも管理職による契約更新に関する意向確認が行われていた。そして,実際に,通算雇用期間の上限の3年に達するまでの間に他の採用形態に変更したり,離職したりした者が22名いた(そのうち10 名が離職し,他の よる契約更新に関する意向確認が行われていた。そして,実際に,通算雇用期間の上限の3年に達するまでの間に他の採用形態に変更したり,離職したりした者が22名いた(そのうち10 名が離職し,他の12名はプロパー職員等に採用されるなどした。)。離 職した10名には,契約職員の能力,適性が考慮された上で離職に至った者も含まれており,無条件に雇用期間を全うできるわけではなく,形式的に更新がなされていたわけではない。 離職者10名の具体的な内訳は別紙3のとおりであり,1会計年度の雇用期間満了時に更新がなく退職した者が5名,同雇用期間中に職場不適応 により辞職した者が4名,自己都合(他の企業に就職)のために辞職した者が1名であった。 更新がなく退職した5名の内訳は,契約業務の終了による退職が1名,勤務実績が不良であるために被告の判断で契約を更新しなかった者が1名,契約職員側に更新の意思がなかったために退職となった者が3名であった。 職場不適応のため退職した者4名の内訳は,勤務実績の不良に対する指導の過程で辞職願が提出されて退職に至った者が1名,非違行為に対する指導の過程で辞職願が提出されて退職に至った者が1名,職場の人間関係を理由に辞職願が提出されて退職に至った者が2名であった(乙11)。 ウ被告において,通算雇用期間の3年の上限に達した契約職員は,34名 中,原告を含めて12名であった。このうち1名は,被告の契約時の過誤により通算3年2か月間勤務となった者である。同人はその後,準職員として採用された。また,他の2名は準職員として,採用された。そして,保健師1名は,公募をしたが採用できず,学生の健康相談への対応に不可欠な職種であったため,例外を認めて3年を超えて更新された。 残りの8名のうち7名は,公 準職員として,採用された。そして,保健師1名は,公募をしたが採用できず,学生の健康相談への対応に不可欠な職種であったため,例外を認めて3年を超えて更新された。 残りの8名のうち7名は,公募により平成27年度(公募の時期は平成26年度)までに契約職員として再雇用された。平成28年度(公募の時期は平成27年度)からの契約職員については,公募がなされなかったので,残る1名である原告は契約職員として再雇用されなかった(乙10)。 ⑷ 契約職員の公募 ア被告においては,上記⑵のとおりの方針で人員の確保を行ってきており, 上記⑶のとおりに契約職員が処遇されている。基本的に,契約職員は,通算雇用期間の3年の上限に達するまでにプロパー職員等に採用されなければ,そのまま更新されることはなく,下記のとおり被告による公募に対して申込みをすることで採用され得る。平成27年度(公募の時期は平成26年度)までに7名が公募により採用されたが,平成28年度(公募の時 期は平成27年度)には,公募による採用がなかった結果,原告1名には採用される機会がなかった。 イ公募の手続に関しては,被告は,翌年度の人員体制,業務量からみて契約職員の雇用が必要な場合に,ハローワークを通じて契約職員の公募を行い,申込みをしてきた者の中から書類選考で複数名の候補者に絞った上で, 事務局次長,担当部署の長などによる面接を行い,人事委員会で採用候補者を決定し,学長(平成26年度までは理事長)の決裁を受けて契約職員の採用を行ってきた。 ⑸ 本件雇止めに至る経緯ア原告は,平成25年4月1日に被告に採用され,各1年の雇用期間で2 回更新され,2回目の更新により平成27年4月1日から平成28年3月31日の期間満了まで雇用され,同日以降は契約 る経緯ア原告は,平成25年4月1日に被告に採用され,各1年の雇用期間で2 回更新され,2回目の更新により平成27年4月1日から平成28年3月31日の期間満了まで雇用され,同日以降は契約の更新がなされず,本件雇止めとなった。 イ原告は,総務企画部総務課事務の職に就き,被告の教職員の給与計算等の事務を行った。 平成27年4月に給与担当のチーフがA県に異動となり,新しく,課長と事務担当の職員1名が配属された。さらに,同年9月からは人材派遣会社から人材を受け入れた。 新しい担当職員は県派遣職員で,給与計算に不慣れであり,被告における給与計算の経験を蓄積していた原告が少しずつ引継ぎを行うなどし,原 告の知見が役立っていたが,反面,被告は原告が他の職員と連携や協力の 不足があり,適切に分業せず,他の職員との協調を欠く行為があったとして,毀誉褒貶相半ばする評価をしていた。 ウ被告は,同年12月に,準職員採用試験を実施する旨案内し,3年を超えての雇用契約の更新がないことを改めて周知して,無期雇用を希望する職員は積極的に受験するよう呼びかけた。そして,受験資格について,平 成26年度までは,年度末までに3年以上勤務する契約職員としていたものを,平成27年度には同年12月31日現在で勤務歴2年を有する職員とするように緩和した。F部長は,原告に対して受験を勧めた。原告は,2年目の契約職員は準職員試験が2回受けられるようになったが,自分たちは3年目であるため1回しか受験できないと述べ,試験に落ちたらどう なるか質問した。F部長は,平成28年度の公募がなされるかは分からなかったが,一般論として,契約職員の公募があれば,原告がハローワークを通じて申込みをすることで,選考対象となると答えた。 原告は,準職 か質問した。F部長は,平成28年度の公募がなされるかは分からなかったが,一般論として,契約職員の公募があれば,原告がハローワークを通じて申込みをすることで,選考対象となると答えた。 原告は,準職員採用試験を受験し,同年1月11日に実施された第1次試験(適性検査等)に合格したが,同月27日の第2次試験(個人面接) に不合格となり,同月29日にその旨の発表があった。この時の試験の結果は,17名が受験し,1次試験に6名,2次試験に4名が合格したというものであった。 エ原告は,同年2月1日又は2日,準職員採用試験に不合格となった理由を,G事務局長及びF部長に問い合わせた。 原告は,同月9日に,同月3日付けの退職願(退職日を平成28年3月31日とするもの。)を提出した(乙2)。これを受けて,F部長は,上司の立場として指導力不足があったことは否めないと考え,原告に対し,過酷な勤務状況となってしまったのは,局長,次長,部長,課長を含めた上司の責任ですと話した。 その際,原告は,F部長に同年3月は数日出勤し,年休を取得したいと 申し出た。実際には,原告は,体調不良等により手術を受ける必要があり,同月を待つことなく,同年2月1日から同年3月10日までの間,年休,病休,振替休日により10日間(うち4日は時間休を取得)のみ勤務し,同月11日以降は欠勤した(乙3)。 F部長は,原告が出勤しないので,G局長と相談して,平成28年度の 新体制になる前に,業務分担の見直しを行った。原告が出勤をしなくなった平成27年2月及び3月は県派遣職員が対応したが,滞りなく業務をすることができた。 オ被告は,準職員採用試験の結果や,各契約職員の更新の意向等を踏まえ,同年2月29日までには,平成28年度は契約職員の公募は必要ないと は県派遣職員が対応したが,滞りなく業務をすることができた。 オ被告は,準職員採用試験の結果や,各契約職員の更新の意向等を踏まえ,同年2月29日までには,平成28年度は契約職員の公募は必要ないと判 断するに至った。上記のとおり,原告がその時点で既に退職願を提出していたため,被告は,原告が同年3月31日で退職することを前提としており,同人に対する雇止めの通告はしなかった。 カ原告は,同年2月29日,F部長に対して,退職願を撤回すると申し出た。F部長は,総務企画部としては,公募の予定はないと考えていたが, 他の部門で契約職員の公募があるか否かについては知らなかったので,雇用契約の更新の可能性はないが,被告が契約職員の公募をすることがあり,原告がハローワークを通じて申し込みをすれば,選考の対象となると一般論を告げて,一旦は引き取った。そして,G局長に報告すると,同局長は平成28年度の契約職員の公募は行わない旨を原告に伝えるよう指示した。 F部長は,原告に対し,同年3月2日に公募はないと告げた。 キ被告は,原告に対し,同年3月8日付で雇止め理由証明書を発行した。 同証明書には,更新回数の上限に係り,期間満了によるものであることとされ,なお書きで,原告の退職願が同年2月3日付けで受理されていると記載されている(甲4)。 ク原告等の雇止めに関して,同年3月15日,被告と労働組合との間で 団体交渉が行われた(甲7)。 2 争点に対する判断⑴ 争点①についての判断被告は,労働契約法19条の要件該当性ではなく,そもそも適用や類推適用がないと主張をするが,原告の主張は,就業規則上3年の上限があるもの の,なお,1年単位で契約が更新されるべきであるというものであり,公募がなされて再雇用され 性ではなく,そもそも適用や類推適用がないと主張をするが,原告の主張は,就業規則上3年の上限があるもの の,なお,1年単位で契約が更新されるべきであるというものであり,公募がなされて再雇用された状態,つまり3年の更新期間の上限が解消された状態に復するという主張をしているわけではないから,あくまで同条の要件該当性の問題として捉えるのが相当である。 まず,前提事実のとおり,被告は,その就業規則において,契約職員の雇 用期間は1会計年度とし,更新による通算雇用期間の上限を3年とする明確な定めを置いている。 そして,被告は,通算雇用期間内に有期雇用契約を更新するに当たり,その都度,当該職員に対し,契約期間を明記した労働条件通知書を交付するなど,外形上,更新がなされたことを明確にする手続をとっていた(甲2, 3)。加えて,上記認定のとおり,契約更新前には少なくとも管理職による意向確認が実施され,1名ではあるが,実際に雇止めになった契約職員が存した。しかも,上記認定のとおり,雇用期間満了時に雇止めをする可能性が高かった契約職員は,その前に辞職願を提出して退職しており,更新前の時点で当該契約職員の適性等が判断されて,雇用が継続されていないという事 情もあった。そうすると,通算雇用期間の上限内の更新手続についても,形式的かつ形骸化しており,1会計年度といった期間が存しないのと同様な状態にあったとはいえないというべきである。 これに対し,原告は,被告による契約更新の手続は特別な事情のある契約職員については有期雇用契約を更新しないという程度の簡単なものにすぎな い旨主張する。確かに,被告の関連団体であるB大学後援会のH部長は,こ の点について,同後援会による契約職員の雇止めの可否が争われた別件の訴訟(当庁平成2 程度の簡単なものにすぎな い旨主張する。確かに,被告の関連団体であるB大学後援会のH部長は,こ の点について,同後援会による契約職員の雇止めの可否が争われた別件の訴訟(当庁平成28年(ワ)第130号)において,よほどのことがない限りは更新されるという趣旨の供述をしてはいる(甲10)ものの,当該供述は「通常の勤務状況確認,平時の勤務状況,1月までの勤務状況を確認しながら,来年度に向けて,やっていっても大丈夫かどうかといったようなところ を判断して,確認しました。」と述べた上で,契約職員側の訴訟代理人の質問内容を肯定する供述をしたにすぎないものである(甲10)。原告が指摘するような被告の関連団体の関係者の供述の一部を捉えて,そのことから直ちに,被告における有期雇用契約の更新手続が簡単なものであったとか,形骸化していたなどということはできない。 かえって,被告は,3年間の雇用期間の上限を墨守し,契約ミスの例と保健師という資格上の例外を認めざるを得なかった事案を除いて,必ず,3年で契約職員を一旦は雇止めにし,その後は,公募,ハローワークを通じた申込み,選考手続を行って再雇用をしてきたものであり,3年間の上限に達した契約職員に関しては単なる契約の更新とは明らかに異なる手続を踏んでき ていることが指摘できる。 以上説示してきたところによれば,本件雇止めが期間の定めのない労働契約を締結している労働者に対する解雇と同視できるとは認められないしたがって,本件雇止めは労働契約法19条1号に該当しない。 ⑵ 争点②についての判断 被告は,その就業規則において,契約職員の通算雇用期間の上限を3年と明確に定めていたこと,かかる上限に達しない契約職員について有期雇用契約を更新する場合も,管理職による意向 についての判断 被告は,その就業規則において,契約職員の通算雇用期間の上限を3年と明確に定めていたこと,かかる上限に達しない契約職員について有期雇用契約を更新する場合も,管理職による意向確認や契約期間を明記した労働条件通知書の交付といった手続をとっていたこと,原則として3年の期限を超えてそのまま更新した事例はなく,必ず更新とは明らかに性質の異なる公募が 行われていたこと,F部長も原告にその旨を告げていて,原告も理解してい たこと,原告の契約の更新回数は2回にすぎず,通算雇用期間も3年にとどまっていたこと,原告の給与計算を主とする業務は,性質上,一定の恒常的なものであり,一定の専門性が必要であって,職員のプライバシーに携わるものであるとはいえるが,政策的・裁量的な判断がなされるべきものではなく,ルールに従って一定の処理を行うもので,担当者によって結果が異なり うるものではなく,また,業務自体は恒常的に存するものとはいえ,同一の担当者が継続的に従事する必要性の高い業務とはいえず,代替性が高いものと評価でき,業務内容から直ちに継続雇用の高い期待が生じるとまではいえないこと,しかも,原告が準職員採用試験を受験し,一旦は準職員として内部登用される機会が確保されていたことも踏まえれば,労働契約法19条2 号の合理的な理由のある期待があったと認めることは困難である。 また,平成26年4月1日及び平成27年4月1日付け労働条件通知書における「契約期間更新の有無」の欄の「1 契約更新の有無」の項には「ロ更新する場合がありえる」に○印が付されている(甲2,3)ところ,原告は,かかる記載を根拠の一つとして,原告の雇用継続に対する期待には 合理的な理由があると主張している。しかし,上記各通知書の「1 契約更 がありえる」に○印が付されている(甲2,3)ところ,原告は,かかる記載を根拠の一つとして,原告の雇用継続に対する期待には 合理的な理由があると主張している。しかし,上記各通知書の「1 契約更新の有無」の項には「イ自動的に更新」という項目も設けられているのに,あくまで「ロ更新する場合がありえる」に○印が付けられていたにすぎないことからすると,むしろ,原告は,契約職員就業規則に定められた通算雇用期間の上限に関する定めに従い,雇止めがなされる可能性があることを予 見し得たと評価することも十分に可能である。したがって,上記労働条件通知書の記載をもって,直ちに原告の雇用継続に対する期待に合理的な理由があるとはいえない。 なお,原告は,就業規則上3年間の上限があるとしても,公募により再雇用されていた実情があるから,3年を経た後も,契約更新に対する期待が保 護されるべきであると主張する。 しかしながら,公募はその性質上,年度ごとに必要な人員を補充するために行われるものであるし,ハローワークを通じて広く労働市場から被告への就職を希望する者に門戸を開く手続であって,職員の契約期間の更新とは明らかに性質が異なるから,公募手続を経て再雇用がなされ事実上契約期間が継続した事例が存したとしても,更新の期待を生じさせるとするには飛躍が ある。被告が設立されたのは,平成23年であって,3年の雇用期間を経た契約職員が公募により再雇用された実績があるのは,平成26年度と平成27年度の採用職員に限られるところ,その際に公募に申し込んだ契約職員が全員採用されたとはいえ,採用された人数は7人に限定されており,公募による再雇用の事例が性質の異なる更新への期待を生んだといえるほどの実質 を伴っているものと評価するのは困難である。 約職員が全員採用されたとはいえ,採用された人数は7人に限定されており,公募による再雇用の事例が性質の異なる更新への期待を生んだといえるほどの実質 を伴っているものと評価するのは困難である。したがって,公募がなかったにもかかわらず,契約が更新されたとすることはできない。 さらに,原告は,平成28年度に公募が行われなかったことが,突然の方針変更であって,労働契約法18条に反するという趣旨の主張をし,B大学教職員組合執行委員長のI証人も同旨の証言をしている。確かに,G局長が 団体交渉時に同条の存在があることを強調するように聞こえる答弁を行った(甲7)ことは否定できない。 しかしながら,被告においては設立後早い段階からプロパー職員を増員する方向で施策を進め,非正規雇用から正規雇用を主体とする職員構成に転換を行ってきており,その施策は,契約職員にとっても準職員として採用され る途を開いていると評価し得る面も有することを踏まえると,その結果として,契約職員の担当業務が縮小し,契約職員数の減少に至ることもやむを得ないから,平成28年度に公募をしなかったという判断が直ちに同条に反し,あるいは潜脱するものであったとはいい難い。本件では,原告が採用された時点で,就業規則上,更新の上限が3年以内と明確にされており,採用後に 一方的に就業規則が変更されたという事案ではないし,原告が就職した平成 25年の時点で契約職員が公募により再雇用されることが当然に保証されていたという事情もなく(被告設立の時点から3年経っていない。),原告にも準職員採用試験を受ける機会が与えられたことも加味すれば,被告が同条を濫用し,原告の同法19条2号所定の期待を裏切ったと評価するのは相当でない。 以上の事情を総合考慮すると,原告が通算雇 も準職員採用試験を受ける機会が与えられたことも加味すれば,被告が同条を濫用し,原告の同法19条2号所定の期待を裏切ったと評価するのは相当でない。 以上の事情を総合考慮すると,原告が通算雇用期間の上限である3年を超えて被告との雇用契約が更新されるものと期待することについて,合理的な理由があったとはいえない。 したがって,本件雇止めは同法19条2号にも該当しない。 第4 結論 以上によれば,争点③について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり,判決する。 高知地方裁判所民事部 裁判長裁判官西村修 裁判官酒井孝之 裁判官田中慶太

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