昭和55(行コ)28 鉱種名変更の確認及び登録取消等請求控訴並びに附帯控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和58年8月30日 東京高等裁判所 その他
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【DRY-RUN】○ 主文 控訴人らの本件控訴を棄却する。 附帯控訴に基づき、原判決主文二項ないし四項を次のとおり変更する。 二 控訴人国(附帯被控訴人)は、被控訴人(附帯控訴人)に対し、金一三、一一 一二、〇〇〇円及

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○ 主文控訴人らの本件控訴を棄却する。 附帯控訴に基づき、原判決主文二項ないし四項を次のとおり変更する。 二控訴人国(附帯被控訴人)は、被控訴人(附帯控訴人)に対し、金一三、一一一二、〇〇〇円及びうち金一二、〇一二、〇〇〇円に対する昭和四〇年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 三被控訴人(附帯控訴人)のその余の請求を棄却する。 四控訴費用は控訴人らの、附帯控訴人の控訴人(附帯被控訴人)国に対する請求部分の訴訟費用は第一、二審を通に控訴人(附帯被控訴人)国の、各負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一本件控訴について 1 控訴人ら代理人原判決中控訴人ら敗訴の部分を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。 2 被控訴人代理人本件控訴を棄却する。 控訴費用は、控訴人の負担とする。 二附帯控訴について 1 附帯控訴人(被控訴人)代理人原判決主文二項を次のとおり変更する。 控訴人(附帯被控訴人)国は、被控訴人(附帯控訴人)に対し、金一七、〇一二、〇〇〇円及びうち金一二、〇一二、〇〇〇円に対する昭和四〇年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 附帯控訴費用は、附帯被控訴人(控訴人)国の負担とする。 2 附帯被控訴人(控訴人)国代理人本件附帯控訴を棄却する。 附帯控訴費用は、附帯控訴人(被控訴人)の負担とする。 第二当事者の主張当事者双方の事実上の主張は、次のとおり訂正及び付加する他は、原判決の事実摘示と同一であるから、これを引用する。 一 1 原判決一九枚目裏四行目に「五原告の損害(主位的主張)」とあるのを「五原告の損害(一次的主張)」と改め、同二二枚目裏八行目の「よつて」とある部分から一一行目の「支払を求める。」とある部分までを削除する。 九枚目裏四行目に「五原告の損害(主位的主張)」とあるのを「五原告の損害(一次的主張)」と改め、同二二枚目裏八行目の「よつて」とある部分から一一行目の「支払を求める。」とある部分までを削除する。 2 原判決一一三枚目表一行目に「六原告の損害(予備的主張)」とあるのを「六原告の損害(二次的主張)」と改め、同二六枚目裏七行目に「よつて」とある部分から九行目の「支払を求める。」とある部分までを削除する。 3 右2のとおり削除した原判決二六枚目の部分につづいて、次の記載を追加する。 七被控訴人の損害(三次的主張)被控訴人が昭和三七年八月一日から昭和五七年七月三一日までの間に販売した合成樹脂用研磨材を製造するため使用した「全原材料」並びにそのうちの「鬼首白土」、「その他の白土」及び「白土以外の材料」の、別表三の1欄の一項ないし一八項記載の期間ごとの量及びその費用は、同表の3欄ないし10欄の当該項に記載したとおりである。ところで、被控訴人において昭和四一年二月一日以降鬼首白土を原材料に使用した場合も、それ以外の白土を使用した場合の製造販売量と少なくとも同量の合成樹脂用研磨材を製遣販売できたことは確実であり、その場合の原材料消費量は、総量としては同表4欄記載の数量と一致し、同表の14欄に移記したとおりとなるが、それを構成する「鬼首白土」と「その他の材料」の割合は、昭和三七年八月一日から昭和四一年一月三一日までの実績として同表の一項に記載した数量のとおり、一五〇、五五二対一六五、〇〇一となるものと推定できる。そこで、この割合によつて同表の14欄の原材料総消費量を「鬼首白土」と「その他の材料」に分けると、同表の15欄及び16欄のとおりとなる。次に、これらの原材料を求めるための費用は、同表の11欄に記載した各期間ごとの一キログラム当たり実績単価に 総消費量を「鬼首白土」と「その他の材料」に分けると、同表の15欄及び16欄のとおりとなる。次に、これらの原材料を求めるための費用は、同表の11欄に記載した各期間ごとの一キログラム当たり実績単価によつて計算することができ、同表の20欄記載のとおりとなる。「鬼首白土」の昭和三七年八月一日から昭和四一年一月三一日までの一キログラム当たり実績単価は、同表の5欄及び6欄記載の数値から、二一・四二円となるが、この兎首白土の単価は、昭和四一年二月一日以降は、同表の11欄に記載の「その他の材料」の実績単価と同じ比率で上昇したものと推定できる(「その他の材料」の昭和三七年八月一日から昭和四一年一月三一日までの単価を一〇〇とした場合のその後の単価指数は、同表の12欄記載のとおりである。)。この比率によつて昭和四一年二月一日以降の鬼首白土一キログラム当たり単価を推計すると、同表の19欄記載のとおりとなり、この単価によつて鬼首白土の費用を計算すると、同表の18欄記載のとおりとなる。したがつて、鬼首白土を使用できたとすれば、原材料費は、同表の18欄と20欄の金額を合算し、17欄に記載した金額ですんだはずである。 被控訴人が昭和四一年二月一日以降実際に支出した原材料費は、別表三の3欄の二項ないし一八項のとおりであるから、この金額から同表の17欄の該当項記載の金額を差し引いた金額として同表の21欄に記載した金額が、同表の二項ないし一八項の各期間に生じた損害額になる。 ところで、被控訴人は、控訴人局長の不法行為により昭和四〇年一月一日から鬼首白土の採掘を妨げられたのであるから、同日をもつて控訴人国に対する損害賠償請求権が発生したものであり、そこで、同表21欄に記載した金額の同日現在の価額を年五分のホフマン法により計算すると、同表の22欄記載のとおりとなり、この合計 ら、同日をもつて控訴人国に対する損害賠償請求権が発生したものであり、そこで、同表21欄に記載した金額の同日現在の価額を年五分のホフマン法により計算すると、同表の22欄記載のとおりとなり、この合計一二、〇一二、〇〇〇円が控訴人局長の不法行為により被控訴人に発生した昭和五七年七月までの期間に対応する損害額である。 八被控訴人の損害(弁護士費用)被控訴人は、その訴訟代理人である弁護士らに対して、被控訴人が本件訴訟で勝訴した場合には、その報酬として金五、〇〇〇、〇〇〇円を支払うことを約している。 九損害賠償の請求額被控訴人は、控訴人国に対し、第一次的には前記五記載の一次的主張にかかる総損害額の内金として、第二次的には前記六記載の二次的主張にかかる総損害額の内金として、第三次的には前記七記載の三次的主張にかかる損害金として、いずれも金一二、〇一二、〇〇〇円及びこれに対する昭和四〇年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払を求めるとともに、前記八記載の弁護士費用相当額として金五、〇〇〇、〇〇〇円の支払を求める。 4 原判決四二枚目裏七行目の次に、控訴人らの請求原因に対する答弁として、次の答弁を追加する。 七請求原因七及び八について請求原因七及び八の事実は争う。 5 原判決の別表三の記載を本判決添付の別表三の記載のように改める。 二控訴人らの当審における主張として、次の主張を付加する。 1 本件処分の適法性について(一) 鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石に当たるか否かの判断は、単に科学的、鉱物学的な見地からだけではなく、鉱物資源の合理的な開発によつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする鉱業法の趣旨にそつた観点、すなわち、それら鉱物を鉱業法の適用下におきその保護と監督の下に採掘することが国民経済上及び鉱物資源の合理的開発上必 開発によつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする鉱業法の趣旨にそつた観点、すなわち、それら鉱物を鉱業法の適用下におきその保護と監督の下に採掘することが国民経済上及び鉱物資源の合理的開発上必要と考えられるか否かという観点に立つてなされるべきである。 こうした観点からすると、鬼首白土は、そこに含有されているけい酸分を乾燥して得られるけい酸粒子の物理的、化学的特質に着目して、工業用原材料として用いられる鉱物であり、しかもその採掘には本格的な鉱業技術が要求され、成分的類似性は品位の点からみてもけい石と差異がなく、これを鉱業法の適用下おき、その監督と保護に服せしめる必要が十分に認められるのである。したがつて、鬼首白土は鉱業法上のけい石に当たるものというべきである。 (二) 通商産業省鉱山局長の二〇二号通達は、鉱業法上のけい石として取り扱われるための要件の一つとして、火成作用によるけい石については「白けい石」又は「炉材けい石」の一般的名称を有するものであることを要求しているが、この一般的名称は、主として用途の面から付されたものであるから、鬼首白土がけい石に当たるか否かを判断するに当たつては、単に鬼首白土が「白けい石」又は「炉材けい石」という名称で呼ばれたことがあるか否かという点からのみならず、鬼首白土がその用途の面からみて「白けい石」等に含まれる余地があるか否か、あるいは実際上工業関係の分野においてけい石とみなされて使用されているか否かの観点からも検討されなければならない。すなわち、仮に「白けい石一等の名称で呼ばれたことがないとしても、右のような観点からして「白けい石」等と呼ばれる可能性があると認められる場合には、右の要件を充たしているものと考えるべきである。ところで、白けい石の主たる用途はガラスの原料であるが、その他にも陶磁器の原料等の 点からして「白けい石」等と呼ばれる可能性があると認められる場合には、右の要件を充たしているものと考えるべきである。ところで、白けい石の主たる用途はガラスの原料であるが、その他にも陶磁器の原料等の広い用途を有しており、研磨料の原料としても用いられている。そして、鬼首白土も研磨材の原材料として使用されてきたものであり、しかも白色であるから、前記のような観点からすると白けい石と呼ばれる可能性があると認められるものであり、その意味で前記の通達にいう一般的名称の要件を充たしているものというべきである。現に、現在鉱業法上のけい石として取り扱われている鉱石の中にも、「若狭けい石」、「三河けい石」、「鳥屋根石」、「別府白土」あるいは「丹波のあかしろ」といつた名称で呼ばれているものが多数存在しているのである。 (三) 鬼首白土が仮りに耐火粘土に当たらないとしても、本件鉱区内に耐火粘土が賦存していることは明らかであるから、控訴人局長は、鉱区全体について検討を行い、けい石に該当する鬼首白土の賦存とそれ以外の耐火粘土の賦存を認め、その結果本件鉱業権に耐火粘土の鉱種を追加したものであつて、その処分には何らの違法もない。 2 本件処分の瑕疵の明白性について一般に行政処分が無効であるとされるためには、当該処分に重大かつ明白な瑕疵が存在していることが必要であり、この瑕疵が明白であるといえるためには、処分要件の存在を肯定する処分庁の認定の誤りであることが、処分成立の当初から、権限ある国家機関の判断をまつまでもなく、何人の判断によつてもほぼ同一の結論に達し得る程度に明らかであることが必要である。 ところで、本件で控訴人局長のした鬼首白土がけい石及び耐火粘土に当たるとの認定が仮りに誤りであつたとしても、その結論には、我が国有数の鉱物学者らによる極めて高度な科学論争を経て初 ことが必要である。 ところで、本件で控訴人局長のした鬼首白土がけい石及び耐火粘土に当たるとの認定が仮りに誤りであつたとしても、その結論には、我が国有数の鉱物学者らによる極めて高度な科学論争を経て初めて到達し得るものであるから、仮りに本件処分に重大な瑕疵があるとしても、その瑕疵は到底明白なものとはいい得ない。 また、本件登録処分は、鉱業登録の一種であり、不動産物権に関する登記にも類するものであつて、その処分の存在と有効性を信頼する第三者の保護という配慮を欠くことのできないものであるから、本件処分の瑕疵が重大なものであつても明白なものでない限りは、その処分が無効とされることはないものというべきである。 三控訴人国の当番における主張として、次の主張を付加する。 鉱業法六七条の規定に基づき通商産業局長の行う鉱種名変更の確認は、あくまで鉱業法上の鉱物の存在の確認にすぎず、何ら新たな権利関係を設定するものでなく、鉱業登録令四三条に基づく登録は鉱業原簿の表示を本来鉱業権者の有する権利内容に合致せしめるために行う表示の変更手続にすぎないことから、その処分の前提としての審査は原則して書面のみによつて行われており、現地調査等は行われていない。そして、一般的には、当該鉱区内において追加すべき鉱物が理論的に既登録鉱物と同種鉱床にあり得ることが認められ、かつ、現にその存在の一部が確認される等、客観的諸資料から実地調査によつて得られる成果と同程度のものが得られる場合には、これを確認し、登録しているのである。 控訴人局長が本件処分を行うに際しても、訴外Aほか一名から受理した鉱種名変更届には、右訴外人から提出された試料である白土を分析した結果けい酸分が九七・二パーセント含まれていたとの神奈川県工業試験所長作成の試験成績書等の書面が資料として添付されており、これらの資料の 名変更届には、右訴外人から提出された試料である白土を分析した結果けい酸分が九七・二パーセント含まれていたとの神奈川県工業試験所長作成の試験成績書等の書面が資料として添付されており、これらの資料の信用性等に疑問を抱かせるような事情は何らなかつたのであり、しかも本件鬼首白土の特殊性が判明したのは、早くてもB博士の見解が明らかにされた昭和四六年であつて、右処分当時においては右特殊性など知る由もなかつたのであるから、通常の場合と同様に右資料のみに基づいて本件処分を行つたとしても、鉱種名変更の確認及び登録の職務行為に当たる公務員として通常要求される注意義務のけ怠はなく、何ら過失はなかつたものというべきである。したがつて控訴人局長に過失がない以上控訴人国に対する損害賠償請求は棄却されるべきである。 四控訴人らの当審における主張に対する被控訴人の認否を次のとおり付加する。 控訴人らの主張は争う。 第三証拠(省略)○ 理由一本件訴訟に至るまでの経緯、鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石に当たるか否かを判断する基準、鬼首白土の生成過程、その採取直後のけい酸分含有率及びこれを大気中で風乾した場合のけい酸分含有率に関する当裁判所の判断は、原判決がその理由一項、二項及び三項の1ないし3に説示するところと同一であるから、これを引用する。 二そこで、鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石に当たるか否かを判断する基準となるそのけい酸分含有率の測定を、地中から採取したままの状態の試料で行うべきか、それとも採取した試料を大気中で風乾したもので行うべきかについて考える。 1 鑑定人Bの鑑定の結果、原審及び当審における証人Bの証言並びに原審における同証人の証言により原本の存在と成立が認められる甲第一号証の二には、次のような考え方が示されている。 すなわち、鬼首白土の組織内で 人Bの鑑定の結果、原審及び当審における証人Bの証言並びに原審における同証人の証言により原本の存在と成立が認められる甲第一号証の二には、次のような考え方が示されている。 すなわち、鬼首白土の組織内では、けい酸(SiO2)がいくつか結合してコロイド粒子を作り、このコロイド粒子がゆるく連結し合つて三次元の網状組織を作つている。複数のけい酸が結合するということは、各けい素原子が酸素原子を共有し合うことをいい、各けい素原子は四つの酸素原子によつて四面体的に配位されることとなる(つまり、SiO4)四面体となる。)。この結合が規則正しく行われ、すべての酸素原子がけい素原子によつて共有されると、石英に代表される結晶体のけい酸鉱物となる。しかし、けい酸のコロイド粒子の場合は、右の結合が不規則で切れ目があり、全体としてゆるやかなものとなつている。地中に埋蔵された状態の鬼首白土は、三〇%を超える水分を含んでいるが、この水分はコロイド粒子の三次元の網状組織に封じ込められた状態になつている。これを逆にいえば、水は分散相たるコロイド粒子の網状組織を支える分散媒をなしており、鬼首白土が今日までコロイド粒子を保持し、外力により容易に網状組織を破壊して各別の粒子に分離するという性質を有するのは、分散媒たる水分が存在したためである。このように鬼首白土にあつては、けい酸のコロイド粒子と水とは一体となつて非晶質のけい酸ゲルすなわちシリカゲルを形成しているのであつて、鬼首白土の場合、これをすりつぶすと濃厚な液状のゾルとなり、それを静かに放置すると固化して再びゲルの状態にもどるというチキソトロビー現象を呈するのも、それがゲルであることを示すものである。 被控訴人は、右の考え方に立つて、このようなゲルの状態において鬼首白土に含まれる水分は、分散媒として、分散相たるけい酸コロイド粒 キソトロビー現象を呈するのも、それがゲルであることを示すものである。 被控訴人は、右の考え方に立つて、このようなゲルの状態において鬼首白土に含まれる水分は、分散媒として、分散相たるけい酸コロイド粒子とともに、鬼首白土の一成分をなしているものであるから、鬼首白土のけい酸分の品位を測定する場合も、成分の一たる水分を除去して測定するのは相当でなく、そうすると、地中から採取したままの水分を含んだ状態での鬼首白土のけい酸分含有率は、先に引用した原判決認定のとおり、最高でも六六・二六%にしか達せず、通商産業省鉱山局長の二〇二号通達の要求するけい酸分の基準品位である九〇%に達しないから、鉱業法上のけい石には該当しないと主張するのである。 2 これに対に、原審における証人Cの証言並びにいずれも成立に争いのない乙第一二号証及び乙第二四号証には、次のような考え方が示されている。 すなわち、採取直後の鬼首白土は磨砕によりペースト状になり、このペーストを放置すると水を吸い込み一見乾燥したようになるが、再度の磨砕によりまたぺースト状になり、これをくり返していると、ペースト状態のものの粘度が増し、遂には乾燥粉体となる。他方、大気中で風乾した鬼首白土も、これを一〇日間水に浸した後に磨砕すると、採取直後の鬼首白土の場合と同様にペースト状になり、これを放置すると乾燥したようになり、再度の磨砕によりまたペースト状になること、これをくり返すと遂には乾燥粉体となることも、採取直後の鬼首白土の場合と何ら変るところがない。また、風乾した鬼首白土を磨砕して得た乾微粉体の場合でも、適当量の水を添加して磨砕するとペースト状となり、これまた採取直後の鬼首白土の場合と同様の性状を示すものである。これらの事実からすると、鬼首白土は風乾によつてその水分を除去してもその性質が変るものではなく、し を添加して磨砕するとペースト状となり、これまた採取直後の鬼首白土の場合と同様の性状を示すものである。これらの事実からすると、鬼首白土は風乾によつてその水分を除去してもその性質が変るものではなく、したがつて、鬼首白土は、けい酸の結合体であるコロイド粒子が連結し合い三次元の網状のキセロゲル的構造を形成するに至つているものであり、そこに含まれている水はもはや網状組織を支える分散媒ではなくなつている。 控訴人らは、右の考え方に立つて、鬼首白土に含まれている水は、出入りの自由な水であり、この水を除去しても鬼首白土の性質に変更をもたらすものではなく、鬼首白土の一成分を成しているものではないから、この水分を除去したうえで鬼首白土のけい酸分の品位を測定すべきであり、そうすると、鬼首白土を大気中で風乾した後のけい酸分含有率は、先に引用した原判決認定のとおり九〇%以上であるから、前記二〇二号通達の要求する基準品位を超えている。したがつて鬼首白土は鉱業法上のけい石に該当すると主張するのである。 3 ところで、通商産業省鉱山局長の二〇二号通達は、鉱業法上のけい石として取り扱われるために必要なけい酸分の基準品位として、自然状態すなわち粗鉱品位を対象として九〇%の要件を充たすものであることを要求するのみで、その基準品位のより詳細な測定方法については何ら定めるところがなく、現に控訴人局長も、昭和三二年一〇月九日付けの被控訴人に対する報告書(成立に争いのない甲第七号証の二)では水分を含んだままの状態を鬼首白土の前記二〇二号通達にいう自然状態であるとしてそのけい酸含有率を測定しておきながら、昭和三八年一二月九日付けの被控訴人に対する回答書(成立に争いのない甲第一五号証)では水分を除去した後の鬼首白土についてけい酸分の分析を行うべきであるとの前回とは反対の考え方を示して ておきながら、昭和三八年一二月九日付けの被控訴人に対する回答書(成立に争いのない甲第一五号証)では水分を除去した後の鬼首白土についてけい酸分の分析を行うべきであるとの前回とは反対の考え方を示しており、これらのことからすると、鬼首白土のように採取直後の状態で他の鉱物とは異る特殊な態様で水分を含有にている鉱物に右通達の基準を当てはめるに際して、そのけい酸分の含有率の測定を地中から採取したままの試料で行うべきかそれともそれを大気中で風乾した試料で行うべきかについては、これをいずれとも一義的に決し難いものがあり、他にこれを一義的に定めたことを認めるに足る証拠もない。 被控訴人は、鬼首白土の場合はそこに含まれている水分は、分散媒として、分散相たるけい酸コロイド粒子とともにシリカゲルを構成し、その一成分をなしているのであるから、この水分を含んだ状態こそ右二〇二号通達にいう自然状態に他ならないと主張するが、仮りに鬼首白土の化学的な性質がその主張どおり水を分散媒とするシリカゲルに該当するものであつたとしても、前記認定のとおりその含有水分は大気中での風乾によつて比較的容易に除去され得るものであり、しかも原審における証人Bの証言や当審における証人Dの証言からもうかがわれるように、けい石が工業用の原材料に用いられるのは専らその含有するけい酸分に着目してのことであり、これを工業用の用途に供する時点においてはそこに含まれている水分が何らかの経済的な価値を持つものとは考えられないこと、更に原審における証人Eの証言から明らかなように現に、被控訴人会社においても、採掘した鬼首白土はこれを乾燥し、そこから得られるけい酸粒子を研磨材の原料として用いていることなどからすると、鉱物資源の合理的な開発を目的とする鉱業法を鬼首白土にも適用すべきか否かを決定する要素としてのけい 首白土はこれを乾燥し、そこから得られるけい酸粒子を研磨材の原料として用いていることなどからすると、鉱物資源の合理的な開発を目的とする鉱業法を鬼首白土にも適用すべきか否かを決定する要素としてのけい酸分の基準品位の測定方法としては、その含有水分を除去した風乾後の試料によつて行うこととすることにも十分合理性があるものと考えられ、被控訴人主張のような鬼首白土の化学的な性質から直ちにそのけい酸分の基準品位の測定方法が地中から採取したままの状態の試料によつて行うという方法のみに限定されるとまですることは困難なものといわなければならない。 そうすると、前記二〇二号通達に定められたけい酸分の基準品位の測定方法として、鬼首白土の場合にこれを大気中で風乾し水分を除去した後の試料によつて行うという方法が許されないものとされているとまでいうことはできないから、控訴人局長が右のような測定方法によるけい酸分の基準品位が九〇%以上であるとして鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石として取り扱われるための要件の一つを充たしているとした判断は、未だ違法なものとまではいうことができない。 三次に、通商産業省鉱山局長の二〇二号通達が、鉱業法三条一項のけい石として取り扱われるための要件の一つとして、当該鉱物が火成作用によるけい石である場合には、「白けい石」又は「炉材けい石」の一般的名称を有するものであることを要求していることについては、控訴人らの明らかに争わないところである。そこで、鬼首白土が「白けい石」又は「炉材けい石」の一般的名称を有するものといえるか否かを検討する。 原審及び当審における証人Bの証言並びに同証人Fの証言によると、「白けい石」とは、鉄分が少なく、けい酸分の純度が高い白色のけい石塊で、昔は火打石として使われたほどの硬い石で、主としてガラス原料として使われているも おける証人Bの証言並びに同証人Fの証言によると、「白けい石」とは、鉄分が少なく、けい酸分の純度が高い白色のけい石塊で、昔は火打石として使われたほどの硬い石で、主としてガラス原料として使われているものを指し、「炉材けい石」とは、「赤白」あるいは「青白」とも呼ばれ、溶鉱炉等の一部として使われる耐火レンガの原料となるけい石で、耐火度が高く、レンガとしてうまく焼き上がる性質を有するものを指すことが認められる。ところが、鬼首白土は、前記認定のとおり、けい酸の結合体であるコロイド粒子からなるシリカゲルあるいはキセロゲルを主体とする岩石であり、前記証人Fの証言によると、日本国内では同種のものを他の地域に求めることが困難な極めて珍しい存在であつて、その外観を見ても、普通にいわれているけい石とは違つた、非常に細かい粒の粉の集りであることが認められる。また、前記証人Bの証言によると、鬼首白土がかつて「白けい石」又は「炉材けい石」の名称をもつて呼ばれたことはないことが認められ、他に右認定を覆すに足る証拠はない。 以上の事実からすると、鬼首白土は、「白けい石」又は「炉材けい石」の一般的名称を有するけい石には該当しないものというべきであつて、この点において、鬼首白土を鉱業法三条一項のけい石に該当するとして控訴人局長のした本件処分には瑕疵があるものといわなければならない。 控訴人らは、鬼首白土は、「白けい石」等の名称で呼ばれたことがないとしても、その工業用の用途の面からみて「白けい石」と呼ばれる可能性があるものであり、したがつて、右通達上の一般的名称の要件を充たしていると主張する。しかしながら、右通達(成立に争いがない甲第二〇号証の一)によれば、鉱業法三条一項のけい石について、従来その取扱上の基準が不明確であつたため出願の処理が統一的かつ円滑に行われていない実情 主張する。しかしながら、右通達(成立に争いがない甲第二〇号証の一)によれば、鉱業法三条一項のけい石について、従来その取扱上の基準が不明確であつたため出願の処理が統一的かつ円滑に行われていない実情にあつたことから、これを明確にするという目的で昭和三一年四月二〇日に右通達が発せられたものであり、そこに定められた(1)成因、産状、(2)名称、(3)基準品位の三要件の全てに該当するもののみを鉱業法上のけい石とし、三要件のうちのいずれかに該当しない場合にはけい石として取り扱わないものとするとの極めて厳格な基準によつて、従来けい石として取り扱われてきたもののうちの一定範囲のもののみをとり出して以後鉱業法上のけい石として取り扱うとの方針が採用されたことがうかがえるのである。したがつて、右通達は、そこに定められている一般的名称の要件についても厳格な基準による判断を要求しているものと考えられるから、通達掲記の一般的名称を現に有していないものについては、これを鉱業法上のけい石としては取り扱わないとの趣旨を定めたものと考えるべきであつて、控訴人ら主張のようなその用途の面からみて「白けい石」と呼ばれる可能性さえあれば鉱業法上のけい石として取り扱つてよいというようなあいまいな基準を定めたものとは到底解し得ない。また、控訴人らは現在鉱業法上のけい石として取り扱われている鉱石の中には、例えば「別府白土」のように、右通達掲記の一般的名称とは異る名称で呼ばれているものもあると主張するが、これらの鉱石がかつて通達掲記の「白けい石」等の名称をもつて呼ばれたことが有るか否かの点は明らかでなく、また、当審における証人Fの証言によれば、鉱物組成の面からみると鬼首白土は別府白土に比べても更に結晶化が遅れているものであることが認められること、更に同証人Bの証言によれば、日本国内に 明らかでなく、また、当審における証人Fの証言によれば、鉱物組成の面からみると鬼首白土は別府白土に比べても更に結晶化が遅れているものであることが認められること、更に同証人Bの証言によれば、日本国内には「白土」の名称を付して呼ばれている鉱物が各地にあるが、その多くは鉱業法上のけい石としては取り扱われていないことが認められることなどからすると、その主張のような事実のみでは、右認定を左右するに足りないものというべきである。更に、原審における証人Cは、「白けい石」の定義自体がはつきりしていないから、鬼首白土も「白けい石」に含めてよいのではないかと思うと証言しているが、この証言も具体的根拠を欠くものであつて採用できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。 四また、当裁判所も、鬼首白土は鉱業法三条一項の耐火粘土に該当しないと判断するものであり、その理由は、原判決がその理由五項に説示するところと同一であるから、これを引用する。 控訴人らは、鬼首白土が耐火粘土に当たらないとしても、本件鉱区内に耐火粘土が賦存していることが明らかであり、控訴人局長が本件処分を行うに当たつては、鬼首白土以外の耐火粘土の賦存を認めたものであるから、本件処分には違法はないと主張するが、控訴人局長が本件処分を行うに当たつて本件鉱区内において同種の鉱床内に鬼首白土以外の耐火粘土が賦存していることを確認したことを認めるに足りる証拠はないから、右主張は採用の限りでない。 五以上のとおり、控訴人局長のした本件処分には、「白けい石」又は「炉材けい石」の一般的名称を有しない鬼首白土を鉱業法三条一項のけい石に該当すると誤認し、また、同条項の耐火粘土に該当しない鬼首白土を耐火粘土に該当すると誤認した暇疵があり、この暇疵は重大なものといわざるを得ず、また前記認定のとおりの二〇二号通達の解釈を前提 けい石に該当すると誤認し、また、同条項の耐火粘土に該当しない鬼首白土を耐火粘土に該当すると誤認した暇疵があり、この暇疵は重大なものといわざるを得ず、また前記認定のとおりの二〇二号通達の解釈を前提とする限り、右通達に鉱業法上のけい石として取り扱われるための要件の一つとして掲げられている一般的名称の要件を欠くことが明らかな鬼首白土を鉱業法上のけい石に該当するものとし、また前記認定のように、耐火粘土に該当しないことの明らかな鬼首白土を耐火粘土に該当するものとした本件処分の暇疵は明白なものというべきである。 したがつて、その余の点について判断するまでもなく、本件処分は無効なものと判断せざるを得ず、そして、破控訴人は、昭和一九年の会社設立以来G営林署長から鬼首白土の払下げを受けてこれを採掘し、これを原材料にして合成樹脂用研磨材を製造販売して営業活動を行つていたところ、本件処分の存在によつて右採掘を妨げられている者であり、しかも本件処分の無効を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができない者であるから、本件処分の無効確認を求める利益を有しているものと考えられる。 六そこで、被控訴人の控訴人国に対する国家賠償法一条一項の規定による損害賠償請求の当否を考えるに、当裁判所も、控訴人局長の行為が被控訴人に対する不法行為を構成し、控訴人国は、国家賠償法一条一項の規定により、右不法行為によつて被控訴人の受けた損害を賠償すべき責に任ずるものと判断するが、その理由は、原判決がその理由八項に説示するところと同一であるから、これを引用する。 控訴人国は、鉱種名変更の確認を行うに当たつての審査が原則として書面審査の方法によつて行われるのが通例であつたことなどから、控訴人局長が本件処分を行うに当たつて、鉱種名変更の確認及び登録の職務行為に当たる公 は、鉱種名変更の確認を行うに当たつての審査が原則として書面審査の方法によつて行われるのが通例であつたことなどから、控訴人局長が本件処分を行うに当たつて、鉱種名変更の確認及び登録の職務行為に当たる公務員として通常要求される注意義務のけ怠はなかつたと主張するが、前記認定のとおり、控訴人局長のした本件処分に前記第二〇二号通達に定められた鉱業法上のけい石の要件の一つである一般的名称の要件を欠く鬼首白土を鉱業法上のけい石に該当するものと誤認したとの明白な暇疵があるものと認められる以上、この一事のみをもつてしても控訴人局長に過失があつたものといわざるを得ず、控訴人局長の右主張は理由がないものといわなければならない。 進んで被控訴人の受けた損害の額について検討するに、当裁判所も、被控訴人の損害に関する一次的主張及び二次的主張にはいずれも問題があり、これを採用することができないものと判断するが、その理由は、原判決がその理由九項及び一〇項に説示するところと同一であるから、これを引用する。 次いで被控訴人の損害に関する三次的主張について考えると、被控訴人が昭和四九年七月三一日までの間に控訴人局長の不法行為によつて原材料費として余分の支出を強いられることとなり、そのため合計五、九一八、〇〇〇円の損害を被つたと認められることは、原判決がその理由一一項に説示するとおりであるから、これを引用する。更に当審における証人Hの証言及び同証言によりいずれも真正に成立したものと認められる甲第四三号証ないし第四五号証によれば、被控訴人は同日以降も昭和五七年七月三一日までの間に、控訴人局長の不法行為によつて引き続き同様に原材料費として余分の支出を強いられることとなり、そのため、更に合計六、〇九四、〇〇〇円の損害を被り、結局全期間の総計では一二、〇一二、〇〇〇円の損害を被つたこ 局長の不法行為によつて引き続き同様に原材料費として余分の支出を強いられることとなり、そのため、更に合計六、〇九四、〇〇〇円の損害を被り、結局全期間の総計では一二、〇一二、〇〇〇円の損害を被つたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。なお、以上の計算法によると、被控訴人は、昭和四九年八月一日から昭和五七年七月三一日までの間に、更に合計一五八、二七二キログラムの鬼首白土の乾燥粉末を消費することになり、昭和四二年二月一日から通算すると総計で四五三、九四一キログラムの鬼首白土の乾燥粉末を消費することとなるが、先に引用した原判決がその理由一一項の1で説示する認定及び各証拠に加えて、前掲証人Hの証言及び甲第四三号証ないし第四五号証によると昭和四九年八月以降の鬼首白土消費予想量が従前の年度のそれに比べて著しく少くなるものと考えられることなどをも勘案すると、昭和四〇年一月一日現在、少なくともこの程度の乾燥粉末を得るのに必要なだけの鬼首白土は本件鉱床に賦存していたものと推認することができる。 更に、被控訴人は、右の損害に加えて弁護士費用相当額の損害の賠償をも求めており、被控訴人が本訴において弁護士を訴訟代理人に選任して訴訟活動を行わせていることは当裁判所に顕著な事実であるが、被控訴人が右弁護士らとの間で被控訴人が本件訴訟で勝訴した場合にはその報酬として五、〇〇〇、〇〇〇円を支払う旨を約しているとの点については、これを認めるに足りる証拠はない。そして、本件事案の内容、審理の経過、本判決での被控訴人の請求の認容額等にてらすと、控訴人局長の本件不法行為との間に相当因果関係がある損害として被控訴人が控訴人国に賠償を求め得る弁護士費用の額は、一、二〇〇、〇〇〇円をもつて相当とすべきである。 七以上の次第であつて、被控訴人(附帯控訴人)の本訴請求は、本件 に相当因果関係がある損害として被控訴人が控訴人国に賠償を求め得る弁護士費用の額は、一、二〇〇、〇〇〇円をもつて相当とすべきである。 七以上の次第であつて、被控訴人(附帯控訴人)の本訴請求は、本件処分の無効確認と控訴人国(附帯被控訴人)に対し金一三、二一二、〇〇〇円及びうち金一二、〇一二、〇〇〇円に対する昭和四〇年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり、その余は失当として棄却すべく、原判決中これと異なる部分を右のとおり変更することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、九六条、八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官中島恒塩谷雄涌井紀夫)別表三(省略) 主文 一被告仙台通商産業局長が昭和三二年九月二四日付けで訴外A及び訴外国峯砿化工業株式会社に対してなした宮城県玉造郡<地名略>地内宮城県採掘権登録第四三六号硫黄及び硫化鉄鉱採掘鉱区の鉱種名を硫黄及び硫化鉄鉱から硫黄、硫化鉄鉱、けい石及び耐火粘土に変更する鉱種名変更の確認及び登録が無効であることを確認する。 二被告国は、原告に対し、金五、九一八、〇〇〇円及びこれに対する昭和四〇年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 三原告のその余の請求を棄却する。 四訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告 1 (被告仙台通商産業局長に対する主位的請求)主文一項と同旨(同被告に対する予備的請求)主文一項掲記の鉱種名変更の確認及び登録を取り消す。 2 被告国は、原告に対し、金一五二、二五五、〇〇〇円及びこれに対する昭和四九年八月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は被告らの負担と 名変更の確認及び登録を取り消す。 2 被告国は、原告に対し、金一五二、二五五、〇〇〇円及びこれに対する昭和四九年八月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は被告らの負担とする。 4 2項につき仮執行の宣言二被告仙台通商産業局長 1 (本案前の答弁)同被告に対する予備的請求を却下する。 (本案の答弁)原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 三被告国 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二原告の請求原因一本件の経緯 1 原告は、昭和一九年一一月一三日に設立された株式会社で、油脂性研磨材等の製造販売業を営んでいるが、原告会社設立以来青森営林局G営林署長から宮城県玉造郡<地名略>国有林に賦存し鬼首白土の通称で呼ばれる白土(以下「鬼首白土」という。)の払下げを受け、これを採掘して油脂性研磨材の原料としてきた。鬼首白土は、(地城に埋蔵されている白土としては、現在判明しているかぎり、国内において他に比肩するものがないほど優秀な品質と量を誇るものである。原告会社の設立者であるIは、大正五年ころより個人営業として研磨材の製造販売業を営んでいたが、研磨材の原料として苦心惨胆の末に鬼首白土を探し当て、大正一四年ころからG営林署長よりその払下げを受け、これを原料に独特の油脂性研磨材を完成させて営業を伸ばし、昭和一九年になつて遂に原告会社を設立するに至つた。原告も、引き続きG営林署長より鬼首白土の払下げを受け、これを採掘して油脂性研磨材の原料として使用してきた。 2 昭和二五年三月一日、鬼首白土の右賦存地域を含む宮城県玉造郡<地名略>地内二九、七五二アール(九〇〇、〇〇〇坪)の区域(以下「第三一六号鉱区」という。)に訴外中興産業株式会社等のため宮城県採掘権登録第三一六号をもつ 日、鬼首白土の右賦存地域を含む宮城県玉造郡<地名略>地内二九、七五二アール(九〇〇、〇〇〇坪)の区域(以下「第三一六号鉱区」という。)に訴外中興産業株式会社等のため宮城県採掘権登録第三一六号をもつて硫黄及び硫化鉄鉱の採掘権が設定されたが、昭和三一年四月三日、同採掘権は鉱区税滞納のため公売処分となり、訴外Aが同採掘権を取得し、同月一九日その登録を受けた。そして、同年六月一二日、同採掘権は、訴外A及び訴外国峯砿化工業株式会社(以下「訴外Aら」と総称する。)の共有となつた。昭和三二年三月一五日、訴外Aらは、右二九、七五二アールの第三一六号鉱区を二七、四三八アールの宮城県採掘権登録第四三五号硫黄及び硫化鉄鉱採掘鉱区(以下「第四三五号鉱区」という。)と二、三一四アールの宮城県採掘権登録第四三六号硫黄及び硫化鉄鉱採掘鉱区(以下「本件鉱区」という。)の二つに分割した。その結果、鬼首白土の賦存地域は、本件鉱区の方に包含されることとなつた。そして、同年四月八日、訴外Aらは、鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石及び耐火粘土に該当し、かつ本件鉱区内において硫黄及び硫化鉄鉱と同種の鉱床に存するとして、被告仙台通商産業局長(以下「被告局長」という。)に対し、本件鉱区の鉱種名の硫黄及び硫化鉄鉱にけい石及び耐火粘土を追加する旨の鉱種名変更の届出(鉱業法六七条)をなした。被告局長は、同年九月二四日、鬼首白土がけい石及び耐火粘土に該当するとした上、本件鉱区内において硫黄、硫化鉄鉱、けい石及び耐火粘土が同種の鉱床中に存するものと確認し、採掘原簿に右鉱種名変更の登録(右確認及び登録を以下「本件処分」と総称する。)をした。 3 一方、原告は、昭和三一年に入り、鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石又は耐火粘土に該当するか否かがにわかに問題となつてきたことを聞知し、また、昭和三一年五 以下「本件処分」と総称する。)をした。 3 一方、原告は、昭和三一年に入り、鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石又は耐火粘土に該当するか否かがにわかに問題となつてきたことを聞知し、また、昭和三一年五月七日付け鉱第二〇二号通商産業省鉱山局長通達「鉱業法第三条のけい石の定義について」(以下「二〇二号通達」という。)によつて、右けい石は別表一に掲げる(1)成因・産状、(2)名称、(3)基準品位の三要件のすべてに該当するもののみとし、三要件のうちのいずれかに該当しない場合にはけい石として取り扱わないものとする、と定義されるに至つたことを知り、万一の場合をおもんばかつて、昭和三一年六月二九日付けで被告局長に対し、本件鉱区を包含する宮城県玉造郡<地名略>地内九、〇四〇アールの区域においてけい石を採掘するための採掘権設定出願を行い、同出願は、同年七月三日付で受理番号仙通産採掘第一四八号をもつて受理された。それとともに、原告は、昭和三二年九月二七日付け鑑定依頼書により被告局長に対し、鬼首白土が鉱業法の適用を受ける鉱物か否かの鑑定を依頼した。これに対し、被告局長は、同年一〇月九日付け仙通産鉱第六、七二五号報告書をもつて、鬼首白土は自然状態でけい酸五三・一五パーセント(以下パーセントを「%」と表示する。)、水分四三・八〇%である旨回答し、同日付け仙通産鉱第六、四九三号報告書をもつて、右のような分析結果から鬼首白土は鉱業法に基づく法定鉱物たるけい石とは認められないと回答し、更に同月一五日付け仙通産鉱第六、八〇四号報告書をもつて、鬼首白土は凝灰岩が温泉作用をこうむりいわゆる白土となつたものと認められる旨回答してきた。そこで、原告は、同年一二月五日付け取下書をもつて、前記のけい石採掘権設定出願を取り下げた。 4 被告局長は、以上のとおり、訴外Aらに対しては鬼首白土 ゆる白土となつたものと認められる旨回答してきた。そこで、原告は、同年一二月五日付け取下書をもつて、前記のけい石採掘権設定出願を取り下げた。 4 被告局長は、以上のとおり、訴外Aらに対しては鬼首白土がけい石及び耐火粘土に該当するとして本件処分をなしながら、原告に対しては鬼首白土がけい石ではないと回答していたものであるが、昭和三八年九月一七日付け仙通産鉱第六、五〇八号「鬼首白土の取扱いについて」と題する書面で原告に対し、「鬼首白土についで、昨年来の現地調査等の結果貴社が稼行の対象としでいる鉱物のけい酸分の基準品位は、九〇%以上であることが判明し、本省鉱山局長の三一鉱第二〇二号通ちようによるけい石の定義に該当するものと認められましたので、今後は法定鉱物のけい石として鉱業法の適用を受けることになりますから、お知らせします。」と通知し、更に同年一二月九日付け仙通産鉱第六、七四一号「鬼首白土の取扱いについて」と題する書面で原告に対し、「昭和三八年九月二八日付けで照会がありました上記の件については、昭和三七年四月の現地調査およびその後の分析結果等で、稼行している鉱床の平均基準品位が附着水分を除去して分析して、けい酸分九〇%以上のものと認められましたので、昭和三一年五月七日付け三一鉱第二〇二号本省鉱山局長通ちようの趣旨により、鉱業法上のけい石と判定したものであります。」と通知してきた。また、被告局長は、昭和三九年一〇月二日G営林署長に対し、鬼首白土は鉱業法上のけい石であるから原告の採掘を禁止すべきである旨の通知を発した。そのため、G営林署長は、同月下旬原告に対し、昭和四〇年一月一日以降は鬼首白土の払下げを認めないと通告しできた。よつて、原告は、同日以降鬼首白上を採掘できなくなり、これを油脂性研磨材の原料に使用できなくなつた。 5 原告は、昭和三九年一 対し、昭和四〇年一月一日以降は鬼首白土の払下げを認めないと通告しできた。よつて、原告は、同日以降鬼首白上を採掘できなくなり、これを油脂性研磨材の原料に使用できなくなつた。 5 原告は、昭和三九年一〇月二日になつて本件処分のあつたことを知つたので、同年一二月二四日付けで通商産業大臣に対し、本件処分の取消しを求めて審査請求を行つたか、昭和四〇年四月一六日付けで、審査請求期間経過後の請求であるから同審査請求を却下する旨の裁決を受けた。 二本件処分の無効原因 1 鬼首白土は、けい石及び耐火粘土に該当しない。 (一) 鬼首白土は、鉱業法三条一項のけい石でない。 鬼首白土は火成作用による岩石であるが、通商産業省鉱山局長の前記二〇二号通達によると、火成作用によるけい石の場合、けい酸分の基準品位が九〇%以上であり、一般的名称として「白けい石」又は「炉材けい石」と呼ばれるものであることが要件となつており、右のけい酸分の基準品位は「自然状態すなわち粗鉱品位を対象とするもので、鉱区のうち稼行の対象となるべき鉱床の全体の平均品位を指すものであつて、採取試料は鉱床全体の平均品位をできるだけ完全に代表するものであることが望ましい」とされている。鬼首白土は、二〇二号通達にいう自然状態において、けい酸分五三・一五%、水分四三・八〇%であり、また「白けい石」又は「炉材けい石」の一般的名称も持たないから、けい石でないことは明らかである。 物質にはいろいろな状態があるが、その大きな区分の一つとして、分散系がある。 分散系とは、一つの相にある物質内にほかの物質が微粒状になつて散在する物質系をいい、前者を分散媒、後者を分散相と呼ぶ。分散相が固体のコロイド粒子で、分散媒が液体である分散系のうち、全体として液体状を呈するものをゾル、固体状を呈するものをゲルという。水の中に、けい酸(二酸 をいい、前者を分散媒、後者を分散相と呼ぶ。分散相が固体のコロイド粒子で、分散媒が液体である分散系のうち、全体として液体状を呈するものをゾル、固体状を呈するものをゲルという。水の中に、けい酸(二酸化けい素。シリカの通称で呼ばれる。)がいくつか結合したコロイド粒子が分散している分散系をシリカゾルといい、コロイド粒子が互いにゆるく連結し合つて三次元の網状の組織を作り、その中に水が封じ込まれ自由に動けない状態になつているものをシリカゲルという。鬼首白土は、このシリカゲルを主体とする岩石である。二〇二通達にいう自然状態とは、岩石が地中に埋蔵されている時の状態をいうが、鬼首白土の主体は地中においてシリカゲルの状態にあり、水は分散媒としてシリカゲルの成分の一をな」ている。したがつて、この状態におけるけい酸分の含有率を測定すべきであつて、構成要素の一たる水分を風乾(大気中に置くことによる乾燥)等により除去した上でけい酸分の含有率を測定するのは誤りである。もし、風乾等により水分を除去していけば、鬼首白土内のコロイド粒子は徐々に凝集してより粗大化し、全体として粗大粒子の割合が大きくなり、地中に埋蔵されたままの状態とは質的上異なつたものになつてしまうのである。自然状態、すなわち地中に埋蔵された粗鉱の状態における鬼首白土のけい酸分の含有率は前記のとおり五三・一五%であるから、鬼首白土はけい石とはいえない。 もともと、けい石とは、結晶質の石英を主成分とする鉱石をいうのであり、非品質のシリカゲルを主体とする鬼首白土は物理的性質を異にするものである。そして、前述のとおり、鬼首白土は「白けい石」又は「炉材けい石」と呼称されるものでもないから、この点からもけい石とはいえない。 (二) 鬼首白土は、耐火粘土でもない。 鉱業法三条一項の耐火粘土は、ゼーゲルコーン番号三一以 、鬼首白土は「白けい石」又は「炉材けい石」と呼称されるものでもないから、この点からもけい石とはいえない。 (二) 鬼首白土は、耐火粘土でもない。 鉱業法三条一項の耐火粘土は、ゼーゲルコーン番号三一以上の耐火度を有する粘土であり、カオリナイト(けい酸四三%ないし四五%、アルミナ三七%ないし四〇%、結晶水一三%ないし一四%)やハロイサイト(けい酸三九%ないし四四%、アルミナ三六%ないし四〇%、結晶水一四%ないし一七%)のような粘土鉱物を主成分としている。しかるに、鬼首白土は、前述のとおりシリカゲルを主成分とし、粘土鉱物を含有せず、耐火粘土でないことは明らかである。 2 鬼首白土は、本件鉱区内において、硫黄又は硫化鉄鉱と同種の鉱床中に存するとはいえない。 訴外Aらが採掘権を取得した第三一六号鉱区の中でわずかに硫黄が賦存する個所は、鬼首白土の賦存する個所より南東約六〇〇メートルの地点にあり、訴外富士硫黄鉱業株式会社が昭和二六年ころ硫黄を採掘していたが、鉱量が少なく、品位も粗悪で採算がとれないため一年半位で廃坑となり、現在に至つている所である。また、鬼首白土の賦存個所より東南約二〇〇メートルの地点には、同訴外会社が約五メートル掘つた硫黄試掘坑三つが存するが、いずれも硫黄の鉱量少なく、品位も低いことから採掘までに至らず廃坑となつている。右の訴外会社が硫黄の採掘又は試掘を行つた個所は、鬼首白土の賦存風所より距離的にも約二〇〇ないし六〇〇メートル離れており、右の硫黄と鬼首白土が同種の鉱床を成しているとは到底いえない。 しかも、第三一六号鉱区は第四三五号鉱区と本件鉱区の二つに分割されたのであるが、右の訴外会社が硫黄の採掘又は試掘を行つた個所は第四三五号鉱区の方に属しており、本件鉱区においては、鬼首白土の鉱床の底部の割れ目に微量の硫化鉄粉や硫黄粒が認められ 鉱区の二つに分割されたのであるが、右の訴外会社が硫黄の採掘又は試掘を行つた個所は第四三五号鉱区の方に属しており、本件鉱区においては、鬼首白土の鉱床の底部の割れ目に微量の硫化鉄粉や硫黄粒が認められる程度で、鉱量及び品位のいずれの点からも稼行の対象となるような硫黄又は硫化鉄鉱は存しない。すなわち、本件鉱区内には硫黄又は硫化鉄鉱の鉱床はなく、これらの鉱物と鬼首白土が本件鉱区内において同種の鉱床中に存するということはあり得ないのである。 3 本件処分は、実体のない採掘権を基礎としている。 鉱業法上の鉱業権は、登録を受けた一定の土地の区域(鉱区)において登録を受けた鉱物及びこれと同種の鉱床中に存する他の鉱物を掘採し、及び取得する権利で、採掘権と試掘権の二種あり、土地の所有権、使用権等とは別個の権利とされている。国はこの鉱業権を一定の業者に設定することにより、鉱物資源の合理的開発を図つているが、鉱業権の設定が土地所有権その他の権利に著しい制限を加えるものであることにかんがみ、鉱業権の対象となる鉱物は鉱量、品位等からみて経済的価値の認められるものでなければならない。鉱業権者は鉱業権の設定又は移転の登録があつた日から六か月以内に事業に着手しなければならず、鉱業権者において右の事業に着手せず、あるいは一年以上事業を休業するときは、国は当該鉱業権を取り消すことができるとされているが、これも、鉱業権の設定が合理的採算の上に立つて採掘できる程の鉱物の存することを前提としていることを物語つている。合理的採算のとれる程の鉱物が存在しない場合には、当該鉱業権はもはや鉱業法上の保護を受けることができず、第三者に対抗することができないというべきである。 訴外Aは昭和三一年四月一九日第三一六号鉱区における採掘権の移転登録を受け、同年七月三一日には訴外国峯砿化工業株式会社が の保護を受けることができず、第三者に対抗することができないというべきである。 訴外Aは昭和三一年四月一九日第三一六号鉱区における採掘権の移転登録を受け、同年七月三一日には訴外国峯砿化工業株式会社が共同鉱業権者の登録を受けているが、第三一六号鉱区には合理的採算のとれる程の硫黄及び硫化鉄鉱は存在せず、長年廃坑となつていたものであり、訴外Aらも採掘権移転の登録を受けた日から六か月を経ても右鉱物採掘の事業を開始しなかつたのであるから、訴外Aらの採掘権は鉱業法上の保護を受けることができず、第三者に対抗できないものである。被告局長としては、右採掘権をむしろ取り消すべきであつたにもかかわらず、このような実体のない採掘権を基礎として本件処分を行つたものであり、同処分は実体のない採掘権を基礎としたもので無効といわなければならない。 4 本件処分は、権利濫用で無効な鉱種名変更屈に基づいている。 第三一六号鉱区には、合理的採算の上に立つて採掘できる程の硫黄又は硫化鉄鉱は存在せず、同鉱区は長年廃坑のまま放置されていたものであり、訴外Aは鉱区税滞納で公売処分となつた右の硫黄及び硫化鉄鉱の採掘権を一八五、〇〇〇円で競落取得したが、当初より硫黄又は硫化鉄鉱を採掘する意思はなく、鉱種名にけい石及び耐火粘土を追加する旨の鉱種名変更によつて、原告が採掘していた鬼首白土を独占しようと企図し、右採掘権を取得したものである。そして、訴外Aらは経済的に全く無価値な右採掘権を根拠に、当初の意図どおり前記の鉱種名変更屈をなしたものであり、名を鉱種名変更に借りて原告の営業活動を不当に妨害するもので、権利濫用により無効というべく、このように無効な鉱種名変更届に基づく本件処分はこれまた無効といわなければならない。 5 本件処分は、関係行政機関との協議を欠いている。 本件鉱区はG営林署長管轄の で、権利濫用により無効というべく、このように無効な鉱種名変更届に基づく本件処分はこれまた無効といわなければならない。 5 本件処分は、関係行政機関との協議を欠いている。 本件鉱区はG営林署長管轄の国有林の中に存し、そこにおいて原告が毎年鬼首白土の払下げを受けこれを採掘してきたものである。 鉱種名変更届の確認及び登録は、変更された鉱物については新たな鉱業権の設定であるから、被告局長は本件処分をなすに当たり、鉱業法二四条の規定に基づいて関係行政機関たる青森営林局長又はG営林署長と協議すべきであつたにかかわらず、これを怠つた。右協議を欠く本件処分は、鉱業法二四条に違反し無効である。 6 本件処分は、先願主義に違反している。 (一) 原告は、前記のとおり、昭和三一年六月二九日付けをもつて本件鉱区におけるけい石の採掘権設定を出願し、同出願は、同年七月三日付で受理番号仙通産採掘第一四八号をもつて受理された。 訴外Aらは、昭和三二年四月八日付けで本件鉱区の鉱種名を「硫黄及び硫化鉄鉱」から「硫黄、硫化鉄鉱、けい石及び耐火粘土」に変更する旨の鉱種名変更届を行つた。鉱種名変更届は、追加された鉱種については新たな採掘権の設定出願である。 仮に、一般論としてそのようなことがいえないとしても、本件の場合は、硫黄又は硫化鉄鉱が既に稼行の対象として存在しないのであるから、右鉱種名変更届はけい石及び耐火粘土の採掘権設定出願と解すべきである。 したがつて、訴外Aらの右鉱種名変更届に基づき、昭和三二年九月二四日になされた本件処分は、右鉱種名変更届より先に受理され、かつ、本件処分当時係属していた原告の前記採掘権設定出願を無視したもので、鉱業法二七条の先願主義に違反し、無効である。 なお、原告は、同年一二月五日付けで右採掘権設定出願を取り下げているが、この取下げにより右先願主義違反 ていた原告の前記採掘権設定出願を無視したもので、鉱業法二七条の先願主義に違反し、無効である。 なお、原告は、同年一二月五日付けで右採掘権設定出願を取り下げているが、この取下げにより右先願主義違反の違法が治癒されるものではない。 また、原告の右採掘権設定出願取下げは、被告局長の原告に対する鬼首白土はけい石でないと認める旨の鑑定結果回答を信用し、鬼首白土がけい石でないと信じて行つたものであるから、要素の錯誤により無効である。仮に、無効でなくても、被告局長の欺罔岡行為に基づく取下げであるから、原告は本訴においてこれを取り消す。したがつて、右採掘権出願の取下げによつても、右先願主義違反の違法は治癒されない。 (二) 昭和二五年法律二八九号による鉱業法の全面改正により、けい石が新しく鉱業法の適用を受ける鉱物となつたが、鉱業法施行法五条の規定によると、新鉱業法施行日である昭和二六年一月三一日の六か月以前から引き続きけい石を採掘している者は、右施行日から六か月以内にけい石を目的とする採掘権の設定を出願すれば、他の者に優先して採掘権の設定を受けることができる。 ところで、鬼首白土をけい石と認定する者は一人もいなかつたところ、被告局長が昭和三二年九月二四日に本件処分を行つたのが、鬼首白土をけい石と公的に認定した始まりである。したがつて、右の昭和三二年九月二四日をもつて鬼首白土は鉱業法上のけい石と法定されたものと解すべく、一方、原告は昭和一九年から引き続き鬼首白土を採掘しており、昭和三一年六月二九日に本件鉱区におけるけい石の採掘権設定の出願をしているのであるから、鉱業法施行法五条の類推適用により、原告に対し他の者に優先して鬼首白土の採掘権が与えられるべきであり、原告の右優先権を無視した本件処分は違法無効である。そして、右違法が原告の右採掘権出願取下げによ 鉱業法施行法五条の類推適用により、原告に対し他の者に優先して鬼首白土の採掘権が与えられるべきであり、原告の右優先権を無視した本件処分は違法無効である。そして、右違法が原告の右採掘権出願取下げによつても治癒されないことは、(一)に述べたとおりである。 7 結語原告は、長年にわたりG営林署長より鬼首白土の払下げを受け、これを採掘してきたものであるが、本件処分により右払下げを受けられなくなつたところ、本件処分は1ないし6に掲げた重大かつ明白な暇疵により無効というべきであるから、その無効確認を求める。 三本件処分の取消原因仮に、本件処分に関する二の1ないし6掲記の暇疵が重大かつ明白といえなくても、取消原因たる違法事由には該当するというべきであるから、本件処分は取り消されるべきである。 四被告局長の不法行為被告局長は、通商産業省所属の国家公務員であるが、鉱業法三条一項のけい石でない鬼首白土を同条項のけい石と誤認した過失により、違法無効な本件処分をなした上、同処分を維持しつつ、前記一の4で述べたとおり、昭和三八年九月一七日付け仙通産鉱第六、五〇八号「鬼首白土の取扱いについて」と題する書面で原告に対し鬼首白土はけい石に該当するから今後は法定鉱物として鉱業法の適用を受けることになつた旨通告するとともに、昭和三九年一〇月二日G営林署長に対しても同旨の通告を行つた。そのため、原告は、それまで長年にわたり平穏裡にG営林署長より受けていた鬼首白土の払下げを昭和四〇年一月一日から受けられなくなり、これを採掘し研磨材の原材料として使用できなくなり、営業上後記のような損害を受けた。よつて、被告国は、原告に対し、国家賠償法一条一項の規定により右損害を賠償する責に任ずるものといわなければならない。 五原告の損害(主位的主張)原告は、鬼首白土を原材料として合成 な損害を受けた。よつて、被告国は、原告に対し、国家賠償法一条一項の規定により右損害を賠償する責に任ずるものといわなければならない。 五原告の損害(主位的主張)原告は、鬼首白土を原材料として合成樹脂用研磨材を製造販売しでいたところ、昭和四〇年一月一日から鬼首白土を採掘できなくなり、これを右の原材料として使用できなくなつた。 原告は八月一日から翌年の七月三一日までを一事業年度としてきたが、鬼首白土を使用できた最後の二事業年度である昭和三七年八月一日から昭和三九年七月三一日までをA期間、鬼首白土を使用できなくなつた昭和三九年八月一日から昭和四九年七月三一日までの一〇事業年度をB期間とした場合、A及びB両期間の原告の売上高等の実績は別表二の2欄から19欄までのとおりである。これによると、A期間中の一事業年度平均の総売上高(別表二の3の三)は三〇二、四五五、〇〇〇円であり、このうち鬼首白土を原材料とする合成樹脂用研磨材の売上高(別表二の9の三)は二〇、九四〇、〇〇〇円であり、総売上高の六・九二%を占めていた。そして、B期間における総売上高は、右三〇二、四五五、〇〇〇円を一〇〇とした場合、別表二の4欄のとおり、一三〇・五、一四二・六、一七二・五等と毎年順調な伸びを示し、一〇事業年度合計で六、四五〇、九五〇、〇〇〇円となつた。これに対し、B期間における合成樹脂用研磨材の売上高は、別表二の9欄のとおり顕著な減少を示し、一〇事業年度の合計で一五五、四三九、〇〇〇円となり、総売上高の中で占める割合も二・四%に落ち込んだ。B期間において、原告の他の部門の売上高が順調な伸びを示しているのに対し、合成樹脂用研磨材の売上高が右のように落ち込んだ原因は、原材料に鬼首白土を使用できず、やむを得ず他の粗悪原材料を使用したことにある。原告は、鬼首白土を自ら採掘できな が順調な伸びを示しているのに対し、合成樹脂用研磨材の売上高が右のように落ち込んだ原因は、原材料に鬼首白土を使用できず、やむを得ず他の粗悪原材料を使用したことにある。原告は、鬼首白土を自ら採掘できなくなつて以来、一般市場で鬼首白土その他その代替となるべき原材料を入手すべく必死の努力を重ねたが、成功をみるに至らず、鬼首白土より高価だが低質な原材料しか入手できなかつたものである。 もし、B期間においても鬼首白土を原材料として使用できたとすれば、合成樹脂用研磨材の売上高は、少なくとも原告のB期間における総売上高の伸び率(別表二の4)と同じ率で伸びたはずである。右の伸び率でB期間における毎事業年度の合成樹脂用研磨材の売上高を計算すると、別表二の21欄のとおりとなり、B期間合計で四四六、五八九、〇〇〇円(別表二の21の一六)となる。この上売高の中で占める利益は、A期間における合成樹脂用研磨材売上高の中で占める利益の割合によつて求めることができる。A期間中の一事業年度平均の合成樹脂用研磨材の売上高二〇、九四〇、〇〇〇円の中で占める利益は、原材料費四、二二〇、〇〇〇円(別表二の10の三)、製造間接費五六八、〇〇〇円一同13の三)、賃金三三二、〇〇〇円一同14の三一及び一般管理販売費(営業外損益を含む。)七、七七六、〇〇〇円(同15の三)を差し引いた残りの八、〇四四、〇〇〇円(同16の三)であり、売上高の中で占める割合は三八・四%である。この利益率三八・四%により、B期間における毎事業年度の利益を計算すると、別表二の27欄のとおりとなり、B期間合計で一七一、四八九、〇〇〇円(別表二の27の一六)となる。 したがつて、鬼首白土を採掘できなくなつたことにより原告の失つた利益は、B期間において鬼首白土を使用できたと仮定した場合の合成樹脂用研磨材売上による利益 八九、〇〇〇円(別表二の27の一六)となる。 したがつて、鬼首白土を採掘できなくなつたことにより原告の失つた利益は、B期間において鬼首白土を使用できたと仮定した場合の合成樹脂用研磨材売上による利益一七一、四八九、〇〇〇円から、B期間における合成樹脂用研磨材売上げによる実績利益三四、〇九三、〇〇〇円(別表二の16の一六)を差し引いた一三七、三九六、〇〇〇円となる。そして、各年度の利益額に各年度の銀行利率(一年定期預金利率)による利息を加算すべきところ、右利率は昭和三九年八月から昭和四五年七月までは五・五%、昭和四五年八月から昭和四七年七月までは五・七五%、昭和四七年八月から昭和四八年七月までは五・二五%、昭和四八年八月から昭和四九年七月までは六・二五%であるから、右各利率を当該年度に適用して利息を求めると、B期間合計で一四、八五九、〇〇〇円となる。これを前記一三七、三九六、〇〇〇円に加算すると、一五二、二五五、〇〇〇円となる。これが、鬼首白土を採掘できなくなつたことによる原告の総損害額である。 よつて、原告は、被告国に対し、金一五二、二五五、〇〇〇円及びこれに対するB期間終了の翌日の昭和四九年八月一日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。 六原告の損害(予備的主張)原告は、鬼首白土を原材料として合成樹脂用研磨材を製造販売していたところ、昭和四〇年一月一日から鬼首白土を採掘できなくなり、この時点で次に述べるような損害を受けた。 原告は昭和三九年末までは一応鬼首白土を採掘することができ、それまでに採掘した鬼首白土の在庫によつて昭和四一年一月末までは何とか鬼首白土を原材料とする合成樹脂用研磨材を製造できたが、昭和三八年九月一七日付けの「鬼首白土の取扱いについて」と題する被告局長の前記文書で鬼首白土は今後法定鉱物の によつて昭和四一年一月末までは何とか鬼首白土を原材料とする合成樹脂用研磨材を製造できたが、昭和三八年九月一七日付けの「鬼首白土の取扱いについて」と題する被告局長の前記文書で鬼首白土は今後法定鉱物のけい石として鉱業法の適用を受けることになつた旨を通告され、一方、原告と同様に鬼首白土を採掘していた訴外Aらはそのころから人夫を増やして濫掘を始め、昭和三八年秋ころには原告の掘進坑道に穴をあけ、ために原告の坑道には水や土砂が流入するといつた事態が発生し、原告も無理な採掘を余儀なくされ、良質の白土を精選採掘することができなくなり、勢い採掘白土の質が低下し、これを原材料とする合成樹脂用研磨材の売上高も低下してきた。原告は八月一日から翌年七月三一日までを一事業年度としているが、昭和三八年秋ごろからの右のような異常事態に伴う売上げの低下にかんがみ、昭和四〇年一月一日から鬼首白土を採掘できなくなつたことによる損害は、昭和三七年八月から昭和三九年七月までの二事業年度の合成樹脂用研磨材の売上高等を基礎に算出するのが相当であり、右異常事態の影響を受けた昭和三九年七月以降の売上高等を基礎とするのは相当でない。 原告は、別表二の三項記載のとおり、昭和三七年八月から昭和三九年七月までの工事業年度に一事業年度平均で合成樹脂用研磨材を二〇、九四〇、〇〇〇円売り上げ、八、〇四四、〇〇〇円の利益をあげたが、その製造に一〇四、〇四〇、二二キログラム(うち鬼首白土は五五、五四三キログラムで全体の約二分の一にあたる。)の原材料を消費した。したがつて、原材料一キログラム当たりの利益は七七・三二円となる。 一方、鬼首白土を使用できなくなつた昭和四一年二月一日から昭和四九年七月三一日までをみると、別表二の一七項記載のとおり、合成樹脂用研磨材を一三一、八〇七、〇〇〇円売り上げ、二六、七六 三二円となる。 一方、鬼首白土を使用できなくなつた昭和四一年二月一日から昭和四九年七月三一日までをみると、別表二の一七項記載のとおり、合成樹脂用研磨材を一三一、八〇七、〇〇〇円売り上げ、二六、七六七、〇〇〇円の利益をあげ、その製造に六一九、七一二キログラムの原材料を使用した。したがつて、原材料一キログラム当たりの利益は四三・一九円である。このように、原材料一キログラム当たりの利益が七七・三二円から四三・一九円へと三四・一三円も減少したのは、鬼首白土を使用できず、これよりも高価でありながら品質のはるかに劣る原材料を使用せざるを得なくなつたことに起因するものである。 損害発生時たる昭和四〇年一月一日現在、鬼首白土の賦存量は四、〇〇〇トンを下らなかつたところ、当時原告と訴外AらとはG営林署長からほぼ二等分して鬼首白土の採掘を許されていたから、原告が失つた鬼首白土は右四、〇〇〇トンの二分の一である二、〇〇〇トンを下らない。そして、原告の昭和三七年八月から昭和三九年七月までの合成樹脂用研磨材の原材料総消費量は、前記のとおり鬼首白土の消費量のほぼ二倍であるから、鬼首白土二、〇〇〇トンの使用が可能であつたとすれば、その二倍の四、〇〇〇トンの原材料を使用して合成樹脂用研磨材を製造できたことになる。したがつて、原告の得べかりし利益の喪失額は三四・一三円に四、〇〇〇、〇〇〇を乗した一三六、五二〇、〇〇〇円となる。 ただし、右一三六、五二〇、〇〇〇円の利益は、原告が鬼首白土を使用し合成樹脂用研磨材を製造販売して初めて現実化するものであるから、右二、〇〇〇トンの鬼首白土を使用し、昭和四〇年以降どの程度の期間にわたり同研磨材の製造販売ができたかをまず確定する必要がある。そのためには、従来どおり鬼首白土を使用できたと仮定した場合の合成樹脂用研磨材の売上高が以後の事 土を使用し、昭和四〇年以降どの程度の期間にわたり同研磨材の製造販売ができたかをまず確定する必要がある。そのためには、従来どおり鬼首白土を使用できたと仮定した場合の合成樹脂用研磨材の売上高が以後の事業年度ごとにどのようになつていくかを計算する必要がある。 ある商品の販売量の長期変動を計算する方法として最小二乗法があり、精度の高いものとして定着している。原告の昭和三四年八月から昭和三九年七月までの五事業年度の合成樹脂用研磨材の売上高実績を基準として、最小二乗法の計算法による各係数を計算し、昭和四〇年八月以降の各事業年度ごとの合成樹脂用研磨材の売上高、その中の利益額、これに要する鬼首白土の消費量を計算すると別表四のようになる。そして、各年度の逸失利益の昭和四〇年一月一日現在の価格を年五分のホフマン法により計算すると、合計八四、八二四、〇〇〇円となる。 なお、別表四において示した推計によると、鬼首白土を使用した合成樹脂用研磨材の売上高は逐年増加する形になつているが、合成樹脂用研磨材の市場であるプラスチツク製造業界における製品出荷額を通商産業大臣官房調査統計部発表の工業統計表によつてみると、別表五のとおり昭和三八年以降全体として着実な増加傾向を示しており、別表四の推計が正しいものであることを裏付けている。 よつて、原告は、被告国に対し、右八四、八二四、〇〇〇円及びこれに対する昭和四〇年一月一日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。 第三被告局長の本案前の答弁原告は、被告局長に対する予備的請求として、本件処分の取消しを求めているが、鉱業法一八〇条の規定によれば、同法に基づく処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起できないところ、本件においては、請求原因一5記載のとおり、原告は るが、鉱業法一八〇条の規定によれば、同法に基づく処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起できないところ、本件においては、請求原因一5記載のとおり、原告は審査請求を申し立てたものの、不服申立期間徒過により不適法として却下されている。したがつて、右予備的請求は、鉱業法一八〇条の規定に違反しているから不適法であり、却下さるべきである。 第四被告らの請求原因に対する答弁一請求原因一について原告が長年G営林署長から鬼首白土の払下げを受け、昭和三九年一二月末までこれを採掘していた事実及び一の2の事実は認める。 二請求原因二について 1 請求原因二の1について(一) 鬼首白土は、鉱業法三条一項のけい石に該当する。 鬼首白土が大成作用による岩石であること、及び通商産業省鉱山局長の二〇二号通達がけい石について原告主張のような要件を定めていることは認める。けい酸分の基準品位が九〇%以上ということは、稼行の対象となるべき鉱床の全体を平均して、当該鉱物の重量中に占めるけい酸分の重量の率が九〇%以上であることをいうが、二〇二号通達が右の基準品位を自然状態において測定すべきこと、すなわち粗鉱品位を測定すべきことを定めた理由は次のとおりである。すなわち、粗鉱とは採掘されたままの未処理の鉱石をいい、選鉱によつて品位が高められて精鉱となる。 通常、鉱物の価値判断等に際して鉱石の品位が問題とされる場合には、粗鉱品位によることが鉱業常識であるが、通常の鉱物は、鉱石中に含まれる微量の元素を抽出してこれを利用するものであり、そのため複雑な物理的化学的処理方法による選鉱及び精錬工程を必要とするのに対し、けい石は、一般に採掘した鉱石をほとんどそのままの状態で利用するものである点において、通常の鉱物と異なるものである。 そこで、けい石の 物理的化学的処理方法による選鉱及び精錬工程を必要とするのに対し、けい石は、一般に採掘した鉱石をほとんどそのままの状態で利用するものである点において、通常の鉱物と異なるものである。 そこで、けい石の判断基準の一つとしてけい酸分の品位を測定するに当たつては、精鉱品位によるべきでないことを明確にするため、特に粗鉱品位によるべき旨を注意的に記載したものである。すなわち、二〇二号通達にいう「自然状態」とは、精鉱品位でなく粗鉱品位によるべきことを明らかにしたにとどまるものであつて、それ以上の意味はなく、分析方法については何ら触れていないのである。 それでは、粗鉱品位をどのように測定すべきかということになるが、鬼首白土のように地下水等が常時浸透した坑内で採取される吸水性の試料については、付着水を含んだままの状態で測定したり、あるいは人工的に付着水を除去して測定するのではなく、大気中で自然に風乾させた後に測定すべきである。鉱物の分析については、日本工業規格によつてその分析方法が定められている場合が多いが、これをけい石についてみると、既に昭和二五年七月二四日制定の日本工業規格「非金属鉱石の試料採取方法」(昭和四一年一月一日制定の日本工業規格「粉塊混合物のサンプリング方法通則」に統合された。)において、分析試料の前処理過程において適当な方法で乾燥させるべきことが定められており、更に昭和五一年三月一日制定の日本工業規格「けい石分析方法」においても、摂氏一〇五度ないし一一〇度の空気浴中で恒量に達するまで分析試料を乾燥させるべきことが定められでいる。すなわち、けい石の分析方法について、これを実務上の取扱いからみた場合においても、風乾等により分析試料を処理することが常識とされているのである。 そして、鬼首白土は、風乾後においてけい酸分を九〇%以上含有するから鉱業法三 析方法について、これを実務上の取扱いからみた場合においても、風乾等により分析試料を処理することが常識とされているのである。 そして、鬼首白土は、風乾後においてけい酸分を九〇%以上含有するから鉱業法三条一項のけい石に該当することが明らかである。 原告は、鬼首白土はシリカゲルを主体とする岩石で、その水分は分散媒としてシリカゲルの成分の一をなしでいると主張するが、これは誤りである。ゲルから水分を除去すると、あとにキセロゲルと呼ばれる固相の骨組が残るが、鬼首白土は地下に埋蔵された状態においで既にキセロゲルと同じ骨組みを有している。すなわち、鬼首白土は、けい酸の結合体であるコロイド粒子が連結し合い、三次元の網状のキセロゲル的組織をなしているものであり、そこに含まれている水は、網状組織を支える分散媒ではなく、出入りの自由な水であり、この水を除去しても、鬼首白土の性質に変化をもたらすものではない。つまり、鬼首白土に含まれている水は、鬼首白土の成分をなすものではないから、鬼首白土のけい酸分を測定するには、右の水分を除去して行うのが相当である。 そもそも、けい石とは、鉱物学上又は岩石学上の概念ではなく、窯業その他の工業界において、その物理的化学的性質を利用する工業原材料に付せられた商品名であり、研磨材もけい石の用途の一つとされている。鬼首白土から水分を除去しても、けい石としての商品価値を有することには変わりはなく、原告も鬼首白土を乾燥させた上これを研磨材の原材料として使用しているのである。このような利用面からみても、風乾してけい酸分を測定すべきことの正しさが裏付けられるのである。 原告の主張するように、付着水を除去しない状態でけい酸分を測定するとすれば、その時の気象条件や賦存場所等の影響による付着水の多寡によつてけい酸分の含有率が大きく左右され、当該鉱石本 られるのである。 原告の主張するように、付着水を除去しない状態でけい酸分を測定するとすれば、その時の気象条件や賦存場所等の影響による付着水の多寡によつてけい酸分の含有率が大きく左右され、当該鉱石本来の成分性質を分析測定することにはならない。 例えば、鬼首白土の場合、地表に露出し、日照や風を受ける部分では水分が少なく、地下にあつて地下水の浸透を受ける部分では水分が多く、地表ではけい石に該当する鬼首白土が、地下ではけい石に該当しないというおかしな結果を招くことになるのである。 (二) 鬼首白土の中には、けい石に該当するもののほかに、鉱業法三条一項の耐火粘土に該当するものがある。鉱業法上の耐火粘土であるか否かは、耐火度がゼーゲルコーン番号三一以上であるか否かによつて決せられ、その構成物質が何であるかは問うところでない。鬼首白土の中には、耐火度がゼーゲルコーン番号三一以上の部分がある。 2 請求原因二の2について(一) 鉱床の同種、異種の判定は、鉱物学的見地からのみ判断されるのではなく、鉱物資源を合理的に開発することによつて公共の福祉の増進に寄与するとの鉱業法の目的に従い判断されるべきものである。したがつて、鉱物の成因、産状からして、ある鉱物を掘採するために必ず他の鉱物も同時に掘採せざるを得ないという状態で複数の鉱物が共存する場合、これらの鉱物が同種の鉱床にあると判定されることは当然であるが、複数の鉱物がこのように採掘技術的にみて不可分の状態で共存しているという場合でなくても、掘採、選鉱、精錬、運搬の方法、用途等を総合的に判断して、複数の鉱物の掘採を同一人の事業として一体として行わせることが国民経済的見地から適当と認められる場合は、これまた当該複数の鉱物は相互に同種の鉱床の鉱物とされるのである。 本件鉱区についてこれをみるに、地下から噴出する硫 一人の事業として一体として行わせることが国民経済的見地から適当と認められる場合は、これまた当該複数の鉱物は相互に同種の鉱床の鉱物とされるのである。 本件鉱区についてこれをみるに、地下から噴出する硫化水素ガスが地表近くに達して硫黄を生成するとともに鉄と化合して硫化鉄鉱を生成し、更に右硫化水素の一部が硫酸となり、これらの硫酸が高温の状態で周囲の岩石に作用して岩石中のアルカリ、石灰、苦土、アルミナ、鉄等を硫酸塩として溶脱し、あとにけい酸分のみを残留することによつて鬼首白土を生成しているのであり、鬼首白土の付近には多量の硫黄が賦存するのである。したがつて、硫黄、硫化鉄鉱及び鬼首白土は、その成因からみても、また掘採上の経済的見地からみても、同種の鉱床に存するということができる。 (二) ところで、既登録の硫黄及び硫化鉄鉱と鬼首白土とが同種の鉱床に属するか否かは、鬼首白土がけい石又は耐火粘土であることを前提としなければそもそも問題とならないのである。もし、鬼首白土がけい石又は耐火粘土でないならば、原告はG営林署長と交渉して鬼首白土の払下げを受けることが可能であるからである。 したがつて、鬼首白土が既登録の硫黄及び硫化鉄鉱と同種の鉱床に属するか否かは、鬼首白土がけい石又は耐火粘土であることを前提としてのみ初めて問題となるが、この場合、この問題を論議し得る者は、鬼首白土が既登録の硫黄及び硫化鉄鉱と異種の鉱床に属することが確認されることによつて、鬼首白土を掘採し得る立場にある者であることを要する。 けい石及び耐火粘土は、昭和二六年一月三一日施行の鉱業法の全面改正法により法定鉱物として取り扱われるに至り、それ以前からこれを掘採していた者といえども、同法施行法四条の規定により同年七月末日以後は鉱業権の設定を受けなければこれを掘採し得なくなつたのであるが、鬼 法により法定鉱物として取り扱われるに至り、それ以前からこれを掘採していた者といえども、同法施行法四条の規定により同年七月末日以後は鉱業権の設定を受けなければこれを掘採し得なくなつたのであるが、鬼首白土が既登録の硫黄及び硫化鉄鉱と異種の鉱床に属することが確認された暁において右の鉱業権設定を出願するつもりであるというのでは、いまだ右の問題を論議する資格がない。 原告は、かつて昭和三一年六月二九日に鬼首白土をけい石であるとして採掘権設定の出願をなしたが、昭和三二年一二月五日にこれを取り下げている。したがつて、右取下げが有効だとすれば、原告は鉱床が同種か否かの問題を主張することができない。原告は右取下げは鬼首白土がけい石でないと誤信したことによるものであつて錯誤に出たものであるから無効であると主張するもののようであるが、原告は鬼首白土がけい石でないとの確信の下にいつたんなした採掘権設定出願を取り下げたものであつて、決して錯誤に出たものではない。原告が昭和三一年六月二九日に鬼首白土をけい石として採掘権設定の出願をなしたのは、訴外Aらにおいてこれを掘採しようとする気配のあることを察知したことによる。ところが、鬼首白土がけい石であると認定されれば訴外Aらの有する既存の鉱区と重複することになつて、原告のなした出願は不許可の運命を免れないことを知るに及んで、原告は鬼首白土がけい石でないことの立証に努力し、自己の主張に沿う証明書を入手するや、これを被告局長に提出するとともに、自らの出願を取り下げるに至つたものであつて、そこに錯誤の介在する余地はなかつたものである。仮に、右出願取下げが錯誤によるものとしても、右のような事情の下においては、その錯誤が客観的に明白であるとはいえないから、取下げの無効を主張することは許されない。 なお、この項の被告らの主張は、原 。仮に、右出願取下げが錯誤によるものとしても、右のような事情の下においては、その錯誤が客観的に明白であるとはいえないから、取下げの無効を主張することは許されない。 なお、この項の被告らの主張は、原告の請求原因二の3ないし6に対しても当てはまるものである。 3 請求原因二の3について鉱種名追加届出をなすためには、既登録鉱物についての鉱業権が経済的価値を有するものでなければならないとの主張は理由がない。鉱業権者が施業の都合によつて既登録の鉱物を掘採し尽した後に未登録鉱物の掘採にかかつても、それは許されるべきである。 その上、本件鉱区における硫黄及び硫化鉄鉱が稼行に適しない無価値なものとは評し得ない。 4 請求原因二の4について本件鉱区における硫黄及び硫化鉄鉱が稼行に適しない無価値なものと評し得ないことは、前述のとおりである。 5 請求原因二の5について鉱業権設定について関係機関と協議しなければならない旨規定する鉱業法二四条は効力規定ではないから、この協議を欠いても鉱業権設定の効力に影響を及ぼすものではない。 6 請求原因二の6について鉱業権者は、登録を受けた一定の土地の区域において登録を受けた鉱物及びこれと同種の鉱床中に存する他の鉱物を掘採し、及び取得する権利を有する(鉱業法五条)。したがつて、未登録の鉱物であつても、既登録の鉱物と同種の鉱床に存するかぎり、鉱業権者はこれを掘採取得する権限を有するものであるが、現実に未登録の鉱物を掘採しようとするときは、その鉱種名を届け出て通商産業局長の確認を受けなければならないという制約を受けているにすぎない。鉱物の掘採にあたつては、鉱床の合理的な開発、鉱害の予防、その他の公益私益との調整を図らねばならないため、行政庁としては鉱業権者の施業方法について監督する必要があり、未登録の鉱物を掘採しようとす 。鉱物の掘採にあたつては、鉱床の合理的な開発、鉱害の予防、その他の公益私益との調整を図らねばならないため、行政庁としては鉱業権者の施業方法について監督する必要があり、未登録の鉱物を掘採しようとする鉱業権者にはその鉱種名を届け出させようというのが、鉱業法六七条の趣旨である。したがつて、鉱種名変更届出の確認をもつて追加鉱物に対する鉱業権の新規設定とみるのは誤りである。 本件鉱区においては、原告が昭和三一年六月二九日にけい石の採掘権設定出願をする以前において、訴外Aらが硫黄及び硫化鉄鉱の採掘権を取得しており、両訴外人らはこれと同種の鉱床に存する鬼首白土を掘採する鉱業権を有していたのであるから、本件処分が先願主義に反するということはあり得ない。 仮に、鉱種名変更届出の確認をもつで、追加鉱物に対する新たな鉱業権の設定と解したとしても、同一の地域における同種の鉱床については二以上の鉱業権の設定は許されず、既登録の鉱業権者以外の者は右鉱床内の鉱物につき鉱業権設定の出願を許されないから、鬼首白土が既登録の硫黄及び硫化鉄鉱と同種の鉱床に存するかぎり、鬼首白土に対する鉱業権設定を出願できるのは既登録の鉱業権者たる訴外Aらに限られ、原告は出願を許されない。したがつて、原告の前記出願が訴外Aらの鉱種名変更届より先であつても、先願としての優位性を主張することができない。 三請求原因三について二において述べたとおり、本件処分には取消原因となるような瑕疵はない。 四請求原因四についで鬼首白土は、前述のとおり、鉱業法三条一項のけい石及び耐火粘土に該当する。したがつて、何人も鉱業権の設定を受けなければこれを掘採取得する権利を有せず、右鉱業権の設定を受けでいない原告はもともと鬼首白土を掘採取得でさないのであるから、被告局長の行為によつて侵害さるべき法律上の権利利益を 人も鉱業権の設定を受けなければこれを掘採取得する権利を有せず、右鉱業権の設定を受けでいない原告はもともと鬼首白土を掘採取得でさないのであるから、被告局長の行為によつて侵害さるべき法律上の権利利益を有しておらず、原告の主張は失当である。 五請求原因五について 1 請求原因五の事実のうち、原告が昭和四〇年一月一日から鬼首白土を採掘できなかつた事実は認めるが、A期間及びB期間における原告の営業実績は不知、その余の事実は争う。 2 原告の計算方法では、鬼首白土を使用した合成樹脂用研磨材の売上高が原告の総売上高と同じ比率で増加又は減少することになるが、このことが肯定されるためには、原告の販売する製品構成が一〇年間不変であり、しかも各製品の成長率が同一でなければならない。しかし、一〇年間にわたり原告の製品構成が全く変わらないということは、およそ考え難いことである。現に、A期間中においても、一年度目と二年度目を比較した場合、総売上高は約一六%伸びているにもかかわらず、合成樹脂用研磨材の売上高は約五%減少しているのである。 3 更に、原告はA期間の利益率を固定して一〇年間用いているが、この間、賃金、物価の高騰があり、利益率は当然低下傾向にあるはずである。原告の主張は、これらの実態を全く無視している。 4 また、原告は昭和三九年八月から損害を計上しているが、原告は昭和四二、三年ころまでは既に採掘してあつた鬼首白土を使用していたのであるから、そのころまでをも鬼首白土を使用できなかつたことによる損害発生の期間に入れるのは不当である。 5 のみならず、別表二によると、原告が鬼首白土を使用していた昭和三七年八月から昭和四二年七月までの間においても、合成樹脂用研磨材の売上高は低下を続けているのであるから、B期間中の売上高の低下は、鬼首白土を使用し得なかつたことに 原告が鬼首白土を使用していた昭和三七年八月から昭和四二年七月までの間においても、合成樹脂用研磨材の売上高は低下を続けているのであるから、B期間中の売上高の低下は、鬼首白土を使用し得なかつたことに起因するものとはいえない。 6 原告自身が鬼首白土を採掘できなくなつたとしても、原告は自由な経済取引において鬼首白土を購入しこれを使用することができたのであり、それを行わずして売上高の減少に手をこまねいていたことによる損害を被告国に求めるのは、根拠を欠くものである。 六請求原因六について 1 五の1、4、5及び6の答弁を、請求原因六に対する答弁として援用する。 2 原告は昭和三七年八月から昭和三九年七月までの間において、合成樹脂用研磨材の売上げにより、原材料一キログラム当たり七七・三二円の利益を得ることができたから、以後においても右の利益額を維持できるものとしているが、鬼首白土を使用し得たか否かにかかわりなく、賃金物価の高騰により、別表二にみられるごとく、白土以外の原材料費、製造間接費、賃金、一般管理販売費が上昇しているのであり、右の利益額を固定的に維持できるものではない。 3 原告は最小二乗法により合成樹脂用研磨材の売上高の長期変動の傾向線を求めるため、昭和三四年八月から昭和三九年七月までの売上高実績により係数を計算しているが、鬼首白土を使用していた昭和三九年八月から昭和四〇年七月までの事業年度の売上高実績を除外しているのは不当である。右事業年度では売上高が減少しており、これを除外したのは作為的推計といわざるを得ない。右事業年度を加えて最少二乗法により傾向線を求めると、むしろ下降傾向を示すのである。 4 原告は、売上高の推計のため、「時間」を説明変数としている。しかし、合成樹脂用研磨材の需要を決定する要因としては、時間の経過以外に、例えば合成樹脂 傾向線を求めると、むしろ下降傾向を示すのである。 4 原告は、売上高の推計のため、「時間」を説明変数としている。しかし、合成樹脂用研磨材の需要を決定する要因としては、時間の経過以外に、例えば合成樹脂の需要量、合成樹脂の成形技術の進歩(成形技術が進むに伴ない研磨の必要がなくなる。)、可塑性合成樹脂の開発(研磨が不要になる。)、生産工程の省略等の多くの要因があり、合成樹脂用研磨材の売上高はこれらの要因により大きく左右されるのであるから、時間のみを説明変数とした原告の推計は、売上高は時間が経過するに伴い増加するという誤つた観点に立つた推計といわざるを得ない。 5 原告は合成樹脂用研磨材の売上高が逐年増加すると推計したことの正当性を裏付ける資料として、通商産業大臣官房調査統計部発表工業統計表のプラスチツク製造業の製品出荷額の統計を引用している。しかし、原告の右資料引用には、次のような誤りがある。 (一) 出荷額の各年毎の名目価格による比較を行つているが、一般に経済成長の各年の比較を行う場合、インフレ要因である物価上昇分を除去した実質価格によつて行うものであり、その点を看過した比較は妥当性を欠くものである。 (二) 右工業統計表は、研磨材製造業、プラスチツク製品製造業、プラスチツク製造業等の業種ごとに区分されているが、原告の合成樹脂用研磨材の売上高を予測する上で最も参考になるのは、別表五に掲げた研磨材製造業の中の「その他の研磨材・同製品製造業」の出荷額の統計である。この統計によると、業種全体の出荷額はともかく、一事業所当たりの出荷額は凋落傾向にあることがわかる。 (三) 仮に、合成樹脂用研磨材の需要業種の統計を求めるとすれば、プラスチツク製造業の数値よりも、プラスチツク製品製造業の統計の方が適切である。プラスチツク製品製造業の出荷額は別表五のとおりで る。 (三) 仮に、合成樹脂用研磨材の需要業種の統計を求めるとすれば、プラスチツク製造業の数値よりも、プラスチツク製品製造業の統計の方が適切である。プラスチツク製品製造業の出荷額は別表五のとおりであるが、この出荷額と「その他の研磨材・同製品製造業」の出荷額を各年ごとに対比した場合、後者の前者に対する割合は低下傾向にあることがわかる。すなわち、プラスチツク製品の補助材料としての研磨材の地位が低下傾向にあるものということができ、プラスチツク製品の成形過程における研磨材の役割の低下を推測させるものがある。 (四) 以上のとおり、右工業統計表からは、合成樹脂用研磨材の需要量の相対的低下傾向、更には一社当たりの売上高の凋落傾向がうかがわれ、一社当たりの売上高においては、決して時間の経過とともに売上高が増加するとはいえないのである。 第五証拠(省略)○ 理由一本件の経緯請求原因一の事実中、原告が長年G営林署長から鬼首白土の払下げを受け、昭和三九年一二月末までこれを採掘していた事実並びに2及び5の事実については、当事者間に争いがなく、その余の事実については、被告らにおいて明らかに争わないので、これを自白したものとみなす。 二鉱業法三条一項のけい石ところで、本件における最大の争点は、鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石に該当するか否かである。鉱業法は、鉱物資源を合理的に開発することによつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とし(同法一条参照)、鉱物資源のうち国内に賦存して鉱業的価値を有し(同法三五条参照)その採掘を国家の保護監督下に置くことを適当とするものだけを「鉱物」として同法三条一項に制限列挙し、これを掘採取得する権利を土地所有権の権能から除外し、国家の行政処分によつて付与する鉱業権に専属せしめている。そして、鉱業法三条一項は右鉱物の一つ るものだけを「鉱物」として同法三条一項に制限列挙し、これを掘採取得する権利を土地所有権の権能から除外し、国家の行政処分によつて付与する鉱業権に専属せしめている。そして、鉱業法三条一項は右鉱物の一つとして「けい石」を掲げているが、同条項にいう「けい石」の定義については、同法その他の法令に規定するところがないところ、成立に争いのない乙第二二号証、証人Bの証言及び鑑定人Bの鑑定の結果によると、「けい石」とは自然科学上の名称ではなく、窯業その他の工業関係分野において、その物理的化学的性質を利用する工業原材料に付せられな商品名であることが認められる。したがつて、鉱業法三条一項の「けい石」とは、窯業その他の工業関係分野で従来一般にけい石と称されてきた岩石で、かつ、その品位等からみて鉱業稼行に適し、鉱業法による保護と監督に服せし釣るのが相当であるものをいうと解される。この点に関し、我が国の鉱業行政の実務において通商産業省鉱山局長の二〇二号通達が発出されでおり、同通達が、鉱業法三条一項のけい石は別表一に掲げる(1)成因・産状、(2)名称、(3)基準品位の三要件のすべてに該当するもののみとし、この三要件のうちのいずれかに該当しない場合にはけい石として取り扱わないものとする、と定めていることについては当事者間に争いがない。そして、右二〇二号通達は、先に述べた鉱業法上のけい石の一般約概念に該当するものを具体的に選び出す基準を明らかにしたものとして妥当性を有するものと考えられ、本件においてもこれに準拠することについては当事者間に異論がないので、以下、鬼首白土が二〇二号通達の定める具体的要件に該当するか否かを検討することとする。 三鬼首白土のけい酸分の基準品位 1 そこで、まず鬼首白土のけい酸分の基準品位から検討することとするが、証人F及び証人増井淳一の各証 号通達の定める具体的要件に該当するか否かを検討することとする。 三鬼首白土のけい酸分の基準品位 1 そこで、まず鬼首白土のけい酸分の基準品位から検討することとするが、証人F及び証人増井淳一の各証言、証人Bの証言及び同証言により原本の存在と成立を認めることのできる甲第一号証の一、成立に争いのない甲第一一号証、乙第一二号証及び乙第二四号証、検証(第一回及び第二回)の結果、並びに鑑定人Cの鑑定の結果を総合すると、次の事実が認められる。 (一) 本件鉱区のほぼ中央部において、一メートル以下の表土の下に厚さ一メートル前後の赤褐色の著しいやけを伴うけい化帯があり、その下に最大の厚さ四メートル程度のほぼ純白色の白土鉱床が存在しているが、この白土鉱床は赤沢の岸に沿つて南北約四〇メー・トルの幅を持ち、東に二五度ないし三〇度の傾斜をもつて地表に沿い上昇しており、東西の延長は約四〇メートルである。白土鉱床内においては、割れ目に昇華硫黄の薄い付着が見られるほか、局部的に硫化鉄鉱による鉱染が見られ、白土鉱床の下盤は灰色凝灰質泥岩となつており、そこに硫化鉄鉱の微粒が散在している。白土鉱床の周辺部は灰色ないし淡灰色を呈する粘土質の岩石帯となつている。この白土鉱床中の白土は、鬼首白土の通称をもつて呼ばれ、原告がG営林署長から払下げを受け採掘していたものである。 (二) 本件鉱区の一帯は温泉地帯をなし、後火山作用により噴出した硫化水素ガスや亜硫酸ガスが地表近くで昇華硫黄を生成するとともに、岩石に含有された鉄分に作用して硫化鉄鉱を生成し、また同じく後火山作用により流出する熱水と作用して硫酸酸性の熱水溶液となり、この硫酸酸性の熱水溶液が凝灰質泥岩に作用してこれに変質をもたらしているが、硫酸酸性の強い熱水溶液がけい酸以外の元素をほとんど溶脱して鬼首白土を生成し、その周辺で硫 用して硫酸酸性の熱水溶液となり、この硫酸酸性の熱水溶液が凝灰質泥岩に作用してこれに変質をもたらしているが、硫酸酸性の強い熱水溶液がけい酸以外の元素をほとんど溶脱して鬼首白土を生成し、その周辺で硫酸酸性の比較的弱い熱水溶液が粘土質の岩石帯を生成した。 2 右のように生成された鬼首白土が、採取直後の状態において、どの程度けい酸分を含有しているかを検討する。 (一) 成立に争いのない甲第六号証及び甲第七号証の一によると、昭和三二年九月ころ採取された鬼首白土の試料を仙台通商産業局において分析した結果は、けい酸分が五三・一五%、水分が四三・八〇%であつたことが認められる。 (二) 成立に争いのない甲第二号証並びに証人Bの証言により原本の存在と成立が認められる甲第一号証の二及び成立が認められる甲第三号証によると、昭和三九年一〇月九日採取された鬼首白土の試料一六個は、常温の乾燥器で除去される水分を三一・五六%ないし六四・六六%含有していたことが認められる。 (三) 鑑定人Cの鑑定の結果によると、昭和四二年九月二日鬼首白土の坑内で採取された試料七個は、けい酸分を三三・九七%ないし五七・七〇%含有し、水分を三九・二二%ないし六四・三七%含有し、右水分は飽和状態にあつたことが認められる。 (四) 鑑定人Bの鑑定の結果によると、昭和四六年七月三〇日採取された鬼首白土の試料四個は、けい酸分を六〇・一〇%ないし六六・二六%含有し、水分を三一・八五%ないし三八・六九%含有していたことが認められる。 (五) 以上のとおり、鬼首白土は、採取直後の状態では多量の水分を含有し、けい酸分が最高でも六六・二六%にしか達しない岩石であることが明らかである。 鬼首白土が火成作用によるものであることは当事者間に争いがなく、また二〇二号通達が、火成作用によるけい石の場合けい酸分の基準品位 酸分が最高でも六六・二六%にしか達しない岩石であることが明らかである。 鬼首白土が火成作用によるものであることは当事者間に争いがなく、また二〇二号通達が、火成作用によるけい石の場合けい酸分の基準品位が九〇%以上であることが必要であり、右のけい酸分の基準品位は自然状態すなわち粗鉱品位を対象とするもので、鉱区のうち稼行の対象となるべき鉱床の全体の平均品位を指すものであると定めていることについても、当事者間に争いがない。原告は、右の自然状態とは、地中に埋蔵されたままの状態を指すものであり、その状態に最も近い採取直後の鬼首白土のけい酸分は右のとおり九〇%にはるかに達しないから、鬼首白土はけい石に該当しないと主張するのに対し、被告らは、二〇二号通達が自然状態すなわち粗鉱品位を対象とすると定めているのは、精鉱品位でなく粗鉱品位によるべきことを明らかにしたにとどまるものであつて、鬼首白土のように地下水等が常時浸透した坑内で採取される吸水性の試料については、付着水を含んだままの状態で測定するのではなく、大気中で自然に虱乾した後に測定すべきであると主張するのである。 3 そこで、次に、鬼首白土を大気中で風乾した場合のけい酸分含有率を検討する。 (一) 鑑定人Cの鑑定の結果によると、昭和四二年九月二日採取の鬼首白土の粉末試料七個を風乾した場合、五個の試料が九二・六八%ないし九四・四六%のけい酸分を有し、残り二個の試料は粘土分を含み、その含有けい酸分は七一・〇七%ないし七一・五八%であつたことが認められる。 (二) 鑑定人Bの鑑定の結果によると、昭和四六年七月三〇日採取した鬼首白土の試料五個のうち一個は粘土分を含んでおり、残り四個を粉末状で風乾した場合、九三・二三%ないし九四・八四%のけい酸分を含有していたことが認められる。 (三) 以上の鑑定の結果を総合する 取した鬼首白土の試料五個のうち一個は粘土分を含んでおり、残り四個を粉末状で風乾した場合、九三・二三%ないし九四・八四%のけい酸分を含有していたことが認められる。 (三) 以上の鑑定の結果を総合すると、鬼首白土を風乾した場合のけい酸分の基準品位は九〇%以上であるということができる。 4 では、鬼首白土のけい酸分を測定する場合、原告主張のように地中から採取したままの状態で測定するのが相当か、あるいは被告ら主張のように採取した試料を大気中で風乾した後に測定するのが相当かについて検討する。 (一) 鑑定人Bの鑑定、証人B及び証人Jの各証言、証人Cの証言(以下の認定に抵触する部分を除く。)、前掲の甲第一号証の二及び甲第三号証、並びに証人Cの証言により鬼首白土を撮影したものと認められる乙第二一号証を総合すると、次の事実が認められる。 鬼首白土の鉱床内では、けい酸(SiO2)がいくつか結合してコロイド粒子を作り、このコロイド粒子がゆるく連結し合つて三次元の網状組織を作つている。複数のけい酸が結合するということは、各けい素原子が酸素原子を共有し合うことをいい、各けい素原子は四つの酸素原子によつて四面体的に配位されることになる(つまりSiO4四面体となる。)。この結合が規則正しく行われ、すべての酸素原子がけい素原子によつて共有されると、石英に代表される結晶体のけい酸鉱物となる。しかし、けい酸のコロイド粒子の場合は、右の結合が不規則で切れ目があり、その切れ目に水酸基(OH)が結合するため、コロイド粒子の表面にはシラノール基(SiOH)ができ、更にそれが水と結合する性質を有している。地中に埋蔵された状態の鬼首白土は、2で述べたとおり三〇%を超える水分を含んでいるが、この水分は一部がシラノール基の存在によつてコロイド粒子と結合し、残りはコロイド粒子の三次元の網 質を有している。地中に埋蔵された状態の鬼首白土は、2で述べたとおり三〇%を超える水分を含んでいるが、この水分は一部がシラノール基の存在によつてコロイド粒子と結合し、残りはコロイド粒子の三次元の網状組織に封じ込められた状態となつている。これを逆にいえば、水は分散相たるコロイド粒子の網状組織を支える分散媒をなしており、鬼首白土が今日までコロイド粒子を保持し、外力により容易に網状組織を破壊して各別の粒子に分離するという性質を有するのは、分散媒たる水分が存在したためであり、けい酸のコロイド粒子と水とは一体となつて非晶質のけい酸ゲル、すなわちシリカゲルを形成するものである。そして、鬼首白土のシリカゲルは、単なる機械的刺激によつてゾルになり、放置すると再びゲルに戻るという、ゲル特有のチキソトロピー現象を呈する。鬼首白土のけい酸分のうち、八〇・八九%ないし九六・四九%はシリカゲルの形で存在し、残りは結晶体である石英の微粒として存在している。 (二) 右のとおり、鬼首白土鉱床内のけい酸分の大半と水分とは、それぞれ別個独立に存在し、たまたま付着しているというのではなく、両者が一体となつて物質の一状態としてそれ特有の性質を持つゲル(シリカゲル)を形成しているのであるから、ゲルの状態をもつて自然状態、すなわち粗鉱と認めるのが相当である。このように、ゲルの状態において存在する鬼首白土に含まれた水分は、分散媒として、分散相たるけい酸コロイド粒子とともに鬼首白土の一成分をなすものであるから、鬼首白土のけい酸分の品位を測定する場合、成分の一たる水分を除去して測定するのは相当でない。 (三) 被告らは、風乾をした後にけい酸分の品位を測定すべきであるとし、その根拠として次のように主張する。すなわち、鬼首白土はけい酸の結合体であるコロイド粒子が連結し合い三次元の網状のキ 当でない。 (三) 被告らは、風乾をした後にけい酸分の品位を測定すべきであるとし、その根拠として次のように主張する。すなわち、鬼首白土はけい酸の結合体であるコロイド粒子が連結し合い三次元の網状のキセロゲル的固相の組織をなしているものであり、そこに含まれている水は網状組織を支える分散媒ではなく、出入りの自由な水であり、この水を除去しても鬼首白土の性質に変更をもたらすものでなく、水は鬼首白土の成分ではないから、この水分を除去してけい酸分の測定を行うのが相当である。もし、水分を除去しないで測定するとすれば、その時の気象条件や賦存場所等の影響による付着水の変動によつて測定値が安定せず、鬼首白土本来の成分性質を分析測定できないのであり、日本工業規格でも適当な方法で乾燥させた後に測定すべき旨を定めている、と主張する。 (四) 確かに、証人Cの証言並びに成立に争いのない乙第一二号証及び乙第二四号証によると、採取直後の鬼首白土は磨砕によりペースト状となり、風乾した鬼首白土も再び水を加えて磨砕すれば同じくぺースト状となること、及び採取直後の鬼首白土の試料を磨砕しぺースト状にしたものを真空乾燥したものと、風乾後磨砕したものとの内表面積はほぼ等しく、いずれも内部に微細空孔の発達した粒子を持つていることが認められる。これらの事実から、鬼白土のけい酸分は大部分がコロイド粒子として存在し、風乾によつてもコロイド粒子の存在が失われるものではなく(もつとも、コロイド粒子とは直径〇・一ミクロンから〇・〇〇一ミクロンまでの粒子を指すもので、大きさに幅があり、同じコロイド粒子といつても、風乾によつて粗大化した可能性はあり、その点は明らかでない。、風乾によつても鬼首白土のけい酸分はその性質をほとんど変えないということはできる。しかし、証人Bの証言に照らせば、右いずれの事実も ても、風乾によつて粗大化した可能性はあり、その点は明らかでない。、風乾によつても鬼首白土のけい酸分はその性質をほとんど変えないということはできる。しかし、証人Bの証言に照らせば、右いずれの事実も、それだけで直ちに、鬼首白土がけい酸コロイド粒子を分散相とし水を分散媒とするシリカゲルであることを否定して、キセロゲル的固相の組織が既に形成されているものであるとするに十分なものではない(前記の内表面積がほぼ等しいとの点についていえば、人工的に作られたシリカゲルでは真空乾燥した磨砕資料と風乾した磨砕資料とで内表面積が著しく異なることは認められるけれども、すべてのシリカゲルが同様の現象を呈するとの論証はないので、鬼首白土の場合に右の内表面積に違いが生じないことから、鬼首白土がシリカゲルの形で存在していないとすることはできない。)。 また、前掲C証言並びに乙第一二号証及び乙第二四号証は、採取直後の鬼首白土を磨砕しペースト状にしたもの及び風乾した鬼首白土を磨砕したものについては、赤外線吸収スペクトルの測定によりシラノール基(SiOH)の存在をわずかしか認めることができず、基本粒子の表面は安定したシロキサン基(si-O-si)よりなつているとしている。もし、これが事実とすれば、通常のシリカゲルのコロイド粒子の表面には親水性の強いシラノール基が多くみられるとされているので、その点では鬼首白土は通常のシリカゲルと異なつていることになる。 しかしながら、鬼首白土に含まれる水分は、コロイド粒子表面の水だけでなく、コロイド粒子の連結により形成された三次元の網状組織の中に封じ込められている水分から成ることは前述のとおりであり、コロイド粒子表面の親水性が強くないことから当然に右水分がすべて出入り自由な水ということになるわけではない。この点に関して、前掲の甲第二号証及 じ込められている水分から成ることは前述のとおりであり、コロイド粒子表面の親水性が強くないことから当然に右水分がすべて出入り自由な水ということになるわけではない。この点に関して、前掲の甲第二号証及び甲第三号証によると、昭和三九年一〇月九日採取された鬼首白土の試料一六個は、風乾後一五日を経ても水分を蒸発し続けて恒量に達せず、これを常温乾燥器で恒量にした上摂氏一〇五度まで加熱すると、一・二三%ないし三四・五七%の水分が除去され、これを更に灼熱すると〇・六五%ないし二・五一%の水分が除去されたことが認められ、鑑定人Cの鑑定の結果によると、昭和四二年九月二日に採取した鬼首白土の試料七個は、風乾により恒量に達するまでに中塊試料(三五グラムないし一三五グラム)で約一五日間、小塊試料(一五グラムないし三〇グラム)で五日ないし一〇日間、粉末試料(一グラムないし一・七グラム)で一日ないし五日間を要したこと、このうち粘土分を含まない粉末試料を五〇%相対温度容器で恒量にした上摂氏一一〇度に加熱すると〇・八六%ない」一・二七%の水分が除去され、これを更に灼熱すると一・二二%ないし一・五六%の水分が除去されたことが認められ、また、鑑定人Bの鑑定の結果によると、昭和四六年七月三〇日に採取した鬼首白土四個の粉末試料は、風乾により恒量に達するまでに約二九時間を要し、これを摂氏一一〇度に加熱すると〇・八九%ないし一・九六%の水分が除去され、更にこれを灼熱すると一・三六%ないし二・〇一%の水分が除去されたことが認められる。これらの事実と、前記2で述べたとおり鬼首白土が常に三〇%を超える水分を含んでいる事実からすれば、鬼首白土のコロイド粒子はその表面のシラノール基が通常のシリカゲルのコロイド粒子よりわずかであるにせよ、それにより水の一部と強く結合し、その余の水もコロイド粒 を超える水分を含んでいる事実からすれば、鬼首白土のコロイド粒子はその表面のシラノール基が通常のシリカゲルのコロイド粒子よりわずかであるにせよ、それにより水の一部と強く結合し、その余の水もコロイド粒子の網状組織によつてかなり強く封し込められていると考えるほかなく、鬼首白土の水分が単なる出入り自由な水とする前掲証拠は採用できない。 (五) 次に、水分を含んだままの状態でけい酸分を測定した場合、気象条件や賦存場所等の影響で水分が変動し、測定値が安定しなくなるとの点についてみると、まず気象条件により鬼首白土内の水分が変動することを示す資料はない。かえつて、前記2においで述べたとおり、昭和三二年九月ころ、昭和三九年一〇月九日、昭和四二年九月二日及び昭和四六年七月三〇日の四つの異なる時期に採取された試料は常に三〇%を超える水分を含み、少なくとも地下坑内では水分は飽和状態にあることから判断し、鬼首白土鉱床の大半の部分において、気象条件により含有水分が変わることはない、すなわち鉱床全体の平均品位が気象条件によつて影響を受けることはほとんどないと考えられる。また、賦存場所によつて水分含有率が異なることは前記2において述べたとおりであるが、一つの鉱床の中で一つの成分の含有率が場所によつて変動することは他の鉱物についても見られるところであつて、これまた水分を含有したままの状態で成分を分析することの妥当性を損うものではない。 なお、成立に争いのない乙第二五号証の一ないし三並びに乙第二六号証の一及び二によると、けい石の分析について、日本工業規格は乾燥した試料により行うべきことを定めていることが認められるが、右日本工業規格も「試料採取中に北いては成分その他目的とする性質が変化しないように注意する。」と定めており、本件の鬼首白土のように水分が分析対象鉱石の成分をな きことを定めていることが認められるが、右日本工業規格も「試料採取中に北いては成分その他目的とする性質が変化しないように注意する。」と定めており、本件の鬼首白土のように水分が分析対象鉱石の成分をなしている場合にまでこれを乾燥させるべきものと定めたものとは考えられない。 また、成立に争いのない乙第一号証の一及び二によると、仙台通商産業局鉱山部長から通商産業省鉱山局鉱政課長に対する昭和三八年一〇月五日付けの照会に対し、同鉱政課長は同年一一月七日付けで、二〇二号通達にいう自然状態の基準品位は地下水等が常時浸透している坑内で採取された吸水性の試料については付着水分を自然乾燥により除去して測定する旨回答していることが認められる。しかし、原本の存在及び成立に争いのない甲第一三号証及び甲第一四号証並びに成立に争いのない甲第一五号証に照らすと、被告局長が原告に対し昭和三八年九月一七日付けで鬼首白土は二〇二号通達で定義するけい右に該当する旨通告したのに対して、原告が被告局長に対し同月二八日付けで右通告と被告局長の昭和三二年一〇月九日付けの鬼首白土はけい石に該当しない旨の回答との矛盾点の説明を求めたため、前記仙台通商産業局鉱山部長と通商産業省鉱山局鉱政課長間の照会回答が行われたことが明らかである。このように、原告と被告局長間で一種の紛争が生じた後に、被告局長と同一省に所属する鉱政課長が特に根拠を示すことなく行つた回答は、客観性を有するものとはいいがたく、被告ら主張の分析方法の妥当性を補強する資料とすることはできない。 (六) 以上のとおり、鬼首白土のけい酸分の基準品位は、地中から採取したままの状態、すなわち風乾を行わない状態で測定するのが相当であるところ、この状態ではけい酸分が最高でも六六・二六%にしか達せず、鬼首白土はまずこの点からしてけい石に該当しな 品位は、地中から採取したままの状態、すなわち風乾を行わない状態で測定するのが相当であるところ、この状態ではけい酸分が最高でも六六・二六%にしか達せず、鬼首白土はまずこの点からしてけい石に該当しないものというべきである。 四鬼首白土の一般的名称通商産業省鉱山局長の二〇二号通達が、鉱業法三条一項のけい石の要件の一つとして、火成作用によるけい石については「白けい石」又は「炉材けい石」の一般的名称を有することとの要件を定めていることについては、当事者間に争いがない。 証人Bの証言によると、「白けい石」とは、鉄分が少なく、けい酸分の純度が高い白色のけい石塊で、昔は火打石として使われたほど硬い石で、主としてガラス原料として使われているものを指し、「炉材けい石」とは、溶鉱炉等の一部として使われる耐火レンガの原料となるけい石で、耐火度が高く、レンガとしてうまく焼き上がる性質を有するものを指すことが認められる。鬼首白土は、前記三の4は前記三の4の(一)で述べたとおり、シリカゲルを主体とする岩石であり、証人Fの証言によると、日本では同種のものを他の地域に求めることが困難な極めて珍しい存在であることが認められ、また、証人Bの証言によると、鬼首白土がかつて「白けい石」は「炉材けい石」の名称をもつて呼ばれたことがないことが認められる。したがつて、鬼首白土は、「白けい石」又は「炉村けい石」と一般に称される鉱物に該当せず、この点からも鉱業法三条一項のけい石に該当しないものというほかない。 証人Cは、「白けい石」の定義自体がはつきりしていないから、鬼首白土も「白けい石」に含めてよいのではないかと思う旨証言するが、この証言は具体的根拠を欠き、他に右認定を覆すに足る証拠はない。 五鬼首白土の耐火粘土性 1 鉱業法三条一項は、「酎火粘土(ゼーゲルコーン番号三一以上の耐火度 めてよいのではないかと思う旨証言するが、この証言は具体的根拠を欠き、他に右認定を覆すに足る証拠はない。 五鬼首白土の耐火粘土性 1 鉱業法三条一項は、「酎火粘土(ゼーゲルコーン番号三一以上の耐火度を一有するものに限る。)」を法定鉱物の一つとして掲げているが、右の耐火粘土とは、文理的にも、また証人Jの証言に照らしても、粘土鉱物を含む鉱石でゼーゲルコーン番号三一以上の耐火度を有するものを指すと解するのが相当である。被告らは、ゼーゲルコーン番号三一以上の耐火度を有する岩石であれば構成物質の何であるかにかかわらず耐火粘土に該当すると主張するが、粘土が岩石一般の代名詞であるならばともかく、粘土という用語が、岩石の中でも、湿気を帯びると粘性又は可塑性を示し、乾くと剛性を呈し、高温で焼くと焼結するものを特に指す用語であることは公知の事実であり、鉱業法が耐火粘土と明定する以上、それは右のような特性を有する粘土で、かつ耐火性を有するものを指していると解すべきは明らかといわねばならず、被告の解釈は鉱業法がわざわざ耐火「粘土」と規定していることを無視するもので、採用の限りでない。 2 成立に争いのない甲第七号証の五及び六、証人Jの証言並びに鑑定人J及び鑑定人Cの各鑑定の結果によると、鬼首白土の中には粘土鉱物を含む部分が少量混在するが、その部分の耐火度はゼーゲルコーン番号二七ないし二九で耐火粘土に該当せず、その余の鬼首白土は粘土鉱物を含有していないことが認められる。したがつて、鬼首白土が鉱業法三条一項の耐火粘土に該当しないことは明らかといわねばならない。 もつとも、証人Jの証言、鑑定人Jの鑑定の結果及び検証(第二回)の結果によると、本件鉱区内ではあるが鬼首白土鉱床からかなり離れた外帯において、粘土鉱物を含む岩石でゼーゲルコーン番号三四のものが賦存すること、右 証人Jの証言、鑑定人Jの鑑定の結果及び検証(第二回)の結果によると、本件鉱区内ではあるが鬼首白土鉱床からかなり離れた外帯において、粘土鉱物を含む岩石でゼーゲルコーン番号三四のものが賦存すること、右岩石は明ばん石を含み耐火粘土として使用できるかどうか明らかでなく、その産出も不均質で賦存量も多くを期待できないことが認められる。しかし、右岩石は鬼首白土鉱床からかなり離れ、鬼首白土とは明確に区別し得るものであるから、鬼首白土は耐火粘土に該当しないとの前記認定の妨げとなるものではなく、また、乙第一〇号証の三も鬼首白土の試験成績を示したものかどうか明らかでないから、前記認定を覆すに足る証拠とはいえず、他に右認定を左右する証拠はない。 六鉱床の同種性 1 鬼首白土は、以上述べたとおり、鉱業法上の鉱物に該当しないが、更に、鬼首白土と硫黄又は硫化鉄鉱とが本件鉱区内において同種の鉱床内に存するか否かを検討することとする。 2 検証(第一回及び第二回)の結果、鑑定人Cの鑑定の結果、前掲甲第一一号証、成立に争いのない乙第六号証の一及び二、並びに証人F、証人K、証人L及び証人E(第一回)の各証言を総合すると、昭和二五年三月一日硫黄及び硫化鉄鉱の採掘権が設定された第三一六号鉱区においては、採掘権設定時から約二年間程訴外富士硫黄鉱業株式会社等が硫黄を採掘していたが、硫黄の品位が低くて採算が取れず、また、硫化鉄鉱については試掘がなされた程度で鉱量乏しく本格的な採掘はなされずじまいで、右採掘権は昭和二八年二月一日鉱区税滞納のため差し押えられたこと、昭和一二二年三月一五日第三一六号鉱区から分割された本件鉱区は訴外富士硫黄鉱業株式会社等が硫黄を採掘していた場所から離れており、本件鉱区においては分割の前後を通じて硫黄又は硫化鉄鉱が採掘されたことはないこと、及び本件鉱区内の 六号鉱区から分割された本件鉱区は訴外富士硫黄鉱業株式会社等が硫黄を採掘していた場所から離れており、本件鉱区においては分割の前後を通じて硫黄又は硫化鉄鉱が採掘されたことはないこと、及び本件鉱区内の鬼首白土鉱床内においては、鬼首白土の割れ目に昇華硫黄の薄い付着が見られ、また局部的に硫化鉄鉱による鉱染が見られるほか、同鉱床下部の未変質の凝灰質泥岩に硫化鉄鉱の微粒が散在している程度であることが認められ、これらの事実からして、本件鉱区内においては、鉱業稼行の対象となるような硫黄又は硫化鉄鉱の集合体すなわち鉱床は存しないものと認めるべきである。 3 したがつて、本件鉱区内にあつて、鬼首白土は硫黄又は硫化鉄鉱と同種の鉱床をなすものでないことが明らかである。 七本件処分の無効前述のとおり、訴外Aらは、昭和三二年四月八日本件鉱区に賦存する鬼首白土が鉱業法三条一項のけい石及び耐火粘土に該当し、かつ硫黄及び硫化鉄鉱と同種の鉱床に存するとして、被告局長に対し本件鉱区の鉱種名の硫黄及び硫化鉄鉱にけい石及び耐火粘土を追加する旨の鉱種名変更届をなし、被告局長は、同年九月二四日鬼首白土がけい石及び耐火粘土に該当するとした上、本件鉱区内において硫黄、硫化鉄鉱、けい石及び耐火粘土が同種の鉱床中に存するものと確認し、採掘原簿に右鉱種名変更の登録をするという本件処分をなした。 しかし、本件処分には、けい石にも耐火粘土にも該当しない鬼首白土をこれらの鉱物と誤認し、更に同種の鉱床中に存しない鬼首白土、硫黄及び硫化鉄鉱を同種の鉱床中に存すると誤認したという瑕疵が存し、これらの瑕疵は、法律上鉱業権の対象となり得ないものをその対象としたという点などにおいて処分の法律効果発生のための前提をなす根本的要件を欠く瑕疵であり、本件処分を無効ならしめるものと判断せざるを得ない。 そして、原告 上鉱業権の対象となり得ないものをその対象としたという点などにおいて処分の法律効果発生のための前提をなす根本的要件を欠く瑕疵であり、本件処分を無効ならしめるものと判断せざるを得ない。 そして、原告は、昭和一九年の設立以来G営林署長から鬼首白土の払下げを受けてこれを採掘し、これを原材料に合成樹脂用研磨材を製造販売して営業活動を行つていたところ、本件処分の存在により右採掘を妨げられている者であるから、本件処分の無効確認を求める利益を有している。 八不法行為の成立被告局長は、鉱業法三条一項のけい石及び耐火粘土でない鬼首白土を同条項のけい石及び耐火粘土と誤認して本件処分をなし、この処分を維持しつつ昭和三八年九月一七日付け仙通産鉱第六、五〇八号「鬼首白土の取扱いについて」と題する書面で原告に対し鬼首白土はけい石に該当するから今後は法定鉱物として鉱業法の適用を受けることになつた旨通告するとともに、昭和三九年一〇月二日G営林署長に対しても同旨の通告を行つた。そして、弁論の全趣旨によれば、被告局長が本件処分をするについては、訴外Aらから本件鉱種名変更届とともに提出された乙第一〇号証の二ないし五に依拠したものと推認されるところ、右資料はその内容において具体性を欠き極めて不十分なものであると認められるので、被告局長がこれに基づいて本件処分をしたことは同被告の過失によるものというほかない。他方、原告は、長年にわたりG営林署長から鬼首白土の払下げを受けてきたものであり、本件処分がなければ引き続き払下げを受けて採掘し得たことがほぼ確実であると認められる。 しかるに、被告局長の本件処分及びこれに続く右通告のため、原告は、昭和四〇年一月一日から鬼首白土の払下げを受けられなくなり、営業活動を妨げられたものであるから、被告局長の右一連の行為は、原告に対する不法行為を構 告局長の本件処分及びこれに続く右通告のため、原告は、昭和四〇年一月一日から鬼首白土の払下げを受けられなくなり、営業活動を妨げられたものであるから、被告局長の右一連の行為は、原告に対する不法行為を構成し、被告国は、国家賠償法一条一項の規定により、右不法行為によつて原告の受けた損害を賠償すべき責に任ずるものといわなければならない。 九原告の損害に関する主位的主張請求原因五に記載した原告の損害に関する主位的主張は、原告が鬼首白土を合成樹脂用研磨材の原材料として使用できたと仮定すれば、昭和三九年八月一日以降の同研磨材の売上高は原告の総売上高に比例して伸びたと推定できること、及びその場合の利益率は昭和三七年八月一日から昭和三九年七月三一日までの平均利益率三八・四%と同率と推定できることの二点を骨子とするものである。しかし、この主張には、次のような問題があり、採用することができない。 1 証人Hの証言、証人Eの証言(第二回)及び同証言により真正に成立したものと認められる甲第三〇号証並びに弁論の全趣旨によると、原告は昭和四〇年一月一日から鬼首白土の採掘ができなくなつたものの、鬼首白土の在庫があり、昭和四一年一月末日までは鬼首白土を原材料として合成樹脂用研磨材を製造販売できたことが認められ、昭和三九年八月一日から昭和四一年一月末日までを損害発生の期間に算入するのは妥当でない。 もつとも、原告代表者尋問の結果並びに右尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第二二号証の一及び二、証人Eの証言(第二回)及び同証言により真正に成立したものと認められる甲第二六号証の一ないし三、並びに弁論の全趣旨によると、原告は昭和三八年九月一七日付けの前記被告局長の通告書を受けて以来、鬼首白土を採掘できなくなつた場合に備えて鬼首白土以外の白土を混合した合成樹脂用研磨 号証の一ないし三、並びに弁論の全趣旨によると、原告は昭和三八年九月一七日付けの前記被告局長の通告書を受けて以来、鬼首白土を採掘できなくなつた場合に備えて鬼首白土以外の白土を混合した合成樹脂用研磨材を試作したこと、昭和三九年に入り鬼首白土をめぐる原告と訴外Aらとの争いが激化し、原告は良質の鬼首白土のみを精選して採掘することがある程度困難になつたこと、昭和三九年一一月及び昭和四〇年六月に原告の得意先から合成樹脂用研磨材に対する苦情が寄せられたこと、及び昭和三九年八月一日以降原告の合成樹脂用研磨材の売上高が減少してきたことが認められる。しかし、これだけの事実では、原告において昭和三九年一二月末まで鬼首白土の採掘を許され、昭和四一年一月末までその在庫を有していたにもかかわらず、昭和三九年八月一日以降の合成樹脂用研磨材の売上高減少に伴う損害を被告局長の責に帰すべきものと認定することは困難である。 2 原告は、鬼首白土を原材料に使用できたならば、合成樹脂用研磨材の売上高は原告の総売上高に比例して伸びたはずであると推定しているが、過去において相当長期間右の比例関係が認められたことを示す資料があればともかく、そのような資料はなく、かえつて別表二の3欄及び9欄のとおり、原告が鬼首白土を使用していた昭和三七年八月から昭和四〇年七月までの三事業年度において、総売上高は逐年増加しているのに反し、合成樹脂用研磨材の売上高は逐年減少していることが、原告の主張自体から明らかなのである。したがつて、原告の右推定は、合理的根拠を欠くものといわざるを得ない。 3 次に、原告は、昭和三七年八月から昭和三九年七月までの二事業年度において、合成樹脂用研磨材売上による利益は一事業年度平均八、〇四四、〇〇〇円で、売上高に対する利益率は三八・四%であり、鬼首白土を使用できたならば、 昭和三七年八月から昭和三九年七月までの二事業年度において、合成樹脂用研磨材売上による利益は一事業年度平均八、〇四四、〇〇〇円で、売上高に対する利益率は三八・四%であり、鬼首白土を使用できたならば、この利益率をその後も維持できたはずであるとしている。 (一) 右利益金は、別表二で明らかなとおり、売上高から原材料費、製造間接費、賃金及び一般管理販売費(営業外損益を含む。)を差し引いた金額である。ところが、証人Hの証言によると、右の製造間接費及び賃金は、原告会社全体の製造間接費及び賃金を原材料費の割合により割り振つたものであり、右一般管理販売費も原告会社全体の一般管理販売費を売上高の割合により割り振つたものであることが認められる。したがつて、右利益金は、合成樹脂用研磨材売上げによる利益をそのまま表わすものではないのであるが、右のような経費の割り振りが合理的根拠を有するものかどうか、本件全証拠によるも判断が困難であるから、三八・四%の利益率の主張を認容することはできないものといわざるを得ない。 (二) また、一製品の二事業年度における利益率が、その後一〇年間、人件費の高騰や他社との競争、需要の変化の中で不変であるということは、通常考えられないところであり、これを推定の基礎とすることは合理性に欠ける。 一〇 原告の損害に関する予備的主張請求原因六に記載した原告の損害に関する予備的主張は、原告が鬼首白土を合成樹脂用研磨材の原材料の一部として使用できなくなつたため、原材料一キログラム当たりの利益が三四・一三円減少したこと、昭和四〇年一月一日現在原告の採掘可能な鬼首白土が少なくとも二、〇〇〇トン存在したこと、及び右原材料総消費量は鬼首白土の二倍であるから四、〇〇〇トンの原材料を使つて合成樹脂用研磨材を製造販売できたことの三点を骨子としている。しかし、こ な鬼首白土が少なくとも二、〇〇〇トン存在したこと、及び右原材料総消費量は鬼首白土の二倍であるから四、〇〇〇トンの原材料を使つて合成樹脂用研磨材を製造販売できたことの三点を骨子としている。しかし、この主張には、九の3に述べた問題点(特に九の3と同じ理由で原材料一キログラム当たりの利益が三四・一三円減少したとの主張は認容できない。)のほか、次のような問題があり、この主張も採用できない。 1 証人F及び証人Lの各証言並びに前掲甲第一一号証によると、昭和三三年五月当時の鬼首白土の推定鉱量がほぼ五、〇〇〇トン前後であつたこと、その当時から原告と訴外Aらの二者が鬼首白土の採掘を続けていたこと、原告は毎年八月ころから一二月にかけて約一〇〇トン、多い年で二〇〇トン近く採掘していたことが認められるが、訴外Aらの年間採掘量は明らかでなく、昭和四〇年一月一日現在において、同日以降原告において払下げを受け採掘できた鬼首白土が少なくとも二、〇〇〇トンは賦存したものと確定することができない。 2 仮に、右の鬼首白土が少なくとも二、〇〇〇トン賦存したとしても、これは前記のとおり三〇%を超える水分を含んだものであり、一方別表二に掲記された鬼首白土は証人Hの証言から乾燥粉末化された鬼首白土であることが明らかであるから、原告主張のように二、〇〇〇トンの鬼首白土が鉱床内に賦存すればその二倍に当たる四、〇〇〇トンの原材料で合成樹脂用研磨材を製造できたものとはいえないのである。そして、右二、〇〇〇トンからどの程度の乾燥粉末がとれるかも明らかでない。 一一原告の損害額 1 証人Hの証言、同証言により真正に成立したものと認められる甲第二三号証の六、九ないし一五及び一九ないし二三、弁論の全趣旨により原本が存在しかつ真正に成立したものと認められる甲第三一号証、甲第三三号証及び甲第三四 、同証言により真正に成立したものと認められる甲第二三号証の六、九ないし一五及び一九ないし二三、弁論の全趣旨により原本が存在しかつ真正に成立したものと認められる甲第三一号証、甲第三三号証及び甲第三四号証、並びに弁論の全趣旨を総合すると、原告が昭和三七年八月一日から昭和四九年七月三一日までの間に販売した合成樹脂用研磨材を製造するため使用した「全原材料」並びにそのうちの「鬼首白土」、「その他の白土」及び「白土以外の材料」の、別表三の1欄の一項ないし一〇項記載の期間ごとの量及びその費用は、同表の3欄ないし10欄の当該項に記載したとおりであることが認められる(千円未満又は一キログラ云未満の数値は四捨五入する。以下同じ。)。ところで、証人Eの証言(第一回及び第二回)によると、鬼首白土は油脂との親和性、粒度、硬度等からして合成樹脂用研磨材の原材料として非常にすぐれたものであることが認められるから、原告において昭和四一年二月一日以降これを原材料に使用した場合も、鬼首白土以外の白土を使用した場合の製造販売量と少なくとも同量の合成樹脂用研磨材を製造販売できたことは確実である。そして、その場合の原材料消費量は、総量としては同表4欄記載の数量と一致し、同表の14欄に移記したとおりとなるが、それを構成する「鬼首白土」と「その他の材料」の割合は、昭和三七年八月一日から昭和四一年一月三一日までの実績として同表の一項に記載した数量のとおり、一五〇、五五二対一六五、〇〇一となるものと推定することが相当である。そこで、この割合によつて同表の14欄の原材料総消費量を「鬼首白土」と「その他の材料」に分けると、同表の15欄及び16欄のとおりとなる。なお、以上に示した計算法によると、昭和四二年二月一日から昭和四九年七月三一日までの間に、原告は合計二九五、六六九キログラムの鬼首 「その他の材料」に分けると、同表の15欄及び16欄のとおりとなる。なお、以上に示した計算法によると、昭和四二年二月一日から昭和四九年七月三一日までの間に、原告は合計二九五、六六九キログラムの鬼首白土の乾燥粉末を消費することになるが、昭和四〇年一月一日現在少なくともこの程度の乾燥粉末を得るだけの鬼首白土が賦存したことは、前記一〇の1掲記の証拠によつて認めることができる。 2 そこで、次に、これらの原材料を求めるための費用が問題となる。「その他の材料」の費用は、同表の11欄に記載した各期間ごとの一キログラム当たり実績単価によつて計算することができ、同表の20欄記載のとおりとなる。「鬼首白土」の昭和三七年八月一日から昭和四一年一月三一日までの一キログラム当たり実績単価は、同表の5欄及び6欄記載の数値から二一・四二円であつたことが認められる。しかし、鬼首白土の単価も、昭和四一年二月一日以降は、同表の11欄に記載の「その他の材料」の実績単価と同に比率で上昇したものと推定するのが相当である(「その他の材料」の昭和三七年八月一日から昭和四一年一月三日までの単価を一〇〇とした場合のその後の単価指数は、同表の12欄記載のとおりである。)。 この比率によつて、昭和四一年二月一日以降の鬼首白土一キログラム当たり単価を推計すると、同表の19欄記載のとおりとなり、この単価によつて鬼首白土の費用を計算すると、同表の18欄記載のとおりとなる。したがつて、鬼首白土を使用できたとすれば、原材料費は、同表の18欄と20欄の金額を合算し17欄に記載した金額ですんだはずであるということができる。 3 原告が昭和四一年二月一日以降実際に支出した原材料費は、別表三の3欄の二項ないし一〇項のとおりであるからこの金額から同表の17欄の該当項記載の金額を差し引いた金額として同表の21欄 とができる。 3 原告が昭和四一年二月一日以降実際に支出した原材料費は、別表三の3欄の二項ないし一〇項のとおりであるからこの金額から同表の17欄の該当項記載の金額を差し引いた金額として同表の21欄に記載した金額が、同表の二項ないし一〇項の各期間ごとに生じたと認められる損害額である。すなわち、原告はこれだけの金額を原材料費として余分に支出しなければならなかつたのであり、同額の利益を逸失したことになる。ところで、原告は被告局長の不法行為により昭和四〇年一月一日から鬼首白土の採掘を妨げられたのであるから、同日をもつて被告国に対する損害賠償債権が発生したと考えられる。そこで、同表21欄に記載した金額の同日現在の価額を年五分のホフマン法により計算すると、同表の22欄記載のとおりとなり、合計五、九一八、〇〇〇円となる。この金額が、被告局長の不法行為により、原告に確実に発生したものと認められる損害額である。よつて、被告国は、原告に対し、右金額及びこれに対する昭和四〇年一月一日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払うべきである。 4 被告国は、原告が鬼首白土を使用したければ訴外Aらから購入すればよく、その努力をせずに被告国に対し鬼首白土を使用できなかつたことの損害を求めるのは理由がない旨主張するので、この点について検討するに、確かに証人Eの証言(第一回)によると、鬼首白土をめぐる原告と訴外Aらの争いが激化し、仮処分事件にまで発展した昭和三九年七月ころ、訴外Aらの代理人が原告に対し、鬼首白土の採掘は訴外Aらで行い、訴外Aらはその一部を原告に原価で譲渡する旨の和解案を提案し、原告がこれを拒絶した事実が認められる。しかし、これまで述べてきたところから明らかなように、原告において右和解案で妥協しなければならない理由は全くなく、また証人Eの 価で譲渡する旨の和解案を提案し、原告がこれを拒絶した事実が認められる。しかし、これまで述べてきたところから明らかなように、原告において右和解案で妥協しなければならない理由は全くなく、また証人Eの証言(第一回及び第二回)及び原告代表者尋問の結果によると、原告はそれまで使用してきた鬼首白土に代わるべき白土類を市場で求め、又は自ら採掘すべく必死の努力を重ねながら、鬼首白土と同質のものを求めることができなかつたことが認められ、原告において損害の発生を防止し、あるいは最小限に押えるための努力を怠つたものとはいえないから、被告国の右主張は理由がない。 一二結論よつて、原告の本訴請求は、本件処分の無効確認と、被告国に対し金五、九一八、〇〇〇円及びこれに対する昭和四〇年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条並びに民事訴訟法八九条及び九二条本文の規定を適用し、仮執行宣言の申立についてはその必要がないと認めてこれを却下することとし、主文のとおり判決する。 別表一~五(省略)

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