令和6年(わ)第262号、同第279号、同第307号 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 未決勾留日数中30日をその刑に算入する。 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は第1 令和6年5月18日午後5時55分頃から同日午後6時1分頃までの間、茨城県那珂郡(住所省略)にある当時の被告人方において、A(当時3歳)に対し、その頭部を手のひらで複数回たたくなどの暴行を加えた。 第2 同月19日午前7時50分頃から同日午前8時51分頃までの間、前記当時の被告人方において、A(当時3歳)に対し、その頭部付近を手のひら及び手の甲で複数回たたいた上、その背部を手のひらで1回たたき、その両足首をつかんで同人を逆さづりにして、そのまま同人をリビング壁面に投げつけ、その後、脱衣所に設置されていた全自動電気洗濯機の上で同人の腕を手でつかんで宙づりにしてから、その手を放して同人を同洗濯機の洗濯・脱水槽内に落とし入れ、同洗濯機のふたを閉じて同洗濯機の電源を入れ、同ふたを手で押さえつつ同洗濯機のスタート一時停止ボタンを押し、同洗濯・脱水槽底部の回転板を複数回回転させ、さらに、同洗濯・脱水槽内から同ふたを押し上げた同人を同洗濯・脱水槽内から持ち上げ、その足首をつかんで逆さづりにして同人を頭部から同洗濯・脱水槽内に押し込み、脱出しようとした同人が同洗濯・脱水槽内から出した手及び腕を同ふたで複数回たたきつけるなどし、その後、同洗濯・脱水槽内に同人が入っている状態で同ふたを閉じて、再び同スタート一時停止 ボタンを押して同回転板を複数回回転させた上、同ふたを手で押さえたり同ふたの上に座ったりするとともに、同 水槽内に同人が入っている状態で同ふたを閉じて、再び同スタート一時停止 ボタンを押して同回転板を複数回回転させた上、同ふたを手で押さえたり同ふたの上に座ったりするとともに、同洗濯機のふたロック機能を作動させて同ふたを自動施錠して同人を同洗濯・脱水槽内に閉じ込め、引き続き、同洗濯・脱水槽内に水を流入させながら同洗濯・脱水槽を回転させるなどの暴行を加え、同人を同洗濯・脱水槽内から脱出することを著しく困難にさせ、もって同人を不法に逮捕監禁し、その際、前記一連の暴行により、同人に全治約2週間を要する顔面皮下血腫、右背部線状挫創、下肢皮下血腫、左前腕線状皮下血腫、左第2指線状挫創等の傷害を負わせた。 第3 同日午前8時38分頃から同日午前8時51分頃までの間、前記当時の被告人方において、B(当時23歳)に対し、その背部を傘でたたく暴行を加え、よって、同人に全治約2週間を要する右側背部打撲・皮下出血の傷害を負わせた。 (量刑の理由)本件は、被告人が①当時の交際相手の連れ子である被害児童に暴行を加え(判示第1)、②同児童を洗濯機に閉じ込める逮捕監禁致傷の犯行を行い(判示第2)、③さらに同交際相手である被害者に対して傷害を負わせた(判示第3)事案である。 特に判示第2の逮捕監禁致傷の犯行は、当時3歳の被害児童を洗濯機に閉じ込めてこれを繰り返し作動させるという極めて危険なもので、同種事案と比べても悪質性は高い。被害児童は全身に多数の怪我を負っており、その幼い心身に与えた影響、被害児童が感じた恐怖や苦痛の大きさは察するに余りある。判示第1及び第2の犯行を通して、自分の思い通りにならない被害児童に対して一方的に怒りを募らせて暴力に訴えた被告人の意思決定は身勝手というほかなく、厳しい非難を免れない。 判示第3の傷害の犯行も、被 示第1及び第2の犯行を通して、自分の思い通りにならない被害児童に対して一方的に怒りを募らせて暴力に訴えた被告人の意思決定は身勝手というほかなく、厳しい非難を免れない。 判示第3の傷害の犯行も、被告人の被害児童に対する判示第2の犯行を止めようとした被害者に対して、傘でたたくという危険な方法で行われた悪質な犯行である。 そうすると、本件で被告人の刑事責任は重い。 一方で、被告人が事実を認めて反省の弁を述べていることに加え、被害者及び被 害児童との間で示談が成立して示談金として合計100万円を支払済みであることや、示談書の中で被害者が厳罰を望まないとしていることなど、被告人のために酌むべき事情も認められる。以上を踏まえると、被告人に対しては、今回に限り、社会内で更生する機会を与えるのが相当である。 ただし、被告人には暴力行為等処罰に関する法律違反、暴行の罪による罰金前科が1犯あり、これが平成27年3月の略式命令であることを踏まえても、この種事案に対する被告人の犯罪傾向は看過できない。そうすると、被告人の社会内での更生を確実なものとするためには、公的機関の指導監督が必要と考えられるから、上記執行猶予の期間中、暴力防止プログラム等の受講を義務付けることのできる保護観察に付することとした。 (求刑懲役2年6月)令和6年9月6日水戸地方裁判所刑事第2部 裁判官薦田淳平
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