主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人中道武美の上告趣意のうち、死刑に関して憲法九条、一三条、三一条、三六条違反をいう点は、死刑が所論憲法の各規定に違反しないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁、最高裁昭和二四年新(れ)第三三五号同二六年四月一八日大法廷判決・刑集五巻五号九二三頁)とするところであるから、所論は理由がなく、その余は、事実誤認、量刑不当の主張であって、いずれも適法な上告理由に当たらない。 また、記録を精査しても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない(本件は、建造物侵入罪による服役を終えて出所したばかりの被告人が、他人の住居に押し入って金員を奪い、家人を殺害して逃げるという強盗殺人の犯行を企て、これに使用する目的で刺身包丁を購入するなどした上、右出所の三日後である昭和六〇年一一月二九日の白昼、姫路市内の民家に押し入り、主婦A(当時三〇歳)から現金約四万二五〇〇円を強取し、さらに、右刺身包丁で、同女の長男B(当時三歳)の胸部、腹部、背部を多数回突き刺し、左側頸部を引き切って同児を殺害し、引き続き、手足を縛り付けるなどしたAの胸部、腹部等を多数回突き刺し、前頸部を引き切って同女を殺害し、さらに、再び右同様の強盗殺人を犯す目的で、果物ナイフを購入するなどした上、同年一二月三日の白昼、神戸市内のアパートに押し入り、右果物ナイフで、主婦C(当時三四歳)の胸部、背部を多数回突き刺し、右頸部を引き切って同女を殺害したが、金員を発見できず、金員強取の目的を遂げなかったという事案である。いずれも罪質は極めて悪質で、動機に酌量の余地はなく、あらかじめ凶器を準備携行するなど計画的犯行であって、犯行態様は極めて執ようかつ 金員を発見できず、金員強取の目的を遂げなかったという事案である。いずれも罪質は極めて悪質で、動機に酌量の余地はなく、あらかじめ凶器を準備携行するなど計画的犯行であって、犯行態様は極めて執ようかつ残虐であり、結果は重大である。以上の諸事情に加え、遺族の被害感情、社会に与- 1 -えた影響、前科関係等に照らすと、被告人が自首していること、被告人の生育歴、犯行時の年齢、被告人が現在は反省していることなど、被告人のためにしんしゃくすべき事情を十分考慮しても、被告人の罪責は誠に重く、原判決が維持した第一審判決の死刑の科刑は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。)。 よって、同法四一四条、三九六条により、主文のとおり判決する。 この判決は、裁判官大野正男の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。 裁判官大野正男の補足意見は、最高裁昭和六二年(あ)第五六二号平成五年九月二一日第三小法廷判決・裁判集刑事二六二号四二一頁における補足意見と同一であるから、ここにこれを引用する。 検察官泉川健一公判出席平成八年一二月一七日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官尾崎行信裁判官園部逸夫裁判官可部恒雄裁判官大野正男裁判官千種秀夫- 2 -
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