昭和58(行ツ)149 違法支出金補填請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和63年3月10日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 大阪高等裁判所 昭和57(行コ)70
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【DRY-RUN】主    文      原判決中被上告人B1、同B2に関する部分を破棄し、右部分に関する 第一審判決を取り消す。      上告人A1の被上告人B1に対する訴え及び上告人A2、同A3、同A 4の被上告

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主    文      原判決中被上告人B1、同B2に関する部分を破棄し、右部分に関する 第一審判決を取り消す。      上告人A1の被上告人B1に対する訴え及び上告人A2、同A3、同A 4の被上告人B2に対する訴えを却下する。      上告人A2、同A3、同A4の被上告人B3に対する上告を棄却する。      第一、二項に関する訴訟の総費用のうち、上告人A1と被上告人B1と の間に生じたものは同上告人の、上告人A2、同A3、同A4と被上告人B2との 間に生じたものは同上告人らの各負担とし、前項に関する上告の費用は上告人A2、 同A3、同A4の負担とする。          理    由  一 原審が適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。  (一) 被上告人B1(以下「被上告人B1」という。)は昭和五四年五月一九日 から昭和五六年五月一五日まで、被上告人B2(以下「被上告人B2」という。) は同年同月一六日からそれぞれ堺市議会の議長であり、被上告人B3(以下「被上 告人B3」という。)は昭和四七年一一月二六日から堺市の市長である。  (二) (1) 堺市の議会運営委員会(堺市議会の各会派ごとに選出された委員で 構成される委員会)は、全国市議会議長会議主催の昭和五五年度「東南アジア行政 視察」(東京、成田における打合せ会を含む。以下「本件(一)の旅行」という。) に堺市議会の議員を参加させるかどうかを正副議長に委ねることとしたので、被上 告人B1は、副議長と相談のうえ、議員六名を参加させることとした。そして、そ の具体的な参加議員については、各会派で調整して決定した。(2) 本件(一)の旅 行に要する旅費等の予算は同年度の一般会計補正予算に計上され、右補正予算は昭 和五五年九月二九日の本会議で可決された。そして、被上告人B3は、右旅費等を - 1 - 議会の議 た。(2) 本件(一)の旅 行に要する旅費等の予算は同年度の一般会計補正予算に計上され、右補正予算は昭 和五五年九月二九日の本会議で可決された。そして、被上告人B3は、右旅費等を - 1 - 議会の議員が職務を行うために要する費用の弁償として支出することとしたが、( ア) 本件(一)の旅行のうち国内旅行の分については、「経費支出原議書類」を作 成しなかつた。なお、被上告人B1は、被上告人B3の後記支出命令に先立ち、右 の旅行の「出張命令書」に押印した。(イ) 本件(一)の旅行のうち海外旅行の分 については、被上告人B3(ただし、堺市事務決裁規則二条(2)、五条による代決。) が、同年一〇月九日、出張者、出張先、期間のほか、報酬条例五条一項、九条、職 員給与条例三六条六項によつて算出された旅費等を記載した「経費支出原議書類」 について決裁をした。なお、被上告人B1は、同年同月一四日、右の旅行の「出張 命令書」に押印した。(3) その後、被上告人B3は、本件(一)の旅行の旅費等に つき、支出命令を発した。(4) 堺市の収入役は、右の支出命令を受けて、旅費等 を支出した。(5) そして、堺市議会の議員六名は、同年同月七、八日及び二九、 三〇日打合せのため国内旅行をしたうえ、同年同月三〇日から同年一一月一〇日ま で東南アジアに旅行した(ただし、同年一〇月七、八日国内旅行をしたのは堺市議 会の議員一名のみである。)が、本件(一)の旅行の旅費等として堺市の公金三七八 万五〇〇〇円が支出された。  (三) (1) 昭和五六年度「堺市議会米国行政視察」(以下「本件(二)の旅行」 という。)は、昭和五六年七月二〇日開催された議員総会においてこれを実施する 旨及びその目的地、期間、人数(一二名)を決定した。しかし、その人選は正副議 長に一任されたので、被上告人B2は、副議長と相談のうえ、参加議 昭和五六年七月二〇日開催された議員総会においてこれを実施する 旨及びその目的地、期間、人数(一二名)を決定した。しかし、その人選は正副議 長に一任されたので、被上告人B2は、副議長と相談のうえ、参加議員一二名を決 定した。(2) 本件(二)の旅行に要する旅費等の予算はすでに同年度の一般会計当 初予算に計上され、右当初予算は同年三月三〇日の本会議で可決された。そして、 被上告人B3(ただし、前記(二)、(2)、(イ)と同じ代決。)は、右旅費等も議 会の議員が職務を行うために要する費用の弁償として支出することとし、同年一〇 月一九日、前記(二)、(2)、(イ)と同様の「経費支出原議書類」について決裁を - 2 - した。なお、被上告人B2は、同日、本件(二)の旅行の「出張確認書」に押印した。 (3) その後、被上告人B3は、本件(二)の旅行の旅費等につき、支出命令を発し た。(4) 堺市の収入役は、右の支出命令を受けて旅費等を支出した。(5) そし て、堺市議会の議員一二名は、同年同月二二日から同年一一月二日まで米国に旅行 したが、本件(二)の旅行の旅費等として堺市の公金八〇〇万四〇〇〇円が支出され た。  二 そこで、まず、職権をもつて、被上告人B1、同B2に対する訴えが適法で あるかどうかについて判断する。  地方自治法(以下「法」という。)の規定によると、普通地方公共団体の議会の 議長は、予算の執行に関する事務及び現金の出納保管等の会計事務を行う権限を有 しないし、普通地方公共団体の長が支出負担行為等予算執行に関する事務の権限を 委任する相手方としても予定されていない。現に本件においても、堺市財務会計規 則、堺市事務決裁規則等関係法令上堺市議会の議長に対し堺市長の有する予算執行 に関する事務の権限が委任されていたと見るべき根拠は存しない。  そして、本件の旅費等の支出手続 件においても、堺市財務会計規 則、堺市事務決裁規則等関係法令上堺市議会の議長に対し堺市長の有する予算執行 に関する事務の権限が委任されていたと見るべき根拠は存しない。  そして、本件の旅費等の支出手続は原審の確定した前記事実関係のとおりである から、右事実関係のもとにおいては、堺市議会の議長が本件旅費等の支出に関し支 出命令はもちろん支出負担行為等の財務会計上の行為を行う権限を有していたと解 することはできないし、現実にそのような権限を行使したとみることもできない。 けだし、本件(一)の旅行のうち海外旅行及び本件(二)の旅行の各支出負担行為は、 前記「経費支出原議書類」の決裁(代決)によつてされたと解されるし、本件(一) の旅行のうち国内旅行の支出負担行為は、堺市財務会計規則四六条一項、四項の趣 旨によれば、支出命令と同時にされたと解されるからである。原判決は、被上告人 B1が本件(一)の旅行について「出張命令書」に、被上告人B2が本件(二)の旅行 について「支出確認書」にそれぞれ押印したことをもつて支出負担行為をしたと解 - 3 - しているが、右はいずれも堺市議会の議長の事務の統理権(法一〇四条)に基づく 行為であつて、財務会計上の行為に該当するということはできない。  しかして、法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」とは、当該訴訟におい て適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有すると されている者及びその者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至つた 者をいうところ(最高裁昭和五五年(行ツ)第一五七号同六二年四月一〇日第二小 法廷判決・民集四一巻三号二三九頁参照)、以上検討したところによれば、堺市議 会の議長は、本訴において上告人らが違法と主張している公金の支出をする権限を 全く有しないのであつて、結局、堺市議会の議長は、本件に 決・民集四一巻三号二三九頁参照)、以上検討したところによれば、堺市議 会の議長は、本訴において上告人らが違法と主張している公金の支出をする権限を 全く有しないのであつて、結局、堺市議会の議長は、本件においては、法二四二条 の二第一項四号にいう「当該職員」に該当しないというべきであるから、前記各訴 えは、法によつて特に提起することが認められた住民訴訟の類型に該当しない訴え として、不適法というほかない。そうすると、これと異なる見解に立つて、前記各 訴えを適法とした原審及び第一審の判断は法令の解釈、適用を誤つたものであり、 その違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、原判決を破棄して、第一 審判決を取り消したうえ、前記各訴えを却下すべきである。  三 次に、被上告人B3に対する請求について検討する。  上告代理人水野武夫、同平松耕吉、同金子武嗣、同池田啓倫、同北山陽一の上告 理由について  普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の議決機関として、その機能 を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有し、合理的な必要性があるとき はその裁量により議員を海外に派遣することもできるというべきところ、原審の確 定した前記事実関係のもとにおいては、本件(一)の旅行について堺市議会の議会運 営委員会(及び同市議会の正副議長)が、本件(二)の旅行について同市議会の議員 総会がそれぞれした本件議員派遣決定に違法なところはないとして、上告人A2、 - 4 - 同A3、同A4の本訴請求を排斥した原審の判断は正当として是認するに足り、原 判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。  四 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八 四条、九六条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判 決する。      最高裁判所第一小法 きない。  四 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八 四条、九六条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判 決する。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    四 ツ 谷       巖             裁判官    角   田   禮 次 郎             裁判官    高   島   益   郎             裁判官    大   内   恒   夫             裁判官    佐   藤   哲   郎 - 5 -

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