平成14(ワ)28671等 退職金請求

裁判年月日・裁判所
平成17年4月27日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-34608.txt

判決文本文55,374 文字)

- 1 -主文【甲事件】 被告は,原告らに対し,金3344万3569円及びこれに対する平成15年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告らに対し,平成13年10月31日から本判決確定の日まで,毎月末日限り1か月金120万円及びこれに対する各支払期日の翌日(毎月1日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らの被告に対する本判決確定の日から毎月末日限り金120万円の割合による金員の支払を求める部分を却下する。 原告らのその余の請求(退職金支払請求)を棄却する。 【乙事件】 原告らは,被告に対し,各金5002万7500円及びこれに対する平成13年10月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 【丙事件】 参加人らの原告ら及び被告に対する請求をいずれも棄却する。 【訴訟費用・仮執行宣言】 訴訟費用は,甲,乙,丙事件を通じこれを7分し,その3を原告らの負担とし,その3を被告の負担とし,その余を参加人らの負担とする。 この判決は,主文第1項,第2項(ただし,平成13年10月31日から同17年3月31日までの間の部分に限る,第5項に限り仮に執行することができる。 )事実第1請求【甲事件】 被告は,原告P1に対し,金1億円及びこれに対する平成13年10月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(予備的請求として,被告は,原告らに対し,金1億円及びこれに対する平成13年10月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え)。 被告は,原告らに対し,金3344万3569円及びこれに対する平成15年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告らに対し,平成13年10月31日から本判決確定の日まで,毎月末日限り1 ,金3344万3569円及びこれに対する平成15年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告らに対し,平成13年10月31日から本判決確定の日まで,毎月末日限り1か月金120万円及びこれに対する各支払期日の翌日(毎月1日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告らに対し,本判決確定の日から,毎月末日限り金120万円の割合による金員を支払え。 【乙事件】原告らは,被告に対し,各金5002万7500円及びこれに対する平成13年10月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 【丙事件】 参加人P2と被告との間において,被告の請求(乙事件)にかかる債権のうち,金8095万5000円は参加人P2が有することを確認する。 - 2 - 参加人P3と被告との間において,被告の請求(乙事件)にかかる債権のうち,金1550万円は参加人P3が有することを確認する。 原告らは,参加人P2に対し,各金4047万7500円及びこれに対する平成13年10月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らは,参加人P3に対し,各金775万円及びこれに対する平成13年10月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2当事者の主張【事案の概要】 甲事件甲事件の請求は,2つに大別される。第1の請求は,退職金支払請求である。 ,(「」すなわち被告の経営する神奈川県横浜市<以下略>所在のα病院以下α病院という)において昭和43年12月から事務長として働いていた故P4(以下「亡P4」という)が平成13年10月5日に死亡し,亡P4の地位を相続したその妻子である原告らが,被告に対し,退職金の支払を請求をした事案である(以下「本件退職金請求事件」という。第2の請求 (以下「亡P4」という)が平成13年10月5日に死亡し,亡P4の地位を相続したその妻子である原告らが,被告に対し,退職金の支払を請求をした事案である(以下「本件退職金請求事件」という。第2の請求は,賃料支払請求である。亡P4は,別紙物件目)録記載1及び2の各土地の持分2分の1(以下,2筆の土地を併せて「本件土地,」持分を「本件土地持分」という)を所有していたところ,これを,被告に対し,α病院の敷地として賃貸していたと主張して,亡P4の相続人である原告らが,被告に対し,亡P4死亡時までの未払賃料3344万3569円及び平成13年10月分以降月額120万円の割合による賃料並びに遅延損害金の支払を請求した事案である(以下「本件賃料請求事件」という。 ) 乙事件本件は,被告が,亡P4の相続人である原告らに対し,亡P4がα病院の事務長として働いていた間に,被告の妻子である参加人らの給与・賞与の名目でα病院から支出した金員を着服したと主張して,不法行為責任に基づく損害賠償を請求している事案である(以下「本件給与着服金返還請求事件」という。 ) 丙事件本件は,参加人らが,本件給与着服金返還請求事件で被告が原告らに返還を求めている金員は,参加人らの被告に対する給与支払請求権又は被告の事業に従事したことの対価としての支払請求権であり,被告に対しては当該請求権が参加人らに帰属することの確認を,亡P4の相続人である原告らに対しては亡P4が本来参加人らに帰属する前記給与等を着服したとして,不法行為又は不当利得に基づき,当該金員の返還を求めて独立当事者参加申立てをしている事案である(以下「本件独立当事者参加申立事件」という。 )【本件退職金請求事件】 請求原因(),,, 亡P4は昭和43年12月から平成13年10月までの間被 加申立てをしている事案である(以下「本件独立当事者参加申立事件」という。 )【本件退職金請求事件】 請求原因(),,, 亡P4は昭和43年12月から平成13年10月までの間被告に雇用され被告の経営するα病院(病床数61,総合・救急病院)の事務長として勤務した。 (2)亡P4は,平成13年10月5日,死亡した。 (3)退職金支払請求権の発生根拠- 3 -ア就業規則に基づく請求(ア)就業規則の内容α病院の就業規則には,次の規定が設けられている。 第43条乙(α病院の従業員を指す,以下同じ)の退職金は,別に定める賃金・退職金規程により支給する。 第49条乙が次の各号の一に該当するに至ったときは,その日を退職の日とし,乙としての地位を失う。 死亡したとき2,3省略付則 この規則は平成9年4月1日から実施する。 この規則の施行とともに就業規則(昭和46年8月実施)は,これを廃止する。 省略 この規則には次の規定が付属する。 ◎賃金・退職金規程(イ)被告(α病院)は,所轄の労働基準監督署に対し,就業規則に付属するとされている賃金・退職金規程を届け出ていない。 (ウ)しかし,α病院では「基本給×(勤続年数-3年)×0.7」という退,職金算定式(以下「本件退職金基本算定式」という)が長年にわたって採用されている。そうだとすると,本件退職金基本算定式に,α病院の就業規則に付属する「退職金規程」としての効力を認めるのが相当である。 (エ)具体的金額亡P4の死亡直前である平成13年9月当時の基本給は月額380万円であった。そして,亡P4の勤続年数は,前記(1)のとおり32年10か月であり,年未満を四捨五入すると33年,切り捨てすると32年となる。勤続33年として本件退職金基本算定式を適用すると 380万円であった。そして,亡P4の勤続年数は,前記(1)のとおり32年10か月であり,年未満を四捨五入すると33年,切り捨てすると32年となる。勤続33年として本件退職金基本算定式を適用すると,亡P4の退職金は7980万円となり,勤続32年とすると7714万円となる。 イ慣行ないし条理に基づく請求(ア)退職金α病院においては,本件退職金基本算定式,すなわち「基本給×(勤続年,).」。 数-3年×07という基準で退職金を支払う明確な慣行が存在していたしたがって,この慣行に基づけば,亡P4の退職金額は,前記ア(エ)記載のとおりとなる。 (イ)特別加算金a条理に基づく請求亡P4は,α病院の設立以来,事務長という重要な地位にあって同病院の発展に大きく貢献し,自宅の土地建物といった重要な個人的財産まで被告が- 4 -α病院の経営資金を金融機関から借り入れる際の担保として提供し,絶えず自己の財産を喪失する危険を負担していた(物上保証分だけでも16億75)。 ,00万円にも上っている以上の亡P4の被告に対する貢献を考慮すると条理上,通常の退職金に加え,少なくとも5000万円の特別加算金が支払われて然るべきである。 b慣行に基づく請求α病院では,退職者の状況によって,本件退職金基本算定式から算出された退職金額を大幅に増額して支払うこと(特別加算)が慣行となっていた。 前記aのとおり,亡P4は被告のために自宅等を担保提供していた。すなわち,亡P4による担保提供がなければ,被告は信用保証協会等に保証料を支払って金融機関から借入を行わざるを得なかったと考えられるところ,被告は,そうした年間保証料を数十年間にわたって免れてきたことになるので,これを特別貢献の一つとして考慮すべきである。そして,信用保証協会等の一般的な年間保証 わざるを得なかったと考えられるところ,被告は,そうした年間保証料を数十年間にわたって免れてきたことになるので,これを特別貢献の一つとして考慮すべきである。そして,信用保証協会等の一般的な年間保証料は信用供与額の約1パーセントであるから,被告は,年間約1600万円の保証料を数十年間にわたって免れてきたことになる。そうだとすると,慣行に基づく亡P4の特別加算金は,少なくとも5000万円を下ることはない。 ウ不法行為に基づく損害賠償仮に上記ア,イのいずれの主張も認められないとしたならば,原告らは,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているというべきである。 なぜなら,被告は,前記ア(ア)記載のとおり,あたかも一定の退職金を支払うかのような労働条件を提示しておきながら,具体的な「退職金規程」を作成しないまま長期にわたってこれを放置しておいたという過失によって,亡P4はその退職金及び特別加算金支払請求権を不当に侵害されたからである。 (4)退職金及び特別加算金支払請求権の帰属主体ア死亡による従業員の使用者に対する退職金及び特別加算金支払請求権は遺産とみるべきではない。したがって,亡P4が死亡したことによる被告に対する退職金及び特別加算金支払請求権は,亡P4の配偶者である原告P1に帰属する。 イ仮にアが理由がない場合,原告らは,前記(3)の退職金及び特別加算金支(,)。 払請求権を相続した原告P1は亡P4の妻原告P5は亡P4の子である(5) 結論 よって,主位的に,原告P1は,被告に対し,退職金及び特別加算金支払請求権に基づき,1億円(一部請求)及びこれに対する亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。また,予備的に,原告らは,被告に対し,退職金 ,1億円(一部請求)及びこれに対する亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。また,予備的に,原告らは,被告に対し,退職金及び特別加算金支払請求権に基づき,1億円(一部請求)及びこれに対する亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 請求原因に対する認否- 5 -(1)請求原因(1)のうち,亡P4が昭和43年12月から平成13年10月までの間病床数61,総合・救急病院であるα病院の事務長の地位にあったことは認めるが,その余は否認する。亡P4は,α病院の事務長として同病院の実質的な経営を行う地位にあったものであり,労働者には該当せず,退職金を受領することができる地位にはなかった。 [原告ら]被告は,亡P4と被告との間の雇用契約を認めていた(被告の平成)。 ,15年3月26日付け第1準備書面1頁被告のこの点に関する自白の撤回は真実に反し,錯誤もないことから許されない。 (2)同(2(亡P4が死亡した事実)は認める。 )(3)ア(ア)同(3)アのうち(ア(イ)は認めるが(ウ(エ)は否認する。 ,),)(イ)α病院には具体的な退職金規程は存在しない。 (ウ)仮に被告が原告らに対し退職金支払義務を負っているとしても,亡P4の基本給は異常に高額であり,380万円を基本給とするのは相当ではない。産労総合研究所の付属機関である病院経営情報研究所が平成12年3月に行った全国の病院(国立及び自治体立を除く)3400施設に対して行った退職金制度に関するアンケート調査の結果(有効回答施設103病院)より平均的な医療機関の退職金算定方法を導くことができる。この調査結果に基づくモデル退職金 自治体立を除く)3400施設に対して行った退職金制度に関するアンケート調査の結果(有効回答施設103病院)より平均的な医療機関の退職金算定方法を導くことができる。この調査結果に基づくモデル退職金集計結果一覧の「表3-3職種別にみた勤続年数別モデル退職金(200床未満」によれば,事務・大学卒35年)勤務の退職金算定基礎額は30万4800円となっており(甲4,この)額を亡P4の退職金算定に当たっての基本給とすべきである。そうだとすると,仮に被告が原告らに対し退職金支払義務を負っているとしても,その額は,618万5410円(30万4800円×(32-3)×0.7=618万5410円)である。 イ同(3)イ(ア(イ)はいずれも否認する。 ),,α病院には本件退職金基本算定式に基づき退職金を支給する慣行はないし特別加算金を支給する慣行もない。また,被告は,亡P4に対し,条理上,特別加算金を支払わなければならない義務など負っていない。 ウ同(3)ウは否認する。 α病院の就業規則は,退職金規程について特別の定めがなくとも労働基準監督署に受理されており,被告において退職金規程を定めていないことに違法な点はない。α病院において,退職金規程の作成等は,亡P4に任されていた事項であり,定めていないことの責任は亡P4にあり,被告には責任はない。 (4)ア同(4)アは否認する。 α病院には退職金規程は存在せず,このように退職金支払について具体的な定めのない場合に,死亡した従業員の退職金支払請求権がその配偶者に帰属するとする合理性は何ら存在しない。 イ同(4)イのうち,退職金及び特別加算金支払請求権が相続の対象になることは認めるが,その余は否認する。原告らが亡P4の地位を相続したか否かは知らない。 - 6 -(5)同(5)は争う。 抗弁( 4)イのうち,退職金及び特別加算金支払請求権が相続の対象になることは認めるが,その余は否認する。原告らが亡P4の地位を相続したか否かは知らない。 - 6 -(5)同(5)は争う。 抗弁(1)懲戒解雇事由が存在することによる支払拒絶ア亡P4は,平成2年1月から同13年9月までの間,参加人P2に対し給与,賞与名目で合計8095万5000円を支払うと称してα病院(被告)の金員を,,,,着服しまた同9年12月から同13年9月までの間参加人P3に対し給与賞与名目で合計1910万円を支払うと称してα病院(被告)の金員を着服した(着服合計額1億0005万5000円。 )イ亡P4は,平成2年から同12年までの間,α病院(被告)の資金を,事業主貸し名目で,別紙事業主貸一覧表記載のとおり,総額1億9215万6651円着服横領した。 ウ支払拒絶の根拠(ア)退職金規程がない場合にも,懲戒解雇事由が存在するときには,退職金を支払わないとするのが合理的である。 (イ)雇用契約終了後であっても,労働者に懲戒解雇事由があることが判明した場合には,使用者は,退職金を支給しないとすることができる。 (ウ)労働者において,懲戒解雇事由があるのに,雇用契約終了後に退職金の支払を請求することは権利の濫用として許されない。 (2)弁済ア亡P4は,α病院の従業員に対する死亡退職金制度を作っていた。 イ亡P4は,前記死亡退職金制度に基づき,平成9年4月1日,明治生命相互保険会社(以下「明治生命」という)との間で,被告を保険契約者,亡P4を被保険者,死亡時支払われる保険金2000万円とする保険契約を締結した。 ウ原告P1は,亡P4死亡に伴い,明治生命から,2000万円(現金1580万8973円,契約者貸付により385万6074円及びこれに対する利息 支払われる保険金2000万円とする保険契約を締結した。 ウ原告P1は,亡P4死亡に伴い,明治生命から,2000万円(現金1580万8973円,契約者貸付により385万6074円及びこれに対する利息は相殺された)の支払を受けた。 エ原告P1の前記ウの受給額は,亡P4の退職金に充当されるべきである。 抗弁に対する認否(1)抗弁(1)のアないしウはいずれも否認する。 亡P4には,被告が主張するような懲戒解雇事由は存在しない。 万が一,亡P4に懲戒解雇に相当する行為が存在したとしても,α病院においては,就業規則や退職金規程上に,懲戒解雇事由が存在した場合に退職金を支払わないとの定めは存在しないのであるから,亡P4の相続人において,退職金の支払を請求することが直ちに権利濫用として許されないものということはできない。 (2)抗弁(2)のうち,原告P1は,亡P4死亡に伴い,明治生命から,1580万8973円の支払を受けたことは認めるが,その余は争う。 明治生命からの保険金受給とα病院の退職金制度に基づく退職金受給とは無関係である。このことは,本件退職金基本算定式に基づく亡P4の退職金額が明治生命からの支払保険金額と大幅に異なる額であることからも明らかである。 死亡保険金は,通常の定年退職の場合とは異なり,死亡という残念な形でやむを- 7 -得ず退職という形になった場合に,残された遺族に対し,より手厚い給付をすべき,,。 ,であるとの考慮から通常の退職金に加えて支払われるものであるしたがって遺族が保険会社から死亡保険金を受領したことによって,通常予定された本来の退職金額が減額されたり,充当されたりすることは,全く予定されていないし,充当する合理性もない。 【本件賃料請求事件】 請求原因(),,,,, 亡P4は平成9年1 された本来の退職金額が減額されたり,充当されたりすることは,全く予定されていないし,充当する合理性もない。 【本件賃料請求事件】 請求原因(),,,,, 亡P4は平成9年1月1日被告に対し本件土地持分を月額100万円期間3年,毎月末日までに翌月分を支払うとの約定で貸し渡した(以下「本件賃貸借契約」という。 )(),,。 本件賃貸借契約の賃料は平成10年1月以降月額120万円に増額された(3)亡P4は,平成13年10月5日,死亡した。原告P1は亡P4の妻であり,同P5は亡P4の子であり,原告らは,亡P4の地位を承継した。 (4)亡P4が死亡する前(平成13年10月5日)までの本件土地持分の賃料が,3344万3569円未払であった。 (5)被告は,原告らに対し,平成13年10月分以降の本件土地持分の賃料を支払っていない。 (6)原告らは,平成15年1月16日到達の本訴状で,前記(4)の未払賃料を支払うよう請求した。 (7)被告の本件賃貸借契約に基づく賃料支払の拒絶の意思は相当に強く,将来分の賃料支払についても被告の即時履行は期待できない状況にある。 (8)よって,原告らは,被告に対し,本件賃貸借契約に基づき,①平成9年1月1日から同13年10月5日までの間の未払賃料額である3344万3569円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である同15年1月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,②同13年10月31日から本判決確定日まで,毎月末日限り月額120万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,③本判決確,。 定日以降毎月末日限り月額120万円の割合による金員の支払をそれぞれ求める 請求原因に対する する各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,③本判決確,。 定日以降毎月末日限り月額120万円の割合による金員の支払をそれぞれ求める 請求原因に対する認否等(1)請求原因(1(2)は否認する。 )ア使用貸借契約の主張確かに,被告が,本件土地持分についての賃貸借契約書(甲10,以下「本件賃貸借契約書」という)に署名したことは事実である。しかし,被告が署名したときに,本件賃貸借契約書の手書き部分は,賃料部分を含め,何も記載されていなかった。しかも,その後,被告は,亡P4から,賃料額が幾らになったかの説明も受けていない。以上のとおり,亡P4と被告との間で,賃料を幾らにするかについての合意はされておらず,本件賃貸借契約についての合意は成立していない。亡P4と被告との間の本件土地持分の利用に関する契約は,賃貸借契約ではなく,使用貸借契約である。 イ適正賃料額の主張- 8 -仮に,本件土地持分について,亡P4と被告との間で賃貸借契約が成立していたとしても,当該賃貸借契約は,それは賃料として適正な額を目的としたものと考えるべきであり,また権利金の授受がないことを前提としても適正な賃料は,月額金40万円とみるべきである。そして,被告は,これまで本件土地持分の固定資産税及び都市計画税を負担しており,平成13年当時のそれは月額21万8592円である。そうだとすると,被告が支払うべき賃料は,月額18万1408円(40万円-21万8592円=18万1408円)ということになる。 ウ自白の撤回について[原告ら]被告は,本件土地持分の利用に関する契約について,当初は,賃貸借契約であると認めていた。被告のこの点に関する自白の撤回は,真実に反し,錯誤もないことから許されない。 (3)同(3)のうち,原告 ]被告は,本件土地持分の利用に関する契約について,当初は,賃貸借契約であると認めていた。被告のこの点に関する自白の撤回は,真実に反し,錯誤もないことから許されない。 (3)同(3)のうち,原告らが亡P4の地位を承継したことは争い,その余は認める。 (4)同(4)は否認する。 (5)同(5(6)は認め,同(7(8)は争う。 )) 抗弁(1)錯誤ア本件土地持分の利用を巡る契約関係は,昭和46年ころまでは,使用貸借契約であった。 イ本件土地持分の利用を巡る契約関係が,使用貸借契約から賃貸借契約に変更になったのは,昭和47,48年ころ実施された東京国税局直税部資料調査課(以下「資料調査課」という)の被告に対する所得税についての調査(以下「本件税務調査」という)のとき以降である。P6公認会計士(以下「P6会計士」という)及びP7税理士は,本件税務調査の際,被告に対し,本件土地持分の利用について,使用貸借契約にしておくと借地権価格(権利金)相当額の贈与があったと認定され,多額の贈与税が課されることになるので,当該贈与税の課税を免れるため「相当の地代」を支払うことにしてはどうかと助言し,被告は,これに従ったものである。 ウしたがって,仮に本件土地持分について賃貸借契約の合意があったとしても,当該合意は借地権相当額を対象とする贈与税の課税を免れるためという動機によるものであり,その動機は,税務の専門家であるP6会計士及びP7税理士からの上記に関する説明により表示されている。しかしながら,P6会計士及びP7税理士の上記説明は誤っており,本件土地持分の利用権限が使用貸借契約であることにより借地権価格相当額の贈与税を課税されるおそれはなかった。よって,仮に本件賃貸借契約の合意が成立していたとしても,被告が本件賃貸借契約の合意を本件土 件土地持分の利用権限が使用貸借契約であることにより借地権価格相当額の贈与税を課税されるおそれはなかった。よって,仮に本件賃貸借契約の合意が成立していたとしても,被告が本件賃貸借契約の合意を本件土地持分についてするについては,その意思表示の内容の重要な部分に錯誤があった。よって,本件賃貸借契約は錯誤に基づき合意されたものであり,無効である。 (2)賃料減額請求被告は,平成14年4月30日到達の書面で,原告らに対し,本件土地持分の適- 9 -正な賃料額は,月額40万円であると通知した。したがって,平成14年5月分以降の本件賃貸借契約の賃料は,月額金40万円に減額する旨の請求がされたものとみるべきである。 (3)相殺アα病院において,平成2年から同12年までの間,現金として持ち出された事業主貸し分及び預金から引き出された事業主貸し分から「院長より「事業主,」,借り「借入金院長」の事業主借り勘定で戻された現金を差し引いた額は,別」,紙事業主貸一覧表記載のとおり,合計4億4695万6651円である。 イ他方,被告が,平成2年から同12年までの間,事業主勘定から受領した金額は,別紙事業主貸一覧表記載のとおり,合計2億5480万円である。 ウ亡P4は,平成2年から同12年までの間,α病院(被告)の資金を事業貸し名目で,別紙事業主貸一覧表記載のとおり,合計1億9215万6651円(4億4695万6651円-2億5480万円=1億9215万6651円)を着服した。したがって,被告は,亡P4の相続人である原告らに対し,1億9215万6651円の損害賠償請求権を有している。 ,,,エ被告は平成16年3月30日の第9回弁論準備期日において原告らに対し上記損害賠償請求権をもって,原告らの本件賃貸借契約に基づく賃料請求権とその対当額 円の損害賠償請求権を有している。 ,,,エ被告は平成16年3月30日の第9回弁論準備期日において原告らに対し上記損害賠償請求権をもって,原告らの本件賃貸借契約に基づく賃料請求権とその対当額において相殺するとの意思表示をした。 抗弁に対する認否(1)抗弁(1)のうち,アは認めるが,イウは否認する。 ア被告は,本件土地持分に関する本件賃貸借契約の成立を認めており,錯誤の主張をすることは,自白の撤回に当たる。当該自白の撤回は,真実に反し,錯誤もないことから許されない。 イ被告は,昭和47年の本件税務調査の直後,本件土地持分の所有者であったP8(以下「亡P8」という)との間で,賃貸借契約を締結するに当たり「借地,権相当額を対象とする贈与税の課税を免れるという動機」を有していたと主張するが,そのような事実はなく,また,そのような動機は,亡P8,亡P4に対し表示されていない。 ウ被告が亡P8との間で本件土地持分に関する賃貸借契約を締結した時点ですら,その重要な部分についての錯誤すなわち要素の錯誤の事実は存在しない。ましてや,本件賃貸借契約について,錯誤などないことは明らかである。 エ被告は,昭和47年の本件税務調査の際のP6会計士及びP7税理士の贈与税に関する説明が誤りだったから,被告が動機の錯誤に陥り,それが平成9年1月1日ころ,亡P4との間で締結した本件賃貸借契約の意思表示の重要部分にあたるので,無効であると主張する。しかし,昭和47年の本件税務調査の錯誤が,約25年後の本件賃貸借契約締結の原因になっているとの両者間の因果関係は何も主張されておらず,被告の主張はその点でも理由がなく,失当である。 オP6会計士及びP7税理士の贈与税に関する説明が誤っていたという事実は存在しない。 (2)抗弁(2)のうち,被告から原告らに対 も主張されておらず,被告の主張はその点でも理由がなく,失当である。 オP6会計士及びP7税理士の贈与税に関する説明が誤っていたという事実は存在しない。 (2)抗弁(2)のうち,被告から原告らに対し平成14年4月30日に書面が送ら- 10 -れてきたことは認めるが,その余は争う。 ア被告が,原告らに対し,本件賃貸借契約について,賃料減額請求をした事実はない。 被告は,平成14年4月30日に原告らに対し到達した書面をもって,賃料減額請求の書面であると主張する。しかし,当該書面には「適正賃料額は月額40万円であることが判明しております」との記載があるのみで,どこにも減額を。 請求するとの主張は記載されていない。被告は,本件訴訟が提起されてから平成17年2月9日の第7回口頭弁論期日に至るまで,賃料額が予め確定していて,それを減額するという主張は一度として行っていない。 イ被告の賃料減額請求の主張は,仮に本件賃貸借契約が有効に成立していたとしても,減額を請求するという条件付きの請求である。ところで,賃料の減額請求,,。 権は単独行為である形成権であり民法の解釈上条件を付することができないよって,被告の本件賃料減額請求の主張は,無効である。 (3)抗弁(3)のうち,アないしウは否認し,エは認める。 亡P4が事業主貸し名目で支出された金員を着服横領した事実はなく,被告の抗弁(3)は,本件土地持分の賃料や退職金を支払うことを免れんがための被告の虚構である。被告は,亡P4が死亡し反論できないことをいいことに,亡P4が着服横領したとの主張を亡P4が亡くなった後相当期間が経過してから突然主張してきたものであって(被告の代理人が交代した後,平成16年3月29日付け被告準備書面8で初めて主張された,その主張がされるに至った経緯からしても,被告。) った後相当期間が経過してから突然主張してきたものであって(被告の代理人が交代した後,平成16年3月29日付け被告準備書面8で初めて主張された,その主張がされるに至った経緯からしても,被告。)の抗弁(3)は説得力を欠くものである。 再抗弁(抗弁(3)に対し-消滅時効)(1)事業主貸し等を記帳したα病院の総勘定元帳等は,すべてα病院の事務長室に保管されており,被告が自由にいつでも見ることができる状態にあった。また,被告は,毎年,自分の納税額に強い関心を持っており,確定申告書の内容について亡P4らから報告を受けていたところ,その中の貸借対照表には事業主貸しの残高が。 ,,。 明記されているしたがって被告は事業主貸し勘定の記載内容を認識していた(2)前記(1)によれば,被告は,α病院の総勘定元帳の事業主貸し勘定に「事業主へ」や「院長へ」等の記載が多数存在していることを認識しており,自分に身に覚えのない金員の支出がされていることを知れば,被告において経理担当者である亡P4の違法行為の存在を認識することは容易である。そうだとすると,亡P4がα病院の資金を事業主貸し名目で着服横領したことによる損害賠償請求権の消滅時効の起算点は,被告の総勘定元帳の事業主勘定に「事業主へ」や「院長へ」等の記載がされた時点か,遅くとも,当該年度分の確定申告書を作成した時点と解すべきである。 (3)以上によれば,前記3(3)ウ記載の損害賠償請求権は,各年度の確定申告書,。 を作成した時点から3年を経過したものについては時効完成期間が経過している(4)そこで,原告らは,平成17年2月9日の第7回口頭弁論期日において,被告に対し,時効を援用するとの意思表示をした。 再抗弁に対する認否- 11 -(1)再抗弁(1)のうち,事業主貸し等を記帳したα ,原告らは,平成17年2月9日の第7回口頭弁論期日において,被告に対し,時効を援用するとの意思表示をした。 再抗弁に対する認否- 11 -(1)再抗弁(1)のうち,事業主貸し等を記帳したα病院の総勘定元帳等は,すべてα病院の事務長室に保管されていて,被告が自由にいつでも見ることができる状態にあったこと,確定申告書の貸借対照表には事業主貸しの残高が明記されていることは認めるが,その余の事実は否認する。 (2)同(2)は否認する。 不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点は,被害者が損害を知ったときと解するのが相当である。これを本件についてみるに,被告が,亡P4の着服横領を知ったのは,平成13年10月25日以降である。すなわち,亡P4が死亡した後,同人に代わってα病院の事務を手伝うようになった被告の長女である訴外P9は,平成13年10月25日,P7税理士から,現金を袋詰めした給与袋を参加人ら2人の給与として2袋手渡された。これを契機に,訴外P9が被告の会計帳簿等を調査したところ,亡P4の着服横領が判明し,被告の知るところとなった。 (3)同(3)は争う。 (4)同(4)は認める。 【本件給与着服金返還請求事件】 請求原因(1)【本件退職金請求事件】抗弁(1)アと同じ(亡P4は,平成2年1月から同13年9月までの間,参加人P2に対し給与,賞与名目で合計8095万5000円を支払うと称してα病院(被告)の金員を着服し,また,同9年12月から同13年9月までの間,参加人P3に対し給与,賞与名目で合計1910万円を支払うと称してα病院(被告)の金員を着服した)。 (2)原告P1は亡P4の妻であり,同P5は亡P4の子であり,原告らは,亡P4の地位を承継した。 (3)よって,被告は,原告らに対し,不法行為に基づき,各500 病院(被告)の金員を着服した)。 (2)原告P1は亡P4の妻であり,同P5は亡P4の子であり,原告らは,亡P4の地位を承継した。 (3)よって,被告は,原告らに対し,不法行為に基づき,各5002万7500円及び亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 請求原因に対する認否(1)請求原因(1)は否認する。 (2)同(2)は認める。 (3)同(3)は争う。 抗弁(消滅時効)(1)参加人らに給与名目で支出したことを記帳したα病院の会計帳簿(総勘定元帳や賃金台帳等)は,すべてα病院の事務長室に保管されていて,被告が自由にいつでも見ることができる状態にあった。また,被告は,毎年,自分の納税額に強い関心を持っており,P6会計士,亡P4から確定申告書の内容について報告を受けて,,。 いたところ確定申告書には参加人らに対する給与賞与支払の記載がされているしたがって,被告は,参加人らに対し,給与,賞与名目で金員を支出していたことを認識していた。 (2)前記(1)によれば,被告は,α病院の総勘定元帳や賃金台帳,被告の確定申告書に,参加人らに対する給与,賞与の支払を示す記載がされていることを認識し- 12 -ており,自分に身に覚えのない金員の支出がされていることを知れば,経理を担当していた亡P4の違法行為の存在を認識することは容易である。そうだとすると,亡P4がα病院(被告)の資金を参加人らに給与,賞与支払名目で着服横領したことによる損害賠償請求権の消滅時効の起算点は,α病院の総勘定元帳又は賃金台帳に参加人らへの給与,賞与支払を示す記載がされた時点か,遅くとも,当該年度分の確定申告書を作成した時点と解すべきである。 (3)以上によれば,前記(2)の参加人 点は,α病院の総勘定元帳又は賃金台帳に参加人らへの給与,賞与支払を示す記載がされた時点か,遅くとも,当該年度分の確定申告書を作成した時点と解すべきである。 (3)以上によれば,前記(2)の参加人らに対し給与支払名目で着服横領したことを理由とする損害賠償請求権は,各年度の確定申告書を作成した時点から3年を経過したものについては,時効完成期間が経過している。 (4)そこで,原告らは,平成17年2月9日の第7回口頭弁論期日において,被告に対し,時効を援用するとの意思表示をした。 抗弁に対する認否(1)抗弁(1)のうち,参加人らに給与名目で支出したことを記帳したα病院の会計帳簿(総勘定元帳や賃金台帳等)がすべてα病院の事務長室に保管されていて,被告が自由にいつでも見ることができる状態にあったこと,確定申告書には参加人らに対する給与,賞与支払の記載がされていることは認めるが,その余の事実は否認する。 原告らは,被告が,α病院の総勘定元帳や賃金台帳,被告の確定申告書に参加人らへの給与支払を示す記載が存在していることを認識していたことを前提として,消滅時効の主張をしているが,そもそも,被告にはそのような認識がない。したがって,原告らの主張は,主張の前提を欠いており,理由がない。 (2)同(2)は否認する。 不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点は,被害者が損害を知った。 ,,,ときであるこれを本件についてみるに被告が亡P4の着服横領を知ったのは平成13年10月25日以降である。すなわち,亡P4が死亡した後同人に代わってα病院の事務を手伝うようになった被告の長女である訴外P9は,平成13年10月25日,P7税理士から,現金を袋詰めした給与袋を参加人ら2人の給与とし。 ,,て2袋手渡されたこれを契機に訴外P9が被告の会計帳 を手伝うようになった被告の長女である訴外P9は,平成13年10月25日,P7税理士から,現金を袋詰めした給与袋を参加人ら2人の給与とし。 ,,て2袋手渡されたこれを契機に訴外P9が被告の会計帳簿等を調査したところ亡P4がα病院(被告)の資金を,参加人らに対し給与,賞与を支払う名目で着服横領していることが判明し,被告の知るところとなった。 (3)同(3)は争う。 (4)同(4)は認める。 【本件独立当事者参加申立事件】 請求原因(1)参加人P2の原告らに対する損害賠償請求権ア参加人P2は,遅くとも平成2年ころ,被告ないしは被告の代理人である亡P4との間で,参加人P2が被告の経営するα病院の労務に服することを約し,被告は参加人P2に対して下記給与及び賞与を支払う旨の雇用契約を締結した。 記(ア)平成2年- 13 -1月分から3月分までの給与月額30万円4月分以降の給与月額45万円賞与(7月及び12月)153万円合計648万円(イ)平成3年分から同12年分まで給与月額45万円賞与(各年7月及び12月)157万5000円合計6975万円(ウ)平成13年1月分から9月分まで給与月額45万円賞与(7月)67万5000円合計472万5000円(エ)前記(ア)ないし(ウ)の合計8095万5000円イ仮に,被告と参加人P2との間に雇用契約が締結されていないとしても,参加人P2は,被告の事業自体に従たる立場で参加した(以下「事業専従者」という。 ),,,ウ参加人P2は平成2年1月から同13年9月までの間事業専従者として被告に助言するなどして稼働した。 エ参加人P2は,被告に対し,8095万5000円の賃金債権を有しているところ,亡P4は,前記賃金債権を自らのものとして,被告から受領 9月までの間事業専従者として被告に助言するなどして稼働した。 エ参加人P2は,被告に対し,8095万5000円の賃金債権を有しているところ,亡P4は,前記賃金債権を自らのものとして,被告から受領し,これを着服した。 ,,。 ,オ亡P4は平成13年10月5日死亡した原告P1は亡P4の妻であり同P5は亡P4の子であり,原告らは亡P4の地位を承継した。 (2)参加人P3の原告らに対する損害賠償請求権ア参加人P3は,遅くとも平成9年11月ころ,被告ないしは被告の代理人である亡P4との間で,参加人P3が被告の経営するα病院の労務に服することを約し,被告は参加人P3に対して下記給与及び賞与を支払う旨の雇用契約を締結した。 記(ア)平成9年12月分70万円(イ)平成10年分840万円(ウ)平成11年分1月分から3月分月額70万円4月分から12月分月額20万円(エ)平成12年分1月,2月分月額20万円3月分月額30万円(オ)平成13年4月分から9月分月額30万円(カ)前記(ア)ないし(カ)の合計1550万円- 14 -イ仮に,被告と参加人P3との間に雇用契約が締結されていないとしても,参加,,,。 人P3は被告の事業自体に従たる立場すなわち事業専従者として参加したウ参加人P3は,前記アの期間,α病院で医師として稼働した。 すなわち,α病院は,病床数61の総合病院である上,いわゆる救急病院であることから,入院患者の急変に当直医のみでは対応できない場合や当直の医師が当直を失念した場合に備えて,院長(被告)の息子である参加人P3は,被告から,自宅において常に待機することを指示されており,必要に応じてα病院において医療行為に従事した。また,参加人P3は,平成12年1月30日以降は,長野県にあ (被告)の息子である参加人P3は,被告から,自宅において常に待機することを指示されており,必要に応じてα病院において医療行為に従事した。また,参加人P3は,平成12年1月30日以降は,長野県にある北信総合病院に勤務していた時期を除いて,α病院まで車で5分から6分程度の距離にあるβに自宅があったことから,当直医が退勤した後,院長が出勤するまでの早朝にα病院に出勤し,医療行為に従事した。 エ参加人P3は,被告に対し,1550万円の賃金債権を有しているところ,亡P4は,前記賃金債権を自らのものとして,被告から受領し,これを着服した。 オ亡P4は,平成13年10月5日,死亡した。原告P1は亡P4の妻であり,同P5は亡P4の子であり,原告らは亡P4の地位を承継した。 (3)以上によれば,参加人P2は,原告らに対し,不法行為に基づき,損害賠償請求権として各4047万7500円及びこれに対する亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。なお,亡P4が参加人P2に対して,損害賠償債務を負わないとしても,亡P4は,法律上の原因に基づかず,参加人P2が得るべき利益を得ていたことになるから,参加人P2は,原告らに対し,不当利得返還請求権に基づき,前記と同額の金員の支払を求めることができる。そこで,参加人P2は,原告らに対し,前記金員の支払を求める。また,被告は,乙事件において,参加人P2の給与名目で支出した金員を自己の債権であるとして,原告らに対し,支払を求めているので,当該債権は,参加人P2に帰属することの確認を求める。 (4)また,参加人P3は,原告らに対し,不法行為に基づき,損害賠償請求権として各775万円及びこれに対する亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日 加人P2に帰属することの確認を求める。 (4)また,参加人P3は,原告らに対し,不法行為に基づき,損害賠償請求権として各775万円及びこれに対する亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を。 ,,,有するなお亡P4が参加人P3に対して損害賠償債務を負わないとしても亡P4は,法律上の原因に基づかず,参加人P3が得るべき利益を得ていたことになるから,参加人P3は,原告らに対し,不当利得返還請求権に基づき,前記と同額の金員の支払を求めることができる。そこで,参加人P3は,原告らに対し,前記金員の支払を求める。また,被告は,乙事件において,参加人P3の給与名目で支出した金員を自己の債権であるとして,原告らに対し,支払を求めているので,当該債権は,参加人P3に帰属することの確認を求める。 請求原因に対する認否(1)原告らの本案前の主張参加人らは,民事訴訟法47条1項が定める「訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者」又は「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であ- 15 -ることを主張する第三者」のいずれにも該当しない。したがって,本件独立当事者参加申立事件は,独立当事者参加の要件を欠いており,不適法というべきである。 (2)原告らの認否ア請求原因(1)アは否認する。 参加人P2が被告ないし亡P4との間で雇用契約を締結したことはない。このことは,被告が本人尋問の中で,参加人らとの間で,給料はいくらと決めたこともなく,雇うといったこともないと供述していることからも明らかである。 イ同(1)イは否認する。 前記アのとおり,被告が参加人らを雇うと言ったことも給与の額を決めたこともないと明言しているのに,被告と参加人らとの間で「被告の事業自体に従 ていることからも明らかである。 イ同(1)イは否認する。 前記アのとおり,被告が参加人らを雇うと言ったことも給与の額を決めたこともないと明言しているのに,被告と参加人らとの間で「被告の事業自体に従たる立場で参加」したことに対し,対価を支払うことの合意があったとは到底考えられない。よって,参加人P2が被告の事業専従者であるとの主張は理由がない。 ウ同(1)ウは否認する。 エ同(1)エは否認する。 亡P4が参加人P2の給与及び賞与を着服横領した事実はない。参加人P2の給与名目で支出された金員は,亡P4が被告に手渡していたと考えるのが最も理にかなっている。 オ同(1)オは認める。 カ請求原因(2)アは否認する。 参加人P3が被告ないし亡P4との間で雇用契約を締結したことはない。このことは,被告が本人尋問の中で,参加人らとの間で,給料はいくらと決めたこともなく,雇うといったこともないと供述していることからも明らかである。 キ同(2)イは否認する。 前記アのとおり,被告が参加人らを雇うと言ったことも給与の額を決めたこともないと明言しているのに,被告と参加人らとの間で「被告の事業自体に従たる立場で参加」したことに対し,対価を支払うことの合意があったとは到底考えられない。よって,参加人P3が被告の事業専従者であるとの主張は理由がない。 ク同(2)ウは否認する。 ケ同(2)エは否認する。 亡P4が参加人P3の給与及び賞与を着服横領した事実はない。参加人P3の給与名目で支出された金員は,亡P4が被告に手渡していたと考えるのが最も理にかなっている。 コ同(2)オは認める。 サ同(3(4)は争う。 )(3)被告の認否請求原因事実は争わない。 抗弁(原告ら)(1)参加人らの請求は,賃金債権を亡P4に不法に侵害されたというものであるところ, 2)オは認める。 サ同(3(4)は争う。 )(3)被告の認否請求原因事実は争わない。 抗弁(原告ら)(1)参加人らの請求は,賃金債権を亡P4に不法に侵害されたというものであるところ,参加人らの主張する賃金債権は,いずれも,支払期日から2年が経過している。 - 16 -(2)原告らは,平成17年2月9日の第7回口頭弁論期日において,参加人らの賃金債権は時効によって消滅したとして,時効を援用するとの意思表示をした。 抗弁に対する認否(1)抗弁(1)は争う。 参加人らは,本件独立当事者参加申立事件において,被告に対する給与,賞与支払請求権を請求の内容としているものではなく,被告から,支出された各給与,賞与相当額について,被告の原告らに対する損害賠償請求権が参加人らに帰属することを前提に,原告らに対し,各給与,賞与相当額の支払を請求しているのである。 したがって,原告らの抗弁は,参加人らの請求内容を誤解しており,主張自体失当である。 (2)同(2)は認める。 理由 第1本件退職金請求事件(甲事件の一部,本件給与着服金返還請求事件(乙事件,))本件独立当事者参加申立事件(丙事件)の成否について 判断の順序について前記「事実「第2当事者の主張」摘示の事実からも明らかなとおり,本件は,」多くの主張がされ,多くの争点が相互に絡み合っている。すなわち,原告らは亡P4の妻子(相続人)であるが,亡P4は被告に雇用されていたところ死亡により被告を退職したとして就業規則,慣行等を根拠に,被告に対し,本件退職金請求訴訟を提起している。これに対し,被告は,就業規則には退職金を支払う定めはなく,また,慣行等も存在しないとして退職金の支払を拒否している。そして,被告は,仮に退職金支払義務を負っていたとしても,亡P4は,参加人らに対し これに対し,被告は,就業規則には退職金を支払う定めはなく,また,慣行等も存在しないとして退職金の支払を拒否している。そして,被告は,仮に退職金支払義務を負っていたとしても,亡P4は,参加人らに対し給与及び賞与を支払うと称して被告から当該金員を支出させ,これを着服等しており,このような亡P4の相続人に対し退職金を支払う義務はなく,原告らの請求は権利濫用として許されないと主張している。さらに,被告は,亡P4が,参加人らに対し給与及び賞与を支払うと称して被告から支出させ,これを着服した金員の返還を求めている。他方,参加人らは,被告が原告らに対し支払請求をしている損害賠償債権は参加人らのものであるとして,被告に対し当該債権が参加人らに帰属することの確認を,原告らに対し当該債権額の返還請求をしている。 このような当事者相互の主張関係に照らすと,本件を判断するに当たっては,まず最初に本件退職金請求の成否を判断し,これを判断するなかで,亡P4が参加人らに対し給与及び賞与を支払うと称して当該金員を着服したかという点を検討し,併せて乙事件,丙事件の成否も判断するのが相当である。したがって,以下,この順序に従って判断することにする。 本件退職金請求事件の請求原因の成否について(1)請求原因(1(亡P4と被告との間の雇用契約)の成否)ア被告は平成15年3月26日付け第1準備書面では請求原因(1)の事実を認めていたが,同17年2月7日付け準備書面11において,否認に転じた。そこで,被告の前記自白の撤回が真実に合致しかつ錯誤によるものなのか否かについて検討する。 - 17 -イ亡P4,被告,参加人P2の関係について(,,,,,,, 証拠 甲18の1及び2同9乙18 101ないし113丙1被告,参加人P2)及び弁論の全趣 る。 - 17 -イ亡P4,被告,参加人P2の関係について(,,,,,,, 証拠 甲18の1及び2同9乙18 101ないし113丙1被告,参加人P2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)被告は,昭和33年3月,慶應義塾大学医学部を卒業し,同大学付属病院の医師として,主に整形外科の専門医として稼働していた。被告は,昭和35年6月,P10,亡P8の二女である参加人P2と結婚し,両者の間には長女P9(現姓○○,長男参加人P3,二女P11(現姓○○)がいる。ま)た,P10と亡P8の間には,参加人P2の他,姉P12(現姓○○,妹)P13(現姓○○,弟亡P4,妹P14(現姓○○)がいる(甲1,)。 乙18,33,101,被告【1頁,弁論の全趣旨)】(イ)被告は,昭和40年4月10日ころ,横浜市<以下略>の本件土地を購入し,同土地の売買代金の半分は参加人P2,亡P4の母である亡P8が負担したことから,被告及び亡P8が同土地の持分のそれぞれ2分の1を持つことになった(昭和42年7月14日にその旨の登記が経由されている,甲8の1及び2,乙33,被告【1頁。 】)(ウ)被告は,昭和43年ころ,慶應義塾大学医学部付属病院を退職し,本件土地上に建物を建て,病院を開業することにした。そこで,被告は,昭和43年11月25日,本件土地上に別紙物件目録記載3の鉄筋コンクリート造陸屋根4階建の病院を新築し,同年12月ころから,α病院を開設し,今日まで経営している(甲9,乙33,被告【1頁,弁論の全趣旨)。 】(エ)ところで,亡P8は,被告がα病院を開設するに当たり,被告に対し,当時,慶應義塾大学を卒業し,日産自動車の販売会社で自動車のセールスの仕事をしていた息子亡P4をα病院の事務長と 旨)。 】(エ)ところで,亡P8は,被告がα病院を開設するに当たり,被告に対し,当時,慶應義塾大学を卒業し,日産自動車の販売会社で自動車のセールスの仕事をしていた息子亡P4をα病院の事務長として使ってほしいと申し入れた。被告は,妻の母親の頼みでもあるし,亡P4は妻の弟に当たることから,亡P8の申し出を受け入れた。こうして,亡P4は,α病院が設立された昭和43年12月から死亡した平成13年10月5日までの間,α病院の事務長として,。 ,,,事務方の仕事の責任者として働いてきた具体的には被告は医療を担当し亡P4は,経理,資金繰り,職員の採用,給与の決定,計算等事務処理を担当し,被告は亡P4を信頼し,経理面の一切を任せ,亡P4死亡時まで同人のやることに口出しはしなかった。とはいえ,亡P4は,高価な医療器械を購入するに際しては,被告の許可を求めたりしていた(乙33,丙1,被告【1,。 9ないし11,21,35,41頁,参加人P2【1,3,4,29,33】頁,弁論の全趣旨)】(オ)また,α病院における賃金台帳によれば,平成2年1月から同13年9月までの間,亡P4に対し,他のα病院の従業員と同様の方法(基本給から社会保険料や税金を控除して支払う方法)で労務提供の対価としての「賃金」が支,()。 払われ社会保険料が控除された記載となっている乙102ないし113(カ)本件全証拠を検討するも,被告において,亡P4と被告との間の関係を雇用契約であることについて,認めると認否したことが,被告の錯誤に基づいての認否であると認めるに足りる証拠は存在しない(弁論の全趣旨。 )- 18 -ウ小括以上イの(ア)ないし(カ)で認定した事実によれば,被告はα病院の院長として同病院の経営に当たっているところ,義母の亡P8からの申し出 りる証拠は存在しない(弁論の全趣旨。 )- 18 -ウ小括以上イの(ア)ないし(カ)で認定した事実によれば,被告はα病院の院長として同病院の経営に当たっているところ,義母の亡P8からの申し出により亡P4をα病院の事務長として迎え入れたこと,被告は妻の弟であるということから亡P4を信頼し経理面の一切を任せたこと,とはいえ高価な医療器械の購入に際しては被告の許可を得た上で購入していること,被告の賃金台帳上では亡P4は従業員と同じ扱いとなっていたことなどを勘案すると,亡P4の地位は被告に従属する関係にあり,かつ,労務提供の対価として賃金の支払を受けていたとみるのが相当である。そうだとすると,亡P4と被告との間では雇用契約が締結されていたと認めるのが相当であり,被告の自白の撤回は真実に反し,錯誤もないというべきである。 以上によれば,請求原因(1)については自白が成立しているというべきである。 (2)請求原因(2(亡P4の死亡)は当事者間に争いがない。 )(3)請求原因(3(退職金請求権の発生根拠)の成否)ア就業規則に基づく請求(ア)原告らは,就業規則に基づき,亡P4の退職金の支払請求をする(請求原因(3)ア)ので,まず,この点から判断する。労働者が,就業規則に基づき,使用者に対し,退職金を請求することができるためには,使用者の就業規則に,退職金を支払う旨及び具体的な算定基準を記載した規定が存在し,当該就業規則の規定から従業員の具体的な退職金額を導くことができるようになっていなければならない。 (イ)これを本件についてみるに,請求原因(3)アの(ア(イ)の各事実)は当事者間に争いがない。すなわち,α病院の就業規則には,次の規定が設けられている。 第43条乙(α病院の従業員を指す,以下同じ)の退職金は,別に定める賃金・ 原因(3)アの(ア(イ)の各事実)は当事者間に争いがない。すなわち,α病院の就業規則には,次の規定が設けられている。 第43条乙(α病院の従業員を指す,以下同じ)の退職金は,別に定める賃金・退職金規程により支給する。 第49条乙が次の各号の一に該当するに至ったときは,その日を退職の日とし,乙としての地位を失う。 死亡したとき2,3省略付則 この規則は平成9年4月1日から実施する。 この規則の施行とともに就業規則(昭和46年8月実施)は,これを廃止する。 省略 この規則には次の規定が付属する。 ◎賃金・退職金規程- 19 -しかるに,被告(α病院)は,所轄の労働基準監督署に対し,就業規則に付属するとされている賃金・退職金規程を届け出ていない。 また,証拠(乙33,被告【1頁)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,】就業規則に付属するとされている退職金規程を文書等で規定しておらず,退職金規程を定めていないことが認められる。 (ウ)前記(イ)の事実に照らすと,被告は,就業規則に付属するとされている退職金規程を定めておらず,このため,就業規則から亡P4の退職金額を算出する。 ,,ことができないそうだとすると原告らの就業規則に基づく本件退職金請求はその余の点を判断するまでもなく理由がないというべきである。 イ慣行ないし条理に基づく請求【退職金】について(ア)原告らは,被告(α病院)においては,本件退職金基本算定式,すなわち,「基本給×(勤続年数-3年)×0.7」という基準で退職金を支払うとの慣行が存在していたと主張(請求原因(3)イ(ア)し,これに基づき本件退職金)請求をしているので,そのような慣行が存在するのか否かについて検討することにする。 (イ)証拠(甲4,乙113,証人P15)及び弁論の全趣旨によ 請求原因(3)イ(ア)し,これに基づき本件退職金)請求をしているので,そのような慣行が存在するのか否かについて検討することにする。 (イ)証拠(甲4,乙113,証人P15)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 a原告らが,被告(α病院)の退職金に関し,本件退職金基本算定式の存在を知ったのは,次のような事情からである。 原告らは,甲事件の訴状で,α病院では,具体的な退職金規程が所轄の労働基準監督署に届出られていなかったことから,α病院と同規模の病院における退職金算定式を参考に,亡P4の退職金を試算し,その額は,1億円を下らないとして,その支払を請求した。これに対し,被告は,平成15年3月26日付け第1準備書面で,原告らの病院の規模等を基準にα病院と類似の医療機関等の例に従って退職金額を算定する必要はないとして,α病院においては,勤続4年以上の従業員に対する退職金の支給額の算定に当たっては「基本給×,(勤続年数-3年)×0.7」に基づき支給されていた(ただし,全員に支給されていたわけではないこと,前記算定式の金額から1割減額されて支給された例等があるとの留保付き)との主張をした(被告の平成15年3月26日付け第1準備書面5頁,10頁等。その結果,原告らは,本件退職金基本算定)式の存在を知った(甲4,弁論の全趣旨)。 bまた,被告の事務主任であるP15は,被告が申請し採用された証人であるが,証人尋問の中で,従業員の退職金の算定について,亡P4から,次のようなことを聞いていると証言している。すなわち「4年以上勤めたら,3年差,し引きして1年というふうに計算すると聞いていますけれど「例えば20」,年勤めた人の場合は,3引くから17年「それに掛けるのは)1か月分の」,(給料ではないです,基本給です「手当てとか ,し引きして1年というふうに計算すると聞いていますけれど「例えば20」,年勤めた人の場合は,3引くから17年「それに掛けるのは)1か月分の」,(給料ではないです,基本給です「手当てとか入れない基本給です「基。」,。」,,. 。」,本給掛ける17年とか掛けてそれに07ってふうに聞いていましたと本件退職金基本算定式に従って,退職金を支払っていることを証言している。 - 20 -(証人P15【31,32頁)】c被告は,第6準備書面,第7準備書面,準備書面12を提出し,被告を平成2年から同13年までの間に退職した従業員合計25名の一覧表を提出してい,,。 ,るが確定版は別紙1のα病院退職金支給一覧表3のとおりである問題は当該一覧表が客観的事実を反映しているか否かである。当該一覧表の平成7年から同13年までの退職者(同表のP16からP17までの25名)については,被告の総勘定元帳の退職手当の項で,同表記載の退職金支給額が支払われているのが認められる。しかし,退職金を算出するに当たっては,入社年次が重要であることろ,これら退職者の入社時期が,当該一覧表記載のとおりであるか否かについては,本件全証拠を検討するも,これを認めるに足りる証拠は存在しない。したがって,別紙1のα病院退職金支給一覧表3記載の内容については,その証拠価値(証明力)を割り引いて考える必要がある(乙141。 の1ないし7,弁論の全趣旨)d仮に,被告提出の別紙1のα病院退職金支給一覧表3の記載が客観的に正しいと仮定したとして,退職した従業員の退職金が本件退職金基本算定式とどの程度一致しているか,どの程度乖離しているかをみたのが,別紙2「α病院退職金支給一覧表3」の検証表のとおりである。 当該検証表からは,次の事実が分かる。 ①平成2年か 金が本件退職金基本算定式とどの程度一致しているか,どの程度乖離しているかをみたのが,別紙2「α病院退職金支給一覧表3」の検証表のとおりである。 当該検証表からは,次の事実が分かる。 ①平成2年から同13年4月までの間に,被告を退職した従業員は,当該検証表記載のとおり合計36名である。 ②36名のうち,当該検証表追加番号1のP18は入社時期が,同追加番号3のP19は基本給が,同追加番号5のP20は入社時期,基本給が,同番号25のP17は退職時期,基本給がそれぞれ不明のため,退職金を算定するに当たって,本件退職金基本算定式を使用したか否かを検証する対象に含めることは不適当である。また,当該検証表番号15のP21も,勤続年数が2年しかなく,退職金支給対象とならないことから,本件退職金基本算定式を使用したか否かを検証する対象に含めることは不適当である。 ③36名のうち,当該検証表番号4のP22,同番号6のP23,同番号9のP24は,退職日前に退職金が支給されており,被告が開示している退職日等の基礎データの信用性には疑いが存在する。また,当該検証表番号16のP25については,退職日が平成11年12月となっているが,被告の平成13年の賃金台帳によればP25に対しては同年9月まで賃金が支払われており,同人の退職日には疑義が存在する。したがって,当該検証表番号4のP22,同番号6のP23,同番号9のP24,同番号16のP25の4名も,被告における退職金額を算定するに当たって,本件退職金基本算定式を使用したか否かを検証するに当たって対象に含めることは不適当である。 (乙113,弁論の全趣旨)④以上によれば,被告における退職金を算定するに当たって,本件退職金基本算定式を使用したか否かを検証するに際し,検証の対象に含めるのが適当,。 ,と思料さ である。 (乙113,弁論の全趣旨)④以上によれば,被告における退職金を算定するに当たって,本件退職金基本算定式を使用したか否かを検証するに際し,検証の対象に含めるのが適当,。 ,と思料されるのは前記36名から9名を差し引いた27名となるそして- 21 -27名のうち,13名が本件退職金基本算定式どおりの退職金の支給を受けている(ただし,勤続年数が1年に満たない部分は切り捨て。そして,残)り14名のうち,10名は,本件退職金基本算定式との誤差20%以下のものである。 (ウ)小括以上によれば,被告の退職金支給基準について本件退職金基本算定式が原告らに判明したのは被告からの主張がきっかけであること,被告が申請した証人P15(被告の事務主任)も被告の退職金は本件退職金基本算定式に従って算出していると証言していること,被告の主張がすべて正しいと仮定して,平成2年から同13年までの間に被告を退職した従業員27名のうち約半数の13名が本件退職金基本算定式どおりの退職金の支給を受けていること,残る14名のうち10名も本件退職金基本算定式と誤差20%の範囲内で退職金の支給を受けていること,本件退職金基本算定式どおりの退職金額にならないのは退職する際に被告からの給与の前借分その他被告に対する債務と相殺することが合意されたこともあり得ること(弁論の全趣旨)等を考慮すると,被告においては,退職する従業員に対し,本件退職金基本算定式,すなわち「基本給×,(勤続年数-3年)×0.7(勤続年数が1年に満たない部分は切り捨て)」という基準で退職金を支払う慣行が存在していたと推認するのが相当である。 (エ)亡P4の退職金の具体額a次に,被告において慣行となっていたと認められる本件退職金基本算定式に従った場合の亡P4の退職金の具体的金額について う慣行が存在していたと推認するのが相当である。 (エ)亡P4の退職金の具体額a次に,被告において慣行となっていたと認められる本件退職金基本算定式に従った場合の亡P4の退職金の具体的金額について検討する。 b前記(1(請求原因(1)によれば,亡P4は,昭和43年12月か))ら平成13年10月まで被告で勤務したこと,前記(ウ)によれば,被告の退職金算出に当たっては勤務年数が1年に満たない部分はこれを切り捨てて算出するのが慣行であったと認められる。そうだとすると,亡P4の退職金,。 を算出するに当たっては勤務年数を32年として計算するのが相当であるc証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によれば,亡P4は,被告から,平成13年9月当時月額380万円の給与を得ていたこと,380万円については基本給とその余の部分との区分がされていないことが認められる。そうだとすると,退職金算定に当たっての亡P4の基本給は,月額380万円であったと認めるのが相当である。 d以上の点を勘案して,慣行に基づく亡P4の退職金額を算出すると,7714万円ということになる。380万円×(32年-3年)×0.7=7714万円【特別加算金】について(ア)原告らは,被告(α病院)においては,退職金に加え特別加算金を支払うとの慣行があったと主張する。原告らは,当該慣行を根拠付けるものとして,別紙2「α病院退職金支給一覧表3」の検証表の番号1P16は本件退職金基本算定式から算出された額の約13.2パーセント増しの額が,同番号12のP26は約51.1パーセント増しの額が,同番号21のP27は50.0パ- 22 -ーセント増しの額が支給されていることを挙げる。 しかし,前記のとおり,本件退職金基本算定式から算出された額を上回る額が支払われているのは僅かに3名であり,しかも, のP27は50.0パ- 22 -ーセント増しの額が支給されていることを挙げる。 しかし,前記のとおり,本件退職金基本算定式から算出された額を上回る額が支払われているのは僅かに3名であり,しかも,P16の増加金額は10万円,P26のそれは2万6740円,P27のそれは9万2050円と比較的少額であり,特別の功労があったために加算したか否かは俄に判断し難いことが認められる(弁論の全趣旨。 )以上によれば,被告において,慣行により,退職した従業員に対し,特別加算金を支給するとの慣行があったと認めることは困難であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。したがって,慣行に基づく特別加算金の支払請求は,その余の点を判断するまでもなく理由がないというべきである。 (イ)次に,原告らは,亡P4は,α病院の設立以来,事務長という重要な地位にあって同病院の発展に大きく貢献し,自宅の土地建物といった重要な個人的財産まで被告がα病院の経営資金を金融機関から借り入れる際の担保として提供し,絶えず自己の財産を喪失する危険を負担していた(物上保証分だけでも16億7500万円にも上っている)として,条理に基づき,通常の退職金に加え,少なくとも5000万円の特別加算金が支払われて然るべきであると主張する。 確かに,前記(1)イ(エ)で認定した事実,証拠(甲6ないし9,16)及び弁論の全趣旨によれば,亡P4は,α病院の設立以来事務長の地位にあったこと,事務長在任中長年にわたって自宅の土地建物を被告の債務の担保として提供し,物上保証分だけでも16億7500万円を超えていること,亡P4による担保提供がなければ,被告は信用保証協会等に対し保証料を支払って金融機関等から借入れを行わざるを得ず,その場合の一般的な年間保証料は信用供与額の約1。 ,()(),パーセ と,亡P4による担保提供がなければ,被告は信用保証協会等に対し保証料を支払って金融機関等から借入れを行わざるを得ず,その場合の一般的な年間保証料は信用供与額の約1。 ,()(),パーセントであることが認められる他方前記 イエで認定した事実証拠(乙4,証人P6【26頁)及び弁論の全趣旨によれば,亡P4はα病院】の経理面の責任者であったところ,亡P4死亡時のα病院の負債額は約16億円の多大な額にのぼっていることが認められ,これらの点をも加味すると,被告において,亡P4に対し,退職金のほか,条理に基づいて,特別加算金を支払わなければならないとする合理的理由は見い出し難いというべきである。畢竟,原告らの主張は,独自の主張というべきであって,当裁判所はこれを採用することはできない。 ウ小括以上によれば,原告らの本件退職金請求は,慣行により退職金7714万円の支払を求める限度で理由がありその余の主張は理由がないというべきであるな,(お,原告らは就業規則に基づく請求,慣行・条理に基づく請求のいずれの請求も理由がないときに,不法行為に基づく請求をしているが,前記のとおり,慣行に基づく退職金支払請求が理由がある以上,不法行為に基づく請求は判断する必要がない。 。)(4)請求原因(4(退職金の帰属主体)について)ア原告らは,死亡により発生した従業員の使用者に対する退職金支払請求権は遺産として相続の対象とみるべきではなく,亡P4の配偶者である原告P1に帰属- 23 -すると解するのが相当であると主張する(請求原因(4)ア。 )確かに,就業規則に退職金の受領権者の定めがあるとか,慣行により受領権者が定まっているような場合には,これに従うのが相当である。しかし,本件全証拠を検討するも,死亡により発生した従業員の使用 。 )確かに,就業規則に退職金の受領権者の定めがあるとか,慣行により受領権者が定まっているような場合には,これに従うのが相当である。しかし,本件全証拠を検討するも,死亡により発生した従業員の使用者に対する退職金の受領権者を定めた規定又は慣行は存在しない。そうだとすると,亡P4の退職金支払請求権は亡P4の配偶者である原告P1に帰属するとの同人の主張は理由がなく,亡P4の被告に対する退職金支払請求権は亡P4の相続人に帰属すると解するのが相当である。 イところで,証拠(甲1,21ないし23)によれば,亡P4の相続人は,原告ら及びP28,P29,P30の5名であるところ,原告らを除く3名はそれぞれ亡P4の相続を放棄したことが認められる。そうだとすると,原告らが,亡P4の退職金をそれぞれ2分の1(7714万円÷2=3857万円)ずつ相続したということになる。 (5)請求原因のまとめ以上(1)ないし(4)の検討結果によれば,原告らの本件退職金請求は,原告らが被告に対し各3857万円及びこれに対する亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求部分は理由がないというべきである。 本件退職金請求事件の抗弁(1,乙事件,丙事件の成否について)(1)参加人らに対する給与及び賞与名下に支出された金員について(,,,, 証拠 乙102ないし113115ないし127128の4同129の1同130ないし133の各2,同134の1,同135及び136の各3,同13,,),。 7の1証人P7同P15及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められるア被告の賃金台帳によれば,参加人P2は,平成2年1月から同13年9月までの間,被告の の各3,同13,,),。 7の1証人P7同P15及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められるア被告の賃金台帳によれば,参加人P2は,平成2年1月から同13年9月までの間,被告の賃金台帳に登載され,合計8095万5000円が支給された記載となっている。また,被告の総勘定元帳の専従者給与の項には,参加人P2に対し,平成2年1月から同13年9月までの間,合計8095万5000円の給料及び賞与が支給された記載がされている。さらに,被告の平成3年度から同12年度の確定申告書によれば,参加人P2は被告の事業専従者として年間各697万5000円の金員が支払われている記載がされている(乙102ないし11。 3,115ないし127,128の4,同129の1,同130ないし133の各2,同134の1,同135及び136の各3,同137の1及び16,弁論の全趣旨)イ同様に,被告の賃金台帳によれば,参加人P3は,平成9年12月から同13年9月まで合計1910万円が支給された記載となっている。また,被告の総勘定元帳の専従者給与の項,被告の確定申告書にも,被告から参加人P3に対し被告の事業専従者として金員が支払われている旨の記載がされている(乙109。 ないし113,115,123ないし127,134の1,同135及び136の各3,弁論の全趣旨)ウ被告で働く従業員の給与は原則として,従業員が届け出た金融機関の取引口座- 24 -に振り込む方法で支払われ,被告に勤務して間がない従業員(取引口座が開設されていない)やどうしても現金払を希望する従業員に対しては現金を支給する方法が採られていた。参加人らに対する給与,賞与は,金融機関の取引口座への振り込みではなく,給料袋に現金を入れ,これに糊付けをし,交付する方法が採られている。亡P4から入 員に対しては現金を支給する方法が採られていた。参加人らに対する給与,賞与は,金融機関の取引口座への振り込みではなく,給料袋に現金を入れ,これに糊付けをし,交付する方法が採られている。亡P4から入院期間中,従業員への給与支払業務の委託を受けたP7税理士は,従来の方法を踏襲し,参加人らに対する給与名下の支払は,給料袋に現金を入れ,糊付けする方法を採った(証人P7【5,15頁,同P15【1。 】4ないし16頁,弁論の全趣旨)】エ以上の事実によれば,被告の資金から,平成2年1月から同13年9月までの間,参加人P2に支給するとして合計8095万5000円が支出され,また,平成9年12月から同13年9月までの間,参加人P3に支給するとして,合計1910万円が支出されたと認めるのが相当である。 (2)支出された金員の取得者ア前記(1)によれば,被告の資金から,参加人P2に支給するとして合計8095万5000円が,参加人P3に支給するとして1910万円の合計1億0005万5000円が支出されているところ,これらの金員は誰の手にわたっていたのかを検討する。 イ参加人らは,前記金員を取得していないと主張し,参加人らはこれに沿う供述(,,【,,】,【,】)。 ・陳述をする丙1 参加人P2 15頁同P3 8頁そこで,当該供述,陳述の信憑性について検討することにする。 証拠(甲15,乙97の12,同112,113,証人P7)によれば,次の事実が認められる。 (ア)P7税理士は,亡P4が病気入院中,亡P4に頼まれ,平成13年7月から9月分の被告従業員の給与支払業務を代行した。P7税理士は,参加人らに支給する予定とされた金員は,参加人らの銀行口座に振り込むことなく,給料袋に現金を袋詰めにしたが,参加人らには渡さな 3年7月から9月分の被告従業員の給与支払業務を代行した。P7税理士は,参加人らに支給する予定とされた金員は,参加人らの銀行口座に振り込むことなく,給料袋に現金を袋詰めにしたが,参加人らには渡さなかった(甲15,乙97の。 12,証人P6【1,2頁,同P7【1,5,14,15頁,弁論の全趣】】旨)(イ)P7税理士は,亡P4死亡後,被告の娘であるP9に対し,経理処理を引き継ぐ際,被告から参加人らに対し給与が支払われていると述べたところ,P9は「働いていないのに払うのはおかしい」と述べた(証人P7【6頁。 ,】)(ウ)参加人P3は,平成12年4月から同13年3月まで長野県の北信総合病院に勤務しているときも,被告で働いていないのに,被告の専業事業者として給与が支払われた形になっていたが,この間は参加人P3はα病院から給与の支給を受けていない(乙112,113,弁論の全趣旨。 )(エ)以上(ア)ないし(ウ)によれば,参加人らは,被告から事業専従者名下に支出された金員を受領していないとの供述は,前記(ア)ないし(ウ)の事実と矛盾がなく,信憑性があると認めるのが相当である。そうだとすると,参加人らに支給するとの趣旨で支出された金員は参加人らにはわたっていないと認めるのが相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。 - 25 -ウ参加人らが前記ア記載の金員を取得していないとすると,その金員は,誰にわたっていたのかが問題になる。この点に関し,原告らは被告にわたっていたと主張し,被告及び参加人らは亡P4が取得していたと主張するので,以下この点について判断する。 (ア)参加人らは被告の妻子であること,参加人らの支払は確定申告上は参加人らを被告の事業専従者として支払われていることは当事者間に争いがなく,また,弁論の全趣旨によれ 下この点について判断する。 (ア)参加人らは被告の妻子であること,参加人らの支払は確定申告上は参加人らを被告の事業専従者として支払われていることは当事者間に争いがなく,また,弁論の全趣旨によれば,往々にして,個人事業においては,事業主が節税の観点から家族の者を事業専従者にして資金を事業主ないしはその家族に留保させることがみられないではないことが認められる。このような点を考慮すると,被告から参加人らに支給したとして支出された金員は,被告が取得したとみられないではない。しかし,前記事情があるからといって,前記金員を被告が取得したと判断するのは早計である。被告の経理等を巡っては次のような事情があることを考慮すべきである。 (イ)すなわち,前記2(1)イ,3(1)ア(2)イで認定した事実,証拠,(,,,,,,,,,甲1 乙432の1ないし6同33丙1 証人P7被告参加人P2,同P3)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 a被告の経営するα病院は,昭和43年12月設立以来,医療行為については医師である被告が,病院の経理,資金繰り,職員の採用,給与の決定,計,。 ,算等事務手続は事務長である亡P4がそれぞれ分担遂行していた被告は義弟である亡P4を信頼し,α病院の経理面の一切を亡P4に任せ,亡P4のやることに口出しはしなかった。このため,被告はα病院の経理状況,財務状況を十分把握していなかった。 このことは,昭和45年ころから平成14年3月1日ころまで,α病院と会計,税務に関する顧問契約を締結していたP6会計士が,亡P4死亡後の平成14年10月18日,被告に宛てた手紙に次のような記載をしていることからも窺うことができる。 すなわち,P6会計士は,被告に対し「前事務長の死去から端を発し,, いたP6会計士が,亡P4死亡後の平成14年10月18日,被告に宛てた手紙に次のような記載をしていることからも窺うことができる。 すなわち,P6会計士は,被告に対し「前事務長の死去から端を発し,,,,病院の財務状況を目の当りにした院長をはじめご家族の方々が愕然とされその原因が経理全般を委ねていた前事務長にあり,非難の目がそこに向けられたとしても至極当然のことと思います。ましてや,P31家のご家族の方々は全く病院の財務状況を知らなかったのですから,むしろ想像だにしていなかったでしょうから尚更のことだと思います。これに対し,P4家サイドでは,このような結果をもたらしたことについて充分な理解が出来ていない所に問題がある様に思います。ただ,遺族の方々も病院の現状についてP31家のご家族の方々と同様にそれを知る立場にないことも事実です」と述。 。(()(),,,【,,べている前記2 イエの認定事実乙4 被告 11,20,21,33,35,41頁,弁論の全趣旨)】b参加人P2は,α病院の経営状態が悪いことに不審を抱き,平成5年終わり頃,亡P4に対し,病院の借入れや支出方法を明らかにしてほしいと詰問した。これに対し,亡P4は,平成5年末ないし同6年初めころ,メモを作- 26 -成し(乙32の1ないし6,これを被告を通じて参加人P2に交付した。 )仮に,被告が参加人P2に事業専従者名下に支出された金員を取得しているのなら,参加人P2(院長夫人)に月額40万円を支払っていることを当該メモに記載しても何ら不思議はないところ,当該メモには,月給として「P31(院長)手取り100万円」とだけ記載されており,当時,参加人P2の支給されていたとされる事業専従者の給与月額40万円の記載はされていない(前記 不思議はないところ,当該メモには,月給として「P31(院長)手取り100万円」とだけ記載されており,当時,参加人P2の支給されていたとされる事業専従者の給与月額40万円の記載はされていない(前記3(1)アの認定事実,乙32の1ないし6,丙1,参加人P。 2【8,9頁,弁論の全趣旨)】,,c参加人P3は長野県にある北信総合病院に勤務していた平成13年ころ被告から参加人P3に給与が支払われているとして,住民税の納付通知が郵送されてきた。被告から給与をもらっていない参加人P3は驚いて,亡P4に連絡したところ,亡P4は,α病院で処理すると答えた。亡P4は,その際,参加人P3に対し,参加人P3名下で支出した金員は病院の経費に使用していると述べた。参加人P3は,α病院のために使用しているのでは仕方ないと思い,自己への支払は要求しなかった(証人P7【10頁,参加。 】人P3【15,16頁,弁論の全趣旨)】d亡P4は,平成13年7月,病気で入院し,同年10月5日,病院で死去した。ところで,亡P4は,病気入院中,P7税理士に対し,α病院の従業員に対する給与の支払業務の代行を依頼した。P7税理士は,平成13年7月から9月分の被告従業員の給与支払に当たって,大部分の従業員の給与は銀行振り込みの方法で行ったが,参加人らに支給する予定とされた金員は,給料袋に現金を入れ糊付けし袋詰めにしたが,参加人らには渡さなかった。 参加人に支給する予定とされた金員は,参加人らは勿論,被告にもわたっていない(前記3(2)イの認定事実,甲1,15,証人P7【1,5,1。 4,15頁,被告【2,19頁,参加人P3【8頁,弁論の全趣旨)】】】eP7税理士は,亡P4死亡後の平成13年10月25日ころ,被告の娘であるP9に対し,経理処理を引き継ぐ際,被告から参 。 4,15頁,被告【2,19頁,参加人P3【8頁,弁論の全趣旨)】】】eP7税理士は,亡P4死亡後の平成13年10月25日ころ,被告の娘であるP9に対し,経理処理を引き継ぐ際,被告から参加人らに対し給与が支払われていると述べた。P9は,参加人P2がα病院で稼働している実績がないことから,参加人らに,被告からの給与を受領しているか確認したところ,参加人らは受領していないと答えた(前記3(2)イの認定事実,証。 人P7【1,6頁,弁論の全趣旨)】f参加人P2及び被告らは,前記eの直後ころ,P9から,参加人の給与及び賞与名下に被告から金員が支出されていること知らされ,当該事実を認識。 ,,,,したすなわち参加人P2被告夫婦は平成13年10月下旬ころまで被告の資産から参加人らの給与及び賞与の支払に充てるとして金員が支出されているのを知らなかった(前記3(2)イの認定事実,乙33,丙1,。 2,被告【2,32,33頁,参加人P2【18,20,39頁)】】(ウ)前記(イ)で認定した事実によれば,①α病院の経理一切は病院設立時から亡P4死亡時まで亡P4が取り仕切っており,被告はこれに関知していなかったこと,②このため,被告は,α病院の経理状況,財務状況を把握していな- 27 -かったこと,③亡P4は,平成5年末ないし同6年初めころ,参加人P2にα病院の借入れ,支出方法をメモで報告したが,その際,参加人P2に対し専従事業者名下に給与及び賞与を支出している事実を告げていないこと,④亡P4は,平成13年ころ,参加人P3から,同人に対する給与及び賞与名下に支出した金員の使い道について,病院の経費に使用していると述べたこと,⑤平成13年7月から9月分の参加人らに対する給与名下の金員は参加人,被告は取得していないこと, ,同人に対する給与及び賞与名下に支出した金員の使い道について,病院の経費に使用していると述べたこと,⑤平成13年7月から9月分の参加人らに対する給与名下の金員は参加人,被告は取得していないこと,⑥参加人らの給与・賞与名下に被告の資金が支出されているのを被告及び参加人P2が知ったのは平成13年10月下旬頃であることがそれぞれ認められ,これらの事実からは,参加人らの給与及び賞与名下に被告から支出された金員は,α病院の経理一切を取り仕切っていた亡P4が取得していたと推認するのが相当であり,当該推認を覆すに足りる的確な証拠は見当たらない。 (3)原告らが責任を負う相手方ア前記(2)によれば,亡P4は,平成2年1月から同13年9月までの間,参加人P2に支給するとして合計8095万5000円を,参加人P3に支給するとして1910万円をそれぞれ取得しているところ,本件全証拠を検討するも,,。 ,亡P4にはこれを自己のものとして保有しておく権限はないそうだとすると亡P4の地位を相続したものは,亡P4が取得した金員を返還する義務があるというべきである。そして,前記2(4)イによれば,原告らが亡P4の地位を相続したことが認められる。 以上によれば,原告らは,亡P4が参加人らの給与及び賞与名下に取得した金員合計1億0005万5000円の返還義務を負っているところ,返還義務の相手方は誰かということについて,被告は被告であると主張し(乙事件,参加人)らは参加人であると主張している(丙事件)ので,どちらに返還請求権が帰属するのかについて検討する。 イ参加人らに返還請求権が帰属するためには,参加人らと被告との間に雇用契約ないしは事業専従者として稼働することの合意がなければならない。 そこで,検討するに,参加人らが,真に,被告と雇用契約を締結しているか, らに返還請求権が帰属するためには,参加人らと被告との間に雇用契約ないしは事業専従者として稼働することの合意がなければならない。 そこで,検討するに,参加人らが,真に,被告と雇用契約を締結しているか,あるいは事業専従者として稼働することの約束があったなら,稼働の対価である給与,賞与の請求をするはずである。ところが,弁論の全趣旨によれば,参加人P2は,亡P4,被告に対し,労働の対価としての給与,賞与の請求をした形跡が窺われない。参加人P2はこれに反する供述をするが,実際に亡P4が死亡するまで1円の支給も受けていないこと,前記(2)ウ(イ)f認定のとおり参加人P2が自己宛の給与及び賞与が支出されているのを知ったのは平成13年10月下旬ころであることに照らすと,前記参加人P2の供述は採用することはできない。また,前記(2)ウ(イ)cによれば,参加人P3は,平成13年ころ,,,自分に対し給与及び賞与名下に被告の資金が支出されていることを知りながら亡P4に対し,自分の給与を支払うよう要求していないことが認められる。さらに,そもそも,使用者である被告は,本人尋問の中で,参加人らとの間で,給料はいくらとか,雇うとか言ったことは記憶にないと供述しているし(被告【36- 28 -頁,また,参加人P2も,給料のことなど何も決めたことはないし,亡P4】)から病院のこういう仕事をしてくれというふうに頼まれたこともないと供述している(参加人P2【17,18頁。 】)以上の事実に照らすと,被告ないしは被告の代理人である亡P4と参加人らとの間に雇用契約ないしは事業専従者として稼働するとの契約,これを認めるに足りる証拠は存在しないというべきである。そうだとすると,原告らが亡P4が取得した金員を損害賠償債務として返還しなければならない相手方は,自己の資産を 業専従者として稼働するとの契約,これを認めるに足りる証拠は存在しないというべきである。そうだとすると,原告らが亡P4が取得した金員を損害賠償債務として返還しなければならない相手方は,自己の資産を着服された被告であると認めるの相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。 (4)本件退職金請求事件の抗弁(1,乙事件,丙事件の帰結)ア乙事件,丙事件の請求原因の成否前記(3)を前提にすれば,被告は原告らに対し,損害賠償請求権として,各金5002万7500円及びこれに対する亡P4死亡の日の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を求めることができ(乙事件,参加人らの丙事件についての請求は理由がないという)ことになる(なお,原告らは丙事件について不適法であるとして訴え却下を求めるが,その請求は適法であるので,却下を求める部分は理由がない。 )イ消滅時効の成否(乙事件の抗弁)(ア)ところで,原告らは,乙事件において,被告の原告らに対する本件給与着服損害賠償債権は時効により消滅しているとして消滅時効を援用するので,その成否について判断することにする。 (イ)原告らは,参加人らに給与名目で支出したことを記帳したα病院の会計帳(),,簿総勘定元帳や賃金台帳等はすべてα病院の事務長室に保管されていて被告が自由にいつでも見ることができる状態にあったこと,被告の確定申告書には参加人らに対する給与支払の記載がされていることを理由に,消滅時効の起算点は,遅くとも,当該年度分の確定申告書が作成された時点と解すべきであると主張する。 確かに,被告がα病院の経理面にもタッチし,病院の会計帳簿の記載内容や確定申告書の記載内容を認識,把握し,これを検討していたのであれば,原告らの主張にも理由がある。 点と解すべきであると主張する。 確かに,被告がα病院の経理面にもタッチし,病院の会計帳簿の記載内容や確定申告書の記載内容を認識,把握し,これを検討していたのであれば,原告らの主張にも理由がある。しかし,前記(2)ウ(イ)で認定したとおり,被告はα病院の経理一切を亡P4に任せ,亡P4の行うことに口出しをしてこなかったこと,このため,被告が,亡P4の本件給与着服を知ったのは,平成13年10月下旬になってからであることが認められる。そして,被告が乙事件を提起したのは平成15年5月26日であることは当裁判所に顕著な事実である。 そうだとすると,被告の原告らに対する本件給与着服損害賠償債権は時効により消滅していないというべきであり,原告らの消滅時効の抗弁はその余の点を判断するまでもなく理由がない。 ウ本件退職金請求に対する支払拒絶事由の有無(本件退職金請求事件】の抗弁【(1))- 29 -,,,続いて原告らから被告に対する本件退職金支払請求について被告においてその支払を拒絶する事由が存在するか否かについて検討する。 従業員についての重大かつ悪質な事由が死亡退職後に見つかり,当該事由が従業員が死亡する前に発見されていれば,懲戒解雇処分されていたことが確実であるような場合には,死亡退職した従業員の相続人が使用者に対し,死亡退職金の支払を請求することは,権利の濫用としてこれを許さないことが公平正義にかなうものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに,亡P4は被告の事務長として被告の経理面一切を取り仕切っていたところ,その権限を濫用し,平成2年1月から同13年9月までの長期間にわたり,参加人らの給与,賞与支払名下に合計1億円を超える金員を着服したのであり,しかも,被告の平成13年当時の負債額は16億円にも上るものであること(前 平成2年1月から同13年9月までの長期間にわたり,参加人らの給与,賞与支払名下に合計1億円を超える金員を着服したのであり,しかも,被告の平成13年当時の負債額は16億円にも上るものであること(前記2(3)イ【特別加算金】(イ)で認定した事実)に照らすと,亡P4の相続人である原告らにおいて使用者である被告に対し亡P4の退職金の支払を請求することは権利の濫用として許されないものと解するのが相当である。よって【本件退職金請求事件】におけ,(),。 る抗弁1はその余の点を判断するまでもなく理由があるというべきである 小括以上2,3の検討結果によれば,原告らの被告に対する本件退職金請求(甲事件の)()一部及び参加人らの原告ら及び被告に対する本件独立当事者参加申立請求丙事件はいずれも理由がないから棄却するのが相当であり,被告の原告らに対する本件給与着服金返還請求(乙事件)は理由があるのでこれを認容するのが相当である。 第2本件賃料請求事件(甲事件の残部)の成否について 本件賃料請求事件の請求原因の成否について(1)請求原因(1(2(本件賃貸借契約締結)の成否))ア原告らは,請求原因(1)の本件賃貸借契約の締結について,被告はこれを自白しており,当該自白の撤回は,真実に反し,錯誤もないことから許されないと主張するので,まずこの点について判断する。 原告らは,被告が平成15年3月26日付け被告第1準備書面において「故,P4と被告との間で,平成9年1月1日から平成11年12月31日までの3年間の賃料を金100万円と定める旨の合意が成立したとの事実及び平成10年1月1日以降の賃料を1ケ月金120万円に変更する旨の合意が成立したとの事実は否認し,その余の事実(本件各土地につき故P4と被告との間で賃貸借契約が成立している事実) 成立したとの事実及び平成10年1月1日以降の賃料を1ケ月金120万円に変更する旨の合意が成立したとの事実は否認し,その余の事実(本件各土地につき故P4と被告との間で賃貸借契約が成立している事実)は認める」と陳述している点を捉え,自白が成立していると主張する。しかし,本件賃貸借契約の賃料は月額100万円又は120万円であるところ,被告はそのような内容の契約は締結したことがないと答弁しているのであって,賃貸借契約の本質的な要素である賃料について否認している以上,本件賃貸借契約を締結したことについての合意は成立していないと解するのが相当である。付言するならば,被告のいわんとすることは,亡P4と被告との間で本件土地持分に関し賃貸借契約の合意はあったが,それは,賃料を月額100万円あるいは120万円とするような高額な賃料を内容とする賃貸借契約ではないと- 30 -いう主張をしていると解するのが相当である。 イそこで,本件賃貸借契約の合意があったか否かについて検討することにする。 本件賃貸借契約の合意を証する最大の証拠は処分証書である亡P4と被告との間で作成された土地賃貸借契約書(甲10,以下「本件賃貸借契約書」という)である。そこで,以下,本件賃貸借契約書が真正に成立したものか否かについて検討することにする。 被告は,本件賃貸借契約書の成立につき,当該契約書を亡P4から見せられ,これに署名したことは認めるものの,署名した際,手書き部分(賃貸借契約の対象物件,期間,賃料額,支払方法)は記載されていなかったので賃料等は分からなかったと主張し,本人尋問の中でこれに沿う供述をし,当該契約書が真正に成立したことを争う(被告【9,25,26頁。そこで,被告の前記供述の信】)憑性について判断することにする。 証拠(甲10,12ないし14,被告)及び弁論 でこれに沿う供述をし,当該契約書が真正に成立したことを争う(被告【9,25,26頁。そこで,被告の前記供述の信】)憑性について判断することにする。 証拠(甲10,12ないし14,被告)及び弁論の全趣旨によれば,①本件賃貸借契約の表題は「土地賃貸借契約書」と大文字・太字で記載されており,賃貸借契約であることが認識できる体裁,記載となっていること,亡P4は被告に対し本件土地賃貸借契約の対象物件,賃料等を秘密にしておく必要はないこと,②他方,賃借人となる者も,通常は賃料,対象物が不明のまま契約書に署名することはないこと,③被告の会計帳簿上,平成9年1月以降は月額100万円,同10年1月以降は月額120万円が亡P4に対する賃料として支払われていること,これに対し,被告は何らの異議を留めていないこと,④被告の供述はやや曖昧で,確信を持っての供述とは言い難いこと(例えば「書き加えられた部分と,」,「。」いうのは書いてありましたかという質問に対し何も書いてなかったようにと答えるにとどまり(被告【9頁,また「不動文字,印刷されている部分は】),印刷されていたということでよろしいんですか」という質問に対し「そうで。 ,すね」と答え,続く「それ以外,手書きされている部分は書いてなかったと,,こういうふうになりますね」という質問に対し「はい,そうですね」と答え。 ,ている(被告【27頁,⑤被告は,平成15年3月26日付け第1準備書面】))では「本件賃貸借契約書に署名・押印したときには・・・」と,署名だけでな,く押印したことまで認めていたのが,本人尋問では一転して押印は否認する(被告【9頁)など一貫性を欠いていることが認められる。これらの事実に照らす】と,本件賃貸借契約書の成立についての被告本人の前記供述は信憑性に欠け,採 ていたのが,本人尋問では一転して押印は否認する(被告【9頁)など一貫性を欠いていることが認められる。これらの事実に照らす】と,本件賃貸借契約書の成立についての被告本人の前記供述は信憑性に欠け,採用することができない。そして,他に,本件賃貸借契約書が真正に成立したことを覆すに足りる証拠は存在しない。 ウ以上のとおり真正に成立したと認められる本件賃貸借契約書及び被告の会計帳簿の記載内容,被告の供述態度及び内容に,後記(2)で認定する本件賃貸借契約締結の経過等を併せ考慮すると,請求原因(1(2(本件賃貸借契約が成))立し,その後賃料が月額120万円になったこと)の事実があったと認定するのが相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。 (2)請求原因(3(賃貸人の地位の承継))請求原因(3)のうち,亡P4が平成13年10月5日に死亡したこと,原告P- 31 -1が亡P4の妻であり同P5が亡P4の子であることは当事者間に争いがなく,原告らが亡P4の地位を承継したことは既に前記第1の2(4)イで判示したとおりである。 以上によれば,請求原因(3)の事実を認めることができる。 (3)請求原因(4(亡P4死亡前までの未払賃料額)について)ア原告らは,亡P4の被告に対する本件賃貸借契約に基づく未払賃料は,亡P4が死亡した平成13年10月5日当時3344万3569円であったと主張するので,この点について検討する。 イ証拠(甲12ないし14,証人P6)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)原告らは,本件賃料請求事件を提起するに先立ち,被告に対し,本件土地持分の賃料債権を被保全債権とする債権仮差押えの申立てをした(当庁平成14年(ヨ)第2252号事件,以下「本件保全事件」という。被告は,本件)保全異議事件手続 起するに先立ち,被告に対し,本件土地持分の賃料債権を被保全債権とする債権仮差押えの申立てをした(当庁平成14年(ヨ)第2252号事件,以下「本件保全事件」という。被告は,本件)保全異議事件手続の際,原告らに対し,被告の平成10年11月4日から同12年4月5日までの間の未払費用勘定(甲12ないし14,以下「本件未払勘定」という)を提出した。本件未払勘定には,被告が亡P4を含めた第三者に対して負担している未払費用の増減の推移が記載されている(甲12ないし。 14,弁論の全趣旨)(イ)被告では,未払勘定において,各年度の1月1日時点での残高がその年度内にどのように返済されて減少していくのかの推移を記帳しているが,当該年度に新たに発生した未払費用については,その都度,未払費用勘定に記載するのではなく,当該年度末において未払であることが確定した費用をまとめて計上する方法を採用している。すなわち,被告では,未払費用勘定の次年度への繰越記帳については,前年度末における残高に,前年中に新たに発生した未払費用の総額を加算し,当年度初めにおける未払費用残高として記帳する方法を採っている。以上のことは,被告の本件未払勘定において,平成10年12月31日の次期繰越残高が2399万3418円と記載されているのに対し,同11年1月1日の前記繰越残高が6976万4277円と4577万0859円も増加して記載されていることからも明らかである。以上のような仕組みで記載されている本件未払費用勘定をみてみると,次のaないしdのようなことが分かる(甲12ないし14,証人P6【4ないし6頁)。 】a平成10年12月31日時点の未払費用残高2399万3418円のうち,亡P4の賃料未払債権626万8269円が含まれている(甲12にP 6268269と記載されている 【4ないし6頁)。 】a平成10年12月31日時点の未払費用残高2399万3418円のうち,亡P4の賃料未払債権626万8269円が含まれている(甲12にP 6268269と記載されている。そして,平成10年中に発生した)1440万円(120万円×12=1440万円)の賃料は,平成11年1月1日の前記繰越6976万4277円のなかに含まれていることになる。 以上によれば,平成11年1月1日現在の亡P4の被告に対する未払賃料額は2066万8269円(626万8269円+1440万円=2066万8269円)となる(甲12,証人P6【5,6頁)。 】b平成11年の未払賃料の増減状況- 32 -平成11年1月1日から同年12月31日までの間の本件未払勘定によれば,次の事実が分かる。すなわち,被告から亡P4に対し,平成11年1月5日から同年10月27日までの間に合計12回にわたって,合計1502万4700円が支払われている。他方,平成11年1月から同年12月までの間の賃料合計は1440万円であるから,平成12年1月1日時点では,次の計算式のとおり,未払賃料は2004万3569円になっていることが分かる(甲13,証人P6【6頁)。 】2066万8269円-1502万4700円+1440万円=2004万3569円c平成12年の未払賃料の増減状況平成12年1月1日から同年12月31日までの間の本件未払勘定の抜粋等からは,次の事実が分かる。すなわち,被告から亡P4に対し,平成12年1月13日から同年12月31日までの間に合計8回にわたって,合計720万円が支払われている。他方,平成12年1月から同年12月までの間の賃料合計は1440万円であるから,平成13年1月1日時点では,次の計算式のとおり,未払賃料は2724万3569円に て,合計720万円が支払われている。他方,平成12年1月から同年12月までの間の賃料合計は1440万円であるから,平成13年1月1日時点では,次の計算式のとおり,未払賃料は2724万3569円になっていることが分かる(甲14,証人P6【4ないし6頁,弁論の全趣旨)。 】2004万3569円-720万円+1440万円=2724万3569円d平成13年10月5日時点の未払賃料額弁論の全趣旨によれば,被告から亡P4に対し,平成13年1月1日から同年10月5日までの間に合計4回にわたって,合計460万円が支払われている。他方,平成13年1月から同年9月までの間の賃料合計は1080万円(120万円×9=1080万円)であるから,平成13年10月5日時点では,次の計算式のとおり,未払賃料は3344万3569円になっている(弁論の全趣旨)。 2724万3569円-460万円+1080万円=3344万3569円ウ前記イで認定した事実によれば,亡P4の被告に対する本件賃貸借契約に基づく未払賃料は,亡P4が死亡した平成13年10月5日当時3344万3569円であったと認めるのが相当である。そうだとすると,請求原因(4)の事実が認められる。 (4)請求原因(5(6(被告が原告らに対し平成13年10月分以降の本件土))地持分の賃料を支払っていないこと,原告らが被告に対し未払賃料の支払請求をしたこと)はいずれも当事者間に争いがない。 (5)請求原因(7(将来分の賃料の支払について履行の期待可能性)について)原告らは,被告の賃料支払拒絶の意思は相当に強く,将来分の賃料についても被告の即時履行は期待できない状況にあると主張する。しかし,本件全証拠を検討するも,被告において,本判決確定後も,本件賃貸借契約に基づく賃料を支払わないということまでの 強く,将来分の賃料についても被告の即時履行は期待できない状況にあると主張する。しかし,本件全証拠を検討するも,被告において,本判決確定後も,本件賃貸借契約に基づく賃料を支払わないということまでの立証はされていない。そうだとすると,本判決確定日の後に支払時期が到来する賃料の支払を請求する部分は,あらかじめその請求をする必要があるとはいえず,訴えの利益を欠くものとしてこれを却下するのが相当である。 - 33 -(6)小括以上によれば,原告らの被告に対する本件賃料請求は,①平成9年1月1日から同13年10月5日までの間の未払賃料額である3344万3569円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である同15年1月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,②同13年10月31日から本判決確定日まで,毎月末日限り月額120万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は理由があるが,本判決確定日から,毎月末日限り月額120万円の割合による金員の支払を求める部分は,あらかじめその請求をする必要があるとはいえず,訴えの利益を欠くものとして却下を免れない。 本件賃料請求事件の抗弁(1(錯誤)の成否について)(1)被告が,本件賃貸借契約の合意が錯誤によるものであると主張する理由は次の。 ,,,,,とおりである被告は昭和4748年ころまで本件土地持分は亡P8から使用貸借契約に基づき無償で借りていた。ところが,昭和47,48年ころ,資料,,,,,調査課による本件税務調査がありその際被告はP6会計士P7税理士から使用貸借とすると借地権価格(権利金)相当額の贈与があったと認定され,多額の贈与税が課されることになるので,当該贈与税 ,調査課による本件税務調査がありその際被告はP6会計士P7税理士から使用貸借とすると借地権価格(権利金)相当額の贈与があったと認定され,多額の贈与税が課されることになるので,当該贈与税の課税を免れるため「相当の地代」を支払うことにしてはどうかといわれ,これに従ったものである。しかしながら,P6会計士らの上記説明は誤っており,使用貸借により借地権価格相当額の贈与税。 ,,を課税されるおそれはなかったもしP6会計士らの上記誤った説明がなければ被告は本件土地持分について使用貸借契約から賃貸借契約に変更しなかった。その意味で,被告が,本件土地持分について賃貸借契約の合意をしたことには錯誤がある。そして,本件賃貸借契約は,亡P8死亡後,その相続人である亡P4と被告との間で,賃貸借契約を締結したのであり,前記錯誤の状態を引き継いでいる。以上が,被告の錯誤の主張の要旨である。そこで,被告と亡P4との間で,本件賃貸借契約を締結するに至った経過をみてみることにする。 (2)前記第1の2(1)イ,第2の1(1)イで認定した事実,証拠(甲8の1及,,,,,,,,)び2同11 乙1898ないし100証人P6同P7被告及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件土地は,昭和42年当時,被告と亡P8が各2分の1ずつ持分を有する共有の土地であった。被告は,本件土地上に被告所有の病院を建設し,昭和43年ころから,本件土地上でα病院を開設し,医療行為を行っている(前記第1の。 2(1)イ(イ(ウ)の認定事実))イ被告は,昭和43年ころ,本件土地持分を,義母である亡P8から無償で借りていたすなわち本件土地持分の当初の利用権限は使用貸借契約であった証。 ,。(人P6【8頁,被告【24頁,弁 )イ被告は,昭和43年ころ,本件土地持分を,義母である亡P8から無償で借りていたすなわち本件土地持分の当初の利用権限は使用貸借契約であった証。 ,。(人P6【8頁,被告【24頁,弁論の全趣旨)】】ウ被告は,昭和45年ころ,P6会計士との間で,α病院の会計,税務に関し,顧問契約を結び,P6会計士は,そのころから,被告の会計,税務の面倒をみるようになった。P7税理士は,昭和46年,P6会計士事務所に入所し,同年ころから,被告の会計,税務に関し,P6会計士の業務を補助するようになった。 - 34 -P7税理士は,毎月1回程度,α病院を訪問し,亡P4と打合せを行い,同病院の会計処理,税務処理をチェックし,給与計算をするなどしていた。なお,P7税理士は,昭和61年には,税理士資格を取得した(甲11,15,証人P6。 【1,2頁,同P7【1頁)】】エ資料調査課は,昭和47年9月19日ころ,被告の開業以来の所得税について。 ,,本件税務調査を行った本件税務調査は約3か月にわたって行われ被告に対し重加算税を含めた追徴課税が課せられた。ところで,資料調査課の担当官は,本件税務調査を終えるに当たり,被告,P6会計士を集め,調査の総括をし,被告が本件土地持分を亡P8から使用貸借していることについて,借地権の認定課税が行われ,被告に莫大な贈与税が課せられる可能性があるとの指摘をした。そこで,P6会計士は,贈与税の課税を受けない方法としては,相当地代条件付きの賃貸借契約があると説明した。そこで,被告は,昭和48年1月ころ,亡P8との間で,本件土地持分について,賃料月額70万円とする賃貸借契約を結んだ。 なお,被告は,この際,亡P8に対し,使用貸借契約から賃貸借契約に変更する理由,すなわち,動機について,どのような説明をしたのか, で,本件土地持分について,賃料月額70万円とする賃貸借契約を結んだ。 なお,被告は,この際,亡P8に対し,使用貸借契約から賃貸借契約に変更する理由,すなわち,動機について,どのような説明をしたのか,本件全証拠を検討するも不明である。ちなみに,被告は,本人尋問の中で,資料調査課の担当官が本件税務調査を終えるに当たり被告らに対し話をした内容は記憶にないと供述している(甲18,証人P6【4,8ないし10,17,18頁,同P7【2,。 】11,12頁,被告【24,25頁,弁論の全趣旨)】】オところで,本件と類似の事案として次のような裁判例がある。すなわち,妻が,,夫の土地を無償で借り受けアパートを建ててこれを使用していたことについて妻が借地権相当額による利益を受けたものとして贈与税が課税されたところ,その取消しを求めた事案である(大阪地判昭和43年11月25日判例時報544号25頁以下。当該裁判において,裁判所は,次のような判決を出している。 )すなわち,裁判所は,借地権の認定課税は認められないが,少なくとも土地の貸借における交換価値関係は成立していると判示した。具体的には「土地の使用,関係は,使用貸借に基づくものであるが,税法上における経済的利益の有無は,もっぱら経済的実質によって決定されるものであり,妻は独立の経済主体として夫から土地を借用することによって相当の経済的利益を受けているものというべく,右利益は,妻が夫から贈与を受けたのと同様の経済的効果を有するものであるから,対価を支払わない利益を受けた場合に当たり,相続税法第9条により妻は夫から利益の価額に相当する金額を贈与により取得したものとみなされることがある」としたうえで「使用貸借においては・・・・中略・・・・対価関係,()を有する賃貸借における賃料相当額をもって 妻は夫から利益の価額に相当する金額を贈与により取得したものとみなされることがある」としたうえで「使用貸借においては・・・・中略・・・・対価関係,()を有する賃貸借における賃料相当額をもって右の使用料すなわち借主の利益と観念するのが相当である。そして1年間における賃料(地代)相当の利益は,土地の時価額に純益にあたる年6分,税金その他の維持費にあたる年2分合計年8分を乗じた額をもって相当とする」との判断を示した。 ところで,土地の無償使用をめぐる課税関係については,前記大阪地裁の判決等も出され,課税上の取扱いを統一する必要が生じ,昭和48年11月1日施行の「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」相続税- 35 -個別通達(昭48直資2-189,以下「使用貸借通達」という)が出され,土地の使用貸借に係る使用権の価額は,零として取り扱うとされた(乙98ない。 し100,証人P6【17,18,20,21頁,同P7【13頁)】】カ被告と亡P8との間の前記エの賃貸借契約は,亡P8が死亡するまで継続された。亡P8は,平成8年2月23日死亡し,同年12月20日に成立した遺産分割協議により,本件土地持分は,亡P4が相続し,持分移転登記は同9年1月13日に経由された。本件土地持分を相続した亡P4は,平成9年1月ころ,被告との間で,本件賃貸借契約書(甲10)を取り交わした。この際,被告は,本件賃貸借契約書に署名をしたが,本件土地持分を賃貸借契約にする動機,換言する,。 ,と贈与税の課税を受ける目的等について話し合った形跡は窺えないちなみに被告は,本人尋問の中で,本件賃貸借契約書作成の状況について「何か診察し,ているときにもってこられたんで,ろくに話しも聞かなかったということなんですか」という質問に対し「はい,そう えないちなみに被告は,本人尋問の中で,本件賃貸借契約書作成の状況について「何か診察し,ているときにもってこられたんで,ろくに話しも聞かなかったということなんですか」という質問に対し「はい,そうです」と,また「税金うんぬんという,。 ,話は出なかったんですか」という質問に対し「ちょっと覚えておりません」,。 と答えている(前記第2の1(1)イ,甲8の1及び2,乙18,被告【26。 頁,弁論の全趣旨)】(3)以上の認定事実を前提に,被告に本件賃貸借契約の合意をするに当たり,錯誤があったか否かについて判断する。 ,,ア被告の錯誤の主張の前提として昭和47年の資料調査課の本件税務調査の際使用貸借により借地権価格相当額の贈与税を課税されるおそれはなかったのに,P6会計士がこれをあるように説明したことが錯誤の原因となっているとしている。 確かに,使用貸借通達が出された昭和48年11月1日以降にP6会計士が上記説明をしたのなら,被告の主張にも一応正当なものがあるということができる。しかし,P6会計士の説明は,使用貸借通達の出る前の昭和47年末ころされたのであり,資料調査課の担当官が,本件税務調査を終えるに当たり,被告,P6会計士を集め,調査の総括をし,前記(2)エのとおり,被告が本件土地持分を使用貸借していることについて,借地権の認定課税が行われ,被告に莫大な贈与税が課せられる可能性があるとの指摘をしたことが事実として認められる本件にあっては,P6会計士の説明には誤りはなかったというべきである。すなわち,P6会計士が,贈与税の課税を受けない方法としては,相当地代条件付きの賃貸借契約があると説明したことは,税の専門家として適切なものであったということができる。したがって,P6会計士が被告に対し誤った説明をしたことを前提とする被告の錯 い方法としては,相当地代条件付きの賃貸借契約があると説明したことは,税の専門家として適切なものであったということができる。したがって,P6会計士が被告に対し誤った説明をしたことを前提とする被告の錯誤の主張は理由がないというべきである。 イまた,被告の錯誤の主張は,動機に錯誤があったというものであり,このような場合,当該動機が相手方に表示されている必要があるところ,前記(2)エカで認定した事実によれば,亡P8,亡P4に表示されていたとは認められない。 したがって,被告の錯誤の主張はこの点でも理由がない。 ウさらに,被告は,昭和47年のP6会計士の説明が錯誤の原因になっていると主張するが,P6会計士の説明が,約25年後の本件賃貸借契約締結にどのような影響を与えたのか,本件全証拠を検討するも不明であり,その意味で,P6会- 36 -計士の説明と本件賃貸借契約の合意との間に相当因果関係があるということは困難であるというべきである。 エ以上の諸点に照らすと,本件賃貸借契約の合意に錯誤があったとの被告の主張は,その余の点を判断するまでもなく理由がない。 本件賃料請求事件の抗弁(2(減額請求)の成否について)(1)被告は,平成14年4月30日到達の書面で,原告らに対し,本件土地持分の適正な賃料は,月額40万円であると通知した。したがって,平成14年5月分以降の本件土地持分の賃料は,月額金40万円に減額する旨の請求がされたものとみるべきであると主張する。 (2)しかし,証拠(乙1の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 原告らに平成14年4月30日に到達した書面には「適正賃料額は月額40万,円であることが判明しております」との記載があるのみで,どこにも減額を請求。 するとの主張は記載されていない。また,被告は,本件訴 に平成14年4月30日に到達した書面には「適正賃料額は月額40万,円であることが判明しております」との記載があるのみで,どこにも減額を請求。 するとの主張は記載されていない。また,被告は,本件訴訟が提起されてから平成17年2月9日の第7回口頭弁論期日に至るまで,賃料額が予め確定していてそれを減額するという主張は一度もしていない。 (3)以上によれば,原告らに平成14年4月30日に到達した書面で,本件賃貸借契約の賃料を減額請求したとの被告の主張は,その余の点を判断するまでもなく理由がないというべきである。 本件賃料請求事件の抗弁(3(相殺)の成否について)(1)被告の抗弁(3)の主張の要旨は次のとおりである。 アα病院において,平成2年から同12年までの間,現金として持ち出された事業主貸し分及び預金から引き出された事業主貸し分から「院長より「事業主,」,借り「借入金院長」の事業主借り勘定で戻された現金を差し引いた額は,別」,紙事業主貸一覧表記載のとおり,合計4億4695万6651円である。すなわち,α病院の事業主勘定から平成2年から同12年の間に,院長(事業主である被告)に支出したとされる金員は合計4億4695万6651円であり,かかる金員がα病院から事業主勘定のもと外部に支出されている(以下「本件第1の前提事実」という。 )イ他方,被告が,平成2年から同12年までの間,受領した金額は,別紙事業主貸一覧表記載のとおり,合計2億5480万円である(以下「本件第2の前提事実」という。 )ウ本件第1,第2の前提事実を踏まえ,亡P4は,4億4695万6651円から2億5480万円を差し引いた差額1億9215万6651円を着服したものである(以下「本件事業主勘定の結論」という。 )エそこで,ウの債権で,本件賃料債権 ,亡P4は,4億4695万6651円から2億5480万円を差し引いた差額1億9215万6651円を着服したものである(以下「本件事業主勘定の結論」という。 )エそこで,ウの債権で,本件賃料債権を相殺する。 (2)被告の抗弁(3)の主張は前記(1)のとおりであるが,被告の抗弁(3)が認められるためには,本件第1,第2の各前提事実が立証され,しかも,本件事業主勘定の結論まで立証することができてはじめて抗弁(3)が認められることになる。そこで,以下,これらの3点が立証されているか否かについて検討することに- 37 -する。 (3)本件第1の前提事実についてア証拠(乙34ないし44)によれば,α病院において,平成2年から同12年までの間,現金として持ち出された事業主貸し分及び預金から引き出された事業主貸し分から「院長より「事業主借り「借入金院長」の事業主借り勘定で,」,」,戻された現金を差し引いた額は,別紙事業主貸一覧表記載のとおり,合計4億4695万6651円となっていることが認められる。 イ問題は,被告の事業主勘定記載のとおり,実際に現金が外部に支出したといえるか否かである。換言すれば,被告の事業主勘定に記載された金額が,実際の支出額に合致した正確なものといえるか否かという点である。以下,検討を進めることにする。 (ア)事業主勘定の性質証拠(乙22及び24の各1,同34ないし47,証人P7)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 事業主勘定は,建前としては,事業の利益計算に関係のない事業主の個人的な支出や収入について使われる勘定科目であるものの,実際には,帳簿の残高を合わせるために調整した勘定科目であり,税金を計算する上で費用として控除されるもの以外は,すべて事業主である被告の所得という考え方に基づいて いて使われる勘定科目であるものの,実際には,帳簿の残高を合わせるために調整した勘定科目であり,税金を計算する上で費用として控除されるもの以外は,すべて事業主である被告の所得という考え方に基づいて作成されている。α病院においても,前記の考え方に基づいて,事業主勘定を作成している。そうだとすると,α病院の事業主勘定においては,現金の出入りについては,実際にその時点で現金が費消されたことを直接意味するもので,。 はなく税務上の会計的な勘定の修正項目たる性質を持つということができるこのことは,事業主勘定(乙34ないし47)を作成する元となる「元帳」中の「事業主勘定院長へ」等の記載のほとんどが1日の仕訳の末尾に記入されていたり(乙22の1,異なる筆跡で記入されていること(乙24の1)か)らも窺うことができる(乙22及び24の各1,同34ないし47,証人P。 7【8,21頁,弁論の全趣旨。 】)以上によれば,本件第1の前提事実は,α病院の事業主勘定は「院長へ」,等の名目で現実に現金が支出されたこと及びその支出額が正確であることを当然の前提としているところ,その前提自体疑問の余地が存在するということになる。 (イ)参加人P2の備忘録(乙7の1ないし8)との食い違い参加人P2の備忘録(乙7の1ないし8)によれば,参加人P2は,平成3,,,年8月から11月の間同4年1月から7月の間同6年7月から11月の間毎月26日前後に被告から生活費としてそれぞれ100万円を受け取っていることが認められる。被告から参加人P2に対する前記100万円の交付は,α病院の事業主勘定の貸欄に記載がなければならないところ,これらの期間,α病院の事業主勘定には,被告に対し,現金はもちろん,銀行振込みでも金員は一切支払われていない(乙7の1ないし3,同35,36 α病院の事業主勘定の貸欄に記載がなければならないところ,これらの期間,α病院の事業主勘定には,被告に対し,現金はもちろん,銀行振込みでも金員は一切支払われていない(乙7の1ないし3,同35,36,38)。 以上によれば,α病院(被告)の事業主勘定は,実際の支出額を正確に記載- 38 -したものといえるか否か疑問であるということになる。 ウ以上の検討結果によれば,被告の事業主勘定に記載された金額が実際の支出額に合致した正確なものといえるか否かは疑問であり,本件第1の前提事実は未だ証明されているとは言い難い。 なお,被告の事業主勘定に記載された金額が実際の支出額に合致した正確なものか否かを検証するためには,事業主勘定に関係するすべての銀行通帳(乙34に表れているだけでも「普通:太陽神戸三井2「普通:横浜「普通,」,」,:住友2「当座:太陽神戸三井「普通:太陽神戸三井「普通:県医師」,」,」,信用「普通:住友「普通:世田谷信用「定期:住友「定期:県医師」,」,」,」,信用「定積:県医師信用「定積:世田谷信用「定期:太陽神戸三井」」,」,」,と合計13もの口座が存在している)の記帳内容を示すこと等により,これ。 らの銀行口座における取引の詳細を明らかにする必要があると思料されるところ,被告が本件で証拠として提出しているのは,被告名義の太陽神戸三井銀行青葉台支店の普通預金通帳(乙50,平成2年4月から同年5月までの間の取引履歴が記載されている,世田谷信用金庫青葉台支店の普通預金元帳(乙5)1,平成3年6月から同9年11月までの間の取引履歴が記載されている)にとどまっており,立証は未だ不十分の状況にあるということができる。 (4)本件第2の前提事実についてア被告は,事業主勘定に記載された 3年6月から同9年11月までの間の取引履歴が記載されている)にとどまっており,立証は未だ不十分の状況にあるということができる。 (4)本件第2の前提事実についてア被告は,事業主勘定に記載された金員のうち,被告が受領したのは,平成2年から同8年の間の院長報償月額100万円,院長賞与年間200万円,院長交際費月額40万円と同9年から同12年の間の院長報償月額200万円,院長賞与年間200万円,院長交際費月額40万円の合計2億5480万円であると主張する。すなわち,被告は,α病院から院長報償,賞与,交際費しかもらっていないと主張する。そこで,本件第2の前提事実が立証されているか否かについて検討を進めることにする。 イ被告は,α病院から院長報償,賞与の名目で交付を受けたものはすべて,参加人P2に生活費として渡していたと主張し,参加人P2はこれに沿う供述をしている(参加人P2【10ないし12,27頁。仮に被告の主張が正しいとす】)ると,参加人P2に渡された金員に対応するものが,被告の事業主勘定の貸し欄に記載されていなければならないはずである。しかるに,参加人P2の備忘録には,被告から参加人P2に対し,毎月26日前後に院長報償に対応する金員が渡,()(),,されているのに前記 イイで認定したとおり被告の事業主勘定には平成3年8月から11月の間,同4年1月から7月の間,同6年7月から11月の間,被告に対し,現金はもちろん,銀行振込みでも金員は一切支払われていない(乙7の1ないし8,同35,36,38)。 ウ前記イの事実は,平成6年までに被告がα病院から得ていた報酬は,月額100万円の「院長報酬」以外にも存在した可能性を推認させる。 エまた,被告は,前記アのとおり,平成2年から同12年の間,週10万円の院長交際費 ,平成6年までに被告がα病院から得ていた報酬は,月額100万円の「院長報酬」以外にも存在した可能性を推認させる。 エまた,被告は,前記アのとおり,平成2年から同12年の間,週10万円の院長交際費しか支給されていないと主張する。しかし,亡P4死亡後,被告は週20万円の交際費の交付を受けているが(乙45,弁論の全趣旨,前記第1の2)- 39 -(3)イ【特別加算金(イ)で認定したとおり,約16億円の負債を抱えてい】ることが判明しながら,院長交際費が従前の2倍に増えるのは不可解であり,そのことはとりもなおさず,亡P4死亡前の院長交際費が週10万円であったということが事実ではないとの可能性が強いということを示している。ちなみに,被告の税務申告をP6会計士とともに担当していたP7税理士は,被告の交際費について,週40万円では足らず,最低でも月50ないし60万円であったと証言している(証人P7【9,17頁。 】)オ以上によれば,被告は,α病院から院長報償,賞与,交際費しかもらっていないとの本件第2の前提事実は,前記のとおり,疑問の余地があり,事実であるとの立証は未だされていないというべきである。 (5)本件事業主勘定の結論についてア被告は,事業主勘定に記載されている4億4695万6651円から2億5480万円(被告受領分)を差し引いた差額1億9215万6651円は,亡P4が着服したものであると主張する。 イ確かに,前記第1の2(1)イ(エ)で認定したとおり,α病院の経理は平成2年から同12年の間は,亡P4が統括し,被告は亡P4を信頼し,同病院の経理を任せていたことが認められる。しかし,だからといって,亡P4が金員を着服したと認定することはできない。なぜなら,被告も,院長として,毎年,被告の確定申告を見せられ,その結果を一応是認し 病院の経理を任せていたことが認められる。しかし,だからといって,亡P4が金員を着服したと認定することはできない。なぜなら,被告も,院長として,毎年,被告の確定申告を見せられ,その結果を一応是認し,納得していたこと(乙128の,,,1ないし16同129の1ないし13同130及び131の各1ないし14同132の1ないし12,同133の1ないし13,同134の1ないし31,同135の1ないし10,同136の1ないし14,同137の1ないし18,証人P7【2ないし4頁,弁論の全趣旨,事業主勘定は,本来事業主である】)被告が使用するものであり,被告の主張する差額は被告に対し支払われた可能性もあるからである。 ウ以上によれば,亡P4が差額1億9215万6651円を着服したと認定することも困難であるというべきである。 (6)小括,(),以上の検討結果からも明らかなとおり被告の抗弁3が認められるためには本件第1,第2の各前提事実,本件事業主勘定の結論がそれぞれ立証されなければならないところ,いずれも未だ立証されているという状況にはない。よって,被告の抗弁(3(相殺)は,その余の点を判断するまでもなく理由がないというべき)である。 本件賃料請求事件の結論前記1ないし4の検討結果によれば,被告の抗弁(1)ないし(3)がいずれも理由のない本件にあっては,原告らの被告に対する本件賃料請求は,①平成9年1月1日から同13年10月5日までの間の未払賃料額である3344万3569円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である同15年1月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,②同13年10月31日から本判決確定日まで,毎月末日限り月額120万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済- 40 -みまで から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,②同13年10月31日から本判決確定日まで,毎月末日限り月額120万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済- 40 -みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は理由があるが,本判決確定日から,毎月末日限り月額120万円の割合による金員の支払を求める部分は,訴えの利益を欠くものとして却下するのが相当であるということになる。 第3 結論 以上によれば,原告らの被告に対する本件退職金請求(甲事件の一部)及び参加人らの原告ら及び被告に対する本件独立当事者参加申立請求(丙事件)はいずれも理由がないからこれらをいずれも棄却するのが相当であり,被告の原告らに対する本件給与着服金返還請求(乙事件)は理由があり,被告は,原告らに対し,損害賠償請求権として,各金5002万7500円及びこれに対する亡P4死亡の翌日である平成13年10月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を求めることができる。また,原告らの被告に対する本件賃料請求(甲事件の残部)は,①平成9年1月1日から同13年10月5日までの間の未払賃料額である3344万3569円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である同15年1月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,②同13年10月31日から本判決確定日まで,毎月末日限り月額120万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は理由があるのでこれを認容することにし,③本判決確定日から,毎月末日限り月額120万円の割合による金員の支払を求める部分は,訴えの利益を欠くので,これを却下するのが相当である。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民 ことにし,③本判決確定日から,毎月末日限り月額120万円の割合による金員の支払を求める部分は,訴えの利益を欠くので,これを却下するのが相当である。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部難波孝一裁判官

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る