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主文 本件抗告を棄却する。理由 本件抗告の趣旨並に理由は別紙のとおりであつて、右抗告理由に対する当裁判所の判断は次に記すとおりである。一、 抗告理由(1)について。本件記録に徴すると、原裁判所が本件代執行の手続の続行停止決定をするについて、抗告人の代表者町長Aに対し意見を求める旨の書面を発したのは昭和三十八年六月二十八日であつて、右求意見書は同日町長代理助役Bにおいて受領していることが明かである(記録一六一丁、一六二丁)。従つて一般の社会通念から云つて右意見の求められた事実は即時相手方代表者町長Aに伝達せられ、同人においてこれを了知したものと推認せられる。右Aは翌同月二十九日同裁判所に書面を提出し(一六三丁)、右求意見のあつたことを知つたのは同日午前六時である旨述べているがこれをそのまま真実なものとは認め難く、他に右Aの言を確認する証拠はない。なるほど原裁判所の発した求意見書によると、抗告人の意見は翌日の昭和三十八年六月二十九日午前十時に原裁判所に必着するよう提出されたい旨要求せられておつて、右求意見書が発せられてから抗告人が意見書を提出すべき時まで丸一日の予猶を置かれていないものというべきである。しかし本件申請の根底をなす、抗告人と相手方との争については、相手方から既に再度の仮処分申請があつて、原裁判所において仮処分決定がなされ、第一回目の仮処分決定に対しては抗告人から異議の申立があり、右異議訴訟において当事者は相互に十分の主張を闘わし、右仮処分決定認可の判決までなされていることが一件記録に徴し明かである。従つてかりに抗告人町長A自身なすことが不可能でもその代理人をして、原裁判所に相手方の本件停止決定申請に対する意見を口頭あるいは書面をもつて陳述する余裕がなかつたものとは認められ に徴し明かである。従つてかりに抗告人町長A自身なすことが不可能でもその代理人をして、原裁判所に相手方の本件停止決定申請に対する意見を口頭あるいは書面をもつて陳述する余裕がなかつたものとは認められない。 記録に徴し明かである。従つてかりに抗告人町長A自身なすことが不可能でもその代理人をして、原裁判所に相手方の本件停止決定申請に対する意見を口頭あるいは書面をもつて陳述する余裕がなかつたものとは認められ に徴し明かである。従つてかりに抗告人町長A自身なすことが不可能でもその代理人をして、原裁判所に相手方の本件停止決定申請に対する意見を口頭あるいは書面をもつて陳述する余裕がなかつたものとは認められない。抗告人は、町長において右二十九日午前九時より農業委員会へ、午後一時より町議会へ各出席するため意見提出の時間がなかつたと主張するけれども右事実については疎明なく、かりに右の如き公務が町長にあつたとしても、前記のとおり仮処分事件について本件抗告代理人らが抗告人町を代理して訴訟を遂行しているのであるから同町長において右代理人らに委任し適当な意見を陳べる機会を作ることができたものと考えられる。町長Aは、右二十九日に「呼出期日変更申請について」なる書面(記録一六三丁)を原裁判所に提出し、意見書の提出を同年七月一日午後三時まで延期せられたい旨求めたことが認められる。しかし右書面には「裁判所の求意見書についての連絡が町長にあつたのが二十九日午前六時で同日午前十時までに意見書を提出することは時間的に不可能である」旨記されているだけで、他に意見開陳を不能乃至困難ならしめる如き事由は何ら記されておらない。<要旨>また一件記録によれば(1)抗告人と相手方との間の本件道路に関する紛争の経過は激化の一途をたどるのみで</要旨>あることを認め得べく、(2)既に本件の行政代執行に先立つて、昭和三十八年五月二十日抗告人から相手方に対し行政代執行の前提たる戒告書が発せられ之に対し相手方から即日其の不当である所以を強調して回答が為されたが、抗告人は同月二十五日代執行令書を交付し、同月三十日相手方主張の前道路敷内に相手方の設置した木柵を代執行によつて撤去してしまつたことを認め得べく、(3)本件代執行は右木柵に代えて相手方が同一場所に設置した「ガードロープ」を目的とする し、同月三十日相手方主張の前道路敷内に相手方の設置した木柵を代執行によつて撤去してしまつたことを認め得べく、(3)本件代執行は右木柵に代えて相手方が同一場所に設置した「ガードロープ」を目的とするものであつて、抗告人から昭和三十八年六月二十七日に発せられた戒告書(疎甲第十九)には同書面到達後一日以内である六月二十八日中に之を撤去すべきこと、その履行のない場合は再度行政代執行によつて執行する方針である旨を明記してあること明らかである。 内に相手方の設置した木柵を代執行によつて撤去してしまつたことを認め得べく、(3)本件代執行は右木柵に代えて相手方が同一場所に設置した「ガードロープ」を目的とするものであつて、抗告人から昭和三十八年六月二十七日に発せられた戒告書(疎甲第十九)には同書面到達後一日以内である六月二十八日中に之を撤去すべきこと、その履行のない場合は再度行政代執行によつて執行する方針である旨を明記してあること明らかである。(4)従つて以上の経過に徴すれば、右戒告書に記載された六月二十八日中に撤去のない場合には、抗告人において直ちに代執行を実行する慮が十分に在ると判断され得る実情に在つたものと認めることが出来、原審としてはこの緊急の事態を十分考慮すると共に、本件の経過よりすれば抗告人町長に於いて本件停止決定の申請に対する意見を陳述するについては敢て準備乃至調査の必要もない実情に在つたものと認めて、普通の事例とすれば確に短か過ぎると言い得ようが、特に右意見提出の期日を求意見書送達の日の翌日である昭和三十八年六月二十九日午前十時と定めたものと認めることが出来る。従つて以上の諸般の事情を考慮すれば、原審が行政事件訴訟法第二十五条二項五項の規定により、抗告人に対して意見陳述の催告期間を六月二十九日午前十時迄と定めたのは、具体的事案に即する適法な裁量というべきである。従つて原裁判所としては、本件代執行停止の決定をなすについて抗告人に対し意見を開陳する機会を与えたものと言うべく、しかるに抗告人においてその時機を徒過したものとして原決定を為したものと認め得るから、右措置は相当というべきで、抗告人の主張するような、意見聴取の催告期間が著しく短く意見を聴いたことにならないとするのは当らない。二、 抗告理由(2)について、本件記録に徴す のと認め得るから、右措置は相当というべきで、抗告人の主張するような、意見聴取の催告期間が著しく短く意見を聴いたことにならないとするのは当らない。二、 抗告理由(2)について、本件記録に徴すると、相手方は昭和五年八月二十五日本件土地を含む長野県北佐久郡a町bより群馬県吾妻郡c村d岩に至る自動車専用道路開設の許可を得て爾来三十年余これを自動車道として経営管理してきたもので、右道路の開設以来C高原地方の観光及び産業は相当の発展を見、昭和三十七年度における右道路の自動車通行台数は一四八、七四四台であり、観光シーズンには一日二〇〇〇台に達することが推認され、従て抗告人が昭和三十八年六月二十七日相手方に対し発した戒告処分に基く手続が続行されるにおいては、右相手方の道路の完全な使用、管理が妨げられ相手方に著しい損害の生ずる虞のあることについて疎明があるものといえる。 たもので、右道路の開設以来C高原地方の観光及び産業は相当の発展を見、昭和三十七年度における右道路の自動車通行台数は一四八、七四四台であり、観光シーズンには一日二〇〇〇台に達することが推認され、従て抗告人が昭和三十八年六月二十七日相手方に対し発した戒告処分に基く手続が続行されるにおいては、右相手方の道路の完全な使用、管理が妨げられ相手方に著しい損害の生ずる虞のあることについて疎明があるものといえる。抗告理由(2)は採用できない。三、 抗告理由(3)について、本件停止決定により抗告人の管理する公道の通行が一時妨げられることは認められるけれども、これにより抗告人の予算の執行に支障を来し公共の福祉に重大な影響があることは疎明せられていない。従つて右抗告理由も採用の限りでない。四、 抗告理由(4)について、本件の本案(前橋地方裁判所昭和三八年(行)第三号)は抗告人の管理する町道につき道路法の規定を施行するため代執行の処分に出たことに対する不服の訴で、右訴において相手方も亦自己の開発した前記自動車道路の管理に関する道路運送法第五一条等の規定に基き右代執行処分の不当を主張しているので、右相手方の主張は、行政事件訴訟法第二五条第三項にいわゆる理由ないとみえるものとは未だにわかに判定しがたい。抗告理由(4)も採用できないところである。五、 追加抗告理由第一点について検討する。、右相手方の主張は、行政事件訴訟法第二五条第三項にいわゆる理由ないとみえるものとは未だにわかに判定しがたい。抗告理由(4)も採用できないところである。五、 追加抗告理由第一点について検討する。抗告人町の助役Bが同町長Aの代理として原裁判所より本件求意見書を受領した昭和三十八年六月二十八日に右町長が別件公務で東京へ出張中であつたとの事実は何ら疎明なく、却つて記録に徴すると本件代執行停止決定は同月二十九日午後八時五十分同町長自ら受領していることが明白で(記録一七九丁)従つて町長において求意見書の発せられたことを知つたのは右Bがこれを受領した直後であつたとの前記認定を覆えすことはできず追加理由第一点は採用できない。追加抗告理由第二点は、要するに抗告人の所有し管理する本件町道の利用と相手方が抗告人より賃借し、観光道路として維持経営している本件道路敷地の利用につき生じた係争の経緯を記し、抗告人の代執行処分を停止した原決定には行政訴訟法第二十五条所定の条件を無視した違法があると主張するものであるが、当裁判所は以下記すとおり抗告人の右主張を認容することを得ない。 認定を覆えすことはできず追加理由第一点は採用できない。追加抗告理由第二点は、要するに抗告人の所有し管理する本件町道の利用と相手方が抗告人より賃借し、観光道路として維持経営している本件道路敷地の利用につき生じた係争の経緯を記し、抗告人の代執行処分を停止した原決定には行政訴訟法第二十五条所定の条件を無視した違法があると主張するものであるが、当裁判所は以下記すとおり抗告人の右主張を認容することを得ない。すなわち相手方の右代執行処分によつて相手方が回復し難い損害を発生することにつき疎明があることは前記理由二に記すとおりであり、右損害を避けるため緊急の必要あることも、前記理由一の記載のうち本件代執行処分手続として戒告書の発せられるに至つた経過を述べた部分に説示したとおりである。抗告人はこの点につき相手方の管理する本件有料道路と、抗告人町の管理する本件町道C線の交叉する部分は昭和二十九年十月群馬県において右町道の前身である道路を開設し相手方の有料道路と平面交叉させて以来実に十年もの間何ら事故なく相互に平穏裡に通行がなされて来た、然るに相手方がこの平穏な事実を改変せんとする暴挙に出たの 群馬県において右町道の前身である道路を開設し相手方の有料道路と平面交叉させて以来実に十年もの間何ら事故なく相互に平穏裡に通行がなされて来た、然るに相手方がこの平穏な事実を改変せんとする暴挙に出たので、その状態を抗告人が正当な行政代執行によつて旧に復せんとしたに過ぎず、右処分を以て相手方に回復し難い損害が発生するおそれありとするは解し難いところであると主張する。しかして抗告人提出の乙第八ないし十六号証によると抗告人管理の町道はその主張の如く先に昭和二十九年十月群馬県において道路法によらぬ道路として開設し、相手方の経営する本件自動車道路と平面交叉せしめ右交叉附近に観光客の便益のため休憩舎、便所、駐車場(空地)を設けていたところ昭和三十四年三月群馬県知事は抗告人町に右道路、休憩舎、便所及び空地の一部の管理を委託したところ、抗告人は町議会の同意を得て右道路を道路法に基く町道として認定し、一般に供用して来たことが認められ、又乙第二十二号証によると昭和三十四年一月以降昭和三十八年六月までの間において、右町道と相手方の経営する本件自動車道路交叉のため事故が起きて所轄警察署において処理した事例は絶無であることを認められるが、昭和二十九年以来約十年にわたつて無事故であつたとまで言い得る疎明はない。 の一部の管理を委託したところ、抗告人は町議会の同意を得て右道路を道路法に基く町道として認定し、一般に供用して来たことが認められ、又乙第二十二号証によると昭和三十四年一月以降昭和三十八年六月までの間において、右町道と相手方の経営する本件自動車道路交叉のため事故が起きて所轄警察署において処理した事例は絶無であることを認められるが、昭和二十九年以来約十年にわたつて無事故であつたとまで言い得る疎明はない。反対に甲第十号証、十一号証、十六号証、十八号証及び記録中のD作成陳述書(一六七丁)を総合すると、最近相手方自動車道路の観光目的地である「d」方面に赴く観光客の数量は激増し、右自動車道路を正規に通行する自動車の台数は昭和三十五年度五五、七九五台、昭和三十六年八七、七七五台、昭和三十七年一四八、七四四台となり、他方、抗告人町も観光事業の盛大を期するところから町道を改修すると共に相手方の自動車道路を横断した地先に駐車場の施設をしたので同所でバスから降りて自動車道を 台、昭和三十七年一四八、七四四台となり、他方、抗告人町も観光事業の盛大を期するところから町道を改修すると共に相手方の自動車道路を横断した地先に駐車場の施設をしたので同所でバスから降りて自動車道を勝手に歩く団体客も増え、町道と自動車道との交叉地点で多数のバスが停車したり人の歩行するため事故発生の危険が著しく増大したことを認めることができる。右事実と前記二に記すとおり相手方は昭和五年以来本件自動車道路開設の許可を受け三十余年にわたつてこれを経営管理し、利益を得ると同時に監督官庁の厳重な検査の下に交通の安全を維持する責任も負つていること、一般的に最近一、二年間に自動車数は激増し、従つて自動車運行による道路交通上の危険もまた激増したことは公知の事実であること、また本件資料によれば本件の係争は、抗告人が相手方に対し相手方が自動車通路として抗告人町から借受けていた本件道路敷地の返還を請求したことから端を発し、当事者双方とも附近景勝の地にたいする観光事業による利益を収めんため各自管理する道路の利用を確保増進しようとするところから争を激化せしめ、いずれも最大限に法的手段に訴えてその権利の主張を遂げようとしていることを認め得られること以上の事実を綜合すると少くとも昭和三七年五月抗告人から相手方に対し前記道路敷地の返還請求のあつた以後は、交叉する本件道路の自動車交通量は勿論のこと、当事者間の関係も従来の状態とは全く一変したことを認め得る。 いする観光事業による利益を収めんため各自管理する道路の利用を確保増進しようとするところから争を激化せしめ、いずれも最大限に法的手段に訴えてその権利の主張を遂げようとしていることを認め得られること以上の事実を綜合すると少くとも昭和三七年五月抗告人から相手方に対し前記道路敷地の返還請求のあつた以後は、交叉する本件道路の自動車交通量は勿論のこと、当事者間の関係も従来の状態とは全く一変したことを認め得る。以上各認定の諸事実を考慮すると、抗告人の本件代執行も単にその形式のみを見て直ちに法規の正当な執行と断ずるに躊躇すべきものがあり、固より右執行がなされることによつて相手方が著しい損害をこうむることなしとも保しがたいところである。また抗告人の管理する本件町道の通行が遮断されることにより、これを利用してC高原に至らんとす り、固より右執行がなされることによつて相手方が著しい損害をこうむることなしとも保しがたいところである。また抗告人の管理する本件町道の通行が遮断されることにより、これを利用してC高原に至らんとする一般観光客が迷惑をこうむり、抗告人町の現在企図した観光施設工事の遅延乃至困難を来すであろうことは抗告人提出の疎明資料により一応これを認められる。しかしそれは係争両道路を平面交叉の現状のまま利用せしむべきであるとの抗告人の主張の正当なことを前提として承認し得るだけで、相手方は前記のとおり、抗告人の町道の利用を絶対に拒否しているものではなく、道路運送法第五一条等に従い立体交叉の方法による利用によるべきで、此の方法による場合は協力を惜しまない旨主張しているのである。従つて抗告人と相手方とが協議し右両道路を適当な方法で利用する途は残されていることが認められ、本件代執行が停止される場合抗告人町の観光事業計画の変更などの障害の起ることはともかく、右観光事業が全く挫折するとなすは当らない。従つて原決定を目して公共の福祉に重大な影響を及ぼすものと謂うこともできない。よつて追加抗告理由第二点も採用できない。以上の次第で本件抗告は理由がないと認められるから主文のとおり決定する。(裁判長判事鈴木忠一判事谷口茂栄判事加藤隆司)
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