- 1 -平成21年(あ)第776号窃盗,強盗殺人被告事件平成24年3月2日第二小法廷判決 主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人村木一郎,同岩佐憲一の上告趣意のうち,憲法13条,36条違反をいう点は,死刑制度がその執行方法を含め憲法に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから理由がなく,その余は,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論に鑑み,記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,被告人が,(1) 知人宅において,知人が部屋を離れた隙に合計約1万円在中の財布等を窃取した窃盗の事案,(2) その6日後に,別の知人宅において,強盗の目的で知人夫婦を殺害して現金約1万円を強取した強盗殺人の事案である。 被告人は,平成18年12月に勤務していた運送会社を仕事の不満等を理由に退職した後,定職に就かず,金銭に困るようになって各犯行に及んでおり,動機や経- 2 -緯に酌量すべき点は認められない。 取り分け重大事案である強盗殺人事件は,平成19年2月,凶器となった鈍体や人を緊縛するのに有効な形状に成形された針金を携行して,知人であるA方を訪問し,A及びその妻Bと昼食を食べ,その後同女が外出した際に,所携の凶器でAの顔面等を多数回殴打して殺害し,そ となった鈍体や人を緊縛するのに有効な形状に成形された針金を携行して,知人であるA方を訪問し,A及びその妻Bと昼食を食べ,その後同女が外出した際に,所携の凶器でAの顔面等を多数回殴打して殺害し,その後外出から戻ったBの頭部を殴打し,同女の頸部,手関節,下腿部を針金で緊縛した上で顔面等を殴打し続けて殺害し現金を強取したものである。被害者はいずれも外傷性脳障害により死亡したものであるところ,左頬骨及び左下顎骨の粉砕骨折など,頭や顔の複数の部位を骨折している。このように,本件強盗殺人は,計画的に敢行されたものであり,その態様も,執ようで,残忍である。何らの落ち度もない2名の被害者の生命を奪ったという結果は重大で,遺族の処罰感情は非常に厳しい。また,被告人は,犯行後,2週間近く逃亡し,その間に殺害に用いた凶器等を投棄するなどの証拠隠滅行為を行った上,知人男性の殺害について強盗目的を否認し,凶器等の準備に関し不合理な虚偽供述をしており,真摯な反省の情をうかがうことはできない。 そうすると,被告人には罰金前科しかないこと,窃盗の事実や被害者2名の殺害の事実を認め,後悔や謝罪の言葉を述べていることなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,その刑事責任は極めて重大であり,原判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官佐藤崇公判出席(裁判長裁判官竹内行夫裁判官古田佑紀裁判官須藤正彦裁判官- 3 -千葉勝美) 千葉勝美
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