平成16(ワ)868 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年1月22日 熊本地方裁判所
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判決文本文49,421 文字)

平成16年(ワ)第868号損害賠償請求事件(口頭弁論終結日平成18年9月25日)別紙省略判決主文 被告は,原告Aに対し金4691万7531円,原告Bに対し金1369万2383円,原告Cに対し金1369万2383円及びこれらに対する平成16年8月26日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その4を被告の負担とし,その余は原告らの負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 請求の趣旨(1)被告は,原告Aに対し金5908万2000円,原告Bに対し金1673万3000円,原告Cに対し金1673万3000円及びこれらに対する平成14年5月14日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)訴訟費用は,被告の負担とする。 (3)仮執行宣言 請求の趣旨に対する答弁(1)原告らの請求を棄却する。 (2)訴訟費用は,原告らの負担とする。 第2事案の概要本件は,被告に勤務していたD(以下「故D」という)が平成14年5月。 14日に自殺したが,故Dの相続人である原告らが,故Dの自殺は,被告にお いて,故Dが自殺前に連日,過重な肉体的・心理的に負荷の高い長時間労働等をしたことによりうつ病に罹患したことが原因であり,被告には故Dに対する安全配慮義務に違反した過失があるなどとして,被告に対し,安全配慮義務違反による債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償請求及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。 前提事実(証拠の引用のない事実は争いのない事実である)。 (1)当事者等原告A(以下「原告A」という)は,平成14年5月14日死亡した故。 求及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。 前提事実(証拠の引用のない事実は争いのない事実である)。 (1)当事者等原告A(以下「原告A」という)は,平成14年5月14日死亡した故。 Dの妻である。 原告B(以下「原告B」という)は故Dの父である。 。 原告C(以下「原告C」という)は故Dの母である。 。 故Dは,平成8年4月,被告に入社し,死亡に至るまで被告熊本事業部で製造課2課組立2係2班(塗装)の一般従業員(平成14年4月1日以降は塗装班のリーダー)として稼働してきた者である。 被告は,オートバイの部品を含め自動車部品,農業用機械部品等の製造・。 ,(「」。)販売を目的とする株式会社である被告は甲株式会社以下甲という(熊本製作所,浜松製作所)の部品生産工場であり,甲が年間計画(4月から3月まで)及び月計画(毎月3か月先までの計画を示す)を示してくる。 ため,それに沿った数字の部品を納入することになる(甲64。 )(2)故Dの自殺等故Dは心身に健康上の異常のない健康な労働者であった。 しかし,故Dは,平成14年5月14日午後4時ころ,故D及び原告Aの従前の自宅(熊本県a郡b町大字c615番地1号dハイツ所在)で縊頸による窒息により自殺をした(以下「本件自殺」という(甲1。 。))そして,a労働基準監督署長は,原告Aに対し,平成16年3月22日,本件自殺について年金・一時金支給決定通知をした(甲2。 ) 争点 (1)本件自殺と業務の因果関係(業務の過重性等)(2)被告の安全配慮義務違反(注意義務違反)の有無(3)損害額 各争点についての当事者の主張(1)争点(1)について(原告らの主張)以下に述べるとおり,故Dの本件自殺前の労働時間は,それのみで労働者が労働日に長時間にわたり 反)の有無(3)損害額 各争点についての当事者の主張(1)争点(1)について(原告らの主張)以下に述べるとおり,故Dの本件自殺前の労働時間は,それのみで労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして,疲労や心理的負荷が過度に蓄積し,労働者の心身の健康を損なう危険のあるものであるうえ,その他下記の事項により故Dに責任が発生したことなどを考慮すれば,故Dの従事していた業務は,うつ病に罹患する程度に過重なものであったといえる。 ①生産数の激増故Dは,被告熊本事業部において,平成8年4月から平成14年3月31日までは一般従業員として,同年4月1日から同年5月14日までは塗装班のリーダーとして稼働していた。被告は主としてバイク生産をしており,バイクの需要が多い時期は例年4月から9月ころまでである。 甲から受注したMJ1リアーパネル(以下「MJ1」という)の生産。 台数は平成14年が過去最高数となり,また,同年4月及び5月の生産台数は例年の2倍となることが予定されていた。 そのため,被告は同年4月から9月までのMJ1の注文数を納期に間に合わせるために,同年1月から3月までの間に前倒しで生産し,甲の受注に対応する計画(以下「ならし生産計画」という)であった。そして,。 被告は,ロボットの負荷を減らしながら(ロボットだけでは生産が間に合),,わないため生産台数を増やすため同年3月から3組2交替制を導入し 1日9時間労働を基本に土日フル稼働体制を取った。 その結果,故Dは,同年1月以降,時間外労働(深夜労働)及び休日出勤が日常化していった。 ②ならし計画の破綻しかし,ベルトコンベアの不調,スケ・ピンホール不良多発,湯じわ多発,水切り乾燥炉において火災発生などによりラインの停止が相次ぎ,その修正作業のために 勤が日常化していった。 ②ならし計画の破綻しかし,ベルトコンベアの不調,スケ・ピンホール不良多発,湯じわ多発,水切り乾燥炉において火災発生などによりラインの停止が相次ぎ,その修正作業のために労働時間数が増えるだけでなく,前倒しで生産するという計画も達成できないままであった。 その結果,4月以降に被告従業員に大きな負荷がかかることは明白となった。そのため,被告従業員から従業員の負荷がかかりすぎるうえ,納期に間に合わないおそれが高いため外注案が出されたが,外注費がかかるため却下されてしまったとのことである。 このため,MJ1の4月以降の生産負荷が,故Dにとって残業並びに品質管理面での心理的負荷という面で大きな負担となっていた。 ③平成14年4月1日以降の組織体制の変更被告は,同年4月1日に組織体制を大幅に変更させた。すなわち,Eが製造2課組立2係2班の班長から製造2課組立1係1班の班長に,F(以下「F」という)がリーダーから班長に,故Dがリーダーに昇進すると。 ともにG(以下「G」という)が新入社員として入社した。Gは故Dが。 亡くなるまで故Dから指導を受ける立場で,被告において有効な戦力とはなりきれていなかった。 しかも,塗装班は,慣れない組織体制で後述する甲の外観品質不良特別展開や大幅に増えた生産数に対応せざるを得なくなった。 ④甲の外観品質不良特別展開による影響ア甲は,外観品質不良特別展開(以下「特別展開」という)を実施す。 ることによって不良品の市場流出を防止し市場問題(クレーム)を平成 15年3月末までに前年比の10分の1以下にしようとした。 そして,甲は,品質向上を図るため,取引先各社を一律に扱うのでは,「()」,「」,なく最も問題のある取引先から特A選定ワースト16社A「B」及び「C」にランク分 下にしようとした。 そして,甲は,品質向上を図るため,取引先各社を一律に扱うのでは,「()」,「」,なく最も問題のある取引先から特A選定ワースト16社A「B」及び「C」にランク分けして,ランクに応じてやるべきことを取り決めた。被告は「特A(選定ワースト16社」に入ったため,甲,)に従業員を派遣して常駐させて受け入れ検査,QG(クオリティーゲスト)を実施することになっていた。 被告は「特A」に選定されたため,平成14年4月以降,その脱却に向けて必死に体制を変革しなければならない状況にあった。 甲の方針を受けて,被告は,現状認識などを分析しているが,被告自身「品質問題を現場で自己完結できない」ことや「後処理体質から脱,皮できない」ことを問題点に挙げ「発生問題を自前解決できる職場へ,」「」,「」の変革や後処理体質から攻めの体質への変革を掲げ検技体制を設立することとした。 。 ,イ同年4月1日から甲の特別展開が実施されたこの特別展開によって被告の不良品率が従前の2パーセントから30パーセントに激増した。 しかも,被告は,同年3月下旬ころ,従業員に向け,特別展開が行われることの通知をしたのみであり,どのレベルの品物が合格・不合格となるのかを周知しなかったため,現場従業員は従前通りに品物を流し,不合格とはねられたらその原因を把握して対処せざるを得なかった。 その結果,前倒し生産計画が破綻したまま例年の2倍の生産をしなければならない状況のうえに,特別展開による不合格品の修正作業が激増したため,時間外労働・休日労働が増大することとなった。 また,不合格品の発生や工程で問題が生じた場合には対策書や解析リポートの作成を命じられるが,リーダーである故Dは,自身に責任が無くとも,職責上,部下とともに,ないしは一人で が増大することとなった。 また,不合格品の発生や工程で問題が生じた場合には対策書や解析リポートの作成を命じられるが,リーダーである故Dは,自身に責任が無くとも,職責上,部下とともに,ないしは一人で勤務終了後や休日に対 策書や解析レポートを作成していた。 被告は,生産増の対応に失敗して生産負荷がかかり,従前より繁忙で緊張状態にあったところ,上述のように,特別展開の実施後は,被告も従業員も対応できていなかったこともあって,通常より緊張状態におかれていた。 ⑤本件自殺前の長時間労働ア平成13年11月15日から,本件自殺日の前日である平成14年5,「()」月13日までの故Dの労働時間は別紙時間外労働時間一覧表主張,(,別表Ⅰ1ないし6別表Ⅱ1ないし6に記載のとおりである別表Ⅰは被告の所定労働時間・休日を基準として故Dの時間外労働を計算したものである。別表Ⅱは,脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準の定める時間外労働の算定方法に基づいて,故Dの時間外労働時間を計算したものである。 。)なお,故Dは勤務終了後や休日に自宅で「対策書「解析リポート」」,及び「QCテーマ登録用紙」を作成していたが,上記労働時間は,この点を全く考慮していない。また,被告熊本事業部においては作業服及び安全靴等を着用することが義務づけられていたが,タイムカードは出勤時においては着用後,退勤時には作業服及び安全靴の着脱前にタイムレコーダーに記録することとなっていたことに留意しなければならない。 さらに,原告らは,昼の休憩時間は1時間と計算して故Dの労働時間を計算しているが,午後0時45分から職場でのミーティングが開始しており,実際の休憩時間は45分と考えられる。また,午後3時の休憩は就業規則上は10分としているが,これが取得できたとしても休憩時間 を計算しているが,午後0時45分から職場でのミーティングが開始しており,実際の休憩時間は45分と考えられる。また,午後3時の休憩は就業規則上は10分としているが,これが取得できたとしても休憩時間は計55分にとどまる。また,故Dは,同年4月1日以降,昼休憩に発注伝票の作成に費やすことがあったが,この点も就業週報には現れていない。 イ故Dは,常日頃から,50時間前後の時間外休日労働を行い,過酷な勤務に従事していたが,平成14年1月(年末年始の休日を考慮すると5か月前から異常とも言える時間外休日労働をさせられていた)以降。 のならし生産計画実施及びその破綻,特別展開,リーダーの昇進などによって本件自殺前3か月前からは心理的にも肉体的にも追いつめられた中,約84時間から約139時間もの時間外休日労働に従事させられ続けたのである。 これらに,対策書等の作成時間(対策書を1枚作成するのに,少なくとも3時間から4時間を要し,さらに,班長のチェックを受けて書き直しを命じられると,1枚当たり10時間ほど作成に要する,QC登。)録用紙作成時間(1件作成するのに約30時間かかる,QCサーク。)ル参加時間,作業服の着脱時間等を考慮に入れれば,故Dは,本件自殺前1か月において,所定労働時間の2倍を優に超える過重業務を行っていた。 このように,故Dの本件自殺前の労働時間は過労死として労働基準監督署長により業務上認定されるラインを大幅に超過する著しい長時間労働であることは明らかである。 ,(「」。),(「」。),ウなおH以下HというI係長以下I係長というF,E,K(以下「K」という,L(以下「L」という)の就業週。)。 報ないしタイムカードに基づいて時間外労働時間を比較したところ,上,()。 記被告従 というI係長以下I係長というF,E,K(以下「K」という,L(以下「L」という)の就業週。)。 報ないしタイムカードに基づいて時間外労働時間を比較したところ,上,()。 記被告従業員の中で故Dの時間外労働時間が最も長かった甲58⑥リーダー昇進による肉体的・心理的負荷故Dは,平成14年4月1日からリーダーに昇進し,慣れない業務に就くことになったことから,肉体的・心理的にも更なる負荷がかかる状態に追い込まれた。すなわち,特別展開によって,これまで合格レベルの商品が不合格となることが大幅に増えたことやライン作業でのトラブルやミス が続発したため,故Dは責任者として対処しなければならなくなった。 被告自身労働災害補償保険・・・申請書と題する書面の申請書甲,「」(11。以下「労災保険申請書」という)の災害の原因及び発生状況の欄。 に「又,同時期にリーダーに昇格した為作業者教育や不良対策の責任が増えた。さらに,リーダーとして会社側の期待もあり,本人への指導は厳しかった」と記載している。 。 ⑦塗装班の欠員への対応塗装班の一員であったM(以下「M」という)は,夫が脳梗塞で倒れ。 たため,同年3月7日から同月12日まで,また,父が倒れたため同年4月1日から同月8日まで休暇を取った。そのため,塗装班の故DないしLがドライブフェイスの出荷やバイパスキャップの空気漏れ・圧力検査を行わざるを得なくなった。 また,塗装班の一員であったKが,同年5月10日に被告の早出のために出勤する途中で交通事故を起こして,同日から同月11日まで2日間,被告の勤務を休んだ。塗装班においてはぎりぎりの人員で生産数の増大や特別展開等に対応していたところにライン作業員1名の欠員が出た。Kが欠勤したことによるしわ寄せは塗装班,特にその現場のリー 2日間,被告の勤務を休んだ。塗装班においてはぎりぎりの人員で生産数の増大や特別展開等に対応していたところにライン作業員1名の欠員が出た。Kが欠勤したことによるしわ寄せは塗装班,特にその現場のリーダーであった故Dに降りかかったのである。 ⑧I係長による叱責通常,リーダーは直接の上司である班長(本件ではF)から指示や指摘等があるのに,本件ではI係長から直接,リーダーである故Dに対し異常なまでの叱責を日常的に受けていた。 I係長は,特別展開によって,商品自体は前と同じでミスはないが,品質基準が変わった結果,以前の良品が不良品になったという事情,故Dは平成14年4月1日にリーダーに昇進したばかりで業務に慣れていない事情を全く考慮せず,不良品の発生,部下のミス等を全て故Dの責任として いたのである。 ,,。 故Dは本件自殺当日に早退する際にもI係長から叱責を受けていたこの点,長時間労働などによって心身の過労状態に陥り,うつ病などの精神障害の発症の下地が形成されている状態で理不尽な叱責等は,ストレスマグニチュードが高いといわれている。 ⑨被告が認めていた事実労災保険申請書(甲11)には「平成14年)4月から,受注増に,(より繁忙状態となり度々深夜に及ぶ残業で疲労を訴えていた。又,同時期にリーダーに昇格した為作業者教育や不良対応の責任が増えた。さらに,リーダーとして被告側の期待もあり,本人への指導は厳しかった」と記載されている。 被告は,被告には甲からの受注が多く,時間外休日労働が増え,故Dが疲労を訴えていたこと,受注増だけでなく特別展開の実施時期と故Dのリーダー昇格時期が重なったこと,同時期に作業者教育を施さなければならない従業員が存在し作業効率が落ちていたこと,故Dに作業者教育の負担があったこと,故Dの上司が故Dに対して「厳し 実施時期と故Dのリーダー昇格時期が重なったこと,同時期に作業者教育を施さなければならない従業員が存在し作業効率が落ちていたこと,故Dに作業者教育の負担があったこと,故Dの上司が故Dに対して「厳しい指導(前述のとおり」異常なまでの叱責であったことが判明している)をしていたことを認め。 ざるをえなかった。 ⑩故Dが本件自殺当時うつ病に罹患していたこと本件自殺については,a労働基準監督署長が,原告Aに対し,平成16年3月22日,本件自殺について年金・一時金支給決定通知をしている。 そして,故Dの精神障害等の認定について,a労働基準監督署長は,故Dが,平成14年4月中旬以降,食欲不振,不眠,自責の念,疲弊,興味の喪失等といったうつ病の典型的なエピソードを示し,本件自殺までにうつ病に罹患していたものと判断していることから,故Dがうつ病に罹患していたことは明らかである(甲61。 ) ⑪小括故Dは,平成14年1月以降,前倒し生産のため,長時間労働を継続し,,ていただけでなく同年4月1日にリーダーに昇進し慣れない業務に就きそれとともに甲の要求で始まった特別展開によって不良品が増大及びトラブルの続出に対応しながら,被告も経験したことがない生産台数を納期通りに達成しなければならない精神的重圧の下で長時間労働を継続していた。 したがって,故Dは,まさしく,本件自殺に近接した時期には「長時,間労働が心身の余力や予備力を低下させ,ストレス対処能力を大幅に低下させ,その結果,ちょっとしたストレスフルな出来事に対してもパニックに陥りやすい状態」に追い込まれていた。 このように,故Dは,長時間労働によって,ストレス対処能力が大幅に減退して「ちょっとしたストレスフルな出来事』に対してもパニックに『陥りやすい状態」に追い込まれていた中「ストレス・ 込まれていた。 このように,故Dは,長時間労働によって,ストレス対処能力が大幅に減退して「ちょっとしたストレスフルな出来事』に対してもパニックに『陥りやすい状態」に追い込まれていた中「ストレス・マグニチュード」,(心理的負荷)の高い「いじめ,嫌がらせ」をI係長から受け続けてい,たのである。 その結果,故Dは,同月中旬ころから,食欲が減退し睡眠も満足にとれなくなり,同僚らにも疲弊した様子が明らかにうかがわれ,顔色は悪く,笑顔が消え,同僚と談笑することなく無口になっていった。 このように,故Dは過重な業務による肉体的・心理的負荷が加わるなかでうつ病を発症し,同年5月14日,本件自殺に至ったのであり,業務とうつ病(精神障害,本件自殺との相当因果関係は明らかである。 )(被告の主張)①故Dの勤務状況そもそも,故Dは,被告に勤続7年,入社以来専ら塗装業務を担当し,慣れた職場で慣れた作業内容をこなしていた従業員であった。増産やイベ ントによる繁忙期,それとは反対に,定時午後5時台の退勤,深夜時間帯勤務ゼロ,長期大型連休ありの閑散期とを繰り返し,丸7年間,問題なく勤務を続けていた。 故Dは,リーダー同様の仕事は平成13年から担当し,平成14年4月以降とりたてて特別な仕事が増えたわけでもなかった。I係長による叱責も通常どの会社でも聞かれる上司から部下への指導の域を出るものではない。平成14年,故Dが経験済みの労働環境において,特段の変化はなか。 ,,()ったそして故Dの作業内容は塗装工程の中の段取り取り外し準備等であったところ,これは肉体的・心理的に過酷な作業ではなく,緊張を強いられるような作業ではない。 また,故Dの出勤状況の実態は,以下のとおりであり,到底,異常や過重というものではなかった。 ア平成13年12月 ,これは肉体的・心理的に過酷な作業ではなく,緊張を強いられるような作業ではない。 また,故Dの出勤状況の実態は,以下のとおりであり,到底,異常や過重というものではなかった。 ア平成13年12月休日は9日,半休は2日,そして有給(全休)1日と月の3分の1が休暇である。また,深夜10時以降の勤務は全くなかった。 イ平成14年1月年初6連休を含め,休日は10日,有給(半休)2日,そして前月同様,月の3分の1が休暇である。また,深夜10時以降の勤務は全くなかった。 ウ同年2月休日は5日,有給(全休)は2日,そして有給(半休)は1日と休暇は週休2日相当である。また,深夜10時以降の勤務が2日あったが,その後は連休であった。 エ同年3月休日は7日,深夜10時以降の勤務は1日だけであり,その日の翌日(土曜日)は早出となったが午前中で退勤,翌々日は休日であった。 オ同年4月以降同年4月をみても,故Dの退勤時間が深夜時間帯の午後10時以降となったのは,出勤日数25日間中,8日間しかなかった。休日は合計5日間を確保,月末からはゴールデンウィークの大型連休に入った。故Dに恒常的な長時間労働の継続はない。 また,同年5月も同様である。月初はゴールデンウィークの4連休,5日は午後5時台で退社,その後5日間深夜勤務が続いたが,11日は,,。 1時間だけ出勤12日はまたも休日死亡前日は午後8時に帰宅したここでも恒常的な長時間労働の継続はない。 なお,故Dの退勤時間が午後10時を越えた日の連続は,4月では2日間が2回だけ,5月をみても連休と休日の間に,5日間続いたことが一度あっただけである。 確かに,故Dの深夜10時以降の勤務は増えたが,その理由は,いわゆる繁忙期となった,それだけである。 しかるに,勤続7年を経た故Dは,同等の出勤状況を幾度 ,5日間続いたことが一度あっただけである。 確かに,故Dの深夜10時以降の勤務は増えたが,その理由は,いわゆる繁忙期となった,それだけである。 しかるに,勤続7年を経た故Dは,同等の出勤状況を幾度か体験し,また,それとは反対に,定時午後5時台の退勤,深夜時間帯勤務は全くなく,長期大型連休ありの閑散期を幾度も体験していた。 以上のとおり,7年間,慣れた職場で稼働していた故Dにあって,特段,過重な労働状況は存在せず,特段の心理的・肉体的負荷は存在しなかった。 ②原告らの主張する各書類作成についてア改善提案書について,平成14年,故Dは1枚も作成していない。作成が義務づけられていたこともない。 イ社内品質トラブル対策書については,平成14年,故Dがパソコンで作成したのは所定書式によるA4用紙1枚だけである(甲8-13。 )特別の負担とはいえず,この点の原告らの主張にも理由がない。 ウQCサークル活動計画・結果報告書については,故Dが平成14年に作成したのは同年4月2日付所定書式に書き入れた1枚だけである甲,(9の5。なお,QCサークル活動は,通常,午後0時50分ないし午)後1時10分の20分間,ラインを止めて行い,活動計画・結果報告書。 ,はこのサークル活動で徐々に作成していくものである故Dの入社以来継続的に行われていたものであり,平成14年,故Dに特別の負担がかかったものではない。 ③故Dの生活状況等平成14年に入って,故Dは,新たに自動二輪の運転免許を取得した。 この免許を取るため,故Dは,日々の退勤後,元気に教習場に通い続けていたのであり,過重で反生理的な労働は存在していなかった。その後,故Dは,HONDA・ホーネット250CC(価格約55万円)の新車を購入,同僚らに対し「買っちゃった」と嬉しそうに話していた。 続けていたのであり,過重で反生理的な労働は存在していなかった。その後,故Dは,HONDA・ホーネット250CC(価格約55万円)の新車を購入,同僚らに対し「買っちゃった」と嬉しそうに話していた。 。 同年3月17日(日曜日)には,上記HONDA・ホーネットにより,同僚8名と一緒に,b・c~j~f山g~k町~h~j~iの経路で,約8時間のツーリングを楽しんだ。 故Dは,同年4月27日,熊本勤労者福祉会館での新入社員歓迎会に出席,労働組合組合員と歓談,談笑した。故Dに,食欲減退とか睡眠がとれないという話はなく,疲弊した様子はなかった。故Dの顔色は変わらず,笑顔があった。同僚らと遊び,談笑していた。故Dには,うつ病の兆候すら認められなかったのである。 ④生産台数の増加量等過去最高となったMJ1の生産台数は,同年1月ないし3月は各1000から2000台で推移,同年4月は5249台,同年5月は8022台(故Dは5月15日以降は業務に関わっていない,多い月でも被告熊。)本事業部全体のせいぜい約2パーセント未満,塗装物全体のせいぜい約1 割程度が微増したに過ぎなかったのである。 MJ1の生産数増加やならし生産計画は,平成14年の故Dの業務に特段の変化をもたらさなかった。 また,ならし生産計画が未達に終わったのは,塗装の問題ではなく,鋳造工程の遅れであり,バフ工程の担当者が3組2交替制でバフロボットを操作管理して対応したが,故Dはバフ工程を担当せず,3組2交替制での作業も負担しなかった。 ⑤トラブルの発生,組織体制の変更等についてア原告の主張するベルトコンベアの不調などは,いずれも日常業務上,不可避的に発生する出来事,必要な作業である。平成14年に忽然と生じたわけでなく,勤続7年の故Dは何度も経験していたことであった。 ピンホールの修 するベルトコンベアの不調などは,いずれも日常業務上,不可避的に発生する出来事,必要な作業である。平成14年に忽然と生じたわけでなく,勤続7年の故Dは何度も経験していたことであった。 ピンホールの修正作業とは,ベルトコンベアから離れて部品の表面を紙ヤスリでこする作業であり,追われることはありえず,湯じわの原因は塗装工程に入る前の鋳造工程の問題であり,故Dには関係がない。 また,塗装は,全自動の塗装専用ロボットによって行われており,再塗装の負担が人間にかかることはない。そして,塗装専用ロボットは,ロボットだけが設置された密閉空間で稼働し,塗装を行っているのであって,人間には関係がない。 ,,,平成14年故Dは忽然と経験のない対応を迫られたわけではなく故Dに特別の過重で反生理的な負荷がかかったことはない。 さらに,実際の現場では,繁忙期があり閑散期があり,このことを勤続7年の故D自身,何度も経験し,十分に分かっていたのである。故Dが,いつ終わるか分からないような過酷で反生理的な労働を強いられていたことはない。 イまた,被告において,特別展開等の顧客の要望やイベントは,不定期的に行われており,勤続7年の故D自身,何度も体験していたことであ って,平成14年,突然,特別の負担が増えたことはない。 ウ業務担当者の変更に関しても,人員の入れ替えと業務態勢の変更は平成14年に限らず行われていたことであり,同年突如,故Dに特別な負担をかけたものではない。 なお,本件自殺当時,故Dを含めた塗装担当者は合計10名であったところ,故Dの死亡後,2年間,塗装部門は合計10名には戻らないまま業務を遂行し続けている。同年5月15日以降は合計9名で,それまでどおりの作業がこなされ,例年どおり繁忙期を乗り切り,その後は閑散期となった。翌年以降は,合計8名, 部門は合計10名には戻らないまま業務を遂行し続けている。同年5月15日以降は合計9名で,それまでどおりの作業がこなされ,例年どおり繁忙期を乗り切り,その後は閑散期となった。翌年以降は,合計8名,7名の時期があり,それでも,。 ,それまでどおりの作業がこなされたこれらのことからも分かるように故D一人に特別な負担がかかったことはなく,故D一人に欠員による負担がかかったことはなかった。 ,,エ原告らは塗装班の欠員によって故Dの負担が増加した旨主張するがMが休暇をとった同年3月7日ないし同月12日,同年4月1日ないし8日,Kが休んだ同年5月10日ないし同月11日の各期間において,その前後と比較して故Dの退勤時間には特段の変化がみられない。この間,故Dには休日もあり,連休もあった。 ⑥リーダーへの昇格について平成14年4月,24期のはじまる4月に併せて人員異動と昇格が行われ,故Dにはリーダーの肩書がついたが,故Dは従前と同じ段取りを担当。 。 していたリーダーの肩書で新たに特別の責任を問われたことはなかった⑦小括以上のとおり,故Dの業務は過重なものとはいえず,特段の肉体的・心理的負荷は存在しなかったのであるから,故Dの自殺と業務との間に因果関係はない。 (2)争点(2)について (原告らの主張)①被告に予見可能性があること労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして,疲労や心理的負荷が過度に蓄積すると,労働者の心身の健康を損なう。「」ことは周知のところである長時間にわたり業務に従事する状況が継続することについて,被告に認識があれば,うつ病自殺の結果発生は予見し得たといえる。被告(その履行補助者たる上司ら)が,故Dのうつ病発症による本件自殺を具体的に予見することは,安全配慮義務違反発生の要 することについて,被告に認識があれば,うつ病自殺の結果発生は予見し得たといえる。被告(その履行補助者たる上司ら)が,故Dのうつ病発症による本件自殺を具体的に予見することは,安全配慮義務違反発生の要件ではない。 そして,被告自身が作成した労災保険申請書(甲11)には「4月か,,」ら受注増により繁忙状態となり度々深夜に及ぶ残業で疲労を訴えていたとあるように,被告は,故Dが長時間労働等による業務によって,心身共に疲労状態にあったことを認識していた。 被告が故Dに従事させていた業務は,短期的にみても長期的にみても,うつ病を生ずる危険のある長時間労働であり,この過重業務についての認識がある以上,故Dのうつ病発症と本件自殺についても予見可能性があったものである。 なお,被告は,故Dに対し,直近6か月については全て45時間を超える時間外休日労働,直近3か月に限っても,84時間48分,118時間32分,139時間18分と長時間の時間外労働・休日労働に従事させていたことは明らかで,当然,被告自身もそのことを認識しており,故Dが過労によりうつ病に罹患して自殺する可能性のあることを十分予見することができたのであるから,この点からも被告が予見可能性を有していたといえる。 ②安全配慮義務違反(注意義務違反)があることア使用者は,労働者に対して,労働契約に付随する債務としての安全配 慮義務を負う。その具体的内容として,使用者は,その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し,業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり,使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は,使用者の上記注意義務の内容に従って,その権限を行使すべき義 健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり,使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は,使用者の上記注意義務の内容に従って,その権限を行使すべき義務を負う。 また,厚生労働省の平成14年2月12日付「過重労働による健康障害防止のための総合対策について(基発第0212001号)によっ」て,使用者は,労働者の労働時間を把握したうえ原則として月45時間を超える時間外労働を行わせるべきではなく,仮に月45時間を超える時間外労働を行わせる場合には,特に労働者の心身の健康に配慮する義務を負担している。 イ被告は,故Dに,本件自殺直前の3か月において約84時間から約139時間前後という反生理的な長時間労働に従事させていた。なお,被告は,被告労働組合との間で時間外休日労働に関する協定届(いわゆる36協定)を締結しているが,故Dに対して,協定の上限である1か月当たり45時間の2倍以上である100時間以上の時間外労働に従事させたのである。また,同協定において「目安を超えて労使が協議の上延」,長することができる時間として1か月当たり61時間とされているが故Dの時間外労働時間はかかる61時間も大幅に超えるものである。 しかも,その業務内容は前記のとおりならし生産計画の破綻,特別展開による厳しい品質管理の下,リーダーに就任したばかりの故Dに過重な心理的負荷のかかるものであった。かつ,故Dが心理的に疲弊した状況であったにもかかわらず,上司からは支援どころか,不良品の発生を故Dの責任とする叱責が加えられていたものである。 被告には,故Dに心理的負荷が過度に蓄積しないよう,その業務量, 業務内容並びに労働時間を管理した形跡は全くない。 ,,したがって故Dに過度な心理的負荷をもたらした長時間過密労働は被 ある。 被告には,故Dに心理的負荷が過度に蓄積しないよう,その業務量, 業務内容並びに労働時間を管理した形跡は全くない。 ,,したがって故Dに過度な心理的負荷をもたらした長時間過密労働は被告が故Dに対する安全配慮義務を懈怠したために生じたものであり,それに起因する本件自殺につき,被告は責任を負う。 また,被告の注意義務違反等は,故Dの具体的な変化(ましてやうつ病罹患の事実)などの認識の有無を問わず肯定されるが,本件の場合,被告は,故Dの疲弊ぶりなど具体的な症状や様子について認識しまたは認識し得たのであるから,被告はその責任を免れない。 (被告の主張)被告に予見可能性はなく,また,安全配慮義務違反もないことから,原告らの主張は争う。 故Dにあっては,業務が過重で疲弊していた状況はみられず,うつ病の兆候など全くみられなかった。これらを認識しうる状況,言動や行動は故Dにおいては見受けられず,被告が,故Dの死という結果を生じうるような体調の変化や環境の変化もなかった。故Dの死亡について,被告が予見することは不可能であり,結果回避義務違反は存在しない。 (3)争点(3)について(原告らの主張)①死亡による逸失利益金5990万2000円故Dの本件自殺前の月々の賃金の平均日額(労働者災害補償保険法上の給付基礎日額)は,被告において不払い分の時間外・休日労働についての割増賃金を算入すると(労働基準監督署長の給付基礎日額の算定にあたっては算入していない)1万0806円となる。 。 また,故Dの本件自殺前1年間に支給された賞与の額は93万2982円(平成13年7月10日分46万3083円,同年12月11日分46万9899円の合計)となる。 よって,年収は,1万0806円に365を乗じ,93万2982円を加えた487万7172円となる 円(平成13年7月10日分46万3083円,同年12月11日分46万9899円の合計)となる。 よって,年収は,1万0806円に365を乗じ,93万2982円を加えた487万7172円となる。 したがって,故Dの死亡による逸失利益は,生活費控除を30パーセント,死亡時24才で67才まで43年間就労可能であるとしてライプニッツ係数を17.546として,下記の計算式により5990万2000円となる。 記487万7172円×(1-0.3)×17.546=5990万2000円(1000円未満切捨て)②死亡による慰謝料金3000万円③葬祭料金150万円④弁護士費用金900万円⑤損害総額金1億0040万2000円⑥原告らによる相続,,原告Aは上記損害総額の3分の2である6693万4000円原告B原告Cはそれぞれ6分の1ずつである1673万3000円ずつを相続した。 ⑦損益相殺金785万2000円原告Aは,労災保険より遺族補償年金を受給しており,労災保険法64条1号の履行猶予額(給付基礎日額の1000日分)は,785万2000円となる。 ⑧原告らの請求額以上から,本件における原告らの請求額は,原告Aについては損益相殺後の5908万2000円,原告B,原告Cについてはそれぞれ1673万3000円ずつとなる。 (被告の主張) 原告の主張は全て否認もしくは争う。 第3当裁判所の判断 前記前提事実に加え,本件証拠(甲1,2,3(枝番を含む,5,6,。)7(枝番を含む,8(枝番を含む,9の5,10ないし29,31,3。)。)2(枝番を含む,35,40ないし49,51ないし58,59(枝番を。)含む 枝番を含む 64ないし66乙1ないし6 枝。),(。),,,, 9,31,3。)。)2(枝番を含む,35,40ないし49,51ないし58,59(枝番を。)含む 枝番を含む 64ないし66乙1ないし6 枝。),(。),,,,(番を含む,8,9(枝番を含む,10(枝番を含む,11,15ない。)。)。)し55,証人F,同N,原告A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実を認めることができる(各項末尾に掲記した証拠は,各項記載の事実を認定す。 るに当たって主として用いたものである)。 (1)故Dについて①故Dは,平成8年4月,被告に入社し,平成14年5月14日に死亡す,,,,るまで被告熊本事業部に所属し製造2課組立2係2班において専ら塗装業務を担当していた。故Dは,同年4月1日からは,塗装班のリーダーとして稼働してきたが,平成13年からは,日程調整などリーダーの仕事を行ってきた。ここに日程調整とは,後工程の組立部門で翌日必要とされる部品の数をリストアップして塗装部門の生産数量を計画し,その前工程の加工部門に伝える作業をいう。 故Dは,被告勤務7年目にてリーダーとなったが,Fは被告勤務7年目で,I係長は被告勤務6年目でリーダーとなっていた。 本件自殺当時,故Dが担当していた主な業務は,段取りである。この段取り作業は,塗装物がコンベアに取り付けられた後,全自動塗装ロボットで塗装され,取り外しの場所に戻ってくるまで約3時間の間に,台車のついた空き箱を転がしてきて並べる作業をいう。 ②故Dは,熊本県a郡b町c615-1dハイツ所在の自宅から被告熊本事業部まで自動車で通勤しており,通勤時間は約15分であった。 ③故Dは,職業生活における適応に困難を認められたことがなく,また,入社以来,本件自殺当日まで「うつ病」ないし「うつ傾向」との診断 事業部まで自動車で通勤しており,通勤時間は約15分であった。 ③故Dは,職業生活における適応に困難を認められたことがなく,また,入社以来,本件自殺当日まで「うつ病」ないし「うつ傾向」との診断を,受けたことがなかった。 故Dは,被告熊本事業部においては,責任感が強く,仕事にまじめであり,明るい人という印象を持たれていた。 ,,,(),なお故Dは平成13年12月19日腰痛症と診断され甲41以降,本件自殺日まで腰痛があった。 (2)被告熊本事業部における勤務体制等①タイムカードについて被告熊本事業部では,従業員が出勤及び退勤する際には必ずタイムカードが打刻されていた。 なお,被告熊本事業部においては作業服及び安全靴等を着用することが義務づけられていたが,タイムカードは出勤時においては着用後,退勤時には作業服及び安全靴の着脱前にタイムレコーダーに記録することとなっていた。 ②就業時間ア被告の就業規則(甲10)第10条によれば,就業時間については,「従業員の1日の労働時間は,8時間とし休憩時間は60分とする。但し,勤務の都合により,指定職場については10分を追加休憩させる場合がある」とされている。また,同条において,始業時刻は午前8時。 10分,終業時刻は午後5時10分,休憩時間は正午より50分,午後3時より10分間とされている。 したがって,被告における1日の所定労働時間は8時間であり,1日の所定拘束労働時間は9時間であると認められる。 なお「社員入社指導マニアル」と題する書面(甲14)によれば,,被告熊本事業部においては,午前7時55分から朝の掃除から始業し, 休憩時間中の午後0時45分からミーティングが行われることとされている。 イ平成14年4月1日に,被告及び被告労働組合の間で締結された時間 においては,午前7時55分から朝の掃除から始業し, 休憩時間中の午後0時45分からミーティングが行われることとされている。 イ平成14年4月1日に,被告及び被告労働組合の間で締結された時間外労働・休日労働に関する協定届(甲35)によれば,被告熊本事業部における所定労働時間は8時間とされ,延長することができる時間は,1か月当たり45時間,1年当たり360時間とされている。 また,上記の目安を超えて労使が協議の上延長することができる時間(法定以外の休日を含む)は1か月当たり61時間,1年当たり54。 4時間とされている。 ③被告熊本事業部塗装班の作業内容(甲55,乙8)故Dが所属していた被告熊本事業部塗装班の作業内容は,下記のとおりである。 ア鋳造~加工~バフ工程まず,溶かしたアルミを鋳造機が金型に入れて部品の原型にし,外注作業員の手で仕上げられる(鋳造工程。 )次に,これを自動加工機が加工し,細部の凹凸,カーブ,ネジ穴などをつける(加工工程。 )このように鋳造・加工されたアルミ部品を,次に,バフロボットと呼ばれる自動機械が製品の表面を研磨する。研磨には,表面を荒目の研磨材で研磨し表面をならす「粗研磨」と布製の研磨剤で磨き上げ鏡面上に研磨する「鏡面研磨」がある。 研磨材が部品の表面に残ることがあるが,これは手作業で取り除くこととされている(バフ工程。 )イ塗装工程バフ工程の次が,塗装工程である。塗装工程においては,研磨が終わった部品の表面が塗装される。全自動の塗装ラインがあり,塗装専用ロ ボットによって塗料が自動的に吹き付けられる。 (ア)取り付け塗装専用ロボットが稼働する前に取り付け作業がなされるが,かかる取り付け作業は人間によって行われる。 取り付け作業とは,研磨が終わった部品を,ベルトコンベアに吊された基 けられる。 (ア)取り付け塗装専用ロボットが稼働する前に取り付け作業がなされるが,かかる取り付け作業は人間によって行われる。 取り付け作業とは,研磨が終わった部品を,ベルトコンベアに吊された基軸にひっかけ,取り付ける作業である。取り付けが終わった後は,ベルトコンベアが塗装専用ロボットまで部品を運んでいく。 (イ)塗装,,,ベルトコンベアに吊された部品は次に全自動塗装ラインに入り塗装専用ロボットで塗装される。ロボットが,人間のいない密封された空間で塗料を吹きつけ,塗装する。 この作業においては,塗装ロボット,レシプロロボットの操作や一部補正等が人間により行われる。 (ウ)段取り(取り外し準備)全自動塗装ラインでの塗装が終わるまでの間に,取り外しの準備が行われる。ベルトコンベアが部品を運び,塗装を終えて再び戻ってくるまでには,約3時間を要する。 段取り作業とは,その間に,部品を取り外して収納するための空き箱を準備する作業である。黄色の空き箱でキャスターがついている。 これを取り外しの場所(取り付け場所と同じ)まで転がしてきて,並べる。 (エ)取り外し塗装の終わった部品をベルトコンベアの基軸から取り外す作業である。取り外し作業は,ベルトコンベアの基軸から部品を検査しながら外し,段取りで準備された空き箱に入れる作業である。 塗装班が担当するライン作業は,この取り外し作業で終了する。 取り付け作業及び取り外し作業において,部品はかごごと取り付け,。 及び取り外しを行うため重いもので重量は約20キログラムになるウコンパウンド修正コンパウンド修正とは,塗装を終えた部品の中には,表面に異物が残る部品があり,これを取り除く作業をいう。ライン作業からは離れた別の作業であり,塗装班の担当作業である。 この段階の部品は,既に塗装を終 コンパウンド修正とは,塗装を終えた部品の中には,表面に異物が残る部品があり,これを取り除く作業をいう。ライン作業からは離れた別の作業であり,塗装班の担当作業である。 この段階の部品は,既に塗装を終えベルトコンベアから取り外されており,その部品の表面を紙ヤスリをこすることになる。 エ以上の過程を経て,塗装を終えた部品は組み立てられ(組立工程,)製品となって出荷される。 オ塗装班における仕事は,体力がいる職場であり,運搬が多く,重い物を運んだりする必要がある点で,被告熊本事業部従業員にとって負担が大きい。 ④リーダーの職責被告熊本事業部製造2課機能組織図(業務分掌表(平成14年4月1)日(月)作成(甲32の2)によれば,故Dは,製造2課2係2班ライ)ンリーダーとして,以下の業務を行うこととされた。 ア月度内担当Gr生産計画の作成と推進イ月度内担当Grの予算,残業管理,勤怠管理ウ3SGr内実務責任者エQCCの活動推進オ担当Grの出来高/日確認とコスト反映カY-TPM自主保全/個別改善の推進キ担当Grの仕損じ確認と改善活動クPCラン実績入力と日々調整ケ原価低減活動の計画立案と推進 ⑤被告における従業員の健康管理状況被告熊本事業部においては,例年3月ないし5月が繁忙期となり,従業員は深夜10時ないし11時ころまでの勤務を余儀なくされたが,特に従業員に対し,メンタルヘルスなどを行うことはしていなかった。 他方,被告においては,1年に2回定期的に,有機溶剤等健康診断を従業員に受診させており,故Dもこれを受診していた(甲40の1,2。 )(3)故Dの勤務状況(平成13年12月21日ないし本件自殺前日まで)①故Dの勤務時間(概観(甲3(枝番を含む,証人F))。),()ア平成13年12月2 いた(甲40の1,2。 )(3)故Dの勤務状況(平成13年12月21日ないし本件自殺前日まで)①故Dの勤務時間(概観(甲3(枝番を含む,証人F))。),()ア平成13年12月21日から本件自殺前日平成14年5月13日までの期間における故Dの労働時間は別紙時間外労働時間一覧表認,「(定」別表Ⅰ1ないし5に記載のとおりである。 )この点,同年4月28日の退勤時間は証拠上不明であるから,時間外労働時間数が明確に認定できず,また,同月7日の出退勤時間は証拠上不明確であるからこれを明確に認定することはできないため,同別紙上は「不明」と記載しており,両日については時間外労働時間に加算していない。もっとも,これらのことから,故Dは,本件自殺1か月前の期間に118時間11分を,同1か月前から2か月前の期間に118時間32分を上回る時間外労働をしていたものと認められる。 なお,同別紙は,被告の所定労働時間・休日を基準として故Dの時間外労働を計算したものである。また,休憩時間は一律1日1時間と計算し,空欄の日は,故Dが休日であったことを示すものである。 イH,F,E,K,Lの就業週報ないしタイムカードによると,本件,自殺から3か月以内の時間外労働時間は,上記の者の中で,故Dのそれが最も長いことが認められる。 ウなお,就業週報(甲3の6)によれば,平成14年5月4日に故Dが出勤したとの記載になっているが,これは,故Dが,同年4月27日, 同月28日に出勤した時,以降に代休をとる予定が本件自殺により代休がとれなくなったため,被告においてその分賃金計上をするため現実には休暇であった同年5月4日を出勤扱いにする入力処理を行ったものであることから,同日に故Dが被告において勤務していたとは認められない。また,同月11日についても おいてその分賃金計上をするため現実には休暇であった同年5月4日を出勤扱いにする入力処理を行ったものであることから,同日に故Dが被告において勤務していたとは認められない。また,同月11日についても,就業週報によれば,故Dは午前8時から午後5時20分まで稼働したと記録されているが「残業:休出申,請書(甲13)の同日欄によれば,故Dは午前10時5分ないし午後」3時10分まで生産挽回の作業をしていたとされていることから,かかる限度において故Dが稼働していたものと認められる。 他方,同年4月7日はタイムカードに打刻はないが,下記に認定のとおり,同日,故Dは同月6日に発生した員数不足の不具合について,被告熊本事業部に説明に行っていることから,同日,故Dは勤務していたことが認められる。 エ以上によれば,故Dは,平成13年12月21日ないし平成14年5月13日の本件自殺前日までの144日間のうち合計37日間の休日があったこと,また,平成13年度の年末年始には8連休,本件自殺前のゴールデンウィークの連休として6日間の休日があったことが認められる。 ,()(,,,,②故Dの勤務生活状況平成14年3月甲3の4 乙12,10(枝番を含む)。)ア3月1日故Dは,午前7時50分に出勤し,午後6時11分にタイムカードを打刻して帰宅した。 イ同月2日(土曜日)故Dは,午前6時53分に出勤し,午後0時にタイムカードを打刻して帰宅した。 ウ同月3日(日曜日)故Dは,1日休暇であり,稼動しなかった。 エ同月4日ないし8日故Dは,各日,午後6時40分,午後6時47分,午後7時48分,午後7時37分,午後6時40分にタイムカードを打刻して帰宅した。 オ同月9日,10日(土曜日,日曜日)故Dは,2日間休日であり, 日故Dは,各日,午後6時40分,午後6時47分,午後7時48分,午後7時37分,午後6時40分にタイムカードを打刻して帰宅した。 オ同月9日,10日(土曜日,日曜日)故Dは,2日間休日であり,稼動しなかった。 カ同月11日ないし15日故Dは,各日,午後8時24分,午後7時38分,午後6時52分,午後7時20分,午後11時10分にタイムカードを打刻し帰宅した。 キ同月16日(土曜日)故Dは,午前5時56分に出勤,午前11時15分にタイムカードを打刻して帰宅した。 ク同月17日(日曜日)故Dは,1日休暇であり,稼動しなかった。 故Dは,同日,同僚8名と熊本県a郡b町・eの駅で合流し,HONDA・ホーネットでf山南側の山道をツーリングした。そして,故Dとgヶ浜では写真撮影するなどし,午後3時ころまでツーリングを楽しんだ。 ケ同月18日ないし22日故Dは,各日,午後9時8分,午後8時31分,午後7時40分,午後8時9分,午後9時27分にタイムカードを打刻し帰宅した。 故Dは,22日,品質トラブル対策書(甲8の3)を作成した。 コ同月23日(土曜日)故Dは,午前8時に出勤,午後5時10分にタイムカードを打刻して帰宅した。 サ同月24日(日曜日)故Dは,1日休暇であり,稼動しなかった。 シ同月25日ないし29日故Dは,各日,午後9時23分,午後9時1分,午後6時37分,午後6時22分,午後7時50分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ス同月30日,31日(土曜日,日曜日)故Dは,2日間連休であり,稼動しなかった。 ③故Dの勤務,生活状況(平成14年4月(甲3の5,6,8(枝番を)含む,13,乙3,4)。)ア4月1日故Dは,午後7時30分にタイムカードを打刻し帰宅した。 イ同月2日故Dは,レシプロ,ロボットエ 生活状況(平成14年4月(甲3の5,6,8(枝番を)含む,13,乙3,4)。)ア4月1日故Dは,午後7時30分にタイムカードを打刻し帰宅した。 イ同月2日故Dは,レシプロ,ロボットエアーレギュレター交換のため,残業を行い,午後8時28分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ウ同月3日故Dは,GBJ-74R/P(NH35)とKEBKR/P(NH146)の違組みの不良が発生したため「不良発見時・即ライン停止行,動A」と題する書面(甲8の11)を作成することとなった。故Dは,午後11時12分にタイムカードを打刻し帰宅し,上記書面を自宅において,深夜3時ころまで作成した。 エ同月4日故Dは,QCサークル活動計画・結果報告書(甲9の5)の作成作業をした。また,故Dは,2000台以上「PW原告AO/PCハンガー取り付け」があったため,残業を行い,午後9時にタイムカードを打刻し帰宅した。 オ同月5日 この日「GETF/P4/6搬入分102台/270台不足」の不,具合が生じた。また,故Dは,2000台以上「PW原告AO/PCハンガー取り付け」があったため,残業を行い,午後9時20分にタイムカードを打刻し帰宅した。 カ同月6日(土曜日)故Dは,被告熊本事業部に午前7時57分に出勤し,MJ1(100台)をコンパウンド修正するなどの作業に従事した。 故Dは,同日,R/Bメンテの立ち会いをしながらD/Fの出荷を行っていたところ,空のトレーを流してしまったため,員数不足の不具合を発生させてしまった。なお,かかる不具合が発覚したのは,翌日の7日午前中である。 ,,。 故Dはこの日午後3時50分にタイムカードを打刻して帰宅したキ同月7日(日曜日)この日,同月6日に発生した上記員数不足が発覚したため,故DにX。 ,,, 日の7日午前中である。 ,,。 故Dはこの日午後3時50分にタイムカードを打刻して帰宅したキ同月7日(日曜日)この日,同月6日に発生した上記員数不足が発覚したため,故DにX。 ,,,から連絡があったそのため故Dは被告熊本事業部に赴きXに対し不具合の事情について約30分の説明を行った。その後,故Dは,被告熊本事業部製造課のR検技のもとに不具合の事情について説明を行った。 なお,故Dは,この日以降に,同月8日付で,まず手書きにて,社内()「()」品質トラブル対策報告書甲46内の原因発生原因・流出原因及び「対策(発生原因対策・流出原因対策・予防処置・効果の確認」)欄を記入し,これを基に,社内品質トラブル対策報告書(甲8の13)をパソコンにて作成した。この不具合の「発生区分」は「重要度A」とされ,不具合の中では重要度が高いものと位置づけられた。 ク同月8日この日「ZM5カムシャフト錆不良ロットアウト加工全検「N,」, H105 MB原告Aw/pc流れ不良ロットアウト」の不具合が生じた。ロットアウトとは,10パーセント以上の不良が出たときのことをいい,ロットアウトが生じると全件点検し直しとなる。 また,被告熊本事業部においては,同日,社長が来社することもあって,整理・整頓・清掃のいわゆる「3S」が重点的に行われた。 そして,故Dは,MJ1のコンパウンド修正(100台)のため,残業を行い,翌9日午前1時19分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ケ同月9日この日,故Dは,午前7時52分に出勤した。そして「PBFB,/CP4VDリング欠品(O主任より打ち上げ」の不具合が発生)したため,対策書の作成が必要とされた。そのため,Kが解析レポート(甲8の9)を作成することとな に出勤した。そして「PBFB,/CP4VDリング欠品(O主任より打ち上げ」の不具合が発生)したため,対策書の作成が必要とされた。そのため,Kが解析レポート(甲8の9)を作成することとなったが,この作成に当たっては,故D及びFがフォローに当たった。また,故Dは,MJ1のコンパウンド修正(100台)のためにも,残業を行い,翌10日午前2時26分にタイムカードを打刻し帰宅した。 コ同月10日故Dは,午前7時32分に出勤し,午後5時30分にタイムカードを打刻し帰宅した。 サ同月11日この日,P主管が被告熊本事業部に来社,同月12日にQ部長,社長が被告熊本事業部に来社することもあって,被告熊本事業部において,いわゆる「3S」が行われた。 また,故Dは,MJ1のコンパウンド修正(100台)のため,残業を行い,翌12日午前1時33分にタイムカードを打刻し帰宅した。 シ同月12日 故Dは,午前7時53分に出勤し,日程調整のため残業を行い,午後8時51分にタイムカードを打刻して帰宅した。 ス同月13日(土曜日)故Dは,午前7時50分に出勤し,コンパウンド修正(300台)を行い,午後0時15分にタイムカードを打刻して帰宅した。 セ同月14日(日曜日)故Dは,1日休暇であり,稼動しなかった。 ソ同月15日この日「バフロボ3号機プログラム異常の為ロボット停止「KC,」,SF/Pスリーブたおれの為全数不良(鋳造全検800台/1000台不良品)2S加工」の不具合が発生した。 また,故Dは,MJ1のコンパウンド修正(150台)のため残業を行い,午後9時31分にタイムカードを打刻し帰宅した。 タ同月16日この日「KCSF/P4/16搬入分バリ取りメーカーに夜9:,00の計画が朝9:00と勘違いの為塗装出来ない「459-9 を行い,午後9時31分にタイムカードを打刻し帰宅した。 タ同月16日この日「KCSF/P4/16搬入分バリ取りメーカーに夜9:,00の計画が朝9:00と勘違いの為塗装出来ない「459-98」,」。 R/P流れ不良多発NH105全体的に流れ発生の不具合が発生したまた,故Dは,MJ1のコンパウンド修正(150台)のため,残業を行い,午後10時45分にタイムカードを打刻し帰宅した。 チ同月17日この日「KCRR/Pスケ不良全数ロットアウト再塗装(要,対策書」ということでFは,対策書を作るように指示した。 )なお,同日時点において,組立部門全体で15000時間あった残業時間の残りが400時間にまで減っていた。 故Dは,MJ1のコンパウンド修正(150台)のため,2時間の早出出勤をしたうえ,残業を行い,午後11時20分にタイムカードを打 刻し帰宅した。 ツ同月18日この日,被告熊本事業部において,量産体制が開始されたが「第二,次大戦開始」と塗装班班長日報に記される状況であった(甲6。 )そして,塗装班において修正品が山積みになったため,同日から,I係長,M主任が「MJ1:KCRR/Pコンパウンド修正」に応援,に来ることとなった。 また,同日朝の時点で,19日にチャーター便で送らなければならないGET-00が393台全て不足していたため,塗装班において同日中に全て仕上げることとなり,同日中に仕上げた。 故Dは,午後8時48分にタイムカードを打刻し帰宅した。 テ同月19日故Dは,午後9時4分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ト同月20日(土曜日)故Dは,午前7時54分に出勤,塗装生産作業を行い,午前10時10分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ナ同月21日(日曜日)故Dは,1日休暇であり,稼動しなかった した。 ト同月20日(土曜日)故Dは,午前7時54分に出勤,塗装生産作業を行い,午前10時10分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ナ同月21日(日曜日)故Dは,1日休暇であり,稼動しなかった。 ニ同月22日故Dは,MJ1のコンパウンド修正のため,残業を行い,午後10時5分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ヌ同月23日故Dは,MJ1のコンパウンド修正のため,残業を行い,午後8時39分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ネ同月24日,(),,故DはMJ1のコンパウンド修正100台のため残業を行い 午後9時23分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ノ同月25日社長が被告熊本事業部に来社するため,いわゆる「3S」が行われ,故Dは残業を行い,午後9時32分にタイムカードを打刻し帰宅した。 なお,被告熊本事業部において,同日「3S」終了後もその確認が終,わるまで帰宅できなかった。 ハ同月26日故Dは,棚卸しのため残業を行い,翌27日午前0時12分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ヒ同月27日(土曜日)故Dは,午前7時58分に出勤し,塗装設備メンテナンスを行い,午後5時25分にタイムカードを打刻し帰宅した。 また,故Dは,同日,被告熊本事業部において開催された任意参加の新入社員歓迎会に出席し,被告熊本事業部の従業員と酒を飲んだり,談笑したりなどした。なお,この新入社員歓迎会は,私的理由で欠席した場合にも参加費を徴収されることになっていた。 フ同月28日(日曜日)故Dは,午前7時58分に出勤し,塗装生産の挽回を図った。なお,タイカードが打刻されていないため,同日の故Dの退勤時間を明確に認定することはできない。 ヘ同月29日及び30日(ア)故Dは,4月29日から5月4日まで,いわゆるゴールデンウィーク6 。なお,タイカードが打刻されていないため,同日の故Dの退勤時間を明確に認定することはできない。 ヘ同月29日及び30日(ア)故Dは,4月29日から5月4日まで,いわゆるゴールデンウィーク6連休に入った。 (イ)故Dは,29日,原告Aの妹の結婚式に出席したところ,原告Aの両親から「疲れているね」などと声をかけられた。なお,原告,。 Aは,妹の結婚式の写真を本件自殺後に見たところ,故Dが今までに 見たことのない表情であったため,非常に驚いた。 (ウ)故Dは,30日,朝から半日以上,fにツーリングに行った。 ④故Dの勤務,生活状況(平成14年5月(甲3の6,6,13))ア5月1日ないし4日故Dは,ゴールデンウィークの期間であり,稼働しなかった。 ,,「,。」故Dは連休中原告Aの両親からまたやつれたんじゃないのなどと声をかけられ,故Dは「4月からリーダーになって。もういっ,ぱいいっぱいです」などと返事した。 。 イ同月5日(日曜日)故Dは,午前8時32分に出勤し,設備立ち上げを行い,午後5時20分にタイムカードを打刻し帰宅した。 ウ同月6日故Dは,午前7時46分に出勤し,午後11時8分にタイムカードを打刻し帰宅した。 同日,メタリック混ざりという不具合が多発したため,Fが,R検技に対し,それを甲に流していいかどうかを確認した後,R検技が「流動可」としたため,そのまま流すことになった。 また,同日,ピンホール不良が多発した。なお,ピンホールの原因は不明であり,原因不明のまま対策に追われることになる。 エ同月7日この日,クリヤーメタリック混ざりの不良が発生したため,再発防止対策書が塗装班の従業員により作成された。 また,故Dは,MJ1のコンパウンド修正のため残業を行い,午後10時55分にタイムカード 7日この日,クリヤーメタリック混ざりの不良が発生したため,再発防止対策書が塗装班の従業員により作成された。 また,故Dは,MJ1のコンパウンド修正のため残業を行い,午後10時55分にタイムカードを打刻し帰宅した。 オ同月8日この日「GETF/RNH303スケ不良流出出荷全検(H, さん)発見「MBPn/pcNH105色がえミスによる色ちが」,い」の不具合が発生した。 また,故Dは,MJ1のコンパウンド修正のため残業を行い,午後11時27分にタイムカードを打刻し帰宅した。 カ同月9日この日「GZR/PNH1ユズハダ不良組立流出28台/60台,不良「GR1-75F/PNH138スケ不良流出出荷検査員」,発見3台/150台」の不具合が発生した。また,故Dは,MJ1のコンパウンド修正のため残業を行い,翌10日午前0時32分にタイムカードを打刻した。 そして,故Dは,勤務終了後,同僚のKとLを誘い,長崎ちゃんぽんと皿うどんのチェーン店であるリンガーハットに出かけ,飲食をし,また談笑するなどした。 キ同月10日故Dは,午前7時55分に出勤した。この日,MJ1を航空輸送のエアー便において出荷する予定であったが,結局,エアー便を利用する状況には至らず,MJ1は通常のトラック便にて搬送された。 ,,。 ,,また同日Kが交通事故により欠勤となったそのためI係長は故D及びFに対し「Kが早出であるのに深夜まで作業に従事していた,ら,交通事故の原因にでもなるのではないか」などと注意した。 。 故Dは,塗り・日程調整のため残業を行い,午後10時4分,タイムカードを打刻し帰宅した。 ク同月11日(土曜日)故Dは,午前10時5分から午後3時10分まで,生産挽回をするため,被告熊本事業部に出勤し,稼働した。 整のため残業を行い,午後10時4分,タイムカードを打刻し帰宅した。 ク同月11日(土曜日)故Dは,午前10時5分から午後3時10分まで,生産挽回をするため,被告熊本事業部に出勤し,稼働した。 ケ同月12日(日曜日) 故Dは,1日休暇であり,稼動しなかった。 故Dは,同日午前10時ころ,原告Aとともに犬を連れ,車で数時間かかる芦北の海まで友人であるSらと遊びに行き,昼食に冷やしラーメ,。 ,,,ンを食べそこで夕方まで遊んだこのときSらは故Dが帰った後「今日はAさんのご主人,元気なかったね。疲れていたのかな」など。 と話した。 その後,芦北から,数時間かけて熊本市内のサンピアンに移動し,そこで母の日のプレゼントを買った。そして,実家の両親の家までプレゼントを渡しに行き,午後11時ころに帰宅した。 コ同月13日故Dは,午前7時50分に出勤,午後8時にタイムカードを打刻し帰宅した。 この日,MJ1を航空輸送のエアー便において出荷する予定であったが,結局,エアー便を利用する状況には至らず,MJ1は通常のトラック便にて搬送された。 ,,,,,なおこの日故Dに体調の変化がみられFは故Dの様子を見て「風邪を引いたんなら帰るように」と指示した。また,故Dは,昼休。 みに被告従業員のTと昼食をともにしたが,ほとんど食事を取らなかった。そして,Kは,同日,故Dの顔色が悪く風邪でも引いたのかなと感じるほど,故Dの様子は普段と異なっていた。 さらに,故Dは,原告Aと「花粉症みたいな感じなのかな」とお互。 ,,。 い言い合っていたが原告Aは故Dがただならぬ様子であると感じたサ同月14日(本件自殺当日)(ア)故Dは,朝,なかなか起床しなかった。 故Dが,被告熊本事業部への出勤途上,原告Aとの会話で故Dの趣味で 合っていたが原告Aは故Dがただならぬ様子であると感じたサ同月14日(本件自殺当日)(ア)故Dは,朝,なかなか起床しなかった。 故Dが,被告熊本事業部への出勤途上,原告Aとの会話で故Dの趣味であるツーリングの話題が出ても,故Dは「ツーリングはもう,, いいかな」などと述べていた。原告Aは,故Dは,何より好きなツ。 ーリングがどうでもいいと思うほど疲れているのだと判断した。 (イ)故Dは,午前7時53分,被告熊本事業部に出勤した。 故Dと原告Aは,昼休みに一緒に昼食を取っていた。その際,原告Aが,原告Aの職場の同僚が職場のストレスのため,精神的に不安定で心療内科の診察を受けることを勧めた話をしても,故Dには反応がなかった。 そのため,原告Aは,このまま故Dが被告において働き続けると,故Dがおかしくなってしまうのではと思い「壊れる前にこんな会社,辞めなんよ。壊れてからじゃ遅いからね。壊れる前に,辞めなんよ。 ,。」。 ,いつでも辞めていいんだからこんな会社と言ったこれに対し故Dは「もう壊れているかも」と弱々しく言った。原告Aは,故,。 Dに対し「もう壊れているなら,今すぐ辞めなんたい。たった今,,辞めなんたい」と言ったが,昼休みが終わったため,そのまま原告。 Aと故Dはそれぞれの職場に戻った。 (ウ)故Dは,午後3時ころ,Fに対し,風邪を引いたことを理由に早退を申し出た。Fが,故Dに対し「どぎゃんあっとや」と聞くと,,。 故Dは「風邪ひいたごたっとですよ」とだけ述べて,早退した。 。 (エ)故Dは,午後4時ころ,携帯電話のメールに「A,ごめん,今まで本当にありがとう。クーちゃんたちを頼んだよ」と打ち込み,メ。 ールを送信しないまま,本件自殺に及んだ。 ⑤工程の異常打ち上げ(報告)状況(甲7(枝番を含む) 電話のメールに「A,ごめん,今まで本当にありがとう。クーちゃんたちを頼んだよ」と打ち込み,メ。 ールを送信しないまま,本件自殺に及んだ。 ⑤工程の異常打ち上げ(報告)状況(甲7(枝番を含む)。)被告において,異常打ち上げが発生した際には,打ち上げ者が現場において,大きな声で「対象「事象「処置内容」を発表することとなっ,」,」,ていた。 そして,平成14年3月1日ないし同年5月13日までに,故Dが打ち 上げ者となった異常打ち上げは,別紙「異常打ち上げリスト(故D分」)に記載のとおりである。 また,同年3月25日ないし同年4月19日までの「工程の異常打上げリスト週報(甲7の22ないし25)は,故Dが作成していた。 」⑥故Dの言動等ア故Dは,平成14年3月,4月からリーダーになるとの内示を受けた際,原告Aに対し「リーダーにはなりたくない」などと話していた,。 が,故Dは以前から被告熊本事業部において,被告従業員などから,「次,おまえ,リーダーになるんだから,しっかりせいよ」などと言。 われていた。 原告Aは,故Dから,同年4月中旬ころ「リーダーはだるい」な,。 どの愚痴を聞くようになった。 イ他方,故Dは,死亡に至るまでの間,被告熊本事業部において業務の内容,業務時間に不満を述べたことがなく,他業務への異動や休職,退職の希望を述べたことがなかった。また,原告Aからも,被告熊本事業部に対し,故Dの勤務に上記不満や希望があるとの話はなく,故Dの言動,行動がおかしいとの話もなかった。 ウ故Dは,同年4月1日以降本件自殺まで,体重が2キログラム増加したことがあり,また,前記認定のとおり同年5月13日ころまでは特段食欲の減退などは見られなかった。 ⑦I係長による叱責I係長は普段から故DFL等がミスを犯す まで,体重が2キログラム増加したことがあり,また,前記認定のとおり同年5月13日ころまでは特段食欲の減退などは見られなかった。 ⑦I係長による叱責I係長は普段から故DFL等がミスを犯すなどしたときにば,,,,,「か「あほ「ぼけ「死ね」などといった言葉で叱責をしていた。 」,」,」,(4)平成13年12月以降の被告熊本事業部の状況①甲による特別展開の実施(甲18)ア甲は,平成14年2月27日,被告を含む取引先に「1件不具合撲滅 展開」の説明会の案内を発し,同年3月7日,特別展開の説明及び施策実行のお願いについて,甲熊本製作所にて説明会を開催した。甲は,特別展開を実施することによって不良品の市場流出を防止し市場問題(クレーム)を平成15年3月末までに前年比の10分の1以下にしようとしていた。 イこの特別展開において,被告は特Aランク(選定ワースト16社)に位置づけられ,甲に「常駐していただきたいお取引先」として挙げられた。そして,被告は,甲に従業員を派遣して常駐させて受け入れ検査,QG(クオリティーゲスト)を実施することになっていた。 ②被告の特別展開への対応(甲21)ア被告品質保証部において,同月6日「検技」体制設立に当たって」,「と題する文書(甲21)を作成し,甲の動向と被告の品質問題の現状分析,保証体制強化と検技体制について,分析が行われた。 その分析の中で,被告は「工数不足のために,原因解析・再発防止,の手が打てず小手先の対策で終わっている「品質問題を現場で自己。」,完結が出きない「後処理体質から脱皮出きない」などの事項を被。」,。 告自身の現状として挙げた。また,被告は,品質は工程で造られることから,ありたき姿として「発生問題を自前解決できる職場への変革,,」 い「後処理体質から脱皮出きない」などの事項を被。」,。 告自身の現状として挙げた。また,被告は,品質は工程で造られることから,ありたき姿として「発生問題を自前解決できる職場への変革,,」「後処理体質から攻めの体質への変革」を掲げ「検技体制」を設立す,ることとした。 具体的には「1問題発生時の対応強化」として「①問題発生時の,解析,対策,何故何故,再発防止,五原則シート,日程管理etc対応強化」などが指摘され「3品質企画推進の強化」として「③班長,,ラインリーダーの品質教育,etc」などが指摘された。また「4,安全宣言深堀り展開」として「②24期に安全宣言の完結。更に,流出問題に対して確実な再発防止展開を実施」などが指摘された。 そして,被告内で「検技組織図(甲21)を作成し,平成14年2」月26日に内示,同年3月21日に発令,同年4月1日に移動と組織体,。 制を固めた上同年3月6日から同月22日にかけて勉強会を開催したイなお,被告は,他の特Aランクに位置づけられた取引先が,特Aランクを脱出しはじめても,特Aランクとして管理継続になっていた。被告は,甲浜松製作所における重点12社のうちの最下位であり,達成度は6パーセントであった。 さらに,被告は,甲から「HMの指示による『力づくしの流出防止』のみをやみくもに実施」したと評価されていた。 ③特別展開の被告熊本事業部への影響(甲5)ア「塗装工程変化点まとめ(甲5)と題する書面等によれば,以下の」事実が認められる。 (ア)品質面での変化被告熊本事業部において,平成14年4月1日から,甲による特別展開が開始された。同日以降は,甲熊本製作所内に,被告熊本事業部から品質問題対応者を常在させることとなり,同月2日からは,被告も検技体制の組織変更をすることと ,平成14年4月1日から,甲による特別展開が開始された。同日以降は,甲熊本製作所内に,被告熊本事業部から品質問題対応者を常在させることとなり,同月2日からは,被告も検技体制の組織変更をすることとなった。 被告において,甲による特別展開への対策,具体的には外観の不良流出防止策として,検査工程の設置を行うこととなった。そのため今までの合格レベルの品物が数多く不合格になり,よって,前工程に負担がかかり,突発の残業が増加してきた。 かかる特別展開の実施により,塗装班において,従来約2パーセントの不良品率が,約30パーセントに上昇した(甲65。 )(イ)生産量の変化MJ1が増産となり,平成14年4月,5月のみ通常期に比べ2倍。 ,,以上の生産負荷が生じることとなったそのためその対応策として 同年2月からならし生産計画を行うことにより,負荷の平準化生産計画立案が推進された。 しかし,その結果は,3月期において,材料の不足のため,8000台の計画に対し,4500台と未達に終わった。そのため,4月期にならし生産計画の効果が出ず,被告熊本事業部において負荷が増加する結果となった。 また,特別展開において,不合格とされた不良分の再塗装,バフ,工数が増加して,被告熊本事業部塗装班の残業が増加する原因となった。 (ウ)平成14年4月ないし5月において,生産増と残業増が起こったが主な原因は下記a,bに記載のとおりである。 この点,同年3月ないし5月の期間の残業時間及び勤怠時間は,平成11年以降では最も多かった(甲57。なお,勤怠時間は就業週)報やタイムレコーダー上の労働時間,残業時間は申告があり残業代が支払われた時間をいう。 a生産負荷増MJ1(甲浜松製作所向け)が,4月及び5月の生産量が通常の3倍となった。 b取引先外観の品質向上今 ムレコーダー上の労働時間,残業時間は申告があり残業代が支払われた時間をいう。 a生産負荷増MJ1(甲浜松製作所向け)が,4月及び5月の生産量が通常の3倍となった。 b取引先外観の品質向上今まで通常どおり流れていた外観の不良が4月度より厳しくなり,納入できなくなった(完成品になるまで途中で不良判定され,良品が少なくなり残業増となった。 )イ塗装班の対応特別展開の実施により塗装班においては,ほんのちょっとしたゴミが,,,ついたものが不良と指摘されたがこれには塗装班全体が反発しまたI係長が「意味がわからん。塗装では,今までと違った対応はできな, い」などと被告熊本事業部品質管理課に苦情を言うなどした。 。 ウ被告熊本事業部の当時の状況同年4月1日から,特別展開が開始されたが「不良発見時・即ライ,ン停止行動A」と題する書面(甲8の11)には,同月3日には「当,日の生産をおわらせる事しか頭になかった「生産が多くいそいでい」,た定時間内で終わりそうになかったとの記載がありまた解。」,「」,,「析レポート」と題する書面(甲8の8)によれば,同月8日に発生した欠品流出の原因は,圧検後ドライブフェイスの出荷もしなければならないという焦りや,台数が多く急がないと出荷トラックに間に合わないという焦りであるとされた。 ④塗装物生産状況(乙6)平成13年4月ないし平成14年6月までの,被告熊本事業部における塗装物生産数は,別紙「塗装物生産数一覧表」に記載のとおりである。また,そのうち,同年1月ないし6月までのMJ1の生産台数の推移は以下のとおりである。 ア1月1681台イ2月1842台ウ3月2021台エ4月5249台(平成13年4月は,4795台)オ5月8022台(平成13年5月は の生産台数の推移は以下のとおりである。 ア1月1681台イ2月1842台ウ3月2021台エ4月5249台(平成13年4月は,4795台)オ5月8022台(平成13年5月は,4116台)カ6月5841台平成14年4月及び5月期におけるMJ1の生産台数が上記のように多いのは,甲からの受注数が増えたためであり,同期間の生産数は,被告熊本事業部においては初めて経験する数であった。 ⑤塗装班の組織体制の変更(甲51,52,乙7(枝番を含む)。)ア塗装班の人員 塗装班において,平成14年4月1日付で,E班長が組立1係1班に移動し,同時にFリーダーが塗装班班長,故Dが塗装班リーダーにそれぞれ異動している。 つまり,塗装班の人員は平成14年3月以前は,班長がE,リーダー,,,,,,,がF一般が故DTLKであったが同年4月以降は班長がFリーダーが故D,一般がT,L,K,Gとなっている。 なお,L,Kの2名は請負会社からの派遣社員であり,Gは平成14年4月からの新入社員であった。 イなお,被告熊本事業部における本件自殺以降の塗装担当者の要員配置数の推移は,同年5月15日ないし同年9月30日当時は9名,同年10月1日ないし同月17日は10名,同月18日から平成15年4月23日までは9名,同月24日ないし同年6月30日は8名であった。 (5)被告と甲の契約内容甲と被告との間で締結された平成11年3月30日付けの部品取引基本契約書甲16第18条ないし第23条や同日付の取引先品質保証協定書甲()(17)第13条等によって,被告は,甲に対し,品質管理を行う義務を負担し,不良品を発見した場合には,原因の解析,再発防止策の実施し,その結果を甲に報告すること,また,品質補償体制の見直しを行い (17)第13条等によって,被告は,甲に対し,品質管理を行う義務を負担し,不良品を発見した場合には,原因の解析,再発防止策の実施し,その結果を甲に報告すること,また,品質補償体制の見直しを行い必要な是正処置を取ることや不良発生の潜在的な原因となるおそれがある事由を発見したときは,製造工程又は品質補償体制の見直しを行い,必要な予防処置を取る義務を負担していた。 (6)労働者災害補償保険(以下「労災保険」という)申請(甲11,31)。 ①平成14年6月ころから,被告としては,労災保険の申請を原告らと一緒に行おうと,原告ら側にもその意思を伝えながら,原告らと懇談会を3回開催して,労災手続の準備を進めていた。 被告において,U社会保険労務士に相談の上,労災保険申請書の「⑥災 害の原因及び発生状況」欄に「4月から,受注増により繁忙状態となり度々深夜に及ぶ残業で疲労を訴えていた。又,同時期にリーダーに昇格した為作業者教育や不良対応の責任が増えた。さらに,リーダーとして会社側の期待もあり,本人への指導は厳しかった。以上のことに対して,本人の責任感が過剰に敏感であり感受性の鋭さで,心神喪失状態となる要素があり,突発的に本人を自殺に導いた」旨の記載をした。 。 被告は,原告らとの懇談を進める中で,内容的な面において整合を図ってきたが,同年12月10日以降,原告らに懇談を断られた。 ②原告Aは,原告ら代理人らとともに,平成15年1月10日,被告熊本事業部において証拠保全を行ったため,被告は,本件自殺については訴訟の展開に変更されたと受け止め,労災保険の申請については保留にしていた。 原告らは,その後,被告に問い合わせ等することなく,同年5月6日,a労働基準監督署に労災申請を行い,原告A,原告B及び原告ら代理人らは,同日,被告熊本事業部におい の申請については保留にしていた。 原告らは,その後,被告に問い合わせ等することなく,同年5月6日,a労働基準監督署に労災申請を行い,原告A,原告B及び原告ら代理人らは,同日,被告熊本事業部において労災保険の申請を行ったことを説明した。 ③a労働基準監督署長は,調査の結果,判断指針に基づき,故Dが精神障害診断名「F32.2精神病病状を伴わない重症うつ病エピソード」に罹患していたものと判断し,労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する疾病として認定し,原告Aに対し,平成16年3月22日,本件自殺について年金・一時金支給決定通知をした。 証拠(甲30,36,63,70,72)によれば,ストレス,精神障害等についての専門的知見は以下のとおりであると認められる。 (1)ストレス対処能力(甲30,72)長時間労働は,心身の余力や予備力を低下させ,ストレス対処能力を大幅に低下させ,その結果,ちょっとしたストレスフルな出来事に対してもパニ ックに陥りやすい状態が作られる。そして,長時間労働はかなり決定的な基盤要因だと解釈され,長時間労働がある場合には,負荷は抵抗力に比して全体として強いものとして評価される。 また,いじめ,嫌がらせ,暴力はストレス・マグニチュードが高く,いじめへの暴露とうつ病発症との間には用量依存関係が見られる。なお,長期にわたるいじめは,心疾患発症のリスク増加とも関連していたが,このリスクには被害者の肥満の有病率の増加が一部寄与していたとされる。 (2)精神的緊張を伴う業務(甲36)「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定。 基準について」と題する書面(甲36)によれば,精神的緊張を伴う業務として「過大なノルマがある業務「決められた時間(納期等)どおりに遂,」,行しなければならないよ 因するものを除く)の認定。 基準について」と題する書面(甲36)によれば,精神的緊張を伴う業務として「過大なノルマがある業務「決められた時間(納期等)どおりに遂,」,行しなければならないような困難な業務「周囲の理解や支援のない状況」,下での困難な業務」が挙げられる。 (3)精神障害による自殺と長時間労働との関連(甲63,70)厚生労働省「過重労働・メンタルヘルス対策検討会」における議論のまとめによれば,精神障害による自殺の労災認定事案における労働時間を見ると長時間となっているケースが多いなどとされている。 また,日本産業ストレス学会の研究結果によれば,平均残業時間が60時間以上となるとライフイベントの合計点数は極めて高く(ストレス度が強くなる)なるなどとされている。 。 争点(1)についてそこで,前記第3の1に認定の事実を前提として,以下,故Dの業務の過重性及び本件自殺との間の因果関係の有無(業務起因性)を検討する。 (1)肉体的・心理的負荷について①業務内容の過重性ア故Dが,被告熊本事業部において従事していた業務は,製造課組立2 係2班の塗装班における段取り作業が中心であったところ,平成13年からは日程調整などのリーダーの業務を担当し,平成14年4月1日からは,塗装班のリーダーとしてその業務に当たってきた。 故Dの業務の中心となる段取り作業は,空き箱を並べる作業であり,特段,肉体的に負荷となるような作業とまではいえない。 もっとも,生産量の多い時期には,取り付け作業や取り外し作業の一(),部を塗装や段取りの担当者が手伝うことがあるとされており乙52同年3月ないし5月当時,被告熊本事業部においてその生産量は多大なものであったのであるから,故Dも取り付け作業及び取り外し作業に従事していたことが窺われる。 者が手伝うことがあるとされており乙52同年3月ないし5月当時,被告熊本事業部においてその生産量は多大なものであったのであるから,故Dも取り付け作業及び取り外し作業に従事していたことが窺われる。 そして,洗浄する部品はかごごと掛けるため,重いものでは約20キログラムにもなり,肉体的に相当の負担がある作業であるといえる。 さらに,前記認定のとおり,故Dは度々,MJ1のコンパウンド修正のために残業を行っており,故Dにはかかる作業負担もあったと認められる。 ,()イ故Dの所属していた塗装班の業務はベルトコンベアへの部品かごの取り付け,取り外し,その間に空き箱を準備する段取り作業など,いわゆる流れ作業の業務であることが認められる。 ここに,流れ作業方式とは,一つの生産品ができあがるまでに作業者が行うべき作業内容を細分化し,さらに,その細分化された一つの単位作業で,計画や判断などの機能をできるだけ除いて動作のみを繰り返し行うことを作業者に要求するものといわれる。 したがって,作業者はベルトコンベアなどの機械の一定のスピードによって規制されながら,ことに上肢等の一定動作を反復繰り返さなければならない。この作業は,遂行が一見容易に行えるようにみえて,実際には作業者に単調感や飽きを生み,長時間の作業過程で苦痛感や作業嫌 悪感を生むことになる。その一方で,頻繁に反復動作しなければならない条件の下では,作業に関連する諸筋の急性疲労を生み十分な休息が取れないと,それは慢性化して頸肩腕障害などの健康障害の発生をもたらしてきたといわれている(以上につき,甲38,39参照。 。)このように,故Dの従事していた業務は,一見容易に見え,肉体的には負荷が重いとまではいえないように思われるが,流れ作業方式の上記,,特徴からすれば長時間の作業に従事する 38,39参照。 。)このように,故Dの従事していた業務は,一見容易に見え,肉体的には負荷が重いとまではいえないように思われるが,流れ作業方式の上記,,特徴からすれば長時間の作業に従事することにより苦痛感などを生み心理的に相当の負荷が生じるものであることが認められる。 これに加え,故Dの業務が,決められた時間(納期等)どおりに遂行しなければならないような困難な業務であることから精神的緊張を伴うものといえること(前記第3,2(2)記載の専門的知見参照,また,。)前記認定の不具合発生状況及び工程の異常打ち上げ状況をも勘案すれば,故Dの業務の心理的負荷は相当程度あったものと認められる。 ウまた,塗装班において,その作業中にベルトコンベアを自由に停止させることができたが,実際に停止させるのは休憩時間及びあおられたときである(甲65。 )そうすると,ベルトコンベアを被告従業員において自由に停止させることができたとはいうものの,甲による特別展開によって被告熊本事業部の生産量が増加していたことなどからすれば,平成14年4月1日以降の塗装班の作業について,ベルトコンベアを自由に停止できたことを,。 もってその負荷がないもしくは負荷が低かったとすることはできない②長時間に及ぶ時間外労働・休日労働による負荷ア前記認定事実によれば,故Dの時間外労働・休日労働は,別紙「時間外労働時間一覧表(認定」別表Ⅰ1ないし5に記載のとおり,本件自)殺から1か月前は118時間11分,同1か月前から2か月前は118時間32分,同2か月前から3か月前は84時間48分であったことが 認められる。 また,上記期間内における故Dの連続勤務は最高13日間(平成14年4月1日ないし13日の期間)であり,深夜10時を越えて勤務し。 たのは12日間である(なお 48分であったことが 認められる。 また,上記期間内における故Dの連続勤務は最高13日間(平成14年4月1日ないし13日の期間)であり,深夜10時を越えて勤務し。 たのは12日間である(なお,かかる12日間のうち5日は同年5月に連続して生じ,また,うち4日は同年4月に生じた。 。)他方,上記の期間(90日)中,故Dは,ゴールデンウィークの6連休を含め,19日の休日があった。 イ故Dの上記時間外労働・休日労働の時間数は,被告の36協定(甲35)に定める月当りの時間外労働時間は月45時間を著しく超過し,本件自殺から1か月前の期間及び同1か月前から2か月前の期間は約2. 6倍に至っている。 なお,同協定においては,上記の目安を超えて労使が協議の上延長することができる時間は1か月当たり61時間とされているが,故Dの上記期間における時間外労働・休日労働時間はかかる61時間も大きく超えるものである。 また,前記認定の専門的知見によれば,平均残業時間が60時間以上となるとライフイベントの合計点数は極めて高く(ストレス度が強くなる)なるとされ,さらに長時間労働は,心身の余力や予備力を低下さ。 せ,ストレス対処能力を大幅に低下させ,その結果,ちょっとしたストレスフルな出来事に対してもパニックに陥りやすい状態が作られるといわれていることからすれば,上記期間における故Dの時間外労働・休日労働時間は,故Dに対し,相当の強さをもって心理的負荷を与えたと認められる。 ,,,ウまた塗装ラインにおける残業時間及び勤怠時間は平成11年以降平成14年3月ないし5月の期間が最も多かったことも前記認定のとおりである。 エ以上からすれば,前記のように故Dには平成14年2月13日から同年5月13日の間に19日間の休日があったことが認められるが,上記時 5月の期間が最も多かったことも前記認定のとおりである。 エ以上からすれば,前記のように故Dには平成14年2月13日から同年5月13日の間に19日間の休日があったことが認められるが,上記時間外労働・休日労働の時間数に加え,前記判示の故Dの業務内容自体による負荷度をも考慮すれば,上記期間中の故Dの業務には通常以上の肉体的・心理的負荷があったものといえる。 そして,このような長時間に及ぶ時間外労働・休日労働によって労働者の心身の健康を損なうことは周知の事実である。 ③対策書等の書面作成負担についてア前記認定事実のとおり,故Dが作成した対策書等は,平成14年3月22日に作成した品質トラブル対策書(甲8の3,同年4月3日に作)「」(),成した不良発見時・即ライン停止行動Aと題する書面甲8の11同月4日作成したQCサークル活動計画・結果報告書(甲9の5)及び同年8日付けで作成した社内品質トラブル対策書(甲46)内の「原因(発生原因・流出原因」及び「対策(発生原因対策・流出原因対策・)予防処置・効果の確認」欄に手書きで記入した後,パソコンを用いて)社内品質トラブル対策報告書(甲8の13)を作成したのみである。 もっとも「不良発見時・即ライン停止行動A」と題する書面(甲8,の11)は深夜3時ころまで自宅で作成していること,社内品質トラブル対策書(甲46,8の13)は同月6日に発生した員数不足の不具合が同月7日(日曜日)に発覚したため,同月8日までに急遽作成しなければならなくなったものと認められることからすると,これらの書面作成によって,単にその枚数・記入箇所だけでは評価し尽くし難い負荷が故Dにかかったものといえる。 なお,上記対策書等は,不具合発生当日または翌日までには作成しなければならなかったことなどからしても,対策書 よって,単にその枚数・記入箇所だけでは評価し尽くし難い負荷が故Dにかかったものといえる。 なお,上記対策書等は,不具合発生当日または翌日までには作成しなければならなかったことなどからしても,対策書等の作成によって相当程度の負荷が故Dにかかったものといえる。 イさらに,平成14年4月1日以降,対策書等の書面作成を故D自身が行っていなくとも,不具合が生じた場合に製造課2課組立2係2班の従業員が書面作成を行う場合に,作成者とともに,リーダーやFがアドバイス等しながら作成させ(例えば,同年4月9日,リーダーが対策書)の内容を点検し,内容が不十分であると対策書を書き直させていたことなどからすれば,故D自身が作成していない対策書等の書面作成においても,故Dに相当程度の負荷がかかったものといえる。 ④リーダーへの昇格故Dは,平成14年4月1日からリーダーの地位につき,以降,前記第3,1(1)④に記載のリーダーの職務に従事することとなった。 なお,この点,確かに故Dは平成13年から日程調整などリーダーの職務を行っていたものと認められる。 しかし,リーダーの職務を行うことと,現実にリーダーの地位に就いて職務に従事することとの間には,その責任面などにおいて相当程度の心理的負荷の差があることは見やすいところである(甲67の1参照。 )さらに,平成14年4月15日,塗装班に新入社員であるGが加入しているが,リーダーとして,実際にGを指導していく必要があったことをも勘案すると,リーダーに就いたことによる故Dへの心理的負荷は相当程度あったものと認められる。 ⑤I係長による叱責前記認定のとおり,I係長は,故Dを含め,塗装班従業員がミスを犯すなどしたときに「ばか「あほ「ぼけ「死ね」などといった言葉で,」,」,」,以前から継続的に叱責をし ⑤I係長による叱責前記認定のとおり,I係長は,故Dを含め,塗装班従業員がミスを犯すなどしたときに「ばか「あほ「ぼけ「死ね」などといった言葉で,」,」,」,以前から継続的に叱責をしていたことが認められる。 もっとも,I係長は叱責するだけでなく,ときに従業員をほめることによりその育成を図ってきたものと思われること,さらに故Dの体調を気遣う言葉を掛けてきたことが認められることからなどの点からすると,I係 長に,故Dに対する悪意はなく,むしろ故Dへの期待があったことが窺われる。 しかし,特に平成14年4月1日以降の故Dの勤務状況からすれば,I係長において,故Dに相当の肉体的・心理的負荷がかかっていたことは容易に把握し得たのであるから,同日以降のI係長の故Dに対する対応が相当であったものとは言い難く,故DがI係長に反発することがあったとはいえ,I係長による叱責は,結局,故Dを追いつめる一要因になったものということができる。 ⑥小括以上によれば,故Dの業務において,時間外労働・休日労働が連続して1か月100時間をも超える数値として表れていることに加え,十分な支援体制が取られていない状況下において,過度の肉体的・心理的負担を伴う業務に従事し続けたこと,さらにはリーダーへの昇格による心理的負担の増加があり,それは相当程度の強度があったものと認められる。 これらの状況などを総合的に判断すれば,故Dには通常以上の肉体的・心理的負荷があったと認められ,その内容及び程度に照らせば,故Dの業務には,精神障害を発病させるに足りる強い負担があり,平成14年4月中旬ころ以降には,故Dは自殺を惹起しうるうつ病に罹患していたものと推認される。 ⑦当事者の主張の検討以上のとおり,故Dの従事していた業務内容や本件自殺前3か月間の時間外労働・休日 成14年4月中旬ころ以降には,故Dは自殺を惹起しうるうつ病に罹患していたものと推認される。 ⑦当事者の主張の検討以上のとおり,故Dの従事していた業務内容や本件自殺前3か月間の時間外労働・休日労働時間などに照らせば,この点に関する被告の主張には理由がないが,以下,その他当事者の主張について述べることとする。 ア被告は,特別展開などの顧客の要望やイベントは不定期的に行われて,,おり故Dが被告に勤務していた約7年間の期間に何度も体験したこと故Dは平成13年ころからリーダーと同様の仕事をしていたのであり, 突然,特別の負担が増えたことはないなどと主張する。 確かに,被告の主張するとおり,故D自身,被告勤務期間中に上記特別展開などの顧客の要望によるイベントなどの経験,平成13年からリーダーと同様の仕事をしていたこと,被告においては繁忙期と閑散期があり繁忙期を乗り切れば閑散期が来ること,班長日報(甲6)や工程の異常打ち上げリスト(甲7(枝番を含む)に記載された不具合など。)は従前から生じていたことなどが認められる。 しかしながら,被告が主張する故Dが体験した事象等について,断片的に単一のものとしてみるならば格別,前記認定のとおり,故Dは平成14年4月からリーダーに昇格した上,特別展開の期間に受注が増え,時間外労働・休日労働時間が過度に増加するなど,同一期間に,肉体的にも心理的にも負荷がかかる仕事やイベントに従事・対応していたことが認められる。 そうすると,上記の複数の事象を断片的・単一のものとして評価することは妥当ではなく,これらを総合的に評価し,故Dが従事した業務によりかかる肉体的・心理的負荷から,本件自殺と業務との因果関係の有無の判断をしなければならない。 以上のことからすると,前記判断のとおり,本件において,故Dの従事し 的に評価し,故Dが従事した業務によりかかる肉体的・心理的負荷から,本件自殺と業務との因果関係の有無の判断をしなければならない。 以上のことからすると,前記判断のとおり,本件において,故Dの従事していた業務内容,時間外労働・休日労働時間,故Dの地位などを総合的に評価すると,故Dに相当程度に強い負荷がかかっていたものと認められるのであるから,この点に関する被告の主張は到底採用することはできない。 イまた,被告は,平成14年のMJ1の増加は全体生産数量の2パーセント未満,塗装物の1割程度が微増したに過ぎず,故Dに特段の負担が課せられたことはなかった旨主張する。 しかしながら,前記認定のとおり,特別展開による生産数の増加や不 良品率の増加などの点からすると,同年4月1日以降,故Dの所属していた塗装班の業務に相当程度の負荷がかかっていたことは明らかであり,被告主張のように被告熊本事業部全体の生産数量に比して割合を算出し,その数値が低いからといって故Dに特段の負担が課せられたことはなかったとすることはできない。このことは,労働者の勤務する職場規模が大きくなればなるほど,その労働者の担当する業務の割合が小さくなるが,そのことのみをもって労働者個々人の業務の負担が軽いとすることはできないことからも明らかである。 以上から,この点の被告の主張をもってしても,前記判断を覆すに足りない。 ウ他方,原告は,Mの欠員について故Dがその対応を行ったと主張し,原告Aは概ねこれに沿う供述をするが,Mはこれを否定し(乙17,)また,これを認めるに足る客観的な証拠は本件において認められないため,この点についての原告の主張は採用できない。 (2)労災認定における手続及び本件自殺についての結論(なお,本件は民事上の損害賠償請求であり,労働基準監督署長の労災認定 本件において認められないため,この点についての原告の主張は採用できない。 (2)労災認定における手続及び本件自殺についての結論(なお,本件は民事上の損害賠償請求であり,労働基準監督署長の労災認定処分を求めるものではないが,両者には共通するところもあるため,以下において検討しておく)。 ①心理的負荷による精神障害等にかかる労災請求事案について「心理的,負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」と題する書面(。 ,。 「」甲67の1平成11年9月14日基発第544号以下判断指針という)によれば,次のア,イ及びウの要件のいずれをも満たす精神障。 害は,労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する疾病として取り扱うものとされる。 ア対象疾病に該当する精神障害を発病していること。 イ対象疾病の発病前おおむね6か月の間に,客観的に当該精神障害を発 病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められること。 ウ業務以外の心理的負荷及び個体側要因により当該精神障害を発病したときは認められないこと。 そして,労災保険請求事案の業務上外の判断は,まず,精神障害の発病の有無等を明らかにし,次に,業務による心理的負荷の強度の評価,業務以外の心理的負荷の強度の評価,個体側要因の検討の事項について検討を加えた上で,業務上外の判断に当たっての考え方に基づいて行うこととされる。 そして「業務による心理的負荷の強度の評価」の検討に当たっては,,当該心理的負荷の原因となった出来事及びその出来事に伴う変化等について総合的に検討する必要があるとされる「出来事の心理的負荷の評価」。 においては「なお,出来事の発生以前から続く恒常的な長時間労働,例,えば所定労働時間が午前8時から午後5時までの労働者が,深夜時間帯に及ぶよう る必要があるとされる「出来事の心理的負荷の評価」。 においては「なお,出来事の発生以前から続く恒常的な長時間労働,例,えば所定労働時間が午前8時から午後5時までの労働者が,深夜時間帯に及ぶような長時間の時間外労働を度々行っているような状態等が認められる場合には,それ自体で・・・心理的負荷の強度を修正する」とされ,。 また「出来事に伴う変化等による心理的負荷の評価」においては「恒,,常的な長時間労働は精神障害の準備状態を形成する要因となる可能性が高いとされていることから・・・恒常的な長時間労働が認められる場合には十分に考慮する」などと長時間労働が重視されている。 。 また「職場における心理的負荷評価表」においては「勤務・拘束時,,間が長時間化した」の心理的負荷の標準的な強度は「Ⅱ」とされている。 さらに「出来事に伴う変化等を検討する視点」において「仕事の量(労,,働時間等の変化」は評価されるとされ「極度の長時間労働,例えば数),」週間にわたり生理的に必要な最小限度の睡眠時間を確保できないなどの長時間労働により,心身の極度の疲労,消耗を来たし,それ自体がうつ病等の発病原因となるおそれのあるものが認められれば,それのみで総合評価 は「強」とすることができるとされる。 このように,判断指針(甲67の1)において,長時間労働は精神障害の重要な因子と位置づけられているといえる。 また,判断指針によれば,自分の昇進昇格があったことは「職場における心理的負荷評価表」により,心理的負荷の加わる出来事に位置づけられている。 ②この点,被告の就業規則(甲10)によれば,始業時刻は午前8時10,,,,分終業時刻は午後5時10分とされており故Dは前記認定のとおり特に本件自殺前1か月の期間においては,度々午後10時過ぎまで稼 の就業規則(甲10)によれば,始業時刻は午前8時10,,,,分終業時刻は午後5時10分とされており故Dは前記認定のとおり特に本件自殺前1か月の期間においては,度々午後10時過ぎまで稼働しており(一番遅い時間で5月9日の午前0時32分である,ゴールデ。)ンウィークの6連休があったにもかかわらず時間外労働・休日労働が118時間18分にも及んでいる。 さらに,その他,故Dがリーダーに昇格したことにより「仕事の責任,の変化」が生じていることなどが心理的負荷の評価にあたって考慮されることになる。 ③そして,a労働基準監督署長は,本件自殺について,調査の結果,判断指針に基づき,故Dが精神障害診断名「F32.2精神病病状を伴わない重症うつ病エピソード」に罹患していたものと判断し,労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する疾病として認定し,原告Aに対し,平成16年3月22日,本件自殺について年金・一時金支給決定通知をした。 ④以上の労災認定における手続及び本件自殺についての結論に照らせば,労災認定がなされたことにより,本件自殺と業務との間の因果関係が強く推認されるというべきである。 ⑤なお,被告は,労災保険申請手続において,原告Aなど遺族らの主張にできる限り配慮をし,労災認定がなされるように遺族の作成した原文の表現を誇張し,労災保険申請書(甲11)を作成したなどとする旨のU社会 保険労務士の陳述書(乙53)及びHの陳述書(乙54)を提出する。 この点,上記陳述書によれば,労災保険申請書の記載中,U社会保険労務士のアドバイスにより深夜残業の時期を1か月前倒しにしたこと度,,「々」などの表現誇張がなされて記載がされたことなどが窺われる。 しかし,前記認定の故Dの本件自殺前の時間外労働・休日労働時間等を総合考慮すれば り深夜残業の時期を1か月前倒しにしたこと度,,「々」などの表現誇張がなされて記載がされたことなどが窺われる。 しかし,前記認定の故Dの本件自殺前の時間外労働・休日労働時間等を総合考慮すれば,上記記載程度の表現の誇張などがなされたことをもってしても,前記説示の本件自殺と業務との因果関係の推認を覆すに足りないというべきである。 (3)業務起因性①前記のとおり,故Dは,平成14年4月中旬ころ以降にはうつ病に罹患していたものと推認され,また,故Dの業務にはうつ病を発病させるおそれがある強い肉体的・心理的負荷があったといえる。 つまり,前記判示の点を総合すると,故Dの業務内容,職場環境,勤務形態から生じた疲労は,その持続期間を考慮すれば,人間の肉体面,心理面の双方に慢性的な過労状態を導くものといえ,うつ病を惹起するのに十分な程度であったものといえ,故Dは,継続的な業務の負担により肉体的・心理的な疲労が溜まるなどの身体症状が現れ,疲労が回復しないまま業務を続行する中で抑うつ状態が生じ,ついにはうつ病の罹患,発症,さらに自殺へ至ったと認められる。 特に,本件においては,故Dは,同月中旬ころ以降には心身共に疲労困ぱいした状態になりうつ病に至っていたと推認されるところ,故Dは,本件自殺前のゴールデンウィークに6連休の休暇を取り一息ついた心理状態になったものの,連休明けの同年5月6日から同月10日まで5日連続で深夜午後10時を超えて勤務することにより(うち3日は午後11時を超えている,再び従前と同様,もしくはそれ以上の時間外労働・休日労。)働等が続いたことが,それまでに故Dに蓄積した疲労と相俟って,故Dを 衝動的,突発的な自殺に至らしめたものと推認されるところである(故Dと同じ塗装班に所属していたKが,同月13日に,故Dが顔色が悪く が続いたことが,それまでに故Dに蓄積した疲労と相俟って,故Dを 衝動的,突発的な自殺に至らしめたものと推認されるところである(故Dと同じ塗装班に所属していたKが,同月13日に,故Dが顔色が悪く無口な状態であったと感じていること,原告Aが故Dの様子がただならぬものだと感じたこと,故Dの食欲が減退していたことなどからもこのことが窺われる。 。)②他方,業務以外に故Dの自殺の原因があるか検討するに,本件に現れた証拠等を精査しても,家族関係などの個人的な要因等,業務外の要因を認めることはできない。 (4) 結論 以上,故Dは,本件自殺3か月前から常軌を逸した長時間労働に従事することによる肉体的・心理的負荷に,業務内容それ自体の負荷,リーダーへの,,昇格という心理的負荷等が更に加わることにより自殺に至ったものであり本件自殺と業務との間に因果関係(業務起因性)が認められる。 争点(2)について(1)予見可能性の有無について①長時間労働の継続などにより疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると労働者の心身の健康を損なうおそれがあることは周知のところであり,うつ病罹患またはこれによる自殺はその一態様である。そうすると,使用者が回避する必要があるのは,上記のような結果を生む原因となる危険な状態の発生であるというべきであって,予見の対象もこれに対応したものとなる。 つまり,労働者が死亡している事案において,使用者側が労働者の健康状態の悪化を認識していない場合,これに気づかなかったから予見できないとは直ちにいえないのであって,死亡についての業務起因性が認められる以上,労働者の健康状態の悪化を認識していたか,あるいは,それを認識していなかったとしても,その健康状態の悪化を容易に認識し得たとい うような場合には,結果の予見可能性が認めら 因性が認められる以上,労働者の健康状態の悪化を認識していたか,あるいは,それを認識していなかったとしても,その健康状態の悪化を容易に認識し得たとい うような場合には,結果の予見可能性が認められるものと解するのが相当である。 ②これを本件についてみるに,前記判示のとおり,故Dの時間外労働・休日労働時間が,本件自殺前3か月前から過重ともいえる時間数に至っており,特に本件自殺2か月前からは,連続して1か月100時間を超えていることに加え,リーダーへの昇格などの状況の中,十分な支援体制が取られていないことから,故Dは過度の肉体的・心理的負担を伴う勤務状態において稼働していたことなどが認められ,被告において,故Dのかかる勤務状態が故Dの健康状態の悪化を招くことを容易に認識し得たといえる。 そして,前記認定のとおり,ゴールデンウィークの連休中,故Dの親族,,「,。」,「。」により故Dに対しまたやつれたんじゃないの疲れているねなどと故Dの健康状態の悪化が指摘されていることからすると,被告においても,遅くとも平成14年4月下旬ころまでには,故Dが過重な業務を行い続けた結果,故Dの心身の健康に悪影響を及ぼしていたことを認識し得たといえる。 ③この点,被告は,本件自殺に至るまで,故Dの妻である原告Aや親である原告B,同原告C,被告熊本事業部の上司や従業員の誰もが故Dに死亡あるいは精神疾患に至るような徴候や変化を予見しうる状況などを見ていなかったことなどから,被告に予見は不可能であった旨主張する。 確かに,前記認定のとおり,故Dは,同年4月1日以降本件自殺まで,体重が2キログラム増加したことがあること,また,同年5月13日ころまでは特段食欲の減退などは見られず,本件自殺直前には原告Aと芦北まで遊びに行くなどしていること,さらに故 月1日以降本件自殺まで,体重が2キログラム増加したことがあること,また,同年5月13日ころまでは特段食欲の減退などは見られず,本件自殺直前には原告Aと芦北まで遊びに行くなどしていること,さらに故Dは,塗装班の中で,Fとテレビゲームの話をするなどしている。しかし,他方で,同年4月下旬以降,故Dにその疲労が現れていることを見ることが容易であったことは前記判断のとおりである。 以上のような故Dの行動に,本件自殺前の故Dの勤務状態などあわせ考えると,同年4月中旬ころ以降は,故Dは疲労感を感じながらも理性的な行動を保ち,外見上問題のない勤務態度を取るため自己統制のための非常な努力をしていたものと推測できるのであり,被告においてかかる事実を認識することはできたものというべきであるから,上記のような故Dの行動などがあったからといって,前記判断は左右されない。 そして,その他,前記判断を覆すに足りる証拠はない。 ④以上から,本件において被告には予見可能性が認められるのであり,この点に関する被告の主張は採用し難い。 (2)安全配慮義務違反の点について①使用者は,労働者が労務提供のために設置する場所,設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において,労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解するのが相当である(最高裁第三小法廷判決昭和59年4月10日・民集38巻6号557頁。 )事業者の場合については,法が,その責務として労働安全衛生法に定める労働災害防止のための最低基準を守るだけでなく,快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない義務を負っており(同法3条1項,その具体)的措置として,同法第三章において安全衛 く,快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない義務を負っており(同法3条1項,その具体)的措置として,同法第三章において安全衛生管理体制を取ることを,第四章において労働者の危険または健康障害を防止するための措置を取ることを,第六章において労働者の就業に当たって安全衛生教育などを行うことを,第七章において健康の保持増進のための措置をとることを義務付け,さらには第七章の二において快適な職場環境を形成するように努めなければならないことを定めている。 以上のことからすると,安全配慮義務の内容としては,事業者は労働環 境を改善し,あるいは,労働者の労働時間,勤務状況等を把握して労働者にとって長時間または過酷な労働とならないように配慮するのみならず,労働者に業務の遂行に伴う疲労や心理的負担等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意し,それに対して適切な措置を講ずべき義務があるものと解される。 ,,,②被告は使用者として故Dを従事させていたのであり本件自殺前には故Dの時間外労働・休日労働時間が過重なものといえるほど長時間に及んでいることに加え,故Dの業務内容,故Dがリーダーへ昇格したことなどの事態が生じていたのであるから,適宜塗装班の現場の状況や時間外労働・休日労働など故Dの勤務時間のチェックをし,さらには,故Dの健康状態に留意するなどして,故Dが作業の遅れ・不具合などにより過剰な時間外勤務や休日出勤をすることを余儀なくされ心身に変調を来たすことがないように注意すべき義務があったといえる。 ところが,被告は,上記配慮を一切せず,故Dがうつ病に罹患したことも把握できず,故Dの実際の業務の負担量や職場環境などに何らの配慮もすることなく,故Dを漫然と放 うに注意すべき義務があったといえる。 ところが,被告は,上記配慮を一切せず,故Dがうつ病に罹患したことも把握できず,故Dの実際の業務の負担量や職場環境などに何らの配慮もすることなく,故Dを漫然と放置していたのであり,その結果,本件自殺が引き起こされてしまったのである。 したがって,被告には安全配慮義務違反があったことは明らかであり,被告は,故Dに対して債務不履行責任を負う。 (3)そして,被告が,遅くとも同年4月下旬ころに,故Dの精神面での健康状態を調査して改めて,故Dについて休養の必要性について検討したり,例えば,異動についての希望聴取を行い,心身の状態に適した配属先への異動を行うなどの対応を取っていれば,同年5月14日に故Dが自殺により死亡することを防止しうる蓋然性はあったものというべきである。 以上によれば,上記被告の安全配慮義務違反と本件自殺との間には因果関係があるものというべきである。 争点(3)について(1)死亡による逸失利益金4665万4297円故Dの本件自殺前の月々の賃金の平均日額は7851円である(甲2。 )この点,原告は,上記平均日額に加え,被告において不払い分の時間外・休日労働についての割増賃金を算入する旨主張するが,これを認めるに足る証拠は本件においては認められず,かかる原告の主張は採用できない。 また,故Dの本件自殺前1年間に支給された賞与の額は93万2936円である(甲2。 )以上から,故Dの年収は,7851円に365日を乗じ,93万2936円を加えた379万8551円となる。 したがって,故D(昭和52年9月1日生まれ)は死亡時24歳であったことから,67歳までの43年間就労可能であり,その間,上記379万8551円を得られたはずである。そして,故Dの家族状況などに照らし,生活費として30 52年9月1日生まれ)は死亡時24歳であったことから,67歳までの43年間就労可能であり,その間,上記379万8551円を得られたはずである。そして,故Dの家族状況などに照らし,生活費として30パーセントを控除し,43年のライプニッツ係数(17.5459)を乗じて逸失利益を算定すると,下記の計算式により4665万4297円となる。 記379万8551円×(1-0.3)×17.5459=4665万4297円(2)死亡による慰謝料金2800万円本件における被告の過失の程度,及びその他諸般の事情を考慮すると,死亡慰謝料としては金2800万円が相当である。 (3)葬祭料金150万円本件に現れた諸事情に照らせば,葬祭料としては金150万円が相当である。 (4)小計金7615万4297円 以上(1)ないし(3)の小計は,金7615万4297円となる。 (5)なお,本件においては前記のとおり,本件自殺の原因について家族関係などの個人的な要因を認めることはできず,また,故Dの性格などに上記損害額を減額すべき要因を認めることはできない(最高裁平成12年3月24日第二小法廷判決・民集54巻3号1155頁参照。 )(6)相続故Dの上記損害賠償請求権を,原告Aが3分の2の割合で,原告B及び原告Cがそれぞれ6分の1の割合で相続したから,原告らの各相続額は以下のとおりである。 ①原告A金5076万9531円②原告B金1269万2383円③原告C金1269万2383円(7)損益相殺原告Aは,労災保険から遺族補償年金を受給しており,労災保険法の64条1号の履行猶予額(1000日分)は785万2000円であり,これを控除した上で請求している。 よって,原告Aについては,上記(6)①の額から785万2000円を控除すること り,労災保険法の64条1号の履行猶予額(1000日分)は785万2000円であり,これを控除した上で請求している。 よって,原告Aについては,上記(6)①の額から785万2000円を控除することとし,原告Aの請求の認容額は4291万7531円となる。 (8)弁護士費用原告らが,原告ら代理人に本件訴訟の提起と遂行を依頼したことは明らかであり,本件の内容,認容額などを総合すると,弁護士費用としては,原告Aについては400万円,原告B及び原告Cについては各100万円が相当である。 (9)原告らの各損害合計①原告A金4691万7531円②原告B金1369万2383円 ③原告C金1369万2383円(10)小括したがって,原告らの請求は上記記載の各損害に,訴状送達の翌日である平成16年8月26日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払いを求める限度において理由がある。 第4 結論 以上によれば,原告らの本件各請求は上記の限度において理由があるから認容し,その余は理由がないからいずれもこれを棄却し,訴訟費用の負担につき民訴法64条本文,61条を適用して主文のとおり判決する。 熊本地方裁判所民事第2部裁判長裁判官亀川清長裁判官川野雅樹裁判官結城真一郎

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