平成19(行ウ)477 懲戒処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年1月22日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文2,749 文字)

- 1 -主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求東京法務局長が原告に対して平成19年4月19日付けでした戒告を取り消す。 第2事案の概要本件は,司法書士である原告が,東京法務局長により平成19年4月19日に司法書士法(ただし,平成14年法律第33号による改正前のもの)1条の2,10条,15条の6及び大阪司法書士会会則89条,108条に違反する行為(債務弁済合意書及び公正証書作成に関する法律相談)をしたことを理由に司法書士法47条1号に基づく戒告(以下「本件戒告」という)をされた。 (以上につき,甲1,9)ことから,原告の上記行為が司法書士の行う業務の範囲に含まれる行為であって,上記戒告には司法書士法の解釈を誤った違法があるなどとして,その取消しを求める事案である。 被告は,本件戒告が行政事件訴訟法3条2項における処分の取消しの訴えの対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当しないとして,本件戒告の処分性について争うので,当裁判所は,本件訴えにつき本案前の争点である処分性についての判断を先行させるため,弁論を終結したものである。 第3争点に対する判断 行政事件訴訟法においては取消訴訟の対象となるためにはその行為が行,,「政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(行訴法3条2項(以下,単」)に「処分」という)に該当する必要がある。そして,処分とは,公権力の主。 体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって国民の権利義務を- 2 -形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものを指すというべきである(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照。 ) そこで,上記1の考え方を前提と 成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものを指すというべきである(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照。 ) そこで,上記1の考え方を前提として,司法書士法47条1号の戒告が処分に当たるか否かを検討するに,戒告とは,当該司法書士に対し,その非行の責任を確認させ,反省を求め,再び過ちのないように戒めることである。また,司法書士法又は東京司法書士会会則をみても,戒告に伴って生ずる法的効果を定めた規定はない。そうすると,司法書士法47条1号の戒告は,被戒告者の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえない。 したがって,司法書士法47条1号の戒告が取消訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(行政事件訴訟法3条2項)には当」たらないといわざるを得ない。 この点について,原告は,次の( )及び( )のとおり主張するので,それぞれ について検討を加える。 ( )まず,行政庁が行う具体的な行為に処分性が認められるか否かは,当該 ,,,行為自体の性質関係する国民の権利利益の性質それが影響を受ける程度当該行為が関係する一連の過程の中でそれが占める位置,後の段階での訴訟提起の可能性等の諸般の事情にかかっており,本件戒告は,処分行政庁がその優越的な地位に基づき,公権力の発動として行う行為であるから,これが国民の権利義務に直接具体的な影響を与えるか否かが問題とされることとなり,直接具体的な影響とは,権利義務に影響を与えるものであって,その程度が社会生活上看過し難いものを指すと解すべきであるとする。その上で,本件戒告は,原告の名誉とりわけ職業的地位たる司法書士としての社会的信用を著しく下落させるものであり(例えば,司法書士法5 その程度が社会生活上看過し難いものを指すと解すべきであるとする。その上で,本件戒告は,原告の名誉とりわけ職業的地位たる司法書士としての社会的信用を著しく下落させるものであり(例えば,司法書士法51条により被戒告者の氏名及び戒告の内容が公告され,更に日本司法書士会連合会の定期刊行- 3 -物やホームページに公開されることにより,被戒告者の社会的信用を著しく低下させる事実が社会に流布されることになる,この点で権利義務に影。)響を与えるものであって,その程度が社会生活上看過し難いものであることは明らかであると主張する。 しかしながら,司法書士法47条1号の戒告は,それが当該司法書士に告知された時にその効力が生じ,告知によって完結すると解されるところ,その後になされる公告等による影響は,いずれも同法47条1号の戒告自体に,,よる法律上の効果とはいえず事実上の効果にすぎないというべきであってこれを根拠として,同号の戒告が直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定する効果を持つということはできない。 ( )さらに,弁護士法には弁護士会が行う弁護士に対する戒告が取消訴訟の 対象となることを認める定めがあること(同法61条)を挙げ,弁護士に対する戒告と司法書士に対する戒告とで,その本質に変わるところがないことから,司法書士に対する戒告についても取消訴訟の対象となると主張する。 しかし,弁護士法は,弁護士会が行った戒告を含む懲戒の処分について東京高等裁判所に取消訴訟を提起し得る旨定める(同法61条)ほか,戒告についても,綱紀委員会による事案の審査(同法58条2項)や懲戒委員会による事案の審査(同条3項)を経ることを必要とするなど特別な手続保障の定めを置いている。これに対して,司法書士法47条1号の戒告には,これらのように,戒告に処分 審査(同法58条2項)や懲戒委員会による事案の審査(同条3項)を経ることを必要とするなど特別な手続保障の定めを置いている。これに対して,司法書士法47条1号の戒告には,これらのように,戒告に処分性を付与して,不服申立てや取消訴訟を提起することを認める明文の規定や特別な委員会の審査を経ることを必要とする規定はなく,戒告をする手続として,被戒告者に聴聞又は弁明の機会を付与する規定もない(行政手続法13条1項参照。そうすると,司法書士法が弁護士)法と同様に戒告を抗告訴訟の対象とするという立法政策をとっているとみることはできず,原告の上記主張も理由がないといわざるを得ない。 第4 結論 - 4 -よって,本件訴えは取消訴訟の対象とならない行為の取消しを求める訴えであり不適法であるから,これを却下することとし,訴訟費用について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官大門匡裁判官倉地康弘裁判官小島清二

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