【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を懲役六月に処する。 本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。 道路交通法違反の公訴事実については、公訴を棄却する
主 文 原判決を破棄する。 被告人を懲役六月に処する。 本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。 道路交通法違反の公訴事実については、公訴を棄却する。 理 由 本件控訴の趣意は、弁護人三枝一雄および同三枝三重子共同作成の控訴趣意書記 載のとおりであるから、これを引用する。 控訴趣意第二点について 所論は、原判示第三の事実につき、本件の公訴提起は、道路交通法第一三〇条に より適法と認められる手続によつてなされたものでないのに、原審が、刑事訴訟法 第三三八条第四号により公訴棄却の判決をせず、原判決のように実体的裁判をした のは、不法に公訴を受理したものであるというのでる。 そこで調査すると、原判決の確定した被告人の所為は、当時の道路交通法第一二 〇条第一項第一四号の罪にあたるから、同法第一二五条第一項、別表により同法第 九章にいう反則行為に該当し、かつ記録によれば、被告人は、同法第一二五条第二 項第一号ないし第三号にはあたらないことが認められる。ところで、記録によれ ば、被告人は、右反則行為をするにあたつて、つぎのように交通事故を起したこと が認められる。すなわち、被告人は、原判示の日時ころ、同場所附近道路上におい て、原判示の自動車を運転して東松山市方面から川越市方面に向つて時速約四〇キ ロメートルないし五〇キロメートルで進行中、約四〇メートル前方を対向して進行 して来た自動車の前照燈の光線に目がくらみ、右車に気をとられたまま約一九メー トル進行し、右対向車とすれ違つたのと同時に約四メートル前方の道路左端に自車 と同方向に向いて停車中の普通貨物自動車を発見し、あわてて右にハンドルを切つ たが間に合わず、同車の右後部に自車の左前部を衝突させたうえ、右貨物自動車を 前方に押し出してその前方約一・五 道路左端に自車 と同方向に向いて停車中の普通貨物自動車を発見し、あわてて右にハンドルを切つ たが間に合わず、同車の右後部に自車の左前部を衝突させたうえ、右貨物自動車を 前方に押し出してその前方約一・五メートルの所に同方向に向いて駐車中の普通乗 用自動車の後部に衝突させたものであつて、同所附近は、歩車道の区別のない平坦 で直線の巾約五・二メートルの舗装道路であつ<要旨>て、当時路面は乾燥してお り、明るく見通しは良かつたものである。そこで、右事実関係の下において、被 告</要旨>人が道路交通法第一二五条第二項第四号にいう当該反則行為をし、よつて 交通事故を起した者といえるかどうかについて考えてみると、同号にあたるとする ためには、当該反則行為と交通事故との間に因果関係が存在しなければならないと 解するのが相当である。ところで、本件の場合においては、被告人が法規に従つて その運転者席の横の乗車装置に当該自動車に係る第一種免許または第二種免許を受 けた者を同乗させ、同人に運転の指導を受けていたとすれば、同人において本件被 衝突車両に相当早く気付き、対向車両との関係をも考慮して被告人に指示し、ある いは自ら減速、徐行又は停止するなどして本件事故を回避しえたかも知れないとは 考えられるけれども、被告人が運転を誤つた原因等事故の態様に鑑みると、果して そのように確実に事故を回避しえたかについては相当の疑問が残り、被告人の反則 行為がなくても交通事故が発生したかも知れないといわざるをえない。そうだとす ると、右両者の間に因果関係があるとはいえないから、被告人は前記道路交通法一 二五条第二項第四号にも該当しないこととなり、従つて同法第九章にいう反則者に 該当するものといわねばならない。そして記録によれば、本件について同法第一三 〇条各号の場合でないのに、同条に掲記されている手続がなされてい 四号にも該当しないこととなり、従つて同法第九章にいう反則者に 該当するものといわねばならない。そして記録によれば、本件について同法第一三 〇条各号の場合でないのに、同条に掲記されている手続がなされていないことは明 らかである。そうすると、原審は公訴提起の手続がその規定に違反したものとして 刑事訴訟法第三三八条第四号により公訴棄却の判決をしなければならなかつたの に、原判決のように実体的裁判をしたものであるから、不法に公訴を受理したもの であり、従つて論旨は、理由がある。 以上のとおりで、その余の控訴趣意について判断するまでもなく本件控訴は理由 があるから、刑事訴訟法第三九七条、第三七八条第二号により原判決を破棄したう え、同法第四〇〇条但書の規定に従い、さらに判決することとする。 原判決の確定した原判決引用の起訴状記載の公訴事実中の第一および第二の各事 実につき原判決の適用した罰条を適用し、以上は刑法第四五条前段の併合罪である から同法第四七条本文、但書、第一〇条により重い原判示第一の罪の刑に法定の加 重をした刑期範囲内で処断する。そこで記録および当審における事実取調の結果を 検討して情状について考えると、本件各犯行の態様等犯情は軽視できないものがあ るばかりでなく、被告人は、昭和四四年ころから博徒あるいは的屋の団体に入り、 原判示第一および第二の各犯行につきその都度試験観察に付されて補導のため委託 されたのに、いずれも委託先から逃走する等その素行が良くなかつたことに徴する と、その刑事責任は軽くはないけれども、他面、被告人は、本件のいずれの犯行に おいても主犯的立場にはなく、原判示第一の事実については、被害者の夫が自己の 起した交通事故による損害の賠償に誠意を示さなかつたこともその一因をなしてお り、また被告人は、若年であり、本件で起訴されてからは深く反省し、従来の悪 く、原判示第一の事実については、被害者の夫が自己の 起した交通事故による損害の賠償に誠意を示さなかつたこともその一因をなしてお り、また被告人は、若年であり、本件で起訴されてからは深く反省し、従来の悪い 環境から離れて父母や隣人の監督の下に家業である農業の手伝に励んでおり、その 更生が期待できる。右の情状に鑑み、被告人を懲役六月に処し、本裁判確定の日か ら三年間右刑の執行を猶予することにする。 本件公訴事実中道路交通法違反の点については、前に判示したとおり公訴提起の 手続がその規定に違反したものであるから、刑事訴訟法第四〇四条、第三三八条第 四号により公訴を棄却することとする。 それで、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 浦辺衛 裁判官 環直彌 裁判官 内匠和彦)
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