平成10(ワ)337 実用新案権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成11年9月29日 東京地方裁判所
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判決文本文10,118 文字)

平成一〇年(ワ)第三三七号 実用新案権侵害差止等請求事件 (口頭弁論終結日 平成一一年七月二六日)          判         決           原       告    丸順重工株式会社           右代表者代表取締役    A           右訴訟代理人弁護士    上村正二           同            石葉泰久           同            石川秀樹           同            松村 武           右補佐人弁理士     B           同            C           被       告    株式会社松本製作所           右代表者代表取締役    D      右訴訟代理人弁護士   相澤光江 同 藤本美枝 同            富岡英次 同            宮垣 聡           同            山宮慎一郎 右訴訟復代理人弁護士 石井邦尚       右補佐人弁理士     E 同            F 主         文 一 原告の請求をいずれも棄却する。 二 訴訟費用は原告の負担とする。          事 実 及 び 理 由 第一 請求 一 被告は、別紙物件目録記載のフォーク組立体を製造、販売、使用又は展示して はならない。  二 被告は、その本 二 訴訟費用は原告の負担とする。          事 実 及 び 理 由 第一 請求 一 被告は、別紙物件目録記載のフォーク組立体を製造、販売、使用又は展示して はならない。  二 被告は、その本社又は営業所に保管する別紙物件目録記載のフォーク組立体 を廃棄し、市中に出回っている右フォーク組立体を回収せよ。  三 被告は原告に対し、金六七五〇万円及びこれに対する平成一〇年一月二三日 から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二 事案の概要  本件は、別紙物件目録記載のフォーク組立体(以下「被告物件」という。)を製 造、販売する被告の行為が原告の有する実用新案権を侵害するとして、原告が、被 告に対して、被告物件の製造等の差止めと損害賠償等を求めた事案である。 一 前提となる事実(証拠を示した事実を除き、当事者間に争いはない。) 1 原告の有する実用新案権   原告は、次の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その考案を「本件 考案」という。)を有している。 (一) 考案の名称 アイアンフォークと土工機械本体アームの連結構造 (二) 出願日   平成二年九月五日 (三) 登録日   平成八年一二月二〇日 (四) 登録番号  第二五二九二六八号 (五) 実用新案登録請求の範囲 一対の開閉フォーク部材を有するアイアンフォークと土工機械本体アームの連結 構造において、油圧シリンダによって開閉駆動される上側フォーク部材の基端部と 下側フォーク部材の基端部を相対する方向へ回動自在に連結し、この連結部から離 隔した位置に形成した下側フォーク部材の取付孔をアーム先端の取付孔に軸着し、 アームの先端取付孔の後方に軸着した作動リンクの先端部を前記上側フォーク部材 のシリンダロッド連結ステイに軸着することを特徴とするアイアンフォークと土工 機械本体アームの連結構造。 訂正後の に軸着し、 アームの先端取付孔の後方に軸着した作動リンクの先端部を前記上側フォーク部材 のシリンダロッド連結ステイに軸着することを特徴とするアイアンフォークと土工 機械本体アームの連結構造。 訂正後の明細書(以下「訂正明細書」という。)記載のとおりである。 2 本件考案の構成要件  本件考案の構成要件を分説すると、次のとおりである。 ① 一対の開閉フォーク部材を有するアイアンフォークと土工機械本体アームの連 結構造において ② 油圧シリンダによって開閉駆動される上側フォーク部材の基端部と下側 フォーク部材の基端部を相対する方向へ回動自在に連結し ③ この連結部から離隔した位置に形成した下側フォーク部材の取付孔をアーム先 端の取付孔に軸着し ④ アームの先端取付孔の後方に軸着した作動リンクの先端部を前記上側フォーク 部材のシリンダロッド連結ステイに軸着することを特徴とする ⑤ アイアンフォークと土工機械本体アームの連結構造 3 被告の行為  被告は、平成七年三月以降、被告物件を業として製造し、販売している(乙二 一)。 4 被告物件の構成 a 一対の上側フォーク1及び下側フォーク2並びに連結金物13及び補助リンク部 材18を有し、作動リンク連結孔14と、補助リンク部材18に連結する前部連結孔 15と、下側フォークに連結する下脚部連結孔19とを有する連結金物13を有し、上側 フォークの基端部7と下側フォークの基端部8とを、相対する方向へ回動自在にピ ンにより連結し、 b 上側フォークは、基端部に下側フォークとの連結用取付孔21と、中間位置外側 に、取付孔17において補助リンク部材18と連結する連結ステイ16とを有し、 c 下側フォークは、基端部に上側フォークとの連結用取付孔9と、該取付孔9か ら先端側に離隔した位置に、建設機械のアームの先端取付孔に軸着するための取付 ンク部材18と連結する連結ステイ16とを有し、 c 下側フォークは、基端部に上側フォークとの連結用取付孔9と、該取付孔9か ら先端側に離隔した位置に、建設機械のアームの先端取付孔に軸着するための取付 孔11と、該取付孔11の後方に、連結金物13と連結する取付孔20とを有し、 d 補助リンク部材18は、連結金物13の前部連結孔15と上側フォーク1の中間位置 外側に設けられている連結ステイ16の取付孔17とを、それぞれピンによって連結 し、 e 連結金物13の下脚部連結孔19と下側フォーク2の後方位置の取付孔20とをピン によって連結している、 f フォーク組立体 二 主要な争点 1 構成要件の充足性 (原告の主張)   被告物件は、以下のとおり、本件考案の構成要件をすべて充足する。 (一) 構成要件②について  構成要件②においては、油圧シリンダによって開閉駆動される上側フォーク部材 の基端部と下側フォーク部材の基端部を相対する方向へ回動自在に連結するもので あれば足り、その手段は限定されない。 被告物件においては、下側フォーク2が油圧シリンダロッドのストロークを受 け、上側フォーク1と下側フォーク2の連結用取付孔9が下側フォーク取付孔11を 軸として時計回りに回転するから、これに対応して上側フォーク1も開閉するので あって、上側フォーク部材の基端部と下側フォーク部材の基端部を相対する方向へ 回動自在に連結しているということができる。  したがって、被告物件の構成「a」は、構成要件②を充足する。 (二) 構成要件③について  構成要件③における「連結部から離隔した位置」の意義について、被告主張のよ うに、連結部から離隔し、かつ、フォークを全開した状態において、下側フォーク 部材の取付孔(軸着部)が、上側フォーク部材と下側フォーク部材の取付孔(連結 部)よりも前 位置」の意義について、被告主張のよ うに、連結部から離隔し、かつ、フォークを全開した状態において、下側フォーク 部材の取付孔(軸着部)が、上側フォーク部材と下側フォーク部材の取付孔(連結 部)よりも前方位置に位置するものと限定して解釈すべき根拠はない。  連結部が軸着部を中心に反時計回りに回転して、前方に押し出されフォークが開 きすぎるかは、軸着部と連結部と上側フォーク部材の連結ステイに形成したピン孔 と結んだ直線より、連結部が前方(左側)に出るか否かにかかっている。したがっ て、上側フォークの連結ステイを該フォークの先端方向に移動することにより、連 結部が軸着部の真上若しくは前面に出ることはあり得るのであるから、被告主張の ように限定して解釈すべきでない。 被告物件は、両フォーク部材の連結部9から離隔した位置に、下側フォーク部材 2の取付孔11をアーム先端の取付孔に軸着しているから、被告物件の構成「c」 は、構成要件③を充足する。 (三) 構成要件④について  被告物件は、下側フォークに油圧シリンダロッドのストロークを伝達するために 連結金物13を設けたが、右部材だけでは上側フォーク1と下側フォーク2がうまく 開閉しないため、さらにこれに補助リンク部材18を設けた。被告物件の構成 「c」、「d」は、構成要件④に、連結金物及び補助リンク部材を単に付加したも のであり、何らの特別な効果はなく、本件考案の単なる利用に過ぎない。 被告物件の構成「c」、「d」は、構成要件④を充足している。 (被告の主張) (一) 構成要件②について  訂正前の明細書における「考案の詳細な説明」欄の「考案の作用」、「実施例」 の各記載及び添付の図面に照らすと、本件考案の「上側(主動)フォーク部材」と は、油圧シリンダロッドのストロークを直接受けて開閉動作を行い、その動きを下 側(従動)フ 明」欄の「考案の作用」、「実施例」 の各記載及び添付の図面に照らすと、本件考案の「上側(主動)フォーク部材」と は、油圧シリンダロッドのストロークを直接受けて開閉動作を行い、その動きを下 側(従動)フォーク部材に伝えるもの、また「下側(従動)フォーク部材」とは、 上側(主動)フォーク部材の動作を介して油圧シリンダのストロークの伝達を受 け、動作を行うものをいうと解すべきである。  他方、被告物件においては、油圧シリンダロッドのストロークは、直接的には連 結金物13に伝達されてから、上側フォークと下側フォークにそれぞれ同時かつ別個 に伝達されている。  よって、被告物件の構成「a」は、構成要件②を充足していない。 (二) 構成要件③について  構成要件③における「下側フォーク部材の取付孔」は、「連結部から離隔した位 置に形成される」ものであるが、右「連結部から離隔した位置」とは、連結部から 離隔し、かつ、フォークを全開した状態において、下側フォーク部材の取付孔(軸 着部)が、上側フォーク部材と下側フォーク部材の取付孔(連結部)よりも前方位 置に位置すると限定して解釈すべきである。すなわち、本件考案では、両フォーク 部材の連結部は、フォークの開閉に必要な力を上側フォーク部材から下側フォーク 部材に伝達する機能を有しているところ、この構成で、連結部がフォークを開いた 際に軸着部と並ぶほど前面に出る仕組みを採用すると、フォークが開きすぎてしま い、物体を挟持するというフォーク組立体としての作用効果を全く奏しないことと なってしまうので、フォークの全開時に、両方のフォーク部材の連結部が、軸着部 (下側フォーク部材の取付孔)の後方に位置することが必要となるからである。  他方、被告物件は、フォークを全開した状態において、上側フォークと下側フォ ークの取付孔(連結部)が、下側フォークの 、軸着部 (下側フォーク部材の取付孔)の後方に位置することが必要となるからである。  他方、被告物件は、フォークを全開した状態において、上側フォークと下側フォ ークの取付孔(連結部)が、下側フォークの取付孔(軸着部)の略真上若しくは前 方に位置しており、後方には位置していない。これは、被告物件が連結金物を介し て、シリンダロッドのストロークを下側フォークに伝達する構成を採用したことに よって、フォークの全開時、連結部9を軸着部である取付孔11の略真上に位置する までフォークを開くことを可能にし、これによってフォークの開く角度を大きくと るとともに、連結部9と取付孔11の間の距離をフォークの開き幅に加えることを可 能にしたためである。  以上のとおり、被告物件の構成「c」は構成要件③を充足しない。 (三) 構成要件④について 構成要件④は、油圧シリンダロッド、上側フォーク部材、下側フォーク部材とい う経路を辿って、油圧シリンダロッドのストロークが伝達すること、部材数を必要 最小限度の上側フォーク部材と下側フォーク部材の二つに絞っている。したがっ て、作動リンクが軸着されるシリンダロッド連結ステイは、上側フォーク部材と一 体化されている必要がある。 他方、被告物件は、上側フォーク1が、補助リンク部材18及び連結金物13を介し て油圧シリンダロッド5からの力を受け、作動リンク12と軸着されていない。作動 リンク12の先端は連結金物13であり、主動フォーク部材と一体化された連結ステイ に軸着されているのではない。  したがって、被告物件の構成「c」、「d」は、構成要件④を充足しない。  2 損害額 (原告の主張)  被告は、平成七年六月ころから、被告物件を含む挟持解体装置を、一台平均約二 七万円で年間約一〇〇〇台製作、販売している。右被告物件の販売に係る利益は、 装置全体の ない。  2 損害額 (原告の主張)  被告は、平成七年六月ころから、被告物件を含む挟持解体装置を、一台平均約二 七万円で年間約一〇〇〇台製作、販売している。右被告物件の販売に係る利益は、 装置全体の約二五パーセントである。したがって、被告は被告物件を製作、販売す ることにより約六七五〇万円の利益を上げ、原告は右と同額の損害を被った。 (被告の反論) 原告の主張は争う。 第三 争点に対する判断 一 被告物件と本件考案の構成の対比について 1 構成要件②について (一) 構成要件②の解釈  訂正明細書の実用新案登録請求の範囲には、「油圧シリンダによって開閉駆動 される上側フォーク部材の基端部と下側フォーク部材の基端部を相対する方向へ回 動自在に連結し」たものと記載され、訂正明細書の【考案の詳細な説明】欄の[考 案の作用]欄には、「本考案は上記構造になるので、基端を開閉自在に連結した一 対のフォーク部材の下側フォーク部材の取付孔を本体アーム先端の取付孔に軸着 し、アーム作動リンクと油圧シリンダロッドを上側フォーク部材のステイに軸支す るだけで本体アームへのアイアンフォークの連結作業が完了する。そして、油圧シ リンダロッドのストロークにより上側フォーク部材を操作すると一対のフォーク部 材の連結開閉支点位置が下側フォーク部材の取付孔を支点として回動することによ り下側フォーク部材及び上側フォーク部材を相対する方向へ回動させ、アイアンフ ォークの開閉操作がなされる。」と記載され、[考案の実施例]欄には、「この実 施例では油圧シリンダ2が圧縮された状態では第1図実線で示すように上側フォー ク部材8と下側フォーク部材9が全開となる。この状態から油圧シリンダ2が伸長 ストロークに入ると上側フォーク部材8は作動リンク5に案内されながら油圧シリ ンダ2のロッド・によって前方に押出さ 上側フォー ク部材8と下側フォーク部材9が全開となる。この状態から油圧シリンダ2が伸長 ストロークに入ると上側フォーク部材8は作動リンク5に案内されながら油圧シリ ンダ2のロッド・によって前方に押出される。一対のフォーク部材8、9の開閉支 点(ピン10)が下側フォーク部材9のアームへの回動支点(ピン3)よりも後方位 置に離隔しているので、上側フォーク部材8がリンク5によって押出されながら図 の下方に降りてきて、両フォーク部材8、9の先端連結部(ピン10)の位置が下降 するとテコ作用により下側フォーク部材9の先端は取付孔13のピン3を支点として 上方へ回動し、これにより両フォーク部材8、9は第1図の鎖線位置に閉鎖する。 油圧シリンダ2の圧縮ストロークではこれと逆に作動し、アイアンフォークの開閉 操作がなされる。」と記載され、さらに「考案の効果」欄には、「以上のように本 考案は、基端部を連結した一対のフォーク部材の下側フォーク部材をアームに軸着 し、リンクと油圧シリンダロッドを上側フォーク部材に軸着するだけで連結作業が 終了し、且つ、両フォーク部材とリンクの3つの部材だけで開閉操作がなされ る。」と記載されている。  以上によると、本件考案は、油圧シリンダロッドが上側フォーク部材に軸着さ れ、上側フォーク部材の基端部と下側フォーク部材の基端部とは、相対する方向へ 回転自在に連結しており、油圧シリンダロッドのストロークが直接上側フォーク部 材を操作し、上側フォーク部材が操作されると、一対のフォーク部材の連結開閉支 点位置(連結ピン)が下側フォーク部材の取付孔を支点として回動し、両フォーク 部材が相対する方向へ回動して、アイアンフォークが開閉する構造を示しているも のと解される。したがって、構成要件②における「上側フォーク部材」とは、構造 上装置の上側に配置され、かつ、右のように、 ーク 部材が相対する方向へ回動して、アイアンフォークが開閉する構造を示しているも のと解される。したがって、構成要件②における「上側フォーク部材」とは、構造 上装置の上側に配置され、かつ、右のように、油圧シリンダロッドのストロークが 直接伝達されるフォーク部材のことであり、「下側フォーク部材」とは、構造上装 置の下側に配置され、かつ、右のように、その基端部が上側フォーク部材の基端部 と、相対する方向へ回転自在に連結し、上側フォーク部材が操作されることによ り、連結開閉支点位置(連結ピン)が回動して、上側フォーク部材と相対する方向 へ回動するフォーク部材であると解される。  なお、訂正明細書は、平成一一年一月一九日付審判請求が認められたものである が、訂正前明細書においては、「上側フォーク部材」が「主動フォーク部材」、 「下側フォーク部材」が「従動フォーク部材」と表記されていた(甲二、一〇(枝 番号は省略する。以下、同様とする。)、一三)。右部材名は、上側フォーク部材 及び下側フォーク部材が、前記のような作用、機能を有することを前提として付け られた部材名であると解され、右訂正を認めた審判においても、同様に解されてい る(甲一三)。 (二) 被告物件の構成「a」と構成要件②との対比  被告物件における「上側フォーク」は装置の上側に、「下側フォーク」は装置の 下側に、それぞれ配置され、「上側フォークの基端部7と下側フォークの基端部8 とを、相対する方向へ回転自在に図示省略のピンにより連結し」ているので、下側 フォークの基端部は、上側フォークの基端部と相対する方向へ回転自在に連結して いる。  しかし、被告物件においては、油圧シリンダロッドを連結した場合、油圧シリン ダロッドは直接連結金物と連結し、連結金物は補助リンク部材を介して上側フォー クに連結すると共に、下側フォークとも連 いる。  しかし、被告物件においては、油圧シリンダロッドを連結した場合、油圧シリン ダロッドは直接連結金物と連結し、連結金物は補助リンク部材を介して上側フォー クに連結すると共に、下側フォークとも連結している。すなわち、油圧シリンダの ストロークは、直接的には連結金物13に伝達されて、下側フォーク2に伝達される と同時に、補助リンク部材18を介して上側フォーク部材1に伝達されることになる (上側フォーク1の開閉動作を遅延させるような遊びが設けられている構造ではな いと解される。)。 以上のとおり、被告物件の構成「a」における「上側フォー ク1」は、油圧シリンダロッドのストロークが直接伝達されるフォーク部材でない から、また、同構成における「下側フォーク」は、上側フォークが操作されること により、連結開閉支点位置(連結ピン)が回動して、上側フォーク部材と相対する 方向へ回動するフォーク部材ではないから、それぞれ構成要件②の「上側フォーク 部材」、「下側フォーク部材」に該当しない。  したがって、被告物件の構成「a」は構成要件②を充足しない。 2 構成要件④について (一) 構成要件④の解釈  訂正明細書の【考案の詳細な説明】欄の[考案が解決しようとする課題]欄に は、本体アームの先端取付孔とリンク取付孔を利用してアイアンフォーク組付用の ホルダを連結し、このホルダにアイアンフォークのフォーク部材とリンクを所定の 位置関係に組付けて所定の開閉作動がなされるようにされている従来技術におい て、従来の連結構造は部品点数が多く、製作コストが高くなるだけでなく、アーム 本体への着脱に手間がかかると、その問題点を指摘した上で、「本考案の目的はホ ルダや連繋リンクを用いず、しかも本体アームの先端取付孔との作動リンクだけで 一対のフォーク部材を開閉させることができるアイアンフォークと本 手間がかかると、その問題点を指摘した上で、「本考案の目的はホ ルダや連繋リンクを用いず、しかも本体アームの先端取付孔との作動リンクだけで 一対のフォーク部材を開閉させることができるアイアンフォークと本体アームの連 結構造を提供することにある。」と記載されている。  また、前記のとおりの[考案の作用]欄の記載がある他、[考案の効果]欄に は、「本考案は、基端部を連結した一対のフォーク部材の下側フォーク部材をアー ムに軸着し、リンクと油圧シリンダロッドを上側フォーク部材に軸着するだけで連 結作業が終了し、且つ、両フォーク部材とリンクの3つの部材だけで開閉操作がな される。従って、ホルダーや連係(繋)リンクなどの追加部材を一切必要としない ので構造が簡単で部品点数が少なくてすみ、着脱も容易になる。」と記載されてい る。  さらに、本件考案の実施例も、上側フォーク部材に「背部にステイ11を一体形成 してあるとともに、このステイ11に前記作動リンク5と油圧シリンダロッド2を連 結するためのピン孔12」が形成されており、「アーム1の作動リンク5と油圧シリ ンダ2のシリンダロッド2の各先端を、上側フォーク部材8のステイ11に形成した ピン孔12にピン14を介して軸着した構成」が示されている(甲一〇)。  以上によると、本件考案は、ホルダや連繋リンクを用いず、本体アームの先端取 付孔との作動リンクだけで、一対のフォーク部材を開閉させることができる、アイ アンフォークと本体アームの連結に関する技術思想を示したものと解することがで きる。したがって、構成要件④の「作動リンクの先端部を前記上側フォーク部材の シリンダロッド連結ステイに軸着する」とは、作動リンクが、上側フォーク部材に 一体形成された連結ステイに、直接軸着した構成に限定されると解釈すべきであ り、作動リンクが別の部材を介して上側フォ ク部材の シリンダロッド連結ステイに軸着する」とは、作動リンクが、上側フォーク部材に 一体形成された連結ステイに、直接軸着した構成に限定されると解釈すべきであ り、作動リンクが別の部材を介して上側フォーク部材に軸着するような構成は、本 件考案の構成から除外されていると解される(もとより、本件考案を利用したもの ということもできない。)。 (二) 被告物件の構成「c」、「d」と構成要件④との対比  被告物件において、上側フォーク1は、連結金物13及び補助リンク部材18を介し て、作動リンクと軸着されており、作動リンク12の先端は連結金物13であり、主動 フォーク部材と一体化された連結ステイに軸着されていない。  したがって、被告物件の構成「c」、「d」は、構成要件④を充足しない。 二 したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の本件請求は、い ずれも理由がない。   東京地方裁判所民事第二九部     裁 判 長 裁 判 官      飯 村 敏 明           裁 判 官      八 木 貴美子           裁 判 官      石 村   智

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