平成17(行ウ)49 行政文書不開示処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年1月31日 東京地方裁判所 情報公開
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判決文本文16,626 文字)

- 1 -主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が原告に対し,平成15年7月11日付けで行った文書(一部)開示決定(15水推第313号。ただし,平成16年5月31日付け決定及び同年11月11日付け決定によって変更された後のもの)のうち,別紙目録記載の各部分(ただし番号10記載の部分を除く。)を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告が,被告に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)に基づいて,「ワシントン条約に基づく水生生物の海からの持ち込みに関する文書一切。平成13年度分」の開示を求めたところ,一部開示決定を受けたため,同決定(ただし,後に2回行われた処分により変更された後のもの)の一部の取消しを求めている事案である。 前提事実(当事者間に争いのない事実及び掲記の証拠並びに弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)ワシントン野生動植物取引規制条約及び国際捕鯨委員会(甲3)アワシントン野生動植物取引規制条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約。以下「ワシントン条約」という。)は,野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより,採取,捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図ることを目的として1975年(昭和50年)7月1日に発効した条約で,日本については,1980年(昭和55年)11月4日に発効している。同条約の附属書ⅠからⅢまでに掲げられた動植物及びその製品等の国際取引- 2 -に際しては,その生物を絶滅させる危険がない等の一定の条件の下に発給される輸出許可書等を輸出国の当局から取得し,輸入国の当局に提出しなければならないことに 動植物及びその製品等の国際取引- 2 -に際しては,その生物を絶滅させる危険がない等の一定の条件の下に発給される輸出許可書等を輸出国の当局から取得し,輸入国の当局に提出しなければならないことになっている。そして,「海からの持ち込み」,すなわち公海において捕獲又は採取された種の標本をいずれかの国へ輸送するには,我が国においては,水産庁が輸出入許可書等を発給することとしている。 イ国際捕鯨委員会(以下「IWC」という。)は,1948年(昭和23年)11月10日に発効した国際捕鯨取締条約に基づき設立された委員会で,①鯨資源の保存及び利用についての規則の採択,②鯨及び捕鯨に関する研究及び調査の勧告,並びに③鯨類の現状,傾向,これらに対する捕鯨活動の影響に関する統計的資料の分析を行っており,我が国は条約に1951年(昭和26年)に加入し,それ以降,毎年,IWCの年次会合に代表団を派遣している。 (2)P1(乙11)P1の起源は,1941年(昭和16年)に創立されたP2にさかのぼるが,1946年(昭和21年)に,GHQの指導に伴い,P3として改組され,それ以降,約40年間は,鯨類資源の合理的利用管理のための研究のほか,鯨類に関する基礎生物学の発展に貢献してきた。 IWCが,1982年(昭和57年)に,3年後からの商業捕鯨モラトリアム決議を採択したが,この決定には,1990年(平成2年)までにモラトリアムが鯨類資源に与える影響について包括的評価を行い,この規定自体を見直すとの付帯条件が付されていた。そのため,日本政府は,モラトリアムの理由となった資源評価に関する科学的不確実性を排除して捕鯨の再開を図る目的をもって,捕獲を含む鯨類調査を実施することを決定し,拡大される調査の実施機関として,従来のP3が改組され,現在の形での本件法人が誕生し 資源評価に関する科学的不確実性を排除して捕鯨の再開を図る目的をもって,捕獲を含む鯨類調査を実施することを決定し,拡大される調査の実施機関として,従来のP3が改組され,現在の形での本件法人が誕生した。 - 3 -本件法人は,鯨類を中心とした海産哺乳動物にかかわる自然科学及び社会科学的試験研究と調査,資料収集と提供並びに国際情勢に関する調査及び情報収集と提供を事業の柱として活動するとともに,鯨類を海洋生物資源の一部として伝統的に利用してきた我が国の立場に対する海外諸国の理解を深めるための広報活動にも取り組んでいる。 (3)鯨類捕獲調査ア我が国は,鯨も海洋生物資源の1つとして,科学的根拠に基づく適切な保存を図りつつ,持続的に利用すべきとの立場から,国際捕鯨取締条約8条に基づき,鯨類の適切な保存・管理に不可欠な科学データを収集する目的で鯨類捕獲調査を実施している(甲3)。 イ日本周辺水域でのミンククジラ捕獲枠設定のための議論において,反捕鯨国が捕獲枠設定を困難にするために,北西太平洋ミンククジラには多くの系群(種の中の小グループ)が存在すると主張したため,これを覆すために,第Ⅰ期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN)が,1994年(平成6年)に開始された。 第Ⅰ期調査によって,ミンククジラの系群分布がおおむね日本の科学者の主張にそうことが明らかにされるとともに,ミンククジラが大量の漁業資源を食べていることが証明された。そのため,各種クジラの摂餌生態をより詳細に解明し,海洋生態系の総合的管理に貢献することに重点を移して,第Ⅱ期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNⅡ)が,2000年(平成12年)に開始された(以上乙9)。 なお,2005年(平成17年)度における同調査の実施主体は,独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所(以下「遠洋水 調査(JARPNⅡ)が,2000年(平成12年)に開始された(以上乙9)。 なお,2005年(平成17年)度における同調査の実施主体は,独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所(以下「遠洋水産研究所」という。),本件法人及び宮城県水産研究開発センターである(甲7)。 ウ南極海(南氷洋)鯨類捕獲調査(JARPA)は,資源量の豊富なミンククジラを対象とし,1987年(昭和62年)ないし1988年(昭和- 4 -63年)から予備調査が開始され,1989年(平成元年)ないし1990年(平成2年)から,16年計画で本格調査が実施されており,同調査の実施主体は本件法人である(乙9)(以下,JARPNⅡ及びJARPAを「本件調査」という。)。 エ本件法人は,国際捕鯨取締条約8条に基づき,農林水産大臣の操業許可及び補助金を受け,調査母船,目視採集船及び目視調査船により,科学的研究のために本件調査を行っており,その調査計画及び調査結果は,科学的分析を加えた上,毎年IWC科学委員会に提出され,検討されている(甲3)。 (4)原告による開示請求及び対象文書の概要ア原告は,被告に対し,平成15年5月9日付けで,情報公開法4条1項に基づき,請求する行政文書の名称等を「ワシントン条約に基づく水生生物の海からの持ち込みに関する文書一切。平成13年度分」(以下「本件請求文書」という。)とする行政文書開示請求(以下「本件請求」という。)を行った(乙1)。 イ本件請求文書には,本件法人が,ワシントン条約に基づく鯨の海からの持ち込みに関する許可書の発給申請と併せて農林水産大臣に鯨類捕獲調査の操業許可を申請した際に添付した以下の文書(以下「本件文書」という。)が含まれている。 ①平成12年度北西太平洋鯨類捕獲調査結果報告書(以下「北西太平洋結果報告書」 て農林水産大臣に鯨類捕獲調査の操業許可を申請した際に添付した以下の文書(以下「本件文書」という。)が含まれている。 ①平成12年度北西太平洋鯨類捕獲調査結果報告書(以下「北西太平洋結果報告書」という。)②北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNⅡ)予備調査2001年調査要綱(以下「北西太平洋調査要綱」という。)③2001年北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNⅡ)目視及び採集調査要領(以下「北西太平洋調査要領」という。)④第14次南氷洋鯨類捕獲調査結果報告書(以下「南氷洋結果報告書」- 5 -という。)⑤2001/2002年鯨類捕獲調査要綱(案)(以下「南氷洋調査要綱」という。)これらのうち,①ないし③の文書は,2001年(平成13年)北西太平洋における鯨類捕獲調査の操業許可に係る添付資料であり,④及び⑤の各文書は,2001年(平成13年)ないし2002年(平成14年)南氷洋における鯨類捕獲調査の操業許可に係る添付資料である。それぞれの文書の構成を具体的にみると,次のとおりである。 ①北西太平洋結果報告書2000年(平成12年)北西太平洋鯨類捕獲調査の結果報告書であり,船団編成,行動概要,調査概要,日新丸航跡図,捕獲記録,目視記録,調査副産物,海区別生産記録及び体長組成からなる。 ②北西太平洋調査要綱2001年(平成13年)北西太平洋鯨類捕獲調査の調査要綱であり,調査海域,調査船,調査期間と日程,採集標本数,調査コースと目視及び採集方法,実験及び観察関係,生物調査,鯨類の捕殺方法に関する調査,副産物,調査船団の体制,責務と分担,調査団内及び餌生物調査船との連絡体制,調査項目及び記録,調査妨害対策,調査海域図並びに調査団の構成からなる。 ③北西太平洋調査要領2001年(平成13年)北西太平洋鯨類捕獲調査の目視及び採集 ,調査団内及び餌生物調査船との連絡体制,調査項目及び記録,調査妨害対策,調査海域図並びに調査団の構成からなる。 ③北西太平洋調査要領2001年(平成13年)北西太平洋鯨類捕獲調査の目視及び採集調査要領であり,調査海域,調査コース,探索,接近と確認,追尾と捕獲,調査コースへの復帰,鯨体標本の引渡し,実験,装備,調査母船の行動,調査妨害対策,サンプリングについて及び共同採集マニュアルからなる。 ④南氷洋結果報告書2000/2001年鯨類捕獲調査の結果報告書であり,船団編成,- 6 -行動概要,調査概要,日新丸航跡図,捕獲記録,調査副産物,海区別生産記録及び体長組成からなる。 ⑤南氷洋調査要綱2001/2002年鯨類捕獲調査の調査要綱であり,調査海域と海域の層化,調査船,調査期間と日程,採集標本数,調査コースと目視及び採集方法,実験及び観察,鯨の捕殺方法に関する調査,調査船団の体制,調査項目及び記録,調査妨害対策,海賊対策,指揮系統,調査団内での連絡体制,責務と分担並びに調査海域図からなる(以上甲3)。 (5)文書(一部)開示決定及びその後の経過ア被告は,平成15年7月11日,本件請求文書のうち一部を不開示とする文書開示決定(15水推第313号。以下「本件第1決定」という。)を行い,その旨を原告に通知した(甲1)。 本件第1決定において不開示とされた部分及びその理由は,別紙1記載のとおりであり,本件訴訟で原告が開示を求めている部分は,いずれも情報公開法5条2号イに該当することが不開示理由とされている。 イ原告は,平成15年9月4日,被告に対し,本件第1決定について,行政不服審査法に基づく異議申立てをした(乙2)。 被告は,同年11月14日,上記異議申立てにつき,情報公開法18条に基づき,情報公開審査会に諮問し,理由説明書を提 被告に対し,本件第1決定について,行政不服審査法に基づく異議申立てをした(乙2)。 被告は,同年11月14日,上記異議申立てにつき,情報公開法18条に基づき,情報公開審査会に諮問し,理由説明書を提出の上,同法19条により,その旨を原告に通知した(乙3ないし5)。なお,同理由説明書において,本件訴訟で原告が開示を求めている部分につき,情報公開法5条3号にも該当する旨の主張がされている。 被告は,平成16年5月31日,本件第1決定において不開示とした部分の一部を開示する決定(以下「本件第2決定」という。)を行い,その旨原告に通知した(甲2)上,同年6月1日,上記通知の写しを情報公開審査会に提出した(甲3)。なお,本件第2決定において開示された部分- 7 -は,別紙2記載のとおりである。 原告は,同年7月30日,被告に対し,本件第2決定について,行政不服審査法に基づく異議申立てをした(乙6)。 ウ情報公開審査会は,平成16年9月3日,別紙3記載の部分については開示すべきである旨の答申を行った(甲3)。 被告は,上記答申を受け,同年11月11日,本件第1決定(ただし本件第2決定による変更後のもの)のうち,別紙3記載の部分を取り消した上,これを開示し,その余の部分に係る原告の異議申立てを棄却する旨の決定(以下「本件第3決定」といい,本件第1ないし第3決定を併せて「本件決定」という。)を行い(乙7),その旨原告に通知した(甲4)。 原告は,本件決定によって最終的に不開示とされた部分(別紙1記載の部分から,別紙2及び別紙3記載の部分を除いた部分)のうち一部(別紙目録1ないし16記載の部分。ただし10記載の部分を除く。)につき,本件訴訟において開示を求めている。 (6)不開示部分の具体的内容(甲3)ア別紙目録1の部分には,日付及び船団の位置とと (別紙目録1ないし16記載の部分。ただし10記載の部分を除く。)につき,本件訴訟において開示を求めている。 (6)不開示部分の具体的内容(甲3)ア別紙目録1の部分には,日付及び船団の位置とともに,本件調査(ただし,JARPNⅡに係る部分)の内容が詳細に記載されている。 イ別紙目録2及び3の部分を含む表は,捕獲調査を行った日ごとに作成された,日付,緯度,経度,天候,視界,風向,風力,海域,ミンク捕獲,ニタリ捕獲,マッコウ捕獲,発見群頭数,調査開始,調査終了及び備考の各欄からなる表であり,そのうち不開示部分は,緯度,経度,海域,ミンク捕獲,ニタリ捕獲,マッコウ捕獲,発見群頭数及び調査終了の各欄並びに備考欄の記載の一部である。 そして,別紙目録2の部分には,ミンク,ニタリ及びマッコウ別に,オス,メス,日計及び累計の捕獲頭数並びにシロナガス,ナガス,ザトウ,ニタリ,イワシ,マッコウ,ミンク,セミ及びミンクらしい別の発見群数- 8 -及び頭数が,日付別(平成12年8月1日から9月16日まで)に記載されている。 また,別紙目録3の部分には,鯨類捕獲調査が行われた同年8月1日から9月16日までの毎日の調査終了時刻が記載されている。 別紙目録4の部分を含む表は,捕獲調査を行った小海区,海区計及び合計ごとに作成された,ミンク捕獲,ニタリ捕獲,マッコウ捕獲,発見群頭数及び捕獲船探距離の各欄からなる表であり,そのうち不開示部分は,小海区ごとのミンク捕獲,ニタリ捕獲,マッコウ捕獲,発見群頭数及び捕獲船探距離の各欄である。 そして,別紙目録4の部分には,ミンク,ニタリ及びマッコウ別に,オス,メス,区計及び累計の捕獲頭数並びにシロナガス,ナガス,ザトウ,ニタリ,イワシ,マッコウ,ミンク,セミ及びミンクらしい別に発見群数及び頭数が,小海区別に記載されてい ,ニタリ及びマッコウ別に,オス,メス,区計及び累計の捕獲頭数並びにシロナガス,ナガス,ザトウ,ニタリ,イワシ,マッコウ,ミンク,セミ及びミンクらしい別に発見群数及び頭数が,小海区別に記載されている。 ウ別紙目録5の部分を含む表は,目視調査を行った日ごとに作成された,日付,緯度,経度,天候,視界,風向,風力,海域,発見群頭数,調査開始,調査終了,探索距離及び備考の各欄からなる表であり,そのうち,不開示部分は,緯度,経度,海域,発見群頭数及び探索距離の各欄並びに備考欄の記載の一部である。 そして,別紙目録5の部分には,シロナガス,ナガス,ザトウ,ニタリ,イワシ,マッコウ,ミンク,セミ及びミンクらしい別に発見群数及び頭数が,日付別(8月2日から9月16日まで)に記載されている。 また,別紙目録6の部分を含む表は,目視調査を行った小海区,海区計,海区移動及び合計ごとに作成された,発見群頭数及び目視船探距離の各欄からなる表であり,そのうち不開示部分は,小海区ごとの発見群頭数及び目視船探距離の欄である。 そして,別紙目録6の部分には,シロナガス,ナガス,ザトウ,ニタリ,- 9 -イワシ,マッコウ,ミンク,セミ及びミンクらしい別に発見群数及び頭数が,小海区別に記載されている。 エ別紙目録7,8及び9の部分を含む表は,鯨の体長別に作成された,7海区,9海区,合計,♂及び♀の各欄並びにそれぞれの合計からなる表であり,そのうち不開示部分は,鯨の体長別の7海区,9海区,合計,♂及び♀の各欄である。 そして,別紙目録7ないし9の各部分には,各クジラの種別ごとに,体長別の頭数が記載されている。 オ別紙目録11の部分には,調査船団の鯨体処理に関する現場での対応方針について記載されている(なお,別紙目録10の部分は既に開示済みである。)。 カ別紙目録12 体長別の頭数が記載されている。 オ別紙目録11の部分には,調査船団の鯨体処理に関する現場での対応方針について記載されている(なお,別紙目録10の部分は既に開示済みである。)。 カ別紙目録12の部分には,別紙目録1と同様,鯨類捕獲調査の内容(ただし,JARPAに係る部分)が詳細に記載されている。 キ別紙目録13及び14の部分を含む表は,捕獲調査を行った日ごとに作成された,日付,日新丸正午位置,天候,視界,風向,風力,海域,捕獲頭数,発見群頭数,捕獲開始,捕獲終了,探索距離及び備考の各欄からなる表であり,そのうち,不開示部分は,日新丸正午位置,海域,捕獲頭数,発見群頭数,捕獲終了及び探索距離の各欄並びに備考欄の記載の一部である。 そして,別紙目録13及び14の部分には,それぞれ別紙目録2及び3と同様の記載がある。 ク別紙目録15記載の「捕獲調査」は,捕獲調査を行った海区,小海区及び合計ごとに作成された,捕獲頭数,発見群頭数及び採集船探距離の各欄からなる表であり,そのうち,不開示部分は,小海区ごとの捕獲頭数,発見群頭数及び採集船探距離の各欄である。 そして,別紙目録15の部分には,別紙目録4と同様の記載がある。 - 10 -ケ別紙目録16の部分を含む表は,鯨の体長別に作成された,Ⅵ区西,Ⅴ区北部東,Ⅴ区南部東,Ⅴ区北部西,Ⅴ区南部西,合計,♂及び♀の各欄並びにそれぞれの合計からなる表であり,そのうち不開示部分は,鯨の体長別のⅥ区西,Ⅴ区北部東,Ⅴ区南部東,Ⅴ区北部西,Ⅴ区南部西,合計,♂及び♀の各欄である。 そして,別紙目録16の部分には,別紙目録7ないし9と同様の記載がある。 コ本件法人は,本件調査の概要等を,自らのホームページ上で公開しているが(甲17,18の1ないし11,19の1ないし8),上記アないしケの情報そのものは ,別紙目録7ないし9と同様の記載がある。 コ本件法人は,本件調査の概要等を,自らのホームページ上で公開しているが(甲17,18の1ないし11,19の1ないし8),上記アないしケの情報そのものは,いずれも公表を予定されていない詳細なデータであり,今後,本件法人において研究に使用される予定である(乙4)。 なお,本件法人は,データを公開する場合には,原則として,収集した原データに科学的分析を加えた上で,公開している。 争点 (1)別紙目録1,2,4ないし9,12,13,15及び16の各部分(以下「本件不開示部分1」という。)が,情報公開法5条2号イ又は同条3号所定の不開示情報であるか否か(同条3号につき理由付記制度との関係で主張可能か否かも含む。)。 (2)別紙目録3,11及び14の各部分(以下「本件不開示部分2」という。)が,情報公開法5条3号所定の不開示情報であるか否か(理由付記制度との関係で主張可能か否かも含む。)。 第3争点に対する判断 争点(1)について(1)情報公開法5条2号イは,「法人その他の団体(国,地方公共団体等を除く。以下「法人等」という。)に関する情報であって,公にすることにより,当該法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるも- 11 -の(ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報を除く。)」を不開示とする旨規定している。 そして,法人等が資力,労力をかけて必要な情報を収集する意欲を損なわないためにも,「法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益」には,上記ただし書の場合に該当する等特別の事情がない限り,当該法人が自己使用の目的で収集した非公開情報を,同業者等他の者が情報公開請求によって,労力をかけずに獲得することを防ぐ利益も 正当な利益」には,上記ただし書の場合に該当する等特別の事情がない限り,当該法人が自己使用の目的で収集した非公開情報を,同業者等他の者が情報公開請求によって,労力をかけずに獲得することを防ぐ利益も含まれると解される。 なお,国及び地方公共団体は,その公的性格にかんがみ,法人等とは異なる開示,不開示の基準を適用すべきであるため,同法5条2号イから除かれているが,それ以外の「法人その他の団体」であれば,本件法人のような財団法人であっても,同法5条2号イの「法人等」に該当するというべきである。 (2)前記前提事実及び証拠(甲3)並びに弁論の全趣旨によれば,下記のとおり分類できる本件不開示部分1の記載内容は,いずれも公表を予定されていない詳細なデータ等の情報であり,今後,本件法人において調査・研究に用いられる予定であることから,これらを公にすると,本件法人の研究に供される原データが第三者に渡ることになり,本件法人が同データを利用して初めに研究を行うことを妨げるなど,研究機関としての本件法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるから,情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するものと認められる(なお,本件不開示部分1の記載内容は,その分類内容自体から明らかなように,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報には該当しない。)。 記ア本件調査に関する詳細な情報(別紙目録1及び12)イ日付別に作成されたクジラの種別の捕獲頭数等(別紙目録2及び13)- 12 -ウ小海区別に作成されたクジラの種別の捕獲頭数等(別紙目録4及び15)エ日付別ないし小海区別に作成されたクジラの種別の発見群数及び頭数(別紙目録5及び6)オ小海区ごとに作成されたクジラの体長別の頭数(別紙目録7ない ジラの種別の捕獲頭数等(別紙目録4及び15)エ日付別ないし小海区別に作成されたクジラの種別の発見群数及び頭数(別紙目録5及び6)オ小海区ごとに作成されたクジラの体長別の頭数(別紙目録7ないし9,16)(3)ア本件調査及び本件法人の公共的性格を根拠とする原告の主張について(ア)上記(2)に対し,まず,原告は,本件調査そのものが国の行政機関(水産庁)の直轄事業と実質的に同視できることに加え,本件法人自体も公益法人であり,かつ,その財源のほとんどを直接間接に国に依拠しているなど,極めて公共性,公益性が高い団体であるから,情報開示に当たって,事業主体たる本件法人の競争上の地位その他正当な利益を考慮する余地は極めて小さい旨主張する。 しかし,前述のとおり,公益法人であっても,情報公開法5条2号イの「法人等」に該当するものであって,本件法人は,農林水産大臣の操業許可及び補助金を受けつつも,独自の事業活動として本件調査を行っているのであるから,権利,競争上の地位その他正当な利益を否定されるべきではない。 また,本件調査が,商業捕鯨の再開のために行う交渉の材料を提供する点において,国にとって必要不可欠な調査であったとしても,これをすべて国が行うべきであるとの論理的必然性はなく,現に国以外の法人がこれを行っている場合に,当該法人の権利等が喪失すると解することもできない。 そして,証拠(乙11)によれば,平成13年度における本件法人の収入に関して,国庫補助金及び調査受託による収入が当期収入に占める- 13 -割合は1割程度にすぎないことが認められ,本件法人がその財源のほとんどを国に依拠しているとはいえない。 (イ)さらに,原告は,本件調査の対象となる鯨類の捕獲及び販売が漁業法ないし水産資源保護法によって本来禁止されているにもかかわら られ,本件法人がその財源のほとんどを国に依拠しているとはいえない。 (イ)さらに,原告は,本件調査の対象となる鯨類の捕獲及び販売が漁業法ないし水産資源保護法によって本来禁止されているにもかかわらず,本件法人が調査対象物から販売収入を上げることは,農林水産大臣の許可によって特別に許容されているものであり,本件法人が,国から,副産物販売収入を上げる機会を特権的,独占的に付与されている旨主張する。 この点については,直ちに本件法人の競争上の地位その他正当な利益を考慮しなくてもよいとの根拠になるのか疑問があるが,これをひとまずおくとして,証拠(乙11)によれば,原告が問題としている副産物収入は,本件法人の平成13年度の収入の約5割を占めていることが認められる。しかし,漁業法施行規則1条によれば,漁業法に基づく農林水産省令の規定のうち,水産動植物(その製品を含む。)の処理若しくは販売等についての制限又は禁止に関するものは,試験研究その他特別の事由により農林水産大臣の許可を受けた者が行う当該試験研究等については適用が除外されており,一定の相手方に対して上記販売等が許可されることは法の予定するところであって,本来的に禁止されているわけではない。 そもそも本件調査は,国際捕鯨取締条約8条1項の規定に基づくものであり,同条2項によれば,捕獲した鯨は実行可能な限り加工することとされており,同項に取得金について定めがあることからすれば,同調査により得られる副産物の販売は禁止されておらず,むしろ予定されているというべきである。 そして,日本政府は,本件法人に対して本件調査の実施許可を発給しているが,証拠(甲8)によれば,現在,日本政府が把握する限り,鯨- 14 -類に関する多くの知見や,南極海等の特殊な条件下での調査について経験を有するのは,本件法 して本件調査の実施許可を発給しているが,証拠(甲8)によれば,現在,日本政府が把握する限り,鯨- 14 -類に関する多くの知見や,南極海等の特殊な条件下での調査について経験を有するのは,本件法人だけであることを理由として,日本政府が本件法人に対して上記実施許可を与えていることが認められるから,本件法人の副産物収入について,これを国から特権的,独占的に交付されたものと同視することはできない。 (ウ)このほか,原告は,本件法人の人的体制からみて,本件法人が遠洋水産研究所の鯨類部門に関する外局的存在である旨主張するが,原告が主張するような構成員の状況(元水産庁職員や関係者が理事長や理事という要職を占めていること)から当該団体の法的性質が直ちに決まるというものではないのであって,採用できない。 (エ)以上のとおり,本件調査及び本件法人の性質を根拠に,本件不開示部分1を開示すべきであるとする原告の主張は理由がない。 イ本件不開示部分1に記載された情報の公共的性格等を根拠とする原告の主張について原告は,本件不開示部分1は,純粋な科学的データであるから,開示しても本件法人に不利益はなく,鯨類の持続的利用を図るための資源管理(及び地球環境保全と海洋生物資源の保存)に必要な科学的データの収集という高度の公益目的に出た科学的調査の結果であるから,国民全体がその成果を享受すべきものであって,情報開示に当たって実施主体の競争上の地位その他正当な利益を考慮する理由はなく,本件法人や被告は,本件の捕獲記録や捕獲状況等のかなりの部分を,IWC科学委員会での報告書のほか,事業報告書その他研究所報,ウェブサイト上でも公表し,その評価も示しているから,開示しても問題は生じない旨主張する。 しかし,前記前提事実のとおり,本件法人が公開しているデータは,原則と 書のほか,事業報告書その他研究所報,ウェブサイト上でも公表し,その評価も示しているから,開示しても問題は生じない旨主張する。 しかし,前記前提事実のとおり,本件法人が公開しているデータは,原則としていずれも収集した原データに科学的分析を加えたものであり,原- 15 -データがそのまま公開されているわけではないから,原データをそのまま公開しても本件法人に不利益はない旨の原告の主張は,そもそもその前提を欠いているといえる。 また,前記前提事実のとおり,本件法人は,もともと鯨類を中心とした海産哺乳動物にかかわる,自然科学及び社会科学的試験研究,調査,資料収集及び提供並びに国際情勢に関する調査,情報収集及び提供という,ある程度公共性の高い情報を扱っているものであり,本件不開示部分1のデータが,地球環境保全と海洋生物資源の保存に役立つ可能性があり得るとしても,本件法人があくまでも一財団法人にすぎないことからすれば,そのことから直ちに,本件文書の開示・不開示の判断に当たり,研究機関としての本件法人の正当な利益を考慮する余地がなくなるとすることはできない。 このように,本件不開示部分1に記載された情報の公共的性格等を根拠とする原告の主張も理由がない。 (4)以上のとおり,本件不開示部分1はいずれも情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するから,同条3号該当性について判断するまでもなく,本件不開示部分1に関する原告の主張は理由がない。 争点(2)について(1)情報公開法5条3号は,「公にすることにより,他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示とする旨規定している。そして,国際機関とは,国際会議その他国際協調の枠組みに係る組織を含むというべきであり,IWCも「 るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示とする旨規定している。そして,国際機関とは,国際会議その他国際協調の枠組みに係る組織を含むというべきであり,IWCも「国際機関」に含まれる。 「他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」とは,他国等との現在進行中の,又は将来予想される交渉において,我が国が望むような交渉成果が得られなくなったり,我が国の交渉上の地位が低下する等のおそれ- 16 -(例えば,交渉に関する情報を公にすることにより,現在進行中の,又は将来予想される交渉に関して我が国が採ろうとしている立場が明らかにされ,又は具体的に推測されることになり,交渉上の不利益を被るおそれ)をいう。 なお,公にすることにより,国際交渉上不利益を被るおそれがある情報については,一般の行政運営に関する情報とは異なり,その性質上,開示・不開示の判断に高度の政策的判断を伴い,我が国の対外関係上の将来予測としての専門的・技術的判断を要する等の特殊性が認められるから,裁判所は,同号所定の情報に該当するかどうかについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかどうかを審理,判断することになる。 (2)証拠(乙13,15,16)によれば,以下の事実が認められる。 ア鯨類資源に関する科学的知見の不確実性を理由として,1982年(昭和57年)にIWCにおいて採択された商業捕鯨モラトリアム(一時停止措置)は,1990年(平成2年)までに鯨類の包括的資源評価を完成し,ゼロ捕獲枠以外の枠を設定するとの条件の下に採択された。 しかし,捕鯨に反対する勢力は,商業捕鯨の再開を認めるためには,更に国際監視取締制度等の確立を含む改訂管理制度(RMS)の完成が必要であるとして, 捕獲枠以外の枠を設定するとの条件の下に採択された。 しかし,捕鯨に反対する勢力は,商業捕鯨の再開を認めるためには,更に国際監視取締制度等の確立を含む改訂管理制度(RMS)の完成が必要であるとして,1992年(平成4年)に新たなハードルを設定した。その後,RMSの検討に歳月が費やされているが,反捕鯨派の遅延策(国際監視員の大量な配置や国際捕鯨取締条約の権限外である鯨肉市場の取締りなどの要求)により,RMSは,2002年(平成14年)1月現在,完成に至っていない。 その結果,商業捕鯨モラトリアムの見直し期限である1990年(平成2年)から10年以上経過した2002年(平成14年)1月現在においても,商業捕鯨モラトリアムが継続されている。 イ日本政府は,捕鯨は何ら特殊な活動ではなく,通常の天然資源の利用形- 17 -態の1つであるという立場を採っている。 ウ2002年(平成14年)第54回IWC年次会合において,ニュージーランドが,捕鯨船が鯨を長時間追跡することによる鯨への悪影響に関するプレゼンテーションを行った。 エ日本が,2002年(平成14年)のIWC科学委員会において,第Ⅱ期北西太平洋鯨類捕獲調査計画(JARPNⅡ)を提出したところ,捕鯨に反対する科学者から,捕鯨調査計画の趣旨にはずれた数十か所にも及ぶ詳細な批判文書が提出されたため,日本は,上記批判に対する30か所以上に及ぶ反論を準備しなくてはならず,科学委員会での正常な議論及び国際交渉が妨げられた。 (3)前記前提事実及び上記(2)の事実を踏まえて,本件不開示部分2の記載内容が情報公開法5条3号所定の不開示情報に該当するとの被告の判断に相当の理由があるか否かについて検討する。 まず,別紙目録3の部分(鯨類捕獲調査が行われた8月1日から9月16日までの毎日の調査終了時刻)及 報公開法5条3号所定の不開示情報に該当するとの被告の判断に相当の理由があるか否かについて検討する。 まず,別紙目録3の部分(鯨類捕獲調査が行われた8月1日から9月16日までの毎日の調査終了時刻)及びこれと同旨の別紙目録14の部分を公にするならば,既に本件決定により開示されている調査ないし捕獲開始欄の時刻の記載(前記前提事実(6)イ,キ)と対照することにより,捕鯨船の鯨の追跡時間を推測することが可能となり,「長時間の追跡による鯨への悪影響」に関する議論について我が国が望むような交渉成果を得られないおそれ,及びIWCにおける交渉の障害になるおそれがあるといえる。 また,上記議論をはじめとして,反捕鯨団体が様々な機会に我が国の調査捕鯨を批判しているという現状にかんがみれば,別紙目録11の記載内容(調査船団の鯨体処理に関する現場での対応方針)の開示は,反捕鯨団体に新たな批判の材料を与える可能性があり,我が国のIWCにおける交渉の障害となるおそれがあるといえる。 以上の点に加え,本件法人が,収集した情報に科学的分析を加えた上で公- 18 -開したり,IWC科学委員会に報告しており,本件不開示部分2のようなデータをそのまま公表してはいないこと(前記前提事実(6)コ)をも考慮すると,本件不開示部分2の公開によって,現在,IWCで進行中又は将来予想される交渉において不利益が生じ,我が国のIWCとの交渉の障害となることや,我が国が望むような交渉成果が得られないことが容易に想定できる。 したがって,本件不開示部分2が情報公開法5条3号の不開示情報に該当するとの被告の判断には相当の理由があるものと認められる。 (4)これに対して,原告は,本件調査は国際交渉そのものではなく,交渉のための情報生産過程にすぎないから,本件不開示部分2は情報公開法5条3号に該当 告の判断には相当の理由があるものと認められる。 (4)これに対して,原告は,本件調査は国際交渉そのものではなく,交渉のための情報生産過程にすぎないから,本件不開示部分2は情報公開法5条3号に該当しない旨主張する。 しかし,国際交渉において用いられる情報の収集過程やそれにより得られた情報を,同法5条3号所定の不開示情報から除外してしまっては,そもそも我が国の国際交渉上の利益を保護するために同法5条3号の規定が設けられた趣旨が没却されるから,原告の上記主張は採用できない。 また,原告は,被告がIWCにおいて最良の科学的助言を提供し,望むような交渉成果を上げるためには,動かし難い科学的客観的データを示して科学的議論を行うことが最も合理的かつ有効な方法であって,集計・分析による加工済み情報のみを報告し,原データの検証の機会を相手方に与えないことは,論者の主張の科学性,客観性を減殺する旨主張する。 しかし,現実の交渉場面においては,客観的・科学的なデータであっても,都合よく用いられることはままあり得るのであって,我が国によるデータのIWCへの提出についても,その提出時期や提出方法,とりわけ原データとして提出するか,一定の分析を加えて提出するか等に関して,商業捕鯨再開に向けての交渉にとって有利な方法を選択することは,我が国の交渉戦略として当然許容される範囲内のものであり,科学的データであるから,そのままの形で一律に開示すべきとする原告の主張は,現実の交渉過程への配慮を- 19 -欠いた議論であるといわざるを得ない。 (5)なお,原告は,行政機関が処分理由以外の理由を開示拒否決定を維持するために援用することは原則的に許されない旨主張し,本件第1決定において,情報公開法5条3号が不開示理由として記載されていない点を指摘する。 しかし,情報公開法9条 由以外の理由を開示拒否決定を維持するために援用することは原則的に許されない旨主張し,本件第1決定において,情報公開法5条3号が不開示理由として記載されていない点を指摘する。 しかし,情報公開法9条に基づく(一部)不開示決定において,不開示の理由の有無について実施機関(行政庁)の判断の慎重と公正妥当とを担保してその恣意を抑制するとともに,不開示の理由を申請者に知らせることによって,その不服申立てに便宜を与える程度に理由が付記されていれば,行政手続法8条の要請する理由付記としては必要十分であり,ひとたび決定通知書に理由を付記した以上,実施機関が当該理由以外の理由を(一部)不開示決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものと解すべき根拠はない(最高裁判所平成11年11月19日第二小法廷判決(民集53巻8号1862頁)参照)。 また,1つの情報が複数の不開示事由に該当する場合に,常に,すべての理由の提示が必要であるとすると,明らかな不開示事由が存在するときでも,他の不開示事由の存否をすべて検討しなければならず,開示が遅れることにもなりかねないのであり,情報公開法がこのような事態を予定していると解することはできない。 そして,被告は,本件訴訟に至る以前である平成15年11月14日に,本件不開示部分2は情報公開法5条3号にも該当する旨の理由を記載した説明書を情報公開審査会にも提出しているのであって(前記前提事実(5)イ),これにより,原告には,諮問庁に対して反論する機会が実質的に保障されていたことからしても,理由の追加ないし差替えによって,原告に特段の不利益をもたらすものとは認められない。 このように,本件での被告による理由の追加ないし差替えに違法はない。 (6)以上のとおり,本件不開示部分2がいずれも情報公開法5条3号所定の不- 特段の不利益をもたらすものとは認められない。 このように,本件での被告による理由の追加ないし差替えに違法はない。 (6)以上のとおり,本件不開示部分2がいずれも情報公開法5条3号所定の不- 20 -開示情報に該当するとの被告の判断には相当の理由があり,同号該当性が本件第1決定において不開示理由として挙げられていなくても,被告がこの点を本件訴訟において主張することは何ら違法ではなく,本件不開示部分2に関する原告の主張は理由がない。 第4 結論 よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部大門匡裁判長裁判官田徹裁判官吉矢口俊哉裁判官

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