令和2(行ウ)93 銃砲刀剣類所持等取締法に基づく銃砲所持許可更新不許可処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年9月16日 東京地方裁判所
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判決文本文26,114 文字)

令和4年9月16日判決言渡令和2年(行ウ)第93号銃砲刀剣類所持等取締法に基づく銃砲所持許可更新不許可処分取消等請求事件 主文 1 東京都公安委員会が平成29年10月18日付けで原告に対してした別紙物件目録記載1の散弾銃1丁、同目録記載2の空気銃1丁及び同目録記載3のライフル銃1丁についての各所持許可更新不許可処分をいずれも取り消す。 2 東京都公安委員会は、原告に対し、別紙物件目録記載1の散弾銃1丁、同目録記載2の空気銃1丁及び同目録記載3のライフル銃1丁について、いずれも所持 許可の更新許可処分をせよ。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文第1項及び第2項に同旨 第2 事案の概要本件は、東京都公安委員会から別紙物件目録記載1ないし3の各銃(以下「本件各銃」という。)の所持許可を受けていた原告が、本件各銃の所持許可の各更新の申請(以下「本件各更新申請」という。)をしたところ、東京都公安委員会から、銃砲刀剣類所持等取締法(平成29年法律第52号による改正前のもの。 以下「銃刀法」という。)5条1項18号に該当することを理由として更新を認めない旨の各処分(以下「本件各更新不許可処分」という。)を受けたことから、本件各更新不許可処分には裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があると主張して、その取消しを求めるとともに、本件各銃の所持許可の更新許可処分の各義務付けを求める(以下、各義務付けを求める部分を「本件各義務付けの 訴え」という。)事案である。 1 関係法令の定め⑴ 銃刀法ア銃刀法4条1項は、狩猟、有害鳥獣駆除又は標的射撃の用途に供するため、猟銃又は空気銃(空気拳銃を除く。)を所持しようとす いう。)事案である。 1 関係法令の定め⑴ 銃刀法ア銃刀法4条1項は、狩猟、有害鳥獣駆除又は標的射撃の用途に供するため、猟銃又は空気銃(空気拳銃を除く。)を所持しようとする者(同項5号の2に該当する者を除く。)(同項1号)は、所持しようとする銃砲ごとに、その所 持について、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならないことを規定している。 イ銃刀法5条1項は、都道府県公安委員会は、同法4条の規定による許可を受けようとする者が、他人の生命、身体若しくは財産若しくは公共の安全を害し、又は自殺をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者 (銃刀法5条1項17号に該当する者を除く。)に該当する場合(同項18号)には、許可をしてはならないことを規定している。 ウ銃刀法7条の3第1項は、同法4条1項1号の規定による猟銃又は空気銃の所持の許可の更新を受けようとする者は、その者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に対し、許可の更新の申請をしなければならないことを規定 している。 エ銃刀法7条の3第2項は、都道府県公安委員会は、同条1項の規定による許可の更新の申請があった場合において、申請をした者及び申請に係る猟銃又は空気銃が同法5条(1項1号を除く。)及び5条の2(6項を除く。)の許可の基準に適合していると認めるときは、許可の更新をしなければならな いことを規定している。 オ銃刀法10条1項は、同法4条の規定による許可を受けた者は、当該許可に係る用途に供する場合その他正当な理由がある場合を除いては、当該許可を受けた銃砲を携帯し、又は運搬してはならないことを規定している。 ⑵ 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下「鳥獣保護法」 場合その他正当な理由がある場合を除いては、当該許可を受けた銃砲を携帯し、又は運搬してはならないことを規定している。 ⑵ 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下「鳥獣保護法」 という。) 鳥獣保護法8条は、鳥獣の捕獲又は殺傷(以下「捕獲等」という。)が原則として禁止されることを規定し、同条1号において、同法9条1項の都道府県知事の許可を受けてその許可に係る捕獲等をするときは例外とすることを規定している。 2 前提事実 以下の各事実については、当事者間に争いがないか、後掲各証拠(枝番号のあるものは枝番号を含む。)及び弁論の全趣旨により、容易に認められる。 ⑴ 原告ア原告は、昭和38年▲月生まれの男性である。 イ原告は、居住地を本店所在地とし、建築工事の設計、施工、管理業務等を 目的とするAの代表取締役であり、大工である(甲1、2)。また、原告は、令和2年11月1日から、鳥獣保護法による指定管理鳥獣捕獲等事業の受託業務等を行うBの代表取締役を務めている(甲28)。 ⑵ 本件各銃の所持許可及びその更新等ア原告は、平成10年12月24日付けで、当時所持していた散弾銃につい て、東京都公安委員会から所持許可を受けた。 原告は、平成15年9月2日付けで、同散弾銃に替えて、別紙物件目録記載1の散弾銃1丁につき、東京都公安委員会から所持許可を受け、以後更新を続け、直近では平成26年10月22日付けで所持許可の更新を受けた。 原告は、同目録記載2の空気銃1丁及び同目録記載3のライフル銃1丁に ついても、それぞれ平成17年11月1日付け及び平成21年7月31日付けで所持許可を受け、以後更新を続け、直近ではいずれも平成26年10月22日付けで所持許 び同目録記載3のライフル銃1丁に ついても、それぞれ平成17年11月1日付け及び平成21年7月31日付けで所持許可を受け、以後更新を続け、直近ではいずれも平成26年10月22日付けで所持許可の更新を受けた。(甲2)イ原告は、平成10年から平成24年頃まで、公益社団法人東京都猟友会α地区に所属しており、同年頃、同東京都猟友会γ地区(以下「C猟友会」と いう。)に移籍した(甲41)。 ⑶ 本件各更新不許可処分の経緯等ア原告は、平成29年9月14日付けで、東京都公安委員会に対し、本件各銃につき、それぞれ猟銃等所持許可更新申請書を提出し、本件各銃の所持許可の更新を申請した(本件各更新申請、乙12)。 東京都公安委員会は、本件各更新申請について、同年10月18日付けで、 原告は、①同年2月4日、東京都(以下、場所の記載については「東京都」を省略する。)γ市(住所省略)D大学Eキャンパス(以下「D大学」という。)敷地内において、ハコワナで捕獲した猪1頭(以下「本件猪」という。)を、自身が飼養する猟犬の狩猟訓練をする目的で、γ市δ(住所省略)(以下「本件放獣場所」という。)まで搬送の上放獣した(以下「本件放獣行為」 という。)ほか、同様行為を複数回敢行した、②前記行為を注意、たしなめた者の意見を聞くことなく、同人らとの間で怨恨を残し、トラブルに発展している、③遵法精神が乏しく、言動が粗暴であり、複数の者が銃砲を所持することについて恐怖心を抱き反対しているものであるとして、銃刀法5条1項18号に規定する者に該当することを理由に、所持許可の更新をいずれも 認めない旨の各処分(本件各更新不許可処分)をし、これを原告に通知した(甲3)。 イ原告は、平成29年11月6日付けで、東京都公安 者に該当することを理由に、所持許可の更新をいずれも 認めない旨の各処分(本件各更新不許可処分)をし、これを原告に通知した(甲3)。 イ原告は、平成29年11月6日付けで、東京都公安委員会に対し、本件各更新不許可処分を不服として各審査請求をしたが、東京都公安委員会は、令和元年9月6日付けで、各審査請求を棄却する旨の各裁決をし、原告は、同 月11日、同各裁決に係る裁決書謄本を受領した(甲4、8)。 ⑷ 本件訴訟の提起原告は、令和2年3月10日、本件訴訟を提起した。 3 争点及び争点に関する当事者の主張本件の主たる争点は、本件各更新不許可処分の適法性であり、原告について銃 刀法5条1項18号に該当すると認められるか否かに争いがある。 (被告の主張)⑴ 銃刀法5条1項18号にいう、他人の生命、身体若しくは財産又は公共の安全を害するおそれとは、他人の生命等に対する危害が具体的、現実的に発生する可能性があることを要求するものではなく、将来における危害が発生する抽象的な可能性が存在することをもって足りると解される。そして、この判断に ついては、警察法38条3項に基づいて都道府県警察を管理する都道府県公安委員会の合理的判断に委ねる趣旨であると解するのが相当である。 ⑵ 東京都公安委員会が、本件放獣行為に係る鳥獣保護法違反及び銃刀法違反被疑事件(以下「本件被疑事件」という。)の捜査結果及び本件各更新申請に係る調査結果を踏まえ、本件放獣行為の危険性や原告の遵法精神の欠如といった 性状等を総合的に考慮した結果、原告が本件各銃を所持することについて、その将来における危害防止の観点から、銃刀法5条1項18号に該当すると判断したことは、客観的かつ合理的な根拠を伴うものであり、重要 性状等を総合的に考慮した結果、原告が本件各銃を所持することについて、その将来における危害防止の観点から、銃刀法5条1項18号に該当すると判断したことは、客観的かつ合理的な根拠を伴うものであり、重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認めるべき事情も存しないから、その判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない。 ア本件放獣行為について本件放獣行為の際、本件放獣場所及び本件猪が駆除されたγ市(住所省略)付近(以下「本件駆除場所」という。)の半径約200m圏内には合計22戸(本件放獣場所につき20戸、本件駆除場所につき2戸)の住居が存在していたこと、本件猪が、本件放獣場所から本件駆除場所まで移動す る間に公道を横断していること、原告自身は本件猪を捕獲することができなかったこと、本件猪の逃走距離は、直線距離にして約2.5㎞以上に及んでおり、本件猪の逃走方向には、公共交通機関の駅のほか、学校、体育館、公園、病院等複数の公共施設が所在する市街地があったことなどからすると、本件放獣行為により、本件猪が公共施設や民家等のある地域に出 没し、住民や施設利用者の生命、身体若しくは財産又は公共の安全を害す る具体的なおそれが発生したことは明らかであるし、本件猪の駆除に銃砲が使用されたことも考慮すると、同地域に居住する住民や同地域を通行する不特定多数の者の生命、身体若しくは財産又は同地域における公共の安全が害される具体的かつ現実的なおそれが発生したことは明白である。 原告も、本件被疑事件に係る取調べにおいて、本件猪がそのまま逃げ回 っていれば、街道に沿った民家に出て人に危害を加えていたかもしれないこと、一歩間違えれば付近の住民に危害が及ぶおそれが大きかったことを認める供述をしている( べにおいて、本件猪がそのまま逃げ回 っていれば、街道に沿った民家に出て人に危害を加えていたかもしれないこと、一歩間違えれば付近の住民に危害が及ぶおそれが大きかったことを認める供述をしている(甲25)のであるから、原告自身、本件放獣行為の危険性を認識していた。 原告は、放獣方法等に適切に配慮した旨主張するが、民家が点在する本 件放獣場所で本件猪を放獣したこと、本件猪は、本件放獣場所に搬送される際、輸送箱の中で暴れるほどの興奮状態であり、蓋が開いた途端に山に向かって走っていったことからすると、何らの手立ても講じることなく本件猪を放獣したもので、公共の安全が確保されていたとはいえない。 また、原告は、本件放獣行為を正当化する事情として、東京都環境局や 農林水産省において、錯誤捕獲があった場合には放獣するよう指導されていることを挙げるが、錯誤捕獲とは、許可の対象となる有害鳥獣以外の鳥獣を誤って捕獲した場合をいうのであって、有害鳥獣駆除の許可を受けて捕獲した本件猪を放獣した本件とは前提事実を異にするものであり、原告の主張は失当である。 原告は、本件放獣行為をしたほか、同様の放獣行為を繰り返していた。 これに対し、原告は、本件放獣行為以外に放獣行為をしたことはないと主張するが、原告が、C猟友会の慣行として行われていたとする猟犬の訓練のための猪の放獣に携わったことがないというのは極めて不自然である。 イ関係者らとの間のトラブルについて 原告は、ハコワナで捕獲された猪をC猟友会の会員であるFから譲っても らえなかったことに対し、Fを無視したり、関係者らから本件放獣行為をたしなめられた際、「俺の罠で捕獲しているイノシシだから、どうしようと俺の自由だ。」とか、「放獣は違反ではな から譲っても らえなかったことに対し、Fを無視したり、関係者らから本件放獣行為をたしなめられた際、「俺の罠で捕獲しているイノシシだから、どうしようと俺の自由だ。」とか、「放獣は違反ではない。」などと発言したりしているほか、本件放獣行為をたしなめたC猟友会のG支部長に対して、東京都知事からの許可に係る捕獲等に従事する者であることを証明する従事者証(鳥獣保護法 9条8項。以下「従事者証」という。)の引渡しを求めたり、G支部長の不信任案を出して辞任を迫ったりするなど、「反G(支部長)派」の中心となり積極的に関係者らを敵対視した行動に出るなどしている。現に、Fはそのような状態では有害鳥獣駆除などできないとして従事者証をγ市に返納しており、原告のこれらの行動は関係者らに対する怨恨の情に端を発したもので、 関係者らとの間でトラブルに発展していると評価することができる。 ウ原告の遵法精神及び言動等について原告は、ハコワナで捕獲した猪を放獣する行為が鳥獣保護法に抵触すること及びその危険性を認識した上で、本件放獣行為を行ったものであり、本件放獣行為以前にも放獣行為を繰り返していたこと、その目的は、自身 が飼養する猟犬の訓練のためという極めて身勝手なものであったこと、γ市から義務付けられている捕獲した猪に関する報告をこれまでに一度もしたことがないこと、本件放獣行為の際にも、あたかも山中に出没した猪を発見したかのように虚偽の説明をして本件放獣行為を隠蔽しようとしていたことなどからすると、原告が極めて遵法精神に乏しいことは明らか である。 また、複数の関係者らが、原告の性格等について、気性が激しい、気分が良くないときは仲間に怒鳴る、猟の時に仲間を手足のように使い、無線で喧嘩するなどと述べており、原 か である。 また、複数の関係者らが、原告の性格等について、気性が激しい、気分が良くないときは仲間に怒鳴る、猟の時に仲間を手足のように使い、無線で喧嘩するなどと述べており、原告に銃は持ってもらいたくないなどと、原告による銃の所持について恐怖心や不安を抱き反対している者も複数 いる。 原告は、原告がBの代表者の地位にあることを主張するが、鳥獣捕獲等事業の認定を受けているのは同社であって、原告本人が何らかの公的な認定を受けたものではない。また、同認定は、法人としての捕獲等の実績等を主な要件とするものであり、原告個人の属性等の評価に資するものではない。 エ原告は、原告には遵法精神があり、言動も粗暴でないことの証拠として、135名分の署名(甲15)を提出するが、当該署名をもって、原告が違法性、危険性を認識しながら本件放獣行為を行った事実や原告に関する関係者らの供述内容が否定されるものではないし、本件各更新不許可処分が一部の者の供述に偏重してなされたなどと認められるものではない。 (原告の主張)⑴ 銃刀法5条1項18号に該当するか否かの判断については、公安委員会にある程度の裁量権が認められているが、その判断にはより厳格な客観的・合理的な根拠が要求されているというべきであり、その認定判断が客観的・合理的な根拠を欠く場合には、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違 法となる。 ⑵ 本件各更新不許可処分は、原告に対して悪感情を有するG支部長の意向を強く受けたものであり、G支部長の事実無根の供述に基づいてなされたものである。東京都公安委員会は、このような供述を根拠資料として事実認定を行ってはならなかったのであり、原告について銃刀法5条1項18 く受けたものであり、G支部長の事実無根の供述に基づいてなされたものである。東京都公安委員会は、このような供述を根拠資料として事実認定を行ってはならなかったのであり、原告について銃刀法5条1項18号該当性を認めた ことは、重大な事実誤認があることに加えて、考慮すべきでない事情を考慮してなされたものとして客観的・合理的根拠を欠いたものであり、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法である。 前記(被告の主張)⑵アないしウの事情に事実誤認等があることは、次のとおりである。 ア前記(被告の主張)⑵アについて 銃刀法5条1項18号に該当するためには、申請者が銃砲刀剣類を使用した危険な行為によって他人の生命、身体若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあることが必要であるが、本件放獣行為そのものは、銃砲を使用した危険な行為ないし銃砲の危険を発現した行為ではない。 有害鳥獣駆除としての猪の巻狩りには猟犬が必須であるが、慢性的に猟 犬が足りていなかったことから、育ってきた猟犬には一刻も早く猪に慣れさせて狩猟に使えるように訓練をする必要があった。そのため、C猟友会で猟犬を飼っている会員は、以前から、猪を放獣して猟犬の訓練をさせることが年に一、二回慣行として行われてきていた。 野生の猪の習性として、山野を移動する際、獣道を外れることはなく、 また、明るい場所を嫌い、暗い場所に向かって逃げること、本件放獣場所は猪が逃走経路として好む深い山林内であり、原告においても、本件猪が民家の方に逃げることがないように地理的関係や放獣方法に適切に配慮し、安全を確保して行ったこと、本件放獣場所は民家とは河川によって隔てられているところ、本件猪が河川を越えて民家の点在する地域に逃走す の方に逃げることがないように地理的関係や放獣方法に適切に配慮し、安全を確保して行ったこと、本件放獣場所は民家とは河川によって隔てられているところ、本件猪が河川を越えて民家の点在する地域に逃走す ることはないこと、本件放獣場所から半径200m以内の河川を越えない山林側の地域には、民家は1軒しか存在せず、工場・事務所が3軒で人気はなかったこと、本件猪は、本件放獣場所から本件駆除場所まで、公道を横断することなく獣道を逃走したこと、本件猪の逃走方向には市街地があったが、本件駆除場所と市街地との間には永山丘陵が隔てているため、直 ちに市街地に入るわけではなく、通常、逃走する猪がこの丘陵を越えて市街地方面に行くことはあり得ないことなどからすると、本件放獣行為が、他人の生命、身体若しくは財産又は公共の安全を害する行為と評価することはできない。 また、被告は、原告の供述調書(甲23~25)中の本件放獣行為の危 険性の認識等に関する供述について主張するが、同供述調書は、警察官の 見立てた筋に沿って作成されたもので、原告自身が供述した内容を録取したものではなく、信用性を欠くため、銃刀法5条1項18号該当性の認定判断に際して、これに基づき事実を認定することはできない。 関係行政庁(東京都環境局及び農林水産省)の見解によっても放獣行為は違法とされていない。 イ同イ、ウについて原告は、令和2年11月1日に、鳥獣保護法による指定管理鳥獣捕獲等事業の受託業務、有害鳥獣の捕獲・駆除業等を目的とするBの代表取締役に就任し、代表者として、外部からも内部からも厚い信頼を得ている。そのような原告が、関係者とのトラブルを起こすことや、遵法精神に乏しく言動が粗 暴であるということはあり得ない。 ウ 表取締役に就任し、代表者として、外部からも内部からも厚い信頼を得ている。そのような原告が、関係者とのトラブルを起こすことや、遵法精神に乏しく言動が粗 暴であるということはあり得ない。 ウ同イについて原告が、関係者らに対し、被告が同イにおいて主張する発言をした事実はない。原告は、C猟友会の役員から本件放獣行為について注意や指導を受けた際、公共の危険を害する行為とまではいえないものの、軽率な行為であっ たことを素直に認め、反省し、関係者に迷惑をかけたことを何度も詫びている。そして、当該年度の従事者証を返納し、謹慎の意思を示している。また、平成29年5月27日に開催されたC猟友会の総会において、参加者全員に詫びている。このように、原告が、本件放獣行為に関して関係者らとの間で怨恨を残し、トラブルになっている事実は存在しない。 原告がG支部長に対して従事者証の交付を求めたり、G支部長の退任を求めたりしたことはあるが、G支部長を敵対視するものではなく、G支部長の退任を求めたのも、C猟友会の会員らがG支部長を支部長として不適任と認めたからである。これらの事実から、原告が関係者らとトラブルになっていたと評価することはできない。 エ同ウについて 原告は、まじめで温厚であり、人が良く、周囲への配慮を常に欠かさない思いやりのある人物である。狩猟の際やプライベートにおいて声を荒げるなど、粗暴な言動は一切ない。原告については、長年にわたって許可の更新がされてきたもので、従前の許可の更新の際に行われた原告の周辺の者らへの面接等調査において、一度も原告が遵法精神に乏しいことや原告 の言動の粗暴性等が問題となったこともない。狩猟免許を所持し、狩猟の実情を熟知している狩猟関係者を の際に行われた原告の周辺の者らへの面接等調査において、一度も原告が遵法精神に乏しいことや原告 の言動の粗暴性等が問題となったこともない。狩猟免許を所持し、狩猟の実情を熟知している狩猟関係者を中心に、原告の性格や言動に問題や粗暴性が全くないことを証言する135名もの署名が集まっている。 原告が猪を放獣したのは、平成29年2月4日(本件放獣行為当日)の1回だけであり、放獣行為を繰り返したということはない。同年1月1日 にハコワナにかかった猪に逃げられたことがあったが、ロープの巻き付け方が悪く結果的に逃げられたもので、故意に放獣したものではない。 そして、本件放獣行為の目的は、猟犬に猪を追わせる訓練をさせるため、また、C猟友会の有害鳥獣駆除部会(以下「駆除部会」という。)の新入会員に実際の猪猟を経験してもらうというものであり、C猟友会が、有害鳥 獣駆除という社会的使命を全うするために必要な訓練の一環として、慣行として行ってきたものであり、公共のために行われたものである。原告の飼養する猟犬の訓練のためという身勝手な動機で行われたものではなく、原告が遵法精神に乏しい性格であることを基礎付ける事情とはいえない。 また、被告は、狩猟訓練を目的とした捕獲行為は鳥獣保護法に違反する 旨主張するが、捕獲行為の目的を歪曲した主張である。原告は、「管理(被害防止)」の目的で設置していた本件ハコワナに掛かった本件猪を捕獲し、殺処分するためクラブハウスに運搬する途中で本件猪を放獣することを思いついたのであるから、猟犬の狩猟訓練の目的で本件猪を捕獲したものではなく、本件ハコワナで本件猪を捕獲した行為は、東京都知事の許可に 係る「管理(被害防止)」の目的でなされたものであり、鳥獣保護法8条1 号所定の要件を充足 で本件猪を捕獲したものではなく、本件ハコワナで本件猪を捕獲した行為は、東京都知事の許可に 係る「管理(被害防止)」の目的でなされたものであり、鳥獣保護法8条1 号所定の要件を充足するため、同条には違反しない。 被告は、原告がγ市に対して捕獲した猪に関する報告をしていないことを主張するが、これは、報告書の提出が半年に1回くらいであったため原告が必要な報告書を自宅に保管していたところ、自宅の片付けの際、片付けを手伝ってもらった者が間違って同報告書を廃棄してしまったことに よるもので、原告が故意に報告していなかったものではない。 第3 当裁判所の判断 1 銃刀法5条1項18号所定の欠格事由の判断について銃砲刀剣類は、その利用目的が多様であり、社会生活上有用なものもあるが、人畜を殺傷する機能を有していることから、凶器として各種犯罪の手段に使用さ れる危険性があり、また、事故が発生した場合の危害も大きい。このような危害を防止することを目的として、銃刀法は、銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防上必要な規制について定めており(銃刀法1条)、銃砲刀剣類の所持については、原則としてこれを禁止し、許可制とした上(銃刀法3条1項3号、4条、7条の3)、銃刀法5条において、危害を予防する観点から、銃砲刀剣類の 所持を許可してはならない各種の事由(欠格事由)を定めている。 このうち、同条1項18号は、同項1号から17号までの類型的な事由に直接該当しない場合であっても、「他人の生命、身体若しくは財産若しくは公共の安全を害し、又は自殺をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」を欠格事由とするものである。上記のとおり、銃刀法の趣旨が銃砲刀剣類により もたらされる危害の予防を目的とするもの の安全を害し、又は自殺をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」を欠格事由とするものである。上記のとおり、銃刀法の趣旨が銃砲刀剣類により もたらされる危害の予防を目的とするものであり、銃刀法においては銃砲刀剣類の所持が原則として禁止されていること、また、同項1号から17号までにおいて規定されている類型的な欠格事由は、危害発生の抽象的な可能性を示すものであることに照らすと、同項18号にいう、他人の生命、身体若しくは財産又は公共の安全を害する「おそれ」とは、他人の生命等に対する危害が具体的、現実的 に発生する可能性があることを要求するものではなく、将来における危害が発生 する抽象的な可能性があることをもって足りると解するのが相当である。 また、同号は、上記の「おそれ」につき、それがあると認めるに足りる「相当な理由がある」ことをもって、欠格事由に当たると定めていることなどに照らすと、同号所定の欠格事由該当性の判断については、都道府県公安委員会の合理的判断に委ねる趣旨であると解するのが相当である。 以上のとおりであるから、同号所定の欠格事由があるといえるかについては、申請に係る者につき、他人の生命、身体若しくは財産又は公共の安全を害する抽象的な可能性が存在するとした都道府県公安委員会の判断が、合理的な根拠を有するものか否かという観点から審査するのが相当である。 2 認定事実 前記前提事実に加え、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ⑴ C猟友会による有害鳥獣捕獲業務及び原告の関与等ア C猟友会は、γ市と有害鳥獣捕獲業務委託契約を締結し、東京都知事からの許可に基づく有害鳥獣捕獲業務を行っていた。 γ市は、東京都知事に対し、鳥獣 獲業務及び原告の関与等ア C猟友会は、γ市と有害鳥獣捕獲業務委託契約を締結し、東京都知事からの許可に基づく有害鳥獣捕獲業務を行っていた。 γ市は、東京都知事に対し、鳥獣の捕獲等の許可の申請をしてその許可を受けるとともに(鳥獣保護法9条2項、3項)、駆除部会に所属する会員を鳥獣の捕獲等の従事者として東京都知事に申請しており、原告も有害鳥獣捕獲従事者として登録され、東京都知事から従事者証の交付を受けていた。東京都知事がγ市に交付した鳥獣の捕獲等に係る許可証及び原告に交付した従 事者証においては、鳥獣の捕獲等の目的は「管理(被害防止)」とされていた。 (乙22~25)イ C猟友会は、ハコワナと呼ばれる鉄格子状の檻をγ市から借り受け、猪が出没する場所に仕掛けており、原告は、平成28年11月頃から平成29年2月頃まで、D大学の敷地内のハコワナ(以下「本件ハコワナ」という。)を 担当していた。 許可を受けて捕獲した猪等については、「イノシシ捕獲個体調査票」等により、捕獲年月日や捕獲場所、捕獲した猪等の体重や個体の状態等をγ市に報告しなければならないことになっていたが、原告がγ市に同報告をしたことはない。(甲23、41、乙8、原告本人)ウ原告が本件ハコワナを担当していた間に本件ハコワナに掛かって捕獲さ れた猪は、9頭であった。 平成28年に本件ハコワナに猪が掛かった際、原告は、γ市に報告することなく、この猪を自宅に持ち帰り、ナイフで殺してから寸法等を測った後、解体して猟犬の餌にしたことがあった。 平成29年1月には、本件ハコワナに掛かったのが小型の猪だったことか ら、原告が、所有している猟犬の訓練に使おうと考え、掛かった猪を輸送箱に移し替え て猟犬の餌にしたことがあった。 平成29年1月には、本件ハコワナに掛かったのが小型の猪だったことか ら、原告が、所有している猟犬の訓練に使おうと考え、掛かった猪を輸送箱に移し替え、C猟友会のクラブハウスに移動した上、猪が逃げていかないようにロープを掛けて輸送箱の扉を開けたところ、猪がロープから抜けて山へ逃げてしまったことがあった。原告は、散弾銃を持ち、GPSを頼りに逃げた猪の後を追ったが、仕留めることができず、逃げられてしまった。(甲2 3、24、41、原告本人)エ有害鳥獣駆除の方法としては、ハコワナ等のワナによるもののほか、巻狩りの方法がある。巻狩りは、10人ないし15人の多人数で行う猟で、各人が無線機を所持して一山に散らばり、野生の猪等の駆除対象の動物が山の中では必ず獣道を通って移動する習性を利用して、猟犬を使って対象動物を追 わせ、猟銃で仕留める猟である。猟犬の飼育者である「勢子」が猟犬を放し、猟犬を追い立てて猪を追っていき、猟犬の体に着けたGPSを頼りにしながら、猟銃を持つ射手に対し、猪が逃げるであろう方向又は逃げる可能性の高い獣道を無線で指示し、その周辺を取り囲むように指示し、「タツマ」(獲物が逃げてくると想定される獣道上の場所で、射手が配置されるポイント)で 猟銃を持つ射手が待ち構え、猪がタツマに来たところで射撃するというもの である。(甲41)⑵ 本件放獣行為等ア平成29年2月4日、原告は、C猟友会の会員らとγ市δ地区において狩猟を行うことになっており、朝から、C猟友会の会員であるH及びIらと猪を探していた。原告は、C猟友会の会員であるFが仕掛けた同市εのハコワ ナに猪が掛かっているのを発見したことから、この猪を放獣して駆除部会の新入会員の 朝から、C猟友会の会員であるH及びIらと猪を探していた。原告は、C猟友会の会員であるFが仕掛けた同市εのハコワ ナに猪が掛かっているのを発見したことから、この猪を放獣して駆除部会の新入会員の実地訓練や猟犬の訓練をしようと考え、Fに連絡してこの猪を譲ってもらえないかと頼んだが、Fはこれを断った。 そうしたところ、原告は、D大学から2頭の猪が本件ハコワナに掛かっているとの連絡を受け、HとともにD大学に向かった。原告らは、2頭の猪の うち本件猪だけを輸送箱に移し替え、軽トラックに積み込んだ上、本件放獣場所まで移動し、同日午後2時頃、本件猪を放獣して前記の訓練をするため、山に向かって輸送箱の扉を開けると、本件猪は山に向かって走っていった(本件放獣行為)。 原告は、1頭の猟犬(J)を放して本件猪を追わせたが、本件猪を駆除す るには至らず、別の猟犬(K)を放すとともに、受信機を持って同市δ地区に入っていたC猟友会の仲間に本件猪が向かっていることを無線で連絡した。この際、原告は、本件猪が本件ハコワナで捕獲した猪であることは隠し、原告があたかも同地区の山中で出没した猪を発見したかのように装った。本件猪は、本件駆除場所において、C猟友会の会員によって駆除された。(甲2 4、41、乙4、11、証人I、原告本人)なお、この駆除に先立ち、G支部長は、本件猪が禁猟区の方に逃げたので、これを有害鳥獣として駆除してもよいかと許可を求められたことから、有害鳥獣駆除の許可を得ている者だけで駆除するように指導した。(乙8)イ原告及びC猟友会の会員らは、クラブハウスに戻り、この日に駆除した猪 2頭を解体し、その肉を会員で分けて解散した。原告は、さらに、本件ハコ ワナに残した1頭の小さい猪を自宅に持 イ原告及びC猟友会の会員らは、クラブハウスに戻り、この日に駆除した猪 2頭を解体し、その肉を会員で分けて解散した。原告は、さらに、本件ハコ ワナに残した1頭の小さい猪を自宅に持ち帰り、解体して猟犬の餌にした。 (甲24、25、乙4、11)ウ本件放獣場所から半径約200m圏内には、約20戸の住宅(工場・事務所等を含む。)及び寺院があり、うち13戸については、本件放獣場所とは河川を隔てた場所にあった。本件放獣場所と同河川を隔てていない住宅 のうち1戸については、崖と河川に挟まれた立地であり、山側から同住宅に行くためには高い勾配の崖を通る必要がある。なお、令和2年3月5日に原告が本件放獣場所及びその付近を調査した際、本件放獣場所に最も近い工場・事務所は人気がなく、寺院も無人であった。 本件放獣場所から道路を南東方向に進むと、1㎞以内に保育園があり、 さらにその先には病院があった。 本件駆除場所は、本件放獣場所から直線距離で約3150mの地点にあり、本件放獣場所と本件駆除場所との間には、都道L号線及び都道M号線が通っていた。 本件駆除場所は、山林内であったが、半径約200m圏内に2戸の住宅 があり、本件駆除場所から山道を通り、一番近い民家前の舗装道路までの距離は、約137mであった。また、本件駆除場所から直線距離で約1280mの地点には、N駅があるほか、その周辺には市街地が広がっており、体育館や公園、学校、病院等があった。(以上につき、甲10、11、35、乙2、5、6) エ前記アの本件放獣行為当日の原告の言動等について、被告は、原告が、Fに猪を譲ってほしいと頼んだのに断られたことに対し、「俺にイノシシを譲らないなんて、許せねー。」等と言って怒っていたこと、原告 エ前記アの本件放獣行為当日の原告の言動等について、被告は、原告が、Fに猪を譲ってほしいと頼んだのに断られたことに対し、「俺にイノシシを譲らないなんて、許せねー。」等と言って怒っていたこと、原告が、Hから放獣を止められたにもかかわらず、「俺の罠で捕獲しているイノシシだから、どうしようと俺の自由だ。」等と言って本件放獣行為に及んだ旨主張するとこ ろ、Hの供述調書(乙4)には、これに沿う供述がある。もっとも、Hは、 本件放獣行為当日、原告と行動を共にしており、本件放獣行為の現場にいたことで鳥獣保護法違反被疑事件の被疑者となり得る立場にあったところ、Hは、元警察官であったことや、C猟友会において、G支部長に近い立場にあったとみられること(証人I8~9頁)等から、自己に不利益な供述を避け又は原告に不利な供述をする動機がないとはいえず、その供述の信用性は慎 重に評価すべきであり、Hに対する反対尋問がされていないこと等にも照らすと、その供述を直ちに信用することはできないというべきである。そうすると、Hの上記供述によっても原告が被告の主張する前記発言をしたとは認められず、他にこれを認めるに足りる証拠もないから、この点の被告の主張は採用することができない。 ⑶ 本件放獣行為後のC猟友会の状況等ア G支部長は、平成29年2月5日、γ市議会議員から本件放獣行為に係る事実及びこの問題につきC猟友会において解決してもらいたい旨の連絡を受けるなどしたほか、関係者からFと原告が仲違いしているとも聞いたことから、今後の猟にも支障が出てしまうと思い、同月6日、クラブハウスに原 告のほか、C猟友会の会員を集めて話をしたが、同日はFと原告の仲違いは解消しなかった(乙8)。 イ Fは、原告のような人物がいるC猟友会で今 障が出てしまうと思い、同月6日、クラブハウスに原 告のほか、C猟友会の会員を集めて話をしたが、同日はFと原告の仲違いは解消しなかった(乙8)。 イ Fは、原告のような人物がいるC猟友会で今後も楽しく猟ができるとは思えなかったことなどから、平成29年2月14日、従事者証をγ市に返納した(乙11)。 ウ γ市は、平成29年2月16日、原告に対し、C猟友会との有害鳥獣捕獲業務委託契約により、捕獲した鳥獣の処理については、受注者であるC猟友会の責任で、焼却又は埋設処分をすることになっているが、原告がハコワナで捕獲した猪を放獣している旨の情報があったので、適正な有害鳥獣捕獲業務に従事いただくことは困難と考えており、従事者証を市担当又はG支部長 に返納することを求める内容の事務連絡(甲17)を交付した。 原告は、これを受けて、G支部長に平成28年度の従事者証を預け、同従事者証はγ市に返納された。(甲41、乙8、18)エ γ市は、平成29年度の従事者証についても、本件放獣行為の危険性や、他のC猟友会会員とのトラブルが継続していたことを考慮して、原告に渡すことは適切ではないと判断し、γ市において保管していた(乙18)。 オ原告は、平成29年3月25日付けで、G支部長に対し、平成29年度の従事者証を速やかに原告に交付すること等を求める旨の申入れをしたが、これに対するG支部長からの回答はなく、原告は、同従事者証の交付を受けることができなかった。(甲18、41、原告本人)カ C猟友会の会員から、G支部長の支部長としての資質を問題視する声が上 がったことなどから、G支部長は、支部長の解任動議を出してC猟友会の臨時総会を開き、その委任状に30人以上が同意したら支部長を辞める旨述べ ら、G支部長の支部長としての資質を問題視する声が上 がったことなどから、G支部長は、支部長の解任動議を出してC猟友会の臨時総会を開き、その委任状に30人以上が同意したら支部長を辞める旨述べた。これを受けて、C猟友会理事のOらにより、G支部長の地区長(支部長)不信任案への賛同を求める署名活動が行われ、平成29年5月に開催されるC猟友会の定時総会までに、同不信任案に賛同する32名分の署名が集まっ た。原告も、これに賛同して署名をした(甲19)。 もっとも、G支部長はその後も支部長を辞めることはなく、C猟友会では、G支部長らと前記Oらとの対立が続いた。(甲20、21、37、41、原告本人)キ原告は、本件各更新不許可処分を受けたことなどから、平成29年中に、 C猟友会を退会した(甲41)。 ク前記イのFによる従事者証の返納に係る点のほか、後記⑸イの原告の性格や言動等について、原告は、これらの根拠となるFの供述調書(乙11)の信用性を争うところ、証拠(甲34)によれば、Fは、同供述調書は警察が誘導して作成したもので、その内容は自分が言ったものではない旨の発言 をするが、他方で、「あんときはいろいろお互いに感情的になってそういう ことをやったけど」等と、同供述調書の内容を完全に否定しているわけでもないとみられる発言をしていることからすると、Fが原告の性格や言動を悪く述べている点については原告に対する当時の悪感情等から誇張された部分があるとしても、甲第34号証におけるFの発言によって、直ちに同供述調書の信用性は否定されないというべきである。そして、これによれば、F は、前記イのとおり、原告のような人物がいるC猟友会で楽しく猟ができるとは思えなかったことなどから、従事者証をγ市に返納した 調書の信用性は否定されないというべきである。そして、これによれば、F は、前記イのとおり、原告のような人物がいるC猟友会で楽しく猟ができるとは思えなかったことなどから、従事者証をγ市に返納したと認めるのが相当である。 ⑷ 本件放獣行為に係る捜査ア警視庁P警察署の警察官は、平成29年4月1日に行われた同年度の従事 者証交付式に出席した際、本件放獣行為があったことを認知した。 イ P警察署の警察官は、狩猟訓練を目的とした鳥獣の捕獲行為は、東京都知事の捕獲許可に基づく捕獲に該当せず、鳥獣保護法8条に違反する行為であり、本件放獣行為に伴い猟銃を運搬し携行した行為は、銃刀法10条1項に違反する行為であるとして、原告の上記各行為について、本件被疑事件の捜 査を開始した。 ウ本件被疑事件は、平成30年9月27日、東京地方検察庁Q支部検察官に送致され、その後、不起訴処分(起訴猶予)がされた。(以上につき、甲41、乙21、証人田島)⑸ 本件各更新申請に係る調査等 ア原告から本件各更新申請があったことから、P警察署の警察官らは、平成29年9月14日、原告に対する面接調査を行うとともに、同月21日から同月25日まで、原告の妻のほか、原告の近隣居住者、狩猟仲間又はAの従業員で原告が指定した7名に対して居宅訪問等調査を実施した。 同居宅訪問等調査に係る調査書には、「面接時の問題点」について、「問題 なし。」、「犯罪歴及び相談、保護等の特異な履歴」について「問題なし。照会 の結果、申請者に欠格事由は無く、本籍地(γ市役所)からの身上照会回答においても該当は無い。」、「同居者又は親族の評価、周辺者(近隣居住者、職場等関係者等)の評価」について、「問題なし。妻は、唯一の趣味なので猟銃を所 事由は無く、本籍地(γ市役所)からの身上照会回答においても該当は無い。」、「同居者又は親族の評価、周辺者(近隣居住者、職場等関係者等)の評価」について、「問題なし。妻は、唯一の趣味なので猟銃を所持することに同意している。直近の近隣居住者とは、親の代からの付き合いでトラブルは無い。職場では、大工の社長で従業員数名を雇い、現場で 指導や請負の営業に従事している。職場でのトラブルは無い。」との記載がある。(乙19、20)なお、前記7名の中には、警察官でR猟友会所属のSが含まれていた(弁論の全趣旨)。 イ本件被疑事件の捜査の過程で作成されたC猟友会の会員らの供述調書に は、原告の性格や言動等に関し、次の記載がある。 Hの平成29年7月12日付け供述調書(乙4)「面倒見の良い一面もあります。しかし、その反面、職業柄か職人気質で口が悪く、気ムラが激しく、時には仲間に激高したり、猟の時に仲間を手足のように使い、時には無線で喧嘩したりするなど、自分の思い通り事 が運ばないと仲間に当たり散らします。」、「勢子というリーダー的な立場から」、「従順な人を好み、自分になびかない人間に対しては徹底的に冷たくします。同じグループでも新人や気の弱い人は、Tさんの顔色を見ながら行動し、猟に出ても萎縮している様子が伺えます。」 G支部長の平成29年9月28日付け供述調書(乙8) 「職人気質と言いますか口が悪い一面を持っており、気性、つまり喜怒哀楽が激しい、日によっては年上のメンバーも気を使わなければならない、気分が良くないときは、駆除部会の仲間に怒鳴る、猟の際に仲間と無線で口喧嘩したりする、誰に対しても関係なく人をこき使う、常に自分が中心でいなければ気がすまないといっ バーも気を使わなければならない、気分が良くないときは、駆除部会の仲間に怒鳴る、猟の際に仲間と無線で口喧嘩したりする、誰に対しても関係なく人をこき使う、常に自分が中心でいなければ気がすまないといった悪い面もあります。」 Fの平成29年10月11日付け供述調書(乙11) 「T君は、自己中心的なところや口が悪いという一面を持っており、気性が激しい、年上のメンバーもご機嫌伺いをしなければならない、気分が良くないときは、狩猟中に突然仲間に怒鳴る、猟の際に仲間と無線で口喧嘩したりする、誰に対しても関係なく人をこき使う、常に自分が中心でいなければ気がすまない、自分の犬の悪い点を言われると激高する、自分の 犬が中心で、他の犬を使いたがらないといった悪い面もあります。」、「T君は、今や積極的に猟友会の和を乱す存在になってしまい、みんな本当に困っています。」、「山の中で、生き物の命を簡単に奪うことのできる猟銃を扱うとして、法律や決まり事を守ることは当たり前のことであり、それらを平気で破り、自分の都合の良いように解釈してしまうT君は猟銃を 持つ人間として相応しくないと思います。」、「T君は猟銃所持者として、自分の行為の正悪を判断することができず、遵法精神の欠如が見られますし、このようなことから今後、T君とともに狩猟のため山に入った際にケンカしている私自身が恨みを買っているかもしれないため、T君の性格から激高した彼に撃たれてしまうかもしれない危険性があるため、怖くて山 にも入れません。」 3 検討⑴ 本件放獣行為についてア前記2⑵ウのとおり、本件放獣場所から半径約200mの圏内には約20戸の住宅等があったことからすると、放獣された本件猪が仮に山に向かわ ず、これら ⑴ 本件放獣行為についてア前記2⑵ウのとおり、本件放獣場所から半径約200mの圏内には約20戸の住宅等があったことからすると、放獣された本件猪が仮に山に向かわ ず、これらの住宅等のある方角に向かった場合、本件猪が付近の住民や住宅等に危害を及ぼしていた可能性が否定できない。本件猪が、これらの住宅等のある方角に向かう可能性があったことは、原告らが、本件猪を放獣するに先立ち、本件放獣場所付近の寺院や工場等に人がいないかを確認したこと(原告本人32頁)によっても裏付けられているといえる。 また、本件猪は、本件放獣場所から本件駆除場所まで、直線距離で約31 50mの距離を移動し、この間、公道(都道M号線)が通っている場所も通過した(ただし、本件猪は、公道下の暗渠等を通って移動した可能性が否定できず、公道上を横断したとまでは認められない。)のであるから、その付近を通行する人や車両等に危害を及ぼす可能性もあった。 さらに、本件猪は、本件駆除場所においてC猟友会の会員によって駆除さ れたものの、同のとおり、本件駆除場所は、山林内であったが、半径約200m圏内に2戸の住宅があった上、本件駆除場所から直線距離で約1280mの地点にはN駅があり市街地が広がっていたことからすると、仮に本件猪が駆除されていなかった場合には、付近の住民や住宅等に危害を及ぼしていた可能性や、さらには、本件猪が市街地に進出した可能性も否定できない。 イもっとも、他方で、野生の猪の習性について、証拠(甲36~38、41、証人I、証人U、証人V、原告本人)によれば、猪は、暗いところや、山中の崖や岩棚等がある獣道を好んで通り、自分が通ったことのある道を通るとされ、また、猪は、臆病で敏感であるため、少しでも音がすると逃げて I、証人U、証人V、原告本人)によれば、猪は、暗いところや、山中の崖や岩棚等がある獣道を好んで通り、自分が通ったことのある道を通るとされ、また、猪は、臆病で敏感であるため、少しでも音がすると逃げてしまい、人気があったり車が通ったりする場所には行かないことが多いとされる。 また、本件放獣場所付近には約20戸の住宅等があったが、前記2⑵アのとおり、原告は、山に向かって本件猪が入った輸送箱の扉を開けて本件猪を放獣しており、本件猪がこれらの住宅等のある方角に向かうことなく、山に向かって走っていったことからすると、原告において、放獣場所について一定の配慮をしていたともいえる。 さらに、本件では、原告は、本件猪を放獣してそのまま放置したわけではなく、駆除部会の新入会員の実地訓練や猟犬の訓練をする目的で放獣したもので、本件猪を確実に駆除するつもりで自らの猟犬に本件猪を追わせ、また、本件放獣行為当日、γ市δ地区での狩猟に参加していたC猟友会の会員らに本件猪が向かっていることを無線で連絡するなどし、その結果として、C猟 友会の会員が本件猪を駆除したものであり、駆除に成功する可能性は一定程 度あったといえる。本件猪の駆除に失敗し、本件猪が市街地に進出する可能性があったことは否定できないとしても、前記の猪の習性等にも照らすと、その可能性はそれほど高いものではなかったということができる。 この点について、証拠(乙17)によれば、近年、γ市に近接するζ市内やη市内等で人が猪にかまれたり衝突されたりする事故が発生しているほ か、その他の市町村や東京23区内でも猪が目撃されており、専門家が猪の分布域の拡大を指摘していることは認められるが、猪が市街地に進出する抽象的な可能性があることを示すものにすぎず、本件 いるほ か、その他の市町村や東京23区内でも猪が目撃されており、専門家が猪の分布域の拡大を指摘していることは認められるが、猪が市街地に進出する抽象的な可能性があることを示すものにすぎず、本件猪が市街地に進出する可能性がそれほど高いものではなかったことを否定する事情とはいえない。 ウ以上によれば、本件放獣行為が一定の危険性のある行為であることは否定 できないとしても、その危険性が高いということはできず、この点に加えて、本件放獣行為は、その後の駆除には銃砲が用いられたとはいえ、それ自体は銃砲を用いた危険行為ではなく、銃砲により生命身体等の安全あるいは公共の安全に危険を生じさせる行為とは質的に大きく異なることも併せ考慮すると、原告が本件放獣行為を行ったことをもって、原告について、将来にお いて他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があることを強く基礎付ける事情とはいい難いというべきである。 エ本件各更新不許可処分は、処分の理由として、原告が本件放獣行為と同様の行為を複数回敢行したことを挙げるのに対し、原告は、原告が放獣行為を繰り返したことはない旨主張し、原告も、陳述書及び本人尋問において、本 件放獣行為以外に放獣行為を繰り返したことはない旨供述する。 しかし、原告の供述調書(甲23、24)には「捕獲したイノシシを解き放つという違法な行為を繰り返しました」等、原告が本件放獣行為以外にも放獣行為を繰り返していた旨の供述があるほか、関係者らの供述調書にも、原告が放獣行為を繰り返していたことをうかがわせる記載がみられる(乙4、 8、11)。関係者らの供述調書については、前記2⑵エ、⑶クの検討等によ れば、直ちに信用することができないものがあるとしても、原告の供述調書にお かがわせる記載がみられる(乙4、 8、11)。関係者らの供述調書については、前記2⑵エ、⑶クの検討等によ れば、直ちに信用することができないものがあるとしても、原告の供述調書における前記供述は、その内容等に照らしても、信用性が認められるというべきである。これに対し、原告は、同供述調書は警察官が勝手に作文したものであり信用できない旨主張し、原告本人も、警察官が、プリンターから印刷されたものではなく事前に準備していた供述調書に署名指印を求めたな どと、供述調書が不正に作成されたものであることをうかがわせる供述をするが(原告本人22、23頁等)、その供述内容は不自然なものといわざるを得ない。 もっとも、仮に、原告が本件放獣行為以外に放獣行為を行ったことがあったとしても、その具体的な内容等が明らかになっているわけではない上、前 記イ、ウで検討した放獣行為の危険性の程度等に鑑みると、そのことをもって、原告について、将来において他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があることを強く基礎付ける事情とみることができないことに変わりはないというべきである。 ⑵ 原告と関係者らとのトラブルについて ア前記2⑵ア、⑶ア、イのとおり、原告は、本件放獣行為当日、Fにハコワナにかかった猪を譲ってもらえないかと頼んだが、Fがこれを断ったこと、同日以降、Fと原告は仲違いした状態にあり、G支部長がC猟友会の会員を集めて話をしたが、原告とFの仲違いは解消しなかったこと、Fが、原告のような人物がいる猟友会では楽しく猟ができるとは思えないとして、平成2 9年2月14日、従事者証をγ市に返納したことが認められる。 本件放獣行為当日の原告の言動に特段問題がなかったのであれば、Fが従事者証を返納するほ 楽しく猟ができるとは思えないとして、平成2 9年2月14日、従事者証をγ市に返納したことが認められる。 本件放獣行為当日の原告の言動に特段問題がなかったのであれば、Fが従事者証を返納するほどに原告とFとの関係が悪化することは考え難いから、原告とFが仲違いしたことについては、本件放獣行為当日、原告がFにハコワナに掛かった猪を譲ってもらえないかと頼んだ際、あるいはその後の原告 の言動に一因があったと考えるのが自然かつ合理的である。そして、Fと原 告の仲違いは容易には解消しなかったのであり、この点を捉えて、原告とC猟友会の会員との間でのトラブルに発展したものと評価することは可能である。 もっとも、Fとの仲違いがトラブルに発展したものと評価し得るとしても、このトラブルについては、前記2⑶クの「お互いに感情的になって」とのF の発言からもうかがわれるように、Fの側にも原因がなかったわけではないと考えられる上、原告は、C猟友会の定時総会の際等にFに謝罪を試みており、また、現時点では原告とFとの関係は良好なものとなっていること(甲34、41)からしても、原告について、将来において他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があることを強く基礎付ける事情という ことはできない。 イ被告は、原告がG支部長に対して従事者証の引渡しを求めたり、G支部長の不信任案を出して辞任を迫ったりしたことなども主張するが、これらは何ら違法な手段を用いたものではないし、後者についても、原告が主導するなどしてG支部長に辞任を迫ったわけではなく、C猟友会内部において、前記 Oらを中心として、G支部長の資質を問題視する声が上がり、その一環として不信任案への賛同を求める署名活動が行われ、原告もこれに賛同して署名をしたにとど けではなく、C猟友会内部において、前記 Oらを中心として、G支部長の資質を問題視する声が上がり、その一環として不信任案への賛同を求める署名活動が行われ、原告もこれに賛同して署名をしたにとどまるから、これらの事情をもって、原告の引き起こしたトラブルとみることはできず、更に進んで、原告について、将来において他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があることを基礎付ける事情 ということは到底できない。 ⑶ 原告の遵法精神、性格、言動等についてア前記⑴のとおり、本件放獣行為は、本件猪が付近の住民や住宅等に危害を及ぼしていた可能性が否定できないという点で、一定の危険性のある行為であり、また、放獣後に本件猪を捕獲する行為は鳥獣保護法8条に違反し得る ものであったのであるから(放獣された本件猪の捕獲は、駆除部会の新入会 員の実地訓練や猟犬の訓練のためにされたもので、「管理(被害防止)」という鳥獣の捕獲等の許可の目的に合致しないとすれば、鳥獣保護法8条に違反するものとみる余地がある。)、C猟友会において、猪を放獣して猟犬を訓練することが慣行として行われていた等の原告の主張する事情を考慮しても、原告が本件放獣行為に及んだことについては、遵法精神にやや欠けるところ があったと言われてもやむを得ない面があったことは否定できない。 もっとも、かかる事情も、放獣行為との関係において遵法精神の低下を示すものにとどまる上、前記⑴のとおり、本件放獣行為が危険性の高い行為であるとはいえないことなどに加えて、仮に、原告が本件放獣行為以外に放獣行為を行ったことがあったとしても、その具体的な内容等は明らかではない こと等に照らすと、上記の事情をもって、原告について、将来において他人の生命等に対する危 に、原告が本件放獣行為以外に放獣行為を行ったことがあったとしても、その具体的な内容等は明らかではない こと等に照らすと、上記の事情をもって、原告について、将来において他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があることを強く基礎付けるものではないというべきである。 なお、前記2⑴イのとおり、原告は、本件ハコワナで猪等を捕獲した場合には、「イノシシ捕獲個体調査票」等によりγ市に報告しなければならない ことになっていたところ、本件ハコワナで9頭の猪を捕獲しながら、この報告を一度もしていなかったが、これは、原告が意図的に報告を怠ったものではなく、自宅の片付けの際に誤って同調査票を廃棄してしまったために報告できなかったにとどまること(甲41、原告本人)からすると、この点をもって、原告の遵法精神の欠如を示す事情とみるのは相当ではないし、かかる 事情をもって、原告について、将来において他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があることを強く基礎付けるものともいえない。 イ次に、原告の性格、言動等についてみると、前記2⑸イのとおり、Fは、原告の性格、言動等について、気分が良くないときは狩猟中に突然仲間に怒鳴ったり、猟の際に仲間と無線で口喧嘩したりするとし、猟銃を持つ人間と して相応しくないと思う旨述べ、H及びG支部長も概ね同趣旨の供述をする。 しかし、同⑶クのとおり、Fの供述は、直ちにその信用性を否定することはできないとしても、原告の性格や言動を悪く述べている点は、誇張が含まれたものとして評価する必要がある。また、Hの供述を直ちに信用することができないのは同⑵エのとおりであるし、G支部長の供述も、C猟友会における原告とG支部長の関係等からすると、原告の性格、言動等に関する供述 の信 る必要がある。また、Hの供述を直ちに信用することができないのは同⑵エのとおりであるし、G支部長の供述も、C猟友会における原告とG支部長の関係等からすると、原告の性格、言動等に関する供述 の信用性には多分に疑問があるといわざるを得ない。さらに、証拠(乙9、10)によれば、C猟友会の会員には、F、H及びG支部長のほかにも、原告が自己中心的で気分屋である、怒りやすいなどと話す者がいたことが認められるが、乙第9号証及び同10号証は、いずれも氏名が明らかになっていないことから、高い信用性を認めることはできない。 他方で、同⑸アのとおり、P警察署の警察官が実施した本件各更新申請に係る居宅訪問等調査では、原告が指定した者が対象であったとはいえ、警察官を含む近隣居住者、狩猟仲間又はAの従業員ら7名に対する聞き取り調査が行われた結果、いずれの者からも、原告について特段の問題は指摘されず、同居宅訪問等調査に係る調査書においても、「同居者又は親族の評価、周辺 者(近隣居住者、職場等関係者等)の評価」は「問題なし」とされていたことからすると、東京都公安委員会は、本件各更新不許可処分をするに当たり、更に他の者から聞き取りをする等の必要な調査を尽くすか、関係者らの供述の信用性を慎重に検討する等した上で、原告の性格、言動等の危険性の有無及び程度を判断するのが相当であったというべきであり、一部の者の供述の みに依拠し、原告について、言動が粗暴であるなどとして、将来において他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があるとしたことは、その判断内容も含めて妥当性を欠くものであったといわざるを得ない。 ⑷ 本件各更新不許可処分の適法性以上を踏まえ、本件各更新不許可処分の適法性を検討すると、本件放獣行為 については、一定の危険 内容も含めて妥当性を欠くものであったといわざるを得ない。 ⑷ 本件各更新不許可処分の適法性以上を踏まえ、本件各更新不許可処分の適法性を検討すると、本件放獣行為 については、一定の危険性がある行為とはいえ、その危険性が高いとまではい えないこと(前記⑴)、原告と関係者らとのトラブルについては、Fとの関係でトラブルに発展したものと評価し得る事情はあったものの、これは原告のみに原因があったものとは考え難く、その他、被告が主張する事情は、原告がトラブルを引き起こしたものとみることはできず、何ら違法又は不当なものともいえないこと(前記⑵)、原告には、遵法精神が低下していたといわれてもやむを 得ない事情があったことは否定できないとしても、飽くまでその限度にとどまることが指摘でき、仮に原告が本件放獣行為以外にも放獣行為を行ったことがあったとしても、これらの評価が左右されるものではない。また、原告の性格、言動等について、一部の者の供述のみに依拠して言動が粗暴であるなどと判断したことは妥当性を欠くものであったといえる(前記⑶)。 そうすると、上記各事情は、それぞれ個別にみても、原告について、将来において他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があることを強く基礎付ける事情ということはできず、これらを総合しても、原告について、将来において他人の生命等に対する危害が発生する抽象的な可能性があると認めることはできないというべきである。 したがって、原告が銃刀法5条1号18号に該当するとしてされた本件各更新不許可処分は、同号所定の欠格事由該当性の判断について、東京都公安委員会に広い裁量が認められていることを踏まえても、合理的な根拠を有するものとは認められず、重要な事実の基礎を欠き又は事実に対する評価が明白に 分は、同号所定の欠格事由該当性の判断について、東京都公安委員会に広い裁量が認められていることを踏まえても、合理的な根拠を有するものとは認められず、重要な事実の基礎を欠き又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くことにより、その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くもので あり、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法といわざるを得ない。 これに反する被告の主張は、採用することができない。 4 本件各義務付けの訴えについて本件各義務付けの訴えは、行政事件訴訟法3条6項2号のいわゆる申請型の義 務付けの訴えであると解されるところ、前記3のとおり、本件各更新不許可処分 は違法であって取り消されるべきものである以上、本件各義務付けの訴えは、同法37条の3第1項2号の訴訟要件を満たし、その他の訴訟要件にも欠けるところがないから、適法に提起されたものである。そして、東京都公安委員会が本件各更新申請を許可する処分をしないことは、その裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められ、同条5項の本案要件も満たしている。 したがって、本件各義務付けの訴えに係る原告の請求には、理由がある。 第4 結論よって、原告の請求は理由があるからこれらをいずれも認容することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官鎌野真敬 裁判官中畑啓輔 裁判官池田好英 (別紙省略)

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