【DRY-RUN】主 文 被告が昭和三十年四月三十日執行の佐賀県東松浦郡有浦村議会議員選挙 の当選の効力に関する訴外Aの訴願につき昭和三十年七月八日付を以てなした裁決 を取消す。 訴訟費用は被
主 文 被告が昭和三十年四月三十日執行の佐賀県東松浦郡有浦村議会議員選挙 の当選の効力に関する訴外Aの訴願につき昭和三十年七月八日付を以てなした裁決 を取消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事 実 原告訴訟代理人は主文と同旨の判決を求め、その請求の原因として、 一、 原告は昭和三十年四月三十日執行の佐賀県東松浦郡a村議会議員選挙に立 候補し、選挙の結果選挙会において当選人と決定された。しかるに候補者Aは原告 の当選の効力に関し同年五月四日a村選挙管理委員会に異議の申立をなし、同月二 十日同委員会より異議を棄却する旨の決定を受くるや同月二十四日被告に訴願を提 起したところ、被告は同年七月八日付を以てa村選挙管理委員会の右決定を取消し 原告の当選を無効とする旨の裁決をした。 二、 Aの異議及び訴願の理由は、「a村選挙管理委員会は候補者青本勇、A及 び原告の得票数をそれぞれ一〇四票と算定しこの三名を第十一位の同点得票者とな し、選挙長は右三名につきくじを行いその結果B及び原告の両名を当選人と定め た。しかしBの得票数は一〇四・四票であつて同人は当然当選人であるにかかわら ず、選挙会が同人の得票数を一〇四票と誤算し、選挙長が同人並びにA及び原告を 同点得票者としてこの三名につきくじを行つたのは違法であるから、そのくじによ つて当選人と定められた原告の当選は無効である」というのである。 三、 被告はAの右訴願について「候補者Bの得票数は候補者Cとの問で有効投 票を按分して得た〇・四四二票の得票を加えて一〇四・四四二票であるから同人は 第十一位の得票者であり、候補者A及び原告の得票数はそれぞれ一〇四票であるか らこの両名は第十二位の同点得票考である。そして議員定数は十二名であるからB は当然第十一位の当選人である。従つてBはく 人は 第十一位の得票者であり、候補者A及び原告の得票数はそれぞれ一〇四票であるか らこの両名は第十二位の同点得票考である。そして議員定数は十二名であるからB は当然第十一位の当選人である。従つてBはくじに加うべきものではなく、次点の 同点者たるA及び原告の両名につきくじで当選人一名を定めなければならないにか かわらず、選挙長がBの得票数を一〇四票と誤算し、同人並びにA及び原告の三名 につきくじを行つたのは違法であるから、そのくじによつて当選人と定められた原 告の当選は無効である」という理由で前記裁決をした。 四、 しかし、右のくじは訴願人たる候補者Aの賛成によつて公然且つ善意で他 には何等の過失もなく行われたものであつて、当然当選人たるべきBがくじによつ て当選人となつても公職選挙法に違反するものとはいえない。仮に右の主張が理由 がないとしても、Bをくじに加えたこと自体は違法であつて同人についてはくじは 無効であるけれども、同人以外のものについてはくじは有効である。従つてくじに よつて当選人と定められた原告の当選を無効とした被告の本件裁決は違法であるか らこれが取消を求めるものである。 五、B、A及び原告の各得票数及び得票順位が被告主張のとおりであることは争 わない。 と述べ、証拠として証人D、Eの各証言を援用した。 被告訴訟代理人は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」とい う判決を求め、答弁として、 一、 原告主張の一乃至三の事実は争わない。四の主張は理由がない。 二、 候補者書本の得票数は公職選挙法第六八条の二の規定により候補者Cとの 間で有効投票を按分して得た〇・四四二票を加えて合計一〇四・四四二票で同人は 当然第十一位の当選人であるのに、選挙会は同条第二項の改正規定を無視しBの得 票数を一〇四票と誤算し、そのため選挙長がBをA及び原告と同 票を按分して得た〇・四四二票を加えて合計一〇四・四四二票で同人は 当然第十一位の当選人であるのに、選挙会は同条第二項の改正規定を無視しBの得 票数を一〇四票と誤算し、そのため選挙長がBをA及び原告と同点得票者としてこ の三名につきくじを行い、B及び原告を当選人と定めたのは違法である。この違法 はそのくじが利害関係人の賛成のもとに公然且つ善意で行われたことによつて補正 されるものではない。従つて原告の当選は無効であつて本訴請求は理由がない。 と述べた。 理 由 原告主張の一乃至三の事実並びに候補者B、A、原告の各得票数及び得票順位が 被告主張のとおりであることは当事者問に争いがなく、本件選挙において選挙すべ き議員定数は十二名で該選挙は開票事務を選挙会の事務に合せて行つたことは証人 D及びEの各証言により明らかである。 右確定の事実によれば、候補者Bは得票数一〇四・四四二票で第十一位の得票者 であり、候補者A及び原告は得票数各一〇四票で第十二位の同点得票者であるか ら、選挙すべき議員定数十二名の本件選挙においては候補者Bは当然第十一位の当 選人たるべきものである。従つて選挙長は候補者A及び原告の両名につき公職選挙 法第九五条第二項の規定によりくじを行い、その内一名を第十二位の当選人と定む べきものであつたにかかわらず、選挙会がBの得票数の計算を誤つたため、選挙長 は右三名を同点得票者としてこの三名につきくしを行い原告及びBを当選人と定め たものである(前記各証人の証言によれば、くじに当選した順序に従い原告は第十 一位、Bは第十二位の当選人と定められたことが認められる)。 <要旨>凡そ同点得票者二名の内一名をくじで当選人と定むべき場合に、当然当選 人たるべき五位得票者を誤つて同</要旨>点得票者に加え、これら三名につきくじを 行うことはもとより違 ことが認められる)。 <要旨>凡そ同点得票者二名の内一名をくじで当選人と定むべき場合に、当然当選 人たるべき五位得票者を誤つて同</要旨>点得票者に加え、これら三名につきくじを 行うことはもとより違法である。しかしそのくじによつて本来当選人たるべき上位 得票考と下位の同点得票者中の一名が当選人と定められた場合には、右の違法は当 選の効力に影響を及ぼさないものと解するを相当とする。けだしこの場合上位得票 者は当然当選人たるべきものが当選人となつたのであるから結局無用の迂路を経た に過ぎないし、又下位の同点得票者二名については、上位得票者をくじに加えたた め右二名の当選の確率が減少したりその相互の確率が不平等となつたり、その他当 選の結果に不法の影響を及ぼすものとは考えられないからである。さすれば本件選 挙において選挙長が当然当選人たるべき上位得票者Bを下位得票者A及び原告とと もに同点得票者となし、この三名につきくじを行つたことは違法であるが、そのく じによつてB及び原告が当選人となつたのであるから、これらの当選は有効といわ なければならない。しかるにBをくじに加えたことが違法であるため被告がたやす く原告の当選を無効として本件裁決をしたのは遠法であつて、該裁決の取消を求め る原告の本訴請求は正当として認容すべきものである。 よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用し主文のとお り判決する。 (裁判長判事 竹下利之右衛門 判事 小西信三 判事 岩永金次郎)
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