- 1 -令和6年(わ)第1334号、第1763号収賄、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反被告事件令和7年2月17日千葉地方裁判所刑事第3部宣告 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の全部の執行を猶予する。 被告人から30万6700円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)第1(令和6年8月19日付け起訴状記載の公訴事実)被告人は、令和2年4月1日から令和5年3月31日までの間は千葉県市川市水と緑の部次長として、同年4月1日の組織改編以降は同市下水道部次長として、いずれも同市の下水道に関する事項等を掌理する各部において、部内の職員を指揮監督し部の政策を推進するなどの職務を行う部長を補佐するとともに、部長に準ずる重要な事項を処理するなどの職務に従事していたもの、分離前の相被告人Aは、土木一式工事の設計・施工・請負等を業とするB建設株式会社の代表取締役として、同社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は 1 前記水と緑の部又は前記下水道部が所管する同市発注の土木工事の一般競争入札等に関し、前記B建設の業務等にとって有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨又は有利かつ便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであることを知りながら、別表1記載のとおり、令和4年12月13日から令和6年4月22日までの間、50回にわたり、千葉県松戸市(住所省略)所在の飲食店- 2 -「C」ほか15か所において、前記Aから、代金合計約30万6700円相当の飲食接待を受け、もって自己の職務に関し賄賂を収受し 50回にわたり、千葉県松戸市(住所省略)所在の飲食店- 2 -「C」ほか15か所において、前記Aから、代金合計約30万6700円相当の飲食接待を受け、もって自己の職務に関し賄賂を収受し 2 令和5年8月17日に開札が行われた同県市川市発注の「市川第4-4処理分区汚水管渠布設工事(R0508工区)」に係る一般競争入札及び同月18日に開札が行われた同市発注の「市川第4-4処理分区汚水管渠布設工事(R0513工区)」に係る総合評価一般競争入札に関し、前記職務に従事する者として適正に入札に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、令和5年7月10日頃、前記「C」において、前記Aに、前記各入札における秘密事項である予定価格の教示をし、もって事業者等に入札等に関する秘密を教示することにより、当該入札等の公正を害すべき行為をし 3 令和5年10月19日に開札が行われた同市発注の「公共下水道道路復旧工事(R0512)」に係る一般競争入札に関し、前記職務に従事する者として適正に入札に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、同月5日頃、同市南八幡2丁目20番2号所在の市川市役所第2庁舎において、前記Aに、電話で、同入札における秘密事項である予定価格及び最低制限価格の教示をし、もって事業者等に入札等に関する秘密を教示することにより、当該入札等の公正を害すべき行為をしたものである。 第2(令和6年11月1日付け起訴状記載の公訴事実)被告人は、千葉県市川市下水道部次長として、同市の下水道に関する事項等を掌理する同部において、部内の職員を指揮監督し部の政策を推進するなどの職務を行う部長を補佐するとともに、部長に準ずる重要な事項を処理するなどの職務に従事していたもの、Dは、土木工事の施工等を業とするF建設株式会社の代表取締役として、 揮監督し部の政策を推進するなどの職務を行う部長を補佐するとともに、部長に準ずる重要な事項を処理するなどの職務に従事していたもの、Dは、土木工事の施工等を業とするF建設株式会社の代表取締役として、同社の業務全般を統括するとともに、同市内の建設会社を組合員とするE建設業協同組合の代表理事として、同組合の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、別表2記載のとおり、令- 3 -和5年7月27日から同年8月18日までの間に開札が行われた同市発注の工事19件に係る一般競争入札又は総合評価一般競争入札に関し、前記職務に従事する者として適正に入札に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、令和5年7月12日頃、同市南八幡2丁目20番2号所在の市川市役所第2庁舎において、前記Dに、前記各入札における秘密事項である予定価格を教示し、もって事業者等に入札等に関する秘密を教示することにより、当該入札等の公正を害すべき行為をしたものである。 (量刑の理由) 1 収賄について⑴ 被告人は、平成26年頃から、分離前の相被告人Aから飲食接待を受けることを繰り返した末に本件犯行に及んだものであるところ、その経緯に酌量の余地はない。判示第1の犯行に係る期間は1年4か月余り、その回数は50回にわたっており、その常習性は顕著であって、犯行態様は悪質である。 ⑵ 被告人は、Aから、代金合計約30万6700円相当の飲食接待を受けて賄賂を収受したものであり、1回当たりの収受額はそれほど高額とはいえないものの、その合計額は相応に多額である。 被告人は、Aに対し、土木工事の入札における秘密事項を教示し、翌年度発注予定の土木工事の概要に関する資料等も提供するなど、Aに対し便宜を図ったことを併せ考えると、結果は大きいといえる。 2 官製談合防止法違反に 対し、土木工事の入札における秘密事項を教示し、翌年度発注予定の土木工事の概要に関する資料等も提供するなど、Aに対し便宜を図ったことを併せ考えると、結果は大きいといえる。 2 官製談合防止法違反について⑴ 被告人は、Aから賄賂の収受を繰り返す中で、判示第1の2及び第1の3の犯行に及んだものである。 また、被告人は、市川市が発注する汚水管渠布設工事の入札が集中する時期に、下水道工事業者が、市川市役所の職員から予定価格に関する情報を得るために頻繁に市川市役所を訪れる状況を解消して情報漏洩の事実が露見することを防ぎつつ、汚水管渠布設工事に不調を出さないようにしたいなどと考えて、- 4 -工事の予定価格をDが代表して把握するとのDからの提案を受け入れて、令和3年頃から予定価格の教示を繰り返す中で、判示第2の犯行に及んだものである。 各犯行に至る経緯に酌量の余地はない。 ⑵ 被告人は、AやDに対し、入札において最も秘密にすべき予定価格等を教示しているが、その行為は、入札の公正を大きく損なう行為であり、各犯行態様は悪質である。 ⑶ B建設は、被告人が予定価格等を教示した汚水管渠布設工事2件及び公共下水道道路復旧工事1件をいずれも落札している。また、被告人がDに予定価格を教示した工事19件のうち、B建設が落札した前記汚水管渠布設工事2件以外については、Dが経営するF建設及びDが予定価格の近似値を教示したE建設業協同組合所属の業者8社が落札しており、本件各犯行により、入札の公正が実際に損なわれている。 本件各犯行により、市川市に対する信頼が損なわれることともなっており、その結果は大きい。 3 結論他方、被告人が、本件各犯行を認めて、反省の態度を示していること、被告人は、本件により懲戒免職処分を受け、退職金の支給が に対する信頼が損なわれることともなっており、その結果は大きい。 3 結論他方、被告人が、本件各犯行を認めて、反省の態度を示していること、被告人は、本件により懲戒免職処分を受け、退職金の支給が取り消されるなどの社会的制裁を受けていること、被告人に前科前歴がないことなど被告人のために酌むことができる事情も認められる。 そこで、以上の諸事情を総合考慮し、主文の刑を定めた。 (求刑・懲役2年6月、追徴30万6700円)令和7年2月20日千葉地方裁判所刑事第3部 - 5 -裁判官野 々 山優子
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