昭和23(れ)113 強盗傷人

裁判年月日・裁判所
昭和23年5月1日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人小田泰三の上告趣意書第一点は「原判決事実理由第二ニヨレバ「被告人三 名(弁護人註、被告人三名トハ原審被告人A、同B

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判決文本文3,558 文字)

主文本件上告を棄却する。 理由弁護人小田泰三の上告趣意書第一点は「原判決事実理由第二ニヨレバ「被告人三名(弁護人註、被告人三名トハ原審被告人A、同B及ビ同Cノ三名ヲ指スモノデアル)ハ共謀シテ他人ヲ脅迫シテ金品ヲ強奪シヨウト企テ(下略)」ト判示シ、此ノ事実ハ原判決証拠理由ノ部ニ列記スル七項ノ証拠ヲ綜合シテ之ヲ認メル旨ヲ判示シテイル。 然シ、被告人等三名ガ共謀シ他人ヲ脅迫シテ金品ヲ強奪シヨウト企テタコトニ対スル証拠トシテハ右七項目ノ証拠中僅カニ第四項デアル「一、被告人Cニ対スル検事聽取書中検事カラ司法警察官意見書記載ノ犯罪事実(四)ヲ読聞カサレ其ノ通リデアル(下略)ト云フ趣旨ノ供述記載」中ニソノ片鱗ヲ求メ得ルノミデアル。而シテ右司法警察官意見書記載ノ犯罪事実(四)ニヨレバ「被疑者D、B、Cノ三名ハ遊興費ヲ得ルノ目的ニテ共同シテ昭和二十一年十一月二十五日午後十時三十分頃云々(下略)」トアルノミニシテ、被告人等ガ如何様ニ共謀シ夕カヲ知ル証拠ハ何等存スルコトガナイ。却ツテ原判決引用証拠ノ第一項原審相被告人Eノ原審公判廷ニ於クル「自分トBトCノ三名ガ判示日時頃キヤバレーFヲ出テa駅ノ方ニ歩イテ行ツタ時判示場所デBガ前方ヲ歩イテヰタ被害者Gトモウ一人ノ女ノ二人連レヲ見テアレヲヤツチマウト云ツテ先ニ駈ケ出シテ行ツタト云フコトハ大体ソノ通りデス(下略)」トノ供述、及ビ同ジク原判決引用証拠ノ第二項原審相被告人Bノ原審公判廷ニ於ケル「(前略)ソコカラa駅ノ方ニ帰ル途中男女二人連レガ先二歩イテ行クノヲ見テ私ハCニ生意気ダト話シカケ直グ私一人デソノ二人連レノ方へ急イデ走ツテ行キ殴ツテヤロウト思ツテ云々(下略)」トノ供述ノ詳細ナルニヨレバ事案ハ突嗟ノ間ニ起ツタ傷害犯デアルコトヲ知ルニ充分デアル。果シテ然ラバ原判決 気ダト話シカケ直グ私一人デソノ二人連レノ方へ急イデ走ツテ行キ殴ツテヤロウト思ツテ云々(下略)」トノ供述ノ詳細ナルニヨレバ事案ハ突嗟ノ間ニ起ツタ傷害犯デアルコトヲ知ルニ充分デアル。果シテ然ラバ原判決ハ「被- 1 -告人三名ハ共謀シテ他人ヲ脅迫シテ金品ヲ強奪シヨウト企テ」タトノ判示事実ト、コレガ証拠説示トノ間全ク齟齬スルモノデアルカラコノ点デ破毀ヲ免レナイ。」というのである。 しかし、原判決摘示第二の強盗の行為についでは、B、Eと被告人との間に、共謀のあつたことは、原判決が引用した証人Gの原審公判における供述、被告人に対する検事の聴取書によつて認めることができる。しかして、強盗の行為について共謀のあつた以上、共犯者Eの傷人の結果について、被告人もまた共犯の責任を免れないことは当然である。原判決には所論のような理由の齟齬はなく、論旨は理由がない。 同第二点は「原判決事実理由第二ニヨレバ「(前略)被告人Bハ右拳銃ヲ突キ付ケ「金ヲ貸シテ呉レ一ト脅迫シテ金品ヲ強奪シヨウトシタケレドモ同人ノタメ其ノ場ニ組ミ伏セラレタノデ云々(下略)」ト判示シ原審相被告人Bカ被害者Gニ組ミ伏セラレタト云フモ証拠理由中ニ引用サレテイル当ノBノ供述中ニハ「手ヲ振リ上ゲテ殴リカカロウトシタ瞬間相手ノ男ニ手ヲ掴マレテ其ノ場ニ投ゲツケラレタノデアリマス私ハ投ゲラレタトキハ咄嗟ニEヤツチマヘト云ツタ様ニ思イマス」トアリ、ナオ原判決証拠理由中ニ挙ゲラレテイル「証人Gノ原審公判廷ニ於ケル判示強盗傷人ノ事実ニ照応スル被害顛末ノ供述」中右ニ関スル部分ヲ見ルニ(記録第三七八丁表)「私ハ柔道四段ヲ持ツテ居り腕ニモ自信ガアツタノデ小外刈ノ手デ「ピストル」ヲ突キ付ケテ居タ中央ノ男ヲ後ニ倒シタノデアリマスソシテ私ハソノ男ガ持ツテヰタピストルヲ取ロウトシテ手ヲヤツタ瞬間後カラ臀部ノ辺ヲ刺サレ 四段ヲ持ツテ居り腕ニモ自信ガアツタノデ小外刈ノ手デ「ピストル」ヲ突キ付ケテ居タ中央ノ男ヲ後ニ倒シタノデアリマスソシテ私ハソノ男ガ持ツテヰタピストルヲ取ロウトシテ手ヲヤツタ瞬間後カラ臀部ノ辺ヲ刺サレタノデアリマスソレ迄ノ時間ハ極ク短ク一分間位ノモノダツタト思ヒマス」トアリ投ゲタ者ト投ゲラレタ者トガ共ニ組ミ伏セタトモ組ミ伏セラレタトモ供述シテハイサイ。結局、原判決判示第二事実ノ被害者Gガ被告人Bヲ組ミ伏セタト事実ヲ摘示スルモ右証明スル証拠ヲ欠如シテイル、即チ此ノ点原判決ハ理由不備ナルヲ以テ破毀ヲ免レナイ。」- 2 -というのである。 しかし、原審相被告人Eの原審における供述にはBはGのために矢庭にその場に組み伏せられ云々とあることは原審公判調書に徴し明らかで、原判決はこれを証拠として、原判示の事実を認定したのである。同じく原審相被告人B、同証人Gの原審公判における供述には、「投げつけられ」若くは「倒した」とあることは所論のとおりであるけれども、右は前示Eの供述と矛盾するものではないのであるから、これがために、Eの供述によつて原判示の事実を認定するに何ら妨げはないのである。この点をとらえて原判決の理由不備があるという論旨は理由がない。 同第三点は「原判決判示第二事実ニヨレバ「(前略)被告人Eハ直チニ右匕首ヲ以テ後方カラ右Gノ臀部ヲ突キ刺シヨツテ同人ノ右臀部ニ長サ約五糎深サ約十五糎ノ全治一ケ月ヲ要スル刺創ヲ負ハセタ」トアツテ被害者Gノ受ケタ刺創ハ全治一ケ月ヲ要シタトイフモ、原判決証拠理由中ニ挙ゲラレテイル医師Hノ作成シタGニ対スル検診書ニハ休養日数並治療日数ハ三週間トアルガ同ジク証拠理由中ニ挙ゲラレテイル証人Gノ被害顛末ノ供述中ニハ(記録第三八三丁表)「問ソノ時剌サレタ傷ノ為メ証人ハI病院へ七日入院シ全治スルノニ一ケ月ト五日カカツタソ 数並治療日数ハ三週間トアルガ同ジク証拠理由中ニ挙ゲラレテイル証人Gノ被害顛末ノ供述中ニハ(記録第三八三丁表)「問ソノ時剌サレタ傷ノ為メ証人ハI病院へ七日入院シ全治スルノニ一ケ月ト五日カカツタソウダネ「答左様デアリマス」トアリテ事実上全治ニハ一ケ月ト五日ヲ要シタコトガ記録サレテイル。果シテ然ラバ原判決摘示ノ被害者Gノ受ケタ刺創ノ全治期間ハ一ケ月デアルトイフノニ、証示証拠ニヨレバ一ケ月ト五日ヲ要シタコトトナリ、全治一ケ月ヲ要シタトノ証拠ハ存在シナイ。果シテ然ラバ、原判決ハ此ノ点虚無ノ証拠ニヨツテ事実ヲ認定シタモノデアルカラ、当然破毀サルベキデアル。」というのである。 傷害罪において、傷害の結果を判示するに全治に要した日数を記載するのは、大体における傷害の程度をあらわすために過ぎないのであるから、その全治日数に、- 3 -所論のような、判示と証拠との間に五日の差異があつたとしても、大体の程度の表示としては、かわりはないのであつて、これを以て虚無の証拠による認定であるという論旨は理由がない。 同第四点は「刑事訴訟法第七十二条ニハ「官吏又ハ公吏書類ヲ作ルニハ文字ヲ改竄スベカラズ挿入削除又ハ欄外記入ヲ為シタルトキハ之ニ認印シ其ノ字数ヲ記入スベシ但シ削除シタル部分ハ之ヲ読得ベキ為字体ヲ存スベシ」ト規定シテイル。然ルニ原審第二回公判調書中記録第三七二丁裏第七行同丁裏第十行及ビ同記録第三七三丁第一行中ノ各「匕首」トアリタル二字ヲ削除シテ「花切出」ノ三字ヲ夫々挿入シテ認印シアルニ拘ラズ、ソノ上欄ニハ夫々単ニ「二字訂正」トアルノミデアル。コレハ「三字挿入二字削除」トスベキデアル。之ヲ為サナカツタ原審第二回公判調書ハ明ニ刑事訴訟法第七十二条ノ規定ニ違反スルモノデアルカラ、此ノ調書中ノ証人Gノ証言ヲ証拠ニ引用シタ原判決ハ違法ノ証拠ヲ採用シタコトニ 挿入二字削除」トスベキデアル。之ヲ為サナカツタ原審第二回公判調書ハ明ニ刑事訴訟法第七十二条ノ規定ニ違反スルモノデアルカラ、此ノ調書中ノ証人Gノ証言ヲ証拠ニ引用シタ原判決ハ違法ノ証拠ヲ採用シタコトニナリ破毀ヲ免レナイ。」というのである。 原審第二回公判調書中に、所論のような文字の挿入、削除があるにかかわらず、欄外に単に「二字訂正」とのみ記載られていることは、所論のとおりである。しかしながら、これがために、同公判調書全体の無効を来すものでないことは勿論であり、かつ、同調書中、原判決が証拠として引用した証人Gの供述に関する部分には、右のような文字の挿入削除はすこしもないことは記録上あきらかであるから、結局、所論の点は原判決には何ら影響を及ぼさないものというべきである。論旨もまた理由がない。 以上の理由により刑事訴訟法第四百四十六条を適用し、主文の如く判決する。 右は全裁判官一致の意見である。 検察官福尾彌太郎関与昭和二十三年五月一日- 4 -最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎- 5 -

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