平成28年7月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第33398号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論の終結の日平成28年4月19日判決 原告株式会社グライド・エンタープライズ同訴訟代理人弁護士勝部環震同本 荘 振一郎 被告クラシエホームプロダクツ株式会社同訴訟代理人弁護士三好 豊同桑原秀明 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙被告商品目録記載の商品を製造し,販売し又は販売のために展示してはならない。 2 被告は,被告所有に係る前項記載の商品を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,1329万5000円及びこれに対する平成27年12月4日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,①原告の販売する別紙原告商品目録記載のフェイスマスク(以下「原告商品」という。)の形態が原告の商品等表示として需要者の間に 広く認識される状態に至っていたところ,被告が販売を開始した別紙被告商品目録記載のフェイスマスク(以下「被告商品」という。)の形態は原告商品の形態と類似し,原告商品と混同を生じさせるから,被告による被告商品の販売が,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たる旨,②被告商品は,原告商品の形態を模倣したものであるから,被告による被告商品の販売が,同条1項3号の不正競争行為に当たる旨主張して,被告に対し,同法3条1項及び2項に基づき,被告商品の製造・販売・販売のための展示の各差止め の形態を模倣したものであるから,被告による被告商品の販売が,同条1項3号の不正競争行為に当たる旨主張して,被告に対し,同法3条1項及び2項に基づき,被告商品の製造・販売・販売のための展示の各差止め並びに被告商品の廃棄を求める(前記第1の1,2)と共に,同法4条に基づき,損害賠償金1329万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(前記第1の3)事案である。 1 前提事実(1) 当事者原告は,化粧品,美容,日用雑貨,健康食品,服飾の製造,販売,卸売,輸出入等を目的とする株式会社(平成21年2月設立,資本金900万円)であり,被告は,医薬品,医薬部外品,化粧品及び化粧用具等の製品並びにその原材料及び副製品の製造,加工,売買及び輸出入等を目的とする株式会社(平成15年1月28日設立,資本金36億2045万9550円)である。(争いのない事実及び弁論の全趣旨)(2) 原告商品及び被告商品の販売原告は,平成26年9月1日から,原告商品の販売を開始し,原告商品は,全国のドラッグストアやスーパーマーケットなどの小売店等において販売されている。 他方,被告は,平成27年10月5日から,被告商品の販売を開始し,被告商品は,小売店やインターネット上の通販サイト等において販売されている。(争いのない事実及び弁論の全趣旨) 2 争点(1) 不正競争の成否ア不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争の成否(争点1)(ア) 原告商品の形態が周知な商品等表示といえるか(争点1-1)(イ) 原告商品と被告商品の形態の類似性及び混同のおそれの有無(争点1-2)イ不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争の成否(被告商品は原告商品の形態を模倣したもの いえるか(争点1-1)(イ) 原告商品と被告商品の形態の類似性及び混同のおそれの有無(争点1-2)イ不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争の成否(被告商品は原告商品の形態を模倣したものか)(争点2)(2) 損害賠償請求の可否及び範囲ア被告の故意・過失の有無(争点3)イ損害額(争点4) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1-1(原告商品の形態が周知な商品等表示といえるか)について[原告の主張]ア商品等表示について(ア) 原告商品の包装及び内容器は,次の①~⑪の各形態的特徴(以下,順に「原告主張の特徴①」~「原告主張の特徴⑪」という。)を有している。 ① 外寸が,縦約112mm,横約112mm,高さ約87mmの直方体で,上面と下面が正方形であるため,一見して立方体との印象を与える形状(以下,このような形状を「立方体構造」ということがある。)である。 ② 包装の表面(以下「外面包装」という。)には,光沢のあるピンク色の薄いプラスチック袋が使用され,その材質は,ポリエチレン(PE)とポリエチレンテレフタラート(PET)の複合となっている。 ③ 外面包装の向かい合う側面2か所にそれぞれ封じ目があり,その封じ目は,上面から下面に向かって折り返されていて,その封じ目の先端が 下面から約12mmの位置になるよう接着されている。 ④ 外面包装の上面は,その全面を覆うようにプラスチック製のシール(以下「フラップラベル」という。)が貼られている。 ⑤ フラップラベルの材質は,ポリエチレンテレフタラート(PET)とポリプロピレン(PP)の複合で光沢があり,その一辺だけが外面包装の上面に固定されていて,繰り返し,はがしたり貼り付けたりできる構造となっている。 ⑥ フラップラベルをはがすと,外面包装 ET)とポリプロピレン(PP)の複合で光沢があり,その一辺だけが外面包装の上面に固定されていて,繰り返し,はがしたり貼り付けたりできる構造となっている。 ⑥ フラップラベルをはがすと,外面包装の上面に,縦約60mm,横約65mmのほぼ正方形の切り込みがあり,その切り込み部分からフェイスマスクを取り出す構造となっている。 ⑦ 外面包装の内側には,フェイスマスクを収納するプラスチック製構造物(以下「内容器」という。)があり,その材質は,ポリプロピレン(PP)で,半透明となっている。 ⑧ 内容器は,三つのパーツ(以下,上から順に「上蓋」,「容器」,「下皿」という。)で構成され,下皿の上に容器を載せ,容器の上に上蓋をかぶせる構造となっている。 ⑨ 上蓋の外寸は,縦約111mm,横約111mm,高さ約10mmであり,下皿の外寸は,縦約107mm,横約107mm,高さ約10mmである。また,上蓋には,中央部に縦約74mm,横約74mmのほぼ正方形の切込みがある。 ⑩ 上蓋と下皿に挟まれた容器は,縦約107mm,横約107mm,高さ約85mmの直方体となっており,上面が空洞で,4つの側面にそれぞれ3本の溝があり,容器中に42枚のフェイスマスクが収納される。 ⑪ 容器の下面と,下皿には,それぞれ大きさの異なる二つの正方形の溝があり,これがはまることによって,容器と下皿がずれない構造となっている。 (イ) 原告商品は,上記(ア)のとおり,原告主張の特徴①~⑪を有しており,その中でも,外面包装が立方体になっているという印象を消費者に与える点(原告主張の特徴①)が,特に需要者の注意を惹いている。 また,需要者が原告商品を使用する際には,その都度,上面のフラップラベルをはがして,内容器からフェイスマスクを1枚ずつ取り出すのであって, 点(原告主張の特徴①)が,特に需要者の注意を惹いている。 また,需要者が原告商品を使用する際には,その都度,上面のフラップラベルをはがして,内容器からフェイスマスクを1枚ずつ取り出すのであって,その度に内容器を視認することとなるし,フェイスマスクを全て使い切る際には,空の状態の内容器全体を視認することになる上,外面包装の上からその側面に触れてみれば,内容器の上蓋と下皿の出っ張りや,容器部分の凹みも容易に認識することができる。さらに,内容器がなければ,外面包装が立方体構造を維持できないことを需要者は容易に認識できる。したがって,内容器の構造及び形態(原告主張の特徴⑦~⑪)にも,自他識別機能及び出所表示機能があることは明らかである。 そして,原告主張の特徴①~⑪は,ありふれたものではなく,同種商品とは異なる顕著な特徴であり,かつ,技術的形態にも当たらない。 したがって,原告商品は,その形態的特徴によって原告の商品であるという出所表示機能を有しているのであって,原告商品の形態は,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たる。 イ原告の商品等表示が周知であること原告商品は,以下のとおり,その発売当初から全国的な大ヒット商品となり,女性を中心とする多くの消費者に販売されてきたほか,多くの雑誌,新聞やテレビCM,著名なタレントを起用した報道発表等にも取り上げられ,その形態が写真や映像によって繰り返し紹介されるなど,効果的な宣伝広告等が行われてきた。その結果,原告商品の上記形態は,遅くとも被告が被告商品の販売を開始した平成27年10月5日までには,その需要者である全国の美容雑貨関係の取引業者及び美容に関心の高い女性を中心 とした一般消費者の間において,特定の事業者である原告の出所を表示するものとして周知となった。 (ア) には,その需要者である全国の美容雑貨関係の取引業者及び美容に関心の高い女性を中心 とした一般消費者の間において,特定の事業者である原告の出所を表示するものとして周知となった。 (ア) 出荷及び販売の実績等原告商品の出荷数は,平成26年8月の発売直前が月間4万0831個であったが,同年9月には月間11万5993個に達し,その後も現在に至るまで,月間約5万個から約9万個を維持しており,出荷数の累計(平成26年8月~平成28年3月まで)は,130万1174個に上っているのであって,原告商品以外の「ルルルン」シリーズの商品も含め,合計324万0727個もの出荷数を記録している。また,原告商品は,大手小売店を含む300社以上の企業に出荷され,小売店各社の全国の店舗(合計約1万5000店舗)において販売されている。 さらに,フェイスマスクなどのパック市場における「ルルルン」シリーズの販売実績及びブランドシェアは,2014年が販売実績15億円でシェア2.7パーセント(第5位),2015年が販売実績42億円でシェア6.3パーセント(第2位)となっているのであり,化粧品大手の各商品をおさえて,大ヒット商品となっている。 (イ) 雑誌等への掲載原告商品は,平成26年9月1日の販売開始から,原告を発売元とする商品として,全国版のファッション雑誌などにおいて広告や紹介記事が頻繁に掲載されてきた。 その紹介記事や広告の掲載数は,次に挙げるものだけでも15誌で,その合計総発行部数は161万2805部に上っている。 a 「InRed」(インレッド)2015年1月号b 「Hanako」2014年8月28日号c 「With」(ウィズ)2015年1月号d 「JJ」2015年1月号 e 「bea’sup」(ビーズアップ)201 2015年1月号b 「Hanako」2014年8月28日号c 「With」(ウィズ)2015年1月号d 「JJ」2015年1月号 e 「bea’sup」(ビーズアップ)2014年12月号,2015年1月号f 「Ray」(レイ)2015年2月号g 「ゼクシィプレミア」2015年1月号臨時増刊h 「姉ageha」2015年1月号i 「SCawaii」(エスカワイイ)2015年1月号j 「CUTiE」(キューティ)2015年1月号k 「sweet」(スウィート)2015年1月号l 「ニコ☆プチ」2015年2月号m 「ひよこクラブ」2015年2月号n 「ピチレモン」2014年10月号o 「月刊ポップティーン」2015年2月号,2014年10月号(ウ) テレビCM原告は,平成26年9月19日から同月30日までの12日間,東京地区(東京,神奈川,千葉,埼玉,茨城,栃木,群馬),大阪地区(大阪,兵庫,京都,奈良,和歌山,滋賀)を対象として,原告商品のテレビCMを放送し,合計1億0406万4588円の広告宣伝費用を支出した。 また,原告は,平成27年9月22日から同年10月5日までの14日間,東京地区,大阪地区のほか,岡山,香川及び愛媛を対象として,原告商品を含む商品のテレビCMを放送し,平成27年9月分だけでも合計8566万8408円の広告宣伝費用を支出した。 (エ) 新聞,ブログ等への掲載原告商品は,次の新聞及びブログ等に掲載され,また,経済ニュース番組において紹介された。 a 「FujiSankeiBusinessi.」(フジサン ケイビジネスアイ)平成27年7月2日発行b 「美容経済新聞」平成27年7月16日発行c 「粧業界展望」2015年8月1日号d SankeiBusinessi.」(フジサン ケイビジネスアイ)平成27年7月2日発行b 「美容経済新聞」平成27年7月16日発行c 「粧業界展望」2015年8月1日号d ブログ「SAEKOOFFICIALBLOG」平成26年9月8日付け投稿e ブログ「MaedaYukaBeautyDiary」平成26年9月6日付け投稿f テレビ東京「WBS」(ワールドビジネスサテライト)平成27年12月9日放送分(オ) 報道発表原告は,平成27年12月2日,報道各社を集めて「LuLuLun」ブランドの戦略発表を行い,同戦略発表において,原告商品等を紹介した。 [被告の主張]ア原告商品の形態が商品等表示に該当しないこと原告主張の特徴①~⑪は,次のとおり,いずれも自他識別力がなく,商品等表示には該当しない。 (ア) 原告主張の特徴①について原告は,外寸上明らかに立方体ではない原告商品を,需要者に与える印象(=箱形の包装を有しているという印象)の観点から「立方体構造」と呼んでいるにすぎない。なお,原告商品の外寸は,縦約112mm,横約112mm,高さ約87mmであると主張するが,実際には,縦約110mm,横約115mm,高さ約88mmである。 そのような「立方体構造」の商品は原告商品以外にも多数販売されているのであって,中には上面の外寸(サイズ)まで原告商品とほぼ同じものもある。したがって,原告商品の立方体構造に自他識別力はなく, 商品等表示には該当しない。 (イ) 原告主張の特徴②~⑥について原告は,外面包装が光沢のあるプラスチック製であること,外面包装の上面にフラップラベルが貼られ,フラップラベルをはがすと現れる切込み部分からフェイスマスクを取り出す構造となっていること, について原告は,外面包装が光沢のあるプラスチック製であること,外面包装の上面にフラップラベルが貼られ,フラップラベルをはがすと現れる切込み部分からフェイスマスクを取り出す構造となっていること,向かい合う側面2箇所に折り返しのある封じ目を備えていること等といった原告主張の特徴②~⑥を原告商品の形態的特徴として主張するが,これらの形態は,フェイスマスクを含む多数の美容用液体含浸シートの商品の包装において採用されているごくありふれた要素にすぎない。 原告商品は,このようなありふれた要素を単に組み合わせたにすぎず,自他識別力がないから,「商品等表示」には該当しない。 なお,原告主張の特徴③について,原告は,外面包装の封じ目の先端が下面から約12mmの位置になるよう接着されていると主張するが,封じ目の下端は下面から約10~15mmの位置に装着されており,一定でない。 (ウ) 原告主張の特徴⑦~⑪について原告主張の特徴⑦~⑪は,いずれも原告商品の内容器の構造に関するものであるところ,内容器は外部から認識できず,内容器によって需要者が商品の出所を識別することなどあり得ないから,原告主張の特徴⑦~⑪に自他識別力がないことは明らかで,商品等表示には該当しない。 これに対し,原告は,①外面包装の上から触れれば内容器の構造が認識できる,②フェイスマスクを使用する際又は使い切った際に需要者が内容器を視認することになる,③需要者は,内容器がなければ外面包装が立方体構造を維持できないことを認識可能であるなどと主張するが,外面包装の上から手を触れ,フラップラベルを開けて内部を覗き,あるいは外面包装が立方体構造を維持していることを認識したとしても,こ れにより内容器の構造,具体的には,内容器が上蓋,容器,下皿の3つのパーツに分かれて構成され ベルを開けて内部を覗き,あるいは外面包装が立方体構造を維持していることを認識したとしても,こ れにより内容器の構造,具体的には,内容器が上蓋,容器,下皿の3つのパーツに分かれて構成されているということやその具体的な形態を外部から認識することは不可能である。 イ原告商品の形態に周知性がないこと原告が指摘する雑誌記事には,原告商品に係る内容器の形態,構造又は外寸は何ら示されておらず,内容器の形態等の周知性を立証するものとはいえない。また,原告商品の写真が掲載されていないものやフラップラベルが確認できないものもあり,原告商品の形状やフラップラベル等の周知性を立証するものとはいえない。 また,原告が指摘する新聞記事等にも,原告商品の内容器の形態,構造又は外寸は何ら示されておらず,内容器の形態等の周知性を立証するものとはいえないし,原告商品が白黒で印刷されていて色が確認できないものもあり,原告商品の色(ローズレッド)の周知性を立証するものともいえない。 さらに,原告が指摘するテレビCMにおいても,原告商品の内容器の形態,構造又は外寸は何ら示されておらず,内容器の形態等の周知性を立証するものとはいえない。そもそも原告の主張する2回のテレビCMの放送期間は,いずれも限られたものである上,このうち1回は,CMの終わりの方の画面で5つの商品のうちの1つとして原告商品が小さく表示されているにすぎず,原告商品の形状の周知性を立証するものとはいえない。 ウ原告商品の内容器の構造は,積み上げられても崩れないような強度を維持するという機能ないし効果と必然的に結びついたものであり,外面包装が立方体構造になっている点も,フェイスマスクが取り出しやすいという機能ないし効果と必然的に結びついたもので,いずれも商品の機能を確保するために不可欠で 効果と必然的に結びついたものであり,外面包装が立方体構造になっている点も,フェイスマスクが取り出しやすいという機能ないし効果と必然的に結びついたもので,いずれも商品の機能を確保するために不可欠であるから,商品等表示には当たり得ない。 原告は,原告商品の包装及び内容器の形態が技術的形態に当たらないと 主張するが,一方で内容器がなければ立方体構造を維持できないとも主張しており,内容器を採用することが特定の機能・効果と結びついたものであることを自認している。 (2) 争点1-2(原告商品と被告商品の形態の類似性及び混同のおそれの有無)について[原告の主張]ア原告商品と被告商品との類似性について(ア) 被告商品の形態的特徴は次のとおりである。 ①´外寸が,縦約115mm,横約115mm,高さ約86mmの直方体で,立方体構造である。 ②´外面包装には,光沢のあるピンク色のプラスチック袋が使用され,その材質は,ポリエチレン(PE)とポリエチレンテレフタラート(PET)の複合となっている。 ③´外面包装の向かい合う側面2か所にそれぞれ封じ目があり,その封じ目は,上面から下面に向かって折り返されていて,その封じ目の先端が下面から約12mmの位置になるように接着されている。 ④´外面包装の上面は,その全面を覆うようにフラップラベルが貼られている。 ⑤´フラップラベルの材質は,ポリプロピレン(PP)で光沢があり,その一辺だけが外面包装の上面に固定されていて,繰り返し,はがしたり貼り付けたりできる構造となっている。 ⑥´フラップラベルをはがすと,外面包装の上面に,縦約60mm,横約65mmのほぼ正方形の切り込みがあり,その切り込み部分からフェイスマスクを取り出す構造となっている。 ⑦´外面包装の内側には,フェイスマスクを ベルをはがすと,外面包装の上面に,縦約60mm,横約65mmのほぼ正方形の切り込みがあり,その切り込み部分からフェイスマスクを取り出す構造となっている。 ⑦´外面包装の内側には,フェイスマスクを収納する内容器があり,その材質は,ポリプロピレン(PP)で,半透明となっている。 ⑧´内容器は,上蓋,容器及び下皿で構成され,下皿の上に容器を載せ,容器の上に上蓋をかぶせる構造となっている。 ⑨´上蓋の外寸は,縦約113mm,横約113mm,高さ約10mmであり,下皿の外寸は,縦約108mm,横約108mm,高さ約10mmである。また,上蓋には,中央部に縦約64mm,横約74mmのほぼ正方形の切込みがある。 ⑩´上蓋と下皿に挟まれた容器は,縦約108mm,横約108mm,高さ約86mmの直方体となっており,上面が空洞で,4つの側面にそれぞれ3本の溝があり,容器中に42枚のフェイスマスクが収納される。 ⑪´容器の下面と,下皿には,それぞれ大きさの異なる二つの正方形の溝があり,これがはまることによって,容器と下皿がずれない構造となっている。 (イ) 原告商品と被告商品の類否は,取引の実情のもとにおいて,取引者,需要者が両者の外観,呼称,又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するべきである。また,一般需要者は,商品購入の際に,過去に購入した商品の包装や容器について詳細な部分まで記憶しておらず,原告商品と被告商品が常に同時に並べられて,包装や容器の細部にわたり比較可能な状態で販売されるわけでもないことからすれば,両者を全体的,離隔的に考察するべきであって,包装や容器の形状等が取引者又は需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その包装や容器のイメージを構 能な状態で販売されるわけでもないことからすれば,両者を全体的,離隔的に考察するべきであって,包装や容器の形状等が取引者又は需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その包装や容器のイメージを構成する主要な特徴部分が共通していれば,類似するというべきである。 そして,原告商品の形態と被告商品の形態を全体的,離隔的に考察すれば,包装や内容器における全体的なイメージを構成する上で重要な働 きをする原告主張の特徴①~⑪と被告商品の形態的特徴(上記(ア)の①´~⑪´)とはほぼ完全に一致しており,需要者において,両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあることは明らかである。また,原告商品と被告商品がいずれも店頭で購入する安価な商品であること,その成分や品質等について他の同種商品と顕著な違いが生じないこと,市場で販売されているフェイスマスク商品の中で,原告商品を含む原告販売に係る商品と同じ形状を有しているのは被告商品だけであることなどの取引の実情を十分に斟酌すれば,原告商品と被告商品の形態が類似していることは明らかである。 イ誤認混同のおそれについて(ア) 原告商品と被告商品は,いずれも美容用のフェイスマスクという同一の商品であり,その販売店舗や販売方法も競合する上,店頭で並べて販売されている場合もある。また,原告商品と被告商品は,内容や価格も同程度である。 また,アイドルグループに所属するタレントがSNSに投稿した記事に「ルルルンのパックの大きいやつを今日買ってみました!」と記載されているにもかかわらず,被告商品の写真が掲載されているなど,実際に被告商品を原告商品と誤認して購入する消費者も現れている。 こうした事情によれば,被告商品の形態が,原告商品と混同を生じさせるおそれを有するものであることは明らかである。 掲載されているなど,実際に被告商品を原告商品と誤認して購入する消費者も現れている。 こうした事情によれば,被告商品の形態が,原告商品と混同を生じさせるおそれを有するものであることは明らかである。 (イ) なお,被告商品の上面には,赤い文字で「ALLin 1」と表記されているが,それ以外の「肌美精」,「オールインワンマスク」といった被告商品の商品名は,極めて小さな文字で表示されているし,被告商品の上面に表記された「ALLin 1」という文字と,同じく原告商品の上面に表記されている「LuLuLun」という文字とを比較すると,同じアルファベットの「L」及び「n」が構成要素となっている ことから,消費者が店頭で一瞥しただけだと,被告商品を原告商品であると誤認してしまうおそれもある。 したがって,被告商品の上面に「ALLin 1」との表記がされていることのみをもって,原告商品との誤認混同のおそれがないということはできない。 [被告の主張]ア原告商品の上面及び前面には,大きく緑色で,商品名である「LuLuLun」,「フェイスマスクルルルン」などと記載され,また,上面には,伏し目のまつ毛が強調され,リボンが付された可愛らしいイラストが描かれており,原告商品の大きな特徴となっている。これに対し,被告商品の上面及び前面には大きく赤字で「肌美精」というブランド名が記載され,また,「もっちり美肌」,「Allin 1」,「オールインワンマスク」と記載されている。 また,原告商品の基調色は,ローズレッドでかつ金属的な光沢を有しているのに対し,被告商品の基調色は,ストライプ状の強弱のあるパステルピンクで金属的な光沢は有しておらず,色彩及び光沢においても,全く異なっている。 このように,原告商品と被告商品の外観上の特徴(模様 るのに対し,被告商品の基調色は,ストライプ状の強弱のあるパステルピンクで金属的な光沢は有しておらず,色彩及び光沢においても,全く異なっている。 このように,原告商品と被告商品の外観上の特徴(模様,色彩,光沢及び形状)が著しく異なり,類似しているとはいえないから,需要者の間で,商品の出所について混同が生じることはあり得ない。 イ原告商品の「LuLuLun」の記載は,上面で横約80mm・縦約15mm,前面で横約60mm・縦約10mmにも及び,これは原告商品の上面の外寸(横約115mm・約縦110mm),前面の外寸(横約115mm・縦約88mm)と比較しても相当程度に大きいから,原告商品の出所識別力を担うに十分なものである。また,原告商品の大きな特徴である2つのまつ毛及びリボンのイラストの外寸もそれぞれ横約20mm・縦1 5mm及び横25mm・縦15mmと大きく,原告商品の出所識別力を担うに十分なものである。他方,被告商品に記載されている「ALLin1」の文字は,上面で横約80mm・縦約25mm,前面で横約55mm・縦約18mmにも及び,被告商品の出所識別力を担うに十分なものである。 また,「肌美精」という記載も,横約20mm,縦約5mmと,決して小さいものではない。 ウそもそも,原告商品及び被告商品は,女性向けのフェイスマスクという女性の顔面に直接貼る美容品であり,女性にとって当該商品の材質・原料等が自分の肌に合うかどうかは重大な関心事であるから,需要者である女性は,商品名等を十分に確認したうえで慎重に商品を購入するはずであり,原告商品と被告商品を見間違えることなど通常考えられない。また,被告商品は,被告自身の営業努力(多数の女性向け雑誌への広告出稿や車内広告等)により人気商品となり,販売開始後,全国各地の多数の小 り,原告商品と被告商品を見間違えることなど通常考えられない。また,被告商品は,被告自身の営業努力(多数の女性向け雑誌への広告出稿や車内広告等)により人気商品となり,販売開始後,全国各地の多数の小売店に出荷されるとともにインターネット上でも販売され,人気女性ファッション誌,新聞,インターネット記事において人気商品として取り上げられるなどした結果,被告商品の形態的特徴(模様,色彩,光沢及び形状)が需要者に広く認識されるに至っている。 エしたがって,需要者の間で,原告商品と被告商品の出所について混同が生じることはあり得ない。 (3) 争点2(被告商品は原告商品の形態を模倣したものか)について[原告の主張]ア原告主張の特徴①~⑪が原告の「商品の形態」に当たること(ア) 商品の容器や包装等についても,商品と一体となって,商品自体と容易に切り離せない態様で結びついている場合には,不正競争防止法2条1項3号の「商品の形態」に含まれると解すべきところ,原告商品では,内容器や外面包装が,商品であるフェイスマスクと一体となって使 用されており,商品自体と容易に切り離せない態様で結びついている。 (イ) そして,原告商品の外面包装に関する形態的特徴(原告主張の特徴①~⑥)は,需要者が直接に見て,触れることができる部分であるから,「商品の形態」に当たる。 (ウ) また,需要者は,原告商品を使用するたびに,フラップラベルをはがして,内容器からフェイスマスクを取り出すため,内容器の外観を見ることとなるし(特に,最後のフェイスマスクを取り出した際には,空の状態の内容器の全体を視認することができる。),薄いプラスチックで包装がされている原告商品に触れれば,内容器には上蓋と下皿が付いていることや,上蓋や下皿を利用して包装することにより立 た際には,空の状態の内容器の全体を視認することができる。),薄いプラスチックで包装がされている原告商品に触れれば,内容器には上蓋と下皿が付いていることや,上蓋や下皿を利用して包装することにより立方体構造を保っていることが分かる。 したがって,原告商品の内容器の構造(本件特徴⑦~⑪)も,「商品の形態」に当たる。 イ原告商品と被告商品の形態が実質的に同一であること被告商品の特徴は,原告主張の特徴①~⑪と一致しているところ,特に,光沢のあるピンク色の薄い外面包装がされていて,外寸も全く同じ立方体構造となっていること,外面包装の封じ目の位置,形状まで一致していること,フラップラベルや外面包装上面の切込みの形状が同じであること,内容器における上蓋,容器,下皿の構造や形状,大きさも同じであること,その上蓋,下皿の形状を利用して包装することにより立方体構造を構成していること,といった点で完全に一致している。なお,原告が,原告商品のフラップラベルを業者に発注しているところ,被告は,被告商品のフラップラベル部分を原告と同一の業者に発注して製造させている。 したがって,原告商品の形態と被告商品の形態とは実質的に同一である。 なお,原告商品には,外面包装が立方体構造になっているというこれまでの同種商品にはない大きな特徴があり,その立方体構造と強度を維持す るため,内容器に下皿,容器及び上蓋という3つのパーツを使用した構造を採用したほか,フラップラベルを採用することによって,フェイスマスクをより取り出しやすくするなどの工夫が凝らされているのであるから,原告商品の形態はありふれたものでない。また,フェイスマスクを製造,販売するにあたって,必ずしも原告商品のような立方体構造を採る必要はないから,原告商品の形態は商品の機能を確保するため であるから,原告商品の形態はありふれたものでない。また,フェイスマスクを製造,販売するにあたって,必ずしも原告商品のような立方体構造を採る必要はないから,原告商品の形態は商品の機能を確保するために不可欠のものでもない。 ウ被告商品が原告商品に依拠して作り出されたこと原告と被告は,フェイスマスク等の美容品販売における競業他社であり,被告商品の形態が原告商品の形態と実質的に同一であること,被告が原告商品と同じ発注先企業を意図的に利用していること,フェイスマスク市場において立方体構造を採る商品がなかったことからすれば,被告商品が原告商品に依拠して作り出されたことは明らかである。 したがって,被告商品は,原告商品を模倣したものである。 [被告の主張]ア原告主張の特徴①~⑪が原告商品の「商品の形態」に当たらないこと(ア) 本件で原告が問題としているのは,原告商品であるフェイスマスクそのものではなく,その容器や包装である。このような容器や包装は,そもそも不正競争防止法2条1項3号の「商品」に該当しない。 (イ) 原告主張の特徴①~⑥について原告は,「立方体構造」を有し,光沢のあるプラスチック製であり,向かい合う側面2箇所に折り返しのある封じ目を備え,上面に繰り返しはがしたり貼り付けたりできるフラップラベルが貼られ,これをはがすと現れる切込み部分からフェイスマスクを取り出す構造となっている外面包装が「商品の形態」に当たると主張するが,このような包装は,フェイスマスクを含む多数の美容用液体含浸シートの商品に採用されて一般 化しているごくありふれたもので,「商品の形態」には当たらない。 なお,原告は,原告商品の包装の外寸(サイズ)も商品の形態に含まれると主張するが(原告主張の特徴①,③,⑥),包装の外寸は,フェイスマ しているごくありふれたもので,「商品の形態」には当たらない。 なお,原告は,原告商品の包装の外寸(サイズ)も商品の形態に含まれると主張するが(原告主張の特徴①,③,⑥),包装の外寸は,フェイスマスクの大きさ及び収納される枚数に見合う大きさの包装にすべく,使いやすさや取り出しやすさを考慮して適宜選択されるべき事項にすぎないし,原告商品の包装の外寸が特徴的であるともいえないから,「商品の形態」には当たらない。 さらに,原告は,外面包装の材質についても「商品の形態」に当たると主張するようであるが(原告主張の特徴②,⑤),外面包装の材質は「形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感」(不正競争防止法2条4項)のいずれにも該当しないし,そもそも「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる」ものでもないから,「商品の形態」には含まれない。 (ウ) 原告主張の特徴⑦~⑪について原告は,内容器の構造に関する原告主張の特徴⑦~⑪が「商品の形態」に当たると主張するが,原告商品の内容器の構造は,商品の購入前には認識し得ず,購入後も需要者が通常使用する限りでは認識し得ない上,需要者が注目するのは,フェイスマスクが収納された状態(どのように折り畳まれているか)や蓋の部分の広さ(フェイスマスクを取り出すのに十分な広さか)といった点であり,内容器の構造に注目するわけではない。したがって,原告商品の内容器の構造は,「商品の形態」には当たらない。 また,「商品の形態」の実質的同一性は,商品全体について判断され,外部の形状に実質的同一性が認められない場合には,内部の形状のみをもって保護を受けることはできないが,原告商品と被告商品は外部の形状に実質的同一性が認められないから,原告商品の内容器の構造が「商 品の形 的同一性が認められない場合には,内部の形状のみをもって保護を受けることはできないが,原告商品と被告商品は外部の形状に実質的同一性が認められないから,原告商品の内容器の構造が「商 品の形態」としての保護を受けることはない。 イ原告商品と被告商品の形態に実質的同一性がないこと原告商品と被告商品とは,上記(2)[被告の主張]ア,イのとおり模様,色彩,光沢及び形状が著しく異なっており,また,原告商品は,新品の販売時に,被告商品にはない「プラスチック製の帯」が付けられており,このことからも,両商品の形態が実質的に同一といえないことが明らかである。 ウ依拠性がないこと上記イのとおり,そもそも原告商品と被告商品の形態は実質的に同一とはいえない上,被告は,原告商品とは独自にフェイスマスクを含む多数の美容用液体含浸シートの商品に採用され一般化しているごくありふれた形態を採用したにすぎないのであって,被告商品の形態は,原告商品の形態に依拠したものではない。 (4) 争点3(被告の故意・過失の有無)[原告の主張]原告と被告がフェイスマスク等の美容品販売における競業他社であること,被告商品が原告商品を模倣していること,被告が,原告商品に使用されているフラップラベルの発注先に被告商品を重ねて発注していること等からすれば,被告には故意又は過失がある。 [被告の主張]否認ないし争う。 (5) 争点4(損害額)について[原告の主張]被告商品は,平成27年10月5日から,全国のドラッグストア等で販売されており,少なくとも合計5万個が出荷されている。 原告商品1個当たりの利益額は265.9円であるから,被告が被告商品の販売によって得た利益は1329万5000円(計算式は265.9円× 5万個)と考えられる。 した 出荷されている。 原告商品1個当たりの利益額は265.9円であるから,被告が被告商品の販売によって得た利益は1329万5000円(計算式は265.9円× 5万個)と考えられる。 したがって,同額が原告の損害と推定される(不正競争防止法5条1項)。 [被告の主張]不知ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記第2の1の前提事実に加え,争いのない事実,証拠(甲1~4,乙5)及び弁論の全趣旨を総合すると, 以下の事実が認められる。 (1) 原告商品の形態原告商品は,顔の美容等を目的とするフェイスマスクであり,その形態は別紙原告商品目録の写真(1)~(4)のとおりであるが,具体的には次のとおりである(以下,順に「原告態様A」のようにいう。)。 A 外面包装が直方体状となっており,その外寸は,縦約110~112mm,横約112~115mm,高さ約87~88mmである。 B 外面包装には光沢のあるプラスチック袋が使用され,向かい合う2つの側面に折り返しのある封じ目があって,同封じ目は,上面から下面に向かって折り返されている。 C 外面包装の上面に,フラップラベルが貼られ,外面包装の上面に固定された一辺を除き,繰り返しはがしたり貼ったりできるようになっており,その下に縦約60mm,横約65mmの切込みがある。 D 外面包装は光沢のあるローズピンクで,その上面に貼られたフラップラベルには,上方から中央部にかけて,リボン(緑と白)及び伏し目のまつ毛(緑)のイラストが描かれ,白い吹き出し中にセリフ(「まいにち生まれ変わりたい。」又は「みんな大好き!」など)が緑色で記載され,下方には,緑色で「LuLuLun」「フェイスマスクルルルン」と記載されている。また,前面には,中央部付近に緑色で「LuLuLun」「フェ たい。」又は「みんな大好き!」など)が緑色で記載され,下方には,緑色で「LuLuLun」「フェイスマスクルルルン」と記載されている。また,前面には,中央部付近に緑色で「LuLuLun」「フェ イスマスクルルルン」と記載され,下方には,白地に緑文字で内容量や有効成分等が記載されている。 (2) 被告商品の包装の形態等被告商品は,全顔シート状美容液マスクであり,その包装の形態及び構造等は別紙被告商品目録の写真(1)~(4)のとおりであるが,具体的には次のとおりである(以下,順に「被告態様a」のようにいう。)。 a 外面包装が直方体状となっており,その外寸は,縦約115mm,横約115~122mm,高さ約86~87mmである。 b 外面包装には光沢のあるプラスチック袋が使用され,向かい合う2つの側面に折り返しのある封じ目があって,同封じ目は,上面から下面に向かって折り返されている。 c 外面包装の上面に,フラップラベルが貼られ,外面包装の上面に固定された一辺を除き,繰り返しはがしたり貼ったりできるようになっており,その下に縦約60mm,横約65mmの切込みがある。 d 外面包装は光沢のある薄いパステルピンクと濃いパステルピンクのストライプであり,その上面には,左上方にハートマークが,右下方に円が,いずれも青色で描かれ,右上方にハートマークの一部が白色の線で描かれている。また,赤色で「肌美精」,「うるおいたっぷり」,「もっちり美肌」,「ALLin 1」,「オールインワンマスク」などと記載され,白色と赤色でフェイスマスクの絵がデザインされている。 外面包装の前面には,上方から中央付近にかけて,上面とほぼ同様のデザイン及び記載がされ,下方には横長の長方形で白抜きされた上から,赤色で「1枚4役」と記載され,その説明のイラス ザインされている。 外面包装の前面には,上方から中央付近にかけて,上面とほぼ同様のデザイン及び記載がされ,下方には横長の長方形で白抜きされた上から,赤色で「1枚4役」と記載され,その説明のイラストが描かれるとともに,「トリプルコラーゲン」「ヒアルロン酸GL」「30種の美容エッセンス」などと記載されている。 (3) 原告商品及び被告商品以外の商品等の形態 被告商品の販売開始と近接する時点(平成28年1月12日時点)までに市販されていた原告商品及び被告商品を除く美容用液体含浸シートには,別紙他商品一覧記載のような形態を有するものがある。 2 争点1-1(原告商品の形態が周知な商品等表示といえるか)について(1) 商品の形態と商品等表示性不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」とは,「人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」をいうところ,商品の形態は,商標等と異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないが,商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合がある。そして,商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し,不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当するためには,①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性),かつ,②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により(周知性),需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていることを要すると解するのが相当である。 (2) 原告商品の形態の特別顕著性についてア上記1(1)で認定した原告商品の形態のうち,外面包装に,光沢 事業者の出所を表示するものとして周知になっていることを要すると解するのが相当である。 (2) 原告商品の形態の特別顕著性についてア上記1(1)で認定した原告商品の形態のうち,外面包装に,光沢のあるプラスチック袋が使用され,向かい合う2つの側面に折り返しのある封じ目があって,同封じ目が上面から下面に向かって折り返されている点(原告態様B),外面包装の上面に,フラップラベルが貼られ,外面包装の上面に固定された一辺を除き,繰り返しはがしたり貼ったりできるようになっており,その下に切込みがある点(原告態様C(ただし,切込みの寸法を除く。))については,いずれも上記1(3)のとおり,原告商品以外の美容用液体含浸シートにおいても多数採用されているものと認められ,ごくあ りふれた要素にすぎないというべきである。 また,原告商品の外面包装が直方体状となっていること及びその外寸(原告態様A)並びにフラップラベルの下の切込みの寸法(原告態様Cのうち切込みの寸法に係る部分)についても,証拠上,上記1(3)のような他の美容用液体含浸シートと比較して特段大きな相違点であるとは認められず(なお,原告のいう「立方体構造」は縦と横の寸法が同一又は近似しているという趣旨に解されるが,この点もやはり他の同種製品と比べた顕著な差異であるとは認め難い(なお,上記1(3)の別紙他商品一覧2番及び3番参照)。),客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有するものであるとか,需要者に対して強い印象を生じさせるものであるということはできない。 なお,原告商品の外面包装の色彩及び同包装上にデザインされた図柄や文言(原告態様D)については商品等表示として保護される余地もあるが,そもそも,原告は「LuLuLun」といった記載を原告商品の形態の特徴として主張しない 装の色彩及び同包装上にデザインされた図柄や文言(原告態様D)については商品等表示として保護される余地もあるが,そもそも,原告は「LuLuLun」といった記載を原告商品の形態の特徴として主張しないものであるし(第1回口頭弁論調書),後記3(2)のとおり,原告商品の表示(原告態様D)と被告商品の表示(被告態様d)は著しく異なっているのであるから,この点を含めても需要者が原告商品と被告商品の出所を混同するものとはいえない。 イこの点,原告は,内容器の構造(原告主張の特徴⑦~⑪)についても出所識別機能を有する旨主張するが,内容器は外面包装の内側にあり,需要者において外部から直接これを視認することはできないから,これによって需要者が商品の出所を識別するとは考えられず,この点について出所識別機能があるとは認めることができない。 これに対し,原告は,①需要者が外面包装の上から触れれば内容器の構造を認識できる,②需要者がフェイスマスクを使用する際又はフェイスマスクを使い切った際に内容器を視認することができる,③内容器がなけれ ば立方体構造を維持できないことにつき需要者は認識が可能であるなどと主張する。しかしながら,上記①及び②については,需要者が外面包装の上から触り,あるいは,フェイスマスクを取り出すための切込みから容器の内側を一部見ることが可能であるとしても,これにより直ちに内容器の構造を認識することができるとは認めることができないし(別紙原告商品目録記載4(3)及び(4)の写真参照),上記③についても,需要者が内容器の形態や構造を具体的に認識できることを示すものとはいえない(なお,上記②は購入後の事情であるから,購入時における出所識別機能を裏付けるものとはいえない。)から,いずれも採用することはできない。 (3) 以上によれば に認識できることを示すものとはいえない(なお,上記②は購入後の事情であるから,購入時における出所識別機能を裏付けるものとはいえない。)から,いずれも採用することはできない。 (3) 以上によれば,原告商品の形態は,客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているということはできず,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示には当たらない。 3 争点2(被告商品は原告商品の形態を模倣したものか)について(1) 不正競争防止法2条1項3号の「模倣」とは,「他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すこと」をいうところ(同条5項),「実質的に同一の形態」といえるか否かは,他人の商品の形態に依拠して作成された商品の形態が,他人の商品の形態と実質的に同一といえるほどに酷似しているか否かという観点から判断すべきである。 そして,同号が「商品の形態」を保護する趣旨は,模倣者が,先行者において資金や労力を投下して商品化した商品について,その形態をことさら模倣した商品を,自らの商品として市場に提供し,同じ市場において先行者と競争する行為が,事業者間の競争上不正な行為として位置付けるべきものとしたことにあると解されるから,作り出された商品の形態に他人の商品の形態と相違する部分があるとしても,その相違がわずかで,商品全体からみれば些細な相違にとどまるような場合には,当該商品は他人の商品と実質的に同一の形態と評価され得る一方,相違の内容・程度,共通点と相違点のバラ ンスが商品全体の形態に与える影響等に鑑みて,相違が些細なものといえないような場合には,当該商品は他人の商品の形態と実質的に同一であるとはいえないと判断するのが相当である。また,同号の上記趣旨に鑑みれば,同種の商品にしばしば見られるありふれた形態は,特段の といえないような場合には,当該商品は他人の商品の形態と実質的に同一であるとはいえないと判断するのが相当である。また,同号の上記趣旨に鑑みれば,同種の商品にしばしば見られるありふれた形態は,特段の資金や労力を投下することなく作り出すことができるから,同号の保護対象となる「商品の形態」には当たらないと解すべきである。 なお,被告は,原告商品はフェイスマスクそのものであり,その包装は「商品の形態」には当たらないと主張するが,美容液を浸潤させたフェイスマスクは,商品の性質上,包装と一体で流通に供されることが通常であって,包装が商品自体と容易に切り離しえない態様で結びついているといえるから,包装についても「商品の形態」に含まれるというべきであって,この点に関する被告の主張は採用することができない。 (2) そこで検討するに,原告商品と被告商品の各外面包装の形態は,まず原告態様Bと被告態様b,原告態様Cと被告態様cがそれぞれ共通し,原告態様Aと被告態様aについても,直方体状である点で共通するとともに,その外寸も大きくは異ならないものと認められる。 しかしながら,上記1(3)及び2(2)アの説示によれば,原告商品と被告商品に共通又は近似する上記各態様は,いずれも市場に流通する原告商品又は被告商品以外の多数の美容用液体含浸シートにおいても同様に備えているものであるか,少なくとも大きく相違しないものと認められるのであって,そうすると,原告商品と被告商品に共通する上記各態様は,いずれも同種の商品にしばしば見られるありふれた形態というほかない。 他方,原告商品及び被告商品の各外面包装の色彩,デザイン,文言及び配置等に係る要素(原告態様Dと被告態様d)は,その全ての要素が著しく異なっている。特に,原告商品については,ローズピンクの基礎の上に緑色で描 商品及び被告商品の各外面包装の色彩,デザイン,文言及び配置等に係る要素(原告態様Dと被告態様d)は,その全ての要素が著しく異なっている。特に,原告商品については,ローズピンクの基礎の上に緑色で描かれた伏し目のまつげとリボン及び大きく記載された「LuLuLun」 という文字が強い印象を与えるのに対し,被告商品については,ストライプ状のパステルピンクの基礎の上に描かれた青色のハートマーク及び円並びに赤色で大きく記載された「ALLin 1」という文字が強い印象を与えると認められるのであって,その印象の差は大きく,需要者の印象を左右する特徴的な形態に係る相違といえる。しかも,原告商品と被告商品は,共に女性向けのフェイスマスクであり,一般の商品以上に,需要者においてキャッチコピーやデザインを重視する傾向も強いと考えられる。 このように,原告商品と被告商品とは,その特徴的な形態(原告態様Dと被告態様d)が大きく相違する一方,共通ないし近似する形態(原告態様A~Cと被告態様a~c)はいずれも同種の商品にしばしば見られるありふれたものにとどまるから,全体として見れば,被告商品の形態が原告商品の形態と実質的に同一であるということはできない。 (3) なお,原告主張の特徴⑦~⑪は,いずれも外面包装の内側の内容器に係る形態であって,需要者が原告商品を通常の用法に従って使用するに際して内容器の形態を認識することはできないから,「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる」商品の内部の形状等(不正競争防止法2条4項)に当たらず,「商品の形態」に含まれないというべきである。 これに対し,原告は,①フェイスマスクを取り出す度に内容器の外観を見ることになる,②最後のフェイスマスクを取り出した際に空の状態の内容器の全体を ず,「商品の形態」に含まれないというべきである。これに対し,原告は,①フェイスマスクを取り出す度に内容器の外観を見ることになる,②最後のフェイスマスクを取り出した際に空の状態の内容器の全体を視認することができる,③需要者が原告商品に触れれば内容器の構造が分かるなどと主張するが,これらがいずれも採用できないことは上記2(2)イで説示したとおりである。(4)そうすると,被告商品の形態が原告商品の形態と実質的に同一であるとはいえず,依拠の有無について検討するまでもなく,被告の行為は「模倣」には当たらない。 結論以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官矢口俊哉 裁判官廣瀬達人 (別紙)原告商品目録 1 商品名フェイスマスクルルルン4S 2 内容量42枚(エッセンス480mL) 3 発売元株式会社グライド・エンタープライズ 4 包装及び内容器の構造等以下の写真(1)~(5)のとおり(1) (2) (3) (4) (5) 以上 (別紙)被告商品目録 1 販売名肌美精オールインワンマスク 2 内容量42枚(462mL) 3 発売元クラシエホームプロダクツ株式会社 4 包装及び内容器の構造等以下の写真 録 1 販売名肌美精オールインワンマスク 2 内容量42枚(462mL) 3 発売元クラシエホームプロダクツ株式会社 4 包装及び内容器の構造等以下の写真(1)~(5)のとおり 以上 (別紙)他商品一覧 項番メーカー商品名商品の写真(蓋を閉じた状態)商品の写真(蓋を開いた状態) 1 クラシエホームプロダクツ㈱肌美精DマスクWRa全顔シート状美容液マスク30枚(290ml) 2 コーセーコスメポート㈱ソフティモホワイトメイク落としシートb 3 コーセーコスメポート㈱ソフティモメイク落としシート(H)b 4 ㈱マンダムギャツビーさらさらデオドラントボディペーパークールシトラス<徳用> 5 ㈱マンダムマンダムハッピーデオボディシート潤サラパウダーインSやわらかな清潔感花せっけんの香り36枚入り 6 ㈱ドン・キホーテ情熱価格クイックメイク落としシート(メイク落としシート50枚入内容量210mL) 7 ㈱ストーリアマーロプレミアムフェイスシート[クール] 8 ロート製薬㈱デ・オウリフレッシュシート42枚入(ロートメンズパーフェクトシート<ふきとり用化粧水>) 9 資生堂フィティット㈱エージープラスクリアシャワーシートN<L>40枚入 以上 ートメンズパーフェクトシート<ふきとり用化粧水> 資生堂フィティット㈱エージープラスクリアシャワーシートN<L>40枚入
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