平成25年5月23日判決言渡同日判決原本交付裁判所書記官平成23年(ワ)第13054号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成25年3月29日判決 原告株式会社キンキ 同訴訟代理人弁護士藤川義人同雨宮沙耶花同訴訟代理人弁理士森治 被告株式会社浪速刃物製作所 同訴訟代理人弁護士三山峻司同井上周一同木村広行同松田誠司同訴訟代理人弁理士蔦田正人同有近康臣 主文 1 被告は,別紙イ号製品目録,別紙ロ号製品目録及び別紙ハ号製品目録記載の各製品を製造し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,前項記載の各製品を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,532万7600円及びこれに対する平成23年10月28日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用はこれを2分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 6 この判決は,第1項及び第3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1)主文第1項及び第2項と同旨(2) 被告は,原告に対して,2000万円及びこれに対する平成23年1 に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1)主文第1項及び第2項と同旨(2) 被告は,原告に対して,2000万円及びこれに対する平成23年10月28日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (3)訴訟費用は被告の負担とする。 (4)仮執行宣言 2 被告(1)原告の請求をいずれも棄却する。 (2)訴訟費用は原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告は,機械の設計,販売等を目的とする株式会社である。 被告は,機械刃物の製造等を目的とする株式会社である。 (2)原告の特許権ア本件特許権原告は,以下の特許(以下「本件特許」といい,本件特許に係る明細書及び図面をあわせて,それぞれ「本件明細書」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有している。 特許番号第4210537号発明の名称剪断式破砕機の切断刃出願日平成15年3月20日登録日平成20年10月31日特許請求の範囲【請求項1】ケーシングに支持した軸にスペーサを挟んで切断刃取付台を設け,該切断刃取付台の周囲に複数の刃取付部を形成し,該刃取付部に切断刃の後部に形成した係止部を係止する突出段部を形成し,該突出段部で切断刃の係止部を係止した状態で該切断刃に形成した固定ボルト孔に固定ボルトを設けて切断刃を前記切断刃取付台に固定し,該切断刃を固定することにより前記刃取付部の外周が露出しないようにするとともに,該切断刃の内側側面を前記スペーサで挟んだ状態にして前記切断刃取付台の側面がほぼ露出しないようにして使用し,交換時 定し,該切断刃を固定することにより前記刃取付部の外周が露出しないようにするとともに,該切断刃の内側側面を前記スペーサで挟んだ状態にして前記切断刃取付台の側面がほぼ露出しないようにして使用し,交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ボルト孔に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃と密接させ,該押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換するようにした剪断式破砕機の切断刃において,前記切断刃を前記切断刃取付台に固定する前記固定ボルト孔の固定段部よりも入口側に,該切断刃の交換時に前記固定ボルト孔に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するように該固定ボルト孔の内面から半径方向に拡径する環状凹部で形成した係合部を具備させた剪断式破砕機の切断刃。 イ構成要件の分説本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)は,次のとおり構成要件に分説することができる。 A① ケーシングに支持した軸にスペーサを挟んで切断刃取付台を設け,該切断刃取付台の周囲に複数の刃取付部を形成し,該刃取付部に切断刃の後部に形成した係止部を係止する突出段部を形成し,A② 該突出段部で切断刃の係止部を係止した状態で該切断刃に形成した固定ボルト孔に固定ボルトを設けて切断刃を前記切断刃取付台に固定し,A③ 該切断刃を固定することにより前記刃取付部の外周が露出しないようにするとともに,該切断刃の内側側面を前記スペーサで挟んだ状態にして前記切断刃取付台の側面がほぼ露出しないようにして使用し,A④ 交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ボルト孔に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃と密接させ,該押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して A④ 交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ボルト孔に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃と密接させ,該押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換するようにしたA⑤ 剪断式破砕機の切断刃において,B⑥ 前記切断刃を前記切断刃取付台に固定する前記固定ボルト孔の固定段部よりも入口側に,該切断刃の交換時に前記固定ボルト孔に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するようにB⑦ 該固定ボルト孔の内面から半径方向に拡径する環状凹部で形成した係合部を具備させたB⑧ 剪断式破砕機の切断刃。 (3)被告の行為ア被告は,平成20年10月31日以降,別紙イ号製品目録に記載の剪断式破砕機用切断刃(以下「イ号製品」という。),別紙ロ号製品目録に記載の剪断式破砕機用切断刃(以下「ロ号製品」という。)及び別紙ハ号製品目録に記載の剪断式破砕機用切断刃(以下「ハ号製品」という。また,イ号製品,ロ号製品及びハ号製品を総称して「被告製品」という。)を製造,販売した。 イイ号製品,ロ号製品及びハ号製品は,互いに寸法が異なるものの,構成は同一である。 ウ被告製品は,いずれも本件特許発明の構成要件A①から③まで及び⑤並びに構成要件B⑦及び⑧を充足する(構成要件A④及びB⑥の充足性については争いがある。)。 エなお,原告は,被告製品を,後記第3の1【原告の主張】(1)のとおりの構成により特定すべきであると主張し(原告第1準備書面,第2準備書面),被告はこれを争っている。 上記構成に係る原告の主張は,被告製品が本件特許発明の技術的範囲に属することの理由を主張するものである。被告製品が,被告製品に係る別紙各製品目録の記載の条件を満たすことは当事者間に争いはなく, 上記構成に係る原告の主張は,被告製品が本件特許発明の技術的範囲に属することの理由を主張するものである。被告製品が,被告製品に係る別紙各製品目録の記載の条件を満たすことは当事者間に争いはなく,上記目録の記載により,審判の対象ないし訴訟物の特定はできており,上記目録の記載により特定された製品を被告製品として審理がされた。また,上記目録の記載により差止めの対象となる被告製品を特定することにも支障はない。 2 原告の請求原告は,被告に対し,本件特許権に基づき,被告製品の製造・販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに,特許権侵害の不法行為に基づき,2000万円の損害賠償及びこれに対する平成23年10月28日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めている。 3 争点(1) 被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属するか (争点1)(2) 原告の損害 (争点2)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属するか)について【原告の主張】(1)被告製品の構成イ号製品,ロ号製品及びハ号製品に係る別紙各製品目録記載の被告製品は,いずれも次の構成を有する。 a① ケーシングに支持した軸にスペーサを挟んで切断刃取付台を設け,該切断刃取付台の周囲に複数の刃取付部を形成し,該刃取付部に切断刃1の後部に形成した係止部を係止する突出段部を形成し,a② 該突出段部で切断刃1の係止部を係止した状態で該切断刃1に形成した固定ねじ孔2に固定ねじを設けて切断刃1を前記切断刃取付台に固定し,a③ 該切断刃1を固定することにより前記刃取付部の外周が露出しないようにするとともに,該切断刃1の内側側面 断刃1に形成した固定ねじ孔2に固定ねじを設けて切断刃1を前記切断刃取付台に固定し,a③ 該切断刃1を固定することにより前記刃取付部の外周が露出しないようにするとともに,該切断刃1の内側側面を前記スペーサで挟んだ状態にして前記切断刃取付台の側面がほぼ露出しないようにして使用し,a④ 交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ねじ孔2に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃1と密接させ,該押圧部材とともに切断刃1を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換するようにしたa⑤ 剪断式破砕機の切断刃1において,b⑥ 前記切断刃1を前記切断刃取付台に固定する前記固定ねじ孔2の固定段部よりも入口側に,該切断刃1の交換時に前記固定ねじ孔2に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するようにb⑦ 該固定ねじ孔2の内面から半径方向に拡径する輪形凹部3で形成した係合部を具備させたb⑧ 剪断式破砕機の切断刃1。 (2)被告製品の構成要件充足性被告製品は,いずれも本件特許発明の構成要件A①から⑤並びに構成要件B⑥から⑧を全て充足する(構成要件A④,B⑥を除き争いがない。)。 (3)「切断刃交換装置」(構成要件A④,構成要件B⑥)とその「押圧部材」(構成要件A④,構成要件B⑥)の解釈について被告は,「切断刃交換装置」(構成要件A④,構成要件B⑥)とその「押圧部材」(構成要件A④,構成要件B⑥)は,本件特許発明に必要不可欠の構成要素である旨主張する。 しかし,本件特許発明においては,切断刃の係合部が切断刃交換装置の押圧部材に係合するという点は構成要素であるが,「切断刃交換装置」や「押圧部材」自体は構成要素ではない。被告製品の係合部が,「切断刃交換装置」の「押圧部材」に係 断刃の係合部が切断刃交換装置の押圧部材に係合するという点は構成要素であるが,「切断刃交換装置」や「押圧部材」自体は構成要素ではない。被告製品の係合部が,「切断刃交換装置」の「押圧部材」に係合し,取り外すことが可能である以上,構成要件A④及び構成要件B⑥の充足性は妨げられない。 【被告の主張】(1)被告製品の構成イ号製品,ロ号製品及びハ号製品に係る別紙各製品目録記載の被告製品は,いずれも次の構成を有する。 (a)① ケーシングに支持した軸にスペーサを挟んで切断刃取付台を設け,該切断刃取付台の周囲に複数の刃取付部を形成し,該刃取付部に切断刃1の後部に形成した係止部を係止する突出段部を形成し,(a)② 該突出段部で切断刃1の係止部を係止した状態で該切断刃1に形成した固定ねじ孔2に固定ねじを設けて切断刃1を前記切断刃取付台に固定し,(a)③ 該切断刃1を固定することにより前記刃取付部の外周が露出しないようにするとともに,該切断刃1の内側側面を前記スペーサで挟んだ状態にして前記切断刃取付台の側面がほぼ露出しないようにして使用する,(a)⑤ 剪断式破砕機の切断刃において,⒝⑥ 前記切断刃1を前記切断刃取付台に固定する前記固定ねじ孔2の固定段部よりも入口側に,⒝⑦ 該固定ねじ孔2の内面から半径方向に拡径する輪形凹部3で形成した係合部を具備させた⒝⑧ 剪断式破砕機の切断刃1(2)「切断刃交換装置」(構成要件A④,構成要件B⑥)とその「押圧部材」(構成要件A④,構成要件B⑥)の解釈について本件特許発明では,切断刃交換装置及び押圧部材の構成と切断刃の構成を合わせたもの全体が有機的一体として記載されており,「切断刃交換装置」(構成要件A④,構成要件B⑥)とその「押圧部材」(構成要件A④,構成要件B⑥)は 刃交換装置及び押圧部材の構成と切断刃の構成を合わせたもの全体が有機的一体として記載されており,「切断刃交換装置」(構成要件A④,構成要件B⑥)とその「押圧部材」(構成要件A④,構成要件B⑥)は,単なる「剪 断式破砕機の切断刃」の説明として記載されているのではなく,構成要件の一部となっている。 このことは,本件特許の出願経過からもいえる。出願時の特許請求の範囲の記載では,切断刃自体の客観的な構成として記載されていたのが,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」の構成を追加する補正によって拒絶理由を回避し,特許性を認められたのであるから,「切断刃交換装置」とその「押圧部材」は本件特許発明の作用効果に直接関わる特徴的な構成になった。 したがって,本件特許発明の切断刃は,「切断刃交換装置」とその「押圧部材」と組み合わされることを必須の構成要素と解すべきであり,切断刃の構成のみから,それら構成要件の充足性を判断することはできない。 (3)被告製品の充足性被告製品は,「切断刃」であるが,「切断刃交換装置」と共に販売されるわけではなく,本件特許発明の構成要件A④及び構成要件B⑥に相当する構成,特に「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」を有しない。 したがって,被告製品は,構成要件A④及び構成要件B⑥を充足せず,本件特許発明の技術的範囲に属しない。 (4)また,本件特許発明の構成要件A④及び構成要件B⑥が,被告以外の者の行為によって充足され,当該行為と被告の行為とが全体として本件特許発明の全構成要件を充足させるとしても,被告において,納入先がどのような態様で被告製品を交換するかをその製造時に知る由もなく,同人との間で主観的意思の共同はないのであるから,侵害責任を負うことはない。 2 争点2(原告の損害)について【原告の 納入先がどのような態様で被告製品を交換するかをその製造時に知る由もなく,同人との間で主観的意思の共同はないのであるから,侵害責任を負うことはない。 2 争点2(原告の損害)について【原告の主張】被告による本件特許権の侵害により原告が被った損害額は,以下のとおり,562万7600円である(請求の減縮はしていない。)。 (1)被告による被告製品の販売数量及び販売金額は,以下のとおりである(原 告第3準備書面による。なお,後記第4の2(1)のとおり,被告第6準備書面の主張は,誤記と思われる。)。 アイ号製品販売数量84枚販売金額516万6000円(販売先:三重中央開発株式会社)イロ号製品販売数量122枚販売金額566万6000円(販売先:株式会社GE〔96枚〕,三重中央開発株式会社〔26枚〕)ウハ号製品販売数量110枚販売金額526万円(販売先:大栄環境株式会社)合計販売数量316枚販売金額1609万2000円(2)被告製品に係る限界利益の利益率は30%である。 (3)寄与度本件特許発明によれば,切断刃交換装置を使用することにより,効率的かつ安全に切断刃交換作業を行うことができる。顧客らは,このような本件特許発明の技術的価値を理由として被告製品を購入したのであり,価格や納期などの取引条件によって選択したものではない。本件特許発明の実施品でなければ,その購入はあり得なかったのであるから,本件特許発明の寄与度は100%である。このことは,上記顧客らが,被告への発注を止めた後,公知の切断刃ではなく,原告から,本件特許発明の実施品であるピースカッターを購入していること,いずれの顧客も切断刃交換装置を保有していることからも明らかである。 (4)よっ 被告への発注を止めた後,公知の切断刃ではなく,原告から,本件特許発明の実施品であるピースカッターを購入していること,いずれの顧客も切断刃交換装置を保有していることからも明らかである。 (4)よって,被告の販売金額である1609万2000円に,利益率30%を乗じた482万7600円が被告の利益であり,特許法102条2項により,同額が原告の被った損害と推定される。 (5)本件訴訟における相当な弁護士費用は80万円である。 (6)したがって,損害額の合計は,(4)と(5)をあわせた562万7600円である。 【被告の主張】(1)【原告の主張】欄のうち,(1)及び(2)は認め,その余は争う。 (2)寄与度本件特許発明たる切断刃は,切断刃交換装置と共に利用されて初めて技術的な貢献をするものであり,切断刃単体での寄与度は0というほかない。 そもそも,本件特許発明の切断刃は,公知の切断刃の固定ボルト孔の内面に環状凹部溝を付加しただけの物品に過ぎない。いわば公知の切断刃の一部分に極めてありふれた単純な構造の付加を行っただけの物品である。そのため,本件特許発明が寄与した価値は,被告製品全体のうち,せいぜい公知の切断刃の物品に付加された構成による利用価値だけである。しかも,本件特許発明につき,切断刃の取外し時間短縮という作用効果が得られるかは,実際のところは疑わしいし,ハンマーで叩く方が取換え時間は短いとさえいえる。 むしろ,被告製品は,公知の切断刃の代替品としても使用可能であり,そのような切断刃としての機能にこそ主たる価値がある。 また,切断刃の販売価格について,環状凹部溝の有無が切断刃の価格に反映されているといった実態はないし,被告製品について,被告が特に宣伝広告を行うということもなかった。需要者にとって,どこから, また,切断刃の販売価格について,環状凹部溝の有無が切断刃の価格に反映されているといった実態はないし,被告製品について,被告が特に宣伝広告を行うということもなかった。需要者にとって,どこから,どのような切断刃を購入するかは,環状凹部溝の有無ではなく,価格や取引条件などによって適宜選択されるものなのである。 このように本件特許発明は,被告製品の購買動機に影響を与えるものではなく,切断刃交換装置を保有しない者さえ購入しているのであるから(ハ号製品の購入者は切断刃交換装置を保有していない。),需要者の購買動機にほとんど影響を与えていないといえる。 したがって,本件特許発明の寄与度は0というべきであるし,仮にこれがあったとしても,せいぜい5%程度である。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属するか)について被告製品は,本件特許発明の各構成要件を充足し,その技術的範囲に属すると判断する。 構成要件A①から③まで及び⑤並びに構成要件B⑦及び⑧の充足性には争いがないので,以下では,構成要件A④及び構成要件B⑥の充足性を中心に論じることとする。 (1)本件特許発明の内容本件明細書によると,本件特許発明の内容は,次のとおりであると認められる。 ア発明が解決しようとする課題各種被破砕物を破砕する剪断式破砕機の切断刃は,駆動軸に設けられた切断刃取付台に取り付けられる。その際,切断刃は,隣接するスペーサの間に,外側から半径方向にボルト等の固定手段で固定されて取り付けられる(段落【0002】~【0004】)。 ところで,破砕能力を維持するために摩耗した切断刃を交換しなければならないが,種々雑多な被破砕物を長期間破砕していると,切断刃の間や,切断刃とスペーサとの間に被破砕物が付 】~【0004】)。 ところで,破砕能力を維持するために摩耗した切断刃を交換しなければならないが,種々雑多な被破砕物を長期間破砕していると,切断刃の間や,切断刃とスペーサとの間に被破砕物が付着したり,被破砕物中の水分等によって切断刃と切断刃取付台とが錆等によって密着したりする場合がある(段落【0008】【0009】)。 このように切断刃が錆等で切断刃取付台に密着した場合,切断刃を切断刃取付台から分離させるのは非常に困難な作業となる(段落【0010】)。 その上,切断刃取付台の全周を囲うように複数の切断刃が複数のボルトによって取付けられているので,回転方向前側から外そうとすると突出段部が当接して外すことができず,回転方向後側から外そうとすると前部に隣接する切断刃に当接して外すことができないため,切断刃全体をほぼ均等に切断刃取付台の半径方向へ外さなければならない(段落【0011】)。 そこで,本件特許発明は,切断刃が切断刃取付台と強固に密着しても半径方向に効率良く取外すことができる剪断式破砕機の切断刃を提供することを目的とする(段落【0012】)。 イ課題を解決するための手段前記目的を達成するために,本件特許発明は,切断刃の交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ボルト孔に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃と密接させ,該押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換するようにした剪断式破砕機の切断刃において,前記切断刃を前記切断刃取付台に固定する前記固定ボルト孔の固定段部よりも入口側に,該切断刃の交換時に前記固定ボルト孔に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するように該固定ボルト孔の内面から半径方向に拡径する環状凹部で形成した係合部を具備させてい よりも入口側に,該切断刃の交換時に前記固定ボルト孔に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するように該固定ボルト孔の内面から半径方向に拡径する環状凹部で形成した係合部を具備させている。このようにして,押圧部材の滑り止めを図りながら大きな力を作用させて抜くことができるので,切断刃の交換作業を効率良く行うことができる(段落【0014】)。(2)構成要件A④及び構成要件B⑥の充足性ア特許請求の範囲の記載本件特許発明は,「剪断式破砕機の切断刃」(構成要件A④,構成要件B⑥)に係る物の発明であり,「前記切断刃を前記切断刃取付台に固定する前記固定ボルト孔の固定段部よりも入口側に,」(構成要件B⑥)「該固定ボルト孔の内面から半径方向に拡径する環状凹部で形成した係合部を具備」(構成要件B⑦)している。「環状凹部で形成した係合部」は,その文言からして,固定ボルト孔内で環状に形成された凹部のことと解されるが,さらに「該切断刃の交換時に前記固定ボルト孔に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するよう」(構成要件B⑥)な形状でなければならず,そのような形状を備えることで,「切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ボルト孔に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃と密接させ,該押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換」(構成要件A④)できるものと解される。つまり,本件特許発明は,「剪断式破砕機の切断刃」の取外し技術に関するものであり,「切断刃交換装置の押圧部材を切断刃の固定ボルト孔内で拡径させた際,その押圧部材と係合するような」環状の凹部が固定ボルト孔内に形成されていることを特徴とするものといえる。 ここで,「切断刃交換装置」は,「固定ボルト孔」に挿入され,その「押圧部 せた際,その押圧部材と係合するような」環状の凹部が固定ボルト孔内に形成されていることを特徴とするものといえる。 ここで,「切断刃交換装置」は,「固定ボルト孔」に挿入され,その「押圧部材」を拡径させることにより切断刃と密接させられるという形状及び構造を有し,その「押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換」するとの機能を有するものであるが,それ以上の具体的な特定は,特許請求の範囲においてなされていない。 ただし,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」は,上記検討のとおり,「環状凹部」の機能に基づく形状など,あくまで「剪断式破砕機の切断刃」の構成を特定するための記載であり,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」自体が,本件特許発明の構成の一部を成しているわけではないと解される。 イ本件明細書の記載本件特許発明の目的について,「切断刃が切断刃取付台と強固に密着しても半径方向に効率良く取外すことができる剪断式破砕機の切断刃を提供すること」(段落【0013】)とされている。この記載からも,本件特許発明が,「剪断式破砕機の切断刃」に係る物の発明であることは明らかであり,本件明細書には,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」が,本件特許発明の構成の一部を成すことを窺わせるような記載はない。 また,本件特許発明の実施例として,図1(a)が示され,そこには切断刃1に設けられた固定ボルト孔2の内面の軸方向と交差する方向に,半円形の凹状断面の凹溝3が1条形成されている。この記載は,図1(a)の示す位置及び形状を有する凹溝3が,本件特許発明の「環状凹部で形成した係合部」に当たるとともに,かかる構成を備えた切断刃である以上,「交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ボルト孔に挿入して拡径さ 及び形状を有する凹溝3が,本件特許発明の「環状凹部で形成した係合部」に当たるとともに,かかる構成を備えた切断刃である以上,「交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ボルト孔に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃と密接させ,該押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換するようにした」(構成要件A④)及び「前記切断刃を前記切断刃取付台に固定する前記固定ボルト孔の固定段部よりも入口側に,該切断刃の交換時に前記固定ボルト孔に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するように」(構成要件B⑥)を充足することを示している(上記構成の切断刃は,上記係合部と係合する形状を有する切断刃交換装置の押圧部材を用いることを予定しているものの,切断刃交換装置や押圧部材を構成要件としていない)。 【図1】本願発明の第1実施形態を示す切断刃の断面図であり,(a)は1条の凹溝を形成した断面図であり,(b)は2条の凹溝を形成した断面図である。 なお,段落【0050】から【0059】までにかけては,「切断刃交換装置」の構造とその使用方法の説明が記載されている(後記【図9】【図10】参照)。上記記載は,ここで示されるような「切断刃交換装置」の「押圧部材」を固定ボルト孔内で拡径させた際,その押圧部材と係合する環状の凹部を固定ボルト孔内に形成している切断刃が,構成要件A④及び構成要件B⑥を充足することを示しているものに過ぎず(図1(a)の凹溝3が,上記実施例記載の「切断刃交換装置」の「押圧部材」と,上記使用態様で係合することは明らかである。),「切断刃交換装置」や「押圧部材」が本件特許発明の構成の一部であることを示すものではない。 置」の「押圧部材」と,上記使用態様で係合することは明らかである。),「切断刃交換装置」や「押圧部材」が本件特許発明の構成の一部であることを示すものではない。 【図9】本願発明の切断刃を取外す切断刃交換装置の一実施形態を示す図面であり,(a) は分解図,(b) は(a) に示すIX-IX 断面図である。 【図10】図9に示す切断刃交換装置に一実施形態に係る駆動装置を装着した状態の断面図である。 ウ出願経過証拠(乙A1~6)によれば,本件特許の特許請求の範囲(請求項1項)は,出願当初,「ケーシングに支持した軸にスペーサを挟んで切断刃取付台を設け,該切断刃取付台の周囲に複数の刃取付部を形成し,該刃取付部に切断刃の後部に形成した係止部を係止する突出段部を形成し,該突出段部で切断刃の係止部を係止した状態で該切断刃に形成した固定ボルト孔に固定ボルトを設けて切断刃を前記切断刃取付台に固定し,該切断刃を固定することにより前記刃取付部の外周が露出しないようにするとともに,該切断刃の内側側面を前記スペーサで挟んだ状態にして前記切断刃取付台の側面がほぼ露出しないようにした剪断式破砕機の切断刃において,前記切断刃の係止部と略平行に切断刃取外孔を設け,該切断刃取外孔の内面に,該切断刃取外孔の軸方向に滑り止め機能を備えた係合部を設けた剪断式破砕機の切断刃。」であったが,進歩性欠如を理由とする拒絶理由通知を受け,本件特許発明のとおりに補正されたことが認められる。すなわち,当初「切断刃取外孔」としていたものを「固定ボルト孔」に,「該切断刃取外孔の軸方向に滑り止め機能を備えた係合部」との構成を「固定ボルト孔の内面から半径方向に拡径する環状凹部で形成 められる。すなわち,当初「切断刃取外孔」としていたものを「固定ボルト孔」に,「該切断刃取外孔の軸方向に滑り止め機能を備えた係合部」との構成を「固定ボルト孔の内面から半径方向に拡径する環状凹部で形成した係合部」にそれぞれ限定した上,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」との係合関係によって,「環状凹部で形成した係合部」をさらに特定するなどの補正がされたものと認められる。 この点,被告は,上記補正について,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」を本件特許発明の構成の一部とするものであり,そのことによって無効理由を回避したものである旨主張する。 しかし,補正後の特許請求の範囲の文言解釈は,前記アのとおりであり,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」自体が,本件特許発明の構成の一部をなすとは解されない。また,上記補正は,「係合部」の機能から,その位置や形状を限定することで進歩性を根拠付けたものと解されるところ,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」を発明の構成に取り込むことで,無効理由を回避したわけではない。 したがって,被告の上記主張は採用できない。 エ構成要件A④と構成要件B⑥の解釈以上より,本件特許発明は,「剪断式破砕機の切断刃」に係る物の発明であり,その固定ボルト孔の内面で環状に形成されている凹部(半径方向に拡径している)を備えるものであるが,その環状の凹部が,本件明細書の段落【0050】から【0059】までに記載されているような切断刃交換装置の押圧部材を固定ボルト孔内で拡径させた際,その押圧部材と係合するものであれば,構成要件A④及び構成要件B⑥を充足することになると解され,本件明細書の図1(a)中の「凹溝3」は,これに当たるものである。 一方,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」は,「剪断式破砕機 れば,構成要件A④及び構成要件B⑥を充足することになると解され,本件明細書の図1(a)中の「凹溝3」は,これに当たるものである。 一方,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」は,「剪断式破砕機の切断刃」の構成を特定するための記載であり,「切断刃交換装置」及びその「押圧部材」自体が,本件特許発明の構成の一部を成すという被告の主張は採用できない。 オ被告製品の構成と充足性の判断(ア)被告製品の構成被告製品が別紙イ号製品目録,別紙ロ号製品及び別紙ハ号製品目録に図面に記載のとおりであることに加え,以下の構成を有することは当事者間に争いがない。 a①(⒜①)ケーシングに支持した軸にスペーサを挟んで切断刃取付台を設け,該切断刃取付台の周囲に複数の刃取付部を形成し,該刃取付部に切断刃1の後部に形成した係止部を係止する突出段部を形成し,a②(⒜②)該突出段部で切断刃1の係止部を係止した状態で該切断刃1に形成した固定ねじ孔2に固定ねじを設けて切断刃1を前記切断刃取付台に固定し,a③(⒜③)該切断刃1を固定することにより前記刃取付部の外周が露出しないようにするとともに,該切断刃1の内側側面を前記スペーサで挟んだ状態にして前記切断刃取付台の側面がほぼ露出しないようにして使用する,a⑤(⒜⑤)剪断式破砕機の切断刃において,b⑥-1(⒝⑥)前記切断刃1を前記切断刃取付台に固定する前記固定ねじ孔2の固定段部よりも入口側に, b⑦(⒝⑦)該固定ねじ孔2の内面から半径方向に拡径する輪形凹部3で形成した係合部を具備させたb⑧(⒝⑧)剪断式破砕機の切断刃1(イ)構成要件A①,②,③,⑤,構成要件B⑦,⑧についてまた,前記(ア)の構成を有する被告製品が 径する輪形凹部3で形成した係合部を具備させたb⑧(⒝⑧)剪断式破砕機の切断刃1(イ)構成要件A①,②,③,⑤,構成要件B⑦,⑧についてまた,前記(ア)の構成を有する被告製品が,本件特許発明の構成要件A①から③まで及び⑤並びに構成要件B⑦及び⑧を充足することも当事者間に争いがない(被告製品の構成a①,②,③,⑤は,それぞれ構成要件A①,②,③,⑤に相当し,被告製品の構成b⑦,⑧は,それぞれ構成要件B⑦,⑧に相当する。)。 (ウ)構成要件A④,B⑥について被告製品は,前記(ア)のとおりの構成を有しており,これによると,被告製品は,切断刃1に設けられた固定ねじ孔2(ボルト孔2)の内面の半径方向(軸方向と交差する方向)に,拡径する輪形凹部3で形成した係合部(半円形の凹状断面の凹溝3)が形成されている。 上記特徴を有する輪形凹部3は,本件特許発明の実施例である図1(a)中の「凹溝3」そのものであるが,前記(2)イで述べたとおり,このような構成を備えた切断刃である以上,「交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ねじ孔(ボルト孔)に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃1と密接させ,該押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換するようにした」(構成a④),「前記切断刃1を前記切断刃取付台に固定する前記固定ねじ孔2(ボルト孔)の固定段部よりも入口側に,」(構成b⑥-1)及び「該切断刃1の交換時に前記固定ねじ孔2(ボルト孔)に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するように」(構成b⑥-2)を備えるものといえる(被告製品の「切断刃1」「固定ねじ孔2」「輪形凹部3」は,それぞれ本件特許発明の「剪断式破砕機の切断刃」「固定ボルト孔」「環状凹部」に当たる。)。 し に」(構成b⑥-2)を備えるものといえる(被告製品の「切断刃1」「固定ねじ孔2」「輪形凹部3」は,それぞれ本件特許発明の「剪断式破砕機の切断刃」「固定ボルト孔」「環状凹部」に当たる。)。 したがって,被告製品は,「交換時には切断刃交換装置の押圧部材を前記固定ボルト孔に挿入して拡径させることにより該押圧部材を切断刃と密接させ,該押圧部材とともに切断刃を一体的に前記切断刃取付台から半径方向に取外して交換するようにした」(構成要件A④)及び「前記切断刃を前記切断刃取付台に固定する前記固定ボルト孔の固定段部よりも入口側に,該切断刃の交換時に前記固定ボルト孔に挿入して拡径させる前記切断刃交換装置の押圧部材が係合するように」(構成要件B⑥)を充足する構成といえる。 (3)小括したがって,被告製品は,本件特許発明の構成要件を全て充足し,その技術的範囲に属する。 2 争点2(原告の損害)について(1)被告が被告製品の販売によって得た利益本件特許の設定登録がされた平成20年10月31日以降,被告が販売した被告製品の数量及び販売金額並びに各販売先は,以下のとおりである(争いのない事実。 なお,被告第6準備書面で開示されたイ号製品とロ号製品の販売数量と販売金額は,寸法と値段を比較すると,お互いを取り違えたものと解される。)。 アイ号製品販売数量84枚販売金額516万6000円(販売先:三重中央開発株式会社)イロ号製品販売数量122枚販売金額566万6000円(販売先:株式会社GE〔96枚〕,三重中央開発株式会社〔26枚〕)ウハ号製品販売数量110枚販売金額526万円(販売先:大栄環境株式会社)合計販売数量316枚販売金額1609万2000円また, 央開発株式会社〔26枚〕)ウハ号製品販売数量110枚販売金額526万円(販売先:大栄環境株式会社)合計販売数量316枚販売金額1609万2000円また,被告製品に係る限界利益の利益率は30%である(争いのない事実)。 よって,被告が本件特許権の侵害行為たる被告製品の販売によって得た利益は,482万7600円である。 [計算式]16,092,000×0.3=4,827,600(2)寄与度減額の可否特許法102条2項により,特許権を侵害した者がその侵害行為により利益を受けているときは,その利益の額が特許権者の受けた損害額と推定されるが,特許発明の実施が被告製品の売上げに寄与した度合によっては,上記損害額の推定の全部又は一部が覆滅されるものと解される。 被告は,本件特許発明の切断刃は,交換装置と共に利用されて初めて技術的な貢献をするものであり,切断刃自体は,公知の切断刃の一部分に極めてありふれた単純な構造の付加を行っただけの物品であるから,本件特許発明は,被告製品全体のうち,せいぜい公知の切断刃の物品に付加された構成による利用価値を高めるだけであり,被告製品の購買動機に影響を与えるものではないと主張する。 確かに,被告製品は,剪断式破砕機用切断刃であり,対象物を切断することを目的とするが,本件特許発明は,切断刃の取外し作業の効率性を高めるものであり,切断の機能自体に関わるものではない。 しかし,被告製品のような分割式の切断刃自体は公知のものであり(乙B1,本件明細書段落【0004】),本件特許発明の実施品たる構成を備え,切断刃の取外し作業の効率性を高めている点を除き,格別の特徴を有するわけではないのであるから,本件特許発明の実施品であることこそが被告製品にとって最も重 04】),本件特許発明の実施品たる構成を備え,切断刃の取外し作業の効率性を高めている点を除き,格別の特徴を有するわけではないのであるから,本件特許発明の実施品であることこそが被告製品にとって最も重要な差別化要因であったといえる。現に証拠(甲5~11,乙A29)及び弁論の全趣旨によれば,被告から被告製品を購入した顧客らは,被告製品の「輪形凹部3で形成した係合部」と係合する切断刃交換装置を保有しており,被告製品が本件特許発明の実施品であるからこそ発注,購入したものと認められる。 したがって,本件特許発明の実施が被告製品の売上げに寄与した度合は,むしろ大きいというべきであって,損害額の推定の全部又は一部が覆滅されるべき事情があったとは認められない。 なお,被告製品を購入した大栄環境株式会社の担当者は,切断刃交換装置を保有しておらず,ハンマーでたたいて切断刃の取り外しを行っていると述べる(乙A30)。しかし,前記1(2)のとおり,被告製品の構成を有する以上,本件特許発明の技術的範囲に属すると認められるところ,被告は,いずれも顧客から指示された仕様に従って被告製品を製造,販売したことが認められる。また,このような事情及び証拠(甲10,11)によれば,大栄環境株式会社は,原告の関連会社から切断刃交換装置を購入していたことも認められ,他にこの認定を妨げるに足りる証拠はない。そのため,ハンマーでたたいて切断刃の取り外しを行っているという上記担当者の陳述内容が真実であったとしても,損害額の推定の全部又は一部が覆滅されるべき事情とすることはできない。 また,被告の担当者は,被告製品の製造当時,「輪形凹部3で形成した係合部」を備えることの技術的意義を理解しておらず,ただ顧客からの指示どおりに製図及び製作を行ったと述べるが(乙A29), ない。 また,被告の担当者は,被告製品の製造当時,「輪形凹部3で形成した係合部」を備えることの技術的意義を理解しておらず,ただ顧客からの指示どおりに製図及び製作を行ったと述べるが(乙A29),そのような事情は,原告に対して賠償すべき損害額を減額する理由にはならない。 したがって,本件特許発明の寄与度が小さいことを理由に損害額が減額されるべきである旨の被告の主張は採用できない。 (3)弁護士費用本件における諸般の事情を考慮すると,本件特許権侵害と因果関係のある原告の弁護士費用は50万円であり,これを損害と認めるのが相当である。 (4)小括以上より,原告が本件特許権の侵害によって被った損害額は,532万7600円である。 [計算式]4,827,600+500,000=5,327,600 3 差止請求について被告は,被告製品の製造,販売を現時点では行っていない旨主張するが,本件の経過などに照らせば,被告がその製造,販売を行うおそれはなお否定できないため,被告製品の製造・販売等の差止め及び廃棄を求める請求には理由がある。 4 結論以上の次第で,原告らの請求は,主文の限度で理由があるからこれらを認容し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官山田陽三 裁判官松川充康 裁判官西田昌吾別紙イ号製品目録以下の図面と構成の剪断式破砕機用切断刃 1 図面 2 図面の説明(a)はイ号製品の上面図である。 (b)はイ号製品のX方向断面 昌吾 別紙イ号製品目録以下の図面と構成の剪断式破砕機用切断刃 1 図面 2 図面の説明(a)はイ号製品の上面図である。(b)はイ号製品のX方向断面図である。(c)はイ号製品の底面図である。 3 イ号製品の寸法カッター厚さ(図(a)の縦方向)約75㎜,長さ(図(a)の横方向)約323㎜,高さ(図(b)の縦方向)約126㎜ 4 イ号製品の構成切断刃取付台に固定する固定ねじ穴2の底部よりも入口側に,輪形凹部3で形成した係合部を具備していて,該輪形凹部3は,固定ねじ穴2の内面から半径方向に拡径する剪断式破砕機の切断刃1。 別紙ロ号製品目録以下の図面と構成の剪断式破砕機用切断刃 1 図面 2 図面の説明(a)はロ号製品の上面図である。(b)はロ号製品のX方向断面図である。(c)はロ号製品の底面図である。 3 ロ号製品の寸法カッター厚さ(図(a)の縦方向)約75㎜,長さ(図(a)の横方向)約267㎜,高さ(図(b)の縦方向)約110.5㎜ 4 ロ号製品の構成イ号製品と同じ 別紙ハ号製品目録以下の図面と構成の剪断式破砕機用切断刃 1 図面 2 図面の説明(a)はハ号製品の上面図である。(b)はハ号製品のX方向断面図である。(c)はハ号製品の底面図である。 3 ハ号製品の寸法カッター厚さ(図(a)の縦方向)約75㎜,長さ(図(a)の横方向)約267㎜,高さ(図(b)の縦方向)約126㎜ 4 ハ号製品の構成イ号製品と同じ 長さ(図(a)の横方向)約267㎜,高さ(図(b)の縦方向)約126㎜ ハ号製品の構成イ号製品と同じ
▼ クリックして全文を表示