平成30(ワ)521 労働契約法20条違反による損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年3月16日 津地方裁判所
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判決文本文38,845 文字)

判決当事者の表示別紙当事者目録のとおり(以下、当事者の表記は別紙当事者目録記載の番号で示す。) 主文 1 被告は、別紙「一覧表(認容額)」の「氏名」欄記載の各原告(ただし、原告 2、4ないし7、10、12、13、16ないし18、21、26、27、31、33ないし35、38、42、44、45、47ないし49、51ないし54、56及び321-1を除く。)に対し、対応する同表の「小計1」欄記載の各金員及びうち各原告に対応する別紙1ないし59の「合計」欄記載の各金員に対する「支払日」欄記載の各日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は、別紙「一覧表(認容額)」の「氏名」欄記載の各原告に対し、対応する同表の「小計2」欄記載の各金員及びこれに対する令和2年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用はこれを10分し、その9を原告らの負担とし、その余は被告の負担 とする。 5 この判決は、1項及び2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 (扶養手当及び通勤手当について) 被告は、別紙「一覧表(請求額)」の「氏名」欄記載の各原告(ただし、原告番号53を除く。)に対し、対応する同表の「小計1」欄記載の各金員及びこれに対する各原告に対応する別紙1ないし59の「合計」欄記載の各金員に対する「支払日」欄記載の各日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 (リフレッシュ休暇について) 被告は、別紙「一覧表(請求額)」の「氏名」欄記載の各原告(ただし、原告 番号5、13、20、22、25、43、44及び55を除く。)に対し、対 2 (リフレッシュ休暇について) 被告は、別紙「一覧表(請求額)」の「氏名」欄記載の各原告(ただし、原告 番号5、13、20、22、25、43、44及び55を除く。)に対し、対応する同表の「リフレッシュ休暇」欄記載の各金員及びこれに対する令和2年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 (賃金格差、年次有給休暇、特別休暇及び福利厚生について)被告は、原告ら各自に対し、それぞれ165万円及びこれに対する令和2年3 月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 (賞与について)⑴ 主位的請求被告は、別紙60「賞与不払損害一覧表(主位的)」の「氏名」欄記載の各原告に対し、対応する同表の「合計額」欄記載の各金員及びこれに対する令和 元年12月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 予備的請求(原告48ないし57及び321-3を除く)被告は、別紙61「不払賞与一覧表(予備的)」の「氏名」欄記載の各原告に対し、対応する同表の「合計額」欄記載の各金員及びこれに対する令和元年12月11日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、被告と期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結して勤務していた原告らが、期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している労働者(以下「正社員」という。)と原告らとの間で、通勤手当、扶養手当、リフレッシュ休暇、賞与及び賃金、年次有給休暇(日 数及び半日休暇の可否)、特別休暇及び福利厚生等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったと主張し、 年次有給休暇(日 数及び半日休暇の可否)、特別休暇及び福利厚生等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったと主張し、被告に対し、①不法行為に基づき、別紙「一覧表(請求額)」の各原告に対応する「小計1」及び「リフレッシュ休暇」欄記載の損害賠償金並びに各165万円の損害賠償金及びこれらに対する遅延損害金(うち別紙 「一覧表」の各原告に対応する「小計1」欄記載の損害賠償金については別紙1 ないし59の「支払日」欄記載の各日から各支払済みまで、うち別紙「一覧表(請求額)」の「リフレッシュ休暇」欄記載の損害賠償金については令和2年3月31日から支払済みまで、うち165万円については同日から支払済みまで、平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による。)の支払を求めるとともに、②原告らは、被告との当初の労働契約締結時から雇用区分の中に おける有期雇用契約社員ではなく準社員であったのに賞与が支払われなかったとして、主位的に、不法行為に基づき別紙60「賞与不払損害一覧表(主位的)」の「合計欄」記載の損害賠償金及びこれに対する令和元年12月10日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を求め、予備的に、準社員としての地位に基づく賞与支払請求権に基づき別紙61「不払賞与一覧表(予備的)」の「合計 欄」記載の賞与及びこれに対する同月11日から支払済みまで平成29年法律第45号による改正前の商法所定の年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原告ら60名の請求総額(訴額)は、最終的な訴え変更後において2億8971万6023円とされている。 2 前提事実(争いがない事実、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により 事案である。 原告ら60名の請求総額(訴額)は、最終的な訴え変更後において2億8971万6023円とされている。 2 前提事実(争いがない事実、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)⑴ 当事者等ア被告は、電気機器用品等の製造、加工及び販売等を目的とする株式会社である。被告には、日本国内及び海外各地に事業拠点があり、三重県亀山市に ある亀山事業所は、半導体材料、回路材料及び光学フィルムの製造拠点である。亀山事業所の主な職員の概数は、令和3年11月時点において、正社員1122名及び準社員151名である。(甲1、2、乙50、証人a)イ b福祉基金は、被告における福利団体であり、正社員及び準社員らが会員となっている従業員の互助団体である。(甲14、乙50、証人a) ウ原告らの多くは、日系ブラジル人であり、原告5は平成23年9月1日、 原告13及び22は平成22年9月1日、原告20、43及び44は同年11月8日、原告25は平成23年1月11日、原告55は平成22年12月13日に被告と労働契約を締結し、その他の原告らは、平成21年12月31日以前は、被告の子会社であるc株式会社(以下「c」という。)で雇用され、平成22年1月1日以降は、転籍により被告と有期労働契約を締結し、 被告の亀山事業所で働いている。なお、原告55は、平成30年12月末日、被告を退職した。(争いがない、弁論の全趣旨)⑵ 被告における雇用形態等(乙50、証人a、弁論の全趣旨)ア被告の亀山事業所には、無期労働契約を締結している従業員(正社員)と有期労働契約を締結している労働者がおり、後者は、有期雇用契約社員と準 社員に区分されていた。被告は、令和2年4月1日以降、亀山事業所にお 業所には、無期労働契約を締結している従業員(正社員)と有期労働契約を締結している労働者がおり、後者は、有期雇用契約社員と準 社員に区分されていた。被告は、令和2年4月1日以降、亀山事業所において有期雇用契約社員の区分の制度を廃止し、それまで有期雇用契約社員として雇用していた者は、準社員として雇用することとなった。なお、原告らの多くは、cにおいて、短期雇用契約社員として勤務していたことがあるが、この短期雇用契約社員は、有期雇用契約社員と同じ有期労働契約であり、契 約期間が3か月であったほかは、労働条件もほぼ同じであった。 イ正社員は、大卒又は高卒等の入社資格を前提に採用試験を受験し、選考の上採否を決定し、その後の人事管理については事業所単位ではなく全て本社での管理となる。 ウ有期雇用契約社員は、被告の亀山事業所における独自の区分であるが、雇 用期間は原則として6か月であり、人事管理については、亀山事業所において管理していた。有期雇用契約社員については、平成30年12月末日をもって雇用期間の定めを廃止し、上記アのとおり、令和2年4月1日以降、同区分を廃止した。 エ亀山事業所における準社員は、1年以内の雇用期間を定めて採用され、又 は有期雇用契約社員から抜てきされた者であり、現在は雇用期間の定めを廃 止している(以下「無期転換準社員」は雇用期間の定めが廃止されている者を指す。)。 オ原告らのうち、原告52は平成28年7月1日より、原告48、51、54ないし56及び321-3は平成29年7月1日より、原告49、50、53及び57は平成30年7月1日より準社員として雇用され、その余の原 告らは、平成22年1月1日以降、有期雇用契約社員として反復更新を経て雇用され、令和2年4月1日 1日より、原告49、50、53及び57は平成30年7月1日より準社員として雇用され、その余の原 告らは、平成22年1月1日以降、有期雇用契約社員として反復更新を経て雇用され、令和2年4月1日以降は準社員として雇用されている。 ⑶ 被告の会社の部門(乙32、50、証人a、証人d、弁論の全趣旨)ア被告の亀山事業所は、半導体材料、回路材料及び光学フィルムの製造拠点であり、大きくICT(情報通信技術)事業部門と情報機能材料事業部門と に分かれている。この2つの部門は、亀山事業所において、敷地及び建物も別となっている。 イ ICT事業部門は、主に回路材料としてハードディスクの読み取り・書き込みを担う回路基板の製造・検査を行う。主な作業工程は、金属材料に特殊な薬液を塗布したり、薬液で溶かしたりする作業を繰り返し行うことで積層 させ、回路配線を形成した金属部品の製造及び検査をする。製造に用いる装置は比較的小型で生産速度は遅く、一人で複数の装置を担当して製造する。 ウ情報機能材料事業部門は、主に液晶ディスプレイ用の偏光板(光学フィルム)、スマートフォンやタブレット用の透明導電性フィルムの製造を行う。 主な作業工程は、材料に薬剤又は金属で表面に特殊な加工を施しこれを貼り 合わせて特殊なフィルム(幅1m超、長さ4000m)を製造する。このフィルムを製造するため、製造に用いる装置は非常に大型かつ生産速度は速く、一つの装置を複数人が分業で取り扱っている。 エ原告らは、原告49、50、53及び57を除き、ICT事業部門に所属しており、原告49、50、53及び57は情報機能材料事業部門に所属し ている。原告49、50、53及び57は、有期雇用契約社員から準社員に なった後でICT事業部門から情報機 に所属しており、原告49、50、53及び57は情報機能材料事業部門に所属し ている。原告49、50、53及び57は、有期雇用契約社員から準社員に なった後でICT事業部門から情報機能材料事業部門へ異動した。 ⑷ 就業規則等の定め被告において、正社員と有期雇用契約社員及び準社員に適用される就業規則は異なり、それぞれ以下のとおりである。 ア正社員就業規則(甲6) 6条(選考)会社は、入社を希望する者の中から選考試験に合格し所定の手続を経た者を正社員として雇い入れる。 8条(異動)会社は、業務の都合により必要があるとき、社員に転勤・派遣・出向・ 転属等を命ずることがある。この場合、社員は正当な理由なくこれを拒むことはできない。 34条(就業時間)社員の1日の所定就業時間は8時間45分とし、労働時間7時間55分休憩時間50分とする。 61条(年次有給休暇)1項社員は、次のとおり年次有給休暇をとることができる。 1号入社初年度の者第4項のとおり2号 〃2年目の者 17日3号 〃3年目の者 18日 4号 〃4年目の者 19日5号 〃5年目の者 20日2項、3項 (略)4項初年度の休暇日数は次のとおりとする。 1号 4月1日から9月30日までの入社の者…16日 2号 10月1日から3月31日までの入社の者…8日 5項本条の休暇はその日数の範囲内において1日、もしくは半日単位で分割し、または連続してとることができる。(以下略) 62条(特 から3月31日までの入社の者…8日 5項本条の休暇はその日数の範囲内において1日、もしくは半日単位で分割し、または連続してとることができる。(以下略) 62条(特別休暇)社員が次の各号の一に該当するときは、それぞれ次の期間、特別休暇をとることができる。 1号本人が結婚するとき 7日以内2号子女(養子女を含む)が結婚するとき 3日以内3号兄弟姉妹(義兄弟姉妹を含む)が結婚するとき 1日4号配偶者が出産するとき 3日以内5号父母(養父母及び同居の配偶者の父母を含む)配偶者または子女 (養子女を含む)の喪に服するとき 7日以内6号祖父母(養家または婚家先の祖父母を含む)または兄弟姉妹の喪に服するとき 3日以内7号配偶者の父母の喪に服するとき 3日以内8号義兄弟姉妹の喪に服するとき 2日以内 9号孫の喪に服するとき 1日10号伝染病予防のため就業を禁止されたとき(本人が罹病したときは除く) 必要な日数11号天災事変その他本人の責に帰することのできない災害によって就業できないとき必要な日数 12号証人・鑑定人・参考人・裁判員(裁判員候補者・補充裁判員を含む)として裁判所に出頭するとき、またはこれに準ずるとき必要な日数13号会社の許可を得て公共団体その他の公職についた者が公務を執行するとき必要な日数 14号公共の福祉または社会秩序のため、公の義務を履行する場合は 前各号に準ずる15号その他前各号に準じ、会社が認めた場合はその期間イ正社員賃金 14号公共の福祉または社会秩序のため、公の義務を履行する場合は 前各号に準ずる15号その他前各号に準じ、会社が認めた場合はその期間イ正社員賃金規則(甲7) 5条(基本給)1項基本給は実力等級に対応する賃金で、各人の成果に応じて月額で 定める。 2項 (略) 11条(扶養手当)1項扶養手当は、扶養家族を有する世帯主たる社員に対し、〈別表4〉のとおり月額で支給する。 〈別表4〉扶養手当扶養家族区分金額1.扶養義務のある子供1人につき10000円2.扶養義務のある重度障害者1人につき10000円2項扶養手当は扶養の事実にもとづき、手当支給の対象となった日の属する月から、扶養の対象でなくなった日の属する月まで、月額で支給する。ただし、扶養の事実とは所得税法の扶養親族であることをさす。 19条(通勤手当)1項会社は自宅から最寄駅または駅から会社事業所、もしくは自宅から会社事業所までの実際の通勤距離が2km以上の社員で、その区間について会社または公共の交通機関を利用しないで通勤する社員に対し、通勤手当を〈別表11〉のとおり月額で支給する。ただ し、2km未満でも自転車などで通勤し、外部業者に預ける必要のある場合は、2km以上5km未満に準じて扱う。 〈別表11〉 通勤距離金額通勤距離金額2km以上5km未満3600円25km以上26km未満13700円5〃6〃4200円26〃27〃14200円6〃7〃4500円27〃28〃14700円7〃8〃 m未満3600円25km以上26km未満13700円5〃6〃4200円26〃27〃14200円6〃7〃4500円27〃28〃14700円7〃8〃4900円28〃29〃15100円8〃9〃5200円29〃30〃15600円9〃10〃5600円30〃31〃16100円10〃11〃5900円31〃32〃16400円11〃12〃6300円32〃33〃16700円12〃13〃6600円33〃34〃17100円13〃14〃7200円34〃35〃17400円14〃15〃7800円35〃36〃17700円15〃16〃8400円36〃37〃18000円16〃17〃8900円37〃38〃18300円17〃18〃9500円38〃39〃18700円18〃19〃10100円39〃40〃19000円19〃20〃10700円40〃41〃19300円20〃21〃11300円41〃42〃19600円21〃22〃11800円42〃43〃19900円22〃23〃12300円43〃44〃20300円23〃24〃12700円44〃45〃20600円24〃25〃13200円45km以上20900円2項 (略) 37条(昇給) 会社は定期昇給およびその他の昇給を行う。ただし、会社の業績により行わないことがある。 38条(定期昇給)1項会社は定期昇給を毎年1回4月1日付で行う。 2項定期昇給は、基本給の の昇給を行う。ただし、会社の業績により行わないことがある。 38条(定期昇給)1項会社は定期昇給を毎年1回4月1日付で行う。 2項定期昇給は、基本給の昇給を実力等級毎の基本給レンジの中で行 う。 39条(基本給の昇給)1項会社は基本給の昇給を、有資格者を対象に業績評価、行動評価にもとづく昇給評価により行う。ただし、前年度入社の定期採用者については昇給評価は行わない。 2項以下(略) 43条(賞与の支給)会社は社員に対し、賞与を年2回、上半期および下半期に支給する。 45条(支給方法)会社は前条の有資格者を対象とし、各人の出勤率および業績評価による 賞与評価その他により賞与を決定する。ただし、定期採用者の初年度については評価を行わない。 49条(賞与額)会社は賞与支給基準を別に定め、賞与額および支給日等の細目についてはその都度決定する。 ウ b福祉基金規約(甲14)7条(会員)1項本会の会員は次の範囲において会社および参加会社に入社したすべての者とする。 ① 役員(但し、非常勤役員は含まない) ② 常任理事 ③ 正社員④ 嘱託社員⑤ 準社員2項参加会社については参加会社の要員区分に応じて審議し、その都度理事会で決定する。 エ有期雇用契約社員就業規則(平成23年11月3日制定、同年10月1日施行とするもの。甲9) 2条(有期雇用契約社員の定義)この規則において有期雇用契約社員とは、業 エ有期雇用契約社員就業規則(平成23年11月3日制定、同年10月1日施行とするもの。甲9) 2条(有期雇用契約社員の定義)この規則において有期雇用契約社員とは、業務上の都合により6ヵ月以内の期間を定めて雇用された者をいう。 5条(契約期間)1項有期雇用契約社員の契約期間は6ヵ月以内とし、契約の更新は、最長60歳に達した日の翌日の属する月の末日までとする。 2項会社は業務の都合により、特に必要があると認めた者については、前項の定めに関わらず、継続契約をすることができる。 6条(異動)会社は、業務の都合により必要があるとき、有期雇用契約社員に転勤・派遣・出向・転属等を命ずることがある。この場合、有期雇用契約社員は正当な理由なくこれを拒むことはできない。 21条(就業時間) 1項有期雇用契約社員の1日の所定就業時間は8時間45分とし、労働時間7時間55分、休憩時間50分とする。ただし、業務上その他の都合によりやむを得ない場合は、4週間を平均し、1週の労働時間が39時間35分を超えない範囲内で、1日の所定労働時間を変更することがある。 2項以下(略) 35条(年次有給休暇)1項有期雇用契約社員は、次の日数の範囲内で有給休暇をとることができる。 1号入社6ヵ月未満:0日2号入社6ヵ月経過時点:10日 3号入社6ヵ月経過後の最初の付与年度:11日4号付与2年目:12日以降1年を経過するごとに2日を加算、ただし20日を限度とする。 3号入社6ヵ月経過後の最初の付与年度:11日4号付与2年目:12日以降1年を経過するごとに2日を加算、ただし20日を限度とする。 2項ないし4項(略) 5項本条の休暇は、その日数の範囲内で1日または連続してとることができる。 6項 (略) 46条(時間給)賃金は時間給とし、地域の時給水準、業務内容、技能等により個別に定 める。なお、その金額については労働契約書において明示する。 オ準社員就業規則(甲8) 2条(準社員の定義)この規則において準社員とは、業務上の都合により1ヵ年以下の期間を定めて雇用された者をいう。 5条(契約期間)1項準社員の契約期間は1ヵ年以下とし、契約の更新は、最長60歳に達した日の翌日の属する月の末日までとする。 2項会社は業務の都合により、特に必要があると認めた者については、前項の定めに関わらず、継続契約をすることができる。 7条(異動) 会社は、業務の都合により必要があるとき、準社員に転勤・派遣・出向・転属等を命ずることがある。この場合、準社員は正当な理由なくこれを拒むことはできない。 24条(就業時間)1項準社員の1日の所定就業時間は8時間45分とし、労働時間7時 間55分、休憩時間50分とする。ただし、業務上その他の都合によりやむを得ない場合は、4週間を平均し、1週の労働時間が39時間35分を超えない範囲内で、1日の所定労働時間を変更することがある。 2項、3項 (略) し、業務上その他の都合によりやむを得ない場合は、4週間を平均し、1週の労働時間が39時間35分を超えない範囲内で、1日の所定労働時間を変更することがある。 2項、3項 (略) 32条(年次有給休暇)1項準社員は、次の日数の範囲内で有給休暇をとることができる。 1号入社6ヵ月未満:0日2号入社6ヵ月経過時点:10日3号入社6ヵ月経過後の最初の付与年度:11日 4号付与2年目:12日以降1年を経過するごとに2日を加算、ただし20日を限度とする。 2項ないし4項(略)5項本条の休暇は、その日数の範囲内で1日もしくは半日単位で分割、 または連続してとることができる。 6項 (略) 33条(特別休暇)準社員は次の日数の範囲内で、特別休暇をとることができる。 1号本人が結婚するとき:5日 2号子女(養子を含む)が結婚するとき:2日 3号兄弟姉妹(同居の義兄弟姉妹を含む)が結婚するとき:1日4号配偶者が出産するとき:2日5号父母、配偶者または子女(養子女を含む)の喪に服するとき:5日6号祖父母(養家または婚家先の祖父母を含む)または兄弟姉妹(同 居の義兄弟姉妹を含む)の喪に服するとき:2日7号配偶者の父母の喪に服するとき:2日8号伝染病のため就業を禁止されたとき(本人が罹病したときは除く):必要な日数9号天災事変その他本人の責に帰することのできない災害によって 就業できないと 2日8号伝染病のため就業を禁止されたとき(本人が罹病したときは除く):必要な日数9号天災事変その他本人の責に帰することのできない災害によって 就業できないとき:必要な日数10号証人・鑑定人・参考人裁判員(裁判員候補者・補充裁判員を含む)として裁判所に出頭するとき、またはこれに準ずるとき:必要な日数11号選挙権その他公民としての権利を行使し、または会社の許可を 得て公共団体その他の公職についた者が公務を執行するとき:必要な日数12号公共の福祉または社会秩序のため、公の義務を履行する場合は前各号に準ずる13号その他前各号に準じ、会社が認めた場合はその期間 39条(基本給)1項基本給は、年齢、勤続、技能等の要素を基準として月額で決定する。 2項 (略) 45条(通勤手当) 1項会社は自宅から最寄駅、または駅から会社事業場、もしくは自宅 から会社事業場までの実際の通勤距離が2km以上の者で、その区間、会社または公共の交通機関を利用しないで通勤する準社員に対して通勤手当を月額で支給する。ただし、2km未満の者でも自転車などで通勤し、外部業者に預ける必要がある場合には、2km以上5km未満に準じて扱う。通勤手当は、所定の手続きを経た願い 出によって支給を開始し、通勤手当の支給要件を欠いたときはその事実により支給を停止する。手当は、手当支給となった日の属する月から停止となった日の属する月まで月額で支給する。 2項 (略)3項手当額およびその取り扱いについては正社員支給基準を適用す る。 55条(昇給・一 から停止となった日の属する月まで月額で支給する。 2項 (略)3項手当額およびその取り扱いについては正社員支給基準を適用す る。 55条(昇給・一時金)昇給、一時金に関する事項については、別途定める。 ⑸ 正社員と有期雇用契約社員及び準社員との待遇面の違いア上記⑷の就業規則等の定めによれば、通勤手当は正社員及び準社員に、扶 養手当は正社員のみに、賞与の支給は正社員のみに(準社員には一時金として支払われることがある。)、年次有給休暇は正社員の日数が他の雇用区分より多く、半日休暇の取得は正社員及び準社員にのみ認められている。特別休暇は正社員及び準社員にあるが、正社員の日数は準社員よりも多く定められている。なお、通勤手当は、有期雇用契約社員には支給されていなかったが、 被告は、その代わりに通勤バスによる送迎を行っていた。 (争いがない事実、前提事実⑷)イ被告において、賃金は、正社員及び準社員は月額で支給されていたが、有期雇用契約社員は時給であった。平成22年1月1日から同年12月31日までの間に被告に採用され、製造又は検査業務に従事している正社員の平成 23年から令和元年までの基本給の推移、時給、昇給時価額は別紙63のと おりである。一方で、原告らの基本給の推移は、別紙64のとおりであり、有期雇用契約社員であった者の時給は、平成22年1月1日以降は1370円、平成27年7月1日以降は1410円(cを含めて勤続年数が10年未満の者は1390円)、令和元年7月1日以降は1430円であった。また、原告らのうち、令和元年7月1日より以前に準社員となった者の基本給は別 紙65のとおりであり、昇給については1年あたり月額4000円 1390円)、令和元年7月1日以降は1430円であった。また、原告らのうち、令和元年7月1日より以前に準社員となった者の基本給は別 紙65のとおりであり、昇給については1年あたり月額4000円が多く、月額5000円であっても時給に換算すれば31円程度であった。(争いがない事実、甲30の1~60、乙29、弁論の全趣旨)ウ正社員の賞与は、営業利益の一定割合に正社員が所属する労働組合の組合員数を掛け、同労働組合と被告との協議、景気動向等を考慮したものに、正 社員の1.5か月分の基準内賃金の総額を加えたものを賞与総支給額として決め、その後、個別の正社員について分配し、支給している。また、準社員の一時金は、準社員が所属する上長の評価による査定(15万円~35万円)に基づき、出勤率を考慮した上で年2回支給している。そして、平成22年1月1日から同年12月31日までの間に被告に採用され、製造又は検査業 務に従事している正社員の賞与支給額は別紙66のとおりであり、原告らのうち準社員となった者の一時金の支給額は別紙67のとおりである。なお、被告における支給水準としては、正社員(管理職を含む。)の年間賞与は平均して、多少の前後はあるものの賃金5か月分相当であり、準社員の1回の一時金は、賃金1か月分相当を支給するものとしている。(争いがない事実、甲 24、乙27、30、弁論の全趣旨)エ被告には、正社員に対するリフレッシュ休暇制度は従前から存在していたが、被告は、令和2年6月24日付けで、無期転換準社員リフレッシュ休暇制度を新設した旨案内した。リフレッシュ休暇制度とは、勤続年数が規定の年数に達した社員に対し、休暇及び記念品を支給するものであり、無期転換 準社員リフレッシュ休暇制度は、被告のグループ(cを含む 度を新設した旨案内した。リフレッシュ休暇制度とは、勤続年数が規定の年数に達した社員に対し、休暇及び記念品を支給するものであり、無期転換 準社員リフレッシュ休暇制度は、被告のグループ(cを含む。)社員となった 時点から起算した勤続年数が満30年、20年、10年になった無期転換準社員に対し、以下のとおりの支給をするものである。(甲32)30年勤続 7日間のリフレッシュ休暇(特別休暇)30万円相当の旅行券と2万円相当ディナー券20年勤続 5日間のリフレッシュ休暇(特別休暇) 10万円相当の旅行券と1万5000円のディナー券10年勤続 3日間のリフレッシュ休暇(特別休暇)3万円相当のギフト券オ被告には、b福祉基金が存在し、会員となることによって医療援助、祝金及び弔慰金の受領等の福利厚生サービスを受けることができるが、有期雇用 契約社員は会員になることができなかった。(甲14、弁論の全趣旨)⑹ 現状の正社員と準社員との労働条件の違いの有無(弁論の全趣旨)被告において、賞与と賃金に関する差異は現状も上記⑸のままであるが、有期雇用契約社員が廃止され、準社員は無期転換した。また、その後、通勤手当、扶養手当、特別休暇の有無、リフレッシュ休暇制度、有給休暇の取得可能日数 及び半日取得について、正社員と準社員との間で相違はなくなった。 3 争点⑴ 原告らが当初から準社員であったといえるか(争点⑴)⑵ 労働契約法20条違反の有無(争点⑵)ア原告らと正社員との業務内容等の違い イ通勤手当を支給しないことの不合理性ウ扶養手当を支給しないことの 争点⑴)⑵ 労働契約法20条違反の有無(争点⑵)ア原告らと正社員との業務内容等の違い イ通勤手当を支給しないことの不合理性ウ扶養手当を支給しないことの不合理性エリフレッシュ休暇制度がないことの不合理性オ賞与の不支給その他の大幅な賃金格差の不合理性カ年次有給休暇の半日単位の取得ができないことの不合理性 キ年次有給休暇付与日数が少ないことの不合理性 ク特別休暇がない又は少ないことの不合理性ケ福利厚生に関する違いの不合理性⑶ 原告らの損害(争点⑶) 4 争点に対する当事者の主張⑴ 争点⑴(原告らが当初から準社員であったといえるか) (原告らの主張)ア原告らの多くは、平成22年1月1日、被告と労働契約を締結し、同日時点では締結していなかった原告も遅くとも平成23年9月1日までには被告と労働契約を締結した。この際、被告との労働契約において、労働条件は、有期雇用契約社員就業規則によると定められていたが、この時点においては、 被告に有期雇用契約社員就業規則は存在しなかった。 イ被告の亀山事業場において存在した就業規則は、正社員就業規則と準社員就業規則を合わせた一つの就業規則であり、これは特別の除外規定がない限り原告らにも適用されるから、本件においては、原告らは労働契約締結当時から準社員就業規則が適用される準社員の地位にあった。 ウ被告は、仮に平成22年1月当時には有期雇用契約社員就業規則が存在しなかったとしても、平成23年10月以降は有期雇用契約社員就業規則の適用があると主張するが、これは就業規則の不利益変更にあたるから無効である。また、被告は、当初、平 有期雇用契約社員就業規則が存在しなかったとしても、平成23年10月以降は有期雇用契約社員就業規則の適用があると主張するが、これは就業規則の不利益変更にあたるから無効である。また、被告は、当初、平成22年1月1日時点で有期雇用契約社員就業規則は存在しなかったと認めており、その点は自白が成立している。 (被告の主張)ア否認ないし争う。原告らが被告に転籍した平成22年1月1日時点で、有期雇用契約社員就業規則は有効に存在した。 イまた、仮に存在していなかったとしても、原告らは、これまで被告との長年にわたる団体交渉やその他労使交渉において一度たりとも有期雇用契約 社員である自らの地位を否定したことはないから、原告らは、当時から準社 員になるとの意思はなく、そのような者と被告との間で準社員としての労働契約が締結できるはずもない。また、被告は、原告らとの間で、明確な合意の下で有期雇用契約社員としての労働契約の適用を受けることを認めていたのであり、準社員として労働契約を締結していたわけではない。 ウ cに雇用されていた原告らは、被告に転籍する際、労働条件について従前 のcにおける内容と同じであることを説明され、同意しているはずであり、また、cに雇用されていなかった原告らについても、被告に入社する際に、上記説明と同じ内容を説明された上で承諾しているはずであるから、上記アの有期雇用契約社員就業規則の適用がある。 エ原告らは、平成22年1月1日時点の有期雇用契約社員就業規則の不存在 について自白が成立したとするが、被告は、平成22年1月1日時点で、平成23年11月3日付けの有期雇用契約社員就業規則は制定されていなかったことを認めると主張したにすぎず、それ以前の平成22年1月1日時点での有期雇用契 とするが、被告は、平成22年1月1日時点で、平成23年11月3日付けの有期雇用契約社員就業規則は制定されていなかったことを認めると主張したにすぎず、それ以前の平成22年1月1日時点での有期雇用契約社員就業規則の不存在自体を認めたわけではない。 オ仮に、平成22年1月1日時点で有効な有期雇用契約社員就業規則が存在 しなかったとしても、原告らが準社員としての待遇を受ける権利を有していたのは平成23年9月までであり、賞与に関する損害についても原告らは遅くとも同年12月10日までには損害を知ったはずである。よって、同日から3年後の平成26年12月10日の経過をもって完成した消滅時効を援用する。 ⑵ 争点⑵(労働契約法20条違反の有無)ア原告らと正社員との業務内容等の違い(原告らの主張) 賞与及び賃金の格差について、原告らと比較すべき正社員は、平成21年1月1日から同年12月31日までの間に採用され、製造又は検査業務 に従事する者である。 業務内容については、有期雇用契約社員と準社員(以下「有期雇用契約社員ら」という。)とでは、重なり合う部分があり、業務内容や責任の相違によって両者の待遇が異なる理由が不明である以上、考慮する必要はない。 さらに、被告において、有期雇用契約社員から準社員に抜てきされることはあっても、登用制度としては存在せず、正社員になる途は閉ざされてい た。 (被告の主張) 原告らが比較すべきとする正社員は、原告らの多数が所属するICT事業部門とは別の部門である情報機能材料事業部門に所属している。 被告においては、上記の二つの部門は、製造及び工程が異なり、指揮 命令系統もまったく異なるもの 数が所属するICT事業部門とは別の部門である情報機能材料事業部門に所属している。 被告においては、上記の二つの部門は、製造及び工程が異なり、指揮 命令系統もまったく異なるものであって、従業員の昇給や賞与についても被告における各事業部門の業績が反映される形となることから、そもそも労働条件が異なる。また、情報機能材料事業部門は、ICT事業部門と比べて、一人の作業員のミスに対する責任金額が極めて高額であり、実作業も労働安全衛生上の危険性が高く、技術面、安全に対する感性及びノウハ ウ維持が重要となることから、原則として正社員が担当しており、独自の中途採用制度も行っている。よって、業務内容等及び配置の変更の範囲も異なる。 また、一般に、業務内容において、正社員のみしか担当していないものが多い一方で、有期雇用契約社員らのみが担当しているものはなく、比較 的単純な反復継続業務を正社員とともに担当しているにすぎない。採用や人事管理についても、正社員は本社で一括管理し、採用についても複数の候補者から選抜するが、有期雇用契約社員らは、人事管理は事業所単位でしており、採用についても正社員ほど厳格なものではない。そして、正社員のみ転勤や異動があることからしても全く異なることからすれば、正社 員と有期雇用契約社員らとでは、業務内容等が質的に異なるものである。 イ通勤手当を支給しないことの不合理性(原告らの主張)正社員には、正社員賃金規則で通勤手当が支払われると規定されている一方で、有期雇用契約社員には支払われなかった。被告は、通勤手当の代わりに通勤バスによる送迎をしていたが、原告らはこれに対して不満があったの であるから、これによって通勤手当を支給しないとい る一方で、有期雇用契約社員には支払われなかった。被告は、通勤手当の代わりに通勤バスによる送迎をしていたが、原告らはこれに対して不満があったの であるから、これによって通勤手当を支給しないという理由にはならず、有期雇用契約社員には被告の駐車場の利用すら認められていなかった。そして、通勤手当は、労務提供に要する交通費を支給する趣旨のものであり、労働契約の期間の定めとは関係がないから、この差は不合理である。 (被告の主張) 有期雇用契約社員については、従前、被告が契約しその費用を負担していた管理会社により無償の通勤バスによる送迎が手配されていた。そのため、有期雇用契約社員においても、被告に採用される際、この通勤バスの送迎ルート及び停車場所等を確認した上で、これを利用することにより自身の通勤における負担がないことを確認している。よって、十分な代替措置を採った のであるから、不合理なものではない。 ウ扶養手当を支給しないことの不合理性(原告らの主張)正社員は、正社員賃金規則で扶養義務のある子供又は重度障害者1人につき月1万円の扶養手当が支払われると規定している一方で、有期雇用契約社 員らにはこの手当は支払われなかった。このような扶養家族の有無に応じて支払われる手当は、扶養家族がいることに伴う生活費増加の負担を補助するものであり、労働契約の期間の定めは関係ないから、この差は不合理である。 (被告の主張)扶養手当の趣旨は、正社員は雇用期間の定めはないからなるべく長期間勤 務してもらうことを期待されており、その結果、その長期間において家族関 係の変動による生活費の増加も想定されるため、これをフォローすることにより管理職候補としての役割 べく長期間勤 務してもらうことを期待されており、その結果、その長期間において家族関 係の変動による生活費の増加も想定されるため、これをフォローすることにより管理職候補としての役割を担うべき人材を確保することにある。有期雇用契約社員らは、元々長期雇用が予定されているものではなく、賃金体系も正社員とは別であることや、業務内容等において差異があることからしても不合理ではない。 エリフレッシュ休暇制度がないことの不合理性(原告らの主張)正社員には、リフレッシュ休暇制度があったが、有期雇用契約社員らにはなく、有期雇用契約社員が廃止された後の令和2年6月24日付けで、準社員にリフレッシュ休暇制度を新設する旨案内された。リフレッシュ休暇制度 は、被告における長期の勤続に対する報償の趣旨で設けられたものであり、労働契約の期間の定めとは関係がないから、この差は不合理である。 (被告の主張)リフレッシュ休暇制度は、元々は長期雇用を前提とした正社員を対象に、今後の長期勤続を期待しそのリフレッシュのため付与していたものであり、 期間満了ごとに更新の可否を決定する有期雇用契約社員らとは前提が異なる。また、原告4、10、16、18、24、31、32及び36は、cと通算して勤務年数10年の時点において被告に雇用されていなかった。 オ賞与の不支給その他の大幅な賃金格差の不合理性(原告らの主張) 正社員には、正社員賃金規則によって年2回の賞与支払が保障され、現実にも賃金月額5か月分相当の賞与が支払われており、これを下回ることはなかった一方で、準社員については年2回の一時金支払のみで、その1回の額は賃金月額と同程度のものであった。また、有期雇 障され、現実にも賃金月額5か月分相当の賞与が支払われており、これを下回ることはなかった一方で、準社員については年2回の一時金支払のみで、その1回の額は賃金月額と同程度のものであった。また、有期雇用契約社員については、賞与は原則として支払わないことになっており、実際にも支払われなかった。 このことに加え、正社員と有期雇用契約社員らとの間には基本給に大幅な差 があることは明らかであるが、賞与及び賃金は労働に対する対価であって、正社員と有期雇用契約社員らとの業務の内容等によってその理由を正当化できないから、賞与の不支給及びその他大幅な賃金格差は不合理なものである。 (被告の主張) 賞与は、月給等とは別に支給される一時金としての賃金であり、対象期間中の労務の対価の後払及び従業員の意欲向上等の趣旨がある。そして、被告においては長期雇用を期待し将来の管理職となるべく正社員に対して手厚く支給することにより有能な人材の獲得及び定着を図るという目的がある。 また、賃金の支払については、様々な選択があり、正社員と有期雇用契約社 員らとの業務内容等の差からすれば、賞与の不支給及び賃金格差は不合理なものではない。 カ年次有給休暇の半日単位の取得ができないことの不合理性(原告らの主張)正社員は、正社員就業規則において年次有給休暇を1日又は半日単位で行 使することが認められている一方で、有期雇用契約社員は、有期雇用契約社員就業規則において1日単位の行使しか認められていなかった。年次有給休暇の半日単位の取得を認めることは、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにする趣旨であり、その必要性は労働契約の期間の定めとは関係がないから、この差は不合理である 給休暇の半日単位の取得を認めることは、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにする趣旨であり、その必要性は労働契約の期間の定めとは関係がないから、この差は不合理である。 (被告の主張)有期雇用契約社員は、通勤バスによる出勤及び退勤をしていることから、仮に半日休暇を認めると、通勤バスによる対処ができなくなるため、不合理とはいえない。 キ年次有給休暇付与日数が少ないことの不合理性 (原告らの主張) 正社員は、正社員就業規則において、年次有給休暇付与について、労働基準法で定める水準を大きく上回る付与がされる一方で、有期雇用契約社員らは、同法に定める最低限度の年次有給休暇しか付与されていない。年次有給休暇は、労働者に対し、所定の休日のほかに毎年一定日数の休暇を有給で保障するものであり、その必要性は労働契約の期間の定めとは関係がないから、 この差は不合理である。 (被告の主張)正社員は、被告において管理職候補として、待遇等において手厚くすることにより有能な人材の獲得、定着を図るという趣旨があり、有給休暇についても初年度から法令の基準よりも手厚く付与している。また、有期雇用契約 社員らにも、有給休暇について法令上の日数を付与しているのであり、業務内容等の差異からすれば、不合理なものではない。 ク特別休暇がない又は少ないことの不合理性(原告らの主張)正社員は、正社員就業規則において、本人や親族の結婚、配偶者の出産及 び親族の喪に服する場合等には有給の特別休暇が認められる一方で、有期雇用契約社員にはこの休暇は一切なく、準社員においては、正社員と比べて付与される日数は少なく 人や親族の結婚、配偶者の出産及 び親族の喪に服する場合等には有給の特別休暇が認められる一方で、有期雇用契約社員にはこの休暇は一切なく、準社員においては、正社員と比べて付与される日数は少なく、また付与される条件が限定されている。特別休暇は、出席やその準備等が必要となる冠婚葬祭のために必要な休日を保障するものであり、労働契約の期間の定めとは関係がないから、この差は不合理であ る。 (被告の主張)正社員に対して特別休暇を付与する趣旨は、正社員については長期雇用を期待し将来の管理職となるべく待遇等を手厚くすることにより有能な人材の獲得及び定着を図るというものである。そして、正社員は長期間の勤務を することが想定されており、その間、様々な慶弔事が発生することは不可避 であり、その点について配慮したものであるから、不合理ではない。 ケ福利厚生に関する違いの不合理性(原告らの主張) 被告においては、b福祉基金が設けられており、有期雇用契約社員以外の従業員はその会員になることができ、その会費負担は月額200円ない し350円である。このような安価な会費負担と引き換えに、同基金では、祝金を受領できたり、医療の援助を支給されたり、弔慰金を受領できたりと、種々の福利厚生サービスを利用できる。このような福利厚生は、業務内容等とは関連性がないから、この差は不合理なものである。 また、被告の亀山事業所敷地内には、eという建物が存在し、スポーツ ジムの設備等がある。正社員はこの設備を利用できるが、有期雇用契約社員らにはこの利用が許されないことも、不合理である。 (被告の主張) 争う。b福祉基金は、被告とは別の正社員の福利厚生に関する任意 正社員はこの設備を利用できるが、有期雇用契約社員らにはこの利用が許されないことも、不合理である。 (被告の主張) 争う。b福祉基金は、被告とは別の正社員の福利厚生に関する任意団体であり、誰を入会させるかについて、被告が指揮命令する権限を持ってい るわけではなく、被告の不法行為ではない。 また、原告らが主張するeについては、原告らも利用できるはずの設備であり、利用できないことがあっても、それは施設の目的に合わなかったものにすぎない。 ⑶ 争点⑶(原告らの損害) (原告らの主張)ア準社員であったことを前提とする賞与に関する損害 主位的請求原告らは、準社員であったにもかかわらず、被告は賞与を支払っていなかったから、不法行為を構成し、その損害(平成23年10月から令和元 年9月までの出金に基づく賞与額)及び弁護士費用として、少なくとも別 紙60「賞与不払損害一覧表(主位的)」の各「賞与額」及び「弁護士費用」欄記載のとおり、損害が発生した。 予備的請求原告らは、準社員であったにもかかわらず、被告は賞与を支払っていなかったから、仮に不法行為を構成しなくても、原告ら1ないし47並びに 321-1及び321-2については、請求の追加等から過去2年分(平成29年12月から令和元年12月まで)の賞与が不払であり、その額は、少なくとも別紙61「不払賞与一覧表(予備的)」の「合計額」欄記載のとおりである。 イ通勤手当及び扶養手当 通勤手当、扶養手当及びこれらに係る弁護士費用は、別紙「一覧表(請求額)」記載のA,B及びCの各原告に対応する欄のとおり発生し、その各月ごとの内訳は、別紙1 通勤手当及び扶養手当 通勤手当、扶養手当及びこれらに係る弁護士費用は、別紙「一覧表(請求額)」記載のA,B及びCの各原告に対応する欄のとおり発生し、その各月ごとの内訳は、別紙1ないし59のとおりである。 ウリフレッシュ休暇被告に雇用された時点において、c当時と通算した勤続年数が10年以上 に達していた原告らに対しては、リフレッシュ制度を遡及適用して休暇を付与し、記念品を支給すべきであったにもかかわらず、これをしなかったことによって、10年勤続又は20年勤続の休暇付与及び記念品支給がされなかった原告らが存在する。そのような原告らには、別紙62「リフレッシュ休暇損害」の「休暇分」及び「記念品分」並びに「弁護士費用」欄記載のとお り、損害が発生した。 エ賃金格差損害、財産損害及び精神的損害並びに特別休暇損害賃金格差のほか、年次有給休暇、特別休暇制度及び福利厚生における差別による損害及び弁護士費用として、少なくとも別紙「一覧表(請求額)」EないしH記載のとおり、損害が発生した(Fは、年次有給休暇及び福利厚生に おける差別による損害である。)。 (被告の主張)いずれも争う。被告が、リフレッシュ休暇制度を正社員以外に対象を拡大したからといって、遡及的に適用することが求められるわけでもないから、過去の不適用は不法行為ではなく、また、労働契約法20条の制定以前に既に勤続年数が10年となっていた者は、被告において適用が受けられなかったもので あるから、損害が発生していない。 第3 当裁判所の判断 1 争点⑴(原告らが当初から準社員であったといえるか)について⑴ 認定事実(前提事実のほか、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実 が発生していない。 第3 当裁判所の判断 1 争点⑴(原告らが当初から準社員であったといえるか)について⑴ 認定事実(前提事実のほか、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実) ア原告ら(原告5、13、20、22、25、43、44及び55は除く。)は、平成21年12月31日以前から、cで短期雇用契約社員として働いていたが、被告で雇用するにあたって、被告は、同月10日、上記原告らに対して、cから被告に雇用者が切り替わること、労働契約の内容については雇用期間が3か月から6か月となることを除いて大きく変化しないことを説 明した。なお、cには、短期雇用契約社員就業規則が存在しており、上記原告らの労働条件が同規則により定められていた。(前提事実⑴ウ、⑵ア、乙2、5、証人a)イ上記アの説明会における具体的な説明の内容は、契約期間は6か月であり、有給休暇については現状のままであること及び雇用条件については原則と して、cにおける条件のまま継続し、契約書及び就業規則以外については被告の諸規則を準用することであった。(乙2)ウ上記アの原告らの多くは、平成21年12月14日、cから被告に転属入社することについて同意した。(乙3、弁論の全趣旨)エ上記アの原告らは、平成22年1月1日、被告と「有期契約社員労働契約」 を締結し、その内容はcにおける「短期契約社員労働契約」の内容と契約期 間を除き、同じであった。そして、「有期契約社員労働契約」の契約書は、日本語に加え、ポルトガル語でも書かれていた。(甲4の1~4、甲5の1~5)オ上記アの原告ら以外の原告らについても、被告に入社する際に、被告との間で上記イと同様の労働条件の説明を受けた上で、有期雇用契約 ルトガル語でも書かれていた。(甲4の1~4、甲5の1~5)オ上記アの原告ら以外の原告らについても、被告に入社する際に、被告との間で上記イと同様の労働条件の説明を受けた上で、有期雇用契約社員として 労働契約を締結した。(乙6、弁論の全趣旨)カ被告は、平成23年11月3日、有期雇用契約社員就業規則を制定した。 この就業規則の内容は、本件で問題とされている原告らの手当等については、cにおける短期雇用契約社員就業規則と大きな変更はなかった。なお、被告において、同日以前は、有期雇用契約社員を対象とする就業規則は存在しな かった。(前提事実⑷エ、乙1、5)キ原告1が中心となって、平成24年3月10日、中勢地域労働組合亀山f一般支部(以下「労組亀山支部」という。)を結成し、その後、原告らが有期雇用契約社員であることを前提として被告と年に複数回の団体交渉を行った。被告は、これに対応するとともに、労使協議会という、労働者の安全、 健康及び職場環境の向上等を協議する場も3か月に1回程度行っている。 (甲20の1~6、甲34、乙7~26、50、証人a、原告1本人、弁論の全趣旨)ク労組亀山支部と被告との団体交渉の結果、平成31年1月15日時点において、有期雇用契約社員の労働契約に関し、男女の賃金格差、交代勤務手当 の見直し及び残業手当等の割り増し等の改善がされた。(甲34)⑵ 事実認定の補足説明被告は、平成22年1月1日時点で、有期雇用契約社員就業規則が存在していたと主張する。しかし、被告が提出する同規則(乙1)は、条項の内容部分に下線が引かれている部分があったり太線で削除されている部分があったり するなど、添削された後のままであり、最終版であるとは認め難い。そして、 被告が提出する同規則(乙1)は、条項の内容部分に下線が引かれている部分があったり太線で削除されている部分があったり するなど、添削された後のままであり、最終版であるとは認め難い。そして、 証人a自身が、同規則を従業員の閲覧に供していなかったと供述していることから、従業員への周知もしていない以上、同規則は平成22年1月1日時点での効力は認められない。 したがって、被告の上記主張は採用しない。 ⑶ 判断 ア前記認定事実によれば、以下のとおり認められる。被告において、平成22年1月1日時点で有期雇用契約社員就業規則は存在しなかったものの、同日、前記認定事実アの原告らは、各々が従前のcにおける労働契約の内容と概ね同じであるとの説明を受け、同意をした上で被告と労働契約を締結した。 そして、被告と平成22年1月1日以降に労働契約を締結した者も、各々が、 それぞれ締結する予定の労働契約の内容の説明を受けた上で、同意をした上で被告と労働契約を締結した。そして、原告らが所属する労組亀山支部と被告との交渉も、原告らが有期雇用契約社員であることを前提として行われていたことに照らすと、平成22年1月1日時点で原告らに適用される就業規則が存在しなかったとしても、原告らは、準社員として被告と労働契約を締 結する意思があったとはいえないから、原告らと被告において、cと同様の労働条件で、有期雇用契約社員として労働契約を締結したと認められる。また、平成23年11月3日制定の有期雇用契約社員就業規則(甲9)は、上記労働条件と比較して不利益に変更するものとはいえないから、遅くとも同日以降は、原告らには、同規則の適用があったと認められる。 イこれに対し、原告らは、亀山事業所の就業規則は特別の除外規定が 件と比較して不利益に変更するものとはいえないから、遅くとも同日以降は、原告らには、同規則の適用があったと認められる。 イこれに対し、原告らは、亀山事業所の就業規則は特別の除外規定がない限り原告らにも適用されるから、準社員就業規則が適用されると主張する。しかし、被告において、雇用区分に従って適用される就業規則は、その各名称(前提事実⑷)からしても明確に区別されており、準社員就業規則は、有期雇用契約社員を対象としたものではない。また、原告らも被告も準社員では ないという契約意思の下で労働契約を締結しており、労組亀山支部による交 渉も有期雇用契約社員であることを前提としていたのであるから、原告らの労働契約の締結に至る経緯及びその後の経緯に照らしても、原告らの合理的な意思に基づいて有期雇用契約社員として労働契約の締結をしていたと認められ、このような原告らの個別の同意がある以上は、準社員就業規則を原告らに適用する余地はない。 したがって、原告らの上記主張は採用しない。 ウよって、原告らは、被告と準社員として労働契約を締結したとは認められないから、準社員であることを前提とした賞与に関する主位的請求及び予備的請求は、いずれも認容できない。 2 争点⑵(労働契約法20条違反の有無)の判断枠組みについて 労働契約法20条は、有期労働契約を締結している労働者(以下「有期契約労働者」という。)の労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と無期労働契約を締結している労働者(以下「無期契約労働者」という。)の労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下併せて「職務の内容」という。)、当該職務の内容及 び配置 契約労働者」という。)の労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下併せて「職務の内容」という。)、当該職務の内容及 び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない旨を定めている。同条は、有期契約労働者と無期契約労働者との間で労働条件に相違があり得ることを前提に、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情(以下「職務の内容等」という。)を考慮して、その相違が不合理と認められるものであってはならないとするものであり、職務の内容 等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定であると解される(最高裁平成28年(受)第2099号、第2100号同30年6月1日第二小法廷判決・民集72巻2号88頁参照)。また、有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては、両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく、当 該賃金項目の趣旨を個別的に考慮するべきものと解するのが相当である(最高裁 平成29年(受)第442号同30年6月1日第二小法廷判決・民集72巻2号202頁参照)したがって、以下、原告らと正社員との業務内容等の違い(争点⑵ア)を検討した上で、個別の項目(争点⑵イないしケ)について労働契約法20条にいう不合理と認められるものであるか否かを判断する。 3 争点⑵ア(原告らと正社員との業務内容等の違い)について⑴ 認定事実(前提事実、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)ア職務の内容(前提事実⑶、甲18、19、35、36、乙36~51(枝番を含む。)、証人a、証人d、原告1本人 認定事実(前提事実、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)ア職務の内容(前提事実⑶、甲18、19、35、36、乙36~51(枝番を含む。)、証人a、証人d、原告1本人、原告50本人のほか後掲証拠に より認められる事実) 被告の亀山事業所の製造現場では、一定の品質維持のために、作業指示書を作成しており、その作成は正社員により行われている。有期雇用契約社員らは、この作成内容に関わることはないが、日本語をポルトガル語に翻訳することがあった。 ICT事業部門において作成しているプリント基板は、製造機械に的確な初期設定をしていれば、人が、製造機械が作動しているかを監視していればよく、機械が自動的に作業を行っていた。この初期設定は、正社員が行うものであり、有期雇用契約社員らは、製造機械が作動している間、品質異常がないか、不良品がないかを常に気を付けながら業務をしていた。 有期雇用契約社員らは、上記の製造において不良品等が出た場合には、製造機械を停止させ、正社員に報告することもあった。このとき、正社員は、発生状況の確認を始めとする作業から再発防止・水平展開までの一連の業務を担っていた。一方で、有期雇用契約社員らは、責任者に報告し、不良品を排除することはあったが、その後の上記一連の業務に携わってい なかった。 正社員は、製造業務に当たって重要な備品又は材料等の在庫の管理を行い、有期雇用契約社員らの勤務シフトの管理等を行っており、目標設定評価という、1年ごとに上司と目標設定して評価するという人事考課もあった。一方で、有期雇用契約社員らには、このような業務及び目標設定評価はなかった。 亀山事業所の製造部門は、班 評価という、1年ごとに上司と目標設定して評価するという人事考課もあった。一方で、有期雇用契約社員らには、このような業務及び目標設定評価はなかった。 亀山事業所の製造部門は、班ごとに分かれて仕事を組むこととなっており、班の責任者が製造に関する責任を負うこととなっていた。そして、勤務予定表には、班長、リーダー、サブリーダーという役職が明記され、有期雇用契約社員らは、リーダー又はサブリーダーをすることもあった。 (甲19) 有期雇用契約社員らは、ICT事業部門に所属する者が多数であったが、情報機能材料事業部門にいる者であっても、化学薬品を扱うことはあったが、化学薬品のうち危険物とされるものを取り扱うことはなかった。(乙42~44) ICT事業部門及び情報機能材料事業部門は、製造している製品が異な っているが、正社員と有期雇用契約社員らとの役割の分担は、部門ごとに異なるものではなかった。 イ配置転換等(前提事実⑵、⑷、乙50、51、証人a、証人d、原告1本人、弁論の全趣旨) 正社員は、大卒又は高卒等の入社資格を前提に採用試験を受験し、選考 の上採否を決定し、その後の人事管理については事業所単位ではなく全て本社での管理となる。そして、正社員就業規則においては、人事異動を命じられる可能性があると定められており、被告における全国各地の事業所及び海外拠点を含めて、転勤・異動の可能性があった。このことは、正社員は、将来の幹部候補生として期待されていたことによる。そして、原告 らが比較対象とすべきとする正社員においても、広島県尾道市所在の被告 の事業所と亀山事業所とを交互に異動・転勤している者もいた。 有期雇用契約社員は、簡単な日本語 原告 らが比較対象とすべきとする正社員においても、広島県尾道市所在の被告 の事業所と亀山事業所とを交互に異動・転勤している者もいた。 有期雇用契約社員は、簡単な日本語の試験と計算の試験を経て採否を決定し、その後の人事管理については事業所単位で完結していた。そして、有期雇用契約社員らは、準社員就業規則及び有期雇用契約社員就業規則において、人事異動を命じられる可能性があると定められているが、原告ら の中で、事業所を超えて配置変更となった者はいない。また、有期雇用契約社員らの契約更新について、契約期間の定めがあるものの、契約更新時期の2、3週間程度前に更新希望の有無を答え、更新を希望すれば、その数日後に労働契約書を渡されて、それに署名及び押印をして提出するというものであり、実際にも、個別具体的に問題があるような従業員を除けば、 契約更新を拒絶されることはなかった。 ウ有期雇用契約社員から他の区分への登用(甲36、乙34の1・2、50、51、証人a、証人d、原告50本人、弁論の全趣旨) 被告において、有期雇用契約社員から準社員に登用するという制度はなかったが、抜てきという形で、上司の推薦、作文及び面接等をした上で、 準社員に変更するということがあった。 被告において、準社員から正社員に登用することはあったものの、原告らにそのような例を知らせていなかった。 ⑵ 判断ア職務の内容 前記⑴認定事実アによれば、原告らと原告らが比較すべきとする平成22年採用の正社員とでは、そもそも所属する部門が異なる。つまり、原告らのほとんどは、ICT事業部門に所属している一方で、上記正社員のほとんどは、情報機能材料事業部門に所属している。また、業務 平成22年採用の正社員とでは、そもそも所属する部門が異なる。つまり、原告らのほとんどは、ICT事業部門に所属している一方で、上記正社員のほとんどは、情報機能材料事業部門に所属している。また、業務の内容を具体的に検討しても、原告らは、主に比較的単純な反復継続的な作業や、作 業書のポルトガル語への翻訳をする一方で、正社員は、反復継続的な作業 に加え、反復継続的な作業を行うためのセッティング、生産条件を変更する場合の判断等、危険物の取扱、生産設備等に不具合が生じた場合の対応及びその他の目標設定評価等を行っている。このことから、正社員は、原告らが行う業務に加え、業務に対する権限の内容、業務の成果の追求及び緊急時の対応等の管理業務を行っているといえ、これは、正社員であれば 2年目以降に担当し始めるものもあるから、責任の程度も原告らと大きく異なっているといわざるを得ない。そうすると、原告らと原告らが比較すべきとする正社員との間では、職務の内容は大きく異なるものと認められる。 なお、有期雇用契約社員らが、作業部門の班におけるリーダー又はサブ リーダーをすることもあったという事情は認められるが、班には班長もおり、その班長が責任を持っていたと考えられることからすれば、原告らの責任として、正社員と同じであったとは認めることができず、上記事情を過大に考慮することは適切ではない。 イ配置の変更の範囲 前記⑴認定事実イによれば、正社員は、将来の幹部候補生として、海外拠点を含む様々な場所に転勤又は異動する可能性がある一方で、有期雇用契約社員らは、人事管理が本社管理ではなく事業所単位で完結していることからすれば、事業所内での配置転換はあったとしても、他の事業所に転勤又は異動することはなかった 動する可能性がある一方で、有期雇用契約社員らは、人事管理が本社管理ではなく事業所単位で完結していることからすれば、事業所内での配置転換はあったとしても、他の事業所に転勤又は異動することはなかった。また、被告の亀山事業所においても、有期雇用契約 社員らは、ICT事業部門に配属されるものがほとんどであり、原告らのほとんどは同部門に属し、原告らが比較すべきとする正社員は、ほとんどが情報機能材料事業部門に所属していた。このように、原告らと原告らが比較すべきとする正社員との間では、転勤又は異動の可能性や、被告の亀山事業所においての人員配置の在り方も異なっていた。 ウその他の事情 前提事実⑴並びに前記⑴認定事実イ及びウによれば、有期雇用契約社員らは、期間の定めがあるものの、個別具体的に問題がなければ、その期間は反復更新されていたといえ、実際に原告らも、被告において、約10年以上にわたって勤務を継続してきたことが認められる。また、前記1⑴認定事実キ、クによれば、原告らは有期雇用契約社員の労働組合である労組亀山支部を結 成し、被告との労使交渉を行っており、被告も交渉の中で労働条件を改善してきた点もあったことが認められる。このように、原告らが、被告において長期間にわたって勤務してきたこと、被告が原告らとの労使交渉に応じつつ待遇を一部改善してきたことは、労働契約法20条所定の「その他の事情」として考慮すべきである。なお、被告において、有期雇用契約社員が準社員 に、又は準社員が正社員になる可能性があったこと自体は否定されないが(前記⑴認定事実ウ)、制度として運用されていたと認めることはできず、上記「その他の事情」として重視すべきではない。 4 争点⑵イ(通勤手当を支給しないことの不合理性)につい 自体は否定されないが(前記⑴認定事実ウ)、制度として運用されていたと認めることはできず、上記「その他の事情」として重視すべきではない。 4 争点⑵イ(通勤手当を支給しないことの不合理性)について⑴ 認定事実(前提事実及び各項掲記の証拠により認められる事実) ア通勤手当は、有期雇用契約社員には支給されておらず、正社員には、通勤距離に応じた金額を支給されていた。ただし、正社員においても、公共交通機関を利用できる区間については支給されなかった。(前提事実⑸ア)イ有期雇用契約社員には、被告の駐車場の利用が認められなかったが、例外的に認められて自動車通勤した者についても、通勤手当は支給されなかった。 (証人a、原告1本人)ウ通勤バスの経路は、複数あり、有期雇用契約社員の住居の近くを通るように配慮することもあった。(原告1本人)⑵ 判断ア正社員は正社員就業規則によりその支給がされるが、有期雇用契約社員に はその規定がなく、実際に支給されていなかったことから、この相違は労働 契約の期間の定めの有無によるものと認められる。 イ通勤手当は、正社員就業規則の定めによれば、公共交通機関を利用できず自家用車等で通勤する者に対して、その費用をてん補する趣旨のものと認められる。そして、この趣旨については、正社員だけではなく、有期雇用契約社員にも妥当するものといえる。しかし、前記⑴認定事実ウによれば、被告 において、通勤バスを手配し、その経路についても有期雇用契約社員にある程度配慮した上で決定されており、通勤手当を支給しない代わりの代替手段が存在し、十分に機能していたものといえる。そして、通勤手当を支給しない代わりに通勤バスがあることについて、原告らが被告との間で 程度配慮した上で決定されており、通勤手当を支給しない代わりの代替手段が存在し、十分に機能していたものといえる。そして、通勤手当を支給しない代わりに通勤バスがあることについて、原告らが被告との間で締結した「有期契約社員労働契約」6条に明記されていること(甲5の1~5)から すると、原告らもこれに了承した上で被告において労働しているものといえる。 したがって、通勤バスという代替手段があったことは労働契約法20条所定の「その他の事情」として考慮すべきであり、通勤手当の相違が、不合理であるとは認められない。 ウこれに対し、原告らは、被告が有期雇用契約社員のみに通勤バスを利用させた上で駐車場の利用も認めない措置を採っていたから不合理であったと主張する。しかし、被告が十分な代替手段を採っている以上、原告らが指摘する事実のみによって不合理であったとは認めるに足りず、原告らの上記主張は採用しない。 5 争点⑵ウ(扶養手当を支給しないことの不合理性)⑴ 前提事実⑸アによれば、扶養手当は、正社員賃金規則所定の条件を満たせば扶養手当が支給される一方で、有期雇用契約社員らにはその規定がなく、実際に支給されていなかったから、この相違は労働契約の期間の定めの有無によるものと認められる。 ⑵ 被告の正社員に対して扶養手当が支給されているのは、正社員が長期にわた り継続して勤務することが期待されることから、その生活保障や福利厚生を図り、扶養親族のある者の生活設計等を容易にさせることを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられる。このように、継続的な勤務が見込まれる労働者に扶養手当を支給するものとすることは、使用者の経営判断として尊重し得るものであるが、上記目的に照ら 続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられる。このように、継続的な勤務が見込まれる労働者に扶養手当を支給するものとすることは、使用者の経営判断として尊重し得るものであるが、上記目的に照らせば、有期雇用契約社 員らにおいても、扶養親族があり、かつ、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、扶養手当を支給することとした趣旨は同様に妥当するというべきである。そして、被告において、有期雇用契約社員らは、契約期間が6か月以内又は1年以内とされており、実際に被告においても、通常の勤務態度であれば契約の更新をするという運用をしており、原告らは、長期にわたり更新を繰り 返して勤務していた。このことからすれば、前記3⑵で示した原告らと原告らが比較すべきとする正社員との職務の内容等につき相応の相違があること等を考慮しても、正社員と原告らのように長期にわたって勤務している有期雇用契約社員らとの間に扶養手当に係る労働条件の相違があることは、不合理であると認められる。 ⑶ これに対し、被告は、有期雇用契約社員らは、元々長期雇用が予定されているものではないから、その相違は不合理ではないと主張する。しかし、被告は、有期雇用契約社員らの契約期間の更新において、特段の事情がなければ更新していたのであり、原告らは既に退職した者も含めて10年以上は勤務しており、長期の雇用に至っているのであるから、扶養手当の目的である扶養義務者がい る者に対する処遇については、原告らに対しても妥当する。 したがって、被告の上記主張は採用しない。 6 争点⑵エ(リフレッシュ休暇制度がないことの不合理性)について⑴ 前提事実⑸エによれば、リフレッシュ休暇制度は、就業規則等の定めにはないものの、正社員には、無期転換準社員について創設される 6 争点⑵エ(リフレッシュ休暇制度がないことの不合理性)について⑴ 前提事実⑸エによれば、リフレッシュ休暇制度は、就業規則等の定めにはないものの、正社員には、無期転換準社員について創設される前からあった制度 であるから、この相違は期間の定めの有無によるものと認められる。 ⑵ リフレッシュ休暇制度は、職員の勤続年数に着目して、一定の年数に達した者に対して休暇及び旅行券等を支給するものであるから、長期間の勤続年数に達した者に対する報償の目的によるものと考えられる。そして、この目的によれば、このリフレッシュ休暇制度は、有期雇用契約社員らであっても、長期間にわたって勤務した者には、その趣旨が妥当するというべきである。そして、 原告らのような実際に長期にわたって雇用となり、リフレッシュ休暇制度の対象となる10年単位の年次まで勤務している者には、上記趣旨が妥当するから、有期雇用契約社員らであっても、職務の内容等に相違があったことをしんしゃくしても、リフレッシュ休暇制度について有期雇用契約社員らに適用しなかったことは不合理であると認められる。 したがって、リフレッシュ休暇制度に関する正社員と有期雇用契約社員らとの労働条件の相違は、労働契約法20条にいう「不合理と認められるもの」であると認められる。 ⑶ これに対し、被告は、リフレッシュ休暇制度は、正社員を対象に今後の長期勤続を期待してそのリフレッシュのため付与していたものであるから、期間満 了ごとに更新の可否を決定する有期雇用契約社員らとは前提が異なると主張する。しかし、リフレッシュ休暇制度は、実際に勤続した年数に応じて休暇等を付与するものであり、今後の長期勤続よりも実際に勤続した年数を重視すべきであるから、原告らの上記主張は採用しない。 張する。しかし、リフレッシュ休暇制度は、実際に勤続した年数に応じて休暇等を付与するものであり、今後の長期勤続よりも実際に勤続した年数を重視すべきであるから、原告らの上記主張は採用しない。 7 争点⑵オ(賞与の不支給その他の大幅な賃金格差の不合理性) ⑴ 認定事実(前提事実及び各項掲記の証拠により認められる事実)ア正社員の賃金(甲7、23)正社員の賃金は、所定内労働時間に勤務した場合に支払われる固定的な賃金である基準内賃金と、残業代等の毎月の支給が確定していない変動的な賃金である基準外賃金とに分かれる。そして、基準内賃金は、基本給、調整給、 役職手当及び扶養手当から成り、基準外賃金は、時間外勤務、セールス、裁 量労働、交替勤務、特殊勤務、休業、その他の各手当(通勤手当、別居手当)から成る。 基本給は、正社員の実力等に対応する賃金で、各人の職務遂行能力に応じて月額で定められており、職務遂行能力の評価は、昇給金額に反映される。 また、各職能ごとに等級が設定されており、等級ごとに基本給の上限と下限 が設定されている。この範囲をレンジと呼び、レンジの中にゾーンと呼ばれる、さらに細分化された範囲が存在する。そして、ゾーンは、毎年の昇給により基本給が上がることで上限に達するまで自動的に上がっていくこととなっており、定期昇給として、勤続年数や職能の熟達や評価に応じて基本給が増えることとなっている。 イ有期雇用契約社員らの賃金(甲8、9)有期雇用契約社員の賃金は、基準内賃金である時間給と、基準外賃金である時間外勤務手当、交替勤務手当、休業扶助手当及びその他手当とに分かれ、準社員の賃金は、基準内賃金である基本給と、上記と同じ基準外賃金である。 ウ 、基準内賃金である時間給と、基準外賃金である時間外勤務手当、交替勤務手当、休業扶助手当及びその他手当とに分かれ、準社員の賃金は、基準内賃金である基本給と、上記と同じ基準外賃金である。 ウ賞与(前提事実⑸ウ、証人a、弁論の全趣旨) 正社員の賞与は、営業利益、正社員が所属する労働組合の人数、景気動向等を考慮し、正社員の1.5か月分の基準内賃金の総額を加えた上で、総支給額を決め、被告において個別に正社員に分配した上で支給している。そして、正社員の賞与は、多少前後するものの、平均すると賃金5か月分相当となる。 一方、準社員の一時金は、準社員が所属する上長の評価による査定(15万円~35万円)に基づき、出勤率を考慮した上で支給している。そして、準社員の一時金は、年2回の支給があり、1回あたりの金額は賃金1か月分相当であった。 ⑵ 前提事実⑸ウ及び前記⑴認定事実によれば、正社員は、正社員賃金規則にお いて、年2回賞与が支給される一方で、有期雇用契約社員にはその規定がなく、 実際に支給されなかった。また、準社員には、準社員就業規則において一時金の定めがあるが、正社員が支給される賞与とは金額が大幅に異なるものであった。また、賃金についても、別紙63ないし65に見られるとおり、正社員と有期雇用契約社員らとでは異なるものであった。したがって、これらの相違は労働契約の期間の定めの有無によるものと認められる。 ⑶ 賞与に関する検討ア前提事実⑷イ及び前記⑴認定事実ウによれば、被告の正社員に対する賞与は、正社員賃金規則において、賞与支給基準を別に定め、賞与額及び支給日等の細目についてはその都度決定すると定められ、賞与支給基準としては、営業利益、正社員が所属する労働組合の人 の正社員に対する賞与は、正社員賃金規則において、賞与支給基準を別に定め、賞与額及び支給日等の細目についてはその都度決定すると定められ、賞与支給基準としては、営業利益、正社員が所属する労働組合の人数、景気動向等を考慮し、正社員 の1.5か月分の基準内賃金を加えた上で、総支給額を定めるのみであり、個別の分配については、その都度被告において決定するものである。そして、業績にある程度連動はするものの、最低でも正社員の基準内賃金の1.5か月分は保障されていることや平均して賃金5か月分が支給されていることに照らすと、算定期間における労務の対価の後払いや一律の功労報償、将来 の労働意欲の向上等の趣旨を踏まえたものと認められる。そして、正社員の基本給については、勤務成績を踏まえ勤務年数に応じて昇給するものとされており、勤続年数に伴う職務遂行能力の向上に応じた職能給の性格も有するものといえ、業務の内容や難度、責任の程度が高く、人材の育成や活用を目的とした人事異動又は人員配置が行われていたものである。このような正社 員の賃金体系や求められる職務遂行能力及び責任の程度等に照らせば、被告は、正社員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から、正社員に対して賞与を支給することとしたものといえる。 イ前記3⑵で判断した各考慮要素によれば、正社員と有期雇用契約社員らとの間では、職務の内容だけではなく、人事異動や人員配置においても大きな 差異があったといえ、これらの差異は、正社員に対する役割の期待からくる ものであって、賞与の目的もこれに応じて支給されるものであることからすれば、有期雇用契約社員に賞与を支給せず、また、準社員に正社員よりも大幅に低い一時金しか支払わないことも、直ちに不合理であるとは認め のであって、賞与の目的もこれに応じて支給されるものであることからすれば、有期雇用契約社員に賞与を支給せず、また、準社員に正社員よりも大幅に低い一時金しか支払わないことも、直ちに不合理であるとは認められない。 ⑷ 賃金に関する検討 前記3のとおり、正社員と有期雇用契約社員らでは、職務の内容、配置の変更の範囲でも大きな差異がある。そして、基本給については、正社員は定期昇給があるものの、それは被告における役割の違いによるものであって、そのことのみでこの相違が不合理であるとはいえない。また、原告らは、労組亀山支部を結成した上で、被告と労使交渉をしているところ、基本給は労使交渉を含 む労働市場で決定するという側面もあることからすれば、このことは労働契約法20条所定の「その他の事情」として考慮するのが相当であり、これを加味すれば、正社員と原告らとの基本給の相違が、直ちに不合理であるとは認められない。 8 争点⑵カ(年次有給休暇の半日単位の取得ができないことの不合理性) ⑴ 前提事実⑸アによれば、正社員は、正社員就業規則において、半日単位で年次有給休暇を行使できるとされる一方で、有期雇用契約社員にはその規定がなく、実際に行使できなかったことから、この相違は労働契約の期間の定めの有無によるものと認められる。 ⑵ 被告の正社員に対して、年次有給休暇の半日単位の取得を認める趣旨は、柔 軟に年次有給休暇を取得できるようにすることで、有効に活用できるようにすることを目的とするものである。この目的からすれば、前記3⑵で示した原告らと正社員との職務の内容等につき相応の違いがあるとしても、この違いは重要ではなく、被告において、正社員と同程度の所定労働時間の定めがある有期雇用契約社員であった原告らにおいても同様 ⑵で示した原告らと正社員との職務の内容等につき相応の違いがあるとしても、この違いは重要ではなく、被告において、正社員と同程度の所定労働時間の定めがある有期雇用契約社員であった原告らにおいても同様に妥当するものといえる。そうす ると、原告らと正社員との間に半日休暇に係る労働条件の相違があることは、 不合理であると認められる。 ⑶ これに対し、被告は、有期雇用契約社員は通勤バスによる通勤をしており、半日単位の取得を認めてしまうと通勤バスによる対処ができなくなるから不合理ではないと主張する。しかし、通勤バスによる対処ができないとしても、そのことから直ちに半日単位の取得を認めないことが不合理ではないという ことはできない。また、弁論の全趣旨によれば、被告における有期雇用契約社員の通勤バス方式について正社員との差異がなくなったのは平成30年6月末である一方、有期雇用契約社員が半日休暇の取得ができるようになったのは平成31年4月1日であると認められ、両者の時期が一致しないことから、被告の上記主張は整合性を欠いている。 したがって、被告の上記主張は採用しない。 9 争点⑵キ(年次有給休暇付与日数が少ないことの不合理性)について⑴ 前提事実⑸アによれば、有期雇用契約社員らは、正社員より年次有給休暇付与日数が少ないことは、適用される就業規則によりその差が生じているものであり、期間の定めの有無による相違ということができる。 ⑵ 年次有給休暇は、労働者に対して、休日の他に一定程度の日数の休暇を有給で保障するものであり、その趣旨は、有期雇用契約社員らにも妥当するようにもみえる。しかし、有期雇用契約社員らについては、正社員と比べて年次有給休暇の日数が少ないものの、労働基準法39条1項及び2項の基 保障するものであり、その趣旨は、有期雇用契約社員らにも妥当するようにもみえる。しかし、有期雇用契約社員らについては、正社員と比べて年次有給休暇の日数が少ないものの、労働基準法39条1項及び2項の基準を満たしており、その付与日数についても、有期雇用契約社員らに対して6年目となった 時点で、正社員に対して5年目となった時点で付与されている最大日数である20日となる(前提事実⑷ア、エ、オ)。そして、有期雇用契約社員らの契約期間が更新された後の6年目という、今後の長期の雇用が現実的に想定されることとなった時点において、有期雇用契約社員らの年次有給休暇の日数が正社員と同じとなることからすれば、上記相違は、有期雇用契約社員らについ ては採用から5年以内においては未だ長期にわたって働き続けることが明ら かとはいえない一方で、正社員については採用時点において長期にわたって働き続けることが想定されているため、当初から手厚く付与するものと考えられる。なお、国家公務員については、人事院規則により常勤職員と非常勤職員とで年次有給休暇の日数は異なり、1年目から5年目までの間において差がある(人事院規則15-14第18~20条、人事院規則15-15第3条等)こ とを参照しても、正社員と有期雇用契約社員らとで、年次有給休暇を採用初期から同一にすべきとまでいえるものではない。 したがって、1年目から5年目までの有期雇用契約社員らと正社員との日数の差についても、正社員と有期雇用契約社員らとの相違は、不合理であるとまではいえない。 10 争点⑵ク(特別休暇がない又は少ないことの不合理性)についてア有期雇用契約社員は、特別休暇がなく、準社員は、特別休暇が正社員より少ないことは、それぞれに適用される就業規則に定めるとおり 10 争点⑵ク(特別休暇がない又は少ないことの不合理性)についてア有期雇用契約社員は、特別休暇がなく、準社員は、特別休暇が正社員より少ないことは、それぞれに適用される就業規則に定めるとおりであるから、労働期間の定めの有無による相違と認められる。 イ特別休暇制度は、冠婚葬祭等の特別の事情が生じた場合、特別に、その事情 に応じた日数の有給休暇を従業員に付与するものである。このことからすれば、この制度は、冠婚葬祭等の特別の事情に準備又は対応をする期間を確保することを目的とすることによると考えられる。このことからすれば、特別休暇制度は、職務の内容等を考慮したものではないから、有期雇用契約社員らにもその目的は妥当するものといえる。また、準社員について正社員よりも特別休暇の 日数が少ないことについて、冠婚葬祭等の準備又は対応に要する期間の違いが職務の内容等により生じるものとはいえず、これを覆すに足りる証拠もない。 したがって、特別休暇制度に関する正社員と有期雇用契約社員らとの間の労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。 ウこれに対し、被告は、特別休暇制度は長期雇用を前提とする正社員に手厚く することによって有能な人材の獲得及び定着を図ることを目的とするから、不合理ではないと主張する。しかし、長期雇用の正社員は、その長期間に特別な事情が生じやすいこと自体はあり得るが、原告らの契約期間は、反復更新によって長期の雇用に至っていることは前記5⑵のとおりであるから、原告らにとっても同様の目的は妥当するというべきである。また、準社員にも特別休暇制 度自体はあることからすれば、正社員のみに対して、有能な人材の獲得及び定着を図ることを目的として りであるから、原告らにとっても同様の目的は妥当するというべきである。また、準社員にも特別休暇制 度自体はあることからすれば、正社員のみに対して、有能な人材の獲得及び定着を図ることを目的としているとは認め難い。 したがって、被告の上記主張は採用しない。 11 争点⑵ケ(福利厚生に関する違いの不合理性)証拠(乙50、証人a)によれば、b福祉基金は、被告とは別の組織であり、 被告は、どの区分の社員を入会させるかどうかの権限を有しているとは認められない。また、原告らはeの利用についても主張するが、その利用につき雇用区分に基づく差別がされていたことにつき、本件全証拠をもっても認められない。 したがって、被告は、いずれも不法行為責任を負わない。 12 争点⑶(原告らの損害) ⑴ 扶養手当に関する損害額被告は、原告らが主張する扶養手当の金額について、積極的に争っていないことから、弁論の全趣旨により、別紙「一覧表(認容額)」記載の各原告(ただし、原告2、4ないし7、10、12、13、16ないし18、21、26、27、31、33ないし35、38、42、44、45、47ないし49、5 1ないし54、56及び321-1を除く。)に対応する「扶養手当」欄記載の各金額を損害と認める。また、これに対する弁護士費用は、訴訟の経緯及び認容額を考慮して、別紙「一覧表(認容額)」の「Aに係る弁護士費用」欄記載の金額を相当と認める。 ⑵ リフレッシュ休暇に関する損害額 アリフレッシュ休暇制度について、証拠(甲32)によれば、bグループの 社員となった時点からリフレッシュ休暇制度は適用されることからすれば、原告らにおいても、cに入社した時点から勤続年数を起算すべきであり、損害もこ て、証拠(甲32)によれば、bグループの 社員となった時点からリフレッシュ休暇制度は適用されることからすれば、原告らにおいても、cに入社した時点から勤続年数を起算すべきであり、損害もこれを前提に算定するのが相当である。もっとも、原告4、10、16、18、24、31、32及び36について、勤続年数が10年の時点において、cに在籍していたことにつき、原告らは何ら争わないから、弁論の全趣 旨によりこの事実を認め、上記時点において被告に在籍していなかった以上、被告における適用を前提に賠償すべきものとはいえず、上記原告らの満10年時の損害は認められない。 したがって、証拠(甲32)及び被告が、別紙62「リフレッシュ休暇損害」の前提となる原告らのcからの勤続年数並びに休暇分及び記念品分の損 害額を積極的に争っていないなどの弁論の全趣旨によれば、リフレッシュ休暇に係る損害を請求している原告らのうち、原告4、10、16、18、24、31、32及び36を除き、別紙62「リフレッシュ休暇損害」記載の「休暇分」、「記念品分」及び「弁護士費用」欄のとおり損害と認め、原告10、16、18、24、31及び32については、原告の主張から、満10 年時の休暇分3万2880円及び記念品分3万円を除いた満20年次以降の休暇分5万6400円、記念品分11万5000円及び弁護士費用1万7140円の合計18万8540円を損害と認め、原告4、36については、損害は認められない。 イこれに対し、被告は、リフレッシュ休暇制度を原告らに対して遡及適用す るかどうかは被告の裁量であるから、遡及適用しなかった行為は不法行為を構成せず、また、労働契約法20条制定以前の問題は損害とはならないなどと主張する。しかし、この主張は、労働契約法 及適用す るかどうかは被告の裁量であるから、遡及適用しなかった行為は不法行為を構成せず、また、労働契約法20条制定以前の問題は損害とはならないなどと主張する。しかし、この主張は、労働契約法20条により被告採用時から違法であったとされたものと損害との相当因果関係を否定するものではなく、被告の主張は上記損害額を左右するものではない。 ⑶ 特別休暇及び半日休暇に関する損害額 ア特別休暇に関する損害額原告らは、特別休暇について、それが認められなかったことによる慰謝料を求めるが、特別休暇は、特別な事情が発生して初めて取得する権利が生じるものであり、それが生じていない以上は金銭により慰謝すべき損害が発生しているとはいえない。そして、原告らの中で、特別な事情が発生した者に ついては、その発生した日数分の賃金を損害として認められるが、それ以外に金銭により慰謝すべき事情はないから、慰謝料は認められない。 したがって、特別休暇に関する損害は、証拠(甲33)及び被告が損害額を積極的に争わないという弁論の全趣旨によれば、原告らの主張するとおり、別紙「一覧表(認容額)」の「特別休暇損害」欄記載の金額(ただし、原告の 請求のうち、訴えの変更申立書5において、従前の請求から6万7780円に増額した原告36については、増額した理由を何ら主張しないことから、従前の請求額である6万7680円を認める。)を損害と認める。 イ半日休暇に関する損害額有期雇用契約社員であった原告らは、半日休暇を取得しようとしてもでき ない状態であったから、その精神的損害は金銭により慰謝すべきものといえ、その慰謝料は、原告らにつき、各5万円とするのが相当である。もっとも、前記8⑶のとおり、被告 暇を取得しようとしてもでき ない状態であったから、その精神的損害は金銭により慰謝すべきものといえ、その慰謝料は、原告らにつき、各5万円とするのが相当である。もっとも、前記8⑶のとおり、被告において、有期雇用契約社員が半日休暇を取得できるようになったのは平成31年4月1日であり、その前に準社員となった原告48ないし57及び321-3(前提事実⑵オ)については、準社員が半 日休暇を取得できることを考慮して、各3万円とするのが相当である。 ウ弁護士費用訴訟の経緯及び認容額を考慮して、各原告の弁護士費用は、別紙「一覧表(認容額)」の「D+Eに係る弁護士費用」欄記載の金額を相当と認める。 第4 結論 以上によれば、原告らの請求は、別紙「一覧表(認容額)」の「氏名」欄記載の 各原告に対応する同表の「小計1」及び「小計2」欄記載の金員(総合計3246万7050円)及びこれに対する遅延損害金(うち「小計1」欄記載の金員については別紙1ないし59の「合計」欄記載の各金員に対する「支払日」欄記載の各日から各支払済みまで、「小計2」欄記載の金員については令和2年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員)の支払を求める限度で理由があ り、その余の請求はいずれも理由がないから、主文のとおり判決する。 なお、仮執行免脱宣言については、相当でないからこれを付さないこととする。 津地方裁判所民事部 裁判長裁判官竹内浩史 裁判官山本健一裁判官山 﨑 次矩 (別紙省略) 健一裁判官 山﨑次矩 (別紙省略)

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