平成14(わ)125 業務上横領,詐欺

裁判年月日・裁判所
平成15年3月24日 奈良地方裁判所
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判決文本文19,661 文字)

主文 被告人を懲役6年4月に処する。 未決勾留日数中300日をその刑に算入する。 理由 (犯行に至る経緯)被告人は,昭和51年4月に弁護士となり,大阪で勤務弁護士として就労した後,昭和53年3月,A1弁護士会に登録替えをし,奈良市内にB1法律事務所を開設し,独立して弁護士業を始めたが,当初はお盆や年末年始にも休みをとらず,弁護士会の事務局に顔を出し,相談に来た客から事件を受任するなど,熱心に弁護士業務を行い,そのため,客が客を呼ぶといった状態で依頼を受ける仕事も増えていき,昭和57年には,月の粗利益が100万円,貯蓄額も1000万円を超えたことなどから,金融機関から約5000万円を借り入れて高級住宅街であったa1付近に自宅を購入するなど,弁護士業務も順調であった。また,昭和58年ころから,顧客からの誘いをきっかけに奈良市b1のラウンジなど歓楽街で遊ぶようになり,昭和60年ころには,京都市内のc1でお座敷遊びをするようにまでなったが,このころ糖尿病を発病し,平成元年ころには,これら歓楽街での遊興をやめ,代わりに,ゴルフに入れ込むようになった。 このように,平成元年ころまでは,被告人の仕事量も収入も増え続け,社団法人C1協会を始めとする顧問契約先も20件以上獲得し,被告人が弁護士になったときからの念願であった1億円の預金額を有することも達成し,金融機関から土地購入資金及びビル建築資金として約1億5000万円を借り入れて,平成2年1月には,A1弁護士会の弁護士で初めて自己所有のビルに事務所を開設するなど順風満帆の生活を送っていた。もっとも,被告人は,以前から,事務所経理において,着手金や弁護士報酬といった弁護士が自由にその金員を使うことのできる口座と,顧客の預り金を入金し弁護士 所を開設するなど順風満帆の生活を送っていた。もっとも,被告人は,以前から,事務所経理において,着手金や弁護士報酬といった弁護士が自由にその金員を使うことのできる口座と,顧客の預り金を入金し弁護士といえども自由に使うことのできない口座とを分離することを怠っており,そのため,自分の小遣いや後記の借入金の返済等,私用のための出金も,これら預り金を入金している口座から事務員に指示をして引き下ろさせたり,事務所内の金庫に入っていた現金を持ち出して使ったりするなど,弁護士業務の経理と個人的な使途金とを区別せず使っていた。 ところで,被告人は,昭和55年に付き合いでゴルフ会員権を購入したことをきっかけに,その後も知人らから勧められるがまま複数のゴルフ会員権をローンを組んで購入し,かねてから,奈良で生活する者のステイタスシンボルと考えていたD1ゴルフ倶楽部に,同クラブの入会資格である40歳になったら入会することを望んでいたところ,その年齢を迎えた平成元年,被告人は同クラブの株式を6000万円で購入し,入会を申し込んだが,同クラブからは入会を認められなかった。そこで,被告人は,同クラブに入会できるよう実績を作ろうと考えて,同クラブ系列会社等のゴルフクラブ会員権を,2000万円,6000万円といった値段で買い始め,平成3年には,消費者金融から1億円を借り入れ,同金員でD1ゴルフ倶楽部の株式を購入し,念願の同クラブの会員となることができたことから,ますますゴルフにのめり込むようになり,被告人のゴルフ好きを知った顧客や取引銀行から,更にゴルフ会員権の購入を勧められても,投機や投資をするつもりはなかったのに,断りきれずに勧められるまま,数百万円から数千万円もの複数のゴルフクラブの会員権をローンで購入していき,他方で,被告人は,ゴルフ熱が高じるにつれて仕事は ても,投機や投資をするつもりはなかったのに,断りきれずに勧められるまま,数百万円から数千万円もの複数のゴルフクラブの会員権をローンで購入していき,他方で,被告人は,ゴルフ熱が高じるにつれて仕事はおろそかになり,時には放置することもあった。また,上記ビルを取得したころには,常勤の事務員を4名抱えるに至っていたが,ある事務員とのトラブルから,同人及びその事務員が加入した労働組合の要求されるまま人件費を引き上げたため,毎年,他の事務員の給与も,その均衡上,引き上げざるを得なくなり,事務員の人件費だけで事務所経費の5割から6割を占めるなど,事務所経営を逼迫するようになっていた。 そして,平成5年ころから,長引く不況のため,被告人の仕事は減り始め,事務所経費や借金の返済に悩むようになり,平成6年ころからは,少しでも多くの事件を受任でき,依頼者も事件を依頼しやすいようにと考えた結果,着手金は取らず,受任した事件が成功して経済的利益が出た場合に,その何割かを報酬としてもらうといった成功報酬制を導入するようになった。しかし,成功報酬制では事件が終結するまで金銭を得ることができなかったので,資金を預かるための口実として,被告人は,顧客に対し,供託金名目で多額の金員を預かることができる保全処分を,その必要性や有効性を検討することなく勧めるようになるとともに,事件の詳細を検討することなく相談者から安易に依頼を受け,法律的に無理があると思われた事件等を数多く受任することにもなり,依頼者の満足する結果が得られないことを被告人自身認識していたため,いきおい事件を放置することも増え,ますます報酬を得ることができなくなっていった。平成7年ころからは,被告人の所有する自宅やビル等不動産の価値も下落しており,不動産の担保価値が融資残高を割り込むようになっていたことも ることも増え,ますます報酬を得ることができなくなっていった。平成7年ころからは,被告人の所有する自宅やビル等不動産の価値も下落しており,不動産の担保価値が融資残高を割り込むようになっていたこともあって,金融機関から融資を受けることも難しくなり,企業も不景気から被告人との顧問契約を解除するようになったため,被告人の収入は,更に減少していった。平成9年には,金融機関から融資額の見直しもほのめかされたことから,被告人は,事務所の売上げの粉飾決算までするようになった。 平成10年ころには,ゴルフ会員権購入のための借入金として2億7000万円以上の負債を抱え,その返済だけで毎月230万円以上の,また,多額の生命保険に加入していたことから保険料の支払で毎月100万円以上の金員が必要となり,その他自宅及び上記ビルの建築費用等のための借入金を含めて金融機関に毎月合計で約500万円を返済しなければならなかったが,金融機関からは,これ以上融資を受けられる状態ではなかったため,被告人は,精神的に追いつめられ,仕事が手に付かなくなり,更にゴルフや酒食に逃避するようになっていった。このため,土日はもちろん,平日にもゴルフをするようになり,そのゴルフ代だけで月15万円から20万円ほどを費やし,また,高級割烹料亭や寿司屋等による外食も週に3日から5日にのぼり,その支払も月100万円以上になり,更に経済的な苦境に立つようになっていった。 (罪となるべき事実)被告人は,奈良市d1町e1番地所在のB1ビルに事務所(以下「B1法律事務所」という。)を置き,弁護士業務に従事していたものであるが,第1(平成14年4月10日付起訴分及び同月30日付起訴分)E1から委任を受け,F1株式会社ほか2名に対する700万円の貸金返還請求事件に関し,その訴えの提起,追行及び弁済金の いたものであるが,第1(平成14年4月10日付起訴分及び同月30日付起訴分)E1から委任を受け,F1株式会社ほか2名に対する700万円の貸金返還請求事件に関し,その訴えの提起,追行及び弁済金の代理受領等の弁護士業務に従事していたところ, 1 上記訴訟事務の委任を受けたことに乗じ,保全命令の担保金費用名下に金員を詐取しようと企て,平成10年7月24日ころ,B1法律事務所において,E1(当時62歳)に対し,保全命令の申立てをする意思がないのにこれがあるかのように装い,かつ,受領した金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「裁判に勝訴した後,早く確実に貸金を回収するためにはあらかじめ保全処分の申立てをして保全処分を受けておく必要があります。」,「保全処分を受けるための供託金として使いますので,300万円を私に預けてください。裁判が終わればこの金は全額戻ってきます。」などと嘘を言い,同人をして,被告人に300万円を交付すれば,被告人が上記貸金返還請求事件に関し,保全命令の申立てをし,上記300万円をその担保金として供託所に供託するものと誤信させ,よって,同月28日,奈良県桜井市e1内f1番地のg1所在のh1農業協同組合i1支所において,E1をして,奈良市j1町i1番地のk1所在の当時の株式会社l1銀行m1支店(以下「l1銀行m1支店」という。現在の「株式会社n1銀行」)に開設した被告人名義の普通預金口座に300万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた, 2 平成12年2月28日,同市o1p1丁目q1番r1号所在の株式会社s1銀行a1支店(以下「s1銀行a1支店」という。)に開設した被告人名義の普通預金口座にF1株式会社代表取締役G1からE1に支払われる債務の弁済金581万円の振込送金を受け,これを同人のた 式会社s1銀行a1支店(以下「s1銀行a1支店」という。)に開設した被告人名義の普通預金口座にF1株式会社代表取締役G1からE1に支払われる債務の弁済金581万円の振込送金を受け,これを同人のため業務上預かり保管中,同年3月1日,同支店において,ほしいままに,自己の用途に充てるため,事務員のH1をして,同口座から出金させて着服し,もって,これを横領した,第2(平成14年5月29日付起訴分の第1)Iから,同人がJ1信用保証協会から訴えられた求償金請求事件についての訴訟事務の委任を受けたことに乗じ,預り金名下に金員を詐取しようと企て,平成13年10月9日ころ,B1法律事務所において,同人(当時56歳)に対し,J1信用保証協会から同人の預金等の財産が差押えを受けるおそれはなく,同人から金員の交付を受けてもこれを同人のために保管する意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「このまま放っておくと差押えを受けますよ。預金を今すぐ解約して私に預けて下さい。事件が終わったらお返しします。」などと嘘を言い,同人をして,その旨誤信させ,同月12日,同事務所において,同人の妻であるK1をして,現金381万8000円を交付させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第3(平成14年5月29日付起訴分の第2)L1から,賃貸借契約に基づき同人所有の奈良県橿原市t1町u1番地所在のマンションの居室に入居していた賃借人M1ほか6名に対する賃貸借契約解除及び住居明渡交渉等の法律事務の委任を受け,その弁護士業務に従事していたところ,平成13年11月6日,奈良市v1町w1番地x1所在の当時の株式会社y1銀行z1支店(以下「y1銀行z1支店」という。現在の「株式会社a2銀行」)に開設した被告 その弁護士業務に従事していたところ,平成13年11月6日,奈良市v1町w1番地x1所在の当時の株式会社y1銀行z1支店(以下「y1銀行z1支店」という。現在の「株式会社a2銀行」)に開設した被告人名義の普通預金口座にL1から上記賃借人7名に交付すべき返還保証金及び転居費用の支払資金として572万円の振込送金を受け,これをL1のために業務上預かり保管中,そのころ,同支店において,ほしいままに,自己の用途に充てるため,同口座から出金して着服し,もって,これを横領した,第4(平成14年6月25日付起訴分の第1)N1から,同人が伯母O1から遺贈を受けたことに関して法律相談を受けたことに乗じ,金員を詐取しようと企て,平成13年9月25日,B1法律事務所において,N1(当時55歳)に対し,遺贈の意思表示を有効とするために裁判所に供託する制度はなく,同人から金員の交付を受けてもこれを同人のために保全する意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,同人から交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,同人に対し,「伯母さんの意思表示を有効にするために裁判所に供託する必要があります。伯母さんの意思表示があった時点で1000万円の預金が残っていたのなら,本来ならその時点での額である1000万円を供託する必要がありますが,現時点で800万円しかないのであれば,800万円で結構です。来年の3月15日までに贈与税を支払い,残りはお返しします。」などと嘘を言い,N1をして,その旨誤信させ,同月26日,s1銀行a1支店に開設した被告人名義の普通預金口座に800万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第5(平成14年6月25日付起訴分の第2)P1から,Q1らに対する損害賠償請求事件の処理及びP1が奈良税務署長から所 通預金口座に800万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第5(平成14年6月25日付起訴分の第2)P1から,Q1らに対する損害賠償請求事件の処理及びP1が奈良税務署長から所得税の加算税の賦課決定を受けたことに対する対応等の法律事務の委任を受け,その弁護士業務に従事していたところ,平成10年3月4日,B1法律事務所において,P1から加算税の納付資金として現金300万円の交付を受け,これを同人のために業務上預かり保管中,同月6日ころ,ほしいままに,自己の用途に充てるため,着服し,もってこれを横領した,第6(平成14年6月25日付起訴分の第3)上記P1から委任を受け,R1に対する1705万2000円の損害賠償請求事件に関し,その訴えの提起,追行及び和解金の代理受領等の弁護士業務に従事していたところ,平成13年11月16日,y1銀行z1支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座にR1からP1に支払われる和解金800万円の振込送金を受け,これを同人のため業務上預かり保管中,そのころ,同支店において,ほしいままに,自己の用途に充てるため,同口座から出金して着服し,もって,これを横領した,第7(平成14年6月28付起訴分)S1から,同人の夫の父親が経営する株式会社T1が破産宣告を受けた場合にS1の財産にどの様な影響があるかなどに関して法律相談を受けたことに乗じ,預り金名下に金員を詐取しようと企て,平成13年8月8日ころ,同市b2町c2丁目d2番e2号所在のS1方に電話をかけ,同人(当時34歳)に対し,同人から金員の交付を受けてもこれを同人のために保管する意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「S1さんのところが危ないのではな 員の交付を受けてもこれを同人のために保管する意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「S1さんのところが危ないのではないかと思っていました。1000万円くらいお持ちなんですね。」,「誰にもそのお金を取られないために私が守ってあげますから,ご主人や誰にも言わずに私に預ければいいですよ。」,「1年くらい預かっておきましょう。1年過ぎたら全額お返しします。」などと嘘を言い,S1をして,その旨誤信させ,よって,同月9日,同人をして,大阪市f2区g2筋h2丁目i2番j2号所在の当時の株式会社y1銀行g2支店において,s1銀行a1支店に開設した被告人名義の普通預金口座に461万2000円を振込送金させ,さらに,大阪市f2区k2l2丁目m2番n2号所在の当時の株式会社o2銀行k2支店(現在の「株式会社p2銀行」)において,上記普通預金口座に502万2343円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第8(平成14年7月11付起訴分)U1から,同人と同人の妻V1との離婚調停事件等についての法律事務処理の委任を受けた際,U1から,同人が自宅を新築した際,その費用の一部をV1の両親が負担した旨を聞くや,預り金名下に金員を詐取しようと企て,平成13年7月21日ころ,B1法律事務所において,U1(当時48歳)に対し,同人から金員の交付を受けてもこれを同人のために預かり保管する意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「調停が不調に終われば本訴になります。そうなると夫婦間の財産関係の調査があります。そのとき,相手方の実家から800万円を出してもらっておれば,交渉過程で相手に足下を見られます。そこで その情を秘し,「調停が不調に終われば本訴になります。そうなると夫婦間の財産関係の調査があります。そのとき,相手方の実家から800万円を出してもらっておれば,交渉過程で相手に足下を見られます。そこで,私がその800万円を預かっておき,このお金をいつでも返せる状態にしておけば,相手方にこの800万円はいつでも返せますと言えますから,私に800万円を預けてください。」などと嘘を言い,U1をして,その旨誤信させ,よって,同月24日,大阪市q2区q2筋r2丁目s2番t2号所在の当時の株式会社y1銀行u2支店において,同人をして,y1銀行z1支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座に800万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第9(平成14年7月18日付起訴分)W1から,同人の二男X1が逮捕され,勾留された刑事事件に関し,同人は無実であるから公訴を提起されることなく直ちに釈放されるよう弁護活動をして欲しい旨の依頼を受けたことに乗じ,W1から金員を詐取しようと企て,平成13年6月12日ころ,B1法律事務所において,同人(当時75歳)に対し,法律上公訴提起前に保釈が許可され保釈保証金費用が必要になることはなく,同人の依頼の趣旨に沿って弁護活動を行う場合でも多額の金員を必要とすることはないのに,これを必要とするかのように装い,かつ,交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「出そうと思ったら保釈やな。保釈金は300万円くらいやな。最近上がっているから500万円くらいやな。」,「私に500万円預けて下さい。そしたら釈放してもらえるようにしてあげます。」,「この金はすぐに預けて下さい。この金は,事件が終わったら全額お返しします。」などと嘘を言い,W1をして,その旨誤信させ,よって,同月1 預けて下さい。そしたら釈放してもらえるようにしてあげます。」,「この金はすぐに預けて下さい。この金は,事件が終わったら全額お返しします。」などと嘘を言い,W1をして,その旨誤信させ,よって,同月13日,奈良県天理市v2町w2番地のx2所在の株式会社y2銀行z2支店において,同人をして,y1銀行z1支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座に500万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第10(平成14年7月25日付起訴分)株式会社Y1代表取締役Z1から,同社の株式会社A2に対する1649万3220円の請負代金請求事件に関し,その訴えの提起及び追行等の法律事務の委任を受けたことに乗じ,保全命令の担保金費用名下に金員を詐取しようと企て,平成13年7月5日ころ,B1法律事務所において,同人(当時71歳)に対し,保全命令の申立をする意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,受領した金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「うまくタイミングを見つけて仮差押えを打ちましょう。請求金額が1600万円だから仮差押えをするにはその4分の1の400万円を供託しなければなりません。裁判所に供託金として400万円を積みます。」,「裁判を起こすには,裁判所に供託金として400万円預ける必要があります。裁判が終われば全額返還しますので,私に400万円預けて下さい。」などと嘘を言い,同人をして,その旨誤信させ,よって,同月6日,奈良県大和郡山市a3町b3番地のc3所在の当時の株式会社y1銀行d3支店において,Y1事務員B2をして,y1銀行z1支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座に400万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第11(平成14年9月6日付起訴分の第1) 務員B2をして,y1銀行z1支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座に400万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第11(平成14年9月6日付起訴分の第1)C2から,同人が傷害の被害を被った交通事故に関し,加害者であるD2に対する損害賠償請求,同人が自動車損害賠償責任共済契約を締結していた協同組合に対する共済金の請求及びC2が損害保険契約を締結していた保険会社に対する保険金の請求並びに共済金及び保険金の代理受領等の弁護士業務に従事していたところ, 1 平成12年10月23日,s1銀行a1支店に開設した被告人名義の普通預金口座に,D2が自動車損害賠償責任共済契約を締結していたE2農業協同組合の委託を受けたF2農業協同組合連合会からC2に支払われる示談金として4200万円の振込送金を受け,これを同人のため業務上預かり保管中,そのころから同年12月29日ころまでの間,同支店において,ほしいままに,自己の用途に充てるため,同口座から出金して着服し,もって,これを横領した, 2 平成13年2月5日ころ,B1法律事務所において,C2の長女G2からかかってきた電話により,C2が損害保険契約を締結していた当時のI2株式会社(現在の「I2’株式会社」)から上記事故により生じた同人の傷害に対する保険金として同人に対して256万8860円が支払われたことを知るや,同人から金員を詐取しようと企て,G2を介してC2(当時60歳)に対して,保険金額を増額させるために同保険会社と交渉する意思も,同人から金員を受領しても同保険会社に返還する意思もないのにこれあるかのように装い,かつ,受領した金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「その金額では低いと思います。この保険金は一旦返してチャラにして,それからちゃん する意思もないのにこれあるかのように装い,かつ,受領した金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「その金額では低いと思います。この保険金は一旦返してチャラにして,それからちゃんと交渉をします。そうしたら,もっとたくさんの金額の支払いを受けることができると思います。」,「私の方から相手に突き返すので,振り込まれた保険金を私の口座に振り込んで下さい。」などと嘘を言い,同人をして,その旨誤信させ,よって,同月8日,y1銀行z1支店において,同人をして,同支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座に256万8860円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた, 3 平成13年2月15日,y1銀行z1支店に開設した被告人名義の普通預金口座に,C2が傷害保険契約を締結していたJ2保険会社から同人に支払われる保険金として295万円の振込送金を受け,これを同人のため業務上預かり保管中,そのころ,同支店において,ほしいままに,自己の用途に充てるため,同口座から出金して着服し,もって,これを横領した,第12(平成14年9月6日付起訴分の第2)K2から,同人の弟L2に対する共有物分割調停事件の申立て及び追行等の依頼を受けたことに乗じ,預り金名下に金員を詐取しようと企て,平成13年7月2日ころ,B1法律事務所において,K2(当時69歳)に対し,真実は相手方との共有不動産の相手方持分に相当する金員を相手方に提供するつもりも,供託する意思もないのにこれあるかのように装い,かつ,交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「相手の持分を買い取るための資金を裁判所に提供する必要があります。こちらに支払う意思があることを示すために,供託するんです。」,「言ってみれば見せ金みたいなものです。」, 図であるのにその情を秘し,「相手の持分を買い取るための資金を裁判所に提供する必要があります。こちらに支払う意思があることを示すために,供託するんです。」,「言ってみれば見せ金みたいなものです。」,「共有不動産の価格が2億円くらいですから,相手方の持分の4分の1にあたる5000万円くらいを供託します。」,「この5000万円を私に預けて下さい。」などと嘘を言い,同月4日ころ,「分割清算を申し入れるのに,現実の提供をして,解決をはかる。例えば,清算金を5000万円とした場合,当方預かり口座へ入金していただき,当方から現実の提供をする。その後法務局へ供託する場合もある。」などと記載した書面を奈良県生駒市e3町f3番地所在のK2方にあてて郵送して,そのころ同人に認識了知させ,さらに,同月16日ころ,奈良市b1町g3丁目h3番i3号所在のj3ビルにおいて,同人の長男M2に対し,「5000万円が無理やったら,3000万円でもいいですよ。」などと言い,同人を介して,その旨K2に認識了知させて,同人をして,その旨誤信させ,よって,同月26日,奈良県生駒市k3l3丁目m3番n3号所在の株式会社y2銀行o3支店において,同人をして,s1銀行a1支店に開設した被告人名義の普通預金口座に3000万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第13(平成14年9月6日付起訴分の第3)株式会社N2から,宗教法人O2に対する約4800万円の債権の支払請求事件について委任を受け,その弁護士業務に従事していたところ,平成14年2月6日ころ,B1法律事務所において,株式会社N2取締役P2から上記不動寺所有に係る不動産を仮差押えするために供託する担保金費用として現金1000万円の交付を受け,これを株式会社N2のために業務上預かり保管中,そのころ,ほしいままに 株式会社N2取締役P2から上記不動寺所有に係る不動産を仮差押えするために供託する担保金費用として現金1000万円の交付を受け,これを株式会社N2のために業務上預かり保管中,そのころ,ほしいままに,自己の用途に充てるため,着服し,もって,これを横領した,第14(平成14年9月27日付起訴分の第1)Q2からR2に対する賃貸借契約終了に基づく建物収去土地明渡請求事件に関し,その請求,調停申立て,訴えの提起及びその追行等の法律事務の委任を受けたことに乗じ, 1 保全命令の担保金費用等名下に金員を詐取しようと企て,平成12年4月6日ころ,B1法律事務所において,Q2(当時85歳)に対し,保全命令の申立てをする意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,受領した金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「相手が地上建物の名義を変更すると,手続が延び延びになってしまうので,それをさせないために仮処分をしますから,その保証金が要ります。」,「土地の明け渡しを求めて,強制執行をすることがありますので,その供託金が要ります。」,「保証金は,300万円かかりますし,供託金も300万円かかりますので,600万円くらい要ります。」,「このお金を私に預けて下さい。」などと嘘を言い,Q2をして,その旨誤信させ,よって,同月14日,同市p3町q3番地所在の株式会社y2銀行r3支店において,同人の長男の妻S2をして,s1銀行a1支店に開設した被告人名義の普通預金口座に600万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた, 2 上記事件に関し奈良地方裁判所において請求認容判決の言渡しを受け,さらに,上記R2他1名に対する建物収去土地明渡執行事件に関しその法律事務処理事件の委任を受けたことに乗じ,強制執行費用名下に金員を詐取しようと企て,平成 裁判所において請求認容判決の言渡しを受け,さらに,上記R2他1名に対する建物収去土地明渡執行事件に関しその法律事務処理事件の委任を受けたことに乗じ,強制執行費用名下に金員を詐取しようと企て,平成13年5月24日ころ,同市s3町t3番地のu3所在のQ2方において,同人(当時87歳)に対し,強制執行の申立てをするにあたり直ちに納める必要はないのにこれあるかのように装い,かつ,受領した金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「強制執行の費用は200万円から250万円くらいかかるから,その費用を相手から出させましょう。こちらが先に強制執行の手続をすれば,相手がそれを防ごうとして,執行停止をとるために金を積みますから,その金を押さえます。相手にそのようにさせるように誘うために,強制執行の手続をするので,その費用として250万円を預けて欲しい。」などと嘘を言い,Q2をして,その旨誤信させ,よって,同月25日,y1銀行z1支店において,S2をして,同支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座に250万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第15(平成14年9月27日付起訴分の第2)T2から,同人の二女U2が知人の債務の連帯保証人となっていたことがT2の財産にどの様な影響があるかなどに関して法律相談を受けたことに乗じ,預り金名下に金員を詐取しようと企て,平成12年7月5日,B1法律事務所において,同人(当時73歳)に対し,真実は,同人の財産が同人の二女の連帯保証債務の責任財産となることはなく,同財産を保全する必要性はなく,仮に保全の必要性があったとしても裁判所に供託して保全する制度もなく,T2から金員の交付を受けても直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「財産を保全するためにい 全する必要性はなく,仮に保全の必要性があったとしても裁判所に供託して保全する制度もなく,T2から金員の交付を受けても直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「財産を保全するためにいろいろと網を張りましょう。その方法として,財産をすべて長女に相続させる旨の遺言状を作ります。土地建物に関しては,あなたが死亡した時点で長女に所有権を移転する始期付贈与の仮登記をします。」,「あなた方夫婦の預貯金については,裁判所に供託します。その供託金の金額は,財産の5分の1くらいが適切な金額ですので1000万円くらいが必要だと思います。」,「このお金を現金にして来週の火曜日までに私に振り込んで下さい。このお金は,すべて解決すれば全額戻ります。」などと嘘を言い,T2をして,その旨誤信させ,よって,同月10日,同市v3町w3番地のx3所在の株式会社y2銀行z3支店において,同人をして,s1銀行a1支店に開設した被告人名義の普通預金口座に1000万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第16(平成14年9月27日付起訴分の第3)V2から,W2所有の土地の取得等について委任を受け,その弁護士業務に従事していたところ,平成12年8月24日ころ,B1法律事務所において,V2からW2所有に係る土地取得資金として現金500万円の交付を受け,これをV2のために業務上預かり保管中,そのころ,ほしいままに,自己の用途に充てるため,着服し,もってこれを横領した,第17(平成14年9月27日付起訴分の第4)X2株式会社代表取締役Y2から同社がZ2から訴えられた損害賠償請求事件についての訴訟事務の委任を受け,平成12年10月16日に奈良地方裁判所葛城支部において言い渡されたX2がZ2に対して2650万円を支払えとの仮執行宣言付判決に対して大阪高 えられた損害賠償請求事件についての訴訟事務の委任を受け,平成12年10月16日に奈良地方裁判所葛城支部において言い渡されたX2がZ2に対して2650万円を支払えとの仮執行宣言付判決に対して大阪高等裁判所に控訴して,その弁護士業務に従事していたところ,Y2が疾病のため同社業務の執行を同人の長男A3に引き継ぎ,同人から上記訴訟の状況について説明を求められたことに乗じ,金員を詐取しようと企て,平成13年3月29日ころ,奈良県f4市大字a4b4番地所在のX2事務所において,同人(当時37歳)に対し,Z2による上記仮執行宣言に基づく強制執行を阻止するつもりはないのにこれあるかのように装い,かつ,A3から金員の交付を受けても直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「一審で相手に2650万円を支払えということになって,会社が負けたことになっており,一緒に訴えられた仲介業者が負けなかったことにお父さんが気にいらなかったんや。」,「それで控訴して今その途中やけど,一審の判決があるのでそれを使って相手方から会社に対し強制執行されるおそれがあるので,供託金を積んでおけば,強制執行を押さえられる。」,「全額見せ金で積めれば一番良いが,それが無理なら2割相当額の500万円でよい。」などと嘘を言い,同人をして,その旨誤信させ,よって,同年4月2日,同市内c4町d4番e4号所在の株式会社y1銀行f4支店において,同人をして,y1銀行z1支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座に500万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第18(平成14年10月28日付起訴分の第1)B3から,同人の父C3の相続に関し,遺産である不動産の相続を原因とする所有権移転登記手続並びに遺産分割調停申立て及び追行等の依頼を受け,その際,共 第18(平成14年10月28日付起訴分の第1)B3から,同人の父C3の相続に関し,遺産である不動産の相続を原因とする所有権移転登記手続並びに遺産分割調停申立て及び追行等の依頼を受け,その際,共同相続人であるB3の姉によって無断で遺産の処分がなされないよう保全するための法的手続に関して相談を受けたことに乗じ,金員を詐取しようと企て,平成11年3月12日ころ,B1法律事務所において,B3(当時56歳)に対し,上記姉によって遺産の処分がなされないよう保全するための法的手続をする意思はなく,B3から金員の交付を受けてもこれを遺産の処分がなされないよう保全するために有効に用いる意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,同人から交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「お姉さんが勝手に不動産を処分できないようにしますので,そのために供託金を積んで裁判所の管理下に置けば,勝手に処分することができないのです。」,「300万円を供託金として裁判所に預けますので,この金を私に振り込んで下さい。」,「この金は,調停が終われば,全額戻りますので,お返しします。」などと嘘を言い,B3をして,その旨誤信させ,よって,同月16日,同市g4h4丁目i4番j4号所在の株式会社y2銀行k4支店において,同人をして,幸福銀行z1支店に開設した被告人名義の普通預金口座に300万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させた,第19(平成14年10月28日起訴分の第2)B3から,同人の母D3の相続に関し,遺産である不動産の相続を原因とする所有権移転登記手続並びに遺産分割調停申立て及び追行等の依頼を受け,その際,上記姉によって無断で共同相統人であるB3の弟の相続分の処分がなされないよう保全するための法的手続に関して相談を受けたこ る所有権移転登記手続並びに遺産分割調停申立て及び追行等の依頼を受け,その際,上記姉によって無断で共同相統人であるB3の弟の相続分の処分がなされないよう保全するための法的手続に関して相談を受けたことに乗じ,金員を詐取しようと企て,平成11年4月26日ころ,B1法律事務所において,B3に対し,上記姉によって上記弟の相続分の処分がなされないよう保全命令の申立てをする意思も,その他の保全のための法的手続をする意思もなく,B3から金員の交付を受けてもこれを遺産の処分がなされないよう保全するために有効に用いる意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,同人から交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「弟さんの相続分は,3分の1ですが,その相続分の遺産を勝手に処分されないようにするため裁判所に仮処分の申立てをしますから,その供託金として150万円を私に預けて下さい。」,「この金も裁判が終われば,全額戻ってきます。」,「この金は急ぎますから,28日中に現金で持って来て下さい。」などと嘘を言い,同人をして,その旨誤信させ,よって,同月28日,B1法律事務所において,同人から現金150万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させた,第20(平成14年10月28日付起訴分の第3)E3から,同人がF3から受けた不法行為に基づく損害賠償請求等の法律事務処理の委任を受け,その弁護士業務に従事していたところ,E3から,株式会社y2銀行l4支店に開設した同人名義の普通預金口座にF3から何らの事前交渉もなく一方的に130万円が振り込まれたとして同金員を同人へ返還するよう依頼を受け,平成11年10月25日,B1法律事務所において,E3から現金130万円の交付を受けてこれを同人のために業務上預かり保管中,そのころ,ほしいままに まれたとして同金員を同人へ返還するよう依頼を受け,平成11年10月25日,B1法律事務所において,E3から現金130万円の交付を受けてこれを同人のために業務上預かり保管中,そのころ,ほしいままに,自己の用途に充てるため,着服し,もって,これを横領した,第21(平成14年10月28日付起訴分の第4)G3から,同人の父H3の相続が開始したことに関して法律相談を受けたことに乗じ,金品を詐取しようと企て,平成11年11月上旬ころ,B1法律事務所において,G3(当時27歳)に対し,限定承認の手続として裁判所に相続財産を預託する必要はなく,同人から金員の交付を受けてもこれを同人のために保全する意思がないのにこれあるかのように装い,かつ,同人から交付を受けた金員は直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「すべての遺産が集まった段階で限定相続の手続に伴って裁判所に6か月間預けなければなりません。」などと嘘を言い,同人をして,その旨誤信させ,さらに,同人からH3の生命保険金等の支払を受けた旨連絡を受けるや,平成12年2月16日ころ,B1法律事務所において,G3に対し,「全額裁判所に預けるため,一旦私の口座に移し替えますので,しばらく通帳と印鑑をお預かりします。」などと申し向け,よって,即時,同事務所において,同人から,株式会社y2銀行m4支店発行の同人名義の総合貯蓄口座通帳1通(残高1068万7788円)及び「G3」と刻印された印鑑1本の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させた,第22(平成14年10月28日付起訴分の第5)I3から,同人の妻J3との夫婦関係調整及び離婚請求事件についての法律事務処理の委任を受けた際,I3が同人所有の土地等についてJ3の借金の返済に充てられるのではないかと不安を抱いていたことに乗じ,金員を詐取 ,同人の妻J3との夫婦関係調整及び離婚請求事件についての法律事務処理の委任を受けた際,I3が同人所有の土地等についてJ3の借金の返済に充てられるのではないかと不安を抱いていたことに乗じ,金員を詐取しようと企て,平成12年6月7日,B1法律事務所において,I3(当時69歳)に対し,同人の財産を保全するために供託する制度はないのにこれあるかのように装い,かつ,同人から金員の交付を受けても直ちに自己の用途に費消する意図であるのにその情を秘し,「離婚に向けて,まず調停の申立てをします。」,「田などの財産は,保全しておけばよい。そのためには,400万円くらい供託しておけばよい。」,「この金は,裁判が終われば全額戻ります。」,「私が供託しますから,私に400万円を預けて下さい。」,「もし,400万円が無理なら,350万円でもいいです。」などと嘘を言い,同人をして,その旨誤信させ,よって,同月9日,奈良県北葛城郡n4町o4丁目p4番q4号所在のr4信用金庫s4支店において,同人をして,y1銀行z1支店に開設したB1法律事務所弁護士被告人名義の普通預金口座に350万円を振込送金させ,もって,人を欺いて財物を交付させたものである。 (量刑の理由)本件は,弁護士であった被告人が,自己の借入金返済資金や事務所経費の支払,あるいは依頼者から預かっていた金員の返済資金等欲しさから,他の依頼者をだまして金員を取得し,又は業務上預かっていた金員を横領したという詐欺17件(被害総額1億552万1203円。但し,判示第21の実質的被害を含めると総額1億1620万8991円となる。)及び業務上横領9件(被害総額8378万円)からなる事案である。 これらの犯行は,バブル経済崩壊後,所得の減少,所有する不動産の担保価値低下等により,金融機関の融資が困難になって経済的な となる。)及び業務上横領9件(被害総額8378万円)からなる事案である。 これらの犯行は,バブル経済崩壊後,所得の減少,所有する不動産の担保価値低下等により,金融機関の融資が困難になって経済的な苦況に陥りつつあった被告人が,自己の返済能力を十分考慮しないまま,安易に消費者金融から融資を受けて高額なゴルフ会員権を購入し続けるとともに,その事務所経営にもルーズな面があったことから過大な事務所経費を要するようになりながら,職務に邁進することなく,これらの返済の重圧から逃れようとして,かえって,ますますゴルフや酒食に逃避し,その結果,多額の負債を抱えるに至り,平成6年ころから,返済資金を作るために依頼者からの預り金等を流用し始め,その預り金や上記借入金の返済,自己の遊興費の捻出等のために,更に新たな依頼者に対して本件詐欺や横領を行うといった自転車操業を繰り返しているうち,平成13年9月ころには弁護士会の紛議調停委員会の弁護士らから事件を整理するように忠告を受けたにもかかわらず,弁護士としての自己の地位を守り,破綻を先送りにするために,その後も相次いで本件各犯行を敢行したものであって,犯行の動機は,いずれも私利私欲に端を発した自己中心的,かつ身勝手なもので,酌量の余地はない。 また,その犯行の態様も,法律知識に乏しく被告人に全幅の信頼を置くしかなかった被害者らに対し,話術巧みに,被告人に事件処理を任せていれば安心であると伝えた上で,必要性のない保全処分や,法律上ありもしない制度等を説明するなどして,次々と金員をだまし取り,あるいは横領していったものであり,その手口は狡猾,かつ卑劣であって,犯情極めて悪質である。 そして,本件の被害者は20名に上り,その実質的な被害総額も2億円に近い膨大なものである。被害者らは,いずれも被告人のことを気さくで あり,その手口は狡猾,かつ卑劣であって,犯情極めて悪質である。 そして,本件の被害者は20名に上り,その実質的な被害総額も2億円に近い膨大なものである。被害者らは,いずれも被告人のことを気さくで親身になって低料金で法律業務を遂行してくれる良い弁護士であると考えて事務を依頼していたもので,何ら落ち度がないばかりか,いずれも法律的に困窮した状態で,唯一の救いとして被告人のもとを訪れたのに,本来の法律問題が解決しないばかりか,被告人によって新たな被害を被ったものである。被告人は平成14年6月に破産宣告を受けているが,その全財産を処分しても被害回復の目処は全く立たっておらず,被害者の受けた経済的損害は勿論のこと,その精神的打撃もまた大きく,同人らが,被告人に対し厳重処罰を望んでいるのも至極当然のことである。 そもそも弁護士は,依頼者の信頼に基づいて事件処理をし,依頼者の正当な利益の実現に努めるよう期待された存在であり,そのような職責を担う法律の専門家が,法的知識を悪用し,依頼者の信頼や期待を裏切って,依頼者をだまして金員を受け取ったり,その預り金を横領したりするという重大な違法行為を行ったことは,弁護士法の理念に真っ向から反するものであり,国民の弁護士,ひいては法曹全体に対する信頼を大きく失墜させたものであって,この点は強く非難されなければならない。 このような事情に照らすと,被告人の刑責には相当重いものがある。 しかしながら,他方で,被告人は,自己の非を素直に認め,本件各犯行について深く反省するとともに,被害者に対し謝罪の意思を表明していること,また,被告人は,平成14年2月に検察庁に出頭して自首しており(もっとも,本件については全部の事実につき自首が成立すると解するが,上記の出頭した当時,被告人は既に経済的に破綻しており,早晩被害者 ,また,被告人は,平成14年2月に検察庁に出頭して自首しており(もっとも,本件については全部の事実につき自首が成立すると解するが,上記の出頭した当時,被告人は既に経済的に破綻しており,早晩被害者らの告訴等によって自己の犯行が捜査機関に発覚すると考えていたし,客観的にもそのような状況にあったのであるから,自首そのものは,それほど被告人のために酌量すべき事情にはならない。),その後,同年3月に逮捕された以降も,検察官の取調べに対し,その犯行動機や事件の経過等につき,ありのままを供述しているばかりか,資料等が散逸しないようにした上,それらを弁護人を通じて捜査機関に提出するなど,積極的に捜査に協力しており,その結果,本件の全容がほぼ解明されたこと,そして,被告人の両親が被害弁償のためその財産を処分するなどして約1億円の金員を作っているが,被告人の刑事責任の軽減だけを考えれば,同金員を本件起訴された被害者だけに弁償することもできたのに(もし,そうしていれば,約半分の被害が回復されている。),そうしないで,同人らを含め,担保権を有さない一般の債権者にもその債権額に応じて案分して弁償したため,上記の被害者に対する被害の回復は約1割にとどまったこと,本件は,マスコミ等により大きく報道されるとともに,被告人は既にA1弁護士会から除名処分を受け,また,長年連れ添った妻子とも離別し,経済的にも破産宣告を受けるなど,自業自得とはいえ,多くのものを一挙に失い,相当の社会的制裁を受けていること,10年以上前の交通事犯による罰金刑しか前科がないこと,糖尿病を患うなどその健康状態も芳しくないことなど,被告人のために酌むべき事情も存する。 そこで,以上の諸事情を総合的に考慮すると,被告人に対しては,主文の刑に処するのが相当であると考えた。 よって,主文のとおり判 健康状態も芳しくないことなど,被告人のために酌むべき事情も存する。 そこで,以上の諸事情を総合的に考慮すると,被告人に対しては,主文の刑に処するのが相当であると考えた。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑・懲役10年)平成15年4月25日奈良地方裁判所刑事部裁判長裁判官東尾龍一裁判官品川しのぶは転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官東尾龍一裁判官鵜飼万貴子は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官東尾龍一

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