○ 主文一原告の請求をいずれも棄却する。二訴訟費用は原告の負担とする。○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が昭和四四年二月二八日付をもつて原告の昭和四〇年分、四一年分の各所得税についてした各更正処分及び過少申告加算税賦課決定を取消す。2 訴訟費用は被告の負担とする。二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二当事者の主張一原告の請求原因 1 原告の昭和四〇、四一年分の所得税に係る確定申告、修正申告、異議申立、審査請求、被告のなした更正処分及び過少申告加算税賦課決定(以下両処分を本件更正処分という。)、異議申立棄却決定ならびに国税不服審判所長のなした審査請求棄却決定は表一のとおりである。2 しかしながら本件更正処分は原告の給与所得を過大に認定した違法があるので取消されるべきである。二請求原因に対する被告の認否請求原因1の事実は認め、2の主張は争う。三被告の主張 1 原告は学校法人日本大学の教授である。ところで原告が右大学から給付を受けた給与所得のうち争いのある項目、給付額、給付年月日は別表二のとおりであり、右各項目について給与所得と認定した理由は以下のとおりである。2 入学増収研究費(昭和四〇、四一年)右給付は、日本大学が各年度における入学試験に関与した教職員に対して一般的に給付したものであり、研究費の名目がついているものの研究の成果についての提出等の義務も課されてはいないのであり、実質は、労務提供の対価としての性質を有するものである。右給付を受けた者の地位、資格は、原告の所属していた法学部に限定してみても、各年とも監事、学部長、学生指導委員長、学生指導副委員長、事務局長、事務長、経理長に特定され、その範囲は研究費の給付を必要としない学部の管理組織上の地位に基づいて定められていることからして みても、各年とも監事、学部長、学生指導委員長、学生指導副委員長、事務局長、事務長、経理長に特定され、その範囲は研究費の給付を必要としない学部の管理組織上の地位に基づいて定められていることからしても、右給付が労務提供の対価としての性質を有するものであることは明らかである。 務局長、事務長、経理長に特定され、その範囲は研究費の給付を必要としない学部の管理組織上の地位に基づいて定められていることからして みても、各年とも監事、学部長、学生指導委員長、学生指導副委員長、事務局長、事務長、経理長に特定され、その範囲は研究費の給付を必要としない学部の管理組織上の地位に基づいて定められていることからしても、右給付が労務提供の対価としての性質を有するものであることは明らかである。3 見学研究費(昭和四〇年)右給付は、日本大学が一定の地位以上にある者に対して給付したものである。法学部における給付を受けた者の地位、資格は入学増収研究費と同様(学生指導委員が追加)、学部の管理組織上の地位に基づいて定められているのみならず、研究課題の指示はなく、しかも見学旅行の義務或はその成果等の報告義務も課しておらず、もとより清算の義務は伴つていないのであるから、実質は労務提供の対価としての性質を有するものである。4 附属高校一斉テスト手当(昭和四一年分)附属高校一斉テストは、日本大学が同大学への入学に必要な学力を有するか否かを把握する目的のもとに附属高校(当時九校)に在学する三年生を対象者として行なうものである。右給付は、右一斉テストに試験委員として関与した日本大学の教授、助教授(当該年度の法学部における支給対象者は原告を含む教授三名、助教授一名である。)に対して慰労の趣旨で給付したものであり、実質は労務提供の対価としての性質を有する。5 中元、歳暮(昭和四〇、四一年分)右給付は、日本大学が一般賞与を補完する意味で、職務の責任度と功労度に応じて一定の地位を有する者に給付したものであり、実質は労務提供の対価としての性質を有するものである。6 車料(昭和四〇、四一年)右給付は、日本大学が、被告の主張5の中元、歳暮に併せて車料の名目で給付したものであるが、車の使用実績に応じて給付したものではなく、同大学が昭和四〇、四一年中に原告に支給した賞与の手取額を増加 年)右給付は、日本大学が、被告の主張5の中元、歳暮に併せて車料の名目で給付したものであるが、車の使用実績に応じて給付したものではなく、同大学が昭和四〇、四一年中に原告に支給した賞与の手取額を増加させる意図のもとに車料という名称を付したにすぎないもので、実質は賞与の加俸的性質を有する。四被告の主張に対する原告の認否 1 原告が日本大学の教授であること、同大学から別表二のとおりの支給を受けたことは認める。 右給付は、日本大学が、被告の主張5の中元、歳暮に併せて車料の名目で給付したものであるが、車の使用実績に応じて給付したものではなく、同大学が昭和四〇、四一年中に原告に支給した賞与の手取額を増加させる意図のもとに車料という名称を付したにすぎないもので、実質は賞与の加俸的性質を有する。四被告の主張に対する原告の認否 1 原告が日本大学の教授であること、同大学から別表二のとおりの支給を受けたことは認める。2 入学増収研究費及び見学研究費について(一) 研究は何人の指揮命令にも基づかないものであるから、研究費という名目で支給される給付は給与所得に該当しない。即ち、大学は学術の中心であり、教授は学生を教授し、その研究を指導し、または研究に従事する任務を有する。学生に対する教育と研究指導は時間割に基づいて行なわれる点で、大学の具体的な勤務時間の拘束を受けるのであつて、給与は右の具体的な勤務時間として特定できる労務に対する対価であることはいうまでもない。ところが教授は、右以外に、研究に従事し深く専門の学芸を教授、研究する任務があり、右は学問の自由(憲法二三条)によつて保障されている。大学における教授の研究は独立自由であり、テーマの選択、内容、学問方法論の採用などすべてにわたつて何人の指揮命令にも服さない性質のものであり、このような任務の遂行のために必要な費用が研究費であり、研究費の存在と学問の自由の維持、研究の発展とは不可分の関係に立つ。本件更正処分には、右のような学校教育法上の特殊な任務を有する大学教授の研究に対して支給された費用を使用者に従属して提供した労務の対価の性質を有するものとして給与所得と認定した点に違法がある。(二) 当該給付が所得税法に規定する所得に該当するか、或は所得分類のいずれに該当するかは、給付の名目、受給者の認識 して提供した労務の対価の性質を有するものとして給与所得と認定した点に違法がある。(二) 当該給付が所得税法に規定する所得に該当するか、或は所得分類のいずれに該当するかは、給付の名目、受給者の認識、支給された金員の使途等を勘案して判断されるべきである。被告は、入学増収研究費は入試に関与した日本大学の教職員に対し、見学研究費は一定の地位以上の者に対して給付したと主張する。しかしながら、右各研究費の交付の経緯は以下のとおりであるから、日本大学がいかなる理由のもとに或は、いかなる範囲の対象者に支給したかは、原告においては全く知り得なかつたものである。 いずれに該当するかは、給付の名目、受給者の認識、支給された金員の使途等を勘案して判断されるべきである。被告は、入学増収研究費は入試に関与した日本大学の教職員に対し、見学研究費は一定の地位以上の者に対して給付したと主張する。しかしながら、右各研究費の交付の経緯は以下のとおりであるから、日本大学がいかなる理由のもとに或は、いかなる範囲の対象者に支給したかは、原告においては全く知り得なかつたものである。入学増収研究費、見学研究費は、他の研究費(研究費、特別研究費、教材研究費)とともに、右名称を付した法学部封筒に同封されて、法学部会計課から交付されたものであり、本件の各研究費が特別の性質を有するものであるとか、特別の対象者に支給するものであるとの説明も、規則も存在しない。原告は本件各研究費と他の研究費とあわせて、法史学的な資料の購入及び西ドイツにおける在留研究の活動のために支出し、その結果、「請求異議訴訟における異議について」「一部請求について」の各論文を発表したものであつて、研究の目的にのみ費消したものである。従つて当該大学がいかなる理由のもとに、いかなる対象者に対して支給したものであつても、原告に対する関係では、当時進行中の研究の補助としての性質を有するから、研究費であつて、前記(一)の理由から給与所得には該当しない。3 附属高校一斉テスト手当について右給付は、本来原告が労務を提供する義務を有しない高校の一斉テストについて、臨時に一回に限つて、支払われた一時金であつて、記念贈与の性格を有するものであり、労務提供の対価ではない。4 中元、歳暮、車代について我が国の慣行として使用者と被 しない高校の一斉テストについて、臨時に一回に限つて、支払われた一時金であつて、記念贈与の性格を有するものであり、労務提供の対価ではない。4 中元、歳暮、車代について我が国の慣行として使用者と被用者との間において盆、暮に中元、歳暮として贈答が行なわれるところである。原告は、本件各係争年の七月上旬及び一二月上旬に開催された大学役職員会同と懇談会に出席し、その席上弁当その他を包んだ風呂敷包とともに中元、歳暮、車代として金員の給付を受けたものであり、このような金額的にもわずかであり、原告において日本大学に交付を求める請求権を有しないものは、我が国における慣行にてらして、所得を構成しないものというべきであり、仮に所得を構成するとしても一時所得と解するべきである。 る。原告は、本件各係争年の七月上旬及び一二月上旬に開催された大学役職員会同と懇談会に出席し、その席上弁当その他を包んだ風呂敷包とともに中元、歳暮、車代として金員の給付を受けたものであり、このような金額的にもわずかであり、原告において日本大学に交付を求める請求権を有しないものは、我が国における慣行にてらして、所得を構成しないものというべきであり、仮に所得を構成するとしても一時所得と解するべきである。また車料名義の給付は、実費旅費の打切支給であつて所得を構成するものではない。第三証拠(省略)○ 理由一請求原因1の事実(本件更正処分の経緯)については当事者間に争いがない。二そこで本件更正処分につき原告主張の違法があるか否かについて判断する。所得税法二八条一項は、給与所得につき、俸給、給料、賃金、歳費、年金、恩給、賞与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいう旨規定しているところであるが、給与所得とは、名目の如何を問わず、雇用関係ないし右に準ずる関係に基づいて、被用者が使用者から受ける労務その他の役務の対価たる経済的利益をいうものと解すべきである。そこで、本件争点につき、給与所得に該当するか否かを順次検討する。1 入学増収研究費及び見学研究費について証人Aの証言及び同証言により成立の認められる乙第二、第三、第八号証の各一、二によれば、入学増収研究費の名目で支給された金員は、日本大学の入学試験に関与した職員で一定の地位以上にある者即ち学部長、監事、事務局長、事務長等を より成立の認められる乙第二、第三、第八号証の各一、二によれば、入学増収研究費の名目で支給された金員は、日本大学の入学試験に関与した職員で一定の地位以上にある者即ち学部長、監事、事務局長、事務長等を支給の対象者として、会頭、副会頭常務理事が当該大学に対する功労度等を斟酌して支給額を決めていたこと、支給対象者及び支給額を記載した大学保管の査定書には入学増収慰労と表示されていたところ、後日、入学増収研究費と表題が改められていること、当該大学の経理上の処理は検定費として処理されていたこと、また、見学研究費の名目で支給された金員も支給対象者は一定の地位以上の者に対してなされ、支給額の決定は前示入学増収と同様の方法が採られていたこと、右支給にあたり見学旅行の義務或は研究課題の指示は何らなかつたものであることが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。 入学増収慰労と表示されていたところ、後日、入学増収研究費と表題が改められていること、当該大学の経理上の処理は検定費として処理されていたこと、また、見学研究費の名目で支給された金員も支給対象者は一定の地位以上の者に対してなされ、支給額の決定は前示入学増収と同様の方法が採られていたこと、右支給にあたり見学旅行の義務或は研究課題の指示は何らなかつたものであることが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。そうすると右各給付は、いずれも研究費の名目で支給されてはいるが、実質的にこれらを考察すれば、入学増収に係る給付は、入学試験にあたつて提供した労務の対価としての性質を有するものであり、見学研究費として支給した金員は、一定の地位以上の者に対する役務の対価としての性質を有するものと認められ、いずれも給与所得に該当すると解するのが相当である。原告は、給付の名目、受給者の認識、支給された金員の使途等を勘案して所得ないし所得項目の性質を判断すべきであると主張するが、給与所得に該当をするか否かは、給付の性格等を客観的に検討して、労務または役務の対価と評価されるか否かにより判断すべきであつて、原告の認識、使途如何により、本件各給付の前示認定に影響を及ぼすものでないので、原告の主張は採用しない。2 附属高校一斉テスト手当について証人Aの証言及び同証言により成立の認められる乙第九号証の一、二によれば、右給付は、日本大 各給付の前示認定に影響を及ぼすものでないので、原告の主張は採用しない。2 附属高校一斉テスト手当について証人Aの証言及び同証言により成立の認められる乙第九号証の一、二によれば、右給付は、日本大学が同大学の附属高校の在校生を対象に行なう一斉テストに際し、試験委員として従事した教職員に対して支給されたものであることが認められ、そうすると、まさに労務に対する慰労の性質を有するものと解せられ、給与所得に該当するものということができる。原告は、本来労務を提供する義務を有しない高校の一斉テストに関して支給された一時金であつて、記念贈与的な性質を有し、給与所得には該当しない旨主張するが、原告の試験委員としての関与は、当該大学の運営の一環としてなされたものであり、右給付、当該大学から支給されたものであるから、原告主張の義務の存否いかんにより、本件給付の前示労務の対価たる性質に消長を来たすものとは到底いえないので、原告の主張は失当である。 告は、本来労務を提供する義務を有しない高校の一斉テストに関して支給された一時金であつて、記念贈与的な性質を有し、給与所得には該当しない旨主張するが、原告の試験委員としての関与は、当該大学の運営の一環としてなされたものであり、右給付、当該大学から支給されたものであるから、原告主張の義務の存否いかんにより、本件給付の前示労務の対価たる性質に消長を来たすものとは到底いえないので、原告の主張は失当である。3 中元、歳暮、車料について証人Aの証言及び同証言により成立の認められる乙第四号証の一ないし四、第五、六号証の各一、二、第七号証の一ないし四、第一〇号証の一ないし三、第一一、一二号証の各一、二、第一三号証の一ないし四、原告本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すれば、中元、歳暮は委員会の委員或は役員等に対して、車料は役付の職員に対してそれぞれ支給され、原告は、前二者については入学試験管理委員会幹事、入学試験問題研究委員会という資格において、後者については学監という資格において受領し、右いずれの給付も、各人毎に査定がなされ、地位等によつて支給額に差異があること等の事実が認められ、右認定に照すならば、本件各給付は、いずれも労務或は役務の対価であると解するのが相当である。原告は、本件の各給付は、金額的にも少額であつて 、地位等によつて支給額に差異があること等の事実が認められ、右認定に照すならば、本件各給付は、いずれも労務或は役務の対価であると解するのが相当である。原告は、本件の各給付は、金額的にも少額であつて、慣行上行なわれたものであつて所得ないし給与所得を構成しない旨主張する。原告本人尋問の結果によれば、当該大学においては、毎年七月及び一二月に大学役職員の会同が開催され、終了後に缶詰等とともに中元或は歳暮、車料の名目で金員を支給していたものであつて、支給方法は通常の場合と異なるけれども、前記認定のとおり、支給対象者が特定され、金額も地位等に応じて決められていたこと、金額的にも当該各係争年の物価水準に照して少額のものとはいえないこと及び本件各給付は当該大学において年二回開催され、大学の運営方針、教育、研究の状況について報告が行なわれる会同の終了後に支給されたものであること等の事実に照らせば、右各給付はいずれも、雇用関係に基づいて支給された給付であつて、いわゆる賞与の性質を有する給付にあたり、給与所得を構成するものと解せられるから、原告の主張は採用できない。 と、金額的にも当該各係争年の物価水準に照して少額のものとはいえないこと及び本件各給付は当該大学において年二回開催され、大学の運営方針、教育、研究の状況について報告が行なわれる会同の終了後に支給されたものであること等の事実に照らせば、右各給付はいずれも、雇用関係に基づいて支給された給付であつて、いわゆる賞与の性質を有する給付にあたり、給与所得を構成するものと解せられるから、原告の主張は採用できない。さらに原告は、車料は、旅費の打切支給である旨主張するが、証人Aの証言によれば、車料の名目で支給される金員は、地位に応じて金額が定められ、車の利用状況とは関連性がなく支給されていたことが認められ、右認定に照して、原告の主張はたやすく採用することはできない。三以上の次第で、本件各更正処分には原告の主張する違法事由はいずれも認められないので、同処分の取消を求める本件各請求はいずれも失当としてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官安部剛山下薫飯村敏明) 主文 ることとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官安部剛山下薫飯村敏明)
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