令和7(わ)64 業務上横領被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年8月28日 熊本地方裁判所
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判決文本文1,974 文字)

令和7年8月28日熊本地方裁判所刑事部宣告令和7年(わ)第64号、第107号、第170号業務上横領被告事件判決 主文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中130日をその刑に算入する。 理由 (犯罪事実)被告人は、A弁護士会に所属する弁護士であったものであり、B弁護団代表弁護士として、委任契約に基づく訴訟の提起、社会保険診療報酬支払基金に対する給付金の請求、支給された給付金の分配及び出納管理等の業務に従事していたものであるが、株式会社C銀行D支店に開設された「B弁護団代表弁護士E」名義の普通預金口座及び株式会社C銀行F支店に開設された「B弁護団会計担当弁護士G」名義の普通預金口座の各預金をB弁護団らのために業務上預かり保管中、自ら又は情を知らないH法律事務所事務員等を介して、 1 別表1【掲載省略】記載のとおり、平成30年5月17日から同年12月21日までの間、12回にわたり、熊本市a区bc番d号の株式会社C銀行F支店ほか3か所において、自己の用途に費消する目的で、前記各預金から払い戻した合計584万4000円のうち合計368万4240円を株式会社C銀行F支店に開設された「I」名義の普通預金口座ほか10口座に入金するなどし、 2 別表2【掲載省略】記載のとおり、平成31年1月10日から令和2年12月30日までの間、76回にわたり、熊本市a区ef番g号熊本市役所2階納税課窓口ほか8か所において、自己の用途に費消する目的で、前記「B弁護団代表弁護士E」名義の普通預金口座から払い戻した合計8169万9780円のうち合計3995万3284円を自己の市県民税として支払うなどし、 3 別表3【掲載省略】記載のとおり、令和3年1月20日から令和5年6月5日 口座から払い戻した合計8169万9780円のうち合計3995万3284円を自己の市県民税として支払うなどし、 3 別表3【掲載省略】記載のとおり、令和3年1月20日から令和5年6月5日までの間、82回にわたり、熊本市h区ij丁目k番l号株式会社C銀行J支店ほか4か所において、自己の用途に費消する目的で、前記「B弁護団代表弁護士E」名義の普通預金口座から払い戻した合計1億2993万6394円のうち合計4965万6260円を株式会社C銀行F支店に開設された「E」名義の普通預金口座ほか17口座に入金し、もって横領したものである。 (量刑の理由)本件は、B弁護団の代表弁護士として、国との間の和解に基づき、B型肝炎ウイルスに感染した原告に支払われた和解金の分配及び出納管理等を行っていた被告人が、平成30年5月から令和5年6月までの約5年間に、170回にわたり、同弁護団のために管理していた預金口座から引き出した現金のうち合計約9329万円を被告人名義又はその家族名義の口座に入金したり、税金・保険料の支払に費消したりして横領した事案である。 被告人は、弁護団に所属する他の弁護士から信頼され、弁護団の会計について監査体制が十分に整えられていない上、B型肝炎訴訟の原告となり得る者が今後も現れることから相当期間にわたって弁護団の預り金を精算することもなく、その間に補填することができれば横領が発覚しないかもしれないなどと考え、B弁護団の上位団体であるK弁護団に対してB型肝炎訴訟の和解件数を少なく、又は、和解金額の前提となる病態の区分を軽く報告するなどしてK弁護団への送金を少なくし、差額分を横領することとして横領行為が発覚しないようにしつつ、長期かつ多数回にわたり繰り返し横領したものであり、常習的・職業的犯行の一環で、犯行態様は悪質であ るなどしてK弁護団への送金を少なくし、差額分を横領することとして横領行為が発覚しないようにしつつ、長期かつ多数回にわたり繰り返し横領したものであり、常習的・職業的犯行の一環で、犯行態様は悪質である。被害総額は弁護士による業務上横領事案の中でも高額であり、令和4年に自らに対する報酬相当額420万円を弁護団の口座から出金せずに放棄した旨の被告人供述を考慮しても、被害の大部分は回復されておらず、今後具体的な弁償の見込みもない。被告人が共同経営する法律事務所の経費、自宅の住宅ローン、家族 を含む生活費等の支払に窮したなどという動機、経緯に酌量の余地はない。 これらの犯情等に照らすと、被告人には業務上過失傷害による罰金前科以外に前科がないこと、被告人が各犯行を認めて反省の言葉を述べていること等の事情を十分考慮しても、被告人の刑事責任は重く、主文程度の期間の懲役刑は免れない。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑:懲役8年)令和7年8月29日熊本地方裁判所刑事部裁判長裁判官中田幹人 裁判官賀嶋敦 裁判官若松亮太

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