令和6(わ)519 職業安定法違反、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年11月10日 高松地方裁判所
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判決文本文4,759 文字)

- 1 - 主文 被告人を懲役3年及び罰金300万円に処する。 未決勾留日数中140日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは、金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 この裁判が確定した日から5年間その懲役刑の執行を猶予する。 被告人から金2326万5059円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、性風俗関連特殊営業店に性的役務を提供する女性を紹介する等の事業を営んでいたものであるが、第1 Y1と共謀の上、同人がスカウトしたA(当時21歳)を、不特定多数の男性客を相手に性交等の性的役務を提供する売春婦として雇用させる目的で、令和4年10月18日、石川県内又はその周辺において、自己が使用する携帯電話機のアプリケーションソフト「LINE」を利用し、不特定多数の男性客を相手に対価を得て性交をさせる個室付浴場「a」の経営者Gに対し、Aを売春婦として紹介して雇用させ、もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介を行った第2 財産上不法な利益を得る目的で、前記Gが犯した売春防止法違反の犯罪行為により得た財産の帰属を仮装しようと考え、Y2と共謀の上、令和5年7月10日から令和6年6月10日までの間、12回にわたり、別表1(添付省略)記載のとおり、前記Gが、不特定多数の男性客から代金を徴して、売春婦であるA及びBと男性客らに前記「a」の個室を利用させて売春させ、売春を行う場所を提供することを業として得た犯罪収益の一部である合計415万7790円が混和した現金合計478万7140円を、被告人が管理するd銀行株式会社e支店に開設された前記Y2名義の普通預金口座に振込入金させ、もっ- 2 -て犯罪 罪収益の一部である合計415万7790円が混和した現金合計478万7140円を、被告人が管理するd銀行株式会社e支店に開設された前記Y2名義の普通預金口座に振込入金させ、もっ- 2 -て犯罪収益等の取得につき事実を仮装した第3 法定の除外事由がないのに、令和4年12月9日から令和5年6月12日までの間、8回にわたり、別表2(添付省略)記載のとおり、前記Gが、不特定多数の男性客から代金を徴して、前記A及びBと男性客らに前記「a」の個室を利用させて売春させ、売春を行う場所を提供することを業として得た犯罪収益の一部である合計248万8440円が混和した現金合計253万7440円を、その情を知りながら、被告人が管理するd銀行株式会社f支店に開設された被告人名義の普通預金口座に振込入金させ、もって犯罪収益等を収受した第4 Y3と共謀の上、氏名不詳者がスカウトしたCを、不特定多数の男性客を相手に性交等の性的役務を提供する売春婦として雇用させる目的で、令和5年5月16日頃、前記Y3が、石川県内又はその周辺において、前記「LINE」を利用し、不特定多数の男性客を相手に対価を得て性交等をさせる個室付浴場「b」等の経営者Hに対し、Cを売春婦として紹介して雇用させ、もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介を行った第5 Y4と共謀の上、氏名不詳者がスカウトしたDを、不特定多数の男性客を相手に性交等の性的役務を提供する売春婦として雇用させる目的で、令和6年1月4日頃、前記Y4が、石川県内又はその周辺において、前記「LINE」を利用し、前記Hに対し、Dを売春婦として紹介して雇用させ、もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介を行った第6 財産上不法な利益を得る目的で、茨城県土浦市(所在地省略)個室付浴場「b」及び同市(所在 対し、Dを売春婦として紹介して雇用させ、もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介を行った第6 財産上不法な利益を得る目的で、茨城県土浦市(所在地省略)個室付浴場「b」及び同市(所在地省略)個室付浴場「c」等の経営者である前記Hほか1名が犯した売春防止法違反の犯罪行為により得た財産の帰属を仮装しようと考え、氏名不詳者と共謀の上、不特定多数の男性客から代金を徴して、前記いずれかの浴場の売春婦であるEほか1名と男性客らに前記いずれかの浴場の個室を利用させて売春させ、売春を行う場所を提供することを業として得た犯罪収益の一部である合計284万5550円が混和した現金合計1714万842- 3 -5円を、その情を知りながら 1 令和5年3月10日から同年7月10日までの間、5回にわたり、別表3(添付省略)記載のとおり、前記Hに、犯罪収益111万9650円が混和した現金合計756万9575円を、氏名不詳の者が管理するg銀行株式会社h支店に開設されたI名義の普通預金口座に振込入金させ 2 令和5年8月10日から令和6年4月10日までの間、8回にわたり、別表4(添付省略)記載のとおり、前記Hに、犯罪収益172万5900円が混和した現金合計957万8850円を、氏名不詳の者が管理するd銀行株式会社e支店に開設されたJ名義の普通預金口座に振込入金させもって犯罪収益等の取得につき事実を仮装した。 (法令の適用) 1 構成要件及び法定刑を示す規定被告人の判示第1、第4及び第5の所為はいずれも刑法60条、令和4年法律第68号(以下「整理法」という。)441条1項により同法による改正前の職業安定法63条2号に、判示第2及び第6の所為はいずれも包括して刑法60条、整理法441条1項により同法による改正前の組織的犯罪処罰法 (以下「整理法」という。)441条1項により同法による改正前の職業安定法63条2号に、判示第2及び第6の所為はいずれも包括して刑法60条、整理法441条1項により同法による改正前の組織的犯罪処罰法10条1項前段に、判示第3の所為は包括して整理法441条1項により同法による改正前の組織的犯罪処罰法11条本文に、それぞれ該当する。 2 刑種の選択判示第1、第4及び第5の罪についてはいずれも懲役刑を、判示第2、第3及び第6の罪についてはいずれも懲役刑及び罰金刑をそれぞれ選択する。 3 併合罪の処理以上は整理法441条1項により令和4年法律第67号による改正前の刑法(以下「旧刑法」という。)45条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法47条本文、刑法10条(ただし、1項は旧刑法)により刑及び犯情の最も重い判示第4の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については刑法48条1項によ- 4 -りこれをその懲役刑と併科することとし、同条2項により判示第2、第3、第6の各罪所定の罰金の多額を合計する。 4 宣告刑の決定以上の刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役3年及び罰金300万円に処する。 5 未決勾留日数の算入刑法21条を適用して未決勾留日数中140日をその懲役刑に算入する。 6 労役場留置その罰金を完納することができないときは、刑法18条により金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 7 刑の執行猶予情状により整理法447条、刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から5年間その懲役刑の執行を猶予する。 8 追徴被告人が判示第2、第3及び第6の犯行により取得につき事実を仮装し又は収受した犯罪収益等2447万3005円は組織的犯罪処罰法13条1項5号に該当するが、このうち被告人がd銀行株 8 追徴被告人が判示第2、第3及び第6の犯行により取得につき事実を仮装し又は収受した犯罪収益等2447万3005円は組織的犯罪処罰法13条1項5号に該当するが、このうち被告人がd銀行株式会社に対して有する被告人名義の普通預金債権(同銀行f支店、口座番号〇〇〇〇)のうち50円に相当する部分及びY2がd銀行株式会社に対して有するY2名義の普通預金債権(同銀行e支店、口座番号〇〇〇〇)のうち94円に相当する部分(なお、前記Y2名義の口座は被告人が実質的に管理する口座であり、その普通預金債権は被告人に帰属する。)の合計144円を差し引いた2447万2861円については、犯罪収益等である財産を特定できず、没収することができないので、同法16条1項本文により、その価額のうち、検察官の求刑に従い、2326万5059円を被告人から追徴する。 なお、前記被告人名義の普通預金債権のうち50円に相当する部分及びこれに対する令和4年12月9日からの利息債権、前記Y2名義の普通預金債権のうち- 5 -94円に相当する部分及びこれに対する令和5年7月10日からの利息債権は、いずれも共犯者Y1に対する確定判決により没収されている。 (量刑の理由)被告人は、性風俗店で稼働する女性をスカウトする者と性風俗店とを仲介する事業者「Z」の経営者であり、その事業を遂行する中で、判示第1、第4及び第5のとおり、「Z」従業員である共犯者らと共謀の上、女性3名を売春婦として性風俗店に紹介して雇用させ、うち1名を含む女性らが性風俗店において売春をした売上げの一部について、判示第2、第3及び第6のとおり、性風俗店に対する顧問料及びスカウト役への報酬であるスカウトバックに充てる資金として、自己又は他人名義の預金口座に振込入金させ、犯罪収益等を収受し、又はその取得 いて、判示第2、第3及び第6のとおり、性風俗店に対する顧問料及びスカウト役への報酬であるスカウトバックに充てる資金として、自己又は他人名義の預金口座に振込入金させ、犯罪収益等を収受し、又はその取得につき事実を仮装した。本件各犯行は、広範囲かつ大規模に女性の紹介を行う中で敢行された、職業的かつ組織的な犯行の一環である。被告人は、「Z」を統括する立場にある者として、各従業員の役割を分担させて指示を行うとともに、自身もその仲介業務の一部を担当するなど、効率的に女性を有害業務に就かせる仕組みを構築し、本件犯行を主導した。紹介を受けた女性らはそれぞれ性交等の性的役務を繰り返し提供することになり、公衆道徳上の有害性は大きく、結果は軽くはない。また、受領した顧問料等が混和した犯罪収益等の額は、起訴されたものだけでも2447万円余りに上り、相当多額である。 以上によれば、犯情は悪く、被告人の刑事責任はおよそ軽視できるものではない。 他方、本件各犯行は、女性に性風俗店での就労を強制して敢行されたものではなく、起訴分に係る犯罪収益等の受領額を踏まえた同種事犯との比較のほか、被告人が、罪を認め、「Z」の活動状況を具体的に供述し、事件関係者と関わらない旨述べるなど反省の態度を示したこと、妻が監督を誓約したこと、前科がないことなどの諸事情も考慮すると、実刑以外に選択の余地がないとも断じ難い。被告人を主文の刑に処し、その懲役刑の執行を猶予するとともに、この種犯罪が割に合わないことを示すため、相応の罰金刑を併科するのが相当であると判断した。なお、組織的- 6 -犯罪処罰法における犯罪収益の没収及び追徴の規定の趣旨、本件の態様、被告人の地位等に照らし、追徴可能額のうち、追徴保全命令が発付されている主文掲記の金額について追徴するのが相当である。 よって、主文の 処罰法における犯罪収益の没収及び追徴の規定の趣旨、本件の態様、被告人の地位等に照らし、追徴可能額のうち、追徴保全命令が発付されている主文掲記の金額について追徴するのが相当である。 よって、主文のとおり判決した。 (求刑懲役5年及び罰金400万円、主文同旨の追徴)令和7年11月12日高松地方裁判所刑事部 裁判長裁判官横山浩典 裁判官池内継史 裁判官安部祐希

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